中国の地方公務員「半年給料ない」 不動産不況で財政悪化

中国では不動産不況が深刻化し、中国恒大集団など大手企業が相次いで経営危機に陥っている。 不動産関連産業は国内総生産 (GDP) の 3 分の 1 を生み出しており、その不況は中国経済全体を揺るがしている。 「我々は 6 カ月給料がない。 動物のエサは尽きた。 間もなく飢え死にする。」 遼寧省瓦房店市の市営公園で 9 月、動物を展示するおりにそんな紙が貼られ、SNS で話題を呼んだ。 飼育員が窮状を訴える内容で、現地を訪れて話を聞くと、給料を半年受け取っていないと認めた。

こうした公務員への給料未払いは、多くの都市で起きている。 理由は地方政府の財政難だ。 中国では土地のほとんどが国有地で、管理する地方政府が不動産会社などに土地の使用権を売ることで開発が進む。 使用権の売却収入は、地方政府の収入の約 4 割を占めてきた。 だが不動産不況でそうした収入が大きく減り、公務員の雇用や賃金に影響が出ている。 (遼寧省瓦房店 = 西山明宏、asahi = 12-4-23)


中国シャドーバンキング大手、5.4 兆円不足 - 「深刻な支払い不能状態」

経営難にあえぐ中国の巨大シャドーバンキング(影の銀行)グループ、中植企業集団は、364 億ドル(約 5 兆 4,000 億円)の資金が不足し「深刻な支払い不能状態」にあると投資家に説明した。 資金繰りにいかに窮しているかが示唆される。 中植は投資家に送付した 22 日付の書簡で、流動性が枯渇し、資産売却で回収可能な額も少ない見通しだと明らかにした。 ブルームバーグ・ニュースはこの書簡を確認した。

中植は傘下企業が組成した高利回りの信託商品で支払いが履行されず、8 月に懸念が表面化。 同社の資金難は、不動産危機と景気低迷に取り組む当局者の課題をいっそう困難にしている。 北京を拠点とするチャイナ・ビジョン・キャピタルの創業者、孫建波氏は「政府が支援に介入せざるを得ず、オープンで公正なアプローチによって資産売却が行われることを確実にするだろう」と述べた。 不良資産は一般的に 7 割のディスカウントで売却されると指摘した上で、「投資家にとって、極めて高くついたレッスンだ」と語った。

この書簡によると、中植の負債総額は 4,200 億 - 4,600 億元(8 兆 8,000 億 - 9 兆 6,000 億円)に上ることが会計監査で判明。 これに対し、資産は 2,000 億元しかないという。 同社は創業者の解直?氏が 2021 年に死去し、幹部が相次ぎ退社したため内部管理がうまくいかなくなったと書簡で指摘。 「自己救済」のこれまでの取り組みも期待通りの成果には結びつかなかったと説明した。 中植はコメントの要請に応じなかった。 同社はこれまでに、長期化が見込まれる再建プロセスを実行するため KPMG を起用した。

中植の経営難は、富裕層の個人に影響が及ぶ公算が大きい。 同社のようなシャドーバンキングは緩い規制しか受けず、個人の資金を集めて融資を提供したり不動産、株式、債券、商品などに投資したりしている。 中植とその傘下企業はここ数年、競合の信託がリスク縮小に動く中でも、問題のあるデベロッパーに対して融資を拡大し、中国恒大集団などの企業から資産を買いあさっていた。 (Bloomberg = 11-24-23)


中国不動産会社への無担保融資容認、「危険な動き」 - JP モルガン

中国当局が要件を満たす不動産開発会社に対し、銀行による無担保融資容認を検討とブルームバーグ・ニュースが伝えたことについて、銀行にとって「危険な動きになりかねない」と JP モルガン・セキュリティーズが警告した。 JP モルガンのアナリスト、キャサリン・レイ氏やカール・チャン氏らは「中期的に国家サービスのリスク、および信用リスクを巡る懸念を引き起こし、金融機関にとってマイナスになるのではないか。 信用リスク不安を理由に銀行がその種のガイダンスを迂回する恐れもあり、実行は困難を伴うだろう。」と指摘した。 (John Cheng、Bloomberg = 11-24-23)


中国が苦境の不動産開発大手を支援へ、適格リストに碧桂園 - 関係者

中国はさまざまな資金調達支援の対象とする不動産開発会社 50 社のリストに碧桂園や遠洋集団を加えている。 事情に詳しい関係者が明らかにした。 政府が厳しい資金繰り難にあえぐデベロッパーの一部を支える方向に軸足を移しつつあることが示唆される。 債務支払いを怠った旭輝控股(集団)も策定中の支援適格リストに含まれている。 監督当局が数日中にリストを完成させ、銀行など金融機関に配布する予定。 非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。

ブルームバーグは先に、中国が融資や債券、エクイティーファイナンスを通じた不動産業界支援を検討するため、金融機関の指針となるリストを策定していると報道。 資金調達の範囲や、債権者や株主への長期的な影響はまだ明らかになっていない。 先月初めてドル建て債の支払いが滞った碧桂園のような苦境に陥っているデベロッパーが支援適格リストに含まれたことは、不動産危機が深まるにつれ、国内最大級の開発会社に対する当局のスタンスが変化していることを強く示している。

中国の習近平国家主席はインフラ投資のために国債を増発し、国内総生産 (GDP) に対する財政赤字比率を引き上げ、さらには中国人民銀行(中央銀行)を自ら訪問するという前例のない行動に出るなど、より広範な景気浮揚のシグナルを発している。 碧桂園と遠洋、旭輝、住宅都市農村建設省にコメントを求めたが、すぐに返答はなかった。 (Bloomberg = 11-22-23)

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碧桂園の買収は危険、中国平安株急落が告げる - 当局の尻拭い要請警戒

中国平安保険(集団)が株式市場で 55 億ドル(約 8,300 億円)相当の売りを浴びたことは、資金繰り難にあえぐ不動産開発会社の碧桂園を救済買収しようとすれば、平安保険にとっても中国の金融システムにとっても大きなリスクをはらんでいることを示している。 平安保険は中国当局から碧桂園を買収するよう要請を受けたというロイターが 8 日に報じた内容を繰り返し否定。 アナリストらは買収が実現する公算は小さいとみている。

中国、平安保険に碧桂園の経営権取得を要請との報道 - 平安は否定

だが、救済の可能性がわずかでもあるというだけで、平安保険の株価は 8、9 両日に合わせて 7% 近く急落し、1 年ぶりの安値水準となった。 両社の合併は解決するよりも多くの問題を引き起こす恐れがあると、市場の反応があらためて告げている。 このような買収は、結果として平安保険の財務健全性に疑念を投げかけ、中国全土で総資産 11 兆元(約 228 兆円)と個人顧客 2 億 2,700 万人を持つ保険会社に対する信頼を崩壊させかねない可能性を生む。

中国における過去の大会社や問題企業の買収は、損失が雪だるま式に膨らむ事態に備え、国有企業が政府の強力なバックアップを受けて主導する傾向があった。 平安保険は不動産開発投資を手がける華夏幸福への投資で 2021 年利益のうち約 240 億元が吹き飛んでおり、慎重になる理由がある。 深セン私享の李学通ファンドマネジャーは「華夏幸福への投資で財務を大きく悪化させた平安保険が、再び混乱の尻拭いを要求されるのではないかと投資家は懸念している」と述べた。

中国平安保険、碧桂園株は売却済みで買収の計画ない - 関係者

事情に詳しい関係者は先に、平安保険は碧桂園の持ち株を全て売却済みで、同社を買収する計画はないと説明。 野村証券の唐聖波氏らアナリストはリポートで、「すでに碧桂園株のポジションを縮小していることを考えると、平安保険には碧桂園を買収する義務も意向もないのかもしれない」と指摘。 平安保険は「不動産への全体的なエクスポージャーを抑制しており、華夏幸福への投資から教訓を得たことを示している」との見方も示した。 (Bloomberg = 11-10-23)

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中国不動産最大手の碧桂園で「デフォルト」、国際的な金融団体が判断

経営危機に陥っている中国不動産最大手の碧桂園について、世界の主要な金融機関で構成する「クレジットデリバティブ決定委員会」は 26 日、ドル建て社債で債務不履行(デフォルト)が生じたとの判断を示した。 デフォルトしたと認定したのは、碧桂園が 9 月 17 日までに支払うべきだったドル建て社債の利息 1,540 万ドル(約 23 億円)。 猶予期限の 10 月 18 日を超えても支払えなかったと複数のメディアが報じていた。 米ブルームバーグ通信は 25 日、このドル建て社債について、事務手続きを担う金融機関シティコープ・インターナショナルが債権者に「デフォルトに該当する」と通知したと報じていた。 (北京 = 西山明宏、asahi = 10-27-23)

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中国不動産大手の碧桂園、遅れた利払い完了か 資金繰りは依然厳しく

複数の中国メディアは 5 日、経営危機にある中国不動産最大手の碧桂園について、支払いが遅れていたドル建て社債 2 本の利息計 2,250 万ドル(約 33 億円)を支払ったと報じた。 同日が猶予期限だった。 目前の債務不履行(デフォルト)の危機は乗り切ったが、資金繰りは依然厳しい。 ロイター通信によると、碧桂園は 8 月 6 日が期限だった社債の利払いをできなかった。 その後 30 日間の猶予期間中に支払う必要があり、5 日がその期限とみられていた。 米ブルームバーグ通信は 3 日、やはり期限が迫っていたマレーシア・リンギ建ての社債の利払いも済ませたと報じた。

碧桂園は社債の元本の償還期限を延期することも進めている。 中国メディアなどによると、今月期限が来た人民元建ての社債 39 億元(約 785 億円)について、償還を 3 年間延期することで債権者の同意を得た。 経済メディア「第一財経」によると、別の複数の社債についても支払いの延期を債権者に求めている。

碧桂園は 2022 年の中国での不動産販売額がトップだった。 同業大手で 21 年に経営悪化が表面化した中国恒大集団などに比べ、財務は健全だと考えられてきた。 だが 23 年 1 - 6 月期は、不動産市況の悪化に伴い、保有する土地や開発物件などの評価額で多額の損失を計上。 純損益は 489 億元(約 9,800 億円)の赤字だった。 碧桂園の開発物件の数は恒大より多く、デフォルトに陥った場合の影響は恒大を超えるとの見方がある。 (北京 = 西山明宏、asahi = 9-5-23)

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デフォルトの瀬戸際に追い込まれる中国不動産大手の碧桂園 恒大は理財商品がデフォルト

経営危機に陥っている中国の大手不動産デベロッパーの碧桂園(カントリー・ガーデン)は、社債の返済時期を遅らせるなどの債務再編(債務リストラ)交渉の延期を繰り返している。 同社初となる債務不履行(デフォルト)の回避に向け、瀬戸際の対応を続けているのである。 同社は 39 億元(5 億 3,730 万ドル)の人民元建て社債の返済を巡る幾つかの提案について、8 月 31 日を社債の保有者による投票期限としていたが、その期限を 9 月 1 日の現地時間夜 10 時に延期した。 延期はこれで 2 回目となる。

この 39 億元の人民元建て社債は、9 月 4 日に事実上の償還期限を迎える。 償還のための資金確保に苦慮する碧桂園は、支払期限を 3 年延長する提案をしている。 また、40 日間の支払い猶予も提案している。 一部の社債保有者からは、満期での全額返済を求める提案も出されており、多くの提案が採決にかけられる。 また、その人民元建て債の 10.5% を保有している投資家グループは、碧桂園が正式にデフォルトを宣言する提案をしている。 デフォルトを宣言することで、債権者に対する部分的な返済に向けた交渉を前に進める狙いがあるのだろう。

碧桂園はデフォルト格付けまであとワンノッチ

デフォルト宣言提案が出されるきっかけとなったのは、碧桂園の大幅赤字決算の発表と、大手格付会社による格下げである。 碧桂園が 8 月 30 日に公表した 2023 年 1 - 6 月期の決算で、純損益は 489 億元(約 9,800 億円)の赤字だった。 前年同期である 2022 年上期の 6 億 1,200 万元の黒字、2022 年下期の 67 億元の損失と比べ、損失額は急速に拡大している。 保有する不動産価格の下落による評価損拡大の影響が大きい。

碧桂園はこの決算資料で、「重要な不確実性」によって、企業の存続に疑義が生じるとデフォルトのリスクを指摘している。 さらにこの決算を受けて、米格付大手ムーディーズは 8 月 31 日に、碧桂園の信用格付けを、投機的とされる「Caa1」から、さらに 3 段階引き下げて、デフォルトに近い「Ca」とした。 また、先行きについても、引き下げの可能性のある「ネガティブ」とし、さらに 1 段階下で、デフォルトに陥っているとされる最低評価の「C」にまで格下げする可能性を示唆した。 碧桂園は、まさにデフォルトの瀬戸際まで追い込まれている。 また、碧桂園は、8 月上旬に 2 つのドル建て債の利払いをできなかった。 現在は 30 日の猶予期間中であるが、猶予期間の終了日である 9 月 5 日あるいは 9 月 6 日には、ドル建て社債のデフォルトが確定する可能性もある。

恒大の理財商品がデフォルト

他方、恒大集団は 8 月 31 日に、手元資金不足のため 8 月の理財商品(投資信託の一種である資産運用商品)の支払いができなかった、と投資家に通告した。 不動産価格下落の影響もあり、資産処分が進捗していないことが深刻な資金不足を生んでいる。 2021 年にも恒大は、400 億元(約 8,020 億円)相当の理財商品の償還ができず、全国規模の抗議行動が巻き起こった。 同社は 8 月末に予定していたドル建て、香港ドル建て債の再編を巡る債権者との会合を延期している。 長引く経営再建プロセスの先行きは、さらに不透明となってきた。

深まる中国シャドーバンキング(影の銀行)の問題

中国の不動産不況は、金融セクターに波及し始めている。 現在、その中心にあるのが、銀行ではない金融機関・商品、「シャドーバンキング(影の銀行)」である。 中国最大級の資産運用会社の一つである中植企業集団の傘下にある、信託会社・中融が組成した高利回りの信託商品でデフォルトが生じたと、顧客 3 社が 8 月 11 日に明らかにした。 中融は中国で 9 番目に大きな信託会社である。 そして、今回恒大は再び理財商品のデフォルトを起こした。 より一般国民に浸透している、いわば本丸の理財商品にも不動産不況の影響が再び及んできているのである。 こうしたシャドーバンキングの問題は、資金ひっ迫傾向を助長し、それが経済や不動産市場のさらなる悪化をもたらすという悪循環を生みやすい。

2021 年の恒大問題の表面化から 2 年以上が経過し、不動産市場は再び悪化の度を強めている。 中国経済は 2 年前と比べても脆弱性を高めており、不動産分野の問題は、中国経済と金融分野により大きな影響を与える可能性が高まっている。 (NRI = 9-1-23)

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中国「隠れ負債」 1,800 兆円の驚愕試算 地方政府が不動産開発に過剰投資
救済策も "焼け石に水" 金融危機に発展も

中国恒大集団が米連邦破産法15条の適用を申請したことをきっかけに、中国の「不動産バブル崩壊」への懸念が改めて広がっている。 特に問題視されるのが不動産開発などに資金を投じてきた地方政府の "隠れ負債" だ。 負債総額は「約 1,800 兆円」との試算もあり、金融危機に発展するリスクがくすぶっている。 中国の地方政府は独自で債券を発行することを禁じられていたため、傘下の「融資平台 (LGFV)」と呼ばれる投資会社を通じて不動産開発や道路、ダムなどのインフラ整備を行ってきた。 だが、過剰投資により不動産市況は悪化。 地方政府のバランスシート(貸借対照表)上に出てこない債務が膨らんでいると指摘されている。

国際通貨基金 (IMF) は、融資平台の負債総額を 66 兆人民元(約 1,320 兆円)と推計。 英紙フィナンシャル・タイムズは米ゴールドマン・サックスの試算として、融資平台を含む地方政府の負債総額が 94 兆人民元(約 1,880 兆円)と報じた。 中国の 2022 年の国内総生産 (GDP) の 121 兆人民元(約 2,420 兆円)の 8 割近くに相当する巨額だ。 (ZakZak = 8-21-23)

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中国不動産「碧桂園」赤字 1 兆円 … 社債利払いできず、デフォルトなら恒大集団より影響深刻か

【北京 = 山下福太郎】 中国の不動産開発大手「碧桂園」は 10 日、2023 年 1 - 6 月期の最終利益が 450 億 - 550 億元(約 9,000 億 - 約 1 兆 1,000 億円)の赤字になるとの見通しを発表した。 景気減速に伴うマンション販売の減少が主因で、中国恒大集団に続き不動産大手の経営危機が表面化した。 碧桂園の 22 年 1 - 6 月期の最終利益は 19.1 億元の黒字だった。 最終赤字転落はこの 1 年間の不動産市況の悪化が直撃したことを示す。 1 - 7 月の販売額は 1,408 億元で、前年同期に比べ 35% 減、21 年同期比では 61% 減と大きく落ち込んだ。

ロイター通信によると、碧桂園は米ドル建て社債 2,250 万ドルの利払いを 8 月 6 日の期日までにできず、資金繰りが大幅に悪化。 今後も大規模な社債の償還や利払いが予定され、仮にデフォルト(債務不履行)に陥れば、金融機関や債権者への影響は恒大集団よりも深刻になるとの見方がある。 碧桂園は 10 日、「様々な負債管理策を検討する」とのコメントを出した。 中国メディアによると、不動産大手「大連万達集団」では上級副社長ら幹部が当局に連行された。 巨額の債務を抱える同社の経営再建への影響も懸念され、不動産業界の混乱は今後も拡大する可能性がある。 (yomiuri = 8-12-23)

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中国の碧桂園、年内に計 4,000 億円超の社債元利払いに直面 - 資金繰り難

中国の不動産開発大手で、資金繰り難にある碧桂園は年内に計 29 億ドル(約 4,140 億円)相当の社債元利払いなどに直面する。 期限までに支払いを履行し、デフォルト(債務不履行)を回避できるか試されている。 12 月まで社債の償還期限が毎月到来する碧桂園は支払いを履行できないのではないかとの懸念から、この数週間は社債が大幅に値下がりしている。 同社は一部の債権者に対し、8 月 1 日償還の人民元建て債(表面利率 4.5%)の送金を通知したが、より広範な資金繰り問題や低調な決算を受けて、存続を巡る疑念は今後も残る見通しだ。 また、碧桂園は 23 億 4,000 万香港ドル(約 430 億円)規模の増資計画を取りやめたと IFR は報じた。

販売額で中国 6 位の不動産開発企業である碧桂園が不履行となれば、市場には新たな衝撃がもたらされそうだ。  新築住宅価格は下落に転じているほか、開発会社のデフォルトも増加し、同セクターの深刻な不振が浮き彫りとなっており、中国当局による迅速な対応の必要性がさらに高まっている。 ルクロー・アナリティクスのシニアクレジットアナリスト、レナード・ロー氏は「政府が直ちに企業レベルで資金繰りを支援する対策を講じなければ、碧桂園は高いデフォルトリスクにさらされる」と分析。 「碧桂園が生き残れるかどうかは政策次第だ。 現時点ではこうした支援の実現が不透明だ。」と述べた。 (Pearl Liu、Qingqi She、Bloomberg = 8-1-23)

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中国不動産開発最大手の碧桂園、2007 年の上場以来初の赤字

中国最大の不動産開発会社である碧桂園は、2007 年の香港上場以来、初の通期赤字を計上した。  2022 年通期の純損益は約 61 億元(約 1,170 億円)の赤字。 前年は 270 億元の黒字だった。 同社は今月に入り、今回の赤字を警告していた。 売上高は 4,300 億元と、ブルームバーグがまとめた市場予想(4,270 億元)とほぼ一致した。 今回の決算は、中国の不動産セクターの低迷が、これまでデフォルト(債務不履行)を回避してきた強力な民間建設業者の重しとなっていることを浮き彫りにしている。 中国の国内総生産 (GDP) の約 4 分の 1 を占める不動産業界で、碧桂園はかつて比較的安全な投資先とされていたが、今では財務問題拡大の代名詞となっている。 (Bloomberg = 3-30-23)


中国の万達、社債 6 億ドルの償還延期探る - 流動性逼迫で資金繰り悪化

中国のコングロマリット、大連万達集団の主要部門がドル建て債 6 億ドル(約 885 億円)の償還先送りを求めている。 流動性逼迫が同社の資金繰りを悪化させている。 万達地産国際はドル建て債(表面利率 7.25%)の償還期限を 1 年近く延長し、来年 12 月 29 日とすることを求めている。 香港取引所に 21 日届け出た。 事情に詳しい関係者によれば、元本の 10% を来年 1 月、20% を 5 月、30% を 9 月、残りは期日到来時に支払う提案をしているという。

この社債を保証している大連万達商業管理集団は、「国際資本市場での新規資金調達や既存債務の借り換えでグループが困難に直面している」とコメントした。 商業用不動産と限定的な不動産管理事業を重視していた万達はかつて、投資不適格(ジャンク)債市場では数少ない優良な中国発行体と見られていた。 この日の届け出は、年末までに返済期限を迎える 300 億元(約 6,200 億円)の元利支払いを延期するというショッピングモール部門の提案を投資家が拒否した後に出された。 (Dorothy Ma、Bloomberg = 11-21-23)


中国不動産 2 位の万科、ドル建て債が記録的急落 - 業界巡り懸念広がる

中国の不動産開発大手、万科企業のドル建て債が 26 日午後の取引で急落し、一部の銘柄は過去最大の値下がりとなりそうだ。 中国不動産業界を巡る懸念がいっそう広がっている。 同社の 2024 年 3 月償還債は額面 1 ドルに対し 7.5 セント下落し 84 セント、25 年償還債(表面利率 3.15%)は同 9 セント安の 59.2 セントと、このまま引ければいずれも 1日の下げ幅として過去最大となる。

アジアの投資適格級ドル建て債に関するブルームバーグ指数を構成する発行体の今年のパフォーマンスを見ると、万科は同業の龍湖集団に次いで 2 番目に悪い。 2 社の年初来下落率は 25 日時点で 30% を超えていた。 フィッチ・レーティングは先週、万科と保利発展の格付けを 1 段階下げ「BBB」とし、両社の高い債務水準を指摘した。 今年の売上高では保利が中国不動産開発会社として首位、万科は 2 位に付けている。 (Alice Huang、Bloomberg = 10-26-23)


「覆轍を踏むことはない」と中国メディア、日本の失われた 30 年と中国の未来

日本の「失われた 30 年」と中国の未来を比較して中国メディアは「覆轍を踏むことはない」と断じた。 覆轍は先人の失敗を指すことわざ。 その理由としては「日本が通ってきた道は確かに中国にとって参考になる」としながらも、「中日の最大の違いは未来に対する自信の違いだ」との見方を示した。

中国網が紹介した「人民中国インターネット版」の記事は「一部の日本経済を理解している人々は日本の 30 年来の事例を使って、デフレやバランスシート不況について語り始め、少子高齢化の問題においても中日比較を行っている」と前置き。 「国外の一部の中国経済を理解している人々はピークチャイナについて語り始め、もともと勢力をふるっていた中国脅威論はあっという間に中国崩壊論に変わった。 実際、中日は隣国で経済発展の過程で比較できる内容はもちろんたくさんある。 だが、比較できない部分もまた数多くある。」と述べた。

日本の「失われた 30 年」については「バブル経済の崩壊やバランスシート不況のせいなのだろうか。 それとも少子高齢化の必然的な結果なのだろうか。」と指摘。 「失われた 30 年において、日本では通信技術 (IT) の革命が起こらず、日本で誕生した IT プラットフォームは日本の外に出られなかった。 言い換えれば、日本には社会に変化をもたらす技術革新が欠けていて、これが日本の経済問題の解決を特に難しくしたということだ。」と分析した。

さらに「失われた 30 年は日本の特殊な状況であると言うべきだろう。 金融的手段で促進された株バブルや不動産バブルが崩壊した後は、単に金融面の問題を解決するだけで経済を回復できるのだろうか。」と言及。 「日本の大規模な量的緩和の金融政策が経済成長をもたらさなかったのは、日本の技術革新に問題があったからだ。 未来を展望すると、技術革新も設備投資もなければ、日本の長期的な不景気の問題は依然として解決が難しいだろう。」とした。

これに対し、中国経済が直面している問題に関しては「発展モデルの変化の後、経済がある段階からある段階へと向上する過程で、一時的に『踊り場』で止まるときに遭遇する特殊な問題であるはずだ」と説明。 「中国の大学研究員、国有および民間企業の技術者は論文の数、特許の数で米国を抜きつつあり、一部の分野では世界のトップにある。 中国の科学研究と製造能力は密接に関係しており、市場は十分に大きく、資本は絶対的に余裕があり、科学技術の成果を市場の商品に転化することにおいて、中国の力は同様に強大」と主張した。

その上で記事は「中日の最大の違いは未来に対する自信の違いだ」と強調。 「『方法はいつも問題より多い』。 このような言い方を中国の多くの場面でよく聞くが、日本では聞かない。」として、「新たな角度から中国あるいは中日経済を分析すれば、結果は大きく異なるのかもしれない。」と論じた。 (日向、Record China = 8-21-23)


中国不動産危機、民間から政府系に波及か - 国有開発業者が赤字警告

中国の国有不動産開発業者が広範な損失について警告しており、住宅危機が民間部門から政府系企業に拡大しつつあるとの懸念に拍車をかけている。 ブルームバーグが各社の届け出を基に集計したところでは、香港と中国本土に上場している国有開発業者 38 社のうち 18 社が上期(1 - 6 月)の赤字を暫定報告。 赤字企業は 2022 年通年の 11 社から増加した。 政府が経営権を握るか主要株主の 2 年前に赤字を計上したのは 4 社だけだった。

2 年にわたる住宅不況は中国経済を弱体化させ、民間不動産開発業者の何十件ものデフォルト(債務不履行)の引き金となった。 次は碧桂園かもしれないとの観測も広がっており、国有企業も影響は避けられないことが損失警告から読み取れる。 また、未完成プロジェクトを引き継ぎ、住宅購入者への引き渡しを確実にすることで市場を支える国有企業の能力も低下している。 クレジットサイツ・シンガポールのシニアクレジットアナリスト、ツェリーナ・ツェン氏は「中国不動産部門の減速で、政府系の大手企業を含む全ての開発業者は既に打撃を受けている。 下期(7 - 12 月)に状況が大きく改善するとは予想していない。」と述べた。

ブルームバーグ・インテリジェンス (BI) のクレジットアナリスト、アンドルー・チャン氏によれば、国有開発業者にとって今回の赤字警告は必ずしも悲観的なだけではない。 同氏は、こうした企業が価値の低下を反映させるために在庫の評価損を計上するのは当然と指摘。 「重要なのは、銀行から流動性支援を引き続き受けられるかどうかだ。 中小の国有開発業者については、ケース・バイ・ケースだろう。」との見方を示した。

ただ赤字となれば、デフォルトに陥った民間企業が残した未完成プロジェクトを引き継ぐ余地が狭まり、住宅購入者のセンチメントはさらに冷え込むだろう。 習近平政権が直接救済には消極的な中で、中国当局は資産売却が債務危機を緩和するための重要な措置だと考えている。 クレジットサイツのツェン氏は「セクター再編にはとにかく時間がかかる。 特に不動産不況期には、国有企業や資産管理会社など買い手はより良いバリュエーションを求め、売り手は大幅なディスカウントでは売りたがらない」と語った。 (Bloomberg = 8-18-23)


建設ストップ続出 天津には "放置ビル" 中国の不動産市場に異変

中国の高度成長を支えてきた不動産市場に異変が起きています。 業者の資金繰りが悪化し、建築が止まるビルが続出。 天津市では超高層ビルの建設がストップし、放置されています。 天津市の開発区に、ひときわ高くそびえる摩天楼。 117 階建て、高さは 597 メートルと、日本一高い麻布台ヒルズより 250 メートル以上、高い。 止まってしまった工事。 周辺でも作りかけのマンションがあちこちに。 同じ不動産会社が開発していた一帯の工事は止まり、守衛が居たと思われる部屋は荒れ果てていた。

「核心の場所なのに、もったいない。(天津市民)」
「きちんと建てないと、政府や住民の経済回復への自信がなくなる。(広東省から来た人)」

上半期の中国の不動産投資はマイナス 7.9% と大きく落ち込んだ。  問題は天津市内の別のマンションでも …。 この先には建設が進んでいないマンションがあるが、高い囲いで囲われている。 窓が付いていない。 壁も打ちっぱなしで、きちんと完成していない。  このマンションは 4 月末に引き渡し予定だったが、まだ完成していない。 購入した男性に話を聞くことができた。

「私はお金を払って『モノ』を買ったんだ。 ジュースや野菜ではなく、『4,000 万円の部屋』だ。 たくさんのお金を払ったのだからその『モノ』を私に引き渡してほしい。(未完成物件の購入者)」

不動産業者は工事が止まっていないと主張しているが、実際は遅々として進んでいない。 男性は政府に抗議を行ったが、効果はないという。

「80 代の家主が冬の夜 8 時に市政府の前に座っていたが、誰も相手にしなかった。 50 人で抗議に行ったら 50 人の警察が来る。(未完成物件の購入者)」

SNS には、このマンションを買った人の悲痛な抗議の音声が残されていた。

「俺は 3,000 万円払って家を買った。 それなのに建ててくれない。 ほったらかしだ。 理不尽だ。(抗議する男性)」

中国の経済成長を支えた不動産業界の異変。  中国政府は不動産企業への支援などの対策を講じているが、効果はまだ見えていない。 (テレ朝 = 8-13-23)


中国、約 20 兆円の LGFV 債務を地方政府に付け替えへ - 関係者

中国は省レベルの地方政府が債券発行を通じて約 1 兆元(約 20 兆円)を調達し、資金調達事業体 (LGFV) やその他のバランスシート外の発行体による債務の返済に充てることを容認する。 経済や金融の安定にとって最大級の脅威となっている問題の対処に向け、小幅な一歩を踏み出した。 中国財政省は関係部局に対し、この「借り換え債」プログラムについて通知したと、事情に詳しい関係者が語った。 それぞれの地方に限度枠が設定されているという。 関係者は話す権限がないとして匿名を要請した。

関係者の 1 人によると、北京市と上海市、広東省、チベットを除く全ての省レベルの政府は「隠れ債務」として知られるバランスシート外の負債の返済に、このプログラムで発行した債券を利用することができる。 当局はまた、12 の省と市を「高リスク」地域と特定。 貴州、湖南、吉林、安徽の各省や天津市などが該当し、さらなる支援が提供されると、関係者の 1 人は述べた。 今回の措置は LGFV を含む弱い発行体の実質的な救済で、債務負担を地方政府に付け替えるものだ。 財政省はブルームバーグ・ニュースのコメント要請に応じなかった。 中国共産党の最高指導部である中央政治局は数週間前の会合で、政策パッケージを活用して地方政府の債務問題解消を図る方針を示していた。 (Bloomberg = 8-11-23)


「中国一の金持ち村」が破綻 負債は 8 兆円 村営企業は 20 円で売却 "成功モデル" が崩壊

中国一の「金持ち村」とも呼ばれた村が、日本円で 8 兆円もの負債を抱え、財政破綻しました。 背景にいったい何があるのか、現場を取材しました。

「こちらの高台からは、村の全体を一望できます。 あそこに見えるのが、村のシンボルともいえるビルです。(記者)」

中国東部・江蘇省にある華西村。 「中国一の金持ち村」と呼ばれていました。 目をひくのは、ヨーロッパ風の豪華な一軒家が並ぶ住宅街と、中心部にそびえる地上 72 階建てのビル。 ホテルとして使われているこの建物には、1 トンもの金を使って作られた牛の像まで展示されていました。 かつて貧しい農村だった華西村が、なぜ「金持ち村」になったのか。

「村の指導者たちが彼に敬意を表すためにここに来ます。 これが呉仁宝さんです。(村の男性)」

1978 年に始まった中国の「改革開放」路線のもと、当時の村のトップ・呉仁宝氏は強力なリーダーシップで、「集団経済」という特殊なシステムを導入。 村民の給与の 80% を村営企業が吸収し、株や新たな事業への投資に活かして鉄鋼業などを急速発展させました。 2010 年には年間の売り上げが 6,000 億円にものぼったといいます。 しかし先月、ある異変が …。

「華西村は破産だ。 とっくの前から破産しはじめていたのだよ。」

なんと、財政破綻したのです。 ここまでさびれてしまった理由について、村の男性は、

「幹部は全部トップが認めた人たちばかり。 トップの言うことは絶対。 もし指示に従わなければ、工場長でも明日は普通の従業員になってしまう。 これが華西村の特徴だね。(村の男性)」

トップだった呉氏のやり方は村を発展させた一方、人々の自由な起業活動を制限したり、過剰な投資に反対しづらい環境を生んだりするなど弊害も多かったといいます。 2013 年に呉氏が亡くなって以降、息子が村営企業の経営を引き継ぎますが、新たな産業を育てることはできず、負債は 8 兆円にまで膨張。 先月、村営企業はたった 1 元、日本円にしておよそ 20 円で投資会社に売却されました。 夜、広場に集まった村民に未来をどう考えているのか聞きましたが。

「私は話したくないです。」

改革開放の成功モデルとまで言われた村の破綻。 地方政府の財政悪化が深刻になっている中国で、今後、第二の華西村が生まれる可能性もあります。 (TBS = 8-11-23)


中国の銀行巡る懸念高まる、当局の不動産市場支援強化で シティ

中国当局が銀行は既存の住宅ローン金利を引き下げるよう指導されると表明したことで、銀行の利益率がさらに圧迫される可能性があるとシティグループのアナリストはみている。 ジュディ・チャン氏らシティのアナリストは 1 日のリポートで、中国人民銀行(中央銀行)は大手銀行や商業銀行に対して既存の住宅ローン金利の引き下げを要求していると受け止められかねない「予想以上に厳しい」表現を選んだようだと指摘。 それが「全国的サービス」を提供する銀行の負担や利益率低下を巡る懸念を引き起こす恐れがあるとの見方を示した。

アナリストらは、高利回りの既存住宅ローンのリプライシングで、銀行の純金利マージンや収益性、融資能力がさらに損なわれることもあり得ると予想。 その上で、住宅ローンへのエクスポージャーが大きい大手金融機関や中国招商銀行はより大きな影響を受けるかもしれないと分析した。 (Bloomberg = 8-2-23)