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もう「コピー車」ばかりじゃない! 中国メーカーの実力

中国の自動車メーカーは日本や欧米の物まねばかり - -。 まだそんな認識を持つ人は多いようです。 しかし、今や世界最大の自動車市場の中国では、様々な地元メーカーが、独自技術の車を次々に売り出しています。 日本ではあまり伝えられない中国メーカーの実力はどれほどのものなのか。 4 月の上海国際モーターショーを取材した記者が、中国の街を歩きました。

若者が集まる、上海の大規模ショッピングセンター。 スターバックスの世界最大級の店があることで知られるこの一角に、今年 1 月、ある自動車ブランドのショールームがオープンした。 新興の電気自動車 (EV) ブランド「BYTON (バイトン)」の初のショールーム。 4 月半ばに訪れると、展示車「M-Byte」の周りには外国人も興味深そうに集まり、写真を撮っていた。

目を引くのは、運転席と助手席の前を横幅いっぱいに埋めた細長い画面だ。 サイズは 50 インチ近くで、大画面テレビのようだ。 地図や走行速度、音楽などの情報が表示され、ハンドルについた小型タブレットをドラッグやスワイプして操作できる。 自動車ショーで「未来の車」として展示されるようなデザインだが、2019 年中に量産をはじめるという。

BYTON は 16 年、日産自動車の高級ブランド「インフィニティ」や独 BMW の元幹部らが共同で創業した。 米フォードやテスラ、グーグル、アップルなどの出身者もいる。 「政府の支援も大きい」と案内員の女性は説明する。 「量産を始める南京の工場は、南京市からの強力なバックアップを受けました。」 車は米国の家電見本市などで注目を浴びたが、今回は「おひざ元」の上海ショーには出展しなかった。 「いまは量産を控えた大事な時期だから」という。

著名サーキットで新記録

BYTON のショールームからほんの数分歩くと、別の EV メーカーの販売店があった。 「蔚来汽車 (NIO)」。 ここも政府の支援や、優秀な人材の確保で急成長した注目株だ。 14 年の創業からまだ 5 年足らず。 17 年には、開発した EV のスポーツカーがドイツの著名なサーキット「ニュルブルクリンク北コース」で最速タイムを記録し、カーマニアの話題をさらった。

ショールームの 1 階には、昨年 6 月発売の SUV (スポーツ用多目的車)が展示されていた。 「こんなことができますよ。」 販売員の男性が運転席に向かって中国語で何かをつぶやくと、タブレットに中国語の文字が浮かび上がった。 同時に屋根が開き始めた。 男性は「『ルーフを 100% 空けて』と言ったんです。 エアコンや音楽もことばだけで操作できます。」

性能面でも、650 馬力もあるという。 単純に馬力だけで比べれば、日産の GT-R やホンダの NSX といった日本を代表するスポーツカーをしのぐ。 それでいて価格は 700 万 - 800 万円ほどと、高性能の車としては低めにとどめた。 このモデルは 18 年末までに約 1 万 1 千台を売り上げたという。 ショールームで見たこれらのブランドの車は、デザインも独自の個性があり、かつ洗練されたイメージを受けた。 内装もつくりこまれており、乗り込んでドアを閉めると、高級車独特の上質感を感じた。

一目置かれる存在に

「かつて中国で、見た目は『カローラ』なのに別のエンブレムをつけて走る車をよく見た。」 ある日系自動車会社の役員は数年前、先進国の車を「パクる」中国地場メーカーに苦笑していた。 しかし最近は地場メーカーも力をつけており、日本メーカーも積極的に協力し、「自陣営」に取り込もうとしている。 上海ショーで注目された地場 EV メーカーのひとつが、14 年に北京で設立された「奇点汽車(シンギュラート)」。 発表会に登壇した幹部は、みなジーンズにジャケットというカジュアルな服装で「若さ」を演出した。

注目を集めたのは、トヨタ自動車が EV 技術をライセンス供与した点だ。 21 年の量産をめざす小型 EV 「iC3」は、全長約 3.16 メートル、全幅 1.68 メートル、高さ 1.48 メートルで、ころっとしてかわいらしい印象だ。 トヨタがかつて限定販売した小型 EV「eQ」の技術を使用。 完全に充電した状態での航続距離は 300 キロ超という。 iC3 の販売がうまくいけば、協業拡大を検討する。 トヨタの吉田守孝副社長は、設立が相次ぐ地場 EV メーカーについて「ここ数年間は競争力があるので、学ぶところの方が多い」と話す。

野村総合研究所の張鼎暉(ていき)氏は、「近年は中国だけで数十社の EV メーカーがあり、埋没しないようにデザインや技術でとがったものを出す傾向がある」という。 今はまだ新しいもの好きの人が興味を示している段階で、「耐久性や快適性で既存メーカーに劣らないだけの信頼性を築けるかどうかが今後の課題」と指摘する。 (友田雄大、細見るい、asahi = 5-5-19)


中国で EV 相次ぎ発火、最大手 BYD や新興の蔚来

【広州 = 川上尚志】 中国で電気自動車 (EV) が爆発したり発火したりする事故が相次いでいる。 21 日に米テスラの EV が爆発したのに続き、メーカー最大手の比亜迪 (BYD) や新興の上海蔚来汽車 (NIO) の EV でも発火事故が起きた。 いずれもけが人は出ていないものの、世界最大市場での相次ぐ事故で、EV の安全に対する不安が強まりかねない。

24 日には中国内陸部の湖北省武漢市で BYD の EV が発火した。 同日夜に BYD が発表した声明によると「発火したのはトランクの部分で(基幹部品の)電池は壊れていない」という。 22 日には NIO の EV も北西部の陝西省西安市の修理場で修理中に発火した。 NIO は 23 日「専門家と調査を進めており、結果は速やかに公表する」とする声明を出した。 21 日にはテスラの EV も上海市内の駐車場で発火し、爆発する事故を起こしたと報じられた。

いずれの事故も原因は究明されていないが、爆発や発火の多くは車載電池が原因とされる。 相次ぐ EV の事故について自動車業界の専門家からは「安全基準を緩めてはならない。 技術がまだ不完全だと言い訳はできない。」との指摘も出ている。 中国は世界最大の EV 市場だ。 18 年には EV など新エネルギー車の新車販売台数が 125 万台となり、17 年に比べ 6 割強伸びた。 中国政府は 19 年から自動車メーカーに一定比率の EV などの製造を義務付ける制度を導入し、多くのメーカーが生産を増やす見通し。 ただメーカーが安全面の管理をおろそかにしたままでは、消費者離れにつながる恐れもある。 (nikkei = 4-25-19)


クルマもネット接続が当たり前 「つながる車」続々登場

開催中の世界最大級の自動車ショー「上海国際モーターショー」は、自動車メーカー以外の業種の出展が目立つ。 世界最大の自動車市場の中国で、インターネットにつなげて新しい価値をつくる「コネクテッド」技術を売り込もうとアピール合戦が熱を帯びている。 「モーターショーに我々の会社が参加するのは初めてのことだ。」 中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の徐直軍・輪番会長は 17 日、ショーのフォーラムでこうあいさつした。

徐氏は、次世代の高速通信規格「5G」によって自動運転車の遠隔操作がスムーズになり、安全性や運転手の自由度が格段に向上するほか、車内で映画や音楽を楽しめる環境も整うと説明。 「隔たりの大きかった ICT (情報通信技術)と自動車が融和することで、自由で便利な車を生み出せる」と力強く語った。

音声認識技術で中国で急成長するソフトウェア企業の科大訊飛 (iFLYTEK) の展示車両は、「上海駅に行きたい」と話しかけるとカーナビ画面が自動で切り替わり、複数のルートが表示される。 「1 番でお願い」と話すと、ルート案内が始まった。ブースで案内していた王晟氏(26)によると、車内のマイクが音声を拾い、ビッグデータと照合しながら音声を認識している。 音楽の再生、エアコンや窓の操作もできる。王氏は「自動車に力を入れるようになったのは 15 年ごろ。 うちの技術を使えば、運転手が車の操作をするために運転から注意がそれるのを防ぎ、悲惨な事故を避けられる。」と話す。

同社は 1999 年の創業。 教育などの分野で音声認識技術が実用化されており、日本英語検定協会が昨年、英検のスピーキングテストに同社の音声認識技術を使った自動採点を導入すると公表して話題を集めた。 17 日も日系自動車大手の担当者がブースを訪れ、「こういった分野は従来の自動車会社では難しい。 一緒に何かできないか興味を持っている。」と話した。

2015 年に北京市で設立され、人工知能向けの半導体で急成長するベンチャー、ホライズン・ロボティクスの展示車両は、観光地を告げると遊びに行くと認識して楽しい音楽が流れたり、携帯電話を耳にかざすしぐさをすると電話がかかってきたと判断して音楽を止めたりする。 ハンドル奥のカメラでドライバーの顔や性別を認識していて、女性社員が乗り込むと「こんにちは、きれいなお嬢さん」と話しかけた。 ガソリンが減ったら、安価な給油所を探してルートに組み込む。 車内がうるさくても、唇の動きを読み取って問題なく作動する。 同乗者と盛り上がって運転手が笑顔を見せると、写真撮影までする。

歩行者の行動を予測する自動運転向け半導体も開発している。 独アウディが中国東部で自動運転の公道実験をするときの現地パートナーに選ばれた。 張玉峰副総裁は「日本の自動車メーカー 2 社が興味を持ってくれている」と話す。 モーターショー期間中にブースを訪れた日本の大手自動車部品メーカーからは日本でのデモを希望する声もあるという。

中国では、政府の支援もあって「コネクテッド」技術の開発が盛んで、百度(バイドゥ)やアリババ集団など多くの中国 IT 大手が自動車分野に進出している。 中国で浸透しているキャッシュレス決済との相性もいい。 日産の内田誠専務執行役員は「コネクテッド技術は中国が進んでいる。 車内で暑いと言えばサンルーフが開いたり、車の中からホテルを予約したり。非常に驚いている。」と話した。 (上海 = 宮嶋加菜子、細見るい、友田雄大、asahi = 4-22-19)


EV で中国市場攻める 日本メーカー、上海で新型車続々

世界最大級の自動車展示会「上海国際モーターショー」が 16 日、中国・上海市で開幕した。 世界最大の中国市場は昨年、28 年ぶりに新車販売が前年割れに。 今年 1 - 3 月も前年比 1 割以上減っており、減速感が強まっているが、日本勢は好調を維持している。 苦戦する現地メーカーなどからシェアを奪おうと、中国政府が普及に力を入れる電気自動車 (EV) を相次いで発表した。

「中国では初となる EV。 かっこいいですよね?」 2020 年に中国で発売する EV の小型 SUV (スポーツ用多目的車)「C-HR」を世界初公開したトヨタ自動車の吉田守孝副社長は、この日午前の発表会で胸を張った。 トヨタは 20 年代前半までに世界で 10 車種以上の EV を投入する計画だ。 「非常に重要なマーケット」と位置づける中国市場を皮切りに EV 戦略を本格化させる。 環境規制の強化や補助金などの優遇策によって「EV 大国化」が進む中国では欧州勢に加え、ホンダや日産自動車もすでに EV を投入している。

トヨタも遅ればせながら参戦する。 中国の 18 年の新車販売台数は、減税終了の反動や景気低迷の影響で前年割れとなったが、トヨタは前年比 14% 増の 147 万 5 千台を売り、過去最高を更新。 1 - 3 月も 7% 増と好調を保つ。 米中貿易摩擦の影響もあって米国勢が苦戦する中、高級車ブランド「レクサス」などが好調だった。 トヨタの中国での生産は 18 年に 131 万台で、日産、ホンダの後塵を拝する。 吉田氏は「需要と競争力があればどんどん生産していきたい」と増産を進める方針も示した。

トヨタは今月、ハイブリッド車 (HV) の開発で培ってきた電動化技術の特許の大部分、約 2 万 3,700 件を無償で提供し始めた。 上海では中国の EV ベンチャー、奇点汽車がトヨタの技術を採用した小型 EV を公開した。 前年割れしたとはいえ、中国は新車販売が年間約 2,800 万台と世界の 3 割を占める巨大市場だ。 メーカー各社は需要が伸びる余地はまだあるとみて、シェア拡大に躍起だ。

やはり中国で業績好調なホンダは、中国の専用 EV では 2 車種目となる「X-NV コンセプト」を発表。 今年後半に発売する予定で、湖北省武漢市で生産する。 ホンダは HV を含む電動車を 25 年までに 20 車種超投入する計画だ。 日産は現地向けの低価格ブランド「ヴェヌーシア」からも新型の EV 3 車種を発表。 主力の新型セダン「シルフィ」も世界初公開した。

18 年の中国市場で振るわなかったのは、米中通商紛争で一時、追加関税がかかった米国勢と、地元の中国勢だ。 中国勢は次代を見据えた戦略で再起を目指す。 「中国は 20 年に公共バスが、22 年にはタクシーがすべて EV になると予測している。」 中国 EV の先駆者として知られる比亜迪 (BYD) 創業者の王伝福会長は来たるべき「全面電動化時代」の到来を宣言した。 世界の競合他社が相次いで参入する乗用車以外の電動化に力を入れる方針を示した。 BYD は EV バスの外国展開を進めており、日本でも沖縄県や京都府などで走っている。

一方、地元の上海汽車集団は、今年から世界で本格展開が始まる次世代の高速通信規格「5G」に対応したコンセプト車を展示した。 自動運転でドライバーを運転から解放し、高速通信を通じて車内で映画やコンサートを楽しめるといううたい文句だ。 水素で走る燃料電池車 (FCV) の新型車の計画も発表した。 5 分以内に水素を補充でき、マイナス 30 度以下の低温環境でも起動が可能という。 厳しい中国北部の冬にも対応できるようにした。 (上海 = 細見るい、友田雄大、宮嶋加菜子、福田直之、asahi = 4-17-19)


レンジローバーそっくりの車、販売停止命令 中国で初か

英自動車大手ジャガー・ランドローバーのスポーツ用多目的車 (SUV) 「レンジローバー・イヴォーク」をまねたとして、北京市朝陽区の裁判所は中国メーカーの江鈴汽車に対し、同社の SUV 「陸風 X7」の製造販売を即刻停止するよう命じる判決を出した。 北京紙「新京報」は中国企業が外資の自動車を模倣したと裁判所が正式に認めた初のケースと報じている。

これまで多くの外資が中国企業による模倣被害を訴えてきたが、敗訴や和解で決着したとされる。 米中通商紛争で中国は知財保護の徹底を求められており、実際の行動で示した形だ。 模倣の取り締まりが強まれば、中国に進出する日本企業にもプラスになる。 判決は 22 日にジャガー・ランドローバーが発表した。 同社によると、判決は陸風 X7 がイヴォークの五つの特徴について直接模倣していると認定し、消費者が混同するとした。 その上で、江鈴汽車が陸風 X7 の生産・販売を即刻停止し、ジャガー・ランドローバーに賠償金を払うよう命じた。

判決を受け、同社幹部は「判決は対中投資への自信をさらに強めるものだ」との談話を発表した。 陸風 X7 の価格は 12 万 9,800 元(約 210 万円)からで、37 万 5,800 元からのイヴォークの 3 分の 1 にとどまる。 新京報によると、陸風 X7 は 2014 年 11 月の広州モーターショーに出展された時点で、イヴォークと似ているとして議論を呼んでいた。 (北京 = 福田直之、asahi = 3-26-19)


中国新車販売 1 - 2 月は 14% 減 乗用車の低迷続く

【広州 = =川上尚志】 中国汽車工業協会は 11 日、1 - 2 月の新車販売台数が前年同期比 14.9% 減の 385 万 2,000 台だったと発表した。 新車販売の 8 割強を占める乗用車が苦戦した。 中国の新車販売台数は 2018 年 7 月から前年実績を下回り続けている。 中国政府は 19 年 1 月から消費刺激策を打ち出したが、需要の回復には時間がかかるとの見方が強い。

2 月単月の新車販売台数も 13.8% 減と低調だった。 「(特定の車が売れていないということではなく)不景気で、新車が全体的に売れていない(広東省広州市の販売店)」状況で、市場は厳しさが増している。 1 - 2 月の新車販売台数の内訳は、乗用車が 17.5% 減の 324 万 3,000 台だった。 車種別ではセダンが 14.7% 減、多目的スポーツ車 (SUV) が 18.6% 減といずれも苦戦した。 商用車は 2% 増の 60 万 8,000 台だった。 電気自動車 (EV) などの新エネルギー車は約 2 倍の 14 万 8,000 台と好調だった。

メーカー別では欧米系の苦戦が目立つ。 中国の乗用車の業界団体によると、独フォルクスワーゲン (VW) の中国合弁会社である一汽 VW は 1 - 2 月に 2 割超のマイナスとなった。 米フォード・モーターは 1 - 2 月の実績を公表していないが苦戦が続いているとみられ、中国の主力合弁会社で人員削減に踏み切る。 日系メーカーでは 1 - 2 月にトヨタ自動車とホンダが前年実績を上回ったが、日産自動車はマイナスで明暗が分かれた。

中国政府は 1 月、一部の排ガス規制対応車や農村での小型乗用車への買い替えに補助金を支給する消費刺激策を打ち出し、需要喚起を目指している。 ただ景気減速を背景に新車の買い控えが続いており、現状では買い替えの動きは農村など一部にとどまっている。 中国の正月である春節に絡む大型連休は毎年、時期が異なり、2 月単月の新車販売実績を前年同期と比べても実態を正確に表さない。 (nikkei = 3-11-19)


1 月の中国新車販売 15% 減、乗用車の不振続く

【広州 = 川上尚志】 中国汽車工業協会は 18 日、1 月の新車販売台数が前年同月比 15.8% 減の 236 万 7,300 台だったと発表した。 7 カ月連続で前年実績を割り込んだ。 景気減速で買い控えが広がり、乗用車の落ち込みが深刻だった。 業界内では中国政府の消費刺激策で 2019 年通年で需要が回復するとの期待はあるが、底打ちには時間がかかる可能性がある。

中国では春節(旧正月)に絡む大型連休の時期が毎年異なり、19 年は 2 月上旬からで前年の 2 月中旬より早かった。連休前に休業する新車販売店が多く、稼働日が少なかったことも販売台数を押し下げた。 新車需要の 9 割近くを占める乗用車は、17.7% 減の 202 万 1,100 台だった。 車種別では 18 年前半まで好調だった多目的スポーツ車 (SUV) が 18.9% 減、セダンも 14.9% 減と苦戦した。 「乗用車市場は依然として低迷している。(中国汽車工業協会)」

商用車は 2.2% 減の 34 万 6,200 台と乗用車に比べ減少幅は小さかった。 電気自動車 (EV) など新エネルギー車の販売台数は 2.4 倍の 9 万 6 千台で拡大が続いた。 日系メーカーではトヨタ自動車が 15% 増と 11 カ月連続のプラスだった一方、日産自動車やマツダ、三菱自動車はマイナスとなり明暗が分かれた。

中国の新車販売台数は 18 年に 28 年ぶりのマイナスとなった。 中国政府は 19 年 1 月末、旧型の排ガス規制対応車や農村での小型車への買い替えに補助金を支給する消費刺激策を発表した。 各種政策の効果が今後出てくることで、「19 年下半期には市場の成長が回復する(日系自動車メーカー)」との見方がある。 (nikkei = 2-18-19)


トヨタ自動車、1 月の中国自動車販売は前年比 +24.5%

[北京] トヨタ自動車は 2 日、1 月の中国自動車販売が前年比 24.5% 増の 12 万 7,500 台になったと発表した。 12 月は 5.6% 減だった。 同社は今年、中国で最大 140 万台の販売を目指す方針を示した。 17 年の販売台数は 129 万台。 (Reuters = 2-2-18)


中国の車載用電池に淘汰の波、「2020 年問題」迫る

世界最大である中国の電気自動車 (EV) 用の電池市場で「2020 年問題」が浮上している。 EV 業界の支援を続けてきた中国政府が 20 年に補助金を打ち切り、中国の多くの電池企業が淘汰される見通しだからだ。 生き残るのは寧徳時代新能源科技 (CATL) や比亜迪 (BYD) など一部の大手企業のみともされる。 中国景気に陰りが見える中、政府が推進してきた EV シフトにも暗雲が垂れ込める。

「中国の最近の(EV 関連の)政策は、技術力の低い企業を淘汰させる方向へ切り替わった。 (20 年の)補助金制度が終わる前に、我々もさらに競争力を高めなければならない。」 車載用電池で世界シェア 3 位の中国電池大手の BYD。 同社の経営幹部は今、危機感を強め、こう打ち明ける。 中国政府が国策として、EV に搭載する基幹部品の車載用電池の育成強化に力を入れ始めたのは、12 年ごろのこと。 業界に 1 兆円を超える補助金を投入し、中国には数百社の電池メーカーが誕生した。 一方、外資が補助金の恩恵を受けることはほぼ無かった。

補助金は巨額で、例えば、中国の EV メーカーには EV 1 台を生産・販売するごとに 100 万円以上の補助金を支給し、電池各社には工場建設費用の多くを政府が負担した。 その恩恵の先頭に立ってきたのが BYD だ。 だが、そんな中国大手の BYD でさえ、20 年以降の「補助金無し」に身構える。 補助金を除く実力評価では、まだパナソニックや韓国勢に地力で劣るとみられるからだ。

実際、中国政府が EV 業界に多額の補助金を支給し始めた 15 年 12 月期。 同社の同期の純利益は 6.5 倍にも膨らんだ。 16 年 12 月期も約 8 割増と急増した。 しかし中国政府が補助金を減額し始めると、同社の 17 年 12 月期の純利益は 2 割減と急減。 18 年に政府がさらに補助金を 3 割減らすと、BYD の 18 年 12 月期の純利益も 2 - 3 割減と大きく減る見込みとなり、もろさを露呈している。

他社でも補助金減額の余波が広がる。 18 年 7 月には深セン市沃特瑪電池(オプティマムナノエナジー)が生産停止に陥った。 同社は中国市場で 17 年に 3 位の大手だが、政府補助金の減額で経営が立ち行かなくなった。 18 年 1 - 10 月期の車載用電池メーカー出荷ランキングでは 10 社のうち 7 社が中国企業で占める。 だが「中国政府の後ろ盾なしにその地位はあり得ない(日系電池メーカー)」のが実態で、ランキングからは中国企業の実態はまだ見て取れない。

だが、補助金減額の嵐は止むこと無く、中国各社には 2020 年問題が今後待ち構える。 政府は既に補助金を 20 年以降、ゼロとする方針を掲げており、淘汰は必至だ。 中国政府は 29 日、消費刺激策の一環で、EV への補助金を拡大する方針を示したが、対象は一部車種に限られ、従来の補助金削減の方針は変わっていない。 中国の電池メーカーは今後も厳しい現実にさらされる。

中国調査会社の GGII によると中国の車載電池メーカーは 17 年の 135 社から 18 年には 90 社に減った。 中国の自動車市場に詳しいみずほ銀行国際営業部の湯進主任研究員も「最終的に生き残る中国メーカーは 20 社程度だろう」と指摘する。

「台風で舞い上がる豚は本当に飛べるのか?」

BYD と並ぶ中国大手の CATL の曽毓群会長は最近、社員にこんなメッセージを投げかける。 台風とは補助金などの政府支援を指し、豚とは技術力の低い中国の電池メーカーを指す。 大手の同社ですら、補助金頼みの成長から何とか脱しようと今、必死でもがく。 理由は補助金の打ち切りだけではない。 20 年以降に補助金が無くなれば、中国企業は政府支援を失い、真っ正面からパナソニックや LG 化学といった有力外資に向き合わざるを得なくなる。 そのときに本当に勝てる企業になっていられるのか。 2020 年は刻一刻と迫っている。 (nikkei = 1-29-19)


アイシン、中国でアルミ鍛造工場新設

【上海 = 吉田悟巳】 アイシン精機は 17 日、中国・安徽省で乗用車向け AT (自動変速機)のアルミ部品を生産する鍛造工場を新設すると発表した。 20 日に着工し、2020 年 8 月に生産を開始する予定。 約 100 億円を投資し、生産能力は年間 70 万台。 中国東部の華東地区にある浙江吉利羅佑発動機との合弁会社向けに部品を供給する。 16 日から開かれている上海国際自動車ショーで同社中国法人の伊藤慎太郎総経理が発表した。 また、伊藤氏は浙江省でもアルミ部品増産のために用地を取得し、工場の移転を計画していると明らかにした。 (nikkei = 1-17-19)


中国の 18 年新車販売台数、28 年ぶり前年割れ

【北京 = 鎌田秀男】 中国の自動車業界団体「中国汽車工業協会」が 14 日発表した 2018 年の新車販売台数は、前年比 2.8% 減の 2,808 万台だった。 協会によると、年間ベースでの前年割れは天安門事件直後の 1990 年以来、28 年ぶりという。 世界一の市場規模は 10 年連続で維持した。 協会は、19 年の販売台数は 18 年から横ばいにとどまり、当面は低成長が続くと予測している。

新車販売のうち、これまで市場を先導してきたスポーツ用多目的車 (SUV) は前年比 2.5% 減の 999 万台と、勢いを失った。 電気自動車 (EV) など新エネルギー車は 61.7% 増の 125 万台と、好調を維持した。 12 月単月の新車販売台数は前年同月比 13.0% 減の 266 万台と、7 月から 6 か月連続の前年割れとなった。 (yomiuri = 1-14-19)


車減産、中国で広がる 日産・マツダも

市場縮小が影 景気の減速要因に

世界最大の自動車市場である中国で減産の動きが広がっている。 販売不振の米フォード・モーターや韓国・現代自動車などに続き、日産自動車とマツダも 2 割程度減産する。 中国の新車販売は消費マインドの冷え込みなどで 2018 年に 28 年ぶりに減少に転じ、自動車工場全体の稼働率は 6 割台に低迷する。 自動車産業は中国の国内総生産 (GDP) の約 1 割を占めるとされ、雇用や関連産業への波及で中国景気の減速要因になる恐れがある。

日産は 12 月から大連工場(遼寧省)や鄭州工場(河南省)など主力 3 工場で 2 割程度の減産を始めた。 3 月まで生産ラインの一時停止などで 3 万台前後を減産し、在庫の適正化を急ぐ。 マツダも 19 年 1 - 6 月に 18 年の生産実績から減らす検討に入った。 中国企業への委託生産も含め、減産幅は最大で 2 割になる可能性がある。 日本車は不振の米国や韓国メーカーと比べて堅調だったが、市場全体の縮小の影響が及んできた。

フォードは 1 - 11 月の販売台数が 34% 減と落ち込み、一部工場の稼働率は 50% を割り込んでいるもよう。 米ゼネラル・モーターズ (GM) も小型車工場の生産台数が 11 月に 4 割減となった。 現代自は 17 年から減産を続けており、「工場稼働率は 6 割程度。(現地部品メーカー幹部)」 中国第一汽車集団や中国長安汽車集団などの独自ブランド車も減産を拡大しているとされる。

一方、トヨタ自動車やホンダは主力車種が好調で減産計画はないという。 独フォルクスワーゲン (VW) も好調な高級車が支え、11 月の生産台数も数 % 減にとどまる。 中国の新車販売台数は 11 月に 5 カ月連続でマイナスとなり、18 年に 1990 年以来 28 年ぶりの減少となる見通しだ。 要因は主に 3 つある。 中国は大都市の交通渋滞緩和や大気汚染の抑制のため、ガソリン車のナンバープレート発給を厳しく制限している。 18 年は北京や上海の 8 都市に海南省が加わった。

また不動産価格の下落に伴い高額消費が冷え込み、けん引役だった地方都市圏で新車販売が落ちこんだ。 さらに昨年末の小型車減税の駆け込み需要の反動減も、マイナス幅を大きくしている。 英プライスウォーターハウスクーパースの調査によると、中国の自動車工場の稼働率は 5 年前は 7 割台だったが、近年は 6 割台で推移する。 中国メディアによると年産能力は今年末の 4,000 万台から、25 年に 4,500 万台に達するという。 政府も過剰能力対策に乗り出した。 19 年から工場が立地する地域の工場稼働率が全国平均を上回らないとガソリン車の新工場建設は認めない。

中国の鉱工業で自動車は最大の産業で、GDP に占める比率は約 3% とみられる。 全国の販売店や保守サービスを含めると GDP の 1 割に達するとの見方もあり、販売・生産動向は中国経済全体に影響する。 また世界の新車販売の 3 割を占める中国での減産拡大は、部品や素材などのサプライチェーンを通じて世界経済にも影響が及ぶ。 米国や欧州など世界の自動車販売が踊り場にさしかかるなか、成長のけん引役を失う恐れもある。 (北京 = 多部田俊輔、湯沢維久、山本夏樹、nikkei = 12-28-18)


中国、乗用車販売急ブレーキ 不動産取引過熱で買い控え

中国の乗用車販売に急ブレーキがかかっている。 不動産取引の過熱で市民の懐に余裕がなくなったほか、ネット金融への規制が強まって高額品の買い控えが起きたためだ。 取得税優遇の終了も響いた。 経済官庁の幹部は市場の低迷は長期化すると見通しており、巨大な成長市場に期待をかけてきた日本メーカーの衝撃も大きい。

中国自動車工業協会によると、9 月の乗用車販売は前年同月比 12% 減の 206 万台で、3 カ月連続で伸び率が前年を割った。 足元で改善しつつある小売総額の伸び(9 月は同 9.2% 増)とは対照的に、鈍化が鮮明になった。 これまでとりわけ好調だった SUV (スポーツ用多目的車)の売れ行きが減退している。 今年 1 - 9 月の累計は、前年同期の 2.4% 増から 0.6% 増まで落ち込んでおり、通年では前年割れとなる可能性もささやかれ始めた。 (北京 = 福田直之、木村聡史、asahi = 10-27-18)


中国 5 月の新車販売 9.6% 増、新エネ車は 2 倍

【北京 = 多部田俊輔】 中国汽車工業協会は 11 日、5 月の新車販売台数が前年同月比 9.6% 増の 228 万 7,700 台だったと発表した。 多目的スポーツ車 (SUV) に加えセダンも好調で 2 カ月連続で 10% 前後の伸びとなった。 大都市のガソリン車の販売規制を追い風に電気自動車 (EV) など新エネルギー車の販売は 2 倍以上となった。

乗用車販売は 7.9% 増の 188 万 9,400 台。 市場をけん引してきた SUV が 6.5% 増の 76 万台と伸び率が鈍化し、セダンが 12.1% 増の 94 万台と全体を押し上げた。 商用車は 39 万 8,300 台と 18.6% 増えた。 EV を中心とする新エネ車は前年同月の 2 倍以上となり 10 万 2,000 台。 自動車業界のアナリストは「大都市で定着したガソリン車の販売規制とメーカー側の品ぞろえ強化が購入につながった」と分析する。 メーカー別では中国独自ブランドの浙江吉利控股集団が 6 割増。 独フォルクスワーゲン (VW) も堅調に伸びている。 (nikkei = 6-11-18)


中国、乗用車の輸入関税率を 15% に引き下げ - 7 月 1 日実施

⇒ フォードや BMW など外国勢に追い風 - 米中貿易戦争懸念を和らげる
⇒ 自動車部品の輸入関税率も 6% に引き下げる - 財政省発表

中国は 7 月 1 日、乗用車に課す輸入関税率を 15% に引き下げる。 米フォード・モーターやドイツの BMW などの外国メーカーにとって追い風となるほか、米中間の貿易戦争が差し迫っているとの懸念を和らげることになる。 中国財政省が 22 日、ウェブサイトに掲載した声明で発表した。 現行の乗用車輸入関税率は 25%。 自動車部品の輸入関税率も 6% に引き下げる。 ブルームバーグ・ニュースは先月、中国が自動車の関税率を 10%、または 15% に下げる案を検討していると報じていた。

中国の自動車メーカーが海外事業を拡大する中、外資系メーカーは本土自動車市場への一段のアクセス自由化を求めてきた。 中国政府は先月、外国企業に自動車合弁への 50% を超える出資を認める計画を公表した。 昨年の輸入車数は 122 万台と、中国の自動車販売全体(約 2,890 万台)の 4.2% 程度を占めた。 習近平国家主席は 4 月のボアオ アジア フォーラムでの演説で、自動車の輸入関税引き下げ方針をあらためて表明していた。 (Bloomberg = 5-22-18)


中国 EV シフトの本質 - - 売れない EV をどうやって売るつもりなのか

北京モーターショーに見る中国の EV シフトの本気度とは? そこには体力勝負、国力勝負の EV シフト化がある、と小沢コージがリポートする。

NEV 規制は確かに厳しいが確かに重要

2 年ぶりに「オート・チャイナ 2018」こと北京モーターショー 2018 と、ほぼ同時に行われた中国自動車メディア、IIA による中国車試乗会に行ってきた。

その 174 台という大量の新エネカーに EV コンセプトもさることながら、特に印象に残ったのは IIA 産業市場部総経理、王さんの「NEV 規制は絶対上手く行きますから」の言葉だった。 これは 2019 年から中国で始まる新しい自動車販売規制のことで、ざっくり各メーカーが販売台数の 10% を NEV (新エネルギー車)に変えないと翌年の販売台数を減らされる。 NEV といってもピュア EV からプラグインハイブリッドから燃料電池車 (FCV) まであり、それぞれで獲得ポイント数が違うので一概には言えないが、要は EV 等を全体販売数の 1 割は売らないと中国ではより稼げなくなるのだ。 もっと言うと 2020 年は 12% 売らなければいけなくなる。

今後、2017 年の年間 2,900 万台弱からさらに増えて 3,000 万台越えも目される超巨大マーケット中国。 2 位北米が年間 1,700 万台から、3 位日本も年間 500 万台から減りつつある中、伸びが見込める大国はここぐらいであり、いきおい世界の自動車メーカーは必死にならざるを得ない。

実際、ドイツ VW グループは年販 1,000 万台のうち 400 万台以上を中国大陸で売り、メルセデス、BMW、アウディのジャーマンスリーもそれぞれ年間 60 万台弱を中国で売る。 比べると日本で売れる VW はわずか 5 万台弱で BMW グループ、メルセデスグループが 7 万台前後。 まさに日本の 10 倍近いわけで、コチラで頑張る気持ちがよーくわかるだろう。

とはいえ日本の日産リーフがそうであるように、EV はそう簡単には売れない。 排ガスがキレイで走りもスムーズだが、新型リーフにしろ安くなったといっても 300 万円以上するし、テスラ・モデル S は安いのですら 800 万円以上。 加えどこで充電する? 先に他 EV が充電していたらやっぱり待たされる? など充電問題や航続距離問題も依然としてある。 要するに EV はどの国でもより魅力的じゃなければならず、今回の北京ショーでもあの手この手の作戦が発表されたのだ。

まず日本ブランドからはトヨタが人気の中国産ハッチバックのカローラ & レビンに電池増し増しの PHV 仕様を発表したし、新春、今後 5 年で 600 億元(約 1 兆円)を投資すると発表した日産は遂にブランド初の現地生産 EV 「シルフィ・ゼロエミッション」を発表した。 かたやホンダは自主ブランド「理念」による「EV コンセプト」を発表。 イマドキの SUV スタイルで、現地カーシェアリングの Reachstar 社からシェアカーとしても使われるとか。

いっぽう、露骨なプレミアム作戦を採ったのは BMW で既存 SUV の X3 がベースのピュア EV 「コンセプ トiX3」を発表。 電池容量は 70kWh と巨大で航続距離は 400km 以上。 最高出力も 200kW レベルというから値段はかなりするはず。

そして極めつけはメルセデスのさらに上を行く高級ブランド、メルセデス・マイバッハの新 SUV コンセプト「アルティメット・ラグジュアリー」。 全長 5,160 x 全幅 2,110mm の超ド級のサイズだけじゃない。 モーターを 4 つ搭載し、タイヤそれぞれを独立して駆動。最高出力 750ps、搭載電池は 80kWh とバカバカしいまでに超ラグジュアリー。 まさに八方尽くして EV を売ろうしてるのが見え見えなわけだ。

本当に売れてる中華 EV は恐ろしいほど補助金漬け!

かたや翌日の IIA 試乗会でシビアな中国の EV 販売作戦が見えてきた。 そもそも去年約 60 万台と世界で一番 EV が売れた国、中国。 テスラが人気とは聞いていたけど、せいぜい 1 万台チョイと聞いてたし、日産リーフも世界で一番売れる国は北米。 そう、中国では中国向けの専用 EV が売れているのだ。

例えば 2017 年、中国で 7 万 8,079 台売った販売ナンバーワン EV は北京汽車の EC シリーズだ。 これはほぼ中国専用のハッチバックであり、お次 4 万 2,342 台も売れた「知豆 D2」はなんともキテレツな中国専用 2 人乗り EV。 今回ラッキーにもこれに試乗会で乗ることができたのだが驚いた。 全く魅力的じゃないのだ。 まさしく顔だけが走ってるサカナの如し。 スタイルがしょぼく、スマート・フォーツーやトヨタ iQ 以上にカッコ悪いだけじゃない。 出力も 15kW とパワーがなくて遅すぎるし、乗り心地もガタガタ。 衝突安全も超疑問だし、まったく乗る気になれないのだ。

一体なんでこれが売れるんだ? と思い、小沢は値段表を見て愕然とした。 電池を 18kWh も搭載しているからだろう。 補助金ぬきだと 18 万 8,000 元、つまり 325 万円もするのに、補助金を差し引くとわずか 5 万 5,800 元、つまり 98 万円になる。 小沢は一瞬目を疑ったが、これは中国 IIA からいただいた資料である。 多少間違いがあるとしても、尋常ならざる補助金が出ているのは間違いない。 ちなみに他の中華2人乗り EV 「芝麻 eZ」は 10 万 9,800 元、189 万円が 4 万 9,800 元、86 万円になっていた。 いずれにせよ 100 万円から 200 万円ぐらいの補助金が出ていることになる。

そう、中華 EV は恐ろしく安く、メチャクチャ補助金が出ている。 しかもおそらくそれを今後 100 万台レベルで続けていくつもりなのである、中国は。 ズバリ億どころか兆レベルの補助金になるが、この国ならばやりかねないような気がした。 大量に電池を作っているうちに電池を本当に安くしようという作戦なのかもしれない。 恐ろしい体力勝負、国力勝負の EV シフトが始まりつつあるのである。 今後もしっかりこのなりゆきを見守る必要があると感じた北京取材なのであった。 (GQ = 5-20-18)


中国で産声上げる自動運転の半導体新興企業 輸入依存から脱却目指す

⇒ 百度の元 AI 責任者設立の地平線、エヌビディアなどに狙い定める
⇒ 中国は高性能半導体やAIに製造業の軸足を移し付加価値高める

中国当局は 10 年以内に 3,000 万台の自動運転車を配置することを目指し、国内半導体産業の育成を進めている。 これに伴い、車載半導体を手掛ける地平線机器人(ホライズン・ロボティクス)などの新興企業が台頭しつつある。 自動運転ビジネスが緒に就き、世界貿易を巡る不透明感が広がる中、北京に本社を置く地平線はエヌビディアやモービルアイに狙いを定めている。 ガートナーによると、自動運転車に使われる半導体の世界の年間売上高は 2021 年までに 50 億ドル(約 5,250 億円)と 2 倍強に拡大する見通しだ。

中国はコモディティー化しやすいスマートフォンやテレビから、自動運転や宇宙船にも使える高性能半導体や人工知能 (AI) に製造業の軸足を移し付加価値を高めようとしており、地平線はその一例となっている。 この政策により、中国は原油輸入額を上回る年 1 兆 7,500 億元(約 29 兆円)に上る半導体輸入を減らすことになりそうだ。 清華大学微電子学研究所の魏少軍所長は上海で開かれたフォーラムで、「中国に対する米政府の保護主義を巡りわれわれが懸念を強める中、安心感を高めるには自前の半導体技術の開発に全力を挙げる必要がある」と述べた。

これは習近平国家主席の優先課題の一つにもなっており、国内半導体企業への投資資金として最大 2,000 億元を集めることを目指しているとブルームバーグは先に報じていた。 中国政府系の国家集成電路産業投資基金の丁文武総裁は「皆が同じスタートラインに立っており、中国には機会が生まれている」と話す。 地平線は、百度(バイドゥ)で深層学習研究院と呼ばれる AI 事業責任者だった余凱氏が 15 年に創業。 同社にはインテル・キャピタルや上海に拠点を置く嘉実基金管理(ハーベスト・ファンド・マネジメント)、ロシアの富豪ユーリー・ミリネル氏、国有の中国建銀投資などが出資している。 昨年 12 月には 1 億ドルの資金調達を完了した。

地平線が開発する郵便切手よりも小さい回路基板は「ジャーニー 1.0」と呼ばれ、1 月に開かれた米ラスベガスの家電見本市「CES」では米ゼネラル・モーターズ (GM) の「GMC ユーコン XL」に搭載された。 この半導体を使えば歩行者や車両、車線など最大 200 の目標物をリアルタイムで感知し、自動運転車の衝突回避を支援できる。 地平線は将来の自動運転車を見据え、フォルクスワーゲン (VW) 傘下のアウディや米フォード・モーターの中国合弁パートナーである重慶長安汽車、ドイツの自動車部品メーカーのロバート・ボッシュと協力している。 長安汽車の自動運転車は 16 年に中国国内で 1,200 マイル(約 1,930 キロメートル)の路上テストを終えた。

中国政府は今後 10 年で約 1,500 億ドルを投じる方針だ。 清華大の魏氏は「世界の主要国は産業のアップグレードに向けて政策や人材、資本など全資源を投じている。 中国も例外ではない。」と語った。 (Bloomberg = 3-26-18)


日産ら 3 社連合、中国配車大手と提携 シェア用 EV 提供

日産三菱・ルノー連合は 7 日、中国の配車大手「滴滴出行(ディディチューシン)」と、電気自動車 (EV) のカーシェアリング事業で提携すると発表した。 滴滴のアプリを使って、3 社連合が生産する EV に乗れる事業を都市部を中心に進めるとみられる。 車種や台数、事業地域などは明らかにしていないが、中国の主な都市部に事業が広がれば、相当規模のシェア用の EV を提供することになる。

滴滴は自家用車で客を運ぶ「ライドシェア」のほか、タクシーやハイヤー事業を中国全土で展開しており、アプリ登録者は 4 億人にのぼる。 3 社連合にとっては、こうした配車事業でのノウハウを得られる利点もありそうだ。 3 社連合は、中期経営計画で 2022 年までに世界で 12 車種の EV を発売する予定で、将来は無人運転による配車事業にも参画することを表明している。 (高橋克典、asahi = 2-8-18)


トヨタ自動車、1 月の中国自動車販売は前年比 +24.5%

[北京] トヨタ自動車は 2 日、1 月の中国自動車販売が前年比 24.5% 増の 12 万 7,500 台になったと発表した。 12 月は 5.6% 減だった。 同社は今年、中国で最大 140 万台の販売を目指す方針を示した。 17 年の販売台数は 129 万台。 (Reuters = 2-2-18)


ホンダ、中国アリババと「コネクテッドカー」共同開発へ

ホンダは、中国インターネット通販最大手の阿里巴巴(アリババ)集団と、ネットに接続する自動車「コネクテッドカー」を開発する。 車に乗ったまま駐車代金を電子決済できる機能などを導入し、世界最大の市場である中国に次世代の車を投入する足がかりにする。 ホンダはアリババ傘下の地図情報大手、高徳軟件(オートナビ)と連携し、コネクテッドカーのサービスを開発する。 オートナビは、2015 年にカーナビの分野で協業した相手。 地図情報をもとに、駐車場やガソリンスタンドでの支払いを車でできる機能を持たせる計画だ。

アリババの関連会社にはほかにも、登録者が 5 億人を超え、中国の広い地域で普及している決済システム「支付宝(アリペイ)」があり、コネクテッドカーへの活用も想定される。 ホンダは 18 年に中国で発売する電気自動車 (EV) では、IT 大手の東軟集団(ニューソフト)と共同開発するなど、新しい技術の導入を巡って現地企業との連携を強化している。 (asahi = 1-4-18)