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中国不動産の正栄地産、ドル建て債 2 銘柄で利払いせず - 25 億円相当 中国の不動産開発大手、正栄地産集団は 10 日、資金繰り難から 9 日に猶予期間が終了したドル建て債 2 銘柄の利払いを履行できず、他の 3 銘柄についてもクーポンの支払いができない恐れがあると発表した。 正栄地産は香港取引所への届け出で、ドル建て債2銘柄の計 2,040 万ドル(約 25 億円)相当の利払いを実行しなかったことを公表。 他のドル建て債 3 銘柄の計 3,260 万ドルのクーポン支払いに関しても、今月 10 日から 5 月 14 日に訪れる猶予期間終了前に実施できない可能性があると説明した。 ただ、来月 31 日までに 5 本全てで利払いを行う考えだとも指摘した。 正栄地産は先月、債券交換案とデフォルト(債務不履行)の申立権放棄を巡り社債保有者から十分な支持を得たと発表。 フィッチ・レーティングスはこれを受け、同社を「一部債務不履行」に格下げしていた。 (Lorretta Chen、Bloomberg = 4-11-22) ◇ ◇ ◇ 中国不動産企業でまた不履行の恐れ - 比較的健全とされた正栄地産
中国の不動産開発大手、正栄地産集団は業界内でデフォルト(債務不履行)が相次ぐ中、相対的に財務が強固だと考えられてきた。 同社は 7 週間前に永久債を買い戻す計画を発表したばかり。 子会社が国有の中国銀行から 91 億 4,000 万元(約 1,660 億円)相当のクレジットライン(融資枠)を確保したことも明らかにしていた。 償還期限が迫っている正栄地産のドル建て債は額面 1 ドルに対して 80 セント近くと、同業の中国恒大集団の同 17 セントに比べれば堅調だった。 その同社が今では債務を返済できない恐れがあると警鐘を鳴らす事態となっている。 18 日遅く、3 月の債務返済に向けた現金が足りない可能性があると、上場先の香港取引所への届け出で明らかにした。 社債保有者に対しては来月 5 日の 2 億ドル(約 230 億円)相当の永久債買い戻しを履行できなくてもデフォルトを宣言しないよう要請した。 この 1 年にわたりネガティブサプライズが続いてきた中国不動産開発業界の基準で見てもあまりに急激な展開だった。 今回の突然かつ不可解な資金繰り不安で、競合他社の多くに対する投資家の懸念も強まっており、不動産セクターの財務を巡る混乱に歯止めをかけようとしている中国政府の取り組みを損ねている。 正栄地産の昨年の成約販売は不動産開発業界で30位と、中国恒大に比べれば小規模だが、最近まで財務が健全だと示唆していただけに同社の資金繰り難はより幅広い市場に大きな影響を与えている。 証券監督管理委員会(証監会)は 19 日、債券市場のデフォルトリスクの防止と解消に取り組むと表明。 2022 年の工作会議を引用して債券発行に関連した改革を強化し、外国の投資家への開放をさらに進める方針も示した。 フィッチ・レーティングスは 21 日、正栄地産の長期発行体デフォルト格付けを「C」に引き下げた。 従来は「B」だった。 無担保シニア債格付けも「B」から「C」に引き下げた。 格付けの「ウオッチネガティブ」は解除された。 フィッチの基準では、永久債を巡る今回の要請がディストレスト債務の交換と見なされるとしている。 (Bloomberg = 2-21-22) 中国恒大、建設プロジェクトの 95% を再開 = 傘下会社 [上海] 多額の債務を抱え経営難に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団が、国内の建設プロジェクトの 95% を再開したことが、傘下会社の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」への投稿で明らかになった。 珠江デルタの傘下会社の投稿によると、恒大は 3 月 27 日時点で 734 件のプロジェクトを再開。 このうち、424 件は建設が通常レベルに戻っているという。 プロジェクトの総数は明らかになっていない。 恒大は「いかなる代償を払ってでもオーナーに保証した質と量の建物を納入するために、通常の建設を引き続き維持する」とした。 同社は、不動産会社としては世界最大の 3,000 億ドル強の債務を抱えている。 (Reuters = 4-4-22) ◇ ◇ ◇ 中国恒大と子会社の株式が取引停止 = 香港取引所 [香港] 経営難に陥っている中国の不動産開発大手、中国恒大集団の株式が 21 日、香港証券取引所で取引停止となった。 同取引所が明らかにした。 子会社で不動産管理サービスの恒大物業集団と電気自動車 (EV) を手掛ける恒大新能源汽車集団の取引も停止された。 詳細は明らかにされていない。 中国恒大の主要子会社である恒大地産集団は、昨年 9 月が期限だった利払いを 2022 年 9 月に延期する計画について、先週末に国内債券保有者の承認を取り付けた。 同社の弁護士が 20 日、深セン証券取引所に文書を提出した。 取引停止前の中国恒大の株価は 1.65 香港ドル。 2021 年に 89% 急落した後、今年に入ってから 3.8% 上昇している。 (Reuters = 3-21-22) ◇ ◇ ◇ 中国恒大の資産凍結命令 117 億円、工事費巡り 【北京】 経営危機に陥っている中国不動産大手、中国恒大集団の子会社の資産が、中国の裁判所から凍結や差し押さえを命じられたことが 16 日分かった。 工事費の支払いを求め恒大を訴えている建設会社の上海建工集団が明らかにした。 対象額は約 6 億 4 千万元(約 117 億円)に上る。 同様の動きが続けば恒大の経営立て直しに足かせとなりそうだ。 広東省広州市の裁判所が決定した。 資産には銀行預金や不動産などが含まれている。 上海建工の子会社は、四川省成都市での恒大のプロジェクトを巡り昨年 12 月に提訴していた。 (kyodo = 2-16-22) ◇ ◇ ◇ 中国恒大、また利息の猶予期限 「地元政府が資産売却検討」報道も 中国不動産大手の中国恒大集団は 28 日、米ドル建て社債の利息 2 億 5,520 万ドル(約 295 億円)の支払い猶予期限を迎えた。 元々は昨年 12 月 28 日が期限だったが、払えずに 30 日間の猶予期間に入っていた。 28 日までに払ったとの公表や情報はなく、払えていなければ昨年 12 月に続いて 2 度目の債務不履行(デフォルト)になる。 国外の投資家からデフォルト解消に向けた取り組みを求める声が強まるなか、恒大は今月 24 日、時間の猶予をもらいたいとした上で「国外の債権者に対して過激な法的手段をとらないよう呼びかけている」とする声明を発表。 26 日には投資家向けの電話会議を開き、半年以内に初歩的な債務再編計画を提案することも明らかにした。 一方、米ブルームバーグ通信は 27 日、地元の広東省政府が、恒大に不動産管理と電気自動車 (EV) の子会社以外の大半の資産を売却させることを検討していると報じた。 恒大には、不良債権処理を専門とする中国国有企業の幹部が非常勤取締役として派遣されるなどの動きも進んでいる。 (北京 = 西山明宏、asahi = 1-28-22) ◇ ◇ ◇ 中国恒大、本社の看板撤去 移転で運転資金を捻出か 【北京】 中国メディアは 10 日、経営危機に陥っている中国不動産大手、中国恒大集団の広東省深セン市にある本社ビルから「恒大集団」の看板が撤去されたと伝えた。 理由は不明だが、同省広州市に移転したとの観測も出ている。 経費削減や売却などで運転資金を捻出する狙いの可能性もある。 短文投稿サイト、微博(ウェイボ)などに、高層ビルの最上部の外壁から看板が外されている写真が相次いでアップされた。 一部のメディアは、昨年 11 月ごろ既に本社ビルから従業員がいなくなっていたとする画像も転載。 中国のネットメディア「澎湃新聞」は 10 日、もともと本社があった広州市に戻ったと報じた。 (kyodo = 1-10-22) ◇ ◇ ◇ 中国恒大に建物 39 棟の撤去命令 = 株式取引再開へ 【北京】 中国不動産開発大手・中国恒大集団は 4 日、同国南部の海南島で手掛けるリゾート施設「海花島」をめぐり、地元当局から 39 棟の建物の撤去を命じられたと発表した。 対象となる不動産の価値は総額 77 億元(約 1,400 億円)と試算されており、経営危機に直面する恒大にとって新たな重荷になる可能性がある。 香港証券取引所はこれを受け、3 日から停止していた恒大株の取引を 4 日午後 1 時(日本時間同 2 時)に再開する。 (jiji = 1-5-22) ◇ ◇ ◇ 中国恒大集団の株式売買を停止 … 香港証券取引所 【北京 = 小川直樹】 香港証券取引所は 3 日、経営危機に陥っている中国不動産大手、中国恒大集団の株式の売買を停止した。 恒大は、内部情報を開示するまで一時的に停止すると発表したものの、それ以上の理由を説明していない。 恒大は昨年 12 月、猶予期間内にドル建て社債の利払いができず、格付け会社から一部デフォルト(債務不履行)と認定された。 昨年 12 月末に利払い期日を迎えた別の社債についても、利息を払っていないと報じられた。 恒大は政府関与下で債権者らと債務の再編に向けた協議を進めている。 (yomiuri = 1-3-22) ◇ ◇ ◇ 中国恒大、事実上のデフォルト 事業は継続へ 【北京 = 三塚聖平】 複数の欧米メディアは 7 日、巨額債務で経営危機に陥っている中国不動産大手「中国恒大(こうだい)集団」の米ドル建て社債の保有者が、6 日の期限までに利払いを受けていないと報じた。 これにより、同社として初のデフォルト(債務不履行)状態に陥った可能性がある。 デフォルトになってもすぐに事業を停止せず、地元政府の監督下で海外の債権者との債務再編の協議などを進める見通し。 実行できなかったと伝えられているのは計 8,249 万ドル(約 94 億円)の利払い。 11 月 6 日に本来の期限を迎えていたが実行せず、30 日間の猶予期間に入っていた。 同社はこれまで、猶予期間終了間際に利払いを行い、ギリギリのところでデフォルトを免れていた。 今後も社債の利払いが控えており、国内外の金融市場の反応が注視される。 同社の資金繰りは綱渡りの状態が続いており、今月 3 日には債権者から米ドル建て 2 億 6,000 万ドルの債務保証の履行を求められていると発表。 海外の債権者と債務再編の協議に入ることも表明していた。 返済期限の延長や、債権カットを求めるとみられ、債務再編協議は難航が予想される。 恒大集団は 6 日、経営危機の対処にあたる「リスク管理委員会」の設置を発表。 メンバーには、同社が本社を置く広東省の政府系投資会社の幹部らが加わった。 広東省政府は恒大集団に作業チームを派遣するなど関与を強めている。 恒大集団の負債総額は、6 月末時点で 1 兆 9,665 億元(約 35 兆円)。 中国当局は、同社の問題は「やみくもな事業拡大」に原因があると突き放している。 恒大集団の救済が目的でなく、不動産・金融市場の安定を重視する姿勢を明確化している。 習近平政権は昨年夏以降、不動産価格高騰やバブルに対処するため、不動産融資に関する規制を強化。 それにより、恒大集団など不動産大手が経営状況を悪化させている。 (sankei = 12-7-21) ◇ ◇ ◇ 中国恒大、290 億円債務不履行の可能性 省政府が作業チーム派遣 経営危機が続く中国不動産大手、中国恒大集団は 3 日夜、2.6 億ドル(約 290 億円)の債務保証の履行ができない可能性があることを明らかにし、債権者と協議して海外の債務再編案を策定すると発表した。 これを受け、恒大の本社がある広東省政府は同日、恒大の中核子会社に経営正常化に向けた政府の作業チームを派遣すると発表した。 恒大は関連会社のものとみられる 2.6 億ドルの債務の保証を債権者から求められていると発表。 「財務責任を履行し続けられるか確定できない」とした。 返済繰り上げを要求される可能性があるとしており、履行できなければ、実質的な債務不履行(デフォルト)とみなされる可能性がある。 恒大は 11 月 6 日が期限だった自社の 8,250 万ドルの社債の利払いを履行しておらず、30 日間の猶予期間終了が迫るほか、12 月下旬には約 2.5 億ドルの別の社債の利払い日を控える。 今回、新たな債務保証が発覚したことで、経営はより厳しい局面を迎えた。 広東省政府は作業チームにリスク処理と恒大の内部統制強化を進めさせるとしている。 中国人民銀行(中央銀行)は 3 日、同省政府の判断を支持すると表明した。 一方で「恒大の危機はむやみな経営拡張に由来する」と恒大を批判。 中国の不動産市場についても「徐々に常態に戻っている」と強調し、安易な救済に否定的な姿勢を見せた。 (北京・小倉祥徳、mainichi = 12-4-21) ◇ ◇ ◇ ジェット機や豪邸失ったが「焼け石に水」 恒大集団、トップの苦境 「中国恒大集団の許家印氏が巨額の個人資産を次々手放している - -。」 経営危機にある中国不動産大手の創業者トップの苦境を中国メディアが連日のように報じている。 中国の富豪ランキングで首位だったこともある許氏だが、巨額の負債を抱え、資金調達の手段は自身の豪邸や自家用ジェット機にまで及んでいる。 中国の経済系メディア「第一財経」は 16 日、関係者の話として許氏が 7 月以降、個人資産を売却したり借金の担保に入れたりして、恒大に 70 億元(約 1,200 億円)以上の資金を投じたと報じた。 社債の利払いや投資商品の償還、社員の給与支払いなどに充てているという。 また、米ウォールストリート・ジャーナル紙によると、許氏は 10 月に自家用ジェット機 2 機を約 5 千万ドル(約 57 億円)で売却。 さらに香港のネットメディアは、許氏が所有する香港の豪邸を担保に入れて資金を調達したと報じた。 こうした動きの背景には、資金繰りに苦しむ恒大に対し、中国政府当局が許氏の個人資産の売却を求めていることがある。 許氏の個人資産にとどまらず、傘下企業の売却も進む。 恒大は 17 日、傘下のインターネット関連会社の株式をすべて香港の企業に売却すると発表した。 売却額は 21.3 億香港ドル(約 310 億円)で、支払いが遅れている社債の利払いなどに充てるとみられる。 売却するのは IT 大手テンセントとの合弁会社・恒騰網絡集団の株式で、同日に売却先と合意した。 筆頭株主だった恒大は 5 日までに恒騰網絡の保有株式を一部売却し、約 7 億香港ドル(約 100 億円)を得ていたことが香港取引所の公開情報で明らかになっていた。 今回の取引で残りの株式をすべて売却し、恒大と恒騰網絡との資本関係はなくなることになる。 ただ、こうした動きも「焼け石に水」にすぎない。 年内だけで社債の利払いが約 3 億 4 千万ドル(約 388 億円)残るほか、17 日には上海の内装工事会社が恒大側に工事代金など 2 億 3,800 万元(約 43 億円)の支払いを求め提訴したと発表した。 恒大をとりまく状況の厳しさは変わっていない。 (広州 = 西山明宏、asahi = 11-19-21) ◇ ◇ ◇ 中国・恒大集団の創業者 香港の邸宅をオリックスの抵当に 経営難に陥っている中国の不動産大手「恒大集団」の創業者が自宅を日本の金融サービス大手「オリックス」の抵当に入れたと地元メディアが報じました。 香港メディアは恒大集団の創業者である許家印氏が「2 つ目の豪邸を金融会社オリックスの抵当に入れていることが明らかになった」と報じました。 香港にあるこの自宅は約 8 億香港ドル、日本円で約 116 億円の価値があるということです。 恒大集団は社債の利払いや償還などが相次ぎ、資金の確保に追われているとみられています。 すでに別の自宅も抵当に入っていて、「許家印氏の個人資産の売却によって恒大集団の債務危機が救われたことを示す証拠だ」と報じています。 (テレ朝 = 11-12-21) ◇ ◇ ◇ 恒大「野望の象徴」 10 万人スタジアムの現場 作業員「飢え死にだ」 「もう 3 カ月も給料が支払われていない」 「連行するならそうしろ。 自分で働いたカネを求めて何が悪い。」 20 日午後、広州市中心部から南へ車で約 30 分。 中国の不動産大手・中国恒大集団が、「世界一」を目指して建設を進めてきたサッカースタジアムの建設現場に行くと、約 30 人の建設作業員が事務所前に押し寄せていた。 作業員たちは事務所から現場責任者とみられる人物を帰らせないように、体を張って出入り口を封鎖していた。 かけつけた警官も当初は、道路を塞ぐのは法律違反だと顔を真っ赤にして取り締まる勢いだった。 しかし、あるピンク色のシャツを着た作業員は「俺たちは出稼ぎの農民工だ。 政府のお前たちが給料を補償してくれ。 でないとここで飢え死にする。」と引き下がらない。 すぐ後ろの壁には「歓迎 共産党 100 年」のスローガン。 警官は 9 人にまで増えたが、男たちの怒りを収めるためか、少し距離を置いて監視する方法に切り替えた。 このスタジアムは、拡大路線を突き進んできた恒大の「野望の象徴」だった。 中国共産党機関紙・人民日報の昨年 7 月の報道によると、建築面積は約 30 万平方メートルで、収容観客数は 10 万人だ。 広州市都市計画委員会が全会一致でスタジアム計画を承認し、「世界最大規模、最高のグレード、最も優れた科学技術を取り入れた国際的なプロサッカースタジアム」が 2022 年末までにオープンすると宣伝していた。 米、英、ドイツ、オーストラリアなど 8 カ国の有名な設計士に依頼し、最終的に米国案に決まった。 しかし、その計画が暗転するまで 1 年もたたなかった。 工事関係者によると、建設資金が支払われなくなり、今年 6 月から工事が実質的に止まっているという。 恒大の経営危機が表面化した 9 月より 3 カ月も前のことだ。 建設現場では、約 10 本の巨大なクレーンが天に向かって立っているが、動いていない。 赤茶色にさびた建設資材が積み上げられ、白いコンクリートがむき出しになったスタジアムで作業をしている人の姿は見当たらなかった。 責任者「恒大にはお金がないからどうにもならない」 出稼ぎ労働者を派遣する会社の責任者によると、現場では 6 月まで 2 千人近くが働いていたが、現在は派遣労働者はおらず、数十人から数百人の工事発注元の作業員が、現場の清掃やメンテナンスをしているだけ。 この派遣会社が管理する労働者の未払い賃金は、数百人分で 500 万 - 600 万元(約 8,500 万 - 1 億円)になるという。 中国メディアによると、単独での工事続行が難しくなった恒大は、国有企業「広州城投」にプロジェクトを売却する案を進めている。 派遣会社の責任者はいう。 「恒大にはもうお金がないからどうにもならない。 一刻も早く政府にプロジェクトが引き継がれ、給料を払って欲しい。」 (広州 = 奥寺淳) 多角化の失敗 習氏政策が追い打ち 中国恒大集団は許家印氏が 1996 年に広州市で創業し、一代で築いた。 2020 年の売上高は 5,072 億元(約 9 兆円)で、日本の電機大手ソニーグループとほぼ同じ。 総資産は約 2 兆 4 千億元(約 42 兆円)で、日本の不動産大手 5 社の総資産を合計しても、さらに約 1.8 倍大きい規模だ。 改革開放後に基本的にすべて国有だった中国の土地は、使用権の取引が始まり、不動産開発は急激に増加した。 20 年の不動産開発投資は 14 兆元(約 250 兆円)と、20 年前の約 30 倍にまで膨らんでいる。 経済発展と共に住宅需要も伸び、作れば売れる。 恒大は多くの不動産会社の中で、コンパクトで安価なマンションを量産することで頭角を現した。 ただ不動産の開発以外に手を出した事業がうまくいかなかった。 サッカー強豪の広州 FC (旧広州恒大)では、海外の有名選手や監督を獲得するために巨額の投資を続けたものの、7 年連続で赤字だった。 中国メディアは 22 日、許氏が 10 年以内に不動産事業を 3 分の 1 以下に縮小させ、電気自動車 (EV) などを主軸にした会社へと変わるとの考えを明らかにしたと報じた。 だが肝心の量産は始められていない上、事業は赤字だ。 そこに異例の 3 期目を狙う習近平(シーチンピン)国家主席の政策が追い打ちをかけた。 「共同富裕」を掲げ、中国共産党に対する国民の支持を失いかねない格差問題の解決に狙いを定めている。 不動産も富裕層の投機の対象とならないよう、不動産と金融業界に対する規制を強化した。 これで負債が大きすぎた恒大の経営危機は深まった。 恒大が経営破綻すれば、中国国内でマンションや投資商品を買った人々、下請けの工事会社などが損失を抱え、社会不安を生みかねない。 中国政府高官は最近、公の場での発言機会を増やして不安を打ち消そうと躍起だ。 劉鶴(リウホー)副首相は「いま不動産市場では個別の問題が起きているが、全体のリスクは制御可能だ」と強調。 中国人民銀行の易鋼総裁は「我が国は社会主義市場経済の優位性を持ち、経済の強靱さは絶えず強まり続ける」とした。 だが不動産市場はすでに主要都市の半数で価格が下落するなど冷え込み始め、経済成長率は 2 期連続で減速している。 習指導部はすでに難しいかじ取りを迫られている。 (北京 = 西山明宏、asahi = 10-23-21) ◇ ◇ ◇ 工事止まったマンション住民悲鳴 中国恒大現地ルポ 経営危機に陥った中国不動産大手「中国恒大集団」をめぐり、猶予期限が目前に迫っていた米ドル建て債の利払い実施が伝えられたことで、国内外の市場関係者には 22 日、安堵が広がった。 債務不履行(デフォルト)の危機をひとまず回避した格好だ。 ただ、頼みの綱とする資産売却が難航して抜本的な資金繰り改善のメドは立たず、同社が手掛ける開発物件は工事停止が続くなど、懸念は簡単には払拭できそうにない。 現地で実情を探った。 中国南部、広東省の省都・広州市に隣接する仏山市。 恒大集団のマンション建設現場では、わずかな作業員の姿が見えるだけだった。 フェンスの取り外し作業をしていた男性作業員は「2 カ月以上前から工事は止まっている。 今は建築資材を別の現場に移す作業が中心だ。」と明かした。 建設済みの一部建物には既に人が住んでいるが、高層階の複数のベランダには「地下鉄もスーパーもない」、「高額料金の低サービスを拒否する!」といった悲鳴のような言葉が書かれた赤い横断幕があった。 住民の自営業男性は「学校や交通機関、映画館がそろうという話だったのに今もできていない。 すごいエリアになると期待していたのに、急に工事が止まるとは思いもしなかった。」と嘆いた。 恒大集団の負債総額は 6 月末時点で 1 兆 9,665 億元(約 35 兆円)に達し、それが重荷となって資金繰り難に苦しむ。 作業員の賃金や取引先への代金の未払いが伝えられ、中国全土で展開するマンション建設も、資金不足により工事停止が続くケースが目立つ。 中国当局が警戒するのは、住宅購入者などによる抗議活動が広がって社会が混乱することだ。 米紙ウォールストリート・ジャーナルは 9 月下旬、中国当局が地方政府に対して抗議活動を監視する法執行部隊を設立するよう指示したと報じている。 広東省深セン市にある恒大集団の本部が入るビル付近でも、抗議活動を押さえ込むため多数の警官らが配置されている。 恒大集団は今回、今月 23 日に期限を迎える米ドル建て債の約 8,350 万ドル(約 95 億円)の利払いはどうにか資金を手当てできたもようだ。 しかし、既に猶予期間に入っているドル建て債は他にもあり、年末までに相次ぎ利払いの期日が到来する。 ロイター通信によると、格付け会社 S & P グローバル・レーティングは、年内に仕入れ代金などを含めて約 1 千億元規模の支払期限を迎えるとの推計を 8 8月に示している。 事業売却で資金を確保する計画だが思うような成果は出ておらず、9 月末に傘下の地方銀行、盛京銀行の株式を約 100 億元で売却することを決めた程度だ。 恒大集団は今月 20 日に発表した声明で「グループの資産売却に大きな進展はない」と説明し、「財務上の義務を継続して履行できる保証はない」と厳しい台所事情を明かした。 一方、中国政府は恒大問題を「制御可能」と強調し、庶民の反発が強い不動産バブルの解消を優先させる姿勢を崩していない。 習近平国家主席の経済ブレーンとして知られる劉鶴(りゅう・かく)副首相は 20 日に「現在、不動産市場で個別の問題が起きているが、リスクは全体的に制御可能だ。 不動産市場の健全な発展という全体的な基調が変わることはない。」との考えを強調した。 (三塚聖平・広東省仏山市、sankei = 10-22-21) ◇ ◇ ◇ 香港証券取引所、中国「恒大グループ」取り引き一時停止を発表 香港証券取引所は 4 日、経営難に陥っている中国の不動産大手「恒大グループ」の取り引きが一時的に停止されていると発表しました。 会社は、大型の案件の発表を控えていることが理由だとしています。 香港の株式市場では日本時間の午前 10 時半から 4 日の取り引きが始まっていますが、香港証券取引所は、中国の不動産大手「恒大グループ」の取り引きが一時的に停止されていると発表しました。 上場している傘下の不動産管理会社の取り引きも同様に一時的に停止されているということです。 これについて会社は声明を出し、大型の案件の発表を控えていることが理由だと説明しています。 恒大グループは巨額の負債を抱えて経営難に陥っていて、社債の利払い期限を相次いで迎えていることなどから、中国経済や金融市場などへの影響に対する警戒感が続いています。 香港市場では 4 日、日本時間の午前 11 時半の時点で先週の終値に比べて 2% を超える値下がりとなっています。 市場関係者は「恒大グループによる発表が会社の経営にどのような影響を及ぼすのか注視すべきだ」と話していて、市場では一時的な取り引き停止の理由を慎重に見極めたいという受け止めも出ています。 (NHK = 10-4-21) ◇ ◇ ◇ 中国恒大、保有株を 1,700 億円で売却 当局が救済に乗り出す格好に 経営危機に陥っている中国不動産大手の中国恒大集団は 29 日、傘下の地方銀行である盛京銀行(遼寧省瀋陽市)の発行済み株式 19.93% 分を約 100 億元(約 1,700 億円)で売却すると発表した。 同市政府系の国有企業、瀋陽盛京金控投資集団が買い取る。 盛京銀行は東北地方を拠点とする地方銀行で、恒大が 34.5% の株式を持つ筆頭株主だ。 恒大の経営危機が同行に影響して金融不安につながる恐れがあるため、当局が救済に乗り出した格好だ。 恒大は同日の発表で「国有企業を大株主として引き入れることで、盛京銀行の経営の安定につながる」とした。 資金繰りが厳しい恒大は 23 日が期日の米ドル建て社債の利払いが実行できていないうえ、29 日にも別の米ドル建て社債の利払い期限を迎えている。 恒大は保有する株式や資産を売るなどして資金の調達を急ぐが、傘下企業ではすでに資金難で事業に影響が出ている。 電気自動車メーカーの中国恒大新能源汽車集団は 24 日の発表で高齢者向け施設の事業を停止したと発表。 保有資産の売却を目指すとした。 (北京=西山明宏、asahi = 9-29-21) 鈍い中国不動産市場回復、地方政府の慎重姿勢が足かせ [香港] 中国不動産業界の見通しが一向に改善しない。 中央政府はテコ入れ策を打ち出しているが、業界関係者によると、資金調達は依然として困難で、地方政府の多くが規制緩和に消極姿勢を取っている。 中国政府は、不動産市場の過熱抑制に向け規制を強化してきた。 しかし、中国恒大集団などのデフォルト(債務不履行)問題に世界の市場が震撼。 中国経済へのリスクとなり、業界支援の方針に転換した。 この方針の下、中国人民銀行(中央銀行)は、金融機関が慎重な管理下で不動産セクターの「合理的な」資金需要に対応する必要があると表明した。 しかし、国内売上高上位 50 社に入る不動産開発業者 5 社の幹部はロイターに、銀行から新たな融資を受けられないでいると語った。 現在、新規プロジェクトの建設作業を進めるのに、減少しつつある売上金を捻出するしかないとしている。 龍光集団は今月、銀行の与信が 1 月以降縮小しており、100 億元(16 億ドル)以上の承認済み融資がまだ実行されていないと投資家に説明した。 ロイターが関連メモを確認した。 ある国有銀行の幹部によると、同行が住宅ローンの承認は加速させるが、民間不動産開発業者への対応は慎重を期すべきという方針。 「開発業者が支払いを履行できないというネガティブなニュースが警鐘だ。 今のところ、業務の相手を国有開発業者に限定することにしている。」と語った。 <中央と地方で温度差> 1 - 2 月の不動産投資は、一部規制緩和を背景に前年比で 3.7% の増加に転じた。 しかし市場は引き続き低迷し、床面積ベースで新築着工は 12.2% 減、不動産販売は 9.6% 減だった。 外貨建て債務の返済に苦しむ開発業者の最高財務責任者 (CFO) は「中央と地方の間で緩和策に一貫性がないことも、早期回復期待を後退させている」と述べ、都市ごとに政策が異なり実効性は低いと指摘した。 中央政府は今年に入り、開発業者が予約販売で得た資金の扱いに関する全国共通の新政策を策定した。 予約販売代金は特別な預託口座に入れる必要がある。 新政策は、地方の一部で預託口座からの引き出しが過度に厳格になっているのを是正することが狙いだった。 しかし、預託口座に入れなければならない金額は地方の裁量。 開発業者によると、地方政府は慎重姿勢を崩していない。 アナリストは、一部地方政府が「住宅は投機のためのものではない」という中央政府の指針に反することなく、どの程度の措置が講じられるか見極めに苦労しており、そのために思い切った対応が取れずにいると指摘した。 (Clare Jim、Reuters = 4-3-22) 中国の佳兆業も決算発表延期、不動産セクターに懸念強まる [香港] 資金繰りに窮している中国の不動産開発会社、佳兆業集団は 22 日、上場規則で定められた 3 月 31 日までに 2021 年の監査済み決算を公表できないと表明した。 新型コロナウイルス流行に伴う深センのロックダウン(都市封鎖)により、監査作業が完了できないとしている。 同様の企業が相次いでおり、中国不動産セクターの財務健全性に対する市場の懸念が深まっている。 佳兆業の香港上場株の取引は、取引所の規則に従い 4 月 1 日から停止されるという。 23 日午前の同株は 2.7% 安。 中国恒大集団も 22 日、21 年後半以降の業務の「劇的な変化」に起因する多数の追加監査手続きのため、期限内に決算を発表できないと明らかにした。 融創中国や世茂集団など他の大手デベロッパーも今週、コロナによる混乱のため監査済みの決算発表を遅らせるとしつつ、株式の取引を維持するため 3 月 31 日に未監査の決算を出すと表明した。 アナリストは各社が 21 年決算を期限内に発表できないことについて、流動性懸念によって過去数カ月間打撃を受けてきた同セクターのセンチメントをさらに圧迫するだろうと述べた。 JP モルガンは報告書の中で、この遅延について「監査法人がプロジェクト帳簿/債務についてより厳しくチェックしていることも一因と考えられる」と指摘。 取締役会の日程を発表している企業であっても、それまでに監査プロセスが完了しなければ、決算発表が遅れる可能性があるため、さらなる遅れがあっても不思議ではないとした。 佳兆業は、中国の不動産開発会社の中で中国恒大に次ぐ 2 番目に大きな米ドル建て債券発行会社。 昨年に一部債券をデフォルト(債務不履行)にした後、120 億ドルのオフショア債務の再編を進めている。 22 日の提出資料では、佳兆業はここ数カ月、「全てのステークホルダーの利益のため」に解決策を策定し、流動性の問題を緩和するために法律および財務アドバイザーと協力してきたと説明。 また、債権者との「建設的な対話」に入ったとした。 同社は昨年終盤から債務再編合意を巡り社債保有者と協議している。 (Reuters = 3-23-22) 天下の国営企業ですら経営難に … 「恒大集団の破綻」でついに始まった中国の倒産ドミノ かつての日本でも資本市場が機能不全に 中国の不動産会社が震源となった信用不安が、いよいよ収拾がつかなくなってきた。 昨秋から社債の元利払いが懸念されてきた恒大集団の他にも、社債の元利払いが滞らせる債務不履行(デフォルト)が続出。 その頻度は日本の「失われた 10 年」にもなかったほどで、中国の資本市場が機能不全を起こすなど、97 - 98 年ごろの日本にそっくりの状況になってきた。 そこで日本の「失われた 10 年」に照らして、いま中国で起きている現象をどう位置づければいいのか、改めて考えてみたい。 日本で上場企業の経営破綻が相次ぐようになったのは 97 年からだった。 この年の夏に「影響が大き過ぎて潰せない」と言われ続けてきた上場ゼネコン(総合建設会社)が立て続けに3社も破綻し、9 月にはスーパーマーケットを国内外で展開していたヤオハンジャパンの転換社債が債務不履行を起こした。 さらに 11 月には、三洋証券、山一証券、北海道拓殖銀行が破綻し、三洋証券は短期金融市場でデフォルトを起こした。 信用不安で投資家が社債購入を見合わせ この 97 年後半を境に、信用不安が一気に広がった。 信用不安を媒介したのは株式市場や資本市場、短期金融市場などのマーケットである。 ここでは 98 年の資本市場を例にとってみよう。 資本市場に欠かせないインフラの一つに、債券格付けがある。 最上級の AAA 格から AA 格、A 格、BBB 格と続き、ここまでが投資適格とされる。 ところが 98 年当時、BBB 格のれっきとした投資適格企業でも債券を発行できなくなった。 さらに大手機関投資家にとって債券投資には基準があり、A- 以上の債券しか買えないところが大半。 そのため「A- の銘柄は基準を満たしてはいるが、格下げされると BBB+ になってしまう」として、購入を見合わせる投資家が大半になってしまった。 投資家に募集をかけても調達予定額を満たすことができないケースが続出。 信用不安により資本市場が機能不全に陥ったせいである。 大手自動車メーカーのグループ企業は必要額を大幅に下回る資金しか集められず、大手ゼネコンはそれにも増してひどい状況だった。社債の年限を短くし、金利を上積みしても投資家が見つからず、社債の発行を諦めた企業も少なくなかったと聞く。 痛手を受けた投資家たちは再び戻ってくるか その年の資本市場全体をみると、社債の発行額が当時過去最高の 13 兆円近くに達し、前年比で約 2 倍に拡大したが、BBB 格企業の社債はわずか 200 億円足らずにすぎなかった。 そのうえ生損保などの大手機関投資家は A- 格の企業に対しても「格下げされてしまえば、即 BBB ゾーンになってしまう危険水域」として、A- 企業の社債まで購入を見合わせた。 大手機関投資家は多くが内規で「A- 以上の債券でなければ購入できない」と定めているにもかかわらず、である。 現在、よく似た状況になっているのが中国の資本市場で、信用力の高い企業までも資金調達に窮するケースが目立つようになった。 昨年秋にかけて当局の指導で社債発行が上向いたとの報道もあるが、民間企業だけではなく、国営企業でさえ経営難に瀕する事例が増え、企業金融への資金の出し手であった投資家が痛手を受けているのだから、彼らがどれだけ戻ってくるのかは疑問だ。 倒産の波は半導体関連や鉱山経営にも 日本の 98 年当時に重ね合わせられる事例はこれだけではない。 不良債権問題の処理にてこずった日本では景気低迷が体質化し、不良債権を抱えていなかった製造業まで倒産の波にさらわれた。 日本の主力産業である電機や機械、輸送用機器にまで倒産したり、倒産寸前にまで追い込まれる企業が相次いだのである。 一方の中国も、不動産会社だけでなく、半導体関連や鉱山経営の会社にまで倒産の裾野が広がっている。 金融にも影響が及びつつあるのか、日本経済新聞は 1 月 20 日付の朝刊で「中国の商業銀行などが 2021 年 9 月末、海外からの債務を減らしていた」と報じ、「恒大の債務不履行リスクが高まったことで、中国の金融機関が短期マネーの調達に苦慮していた」との見方を紹介している。 不良債権問題の影響で中国の商業銀行がドル資金の調達難に瀕するようだと、やはり 98 年ごろに邦銀がドル資金を調達する際に上乗せ金利を求められた「ジャパン・プレミアム」に似た「チャイナ・プレミアム」が生じる可能性も出てくるだろう。 個別の金融機関の信用力にも影を落としている。 社債のデフォルトが問題になっている恒大集団への融資が大きく、株価が低迷している中国民生銀行はさしずめ、不動産関連融資が大きかった日本長期信用銀行(現新生銀行)や日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)といったところか。 それとも 97 年に倒産したゼネコン東海興業への融資が大きく、経営破綻の要因のひとつになった北海道拓殖銀行になぞらえられるだろうか。 海外投資家への弁済は後回しになる恐れ もちろん日本の失われた 10 年とは異なる点もある。 中国企業が海外市場で発行したオフショア債も償還が懸念されていることは各種メディアで報じられているとおりだ。 問題をややこしくしているのは、中国国内で発行された社債よりも、オフショア債の弁済順位が低いことだろう。 社債の分野には「クロス・デフォルト条項」と呼ばれる契約条項があり、どれかひとつの社債が債務不履行に陥れば、他の社債も担保を提供したり、償還を迫られるというものだが、中国市場の専門家によれば「中国企業のオフショア債は多くがその対象外」だという。 つまり中国本土で発行された社債の投資家は優先的に弁済を受けるが、オフショア債の海外投資家は後回しになる恐れがあるのだ。 その点で中国政府の対応は場当たり的で、企業の経営破綻や債務不履行を制御できていないように見える。 中国政府は社債問題を素早く収拾できるのか 中国の社債問題は、日本でも国民生活の身近なところに影を落とし始めた。 中国企業の社債を組み入れている投資信託は、昨秋あたりからその基準価格が下がり始めているのだ。それらには中国の不動産会社が発行した社債を積極的に組み入れた投信もあり、昨秋の時点で恒大の社債を組み入れた投信も数十銘柄に上る。 企業再生は時間との闘いだという。 経営破綻やその瀬戸際に追い詰められた企業は顧客が離散したり、ライバル企業の草刈り場になったりして商圏が縮小し、競争力や資産内容の劣化が進みやすく、時間をかければかけるほど再生が難しくなる。 中国政府は恒大をはじめとする社債問題に対し、スピード感を持ちつつソフトランディングさせられるかどうか。しばしば強権的で強引な政策が目立つ中国政府に、それができるだろうか。 (山口義正、President = 2-4-22) |
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