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中国で MSCI 指数ファンドの設立ラッシュ [上海] 中国本土上場の人民元建て株式(A 株)の MSCI 新興国株指数への組み入れが始まるのを前に、中国の資産運用会社の間で同指数連動型ファンドの設立ラッシュが起きている。 MSCI は昨年 6 月に A 株の指数組み入れ方針を表明。 今年の 6 月と 9 月に 2 段階に分けて大型株 230 銘柄程度を実際に組み入れる計画だ。 組み入れは A 株の時価総額の 5%、A 株の新興国株指数におけるウエートは 0.73% となる。 MSCI の推計によると、A 株全てが組み入れられるとウエートは 18% 前後となり、ブラジルやロシア、インドといった他の主要新興国をはるかにしのぐ。 投資家は中国株がやや割高となっている点に懸念を抱いており、2015 年の株価急落時に 1,000 銘柄以上が取引停止となった市場混乱の記憶も尾を引いている。 しかしそれよりも、中国株投資に乗り遅れるのではないかという不安感の方が強い。 MSCI が A 株の組み入れを決めたことで既に中国の銀行株や消費関連株に対する関心は高まっているが、指数連動型ファンドが急増すれば、中国の優良株への投資熱がさらに高まりそうだ。 先陣を切ったトゥルーバリュー・アセット・マネジメンは、今月初めに当局の承認を獲得し、MSCI 新興国株指数連動型ファンドを立ち上げた。 トゥルーバリューのファンドマネジャーのチェン・ロン氏は、今回の一部 A 株の組み入れをきっかけに中国市場には当面 800 億元(125 億 2,000 万ドル)が流入し、A 株が全面的に採用されれば流入額は 2 兆 5,000 億元に膨らむとみている。 ほかにもインベスコ・グレート・ウォール、平安保険とシンガポールの UOB 銀行の合弁投資会社など複数の資産運用会社が MSCI 新興国株指数連動ファンドの設立準備を進めており、承認待ちのこうしたファンドは 20 本を超える。 ボセラ・アセット・マネジメントのファンドマネジャーの Wan Qiong 氏は「偏見や情報格差のために外国人投資家はこれまで中国株への投資を手控えてきた。 MSCI による A 株組み入れは画期的な出来事で、外国人投資家の A 株投資意欲が刺激されるだろう。」と指摘する。 その上で「外国人投資家の中国に対する理解が深まれば、中国の投資配分はアンダーウエートから徐々に中立的になり、最終的にはオーバーウエートに傾く」と予想した。 UBS のストラテジストの Gao Ting 氏は、外国人の A 株保有比率は数年以内に現在の 2% 弱から 10 - 12% に高まると見込んでいる。 ウェルズ・ファーゴのシニア・ポートフォリオマネジャーのアンソニー・クラッグ氏によると、外国人投資家の多くはやっと中国に目覚めたが、ファンドは依然として大幅なアンダーウエートのまま。 ロベコのアジア株共同ヘッドのビクトリア・ミオ氏はもっと率直で、「中国をアンダーウエートにすれば痛い目を見る」と言い切った。 (Samuel Shen、John Ruwitch、Reuters = 2-3-18) 中国のミスター GDP が記者会見で明かした「中国経済のスゴイ数字」
珍解答でクビが飛ぶ 寧吉普iニン・ジージャ)中国国家統計局長にとって、1 月 18 日は、年に一度の晴れ舞台だった。 この日ばかりは、部下ではなくて自らが記者会見に臨んで、前年の GDP の伸び率を発表する。 その映像は、中国ばかりか世界中で、速報として報じられるからだ。 このため、国家統計局長には「ミスター GDP」というニックネームがついている。 だが一方で、この日は寧局長にとって、鬼門でもある。 この日だけは、カメラの前で内外の経済記者たちの鋭い質問に答えねばならないからだ。 想定問答を準備しているとはいえ、何かおかしな回答をして、それでマーケットが下落したりすれば、クビが飛ぶリスクもある。 いまでも語り草になっているのが、2 年前の出来事である。 2016 年 1 月 19 日、当時の王保安局長が会見し、「内外の下振れ圧力にもかかわらず、2015 年の中国の GDP は 6.9% 増大した」と胸を張った。 すると英字紙『チャイナ・デイリー』の若い記者が挙手して、「中国政府が発表する GDP 統計はでっち上げで、本当の成長率は 5% 以下なのではないか?」と質問した。 その質問を聞いた王局長は、顔を真っ赤にして反論した。 「私も外部の人たちが勝手に邪推しているのは聞いているが、それらの評論には 2 種類あるのをご存じか。 一つはあなたが指摘したように、国家統計局は経済統計を水増ししているという説。 だがもう一つは、中国の経済成長があまりに目覚ましいので、国家統計局が実際の成長率よりも、控え目に発表しているというものなのだ。」 この珍回答は、集まった記者たちを唖然とさせたばかりか、株価も下落した。 そして北京では、たちまち次のようなアネクドート(政治小咄)が WeChat で広まったのだった。
この話には、続きがある。 この珍回答をした一週間後の 2016 年 1 月 26 日、王保安局長は、「今晩 7 時から重要活動会議を開くから全員出席するように」と、国家統計局の幹部たちに一斉通知を出した。 ところが本人は、同じく午後 7 時北京発パリ行きのエールフランスのファーストクラス・チケットを偽名で 2 枚予約しており、北京首都国際空港に待機させていた若い愛人とともに、ヨーロッパに亡命しようとしたのだ。 王局長は同日午後 4 時前、国家統計局から空港に向かって、専用車で出ようとしたところを、中央紀律検査委員会の部隊に踏み込まれ、あえなく御用となった。 その後、欧米での多額の隠し資産が見つかり、いまは監獄にいる。 この一件を知った習近平主席は激怒し、経済分野における最側近(中学時代の同級生)の劉鶴・中央財経指導小グループ主任(中央政治局委員)に命じて、後釜を探させた。 そこで劉鶴主任は、中国人民大学経済学部修士課程の同級生で、気心が知れた寧吉普E国家発展改革委員会副主任を、習主席に推薦したというわけだった。 そんな経緯で、寧吉浮ヘ不定期な異動によって、国家統計局長に就任した。 以来 2 年間、「安全運転」に努めている。 アップ、アップ、アップ。 先週 1 月 18 日、記者会見に臨んだ寧局長は、こう述べた。 「初期の概算統計によれば、2017年 の中国の GDP は、82 兆 7,122 億元、増加率は 6.9% だった。 内訳は、第一次産業が 6 兆 5,468 億元で 3.9% アップ、第二次産業が 33 兆 4,623 億元で 6.1% アップ、第三次産業が 42 兆 7,032 億元で 8.0% アップである…。」 過去 10 年の中国の GDP の増加率を見ると、2008 年が 9.7%、2009 年が 9.4%、2010 年が 10.6%、2011 年が 9.5%、2012 年が 7.9%、2013 年が 7.8%、2014 年が 7.3%、2015 年が 6.9%、2016 年が 6.7% である。 そのため、前年よりも増加率が伸びたのは、2010 年以来、7 年ぶりとなる。 その最大の理由は、昨年 10 月の第 19 回共産党大会に向けて、経済を上向きにさせようと、党と政府を挙げて邁進したからだろう。 加えて、最大の貿易相手国であるアメリカの経済が好調なことも挙げられる。 予測よりも良かった その後の寧局長と記者たちの問答の要旨は、以下の通りである。 重要と思えるところのみ抜粋する(カッコ内は私の解説)。 中国中央テレビ記者 : 2017 年の国民経済は、安定した中でよい方向に向かい、予測よりもよかった。 これをどう見るか? 寧吉赴ヌ長 : 中国経済が「安定した中でよい方向に向かい、予測よりもよかった」というのは、以下の点だ。 第一に、4 大マクロ指標(GDP、新規就業者数、失業率、消費者物価指数)がすべて、「安定した中でよい方向に向かい、予測よりもよかった。」 すなわち 2017 年の GDP の成長率が 6.9%、都市部の新規就業者数が 1,300 万人超、12 月の都市部の失業率は 5% 以下 (4.98%)、CPI の上昇率は 1.6% だ。 国際収支から見ても、外貨準備高は年末に 3 兆 1,400 億ドル近くに増えた。 第二に、供給側構造性改革(習近平政権が 2016 年から始めた経済改革)が、重要な進展を見た。 「三去一降一補(生産過剰の除去、在庫過剰の除去、金融リスクの除去、生産コストの軽減、弱点の補強)」の 5 大重点任務の達成状況は、比較的よい。 まず生産過剰に関しては、鉄鋼 5,000 万トン前後、石炭 1.5 億トン以上、火力発電 5,000KW を除去する任務を達成した。 金融リスクに関しては、昨年 11 月末時点で、規模以上の工業企業資産の負債率は前年同期比で 0・5% 下降した。 在庫過剰に関しては、2017 年末時点の全国商品住宅空き家面積が、2016 年末に較べて 1.1 億 m2 減少した。 2015 年末に較べたら、1.3 億 m2 の減少だ。 生産コストの軽減は、2016 年に各種減税によって、生産コストは 1 兆元減少し、2017 年に再度、1 兆元減少した。 国家統計局の統計によれば、2017 年の 1 月から 11 月までの規模以上の工業企業の 100 元の売り上げあたりのコストは、前年同期比で 0.28 元下降した。 弱点の補強に関しては、農業への投資を増やした。 水利管理業への投資を 16.4% 増やし、生態保護と環境保護業への投資を 23.9% 増やした。 第三に、新旧の構造転換が加速している。 「4 新(新技術、新産業、新業態、新模式)」、もしくは「6 新(新産品、新動力を加える)」は、この一年において大きく発展した。 新技術で言えば、C919 ジャンボジェット機、「復興号(新幹線)」、量子通信及び衛星、深海探測などの一連の科学技術の成果が生まれた。 新産品の方面では、工業ロボット、新エネルギー車の昨年の成長は、前年比で 5 割以上伸びた。 新産業の方面では、戦略性新興産業、高技術産業、装備製造業は、すべて 1 割以上伸びている。 新業態の方面では、実物商品のネット通販の売り上げは 28% 増、非実物商品(金融など)のネット通販の売り上げは、もっと大きい。 宅配業も年間 3 割近く成長している。 新模式(ニューモデル)の方面では、「大衆創業、万衆創新」の新たな潮流が湧き上がってきている。 2017 年の新規登録企業数は、1 日当たり平均 1.66 万社だった。 第四に、経済成長の質と効率のアップだ。 2017 年 1 月から 11 月までの規模以上の工業企業利益は、前年同期比で 21.9% 増加し、規模以上のサービス業の企業利益は 30.4% 増加した。 政府の財政収入も、7% 台のアップを確保したもようだ。 環境問題も改善している。 2017 年に全国 338 の級都市(1 級から 4 級)で PM2.5 が減り、中でも北京は顕著に減った。 単位 GDP あたりの温室効果ガス排出量は 3.7% 下降した(目標は 3.4% 以上だった)。 第五に、国民生活が引き続き改善している。 2017 年の全国民の平均収入は 7.3% 増加し、これは一人当たりの GDP の成長率を上回っている。 エンゲル指数は 2016 年の 30.1% から 2017 年は 29.3% に下降した。 貧困者用住宅も 600 万戸建設した。 観光に関して、旅行目的で中国大陸を出境した中国人は、1.29 億人に達した。 文化産業の売り上げは 1 割以上増加し、映画の興行収入は 500 億元を突破した。 教育方面では、2017 年(7 月)の大学卒業生は 795 万人になり、世界の大学生の 2 割以上が中国にいることになる。 全国民の医療保健も基本的に整備され、世界最大の医療保健ネットができあがった。 第六に、経済構造が大きく変革した。 産業構造から見ると、過去のように工業が牽引した構造から、工業とサービス業が共同で牽引する構造へと変わった。 2017 年のサービス業の増加値の GDP 比重は、51.6% に達し、経済成長における貢献率は 58.8% に上った。 需要構造から見ると、過去のように投資が牽引した構造から、投資と消費が共同で牽引する構造へと変わった。 2017 年の最終消費支出の経済成長に占める貢献率は、58.8% に達し、資本形成総額の 26.7% を占める。 もう一つの重要な変化は、従来の輸出主導型から、輸出・輸入が共同で主導する構造へと変化してきていることだ。 2017 年の輸出は 10.8% 増加したが、輸入は 20% 近く増加した。 中国の発展は、中国人に利益をもたらすばかりでなく、世界経済への貢献も上昇している。 中国の世界経済成長への貢献率は、3 割を超える。 2017 年の中国経済の総量は 82.7 兆元に達し、これは 12 兆ドルに相当する。 過去一年の経済の増加分は 8 兆元を超え、1.2 兆ドルになり、これは 2016 年の世界 14 位の国家の経済規模に相当する(ロシア、オーストラリア、スペインの経済規模に相当)。 水増し問題もあるが … ブルームバーグ記者 : 天津の濱海新区の GDP 統計は不正確だったと報じられ、内モンゴル自治区でも工業の数値が不正確だったと報じられた。 他にも不正確な地域はあるのか? 中国政府はこのような地方自治体をどのように罰していくのか? また、地方債の問題に関して、中国政府はどのような措置を取るのか?
寧吉赴ヌ長 : その問題はメディアの関心事項であるばかりか、国家統計局も十分関心を持っている。 国家統計局の統計も地方の統計も、レベルは不断に向上している。 かつ国家統計は、少数の地方や企業、事業単位などの真実性に問題がある統計の影響を受けなくなってきている。 地方自治体のデータを合計すると国家統計局の数値を超えるという問題は、統計の取り方の問題で、最近はその差が縮まってきている。 例えば、2016 年に地方の GDP データを合算すると、国家統計局の算出したデータよりも 3.6 兆元多かった。 党中央と国務院は算出制度の改革を進めており、2019 年には算出方法が全国で統一される。 2018 年をどう見るか フェニックス・テレビ記者 : 2018 年の中国経済が、新たな経済周期の開始だという人がいるかと思えば、下振れ圧力に直面するという人もいる。 2018 年の経済状況をどう見るか? 寧吉赴ヌ長 : その問題は、昨年後半に中国の経済学界で巻き起こった議論だ。 中国経済は、安定した中でよい方向に向かい、経済発展は段階的に変化し、構造的に変化していくだろう。 もちろん周期的な要素もある。 段階的変化とは、高速成長の段階から高質成長の段階への変化だ。 いまや中国経済の規模は巨大で、広東省や江蘇省の GDP は 8 兆元を超え、G20 の国家を超えている。 そこで中央政府は経済を、高速から高質の方向に転換させようと努力しているのだ。 構造的な変化について再度述べると、今年、各地域各部門は、供給側構造性改革をさらに推進させ、「三去一降一補」の 5 大重点任務を堅持する。 それと同時に、「破、立、降(効果薄の供給の破棄、効果的な供給の確立、生産コストの下降)」の実施に尽力する。 周期性の問題に関しては、世界経済は全般的に復調の傾向にあり、世界同時成長となっている。 これを中国としても活かしたい。 中国中央テレビ記者 : 2017 年の経済発展が予測を上回ったのは、対外貿易の貢献が例年より大きかったことが重要な要因と思われる。 だが、2018 年の対外貿易は、さらに大きな圧力がかかるのではないか? そうなれば消費にも支障が出てくるのではないか? 寧吉赴ヌ長 : 2017 年の貨物とサービスの純輸出入の経済成長に対する貢献率は、前年比でマイナスからプラスへと、すなわち 9.1% に成長した。 そうであっても、残りの 91% は内需に頼っているわけで、内需の 6 割は消費だ。 もちろん投資も重要な役割を果たしている。 (昨年 10 月の)第 19 回共産党大会と、(昨年 12 月の)中央経済工作会議は、中国が貿易強国となる方針を明確にした。 これは単に貿易量を増やすだけでなく、貿易の質と効率を上げるということだ。 昨年、輸出は二けたの伸びを示したが、さらに喜ばしいのは、電子機器製品の輸出の比率が上昇したことだ。 先端技術が輸出に大きく貢献するようになってきているのだ。 だが依然として、サービス業の貿易に関しては、輸入が輸出を上回っている。 それでも大きく前進はしている。 「脱格差は進んでいる」 アメリカ国際市場新聞社 : 最近、人民元高の幅が、比較的大きくなってきている。 以前の中国当局の話では、人民元の上昇は中国経済にとって諸刃の剣だと言っていたが、いまはどうなのか? また、現在の中国経済を主導しているのは消費だが、より強い人民元は、中国経済にとって有利なのか不利なのか? 寧吉赴ヌ長 : 国際収支の基本的なバランスというのは、貿易問題にとどまらず、マクロ経済のバランスに関わる大問題だ。 昨年の中国経済が、「安定した中でよく、予想よりよかった」と述べたことの一つは、国際収支のバランスがよかったということだ。 人民元のレートは、国際収支のバランスのもとで、安定している。 人民元が安定していることは、貿易の発展に有利なだけでなく、マクロ経済の安定成長にとっても有利だ。 そのため、国際収支のバランスを取ることは、中国のマクロ経済部門の重要な責務となっている。 ロイター記者 : 2018 年に金融リスクを除去し、リスクを防止し、汚染を処理すると、中国政府が宣言したことは、マクロ経済の発展にとっては、不利な影響を及ぼすのではないか? それから、昨年の GDP の構成要素において、資本形成(公共投資など)の貢献率は 32.1% で、純輸出の貢献率は 9.1% というのは正しいか? 寧吉赴ヌ長 : 需要から見れば、最終的な消費支出が経済成長に占める貢献率は、58.8% で、資本形成の総額の貢献率は 32.1%、貨物及びサービスの純輸出は 9.1% だ。 「3 大攻撃戦への勝利(昨年末の中央経済工作会議で示された、重大リスクの防止、脱貧困、汚染防止)」は、われわれ統計部門にもよりよく反映させる。 ミクロなレバレッジ率から見れば、企業の負債比率は昨年、改善された。 マクロなレバレッジ率から見れば、重要な指標がある。 それは、M2 (通貨供給量)の GDP に対する比率だ。 この数値は、この一年、安定して下降してきた。 昨年の GDP の成長率は 6.9% だったが、名目成長は 11% 程度だった。 これに対して 2017 年末の M2 の前年同期比の伸びは 8.2% だった。 つまり分母が大きくて分子が小さいため、レバレッジ率は穏やかに下降したと言えるのだ。 脱貧困への攻勢に関しては、貧困層の人口観測は、われわれの重要な責務だ。 2010 年を基準とすれば、2016 年の貧困人口は、全国で 1,240 万人減少した。 2017 年の統計は今月中に出す予定だが、2016 年よりもさらに改善されているはずだ。 汚染防止の活動に関しては、昨年の 6.9% 成長は、汚染防止を唱える中で実現したものだ。 われわれが現在追求しているのは、"緑色発展" であり、生態文明建設と経済社会建設の協調的な発展だ。 汚染防止による構造的な変化は、経済発展に対して、プラスの影響を及ぼしている。 経済の運行というのは、経済成長の速度を見なければならないのと同時に、就業数の増加や収入の増加、物価の安定状況、それに生態環境の改善なども見て行かねばならない。 それによって初めて、持続的で健全な経済発展ができるというものだ。 記者会見からわかること 以上である。 今回の寧局長の記者会見の映像を見たが、安徽省訛りの朴訥とした口調ながら、言葉の端々に、自信を感じた。 その背景には、次の 3 つのことがあると推定される。 第一に、自身の経済学者としての自信である。 安徽省出身で、現在 61 歳の寧吉赴ヌ長は、経済学博士号を持ち、国務院系の経済学者としてキャリアを積んでいった。 第二に、中国経済に対する自信である。 中国経済は、冒頭述べた 2 年前に較べて、さらに実力をつけた。 GDP の水増し問題や、地方債の問題など、問題山積ではあるが、それでも自分たちが向かっている方向は正しいのだという自負を持っている。 そのことは、正月に北京で経済関係者たちと会って話していても痛感した。 第三に、自身が習近平主席 - 劉鶴中央政治局委員のラインに乗っているという自信である。 寧局長は前述のように、中国人民大学の修士課程時代、劉鶴中央政治局委員の同級生だった。 二人とも、どちらかというと地味で堅実な性格だから、気が合うのだろう。 社会主義国の中国においては、トップのラインに乗っているかいないかということは、非常に重要である。 一例を挙げれば、2017 年 2 月に、「官庁の中の官庁」と言われる国家発展改革委員会の主任が、習近平主席と疎遠だった徐紹史から、習近平主席の福建省勤務時代の直属の部下だった何立峰に替わった。 そのとたん、組織にいる人たちが自信に満ち、生き生きとしてきた。 権限の範囲が明らかに広がったし、中南海の方針が見えるようになったため、先を見て仕事ができるようになったというのだ。 そうかと言って、中国経済に問題がないわけではない。 地方債の問題は待ったなしだし、地方の経済成長の 3 分の 1 がでっち上げだったなどということは、先進国ではありえないことだ。 ともあれ、中国経済の動向については、今年とも紙幅を割いて述べていきたい。 (近藤大介、現代ビジネス = 1-23-18) 中国の内外債務総規模、対 GDP 比で約 343% = 中国メディア 中国国家外貨管理局はこのほど、2017 年 9 月末時点の中国の対外債務残高が約 11 兆 1,498 億元(約 193 兆円)で、1 兆 6,800 億ドルに相当と発表した。 人民銀行(中央銀行)が今年 7 月に更新した『2016 年 12 月資産負債表』によると、対外債務を含まない中国の総負債は 244 兆元(約 4,221 兆円)。 両者を合わせると、中国の内外債務総規模は約 255 兆元(約 4,412 兆円)を上回ったことが分かった。 中国共産党機関紙・人民日報電子版「人民網」が昨年 12 月 29 日に報道した。 国家外貨管理局が 29 日に公表した同統計によると、中長期対外債務残高は全体の 35%、短期対外債務は 65% とそれぞれ占める。 政府機関別でみると、広義政府部門の対外債務残高は全体の 9%、中央銀行が 1%、銀行(金融機関)が 50%、その他の部門が 27%、また直接投資での企業間融資による対外債務残高は 13%、となっている。 一方、人民銀行が昨年 7 月に更新した資産負債表によると、16 年末まで中国国内の総負債規模は 244 兆元で、対外債務は約 1 兆 5,000 億ドル。 人民銀行は、中国の内外負債は約 255 兆元との見方を示した。 中国経済金融情報サイト「新浪財経」は同月、国内専門家の評論記事を引用し、16 年中国国内総生産 (GDP) が 74 兆 4,000 億元だったため、16 年総債務規模の対 GDP 比率は 342.7% だと報道した。 「新浪財経」はまた、国際決済銀行 (BIS) が 16 年中国非金融部門の債務規模は対 GDP 比で約 260% と予想したため、「人民銀行の統計は、実際より過小評価されている」と指摘した。 台湾企業家の高為邦氏は大紀元の取材に対して、今年中国経済の鈍化が続くとの見方を示した。 これまで中国経済の高成長を支えたのは輸出のほか、国内インフラ投資を刺激するための信用拡大だ。 「今年、中国の主要輸出国であるアメリカは中国製品の関税引き上げなど様々な貿易制裁措置を実施するため、輸出は低迷するだろう。 輸出と債務拡大で、中国経済は一段と失速する。」 また、米サウスカロライナ大学の謝田教授は、中国当局は大規模な債務不履行(デフォルト)の発生を回避する金融危機の先延ばしのため、今紙幣を大量に印刷することで信用貨幣の供給量を増大している、と指摘。 「貨幣供給量の増加によって発生するインフレは、同様に中国経済の崩壊につながる大きな要因だ。」 謝教授は、中国当局は安易に地方政府や国有企業の破産を認めないとの見解を示した。 「それを認めると、政権も一緒に滅びる。 当局が今できることは、債務拡大による金融危機の発生を先延ばしにするだけだ。」と述べた。 (大紀元 = 1-4-18) >中国の社債、今年最もデフォルトリスクが高いのは不動産 - 調査 資金調達に対する中国政府の規制強化で企業の財務に悪影響が及ぶ中、不動産開発業者が発行する社債が中国債券市場で最も高いデフォルト(債務不履行)のリスクに直面していることが、アナリストやトレーダーを対象とした調査で明らかになった。 ブルームバーグが昨年 12 月後半に実施した調査では、回答者 15 人のうち 10 人が 2018 年は不動産開発業者の一部で債務不履行が発生すると予想。 17 年に 4 年ぶりの高水準に達した社債スプレッド(利回り格差)はさらに広がる見通しだ。 住宅価格抑制に中国当局が資金調達規制を講じるなど、政策リスクを抱える不動産開発業者が最も脆弱だと招商銀行はみている。 ブルームバーグが集計したデータによれば、中国の不動産開発業者は今年、中国本土内外で過去最高の 310 億ドル(約 3 兆 4,930 億円)相当の社債の満期を迎え、プットオプション(売る権利)が行使された場合、この額は 2 倍余りに膨らむ可能性がある。 資金調達規制により不動産開発業者は国内市場での社債の発行が難しくなり、昨年の中国本土での社債発行は 67% 減少した。 国泰君安証券のチーフ債券アナリスト、覃漢氏(上海在勤)は「不動産セクターは 18 年に巨額の社債償還圧力に直面する」と指摘。 「借り換え手段の制約と相まって不動産開発業者の流動性は逼迫し、結果としてデフォルトに陥る恐れがある」と述べた。 (Bloomberg = 1-4-18) 中国、3 年間の「重大な闘い」に突入 - 景気減速と国内債務拡大の暗雲
中国経済は今年から、指導部が「重大な闘い」と呼ぶ 3 年間に突入する。 中国にとって、経済を脅かす国内債務、貧困、環境汚染への取り組みは喫緊の課題だ。 さらに米国との間で貿易戦争が勃発するとの恐れや金利上昇が加わる可能性も念頭に置かねばならない。 中国経済は 2017 年に通年で 2010 年以来初めて成長率が加速したとみられるが、18 年は成長率が減速する見通しだ。 中国指導部では、最大のリスクである金融の不安定性の解消に向け前進することができれば、より低い成長率でも楽観できるとのシグナルを発している。 IHS マークイットのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏(シンガポール在勤)は「2018 年の見通しでは、大幅な経済的不均衡が下振れリスクを生み続ける」と述べ、「中国経済のリスクは 18 年の世界成長見通しに対する主要なリスクであり続ける。 アジア太平洋地域はその減速による衝撃をとりわけ受けやすい」と指摘した。 市場予測によると、18 年通年の成長率は 6.5% と、1990 年以来の低い水準に鈍化する。 外国企業に対する金融システムの開放が進む中で、債務の対国内総生産 (GDP) 比率が 2022 年に 320% を超えるとみられることが最大のリスク要因という。 専門家はこのほか建設業の冷え込み、米国との貿易戦争、米国の利上げや税制改革、北朝鮮などをリスクとして挙げている。 (Bloomberg = 1-3-18) ◇ ◇ ◇ 中国のインフラ投資、18 年は大幅減速か - 債務抑制で経済成長に逆風も 中国で活況を呈してきた道路や橋、地下鉄建設は来年に大きく減速する見通しだ。 経済成長にとって逆風となりそうだ。 ブルームバーグ調査の予想中央値によると、中国の 2018 年のインフラ向け固定資産投資は 12% 増と今年 1 - 10 月累計の約 20% 増から鈍化すると見込まれている。 調査対象のエコノミスト 18 人全員が減速を予想した。 モルガン・スタンレーやゴールドマン・サックス・グループ、UBS グループもリポートで同様のトレンドを予測している。 10 月の共産党大会後、中国当局は再び債務管理に軸足を置いており、建設の鈍化が顕在化しつつある。 中国では珍しく一部の都市の地下鉄プロジェクトが止められ、プロジェクトの資金調達で幅広く使われてきた手法、官民パートナーシップ (PPP) に対する審査も厳しくなっている。 オックスフォード・エコノミクスの推計によると、中国は世界の投資総額の 5 分の 1 を占めており、インフラ投資の減速は世界の資本投資の伸びにも影響が及ぶ可能性がある。 モルガン・スタンレー・アジアのチーフエコノミスト(香港在勤)は「中国はレバレッジ縮小や過剰生産能力の削減、汚染対策、不動産価格抑制の取り組みを強化している」と指摘。 「このため、不動産やインフラ投資は鈍化し、中国経済は減速するとわれわれは考えている」と述べた。 (Bloomberg = 12-5-17) ◇ ◇ ◇ 中国の債務は引き続き拡大、見えない政府の抑制効果 中国ではここ数年、政府高官らが債務の削減を政策の優先課題に掲げているが、これまでのところ目に見える成果は出ていない。 逆に、ロイターの分析によると、中国企業が抱える債務は増え続けており、9 月末現在の増加率はここ 4 年で最大だった。 中国の政策担当者らは、国有企業や地方政府を説得して借り入れを削減させ、規制を強化。 銀行の短期の借り入れを監視するなど、債務の爆発的な伸びに歯止めをかけるためにさまざまな措置を打ち出したが、その間も債務の拡大は継続。 一部の推定によると、中国の総債務は経済規模の 3 倍に達している。 国際通貨基金 (IMF) は昨年、中国の信用の伸びは世界的な標準から見て「非常に速い」と指摘した上で、包括的な戦略を講じて債務問題に対処しなければ、銀行危機が発生したり、経済成長が急減速したりするリスクがあるとの認識を示した。 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁も 10 月、米国で「ミンスキー・モーメント」と呼ばれている概念に言及して資産価格急落リスクを警告。 企業の債務は比較的高水準で家計債務も急速に膨らみつつあると指摘し、人民銀は資産バブルの急激な調整によるリスクを制御し、地方政府の傘下機関による借り入れの問題に真剣に取り組むと表明した。 総裁はまた、債務を一段と管理可能な水準に引き下げるためには時間がかかることを認めた。 ロイターの分析によると、中国上場企業 2,146 社の 9 月末時点の債務は前年同期から 23% 増加した。 これは 2013 年以来の高水準。 分析対象には、中国上場企業の 5 分の 3 が含まれるが、政府の規制の矢面に立ってきた金融機関は含まれていない。 分析によると、過去 5 年間の債務の伸びが最も大きかったのは不動産部門。次が工業部門だった。 工業部門が総債務に占める割合は 2012 年末から 3% ポイント上昇。 不動産部門が占める割合は 7% ポイント上昇した。 国有企業 (SOEs) の 9 月末時点の債務も伸び率が加速。 CSI の上場国有企業 100 銘柄で構成する株価指数の 75 社の総債務(金融機関は除く)は前年同期から 27% 超増加した。 伸び率はここ数年で最高だった。 債務返済コストも過去数四半期に国有企業の収入の約 4 分の 1 にまで上昇し、問題の規模の大きさを浮き彫りにした。 現在および将来の成長の足かせとなることも示唆している。 収入に占める比率は今年第 2・四半期には約 27% に上昇し、少なくとも 5 年ぶりの高水準をつけた。 ただ、第 3・四半期には収入の急増を背景に 24.47% へ小幅低下した。 企業債務を詳細に見てみると、債券発行を通じた借り入れは減少していることが分かる。 しかし、規制当局の取り締まりで借り入れコストが上昇している可能性がある。 人民銀行のデータによると、10 月末時点の社債残高は 18 兆 3,400 億元(2 兆 7,700 億ドル)で、前年同期比 4.4% 増加した。 増加率はここ 2 年で最低の水準だった。 資金需要のギャップは、中国のシャドーバンキング(影の銀行)セクターのバランスシート外の資金調達で賄われているもよう。 シャドーバンキングも含めた 10 月末時点の中国の社会融資総量残高は 172 兆 2,100 億元で、前年比 13% 増加した。 ただ、シャドーバンキングの正確な規模は分かっていない。 10 月の中国社会融資総量は 1 兆 0,400 億元(1,565 億 4,000 万ドル)で、9 月の 1 兆 8,200 億元から減少した。 10 月下旬の第 19 回共産党大会以降、デレバレッジに向けた中国の取り組みも強化されたもようだ。 人民銀行は 11 月 17 日、金融機関の資産運用業務に関する規制強化に向け、指針案を明らかにした。 中国政府の債務は引き続き抑制されており、国際決済銀行 (BIS) の最新データによると、国内総生産 (GDP) の 46.9% にとどまっている。 しかし、政策当局者らは最近、家計債務の急拡大に対する警戒感を強めている。 人民銀行が 10 月に公表した報告書によると、9 月末時点の家計の消費者ローン残高(人民元と海外通貨の合計)は前年同月末比 29.1% 増の 30 兆 2,000 億元だった。 9 月末時点の人民元建て不動産融資残高は前年同月末比 22.8% 増の 31 兆 1,000 億元。個人向け住宅ローン残高は 26.2% 増の 21 兆 1,000 億元だった。 (Reuters = 12-4-17) 中国経済「綱渡り」の現実 ビットコイン暴落 よく分からない外貨準備の中身 「国家の規制がない」はずの仮想通貨が、中国当局に翻弄されている。 一時は 1BT 5,000 ドル(約 56 万円)に近付いたビットコインの価格は、中国当局の「新規仮想通貨公開 (ICO) 」の禁止、さらには中国国内のビットコイン取引所の閉鎖を受けて急落。 一時、1BT 3,000 ドル(約 33 万円)にまで暴落した。(夕刊フジ) 実は、ビットコインの取引の 90% 超は、取引手数料がかからない中国で行われていた。 昨今のビットコイン価格の急騰は、中国の人民が主導した典型的な投機バブルであった。 ビットコインは、国際決済の際には実に便利である。 というわけで、中国共産党が資本移動の規制をしている中国において、ビットコインが爆発的に流行したのだ。 人民元を外貨に両替し、外国に送金しようとすると、手数料の問題もさることながら、当局の規制により手続きが極めて煩雑になる。 それどころか、当局の許可が下りず、送金できないケースも出てきている。 ビットコインは、中国当局の資本移動の規制をかいくぐる、抜け穴の一つだったわけである。 そもそもの問題が何かといえば、中国の「外貨準備」の中身なのである。 中国共産党は、外貨準備の減少や過度な人民元安を食い止めるために、人民元から外貨への両替を規制しているのだ。 中国人民銀行は 9 月 7 日、2017 年 8 月末の外貨準備高について、前月比 105 億ドル(約 1 兆 1,804 億円)増の 3 兆 0,920 億ドル(約 347 兆 6,000 億円)と、7 カ月連続で増加したと発表。 中国の資本移動の規制強化は、確かに効果を上げている。 中国の外貨準備高は、中身がよく分からない。 日本の場合、外貨準備の 95% はアメリカ国債、および各国中央銀行への預金で占められている。 それに対し、中国の場合は、米国債は外貨準備全体の 40% を下回る。 残りの 60% 強は、民間銀行が保有する外貨を含んでいる、あるいはアフリカなどの鉱山などに投資されているといわれており、中央銀行が為替介入に使用することはできない。 中国の為替暴落に対する防衛力(外貨で自国通貨を購入する力)は、意外なほどに脆弱なのだ。 というわけで、中国人民銀行は為替安や外貨準備減少を防止するために、資本移動を規制しているわけである(結果、ビットコインが大流行した)。 少なくとも、中国は 10 月の共産党大会が終わるまでは、「強い人民元」を演出しなければならない。 とはいえ、資本移動の規制は中国への対内投資、中国からの対外投資の減少を招いている。 中国経済は人民元の信用不安と、投資減少による経済成長の低迷との間で、綱渡りを続けているというのが現実なのである。 (三橋貴明、sankei = 10-4-17)
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