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中国を出発、EV など 3,000 台積んだ貨物船で火事 = 中国ネット 「バッテリー爆発?」 「陰謀だ」

中国メディアの紅星新聞は 5 日、「3,000 台の自動車を積んだ貨物船が太平洋上で火事になった」と報じた。 記事は、海外メディアの報道として、メキシコに向かってアラスカ沖を航行していた自動車運搬船「モーニング・ミダス号」で火災が発生し、同船を管理するゾディアック・マリタイム社が「3,000 台のうち 800 台が電気自動車 (EV) だった」と明かしたことを伝えた。 また、乗組員 22 人にけがはなく、船を放棄して退避したことも併せて報じている。

さらに、ゾディアック社の声明として、「最初に一層デッキから煙が出ているのが目撃された。 乗組員はただちに船内の消火システムを起動し緊急対応に当たったが、制御できなかった」と説明。 米沿岸警備隊が救援などに当たっていること、EV が関係する船上火災は消火が困難であることを伝えた。

なお、ロイターによると、同船はリベリア船籍で、5 月 26 日に中国・山東省の煙台港を出発しており、最初に煙が上がったのは EV を積んだ甲板からだったということだが、紅星新聞の記事では「中国から出発した」、「EV を積んだ甲板から煙が出た」などの記述は省かれている。 また、中国のポータルサイト・騰訊網の同記事には「いいね」が 2,480 件付いているのに対してコメントは「0 件」となっており、コメント投稿に何らかの制限がかけられていることがうかがえる。

一方で、中国の SNS・微博(ウェイボー)では、一部のアカウントが「中国の煙台港から出発した」旨をはっきりと紹介しており、ネットユーザーからは「これって …」、「もしかしてバッテリーが爆発? (汗)」、「EVの自然発火じゃないよね?」、「(発火した自動車は)新しい国家基準に適合していないようだ」、「どこのメーカーなの?」といった声や、「陰謀だ」、「誰かが故意にやった(放火した)と疑わざるを得ない」、「100% 米国人がやった」などと主張する声が上がっている。 (北田、Reocrd China = 6-5-25)


中国 EV 株が軒並み下落、BYD の大幅値下げで競争激化懸念広がる

中国の電気自動車 (EV) メーカー、比亜迪 (BYD) による最大 34% に及ぶ大幅値下げを受け、26 日の香港市場では中国 EV 株が軒並み下落した。 BYD の株価は一時 8.3% 安。 競合の理想汽車、長城汽車、吉利汽車も 5% 余り下落し、業界内の競争激化を巡る懸念が浮き彫りとなった。 BYD は、6 月末まで EV およびプラグインハイブリッド車 (PHV) の合計 22 車種で値引きを実施すると発表。 業界全体に新たな価格競争の波を巻き起こした。 EV 販売は年間で過去最高を記録しているものの、その伸びは鈍化している。

ティム・シャオ氏を含むモルガン・スタンレーのアナリストはリポートで、「一部の値下げは 4 月からすでに始まっていたものの、今回の正式な発表は市場の厳しさを明確に示す強いシグナルとなった」と指摘した。 BYD による今回の値下げは他のメーカーにも波及し、さらなる価格引き下げを招く可能性がある。 すでに利益率の低い状況にある自動車メーカーにとって、価格競争の激化は収益の圧迫を招き、業界再編や損失拡大につながりかねない。

シティ・リサーチのアナリストはリポートで、「BYD の値下げに他社も追随するだろう」とし、重慶長安汽車などに値下げの動きが出ていると指摘。 週末の値下げを受け、BYD 販売店への客足が前週比で 30 - 40%増加した可能性があるという。 (Danny Lee、Bloomberg = 5-26-25)


「テスラ・モデル Y の半額で登場!」 トヨタ新型 EV 「bZ5」は 630km 走って寝られる SUV だった

トヨタ、新型 EV 「bZ5」を中国市場に投入
BYD バッテリー搭載・最大 630km 走行・急速充電対応
テスラ・モデル Y の "半額" 価格で競争に挑む

トヨタは、中国市場向けの新型電気自動車「bZ5」の事前予約を開始し、注目を集めている。 中国 FAW との合弁会社を通じて生産されるこの電動クロスオーバー SUV は、トヨタの最新デザインと BYD 製バッテリー技術を融合し、高性能ながらも手頃な価格を実現した。 販売価格は 13 万元(約 259 万円)からで、同市場で展開中のテスラ・モデル Y (約 520 万円)のほぼ半額に設定されている。

bZ5 は、2023 年に発表された bZ3C の後継モデルであり、bZ スポーツ クロスオーバー コンセプトをベースに開発された量産車だ。 モデルレンジでは「bZ3」と「bZ7」の中間に位置づけられる。 車体サイズは全長 4,780mm、ホイールベース 2,880mm で、モデル Y とほぼ同等の寸法となっている。

BYD バッテリー搭載で 630km 走行

bZ5 最大の特徴は、トヨタ車として初めて BYD の「ブレード LFP バッテリー」を採用した点にある。 バッテリー容量は 65.28kWh と 73.98kWh の 2 種類が用意され、中国の CLTC 基準でそれぞれ 550km と 630km の航続距離を達成。 急速充電にも対応し、30 - 80% の充電をわずか 27 分で完了できる。 パワートレインは最高出力 200kW (268 馬力)、最大トルク 330Nm の高性能仕様で、同クラスでもトップクラスの実力を備える。 プラットフォームには、トヨタの EV 専用アーキテクチャ「e-TNGA」が採用されており、走行安定性と室内空間の効率的な活用を両立している。

豊富な高級オプション、ベッド変換シートも

「bZ5 は価格以上の装備内容を誇る。 15.6 インチの大型センターディスプレイ、ドライバー視線上に配置されたデジタルメーター、フローティング式のセンターコンソールなどを採用。 前席はベッドモードに変形可能で、車中泊や長距離ドライブ時の快適性を高めている。 ナップモードとの組み合わせにより、移動中の休憩も快適に行える構成だ。 その他にも、パノラマサンルーフ、JBL 製 10 スピーカーシステム、車載用芳香ディスペンサー、9 つのエアバッグを搭載。 さらに、都市部での自動運転を想定したレベル 2 相当の ADAS (先進運転支援システム)も標準またはオプションで提供される。

テスラの半額で市場を開拓 "高コスパEV" の先駆けに

bZ5 は、中国市場においてトヨタ・カローラクロスと同水準の価格帯に設定され、本格的な高コストパフォーマンス EV の代表モデルとしての地位を狙っている。 低価格でありながら、デザイン・性能・安全性・快適性のバランスに優れ、従来の内燃機関モデルに慣れたユーザーからも高い関心を集めている。 bZ5 は、トヨタが再び EV 市場で存在感を示すための、戦略的なキーモデルとして期待されている。 (SpoTV = 5-23-25)


固体電池の特許争いでリードする日本を中国が猛追、競争はますます熾烈に - 中国メディア

2025 年 5 月 19 日、中国メディアの第一財経は、次世代電池として期待される固体電池の開発をめぐる日中両国の争いについて報じた。 記事は、世界的な動力用電池のシェアを獲得できない日本が逆転の望みを託して巨額を投じ開発を進めている固体電池の分野で、中国が猛追を仕掛けているとした上で、両国の状況を固体電池の特許出願という点から分析している。

まず、両国の関連特許出願数を比較。 22 年 9 月現在で日本企業による出願数が全体に占める割合は約 45%、中国の占有率は約 21.8% と 23 ポイントほどの差があったのに対し、今年 5 月現在では日本が約 37%、中国が約 30% と差が7ポイントにまで縮まっていることを紹介した。

また、固体電池特許出願先としての日本と中国の状況に言及。22 年 9 月では日本に出願された割合が全体の約 30.4%、中国が約 26.2% と日本がリードしていたものの、24 年 5 月には日本が約 27%、中国が約 31.4% と逆転、今年 5 月には日本が約 25%、中国が約 35% と差が 10 ポ.イントに開き、今や中国市場が固体電池開発の「主戦場」となったことを伝えている。

記事はその上で、日中両国の主要企業による固体電池関連特許出願状況についても紹介。 日本ではトヨタが出願数約 2,100 件、認可済みの発明特許が約 1,200 件と業界で圧倒的な優位に立っており、パナソニックが出願数約 910 件、認可発明特許約 330 件、日産が出願約 420 件、認可約 200 件、ホンダが出願約 290 件、認可約 110 件となっているとした。

一方、中国勢では寧徳時代 (CATL) が出願約 170 件、認可約 40 件と国内で最も多いものの企業単体としての特許規模では日本がまだ優位に立っていると指摘。 比亜迪 (BYD) や国軒高科、蜂巣能源が出願 90 - 150 件、認可 20 - 60 件となっていることを伝えた。 さらに、日中両国企業による今後の開発スケジュールにも触れ、日本ではトヨタが今年に小規模量産を開始し、30 年までに安定的量産体制確立を目指し、日産も年内に試験工場を稼働させ、28 年に自動車への搭載を予定、ホンダは今年 1 月に試作を開始し、30 年までに量産を実現する計画だとした。

一方、中国では BYD が 27 年に車載実証を実施して 30 年に本格量産化、広州汽車が 26 年に自動車への搭載を実現、長安汽車が今年に試作車を発表し、27 年に量産を実現、上海汽車は 27 年に新たな電池を投入する予定だと紹介。 今後、具体的な目標の達成に向けて両国企業による競争がさらに激しくなるとの見通しを示した。 (川尻、Record China = 5-21-25)


2 度中国に行って EV に試乗した私が衝撃を受けたこと - 米メディア

2025 年 4 月 18 日、中国メディアの環球時報は「2 度中国に行き電気自動車 (EV) に試乗して衝撃を受けたこと」と題した米国メディアの文章を紹介した。 記事が紹介したのは、米 EV メディア InsideEVs の 16 日付文章。 文章の作者は初めて中国を訪れた際に、街には電気自動車があふれ、超高速の充電インフラやバッテリー交換サービスも整っており、手頃な価格の EV が数十種、いや数百種と並んでいるのを目の当たりにしたと紹介。 北京モーターショーにも足を運んで中国の先進技術も確認したと説明した。

そして、2 度目の訪中では 7 つの異なるブランドによるさまざまな価格帯の EV 十数台を試乗し、公道での走行やバッテリー交換を体験した結果「中国の EV は本当に『本物』だ」との結論を得たと言及。 今月 23 日に始まる上海モーターショーでは「中国の自動車産業がさらに高いレベルへと進化している様子を目にすることになるだろう」と大きな期待を寄せた。

作者は、特にこの 5 年で中国の EV メーカーとテクノロジー企業がともに急成長して国内外の消費者から熱い支持を集めており、欧州勢にとっては痛手になっていると指摘。 中国の EV 産業を支える環境が他国ではほとんど不可能であることから、米国をはじめとする各国がどう対処するかは見えない状況だと評した。 作者は最後に「世界の反対側で何が起きているのかを理解することは極めて重要だ。 中国ブランドに好意的であろうとなかろうと、私たちが撮影した映像を見れば、中国の成果がどれだけ確かなものか、誰もが納得できるはずだ。」と結んでいる。 (川尻、Record China = 4-20-25)


ホンダ、広州の EV 工場で落成式 苦戦の中国市場で急ぐ EV シフト

ホンダは 26 日、中国南部の広東省広州市に新設した電気自動車 (EV) 工場で落成式を行った。 EV シフトが急激に進んだ中国市場では現地メーカーが台頭し、エンジン車を得意としてきた日系メーカーは苦戦が続く。 ホンダもエンジン車から EV へ工場の再編を急いでいる。 落成式があったのは、ホンダが中国に持つ合弁会社、広汽ホンダ(広州市)の EV 専用工場。 工場は昨年 12 月末から稼働を始めている。

この工場では同日、中国市場に新たに投入する EV シリーズ「Y(イエ)」の SUV (スポーツ用多目的車)「P7」の生産を開始した。 販売は 4 月から始める予定だ。 2027 年までにYシリーズの新たな 2 車種の生産も開始し、年間計 12 万台の生産を見込むという。 広汽ホンダの森山克英・総経理は、急激に進む中国市場の EV 化を念頭に「いくらガソリン車市場で粘ってもプレゼンスはなかなか上げられない。 ガソリン車で築き上げたブランドをもう一度、NEV (新エネルギー車)の市場でも築いていきたい。」と語った。

ホンダが中国に持つもう一つの合弁会社、東風ホンダ(湖北省武漢市)も昨年 9 月にホンダ初となる EV 専用工場を稼働させたばかり。 広汽ホンダの EV 工場はホンダとして世界で 2 カ所目の EV 専用工場だ。 これにより中国での年間の EV の生産能力は合計 24 万台に達することになる。 一方、エンジン車の工場は休止や閉鎖をすることで、中国全体の生産能力は、23 年末の 149 万台から現在は 96 万台まで減らしている。 ホンダは 35 年までに中国での EV 販売比率を 100% にする目標を掲げている。 (広州・鈴木友里子、asahi = 3-26-25)


安価で長寿命なアルミニウムイオン電池の安定化に成功したと研究チームが発表

北京の研究者のチームが、アルミニウムイオン電池の安定化に成功したと発表しました。 リチウムイオン電池よりも優れた代替品として、アルミニウムを用いた電池を開発できる可能性が期待されています。 リチウムイオン電池は軽量で大容量の電力を蓄えることが可能なため、スマートフォンや電気自動車などの分野で幅広く活用されています。 しかし、素材となるリチウムは高価で価格変動が激しいほか、リチウムイオン電池には発火性の電解液が必要などの欠点があります。

アルミニウムは地球の地殻で 3 番目に多い元素で、価格がリチウムの約 4 分の 1 と安く、電池への利用可能性を探る研究が行われてきました。 これまでの研究では、イオン液体電解液が陽極腐食を引き起こす問題や、腐食を避けるためにゲル状のゲルポリマー電解液を使うと導電性が下がる問題が発生していました。 今回の研究チームはアルミニウムイオンを含む液体電解液にフッ化アルミニウム塩を添加して固体電解質を生成することで、アルミニウムイオン電池の安定化に成功したとのこと。

フッ化アルミニウム塩は多孔質の 3D 構造を持っており、液体を吸収して安定化させながらイオンの移動を促進します。 この構造のおかげで液漏れしない固体複合材料でありつつも導電性を高められたとのこと。 また、電極を薄膜でコーティングすることでアルミニウム結晶の形成を防ぎ、電池の性能劣化を抑制しました。

今回作成された電池は 1 万回の充放電サイクル後も初期容量の 99% を維持する結果を出しました。 固体電解質のため液漏れせず、穴が空いたり 200℃ までの高温になったりしても正常に機能して安全性に優れているほか、使用済み電池のアルミニウムやフッ化アルミニウム塩の 80% 以上を回収可能とリサイクル性も高いとのこと。 一般的なリチウムイオン電池と比較するとアルミニウムイオン電池は長寿命で製造も容易ではあるものの、実用化までにはエネルギー密度の向上が課題として述べられています。 (Gigazine = 2-7-25)


中国の新車販売が過去最高を更新 24 年、EV や PHV が 4 割に

中国の 2024 年の新車販売台数は前年比 4.5% 増の 3,143 万 6 千台となり、2 年連続で過去最高を更新した。 電気自動車 (EV) やプラグインハイブリッド車 (PHV) が全体の 4 割に達した。 輸出台数も 2 年連続の世界一を維持する見込みだが、足元では輸出の鈍化傾向がみられる。

中国自動車工業協会が 13 日に発表した。 24 年の新車販売のうち、EV や PHV といった電池を活用した「新エネルギー車 (NEV)」の割合は 40.9% の 1,286 万 6 千台となり、初めて 1 千万台を突破。 EV の伸びが減速する一方、PHV の販売が前年より 83.3% 増えた。 PHV は、EV のように外部電源からの充電によるモーター走行に加え、ガソリンによるエンジン走行もできるため、長距離運転での電池切れを懸念する消費者にとって EV に代わる選択肢になっている。

輸出も世界一を維持

23 年に日本を抜いて世界一となった輸出台数は、24 年も前年比 19.3% 増の 585 万 9 千台となり、世界一を維持する見通しだ。 ただ、前年比 57.9% 増だった 23 年に比べて増加幅は縮小。 足元ではその傾向が顕著で、24 年 12 月は前年同月比 1.1% 増にとどまる。

EV に限ると 24 年の輸出台数は前年比 10.4% 減で、中国製 EV をめぐる欧州連合 (EU) などとの貿易摩擦が影響しているとみられる。 一方で同協会の 25 年の販売見通しは強気だ。 新車販売は 24 年比 4.7% 増の 3,290 万台、そのうち NEV は 24.4% 増の 1,600 万台と予測。 輸出も同 5.8% 増の 620 万台を見込む。 (北京・鈴木友里子、asahi = 1-13-25)


中国乗用車輸出は今年大幅鈍化、EV 「ゼロ成長」に = 業界団体

[北京] 中国乗用車協会 (CPCA) の崔東樹事務局長は 9 日、今年の中国乗用車輸出台数の伸びが大きく鈍化し、電気自動車 (EV) 輸出は「ゼロ成長」にとどまるとの見通しを示した。 CPCA によると、2024 年の乗用車輸出台数は前年比 25% 増の 480 万台と、2 年連続で日本を上回って世界最大の座を維持する見込み。 日本自動車工業会が公表した 24 年 1 - 11 月の輸出台数は 4.3% 減の 382 万台だった。 ただ崔氏は、今年の中国の輸出台数が前年比 10% 増まで減速すると予想。 欧州の輸入関税の重圧に加え、ロシア向け出荷が落ち込むとみている。

中国の EV とプラグインハイブリッド車を合わせた新エネルギー車 (NEV) の 24 年輸出台数は 24.3% 増の 129 万台だった。 一方、中国国内の 24 年乗用車販売台数は 5.3% 増の 2,310 万台と前年並みの伸びを維持し、4 年連続のプラスを記録。 特に NEV は 40.7% 増で、販売台数全体に占める比率は 47.2% と節目の 50% に迫った。 猛烈な価格競争とガソリン車からの乗り換えを促す補助金を背景に需要が高まった。

こうした状況は、BYD (比亜迪)や吉利汽車、小米といった国内有力メーカーと米テスラには追い風となった半面、米ゼネラル・モーターズ (GM)、トヨタ自動車、ドイツのフォルスワーゲンなどテスラ以外の外国勢は市場シェアの縮小が続き、中国工場の稼働率低迷に苦しんだ。 24 年に販売された乗用車のうち補助金利用は 660 万台強で、その 6 割余りは NEV だった。 CPCA の予想では、今年の国内乗用車販売の伸びは全体で 2%、NEV は 20% で、NEV の販売台数に占める比率は 57% になる。それでも NEV 販売台数の伸びは 21 年以降で最低にとどまる可能性があるという。 (Reuters = 1-10-25)


弱点がボロボロ露呈 … 「EV 大国」中国に急ブレーキをかけた大寒波

中国EV大手「BYD」の 2024 年年間販売台数が 425 万台に達し、王者テスラを猛追している。 だが、中国の自動車産業の先行きは必ずしも明るいとは言えない。 供給過剰は明らかで、中国国内では大量の EV が空き地に放置されているといった報告もある。 また、一昨年の大寒波では「寒さにからきし弱い」という電気自動車の欠点をさらけ出した。

電気自動車 (EV) をテコに「自動車大国」の道を駆け足で登ってきた中国で EV の弱点が露呈し、EV 化の流れに逆風が吹き始めた。 世界一のEV メーカーとなった BYD を擁し、昨年 1 年間に輸出した自動車の総台数でも、日本を抜いて世界 1 位になることが確実な中国で、なぜ EV を見直す動きが目立ち始めたのか。 EV の弱点が発覚したきっかけは昨年 12 月中旬、1 週間にわたって中国東北部一帯を襲った大寒波と大雪だった。 中国東北部は黒竜江省、吉林省、遼寧省からなり、緯度が岩手県に近い首都・北京よりはるか北に位置しており冬は寒いことで知られている。

12 月中旬、東北部から内モンゴル、中国最西端に位置するウイグル自治区を襲った寒波は尋常でなかった。 黒竜江省のハルビン、吉林省の長春市、遼寧省瀋陽市、ウイグル自治区のウルムチは軒並み最低気温が氷点下 40 度以下に。玄関を出たら目の前は高さ 2 メートルを超える雪の壁だったというから災害級だ。 この大寒波と豪雪こそ、中国の EV に大きな影響をもたらしたのだ。

中国は習近平政府が「大気汚染大国」の汚名をそそごうと、「脱炭素社会の構築」を世界に先駆けて掲げ、電気自動車の普及に力を入れたため、地方を含めた中国全土に EV が浸透している。 ところが、今回の大寒波と豪雪が「電力の消費を加速させる」、「航続距離がガクンと落ちる」などと電気自動車の弱点をさらけ出したのだ。

一般的に中国の電気自動車は 1 回の充電で 400 - 500q の走行が可能とされているが、中国東北部の寒冷地では性能が落ち、暖房を節約しても半分の 200 - 250q しか走れず、スピードを出すとさらに航続距離は短くなる。 しかも、酷寒のために電気駆動システムが作動しないトラブルも多発したのだ。 例えば、スマートフォンや指紋認証で始動させるスマートキーが作動せず、そのため路上に放置された車が目立ったという。 その結果、SNS には「EV の夢に騙された。 次に購入するのはガソリン車だ。」と訴える投稿が増えている。

こうした中で注目されているのが、中国の正月である春節(2 月 10 日)だ。 およそ 8 連休となり数億人がマイカーで 1000q 以上の道のりを里帰りのため大移動する。 そのため、EV のトラブルや不満が中国全土に伝播する可能性があるからだ。 これらが中国の EV 政策にどんな影響を与えるのか、見守りたい。 (団勇人、アサ芸 = 1-6-25)


中国の EV はどうやって日系車を次々と負かしたのか - シンガポールメディア

シンガポール華字メディアの聯合早報はこのほど、「中国の電気自動車 (EV) はどうやって日系車を次々と負かしたのか」と題する文章を配信した。 この文章は、「北京でネット配車サービスを利用したらドアハンドルが見つからず、車の外で大慌てした」という筆者の「すごく恥ずかしかった体験談」から始まる。 そこから「中国の国産 EV はファンシーでスタイルはさまざま。 従来の露出していたドアハンドルは隠されてしまった。」などと続き、欧米に大きく遅れを取った中国の自動車業界は EV など新エネルギー車がもたらす絶好の機会を握りしめて政府の支援を受けながらキーポイントとなる時期の追い越しに成功したと指摘。

そして、輸出では 2023 年に日本を抜いて中国が世界一を獲得したとしたほか、中国国内の新エネ車販売台数が 2024 年 7 月に初めてガソリン車を上回ったことを「新エネ車が中国市場の主流になったことを示すものだ」と紹介した。 その中国自動車市場を文章は「世界で最も競争が激しい」と評し、自動車メーカーは市場シェアを奪うためにもうけ度外視の価格戦を繰り広げていると言及。

さらに「こうした競争は日系車にも打撃を与え、日系車は中国で次々と敗退している」と述べ、ホンダと日産の経営統合計画には「中国市場における日系車の窮地を反映しており、中国で日系車がかつて放った輝きを取り戻すのは難しいことを暗示するものだ」との見方があると伝えた。 文章は日本メディアの報道として、「トヨタ、ホンダ、日産の三大日本メーカーの中国における 24 年 9 月の新車販売台数は中国メーカーが展開する新エネ車に押されていずれも前年同月から減った」と説明。

3 社の世界販売台数に占める中国の割合に触れた上で「中国市場での販売激減は収益に巨大な影響を生む」とも伝え、「中国は世界最大の自動車市場であり、どんな企業にとっても手放しがたい存在だ。 日系、ドイツ系メーカーの目の前に並ぶ選択肢は中国製 EV との競り合いしかないのかもしれない」と論じた。 文章は「日系メーカーが EV 分野でスタートが遅かったのに対し、ガソリン車時代に何ら強みを持たなかった中国メーカーはプレッシャーを抱えることなく EV 開発に大挙して投資ができた」とした。

さらに、政府も長年にわたり新エネ車の振興を推進してきたと指摘し、温家宝(ウエン・ジアバオ)氏は 03 - 13 年の首相在任期間に EV の振興を重点事業に入れたと伝えた。 文章はこのほか、「EV の核心部品はバッテリーだ」とし、バッテリーは中国自動車メーカーがコストを削減できる分野の一部になっているとの見方があることを紹介。 さらに中国は EV バッテリー生産のサプライチェーン全体をコントロールしているとし、「外部環境が厳しくても中国製 EV の優勢に揺さぶりをかけるのは難しい」と指摘した。

文章は最後に、46 年前に神奈川県にある日産の工場を訪れたトウ小平氏が「何が現代化なのかが分かった」と日産の責任者に語ったとのエピソードを伝えた上で、「日本企業が中国製 EV を分解して研究した」という 24 年の報道を紹介。 「46 年前、日産はトウ小平氏に現代化とは何なのかを分からせ、46 年後に日本企業は中国製 EV を分解して研究した」と二つの出来事を対比させ、「歴史は巡り、役は入れ替わる。 世界とは常に巡る舞台なのだ。」と締めくくった。 (野谷、Record China = 1-3-24)

〈編者注〉中国製 EV にはドアハンドルがなかったことから文章が始まっているようですが、しっかりとしたドアハンドルを付けることを教えてくれたのは欧州車です。 クラッシュ事故の最後の救いがこのハンドルであることを、中国車はまだ気づいていないのかもしれません。 車作りは玩具製造とは全く違うことを知るまでには、今少し時間が掛かりそうです。

EV の最大の基本的な弱点はやはりその重量でしょう。 バッテリーセルを剛体構成品の一つとして考える思想が生まれたのは救いですが、水より軽い燃料で走る車を超えるのは、現時点では至難の業でしょう。 その上、馬力を上げれば上げるほどバッテリーの占める割合が高くなり、おのずと限界点が見えてきます。 即ち、高出力のトラック、その他重車両への対応は今のところありません。 中国では乗用車のみの対応ですから今後の展開は霞の中というのが現状でしょう。


中国 BYD、24 年の世界販売台数 4 割増 ホンダ・日産超えの見通し

中国自動車大手 BYD は 1 日、2024 年の世界での新車販売が前年比 41% 増の 427 万 2,145 台だったと発表した。 年間販売台数でホンダと日産自動車を初めて上回りそうだ。

現在、BYD が販売するのは電気自動車 (EV) と PHV のみで、年間で 400 万台を突破するのは初。 乗用車と商用車を手がけ、乗用車の販売が 425 万台と 9 割以上を占める。 うち EV が 176 万台で前年比 12% 増にとどまったのに対し、プラグインハイブリッド車 (PHV) が前年比 72% 増の 248 万台まで伸び、販売を牽引した。 一方、ホンダと日産の 24 年 1 - 11 月の累計販売台数はそれぞれ 343 万台と 305 万台。 12 月分を足しても BYD に及ばない可能性が高い。 (北京・鈴木友里子、asahi = 1-2-25)

◇ ◇ ◇

ホンダ・日産、年間販売台数で BYD に抜かれる見通し−単独で勝てず

ホンダと日産自動車が 25 日に発表した 1 - 11 月の累計世界販売台数はそれぞれ約 343 万台、約 306 万台だった。 対する BYD の同期間の販売台数は約 376 万台で、日系 2 社を抜き去るのはほぼ確実な状況だ。 「新たなプレーヤーが次々と登場し、市場の勢力図が次々の塗り変わっている中、スケールメリット(規模の経済)はこれまで以上に大きな武器になる。」 ホンダ主導の経営統合に向けた交渉入り発表の場で日産の内田誠社長はこう強調した。 ただ両社の販売台数は減少傾向にあり、電気自動車 (EV) の分野で台頭する中国の比亜迪 (BYD) に単独では勝てないところまできたという現実もある。

自動車業界で規模の経済を追求するための事業統合や資本提携は目新しいアイデアではない。 1990 年代にはダイムラー・ベンツ(現メルセデス・ベンツグループ)によるクライスラー(現ステランティス)の買収を機に 400 万台の規模がなければ生き残れないとされ、業界では再編が進んだ。 その後、目線は引き上げられ 2010 年代には「1,000 万台クラブ」と言われるようになった。 5 年前であれば、ホンダと日産の新会社はクラブ入りしたかもしれないが、両社の販売台数はその後計 300 万台も減少している。 23 年実績では 1,000 万台を超えているのは世界でトヨタ自動車だけだ。

ホンダの三部敏宏社長は日産や三菱自動車との 23 日の共同記者会見で、車両プラットフォームの共通化や調達や開発、販売金融機能の統合などによるスケールメリットを得られるとしたが、1,000 万台の大台には届かないことから効果が限定的になる可能性もある。

自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは、ホンダも日産もともに BYD に抜かれることを挙げ、「単純に日産が一人負けでホンダがそれを救済するという話ではない」と指摘。 両社にとって生き残りをかけた取り組みだと述べた。 その上で、ホンダと日産の 2 社合わせて BYD を抜き返せても、1 + 1 = 2 にはならず、1.8 程度にしかならないとの見方を示した。 (稲島剛史、Bloomberg = 12-25-24)


トヨタがリードしてきたハイブリッド車、中国自動車メーカーも注力し始める - 仏メディア

2024 年 12 月 26 日、仏国際放送局 RFI の中国語版サイトは、中国の自動車メーカーがハイブリッド自動車の生産に注力しているとする仏紙ル・モンドの報道を紹介した。

RFI によると、ル・モンドの記事は、フランスでハイブリッド車の登録台数が増え、純化石燃料車の販売が減少する中、BYD や上海汽車傘下の MG は欧州販売の重点を電気自動車からハイブリッド車へと移し、EU の関税対策を進めていると紹介。 BYD はプラグインハイブリッド車 (PHEV) に重きを置き、ハンガリーに建設予定の工場での生産体制を整えており、MG は今年 6 月より約 2 万ユーロ(330 万円)という価格競争力の高いハイブリッド車を販売し始め、来年には新モデルを発売する見込みで、来年の販売台数のうち 4 分の 3 をハイブリッド車で占める方針を示していると伝えた。

そして、BYD グループの李柯副社長が「時速 120 キロの走行が可能なモデルを導入することで、消費者の PHEV に対する見方を変えたい。 たとえバッテリーが切れても、100 キロ当たりの燃料消費量はわずか 4 リットル強にとどまる」と述べ、欧州での PHEV 販売に自信を見せた。

記事は、ハイブリッド車について、これまでトヨタが独占的な地位を得てきたとする一方で、ここ数年は二酸化炭素排出量を欧州基準以下に抑える助けになることから、欧州や韓国の自動車メーカーもこの技術に対してそれぞれ異なるレベルで関心を示していると紹介。 仏ルノーは、フランスのハイブリッド車市場で首位に立っており、トヨタと同様、主に高年齢で平均以上の収入を持つ消費者をターゲットにしていると伝えた。

一方、プジョー、シトロエン、フィアットなどのブランドを傘下に持つステランティス グループや、アウディ、シュコダ、セアトなどを擁するフォルクスワーゲン グループは、EV の普及が速いと見込み、従来型のハイブリッド車に比べて電動モーターの出力が小さく、燃費を向上させるマイルドハイブリッドシステムを採用していると伝えた。 その上で、電動化は今や誰もが歴史の進むべき方向であると認識しており、特に中国ブランドは電動化を戦略の中心に据えており、欧州でのハイブリッド車販売はあくまでそのプロセスにすぎないとの見方を示した。 (川尻、Record China = 12-28-24)


トヨタ、上海にレクサス EV 新工場で調整 日系メーカー初の単独運営

トヨタ自動車が中国・上海に電気自動車 (EV) を生産する新工場を建設する方向で調整していることが、25 日までに関係者への取材でわかった。 現地企業との合弁ではなくトヨタ単独出資の工場で、実現すれば国内自動車大手では初となる。 関係者によると、新工場では高級車ブランド「レクサス」の EV を生産する。 2027 年ごろの稼働を目指しているという。 トヨタの中国での生産は現在、地場メーカーの中国第一汽車集団と広州汽車集団との合弁会社 2 社が担う。 レクサスは日本で生産し、輸出している。

地場メーカーの EV が普及する中国では価格競争が激化し、日系メーカーのシェアが低下。 三菱自動車が撤退を表明し、日産自動車も工場の一部閉鎖に踏み切るなど、苦境が続いている。 こうした中、トヨタは中国販売の落ち込みが比較的小さい。 高級車で差別化を図り、値下げ競争に加わらずにニーズを取り込む狙いがあるとみられる。 中国政府は従来、外資企業による車の生産について、地場メーカーとの合弁を原則としてきた。 だが、18 年から段階的に規制を撤廃した。 これまで米テスラが進出を決め、上海で単独出資の EV 工場を稼働させている。 (稲垣千駿、asahi = 12-25-24)


ホンダ、中国・広州の新 EV 工場が稼働開始 生産の EV シフト急ぐ

ホンダは 23 日、中国南部の広東省広州市で新設した電気自動車 ('EV) の専用工場が稼働したと発表した。 年間 12 万台の生産能力を持つ。  ホンダが中国で EV 専用工場を稼働させるのは、今年 9 月に稼働した湖北省武漢市の工場に続き 2 カ所目。 中国市場では 2035 年までに新車販売を全て EV に切り替えることを目指している。

ホンダは中国で広汽ホンダ(広東省広州市)と東風ホンダ(湖北省武漢市)という 2 つの合弁会社を抱えている。 今年 9 月に東風ホンダがホンダ初の EV 専用工場を稼働させたのに続き、広汽ホンダもこの日、EV 工場の稼働を開始した。 広州では「e:NP2」などの EV を生産する予定だ。 急速な EV 化が進む中国市場で、ガソリン車を得意としてきた日系メーカーは苦戦が続いている。 ホンダは 35 年までに中国での EV の販売比率 100% の目標を掲げており、生産体制の EV シフトも進めている。 (北京・鈴木友里子、asahi = 12-23-24)


清華大教授、中国自動車メーカーの海外進出過当競争は「国際関係に影響」 - 中国メディア

中国メディアの快科技によると、清華大学中国経済思想・実践研究院の李稲葵(リー・ダオクイ)院長は、中国自動車メーカーの海外進出過当競争について、「中国の国際関係に影響を与える」との認識を示した。 李氏は、過当競争を総合的に整理する必要性に言及し、「競争は正しいことだが、過当競争は良くない」とし、「変動費を下回る方法を用いて販売台数を増やそうとしてはならない。 そうすると、多くの質の高い企業が淘汰され、質の低い企業が残ることになってしまう」と強調した。

そして「過当競争が進み、中国の国際関係もそれに巻き込まれている。 中国には現在、大手自動車メーカーが 11 社、小規模自動車メーカーが 100 社あるが、それらが海外進出に群がり、内部で競争しているが、それはよろしくない。」とし、「ドイツ、日本、米国が台頭した時にはそのようなことはせず、協調していた」と述べた。 (柳川、Reocrd China = 12-23-24)