1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9 - 10
中国人旅行者に関するスウェーデンの風刺的テレビ番組に中国が激怒 中国外務省は、中国人観光客に対して文化的相違(衝突、対立)を避けるよう助言したスウェーデンのテレビ局 SVT の風刺的な番組 Svenska Nyheter を激しく批判した。 ロイター通信が報じた。 ロイターの報道によると、スウェーデンでは、中国人旅行者 3 人が予約の前日に到着したホテルから警察によって退去させられる出来事があった。 Svenska Nyheter は、その1週間後に放送された。 中国人旅行者の出来事は、中国の SNS で大きな怒りを呼び、中国側も極めて強い反応を示した。 中国外務省の耿爽報道官は 24 日、Svenska Nyheter について「番組の主張は、中国や他の民族に対する差別、偏見、挑発に満ちており、メディアの職業倫理に完全に反している。 われわれはこれを断固として非難する」との声明を表した。 これを受け、スウェーデン・テレビ (SVT) の代表者トーマス・ホール氏は「スウェーデン語がわかることを前提とした場合、これがコメディーであることは十分に明確だと考えている。 だが一方で、スウェーデン語がわからない場合、これが誤解を招く原因になる可能性があることも理解できる。」と発表した。 (Sputnik = 9-25-18)
◇ ◇ ◇ 現地大使館も激怒した「中国人侮辱」のスウェーデンのテレビ番組の内容とは スウェーデンでは 21 日、同国を訪れる中国人を風刺する時事番組のパロディーが放送された。 番組中では中国人に対する「大小便禁止」の標識も放送された。 中国の駐スウェーデン大使館は 22 日、同番組を強く非難した。 中国の駐スウェーデン大使館は 22 日、現地で 21 日夜に放送されたテレビ番組で中国と中国人を侮辱攻撃する内容があったとして、テレビ局に対して強烈な抗議を行ったと発表した。 大使館は、番組は中国と中国系の住民に対する憎しみと対立を公然とあおったなどと主張した。 同番組の一部は動画サイトのユーチューブに投稿された。 大使館は、番組中で紹介された中国地図にチベットと台湾がなかったことも問題視し、「中国の主権と領土の完全性を著しく侵害した。 関連番組は人類の道徳の最低ラインを超え、人の良知に対する重大な挑戦であり、メディアの職業道徳に対する重大な違反だ」と表明。 さらに、「番組責任者からは、これは娯楽番組だとの説明を受けたが、われわれは絶対に受け入れない」として、納得できる謝罪などがなければ「さらに一歩進んで措置をとる権利を留保する」と説明した。 問題の発端は、スウェーデンのホテルを中国人客3人が予約より前に到着し、ロビーで待つことを求めたがホテル側が受け入れられず、警察に通報して 3 人を強制的に排除したことだった。 21 日放送の問題の番組は、時事問題を扱う番組のパロディーだ。 問題の発端になった中国人がホテルから強制排除された様子を撮影した動画を放送する。 警察官 2 人に両手両足を持ち上げられた中国人が「This is killing (これは殺人だ)」と何度も叫ぶシーンでは、キャスター役がその、口真似をする。 そのシーンには笑い声がかぶせられる。 同番組は、現地リポートに見立てたコーナーも放送した。 女性リポーターが中国人に話しかける設定で、音声は中国語で現地語は字幕で出る。 女性リポーター役は、中国人がスウェーデンを訪れることを歓迎すると述べた上で、「注意するようお勧め」することがあると発言。 リポーター役はまず、「歴史的建物の周囲で大便をしてはいけません」と述べる。 画面には、「大便禁止」のパロディー標識が写る。 なお、「現地リポート」に見立てた部分では、画面の左上に「瑞典官方頻率(スウェーデン公式チャンネル)」の文字が示される。 リポーター役は次に「それから、トイレで手に少し大便がついたりしたら、私たちスウェーデン人は手を洗います」と説明。 暗に「中国人はそのような場合でも、手を洗わない」と言っているようだ。 リポーター役はさらに、「あなたが犬を散歩に連れて出ている人を見つけたとしても、彼は昼ごはんを買ってきたのではありません」と発言。 中国の一部に犬を食べる習慣があることを茶化したとみられる。 リポーター役は次に「私たちはナイフとフォークを使って食事をします。 そして食事中には大便をしません。」と述べた上で、「私たちとあなた方には、それ以外にも違いがあります」と述べた上で、「あなたたち中国人は人種差別主義者ですが、スウェーデンでは、黒人も大人もアラブ人も同性愛者も暮らしています。 なぜならスウェーデン人は、ひとりひとりの平等な権利という原則を支持しているからです。でも、この原則はあなたたち中国人には適用されません。中国の皆さんがスウェーデンに遊びに来ることを熱烈に歓迎します。 でも、あなたたちのお行儀が悪ければ、お尻を叩きますからね。」と述べた。 興味深いのは上記動画に対して寄せられた中国語のコメントだ。 台湾や香港で使われる旧字体の書き込みでは「民主台湾には礼・義・廉・恥がある。 独裁中国は逆に?(盗み)・拐(誘拐や持ち逃げ)・搶(強奪)・騙がある」といった、中国を批判する意見が多い。 簡体字(中国大陸部で使われる略字体)の書き込みには番組に対する怒りの示すものが多いが、「人とは、自分自身を貶めた後に、人に貶められるものだ」と指摘した上で、「中国人は長年の間、カネを持っているだけで教養がまったくなかった」と主張し、「外国でも痰を吐き散らしたり公共の場所で子供に大小便をさせたりした」と、中国人側に問題があったから侮蔑されるようになった」との論を展開したコメントもある。 ユーチューブは中国国内では通常の方法では利用できないので、簡体字のコメントは中国国外に住む大陸出身者の書き込みである可能性が比較的高い。 (如月隼人、RecordChina = 9-23-18) ◇ ◇ ◇ まるで巨大な赤ん坊 … 中国人が北欧で起こした「外交問題級わがまま」 官製メディアも悪乗り扇動したが … 中国の高速鉄道(新幹線)など、列車の予約はスマホのアプリで可能になるなど、昔と比べればはるかに楽になった。 だが、たとえ入手が楽になったとは言え、自分が予約した座席を勝手に占拠し、「ここは自分の席だ」と言ってもどかない、そんな乗客と出くわしたら、不愉快極まりないだろう。 こうしたトラブルが中国で立て続けに発生している。 「小皇帝」がそのまま大人に 8 月には山東省済南から北京行きの列車に乗った男が、「自分の座席だ」と説明する女性に対して頑として譲らず、席を替わるよう説明する乗務員にも「足が悪いので車椅子を持ってきて」などとごねる映像がネットで公開され、この男の身元がネット検索で暴露されるなどの騒ぎとなった。 男はその後、ネットで謝罪した。 さらに 9 月 19 日には湖南省から広東省深センに向かう高速鉄道車内で、やはり他人が予約した窓側の席に座った女が、すぐ隣の通路側の席に移るのを拒否し、乗務員の説得にも「私は間違っていない!」と反抗する様子がネットで公開された。 この女に対し、鉄道当局は 200 元の罰金と、180 日間列車の切符の購入を禁止する処分を発表した。 この 2 人の男女はいずれも 30 代前半のいわゆる「八〇后」で、1 人っ子政策により両親に甘やかされて育った「小皇帝」が、そのままわがままな大人となった「巨嬰(巨大な赤ちゃん、giant infant)」ではないかとの議論が起きた。 「巨嬰」という言葉を有名にしたのが、2016 年に中国で出版された「巨嬰国」という書物だ。 「(中国式)巨嬰」の特徴とその社会的な背景を分析したこの本でも、巨嬰の特徴として「ナルシスト」、「極端にわがまま」、「自己中心」、「依存心が強い」などを挙げたが、中国社会を批判する内容だとして、直ちに発禁本となった(この本は台湾の知人から手に入れたので、いずれ機会を見て紹介したいと思っている)。 この 2 人の乗客もまるで赤ん坊のように、他人の不利益など気にすることなく、駄々をこねればなんとかなる、という心理状態だったのではないか。 そしてこうした「ゴネ得」の中国人がさらに海外旅行でも出現し、外交問題に発展した。 「墓場に連れて行かれた」と訴え 9 月 2 日、曾という 3 人の中国人観光客がスウェーデンの首都、ストックホルムのホテルの従業員から暴言を受け、さらには警察によりホテルの外に追い出され、最後には墓場に連れて行かれ放置されたとネットで訴えた。 このニュースを 15 日に伝えた人民日報系の環球時報は、「予定よりも早くホテルに到着し、昼まで部屋には入れないと言われ、父母は健康がすぐれないためロビーのソファーで休ませてほしいと頼んだが、ホテル側は拒否、暴力的に追い出された」、「警察は意識がもうろうとする両親を殴打し、無理やり車に乗せ、ストックホルムから数十キロ離れた荒野の墓地に置き去りにした」などと報じた。 曾一家はその日のうちにスウェーデンを離れ、同紙は「スウェーデン警察の老人に取った行動は、現代国家には想像できないものだ」と批判した。 これを受けて在スウェーデン中国大使館は「人権を標榜するスウェーデンが人権を軽視した」などと厳重な抗議を行い、ネットでも怒りが巻き起こった。 「ごろつき国家だ」、「今度スウェーデン人を見たら殴ってやる」、「スウェーデンは国が分裂し、民族が絶滅すればよい。 ガス室に送ってやる。」このようなひどいコメントがネットで登場した。 これに対しスウェーデンの現地メディアは、「3 人が予約を間違えて前日の深夜に到着、客室は満員で翌日の昼でないとチェックインできないと説明したことでトラブルになった」、「中国の観光客は体の調子が悪いからロビーのソファーで寝かせてくれと要求、ホテル側が拒否し、ホテルを出るよう求め、3 人と言い争いになり、警察に通報した」などと報道、警察の対応も事態を沈静化させるもので、暴行などはなく問題はなかったと指摘した。 さらに事件当時の動画を公開、警察が老人らを注意深くホテルの外に運び、老人が路上で泣きわめき、曾は女性警官とぶつかってもいないのに自分から路上に倒れ、警察が殴ってもいないのに「警察が我々を殺そうとしている」と英語で叫ぶ様子などが中国にも伝わった。 さらに 3 人が連行されたという墓地は、実際にはストックホルムの中心部から 6 キロほどの地下鉄駅近くで荒野ではなく、ホームレスなどが夜を明かすことができる教会であり、墓地はすぐ脇にあったが、世界遺産にも指定された有名な観光地だったことも判明した。 事実が判明、世論が逆転 こうした動画や真実が明るみに出たことで、中国の世論の風向きは一転した。 「この動画を見て、誰も彼らに同情しなくなった」、「曾は警察がぶつかってもいないのに自分から倒れ、大声で泣き叫んだ。 これでは『当たり屋』ではないか?」 つまり故意に人や車にぶつかり,身体や物を壊した代償を請求する犯罪行為のことだ。 これは「陶磁器にぶつかる」の意味で、もともとは清朝時代、安物の陶磁器を手に持ち、わざと通行人とぶつかって破損させ、高級品だったとして金を要求したことから生まれた言葉だという。 中国の地方都市などでは、車に向かってわざとぶつかり、賠償を請求する違法行為が頻発しているという。 微信にはこの事件に関する非常に多くの文章が掲載されたが、このうちの 1 つは、スウェーデンに住む中国人の次のような話を伝えている。
そして「曾は自らの行いに問題があるのに、事実を誇張し、メディアをミスリードし、外交部門に厳しい対応を取らせた結果、中国人のメンツをつぶし、中国の観光客がますます歓迎されなくなった。」 別の中国人もラジオ・フリー・アジア (RFA) に「現地の大部分の中国人は恥ずかしい思いをしている」、「本当に恥ずかしい。 中国人はどうしてみんなこうなのだろう。 こんな卑劣な振る舞いをするなんて、海外で暮らす中国人はこれからどうやって暮らしたらいいのか?」という現地の中国人の発言を紹介。 さらにスウェーデンに 30 年暮らし、法律関係の翻訳をしているという女性の次のような意見を伝えている。 「スウェーデンのあらゆる商業施設は民間企業であり、経営者は顧客に立ち去るよう求める権利がある。 若者向けホテルでも、レストランでも、もしあなたが立ち去る理由があるのにそれを拒んだら、経営者の権益を侵害したことになる。 なぜならそこはその人の所有地だからで、警察に処理を任せることになる。」 中国のホテルでは確かに、宿泊客でもない一般人が夏場などロビーで涼んでいる姿を見かける。 同じような発想で一晩明かそうとしたのかもしれないが、異国に自分たちのやり方を持ち込もうとしたことに問題があった。 「スウェーデンだからよかったが…。」 また微信に掲載された文章では、「海外に行ったら現地の規則やマナーに従うべきで、自分の側にルール違反があるのに、反省もせず、『中国人を侮辱した』などと騒ぎ、泣きわめくのは、まさに巨嬰症であり、国に恥を持ち帰るものだ。 今回曾一家は運が良かった。 北欧国家だったから『心が傷つけられた』程度ですんだが、もしビザが免除される『冒険の旅』の国(アフリカなど)や『戦闘的民族』のロシアだったら、本当に墓場送りになっていたかもしれない。」という辛辣な批評もあった。 米メディアによると、スウェーデンの検察当局は事件が報じられる以前の 7 日、警察官の行動に問題はなかったとして事件に対する調査を終了したと発表。 「(顧客が)秩序を乱す行為をしたことへの通常の対応だ」と現地紙にコメントしたという。 「当たり屋と泣きわめき、相次ぐ嘘! 中国人のメンツは彼らによってスウェーデンで台無しになった!」という文章は、「曾一家は中国国内の資質の低さを集大成した」として高速鉄道の事件を引用しながら、次のように厳しく指摘している。
あおったメディアにも厳しい批判 今回の事件ではさらに、曾一家の言い分だけで事件を一方的に報じ、前述したような読者の憤激を買ったとして、環球時報への批判も強まった。 「本来はルールを守らない客の個人的な問題だったのに、国と国の問題へと騒ぎを大きくした。」 「事実に基づかない主観的な報道で、ポピュリズムをあおった。」 「中国にこのようなメディアがあることは中国にとって災難。」 - ネットではこのような批判があったという。 中国青年報のコラムニスト、曹林も事件が報じられた直後の 16 日、「憎しみ扇動するのは効果がない」との文章を発表。 「ニュース業界のプロとしての自分の信条は、感情が激烈な情報源ほど、疑ってかかるべきだということだ」と述べ、この報道には次のような問題があると指摘した。 曹は以前東京や北京で会って話をしたことがあるが、環球時報をたびたび批判するなど、政府系メディアの中では理性的なジャーナリストだ。
そして環球時報の報道に対しても、「当事者の側に立って報道するのは、正常なことだが、プロとしての精神がなければならず、ニュースを『ネットの書き込み』のレベルにしてはならない。 メディアの役割とは事件全体の真相を伝え、調査を尽くした客観的事実によって世論の圧力を形成し、問題を解決することであって、義憤にかられて権利擁護をすることではない、それは弁護士がやることだ。 メディアの社会的な役割は客観的報道により事実の非対称性(一方的であること)をなくし、大衆に十分な情報を提供し、理知的な判断をできるよう手助けすることだ。」などと指摘した。 そしてこのグローバルなネット時代に、一方的な情報で世論の感情をあおるやり方はもはや効果がなく、真相が明らかになった時に世論をあおったメディアは非常に苦しい立場に陥るのだ、としている。 曹のこのような指摘は、西側のジャーナリズムにも通じる考え方で、全く正しいと思う。 微信に掲載された文章によればその後、曾が一部の事実を隠していたと認めた。 具体的には当初ホテル側は曾一家に協力的で、ホテルのロビーで休憩することに同意し、BGM の音量を下げるなどしたが、曾がホテルの外にいた中国人留学生を自称する若い女性を連れてきて、彼女も一緒に休ませてほしいと言ったところホテル側が拒否、トラブルに発展したことが明らかになった。 さらにこの女性は曾の妻で、曾はもともと 4 人で旅行したのだが、ホテル側には 3 人で宿泊するとごまかし、後から妻をこっそり部屋に入れようとしたが、ホテル側に見破られたことでトラブルになったという。 また曾は中国企業のナイジェリア現地法人の責任者だといった情報も流れているが、確認はできていない。 中国政府もトーンダウン 事件を受け、中国の外交部門は 14 日、スウェーデンに対し「驚きと怒りを覚える」、「スウェーデン警察による、中国国民の生命と基本的人権を侵害する行為を厳しく非難する」、「スウェーデンに対し、当事者である中国国民が求めている処罰、謝罪、賠償などの要求に応じるよう求める」と非常に厳しい口調で申し入れた。 ところがスウェーデン側の報道により事実が明らかになった 17 日には「大使館と外務省はスウェーデン側に申し入れ、事件を調査し、当事者の合理的な要求に答えるよう求めた」と急激にトーンダウンした。 海外メディアは、スウェーデン国籍で中国政府を批判する書籍を販売していた香港の書店関係者、桂民海氏が中国当局に拘束されたことで、スウェーデン政府が中国を人権侵害と批判していることや、中国政府が「チベット独立勢力」とみなすチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ 14 世がこのほどスウェーデンを訪問したことへ不快感を強めていたことが背景にあったとみている。 いい加減なニュースに便乗して批判をしたため、引っ込みがつかなくなった形だ。 中国国際放送(北京放送)の日本語サイトには「中国人観光客を荒々しく排除 スウェーデン警察の人権意識は何処に」という日本語の評論が掲載されているが、事実関係が分かった今は取り下げたほうがいいと思う。 巨嬰心理から脱却を 高速鉄道の座席居座り事件と、スウェーデンでの事件、これらに共通するのは、社会のルールを自分の都合のいいように解釈し、「ゴネればなんとかなる」、「わめけば得をする」というまさに「巨嬰」の心理なのだろう。 微信の評論では次のような指摘もあった。 「高速鉄道での相次ぐ乗客トラブルは、個人の資質の問題ではなく、スウェーデンの警察のような現場で法律を執行する人がいなかったことが理由だ。 ごろつきや無頼が横行する時、それは個人の資質の問題ではなく、社会のルールや法律が彼らにとって形だけのものになっているのだ。 もし居座った男女の前に、体格ががっしりしたスウェーデンの警察が現れ、規則を守らなければそれ相応の措置を取ると言ったら、彼らは作り笑いをして自分たちの席に戻っただろう。」 「巨嬰症」への最大の対策は、きちんとしたルールを示し、ゴネ得は効かないということを分からせ、ルールを強制的に守らせることだという指摘は、こうした問題が頻発する中では確かにその通りなのかもしれない。 中国の鉄道当局がとった罰金や 180 日間の乗車禁止などの処分も、今後同様の事件の再発を防ぐために適切だと考える。 ネットでは、「高速鉄道に居座った 2 人が結婚して、スウェーデンに旅行するのが、ネット市民の最大の願い」といったきついジョークが流れたが、日本の新幹線やホテルではこのようなトラブルを起こしてほしくないものだ。 一度は沈静化するようにみえた今回のスウェーデンでの問題だが、同国のテレビ番組が事件を受け、『中国の観光客を歓迎しますが、路上で排泄をしないでください』と揶揄する内容を放送したことで、再びメディアや外交当局が猛烈に抗議するなど、しばらく余波が続きそうだ。 こうしたトラブルへどのような対応を取るべきか、中国人観光客が激増する日本の業界にも 1 つの警鐘となったと言えるだろう。 (古畑 康雄 = 共同通信記者、Gendai = 9-26-18) ラオックス銀座閉店、脱「爆買い」戦略の成否 インバウンド消費の激変に振り回された 多くのブティックや飲食店が立ち並ぶ東京・銀座の中央通り。 ショッピングバッグを持った大勢の外国人観光客が闊歩する様子は、ここ数年ですっかり定着した風景である。 だが、人気店の顔触れには変化が出てきている。 その象徴が、今年 8 月末に閉店することが決まったラオックスの銀座本店だ。 銀座本店は、中国人観光客の「爆買い」が話題になった 2015 - 2016 年頃、インバウンド消費の代表的なスポットとなった。 店に横付けされた大型観光バスからは、団体客がひっきりなしに入店。 山積みに陳列された高級炊飯器を客が大量に購入していく様子は、銀座の名物となった。 中国人観光客の消費が様変わり だが、この 8 月の週末に訪れた同店に当時の熱気はなかった。 入口に近い 1 階こそ客は多いが、2 - 3 階の時計や家電の売り場は人がまばらで、店員は暇を持て余している。 盛況なのは、日本製の日焼け止めやストッキングなど、単価が低い日用品だ。 2009 年に中国家電量販店の蘇寧雲商(現・蘇寧易購)に買収されて以来、ラオックスは羅怡文社長の下で家電量販店から中国人観光客向け免税店への転換を図ってきた。 ここに訪日客の急増が重なったことで、2014 年度には 13 年間続いた営業赤字から脱却した。 翌 2015 年には、売上高 926 億円、過去最高の営業利益 85 億円をたたき出した。 勢いに乗った同社は、国内 50 店舗を目標に地方都市やクルーズ船が発着する港の近くなどに出店を加速。 旅行会社に手数料を支払い、団体客を誘致するビジネスモデルでひたすら拡大路線を歩んできた。 だが、絶頂は長くは続かなかった。 訪日中国人の数が増え続ける一方で、2016 年からは中国政府が時計や化粧品などの一部消費財に高い輸入税をかける通称 "爆買い関税" の徴収を開始。 さらに為替が円高元安に触れたことで、中国人観光客の消費額が激減した。 リピーターなどの個人客の増加により、売れ筋商品を大量に陳列する団体客向けの店作りも需要に合わなくなっていった。 こうした悪条件が重なった結果、2016 年 4 月からは免税店売上高が激減。 免税店に全体の売上高の 8 割ほどを依存していたこともたたって、同年には約 10 億円の営業赤字に再転落。 不採算店舗の減損もあり、最終赤字約 15 億円を計上した。 中国人の消費に詳しいインバウンド評論家の中村正人氏はこうも分析する。 「中国人の間でラオックスが有名になりすぎたためか、上海など都会に住む人にとって、ラオックスで買うのは田舎者、という認識になってしまった。」 中国人社長の大胆な転換 再びどん底を味わったラオックス。 そこで羅社長が打ち出したのが、インバウンド向け物販の一本足打法から脱却し、日本という場所に限らずモノやサービスを提供していくという新たなビジネスモデルだ。 まず、免税店は出店過剰だった西日本や繁閑の差が激しいクルーズ船就航地の店舗を中心に閉店を決断。 既存店にも改装をかけ、焼肉店を開店したり、化粧品売り場にカウンセリング用カウンターを導入したりするなど、単なる物販からの脱却を進めている。 銀座本店閉店後も店舗を維持する近隣の銀座EXITMELSA 店でも、浴衣のレンタルサービスなどを展開しているほか、今後は改装を行い、販売好調な化粧品・美容家電の売り場を拡充する予定だ。 さらに、販路は国内実店舗に限らない。 中国アリババグループの越境 EC (インターネット通販サイトを通じた国際的な電子商取引)や中国人が多用する SNS 「WeChat (ウィーチャット)」にも出店。 中国現地での展示場販売や、中国向けの商品輸出なども強化し始めた。 これまで手掛けてこなかった新しい領域にも手を広げ始めた。 今年 3 月、中国・上海の高級ホテル「ベラージオ上海」にオープンしたのは、東京でも予約が難しい日本料理の名店「くろぎ」の中国一号店だ。 平均客単価は 3 万円以上という高級店にもかかわらず、オープン直後から予約が殺到。 日本にも劣らない人気店となった。 運営するのは、ラオックスの上海子会社だ。 国内では、2017 年に成田空港に近い千葉市にショッピングモールを開店。 店内には劇場を設け、言葉の通じない外国人でも楽しめる「無声演劇」の公演を始めた。 「中国人が今何に関心があるかは、中国資本である彼らがいちばんよく知っている。 利幅は薄くても、あらゆる関心とニーズに合わせて商材を広げていこうとするのは、まさにラオックスらしい。(中村氏)」 シナジーが見えにくい買収も 百貨店を中心に展開する婦人靴メーカーも次々と買収したほか、今年 3 月にはニッセン傘下でギフト店「サラダ館」などを展開するシャディも傘下に入れるなど、既存のビジネスとどのように結びつくのか見えにくい業容拡大策も散見される。 当然、社内も困惑する。 「社員の多くが家電量販店のノウハウしか持たない中で、私の場合は突然婦人靴メーカーの代表に就任するなど、まったく新しい仕事をやることになった。 始めのうちは、毎日とにかく必死だった。(山崎陽子・社長室経営企画部長)」 当然、成果がすぐに出ることはない。 2018 年 1 - 6 月期の売上高は、免税店事業の回復などで前年同期比約 6 割増の 462 億円となったが、ショッピングモールの先行投資に加え、買収したギフト店や婦人靴の苦戦が響き、8 億円の営業赤字となった。 モール内のテナントの中には、客の入りが思わしくなく早速減損損失を計上したところもある。 羅社長も、「千葉のモールは、まだまだ改善の余地がある。 都心から遠いのもネックだ。」と認める。 現段階で、ラオックスが始めた業容転換がどのように実を結ぶのかはわからない。 決断の早い羅社長ゆえに、芽の出ない事業からは早々に撤退する可能性もある。 ただ、何かしら手を打たない限り縮小の一途を辿るのは目に見えている。 同社にとっての「日本一の免税店」に次ぐ金脈は見つかるのか。 試行錯誤はまだ始まったばかりだ。 (印南志帆、東洋経済 = 8-24-18) 「グループ SNS」が最強のガイド 中国人の日本観光術 すでに、日本を訪れる中国の人たちは、自国の世界一進んだ決済サービスを、日本国内にも持ち運び始めている。 実は、日本国内の多くの百貨店や量販店、ドラッグストアなどは、中国の 2 大モバイル決済アプリである「アリペイ」と「ウィチャットペイ」を導入している。 小売側としては、中国の人たちにたくさん買い物をしてもらいたいから当然のことなのだろう。 先日、都内のローソンでチューインガムを買ったときのこと。 小銭の 1 円が足りなくて、仕方なく財布から千円札を取り出しながら、レジの女性が中国の人だったので、つい「『アリペイ』が使えればよかったのにね」と声をかけたところ、「えっ、使えますよ」との答えが返ってきた。 (「アリペイ」が使えるのは中国から来た中国の人だけで、それ以外の外国人や日本人は使えない。 レジの女性はそのことを知らなかったのだ。) もちろん、日本にもクレジットカードや Suica、おサイフケータイなどさまざまな決済ツールがあるのだが、都心の有名百貨店の売り場の目立つ場所に、「アリペイ」と「ウィチャットペイ」の 2 大アプリの垂れ幕が掲げられた光景を目にすると、「中国人の観光客は、日本人より便利に日本を旅しているのか」と、そんなボヤキも口にしたくなる。 「ぐるなび」と組んだ予約サービスも 最近知ったのだが、日本を訪れる中国の人たちは、先の 2 大アプリだけではなく、さらに新たな便利ツールも手にしている。 上海で「ウィチャットペイ」の使い方を手ほどきしてくれた中国の友人が来日し、いま日本を訪れる中国人観光客がよく使っているふたつのユニークなサービスについて話を聞いたので、紹介しよう。 中国では日々の生活を便利にするアプリサービスが次々に生まれているが、なかでも中国最大の生活サービスプラットフォームとも呼べるのがテンセント系の「美団点評」だ。 これは上海で出前を頼んだときに利用したアプリだが、もともと 2003 年 4 月にサービスを開始した中国のグルメ口コミサイト「大衆点評」と、10 年に設立された共同購入型クーポンサイトの「美団」が、15 年に合併したものだ。 「美団点評」には飲食店だけではなく、小売店、ショッピングモール、ホテル、映画、美容室などさまざまな店舗が登録される。 口コミ以外にも、割引チケットや予約、デリバリー(出前)、配車サービスなどが提供され、登録ユーザー数は 6 億人を超えると言われている。 最近では、中国の海外旅行者数の増加にともない、海外の店舗の情報も掲載されるようになった。 なかでも中国人観光客の数が多いタイと日本に「美団点評」は法人を設立し、本格的なサービスを始めている。 昨年末には日本の「ぐるなび」と組んで、事前決済型の多言語レストラン予約サービスも開始した。 すでに日本国内の 80 万店舗(2018 年 3 月現在)が登録されており、いまや中国人観光客は、ふだん自国でレストランを探し、予約するという日常のシーンを、日本でも体験しているのだ。 グループ SNS できめ細かい情報をゲット もうひとつは、まだ一般の日本人には馴染みのない新たな SNS の活用法である。 少々大げさにいうと、われわれにとっては、これは未知の領域といえるかもしれない。 もはや主流は、団体旅行から個人旅行へとスタイルを変えた中国人の観光客。 彼らはいかにして日本での旅行を楽しむための情報を入手しているのか。 それは、「グループ SNS」と呼ばれるものだ。 いくつかのケースはあるのだが、いちばんわかりやすいのは、あるひとつの旅行会社で予約して同じ日に日本に出発する不特定多数の個人客をグルーピングしたものだ。 このグループチャットに参加しているのは、たまたま同じ日に中国各地から日本各地へ向かう、見ず知らずの個人客同士。 目的地も宿泊先も行動も、さらには日本旅行の経験も理解もまったく異なる人たちだ。 ところが、彼らはグループチャット上で自分の遭遇した出来事や体験を語り合い、異国の地で誰かに困ったことがあれば、惜しみなく情報提供し、助け合うのである。 これは SNS という「公共」の場だからでもあるが、同じ時間を日本で過ごすことになった奇遇を共有する人々の間に特別な関係が生まれているからだと思われる。 自らの経験や知識を自慢したい素直な気持ちもあるだろうが、実際に日本に滞在している者同士であれば、それも伝わりやすいだろうし、感謝されることも多いはず。 情報提供のしがいもあるのだ。 チャット上に飛び交う質問はあらゆる範囲に及ぶ。 たとえば「関空にどうやって行くのが安い?」、「どのコンビニなら『アリペイ』が使える?」、「Suica はどこで買える?」など。 なかには「Suica で余ったお金はどうすれば戻せる?」といったきめ細かいものまである。 関係者に頼んで、ある出発日のグループ SNS に入れてもらったことがあるが、日々交わされる内容をみていると、いま彼らの周辺で何が起き、何に困っているのか。 何をどこで買いたいのかといったことが具体的に手にとるようにわかる。 商機を求めて、日本国内の小売店が、これら中国からの観光客のグループ SNS に、特典情報を広告として流し込むサービスもすでに始まっている。 個人観光客というつかみどころのない相手には、これまでのように紙のパンフレットやウェブサイトをつくって多言語化するだけのプロモーション手法では通用しなくなっているからだ。 かつて盛んに推奨された中国版ブログの「ウェイボー(微博)」を開設し、「ウィチャット」の SNS アカウントを取得しても、ただ一方的に情報を受信・発信するだけでは、利用価値があまりなくなっている時代なのだ。 海外旅行する中国の人たちのグループ SNS、そのリアルタイムで濃密な情報のやりとりには驚くばかりだが、困ったことに、今年に入って日本で摘発の相次ぐ中国人観光客向けの白タク行為も、これらの延長線上にある。 単に電子マネーの移動ですむ決済は問題なくても、人を介した配車アプリサービスとなれば、現行の日本社会のルールに抵触してしまう。 なんともやっかいな話だが、われわれはこのような現実に付き合っていかなければならないのだ。 (中村 正人、Forbes = 5-3-18) 春節で中国人訪日客は今年も増加! 「爆買い」も実は衰え知らず 中国人の盛大な「春節消費」 最近はコト消費も活況 間もなく、中国の「春節」です。 中国では新暦の正月よりも「春節」を盛大に祝う慣習があり、家族や親族、友人で集まってお祝いや食事をしたり、多くの人が帰省や旅行をしたりします。 日本にも多くの観光客が訪れるため、インバウンド消費の動向も気になります。 そこで今週は、中国の春節消費について取り上げてみたいと思います。 「春節」は、中国の三大節句(春節・端午節・中秋節)の一つで、旧暦の元旦(旧正月)のことです。 旧暦のため、春節の日程は年によって変わりますが、毎年概ね 1 月半ば - 2 月半ばの期間となります。 今年は 2 月 16 日で、中国では春節休暇として 2 月 15 日 - 21 日の 7 日間は大型連休になります。 春節休暇の期間中は、消費が大いに盛り上がります。 小売りやケータリングサービスなどの国内消費は、9,000 億元(約 15.6 兆円)に上り、前年比 10% の増加が見込まれています。 中国人にとっての春節に向けた買い物と言えば、高級な「白酒」の一種で、「国酒」と言われる茅台(マオタイ)酒があります。 報道によると、今年は中国国内で品薄状態になっており、鉄道の切符よりも入手が困難になっているほどです。 こうした伝統的な品物のほか、中国では、品質やサービスへの関心が高まっていて、環境にやさしく健康的なものや、性能が高い品物が人気を集めています。 また、スポーツやレジャーなども人気となっています。 日本では、いわゆる「コト消費」の盛り上がりが報じられていますが、中国でも似た状況になっているようです。 国内交通が便利になって増える旅行 海外旅行では米国人の 2 倍の支出 春節期間は、消費だけでなく「旅行」も活況を呈します。 故郷への帰省で "民族大移動" が起きることは知られていますね。 しかし、それだけでなく観光のための旅行も近年、増えてきています。 中国旅游研究院の発表によると、2018 年の春節休暇期間中の中国国内旅行者数は 3 億 8,500 万人に達すると見込まれています。 これは、前年と比較すると 12% の増加となります。 国内旅行が特に伸びている理由としては、経済発展に伴い人々の所得が増加していることのほか、国内交通網の整備が進んだことが考えられます。 高速道路網の整備に加え、2007 年以降には高速鉄道網の整備が積極的に進められています。 中国には、多くの観光名所があります。 今年の春節で旅行者にとって人気の都市は三亜(海南島)、北京、厦門、広州、昆明となっています。 近場で人気の外出先は、ショッピングセンターやテーマパーク、動物園、寺院などです。 春節休暇の期間は、多くの人が集中して外出するため、どこに行っても多くの人出があるものと見込まれます。 国内だけでなく、海外旅行も人気です。 中国の海外旅行者数(出国者数)は、所得の向上や、受け入れ国側のビザ要件の緩和などに伴い、近年大きく増加しています。 国連世界観光機関 (UNWTO) によると、05 年には約 3,000 万人が海外に出かけましたが、15 年は 1 億 3,000 万人、17 年は約 1 億 5,000 万人に増加しました。 今年は、さらに増加すると見られます。 15 年の海外旅行者数を世界と比較すると、第 1 位の米国に対して中国は僅差で 2 位となります。 一方、旅先の海外で使ったお金(国際観光支出)は、15 年では約 2,500 億ドル(約 30 兆円、1 ドル 120 円換算)となっており、これは 2 位の米国のダブルスコア以上です。 日本の "雪" がトレンド 雪化粧に露天風呂が「いいね!」 人気の旅行先は、タイ、日本、シンガポール、ベトナム、インドネシア、米国の順となっており、日本は 2 位です(16 年データ)。 特にこの冬は、日本の雪を見に来ることが流行っていて、北海道や青森で雪を見たり温泉に入ったりすることが、トレンドになっているようです。 日本に住む中国人に聞いたところ、中国でも SNS への投稿が流行っていて、「雪化粧の中、露天風呂に入ることは中国ではなかなかできないので、人気が集まるのは当然だろう」とのことでした。 最近は、私たち日本人ですら気づかない名所に、海外の人々が先に気づいて人気に火がつくこともあるようです。 豊富な観光資源を使って、海外からの旅行者を歓迎することに加え、一緒に楽しみ、喜びを共有できれば、日本ファンを一層増やすことにつながりそうですね。 旅先での消費は、海外でも国内旅行と同じ傾向があります。 単なる買い物ではなく、いわゆる「コト消費」の指向が強まっている傾向があります。 現地の生活体験や文化や風習についての関心が高まっているようです。 今年の見通しでは、春節期間に海外に旅行する人は 650 万人と見込まれ、昨年対比で約 6% の増加となります(中国旅游研究院のデータ)。 国内の旅行者数の前年比伸び率は 12% ですので、海外旅行は国内旅行客数の伸びよりは低くなるのではないかと見込まれています。 急増する訪日中国人観光客 外国人の中で最もお金を使う 最後に、日本経済への影響を見てみましょう。 日本を訪れる外国人観光客が急増し始めたのは 13 年ですが、中でも中国人の訪日は年々増加しています。 13 年に約 130 万人だった中国人旅行者数は、17 年に約 740 万人へと 5 倍以上増えました。 訪日外国人旅行客数としては、2 位の韓国人の 710 万人を上回り、中国人が 1 位となっています。 背景には、先述した理由のほか、極端に進んでいた円高が解消されたことなどが作用していると見られます。 現在、中国人の中で海外旅行に出かける人数の比率は、人口の 10% 程度です。 日本の比率の約 13% に近くなっていますが、香港やマカオといった行先を除くと一桁半ばの人口比率になので、まだまだ上昇する余地はあります。 今後も中国人の所得は増加すると見られるので、中国から日本への旅行者は増えることが期待されます。 ちなみに、訪日旅行者の中で、中国人旅行者はその数だけでなく、旅行消費額も 1 位となっています。 訪日旅行者の旅行消費額は、17 年には前年比 18% 伸びて約 4 兆 4,000 億円となり、過去最高を更新しました。 そのうち中国人の消費額は、前年比 15% 増の 1 兆 7,000 億円でした。 中国人旅行者は訪日旅行者数全体の 26% ですが、旅行支出を見ると 38% を占めています。 一人あたりの支出金額をほかの国・地域からの旅行者と比べると、宿泊料金、飲食費、交通費はいずれも平均値を多少上回るにとどまっていますが、買物代は平均を 2 倍も上回っています。 一時期、中国人旅行者が大量に物品を購入する様子が、「爆買い」と呼ばれ話題になりました。 その後、インターネット購入の普及や、中国に入国する際の関税の増税などの影響もあり、すっかり「爆買い」は姿をひそめた感がありますが、実際は依然として日本で多くのモノを買い物していることが分かります。 (渡辺英茂 = 三井住友アセットマネジメント、Diamonds = 2-10-18) |