中国の国有自動車「華晨汽車」に破産宣告の衝撃

深刻な経営不振に陥っている中国の国有自動車メーカー、華晨汽車集団に対して、同社の債権者が破産を申し立てたことが明らかになった。 華晨汽車をめぐっては、優良資産を別会社に移して債務の返済逃れを画策しているとの疑惑も浮上している。 11 月 13 日に企業信用情報サイトに掲示された情報によれば、格致汽車科技という企業が遼寧省瀋陽市の中級人民法院(訳注 : 日本の地方裁判所に相当)に華晨汽車の破産を申し立てた。 裁判所は中国の破産法の規定に基づいて、申し立てから 15 日以内にその受理の可否を審査する。 仮に受理されれば、華晨汽車の破産手続きが正式に始まることになる。

格致汽車科技は自動車用の金型の設計・製造を手がけるサプライヤーで、2019 年 9 月にも売買契約をめぐる紛争で華晨汽車を提訴していた。 格致汽車科技に対する華晨汽車の未払いがどのくらいあるのか、現時点では具体的な情報は公表されていない。 華晨汽車は、1958 年創業の瀋陽汽車製造廠を前身とする遼寧省の重点国有企業である。 2003 年にドイツの BMW と合弁会社を設立したのを機に、中国の主要自動車メーカーの一角に名を連ねた。 2005 年には組織再編を経て遼寧省国有資産監督管理委員会の直属企業となり、同委員会が株式の 80% を、遼寧省社会保障基金会が同 20% をそれぞれ保有している。

大口債権者が中央銀行に告発の書簡

中国の国有企業は、仮に経営が傾いたとしても、多くの場合は政府が救済に乗り出す。 ところが 10 月 23 日、華晨汽車の社債「17 華汽 05」がデフォルトを起こし、債券市場に衝撃が走った。 同社が発行した償還期限前の社債の残高は 172 億元(約 2,726 億円)に上る。 デフォルト発生後、債券市場では華晨汽車の破綻処理に関するさまざまな噂が飛び交った。 そんななか、市場関係者の間に出回ったある内部文書が注目を集めている。 中国国家開発銀行傘下の証券会社である国開証券が、中国人民銀行(中央銀行)の金融安定局に提出したとされる書簡だ。

国開証券は華晨汽車の大口債権者の 1 社である。 書簡によれば、華晨汽車は現金化が可能な優良資産の多くを別会社に移し、それを担保に融資を受けたという名目で質権を設定。 この事実を隠蔽して裁判所に自己破産を申請しようと画策しており、「債務返済を逃れようという意図は明らかだ」と断定している。 (王娟娟、財新/東洋経済 = 11-25-20)

(訳注 : 瀋陽市中級人民法院は 11 月 20 日に債権者の申し立てを受理し、華晨汽車の破産手続き開始を決定した。)


中国の石炭大手、格付け「AAA」の社債デフォルト
河南省の国有企業、債務連鎖で地域金融危機も

11 月 10 日、永城煤電控股集団(永煤集団)が発行した超短期社債「20永煤SCP003(償還期間 270 日)」が償還期限を迎えたものの支払い不能に陥り、額面の 10 億元(約 159 億円)がデフォルトした。 これを受け、中国の債券市場にはデフォルト増加への不安が広がっている。 永煤集団は河南省最大の国有企業である河南能源化工集団(河南能源)の傘下の石炭大手で、株式の 96% を河南能源が保有している。 河南能源は河南省国有資産監督管理委員会の直轄下にあり、グループ従業員数は 18 万人に上る。

債権市場の関係者にとって、永煤集団のデフォルトは寝耳に水だった。 というのも、中国の格付け最大手でアメリカのムーディーズが出資している中誠信国際信用評級(中誠信国際)が、発行体としての永煤集団に最高ランクの「AAA」の格付けを 10 月 10 日に付与したばかりだったからだ。 「河南省には鄭州銀行、中原銀行、中原証券などの地元金融機関やノンバンクがあり、通常なら 10 億元程度の資金を融通するのは難しくないはずだ。 起きてはならないことが起きたと感じている。」 債券市場のある関係者はそうコメントした。

親会社の総資産負債比率 83%

デフォルトから一夜明けた 11 月 11 日、中誠信国際は永煤集団の発行体格付を投資不適格の「BB」に引き下げ、さらなる格下げを行う可能性があるウォッチリストに指定した。 永煤集団はデフォルト発生の 20 日前にも、額面 10 億元(約 159 億円)の中期社債を発行していた。 同社の償還期限前の社債は 11 月 10 日時点で合計 23 本、その総額は 234 億 1,000 万元(約 3,722 億円)に上る。 しかも、そのうち 120 億元(約 1,908 億円)が半年以内に償還期限を迎える予定だ。

今回のデフォルトは、永煤集団の親会社である河南能源の資金調達にも支障を来す可能性が高い。 財新記者が入手した河南省国有資産監督管理委員会の報告書によれば、新型コロナの影響と石炭産業全体の景気低迷による赤字が累積し、河南能源の資金繰りは悪化の一途をたどっている。 河南能源は 2020 年 8 月末時点の資産総額 2,845 億元(約 4 兆 5,235 億円)に対し、負債総額が 2,369 億元(約 3 兆 7,667 億円)に上り、総資産負債比率は 83% に達している。 同社で債務危機が発生すれば、連鎖反応を誘発して(河南省での)地域的な金融危機を引き起こしかねない。 (梁虹・財新、東洋経済 = 11-20-20)


中国企業の「ドル建て債務」デフォルトが「3 倍の 120 億ドル」に! まだまだ増える予測

債務(返済しなければならない借金)の返済できなることを「デフォルト」といいますが、中国企業のデフォルト、しかもドル建て債務(借金をドルで返さないといけません)のデフォルトが 2020 年になって急増しています。 先に Money1 でも 100 億ドルに迫る勢いで … とご紹介したことがありますが、ここにきてそれでは済んでいないというデータが出ています。 『South China Morning Post』の記事から以下に一部を引用します。

(前略) フランスの金融会社『Natixis』のデータによると、中国企業によるドル建て債のデフォルトは、昨年の 40 億米ドルから今年に入って 120 億ドルへと 3 倍に急増した。 (中略) しかし、米中関係の急速な悪化と来年満期のドル建て債が多い中で、債券のデフォルトが増加する可能性がある、と『China Chengxin(アジア太平洋地域)』のマネージング・ディレクター Zhang Guo 氏は述べた。 (後略)

調査会社によってデータは異なるのですが、2020 年すでに中国企業のドル建て債券のデフォルトは 2019 年の 3 倍に達しているというのです。 また、年末までに満期を迎えるドル建て債券が多いことから、このデフォルト数はさらに増加する可能性がある、と。 では、どのくらいの金額が満期を迎えるかというと、以下のデータです。

『Refinitiv』のデータによれば今年満期を迎えるドル建て債は 1,018 億ドルで、2021 年には 10% 増加し、2022 年にはさらに 19% 急増するだろうとしている。 このうちどのくらいがデフォルトするかと懸念されるわけですが、重要なのは以下の指摘です。 「脆弱で高負債の中国企業に対する市場の懸念は、大規模なドル不足が社債市場の混乱を招いた 3 月に似ている」と Zhang 氏は指摘する。 「中国企業のドル債務のデフォルト量は、主に企業のファンダメンタルズが弱く、内部流動性を圧迫しているために上昇している 」と Zhang 氏は述べた。

「海外でのパンデミックが抑制されていないため、マクロ経済的な要因を考慮する必要があり、一方で合衆国と中国の緊張が中国のドル債務にも影響を与えるだろう。」 中国企業はファンダメンタルズが弱いので、それが資金調達の面に影響を与えている、と。 経営状況に信認がなければ新たな社債発行や借り換え(ロールオーバー)もできませんから。 さらに合衆国との対立によって、ドルの流動性に問題(要は「ドル不足」)が生じる可能性も高いのです。 中国共産党政府の大本営発表を信じてはいけないというわけです。 ((吉田ハンチング、Money 1 = 9-23-20)


中国の安邦保険集団が解散・清算を申請へ、2 年間の公的管理経て

[北京] 中国の安邦保険集団は 14 日、解散・清算の手続きを中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)に申請すると発表した。 かつて積極的な企業買収で急成長した同社の歴史に幕を閉じることになる。 中国政府は一部の民間企業が大規模な合併・買収 (M & A) を繰り返していた状況を受け、金融リスクを抑えるための取り組みの一環として 2018 年 2 月に安邦保険を公的管理下に置いた。

元会長の呉小暉氏は、詐欺や横領の罪で 18 年の禁錮刑を言い渡された。 規制当局は呉氏の「違法な活動による損失を抑える」ため、安邦の保有する銀行や保険部門、海外のホテルなどの資産の売却を急いだ。 銀保監会は今年 2 月に安邦保険の管理を終了したと発表し、新設した受け皿会社「大家保険」が近く、戦略的投資家を迎える決定を下すとしていた。 (Reuters = 9-15-20)


中国、不良債権問題が再燃 4 大銀行の残高 1.6 兆円増

【香港 = 木原雄士】中国で不良債権問題が再燃してきた。 2 日までに出そろった中国工商銀行など四大銀行の 2020 年 1 - 6 月期決算で、4 行合計の不良債権残高(予備軍の要注意債権除く)は 19 年末に比べて 1,035 億元(約 1 兆 6 千億円)増えた。 新型コロナウイルス流行で貸出先の業績が悪化した。 4 行はそろって 1 割強の減益だった。 香港メディアによると減益は 10 年以降で初めて。 コロナ禍による都市封鎖などで経済が急速に悪化し、貸倒引当金の積み増しを迫られた。

中国の金融当局は各行に貸し出し条件の変更などで資金繰りに窮した観光や小売り関連の企業を支えるよう指示していた。 工商銀の谷●(さんずいに樹のつくり)行長(頭取に相当)は「減益は実体経済を支えよという中央政府の要請に応じたためだ」と述べた。 4 行合計の不良債権残高は 6 月末に 9,216 億元(約 14 兆 3 千億円)と半年前に比べて 13% 増え、貸出残高の伸び (8%) を上回った。 不良債権比率は平均 1.46% と、19 年末に比べて 0.05 ポイント上昇した。 17 - 19 年は不良債権処理が進展して比率の低下が続いていたが、再び上昇に転じた。

各行の利益を圧迫したのが貸倒引当金の積み増しだ。 最大手の工商銀は前年同期比 27% 増の 1,254 億元(約 1 兆 9千億円)、2 番手の中国建設銀行は 49% 増の 1,115 億元(約 1 兆 7 千億円)の費用を計上した。 建設銀の●(革へんに斤)彦民・最高リスク責任者 (CRO) は「1 - 3 月はコロナの流行をうまく管理できていたが、4 - 6 月に影響が広がり大規模な引当金を積んだ」と説明した。

中国は欧米に先駆けてコロナ対策に成功したが、世界経済の停滞は避けられない。 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「経済の回復力の鈍さから、中国の銀行の資産の質や利益に下押し圧力がかかりやすい」と分析する。 中国銀行保険監督管理委員会によると、地方銀行を含む商業銀行全体の 6 月末の不良債権残高は約 2 兆 7 千億元(約 42 兆円)だった。 1 年前に比べて 5 千億元(約 8 兆円)増えた。 規模の小さな農村商業銀行に限ると、不良債権比率は 4.22% と高水準だ。

ジェフリーズ証券のアナリスト、陳●(おんなへんに朱)瑾氏は「当局は不良債権の定義を厳格化して処理を加速するよう求めている。 20 年下期も不良債権比率の上昇は続きそうだ。」と話す。 米中対立も影を落とす。 7 月に成立した米国の香港自治法は、香港の自治を侵害した人物と取引がある金融機関への制裁を可能にする内容だ。 大手銀行が基軸通貨米ドルの決済から締め出されれば、国際業務に大きな支障が出かねない。

四大銀は中国企業の海外展開に伴い国際業務を拡大させてきた。 預金や社債発行に伴うドル建て負債は 19 年末に約 1 兆 900 億ドル(115 兆円)と 3 年前に比べて 2 割弱増えた。 4 行の中でもっともドル負債が多い中国銀行の林景臻・副行長は米制裁への直接の言及を避けつつ「大国同士の対立の激化や地政学的な緊張の高まりなど国際業務は試練に直面している」と警戒感を示した。 (nikkei = 9-2-20)


「理財商品」で初の元本割れ - 中国巨大市場の変革、避けて通れず

→ 予期せぬ損失と不透明なマーケティングに怒った投資家が銀行を批判
→ 投資家はリスクを公正な割合で引き受けることを学ぶ必要との指摘も

中国の個人投資家は、かつてない状況に見舞われている。 国有銀行が扱う 25 兆元(約 377 兆円)に上る高利回りの投資運用商品の一部で損失が出ているためだ。 当局が本土のウェルスマネジメント市場の変革を後押ししている時期に、ここ 10 年で最悪の中国債売りがぶつかった。 中国人民銀行(中央銀行)からの追加刺激策への期待が後退する中で、国債利回りは今月上昇し、一部の「理財商品」が元本割れとなったことをチャイナウェルス・ドットコムが示している。

口座の理財商品に初めてマイナスが表示された小口投資家の一部は説明を求め、オンライン上に殺到した。 ある消費者保護ウェブサイトによれば、予期せぬ損失と不透明なマーケティングに怒った何百人もの投資家が、それぞれの銀行を批判。 利回り保証があった時代なら、投資家のどんな損失も銀行側が穴埋めしたことだろう。 ほとんどのケースで損失は 1% 未満にとどまっているが、すでに脆弱となっている銀行システムへの預金者の信頼が揺らぐ恐れもある。

当局はここ数年、情報開示の貧しさなどからリスクの高い借り手を標的としている。 そうした借り手の最大の資金調達源となっているのが理財商品であり、こういった金融商品への資金流入が抑制される可能性もある。 交通銀行のウェルスマネジメント部門で社長を務める金旗氏は「理財商品のモデルが NAV (純資産価値)ベースにシフトして、投資家がより頻繁に大きな損失を被る可能性が高まっている」と指摘。 その上で「中国の市場にとって必要な変革の一部であり、投資家はリスクを公正な割合で引き受けることを学ぶ必要がある」と述べた。 (Bloomberg = 6-19-20)


中国シャドーバンキングの重要な一角、デフォルト倍増の恐れ

→ 今年償還を迎える中国の信託商品は総額 82 兆円余りに上る
→ 信託商品のデフォルトは過去最高だった昨年から倍増へ - アナリスト

中国でシャドーバンキング(影の銀行)の重要な一角を担う信託業界が、同国金融システムに衝撃を与える恐れがある。 3 兆ドル(約 320 兆円)規模に膨らんだ同業界だが、新型コロナウイルス感染拡大の打撃で信託商品のデフォルト(債務不履行)が今年は倍増する可能性があるからだ。 今年償還を迎える信託商品は総額 5 兆 4,000 億元(約 82 兆円)に上るが、リアリティ・ファイナンス・リサーチのシニアアナリスト、 シュウ・ジジュン氏(北京在勤)によると、そのうちの約 300 商品がデフォルトに陥る見通し。過去最高だった昨年の 118 商品の倍以上だ。

大きなリスクが迫っていることは先月、影の銀行として特に強気姿勢だった安信信託投資が自社の救済計画に政府が関与しているのを明らかにしたことからも示唆された。 同社救済は「システミックな金融リスク」の誘発を避けるためだという。 南京証券の楊浩アナリストは「信託商品の背後にいるのは、相対的に高リスクの借り手だ」と指摘。 「コーポレートファイナンスで最も脆弱な部分であり、危機が発生した時に最初に傷む部分だ」と述べた。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスは先月、中国信託業界の資産の質は今年、恐らく劣化が続くとの見方を示した。 アジア太平洋担当チーフクレジットオフィサーのマイケル・テイラー氏は、信託会社を傘下に持つ銀行に直接的な影響が及ぶなど、同業界へのストレスが金融システムの他の部分にも波及する恐れがあると述べた。 中国信託協会によると、昨年末時点でリスクがあると認定された信託商品 1,500 本余り。 1 年前の約 870 本から急増した。

信託業界には、さらなる痛みが待ち受けている公算が大きい。 同業界の主要顧客の 1 つは住宅開発業者だったが、新型コロナの感染拡大で今年初めに経済活動が停止した中国では、100 社以上の不動産会社が破産申請した。 2019 年には不動産業界で約 500 社が破たんしていた。 (Bloomberg = 4-15-20)


新型肺炎は「第 2 段階」 中央と地方、ズレ始めた中国

新型コロナウイルスへの対策を急ぐ中国政府が、湖北省を除く地域で感染者の増加ペースが鈍化したとして、新型肺炎との闘いが新たな局面に入りつつあると強調し始めた。 中央は経済活動の再開を促すが、地方は尻込みして思うように進まない。 そんななか、日本政府が中国各地の在留邦人に帰国を検討するよう呼びかけた。 各政府の判断が交錯する情勢に、当惑も広がっている。

「ウイルスとの闘いは、明確に第 2 段階に入った」

11 日夜、中国国営中央テレビのニュース番組の冒頭で、男性アナウンサーはそう宣言し、「これからは身を守りながら仕事もする段階だ」、「次なる闘いをしっかりと勝ち抜こう」と視聴者に呼びかけた。 国営メディアがそう強調するのは、統計上、湖北省以外の感染者の増加幅が 2 月 4 日の 890 人をピークに減り続けているからだ。 国家衛生健康委員会の 12 日の発表でも、中国本土の感染者数は前日から 2015 人増えて 4 万 4,653 人になったが、増加分のうち湖北省が 1,638 人を占め、その他の地域は 377 人にとどまる。

武漢を中心に湖北省全域で敷いた厳しい移動規制が一定の効果を見せている可能性もあり、同委幹部は 11 日の会見で「私たちが早い段階で対策を打ったことの有効性が証明された」と胸を張った。 湖北省以外でも広東、河南、浙江の各省で感染者の累計が 1 千人を超えているが、地元メディアなどは、いずれも武漢が封鎖される前に行き来した人が多かったためと指摘している。 とはいえ、新型ウイルスは感染初期に症状がない例も報告されるだけに潜在的な患者が見えにくく、中国の専門家からも「本当の感染状況が把握できていない」との声が上がる。

感染の勢いが本当に止まりつつあるのかは予断を許さないが、医療態勢が整わず過酷な状況に置かれている武漢市民をはじめ、移動規制などで不自由を強いられている各地の住民の犠牲を考えれば、政府としてはいつまでも守勢でいるわけにもいかない。 湖北省には全国から 2 万人余りの医療関係者を投入するなど重点的な対策を進めつつ、その他の地域では通常の経済活動や暮らしの回復に転じていきたい考えだ。 (北京 = 平井良和)

再開促す政府、慎重な地方当局

湖北省以外で感染の拡大は一定程度、コントロールできている - -。 そんな認識の下、経済へのダメージを抑えたい中央政府は、各地の企業活動を再開させるよう求めているが、地方政府の動きは鈍い。 ホンダは 10 日に予定していた広東省広州市の完成車工場の操業再開を 17 日以降に延期。 地元当局から工場内の感染予防を徹底するよう通知があり、対応する時間が必要になったためだ。 いすゞ自動車は、重慶市が「感染予防対策をした上での再開の申請」を求めてきたため、江西省南昌市の工場とともに再開を 10 日から 17 日以降に延期した。

地方政府が慎重なのは、経済活動を再開させて大量感染を招けば、管理責任を問われかねないためだ。 湖北省などで地方幹部が相次いで処分されていることも影響しているとみられる。 春節の帰省先から多くの労働者が戻ることで感染が広がるとの懸念はなお根強く、上海市は市外から戻った人に、14 日間自宅での経過観察を徹底するよう求めた。 労働者が職場に戻れないために、営業を再開できない企業も相次いでいる。 こうした地方の現状に、中央は焦りを強めている。 中国は今年、貧困人口をゼロにし、国内総生産を 2010 年当時の倍にするという政策上の大目標を背負っているからだ。

中国工業情報化省は 11 日、「工業・通信業の生産回復は差し迫った任務だ」と強調。 国家発展改革委員会も、地方政府が企業に不必要に多くの書類を求めて再開を遅らせないよう求めていた。 それでも足りないとみたのか、中国共産党は 12 日、最高指導部の政治局常務委員会議を開き、習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)が「(地方の)党委員会と政府は、今年の経済・社会の発展目標を実現しなければならない」と発言。 会議は感染対策について「偏った極端なやり方はすぐに正し、生産、生活に与える影響を減らせ」と強調し、経済運営に配慮した形での対策を取るよう念を押した。 (北京 = 福田直之、上海 = 宮嶋加菜子)

「一時帰国」呼びかけに戸惑う駐在員

中国に進出している日系企業にとって、新たな懸念材料も出てきた。 日本の外務省が 12 日、中国にいる在留邦人や中国への渡航を検討している日本人に向けて「早期の一時帰国や中国への渡航延期を至急ご検討ください」とホームページ上で呼びかけた。 6 日時点の「積極的にご検討ください」という表現から強めた。 外務省は、湖北省や浙江省を中心にした中国国内での移動制限や、内外を結んできた航空便の運休や減便などを列挙。 「状況が急激に悪化する可能性」も指摘した。

北京のある日本人駐在員は戸惑う。 「地域の明示もない。 ブレーキをかけ過ぎだ。」 一方で外務省は中国についての「感染症危険情報」のレベルは変えておらず、パナソニックやシャープなど多くの企業は対応を「検討中」としている。 産業機械大手の安川電機(北九州市)は、中国にいる日本人従業員約 60 人をそのまま駐在させる方針だ。 10 日から一部の工場で操業を再開しており、運営に必要な最低限の人員という。 「外務省の示す危険レベルが上がるようなら再度検討したい」と広報担当者は話す。 (楢崎貴司、田幸香純、asahi = 2-13-20)


新型肺炎、中国のデフォルトに拍車 企業財務が悪化し消費関連リスクも連鎖

中国では今年、新型コロナウイルスの影響で多数の企業の財務状況が悪化し、債務不履行(デフォルト)の増加に拍車がかかりそうだ。 世界 2 位の規模を誇る中国の債券市場は、少なくとも 2003 年の重症急性呼吸器症候群 (SARS) 以来の新型ウイルス感染拡大に見舞われ、消費者関連企業のほとんどは事業が破綻しかねない状態に陥っている。

借り入れコスト上昇

新型コロナウイルスの感染が広がる前には、中国の今年のデフォルトは 2 年連続で過去最悪を更新した昨年と同程度になるとみられていた。 だが感染拡大阻止に向け、人々の移動が制限され、企業や工場、小売店舗が数週間にわたり休業を強いられる状況下で、資金繰りが逼迫し、借り手は想定外のストレスにさらされている。 中国で比較的最近、デフォルトに陥ったのは、過剰な生産設備を抱えた製造業者や壮大な野心の下で過度な借り入れをしていた企業だった。 ただ、ここにきて、不動産開発業者やホテル運営者など消費者向けの商品やサービスを扱う企業までもがその仲間入りを果たしかねなくなっている。

BOC インターナショナル・ホールディングス(香港)の呉瓊エグゼクティブディレクターは「たとえ中国政府が発表した景気支援の流動性政策があっても、信用力の劣る民間企業に届く資金はごくわずかだろう。 こうした企業の借り入れコストは上昇しており、借り換えは一段と難しくなる。」と話す。 投資家が社債投資に要求するリスクプレミアムは、1 月半ばに中国政府が新型コロナウイルスの封じ込め策強化に乗り出して以来、急上昇。 本土の高利回り債、投資適格債の国債スプレッドはともに、昨年 11 月以来で最大の水準に拡大した。

株式市場の反応はもっと大きい。 春節(旧正月)の連休延長明けの 3 日には急落し、時価総額にして 7,200 億ドル(約 78 億 8,184 万円)相当が失われた。 翌 4 日は落ち着きを取り戻し、前日の下げの一部を回復する展開だった。

1.7 兆元の償還迫る

デフォルトの発生地域も拡大する可能性がある。 債務不履行が最近増えているのは、中国東部の山東省と東北部の遼寧省だ。 これに、新型コロナウイルス流行の震源である武漢市を首都とする中国中部の湖北省も加わる恐れがある。 山東省は企業同士が債務を保証し合う慣行が一般的で、1 社がトラブルに陥ると連鎖的なデフォルトが起きる。 遼寧省には旧来型の重工業企業が集中している。 この両省に今、デフォルト増大リスクを抱える地域として加わるのが湖北省だ。

ブルームバーグの集計データによれば、中国本土市場で昨年、債務不履行となった債券は 1,376 億元(約 2 兆 1,500 億円)に達した。今年 1 - 3 月期に償還を迎える国内社債は総額 1 兆 7,000 億元で、前年同期の 1 兆 6,000 億元を上回る。 また中国の高利回り債の発行体は今年、オフショア市場で 300 億ドルを償還する。 最も満期が集中する 3 月にはおよそ 49 億ドルが支払期限を迎える。 (Rebecca Choong、Wilkins、Ina Zhou、Bloomberg = 2-10-20)


中国の中小企業、倒産危機 北京有名カラオケ店も破産へ

中国の中小企業に倒産の足音が迫っている。 新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を防ごうと、各地の当局が営業を制限してきたためだ。 10 日に企業活動を再開させる都市が多いが、制限の緩和は地方によってまだら模様で、厳しい営業制限も続きそうだ。 体力の弱い企業には冬を越せない所もありそうだ。

「国の政策で閉店状態が続いており、財務上巨大な圧力を受けている。」 北京市の繁華街に店舗を構える有名カラオケ店が破産手続きに入ると決めたと 8 日、伝えられた。 2 月 9 日付での労働契約の解除を従業員 200 人あまりに通告。 30% 同意がないと清算手続きをとるとしている。 娯楽サービス業は人が集まる場になるため、感染を防ごうとする北京市当局が営業を止めてきた。 苦境は、北京市では 3 人以上での食事が禁じられたと報じられるなど、様々な制限がかかる飲食店も同じだ。

2 万人余りの従業員を抱える中華料理チェーンを各地に展開する西貝餐飲の賈国竜会長は中国メディアに、正常な形での営業再開について「半月は待たないといけない。 2 月中の再開は無いだろう。」と話した。 清華大学と北京大学が 995 社の中小企業に行った 5 日公表の調査によると、手持ちの現金で会社を維持できる時間が「1 カ月以内」とした回答者が 34% で、85% が 3 カ月以下という状況だった。 新型肺炎の 2020 年の営業収入に対する影響は「50% 以上の低下」と答えた企業が 30%、「20 - 50% の低下」は 28% だった。 最も支出でかさむのは、従業員の給料などで全体の 63% を占めた。

こうした苦境に対し、中国人民銀行は企業融資の基準となる最優遇貸出金利 (LPR) を 20 日に引き下げる検討を進めている。 北京市は企業が納める社会保険料の納期を延期したり、政府調達で中小を優先したり、融資の保証料率の引き下げを奨励するといった措置を打ち出した。 だが、通常営業もおぼつかない企業にとって、これらは十分な対策にはならない。 そのうえ、中国政府は企業が賃金や雇用を守るよう通達を出しており、企業の経営をさらに圧迫している。

10 日は企業活動が本格的に再開することになっている都市が多い。 10 日から通常出勤となる北京市の中心部にある北京駅は 9 日、春節休暇で過ごした郷里から帰ってきたマスク姿の人が多く見られた。 2 日の春節終了から時間が経っていることや、鉄道の運行制限などもあって、例年のように大混雑にはなっていなかった。 上海市政府は 8 日、米電気自動車 (EV) メーカーのテスラの工場が 10 日に稼働すると明らかにした。 だが、米アップルの iPhone をつくる鴻海精密工業は広東省深セン市などの工場の停止を続ける可能性があると報道されており、地方によって企業活動を再開させるかどうかは異なる。

感染が日々拡大するなか、地方政府は引き続き感染防止のため企業活動に一定の制限をかけることになりそうだ。 また、春節休暇で過ごした郷里からまだ帰れていない従業員も多数いるとみられ、人手不足から十分に稼働ができない工場や企業も出そうだ。 感染防止のため、10 日以降も自主的にテレワークを続ける企業も出ている。 大手中国企業では春節が明けた 3 日から新型肺炎の最大潜伏期とされる 14 日が過ぎた 17 日に出勤開始を設定しているところが目立つ。 (北京 = 福田直之、asahi = 2-9-20)


中国企業、10 日から活動再開 労働者戻らず影響確実

新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中国では 10 日、感染が深刻な湖北省などを除く多くの地域で、春節休暇や肺炎の問題を受けて止まっていた企業活動が再開される。 ただ、公共交通の運休など移動制限が強化されていることもあり、地方に帰省している労働者らの職場復帰が大幅に遅れている。 商店やレストランの営業再開の延期や工場の減産といった影響が出るのは確実な状況だ。

北京や上海、広東省などでは、1 月 24 日に始まった春節の連休が明けた後も、今月 9 日まで企業活動の停止が地元当局から指示されている。 大半の企業は、10 日から業務を再開する見通しだ。 だが、航空便の減少や鉄道・長距離バスなどで続く運休のため、多くの労働者が都市部に戻れていない。 感染のリスクが高まる人混みを避け、移動を見合わせている労働者も少なくないとされる。

労働者の不足に加え、マスクや消毒液が品薄になっていることも、企業活動の障害となっている。 地域によっては、地元当局が各企業のマスクの在庫などの防疫態勢について立ち入り検査をしており、当局の許可なしには業務を再開できないという。 中国にある日系自動車メーカーは、操業再開を 10 日以降に先延ばしする予定だ。 トヨタ自動車は全 4 工場の操業を 16 日まで止め、再開は 17 日以降だという。 ホンダも湖北省武漢市の工場を 17 日以降に再開するとしている。

約 2 千の日系企業が進出する広東省でも影響が広がっている。 日本貿易振興機構 (JETRO) 広州事務所の清水顕司所長は「10 日に通常通り業務を再開できる日系企業は半分以下ではないか。 企業側は当面、感染状況を見極めながら、活動をじわりと再開することになるだろう。」と話す。 (香港 = 益満雄一郎、asahi = 2-9-20)


iPhone 工場も動かず 停滞中国経済、影響は世界に

中国発の新型肺炎が株価を揺さぶり、実体経済もむしばんでいる。 春節が明けても中国の経済活動は停滞し、正常化の時期は見通せない。 影響は日本を含めたアジアに強く出そうだ。

幅広い企業、営業・生産できず

春節休み明けの 3 日、上海にあるみずほ銀行の拠点は営業を再開したが、出勤した社員は電話で取引先企業の相談などを受け付けただけ。 中国国内のほとんどの都市では、地元政府の意向に沿って、製造業やサービス業などの幅広い企業が活動を再開できずにいる。 今後の感染の拡大しだいでは、営業や生産の停止は、各地が設定した 9 日を越えて長引く恐れもある。

上海から西に 50 キロ。 精密工場が密集する江蘇省昆山市の経済開発区は 3 日も静けさに包まれていた。 江蘇省政府は生活必需品以外の工場の操業開始を 10 日以降に延期する指示を出しており、ほとんどの工場が操業を止めている。 米アップルのスマートフォン「iPhone」を生産する工場では、広大な敷地内の道路を歩く人はいなかった。 工場入り口には防護服姿の係員が立ち、出入りをチェックしていた。

工場近くを歩いていた男性従業員は「いつから再開されるか、正式な連絡はまだ来ていない。 何もすることがないから寮でスマートフォンを見ている。」と話した。 中国人民銀行など 5 官庁は 30 カ条にのぼる新型肺炎予防と抑制に向けた金融支援強化策を 1 日に打ち出した。 金融機関に対し、感染の予防や肺炎の影響を強く受ける分野への融資強化を求め、中小企業への貸しはがし、貸し渋りをしないよう指導する。 だが、世界 2 位の巨大な経済を、政策で支えきれるかは不透明だ。

中国国内で手広くレストランを展開する西貝餐飲は、2 万人の従業員を抱えながらも一部の出前を除いて営業が基本的に止まった。 営業停止が長期化した場合の状況を中国メディアに問われた賈国竜会長は「たとえ借金をして賃金を払ったとしても 3 カ月は持たない」と悲痛な声を上げる。 中国は 17 年前に重症急性呼吸器症候群 (SARS) を経験。 2003 年 4 - 6 月期の前年比の成長率は同年 1 - 3 月から 2.0 ポイント低下した。

新型肺炎の影響を受けた 20 年 1 - 3 月期の成長率については中国政府のシンクタンク・中国社会科学院の研究員でさえ、「5.0% 前後だろうが、それ以下も排除しない。」 19 年 10 - 12 月期よりも 1.0 ポイント落ち込むとの予測だ。 中国の動向は世界経済を左右する。 例えば iPhone は、ほとんどが中国国内で組み立てられ、世界中に出荷される。 工場の停止が長引けば、部品を納入する日本などの企業にも影響が及ぶのは避けられない。

iPhone 用液晶パネルを生産するシャープの広報は「これからの状況を見守るしかない。」 2019 年 4 - 12 月期決算が赤字になった三菱自動車の池谷光司副社長は中国国内での生産について「必要な代替生産も含めて対応したい」と話す。 国際通貨基金のライス報道官は 1 月 30 日、新型肺炎による影響について記者団に「中国との密接な関係を考えると、アジアが最も影響を受ける可能性が高い」と述べた。 (宮嶋加菜子 = 昆山、箱谷真司、福田直之 = 北京)

訪日客頼み 苦しむ観光地・百貨店

中国からの訪日客を頼りにしてきた日本国内の観光業界は厳しい。 日本旅行業協会の調査によると、中国人団体客の 3 月末までのキャンセルは少なくとも約 40 万人にのぼったもよう。 個人客やビジネス客を含めると、さらに多くなるという。 東京と関西を結ぶ「ゴールデンルート」の間にある静岡県は、外国人観光客に占める中国人の割合が約 6 割。 県観光協会の調べではすでに 1,800 人以上のキャンセルが出た。

浜松市の舘山寺(かんざんじ)温泉のある旅館では、2 - 3 月の中国人団体客の予約がゼロになった。 女性従業員は「中国人客がようやく定着してきた矢先にこんなことになるなんて」と肩を落とす。 国内の百貨店の春節商戦は厳しい結果だった。 大手百貨店 3 社の中国人客の売り上げは訪日外国人客全体の約 8 割。 「頼みの綱」が細り、今年の春節期間中の訪日客の売上高は 3 社とも前年割れとなった。 中でも高島屋は前年の 14.7% 減だった。 1 月 29 日以降の減少幅は 3 - 4 割に広がっているという。

観光庁によると、2019 年に中国人訪日客が国内で消費した額は 1 兆 7,718 億円。 SMBC 日興証券の試算では、中国による団体旅行の禁止が 6 カ月間続いた場合、旅行客の支出は約 2,950 億円減り、日本の国内総生産 (GDP) を約 0.05% 押し下げるという。 日本国内の消費の縮小が訪日客だけでは済まない恐れもある。 「感染拡大の長期化で、日本人客が外出を控える可能性もある」と、ある百貨店の関係者。 こうした現象は、観光など他の分野でも起きかねない。 (高橋尚之、中島嘉克、asahi = 2-4-20)

「世界成長率、3% 割れも」 大和総研シニアエコノミスト・小林俊介氏

2002 - 03 年の重症急性呼吸器症候群 (SARS) の時と同じように影響が半年ほど続くとすると、中国国内で工場が操業を停止し、消費も減ることで、世界の GDP (国内総生産)が数十兆円ほど下押しされてもおかしくない。 各国際機関は、世界経済の 20 年の成長率を 3% 台前半 - 半ばと予想しているが、3% 割れもあり得る。 人の流れが止まることでサービス業を中心に影響が出るのは確かだが、工場停止や雇用が失われるインパクトも見逃してはならない。

去年 9 月以降、米中関係が改善するなどし市場関係者の間では 20 年は世界経済が回復するという見通しが強まっていたが、後ずれは避けられない。 全容が見えるまでは株価も上昇のきっかけをつかみづらいだろう。 ただ、新型肺炎の影響だけで世界経済の成長が止まるとは考え難い。 リーマン・ショック時のような連鎖的破綻も想定されず、現時点で景気後退リスクを見込むのは悲観的過ぎる。 (聞き手・笠井哲也)

「2 万円割れ、想定しがたい」 みずほ証券マーケットエコノミスト・稲垣真太郎氏

中国の一部地域では企業の活動が制限され始めている。 中国とサプライチェーン(供給網)が密接な自動車や半導体関連の日本企業は、業績の落ち込みが懸念される。 日本銀行の金融緩和の判断に影響する可能性もあるが、日銀が米連邦準備制度理事会 (FRB) より早く対応に踏み切るとは考えにくい。 (新型肺炎の影響が長引けば)米ドルや円を買う動きが強まると考えられるが、日本より米国の方が肺炎の直接的な影響が少なく、あまり円高に向かわないと想定されるからだ。

ドル円相場は、3 月末時点でも 1 ドル = 107 円とみる。 日経平均株価の動きは、3 月末で 2 万 4 千円から 2 万 1 千円ぐらいと考える。 世界的に株が強い流れなので、2 万円割れは想定しがたい。 (聞き手・箱谷真司)