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中国人観光客「成田空港騒乱」でわかった中国世論の "常識度" 上海も雪で LCC が欠航 宿泊先や食事求め中国人が大騒動 1 月 25 日、今季最強の寒波が東京に襲来。 東京都心では 48 年ぶりとなる氷点下 4 度を観測した厳しい冷え込みとなった。 気象関連のニュースによれば、東京都府中市では観測史上最も低い氷点下 8.4 度を記録。 平年よりも 10℃ ほど低い強い寒気が関東上空に流れ込んだため、「まるで日本列島がすっぽり冷蔵庫の中に入ってしまったかのよう」と形容された厳しい冷え込みとなった。 実は同じころ、海の向こう側の中国・上海も寒波と雪に襲われた。 そのため、東京成田国際空港では、24 日午後 10 時 15 分発の上海行きの格安航空会社 (LCC) ジェットスター・ジャパン 35 便が欠航。 175 人の中国人旅行客が成田空港で足止めという事態になってしまった。 しかし、これがやがて、集団的な騒動へとエスカレートしてしまう。 確かに、悪天候による欠航が分かった段階で、速やかに中国語のできる職員を出して対応策などの事情説明を行わなかった航空会社側の落ち度はある。 そこは今後改善すべき問題点だと思う。 しかし、宿泊・飲食のサービス、さらに他の航空会社のエアチケットの提供を求める中国人旅行客の行動には、より大きな問題があった。 抗日時代に作られた国歌を斉唱した抗議行動に中国国内では厳しい批判 この騒ぎの中で、ジェットスターの女性スタッフ 1 人が転倒し、けがをした。 通報でかけつけた警察官が、乱暴したと見られる中国人から事情を聴くため身柄を拘束しようとしたところ、中国人旅行客が抗日戦争時代に創作された国歌を斉唱し、抗議行動に出た。 インターネット上では、中国人旅行客が日本で差別的な扱いを受け、警察官から暴行を受けたという説明の動画がアップされ、瞬く間に中国で広がった。 情報発信者は、恐らく愛国心を前面に出して訴えれば、中国国内の支持を広く得られ、希望通りの事態収拾案が航空会社から提示されると考えたのかもしれない。 しかし、中国での世論は、情報発信者の期待する方向には向かわなかった。 ネット上では、むしろこれらの中国人旅行客に対し、非常に厳しい批判が浴びせられた。 その一部を紹介しよう。
騒ぎを起こした同胞たちを「巨大な赤ちゃん」と批判 中国国内の SNS では、こうした騒ぎを海外で起こした同胞たちを「巨嬰」、つまり巨大な赤ちゃんと揶揄して痛烈に批判する声は非常に多い。 いつまでも過保護な環境に依存し、成長を拒む一部の中国人旅行客の悪しき習性に、容赦なく批判を浴びせている。 中国で海外旅行がかなり普及した今、早く世界の常識に則って行動すべきだと諭す声も少なくなかった。 過去に空港で足止めされた経験のある女性は、「食べ物がなくても、宿泊の手配がされなくても、大勢の乗客は静かに一夜を明かした」といった体験談を公開した。 国歌斉唱による抗議行動に対して、そんなに愛国心を表現したいなら、その舞台は空港ではなく、靖国神社や釣魚島(日本名は尖閣諸島)を選ぶべきではないか、という辛辣な批判もあった。 米国の中国語メディアも、今度の中国人旅行客の騒ぎを、一部の中国人の「尊大かつ幼稚な心理」と論じた上で、「国歌斉唱は、群衆による憂さ晴らしの手段では絶対にない」と糾弾した。 一方、日頃、「官僚主義的」、「威張っている」と批判の対象にされやすい在日中国大使館の今回の対応に対しては、賞賛の声がかなりあった。 在日中国大使館領事部は、深夜に電話で叩き起こされ、食事の提供など、中国人旅行客から出された理不尽な要求に対しても辛抱強く、かつ迅速に対応し、可能な限り便宜を図るような環境を作った。 その努力には好意的な発言が目立った。 世界的な常識を持つ中国人も圧倒的に多い 中国人旅行客の「自己権利への過度なこだわり」をたしなめる中国大使館の発言は、バランス感覚を保ったものだと評価したい。 中国大使館からの要請もあり、足止めとなった中国人旅行客には、最終的に食事券が配られた。これに対して、SNS では LCC に対して同情の声が集まった。 中には、食事券をもらった旅行客は恥ずかしくはないのかと、痛烈に叱る人もいた。 格安航空会社の異常事態発生時の対応や態勢など、確かに強化すべきところに対しては、迅速に手を打つべきだと提案したい。 また、国際便をかなり増便したにもかかわらず、24 時間空港ではない成田空港には、改善すべき点が相当あることも事実だろうと思う。 中国人旅行客は、今や世界の至る所に出かけている。 「巨嬰」状態を卒業しない中国人がまだまだいるのも確かなことだ。 しかし、今回の騒動を通して、世界的な常識を持っている中国人が圧倒的に多いことを確認できて嬉しい。 175 人の多くは今、密かに反省しているのだろうか。 これからはこんなバカな騒ぎはもうしないよね。 (莫邦富 = 作家・ジャーナリスト、Diamond = 2-1-18) ◇ ◇ ◇ 航空便欠航の成田空港で中国人客が逮捕騒ぎ
1 月 26 日、在日中国大使館の公式サイトは、成田空港で航空便の欠航によって生じたトラブルで中国人の男が逮捕された件について「格安航空会社 (LCC) 利用時のアクシデントには冷静に対処を」と呼び掛けた。 24 日夜、成田空港発上海浦東行きのジェットスター航空 35 便が雪のために欠航となった。 同大使館は「乗客 180 人のうち、自ら空港を離れた日本人客 5 人を除く中国人客 175 人は搭乗エリアにとどまっていたが、エリアが規定により午後 11 時に閉鎖されるという中国語の説明がないまま航空会社から退去を求められ、航空会社によるその後の手配が得られなかった」と当時の状況を説明している。 また「中国大使館は連絡を受けて直ちに緊急介入し、協議を行った結果、一部の乗客は航空会社の案内により付近のホテルに移動したが、100 人余りの乗客が搭乗口付近にとどまり続けた。 その間 1 人がスタッフともみ合いになり、成田空港の警察官がこの乗客を連行した。 中国大使館の職員は弁護士とともに成田空港に入り空港当局と航空会社と繰り返し協議を実施、航空会社が乗客に食事の補償と振替便の手配を行うとの約束を取り付け、乗客は 26 日早朝に無事上海へ戻った」と伝えた。 そのうえで「LCC は低コストによる運営が行われており、事前に乗客との間で免責に関する合意を取り交わしている。 コスト面での原因に加え、輸送力、人力に限りがあることから、その場で便の変更ができない、食事や宿泊の手配に関する責任を負わないという状況が常に発生しうる。 チケットを購入時に合意事項を細かくチェックするとともに、アクシデント発生時には冷静に対応することで、過剰な権利の要求を防ぐとともに不要な法的トラブルを避けるようにしてほしい。」と呼び掛けた。 (RecordChina = 1-27-18) 白タク容疑、中国籍男を逮捕 無許可で外国人観光客運ぶ 無許可でタクシー営業をする「白タク」行為をしたとして、警視庁は、中国籍で自称無職の劉江波容疑者 (28) = 東京都杉並区上高井戸 1 丁目 = を道路運送法違反の疑いで逮捕し、22 日発表した。 逮捕直後、劉容疑者は「友だちの友だちを乗せただけで、お金はもらっていない」と容疑を否認し、その後は「身に覚えがない」と話しているという。 交通捜査課によると、逮捕容疑は昨年 12 月 11 日、無許可で自家用車にシンガポール人観光客 5 人を乗せ、東京都千代田区内のホテルから神奈川県内のホテルまで 6 万 5 千円で運び、翌 12 日にもこのホテルから羽田空港国際線ターミナルまで同じ金額で運んだというもの。 同じルートを通常のタクシーで移動すると計約 17 万 5 千円かかるという。 同課は、劉容疑者とシンガポール人観光客に面識はなかったとみている。 (asahi = 1-22-18) 祇園や二条城で「中国式白タク」容疑 京都府警が男逮捕 訪日客でにぎわう京都市の祇園や二条城などの周辺で、中国人グループを乗せて無許可営業で運転する「中国式白タク」をしていたとして、京都府警は 29 日、旅行会社長の武宮博洋(ひろし)容疑者 (49) = 同市伏見区桃山町因幡 = を道路運送法違反の疑いで逮捕し、発表した。 「白タクをしたのは間違いない」と容疑を認めているという。 東山署によると、武宮容疑者は国土交通相の許可を受けないまま、10 月上旬から 11 月中旬の 5 回、2 - 6 人の中国人をワゴン車に乗せて観光地を回り、運賃としてそれぞれ 4 万 - 6 万円受け取った疑いがある。 中国語が堪能で、中国版 SNS で客を募っていた。 祇園では今年 5 月、違法駐車する白タクの苦情が寄せられ、取り締まりを進めていた。 (asahi = 11-29-17) 店に「中国の方出入り禁止」の貼り紙、ポーラが契約解除 化粧品大手のポーラ(東京)は、「中国の方出入り禁止」との貼り紙を入り口に貼っていた販売店が見つかったとして、26 日までに営業停止にし、店のオーナーと結んでいた委託販売契約を解除した。 親会社のポーラ・オルビスホールディングスによると、24 日に中国の現地法人から「SNS で情報が拡散している」と連絡があり、翌 25 日に店を特定した。 店の所在地を同社は明らかにしていない。 店のオーナーの個人的な関係が原因で、特定の人に向けて書かれたものだといい、「すべての人の入店を拒否するような表現になり、オーナーも反省している(同社広報)」という。 (asahi = 11-26-17) 中国 "爆買い" 観光客に異変? 意外な所にも 中国の建国記念日「国慶節」が始まり、大型連休を利用して多くの中国人観光客が来日している。 免税店で "爆買い" をする観光客がいる一方で意外な所でも買い物客が増加している。 その姿を追った。
中国・国慶節 渡航制限の影響懸念も旅行先で日本が 2 位に浮上 中国の国慶節(建国記念日)の大型連休が 1 日に始まり、日本国内の観光業界も需要取り込みに向けたサービスに力を入れている。 中国では団体旅行を一部規制する動きがある一方、日本は人気渡航先の 2 位に浮上。 今年は連休期間が例年よりも 1 日長い 8 連休とあって、地方へ足を延ばす傾向もみられる。 「10 月商品が春先から売れるなんて。」 小田急電鉄グループの担当者は、前年の約 2.8 倍で推移する特急券付き箱根宿泊プランの売り上げに声を弾ませる。 泊まりで温泉や富士山を楽しむ需要が旺盛で、藤田観光が 4 月開業した「箱根小涌園 天悠」も、期間中の宿泊予約者の外国人比率が約 6 割に上っている。 中国のオンライン旅行大手によると、連休中の中国人の渡航先ランキングで、昨年 3 位の日本は韓国を追い抜いてタイに次ぐ 2 位。 中国では一部の地方政府が外貨流出懸念から訪日団体旅行を制限しているとみられるが、個人客が増えている。 JTB によると、ツアーより展望台や水族館のチケットなどの売り上げの伸びが大きいほか、長めの連休期間を背景に「都心から離れた観光地も人気」という。 こうした需要も反映し、JR 東日本は日本航空や中国国際航空と連携し、北京や上海発着の航空券と鉄道きっぷ、宿泊を組み合わせたツアー商品を 10 月 1 日出発分から順次販売。 地方への需要を取り込む。 中部国際空港会社は 9 月から、中国のスマートフォンアプリ「WeChat (ウィーチャット)」を活用してターミナルビルの情報配信を始め、訪日客を出迎える。 都心のホテルも、訪日客の "時間的余裕" に狙いを付ける。 ザ・プリンスパークタワー東京(東京都港区)では 10 月 15 日まで、ラウンジで日本酒カクテルを傾けながら日本の秋の風物詩「お月見」が楽しめる体験メニューを設定。 買い物やアミューズメント以外の訪日体験を提案している。 (sankei = 9-30-17) 日本各地で暗躍する中国版白タク「皇包車」の実態 深夜の羽田空港で待ち構えるドライバー 2015 年頃から中国では「境外包車(海外車チャーター)」と呼ばれるサービスが成長を続けている。 シェアリングエコノミーの一種であるライドシェア(一般市民によるタクシーサービス提供)の手法で運営されており、ドライバーは現地在住の華人・華僑だ。 世界中で「皇包車」、「唐人接」、「易途 8」、「蜜柚旅行」、「走着旅行」、「丸子旅行」など複数のサービスが乱立し、しのぎを削っている。 しかしこれらのサービスは、日本ではいわゆる「白タク」であり違法である。 筆者は「境外包車」サービスの実態を確かめるべく羽田空港への迎車とお台場観光を手配し、2 回利用した。 冒頭はその際に羽田空港で目撃した 1 コマだ。 選んだのは大手として知られる「皇包車」。 中国メディアの報道によると、今年 1 月時点での同アプリの利用者数はのべ 200 万人を突破。 10 万人のドライバーが登録しており、世界 80 カ国 1,500 以上の都市で展開しているという。 アプリでは各都市の登録ドライバー数が確認できる。 8 月 23 日時点で東京の登録者数は 1,838 人に達していた。 8 月 29 日にもう一度確認すると登録者数は 1,865 人に。 1 週間足らずで 27 人ものドライバーが新たに加盟した計算だ。 サービスには「空港送迎」、「移動」、「チャーター」の 3 タイプがある。 羽田空港からホテルまでの車を予約したが、思わぬトラブルが起きた。 中国から深夜便で日本に到着する中国人観光客を装って予約したのだが、その便が遅延してしまったのだ。 中国はとかく航空便の遅延が多い。 もともと便数が多く過密状態なうえに、空域の大部分を人民解放軍が管理しており民間の都合などお構いなしに演習が始まることもしばしば。 そうすると空が大渋滞してしまうのだ。 他にも大気汚染による離発着制限など落とし穴はいくらでもある。 私が搭乗した(ことになっている)便も 2 時間以上の遅れで、結局空港に到着したのは深夜 3 時過ぎとなってしまった。 皇包車のドライバーには搭乗便名を伝えている。 向こうも遅延しているのは重々承知のはずだ。 いくら眠いからといって、搭乗便より先に到着したことにするわけにはいかない。 というわけで深夜 3 時過ぎまで空港の喫茶店で時間を潰していたのだが、これがトラブルの元となった。 搭乗した(ことになっている)便が到着したタイミングで、ドライバーに電話するとなぜかパニックになっている。 中国東北地方訛りの中国語で怒濤のように話してくる。 中国語はかなり得意なほうだが、とても聞き取れない。 落ち着くよう言って話を聞くと、ようやく事情がわかった。 航空便の遅延を知り、空港から少し離れた路上に駐車して仮眠を取っていたが、エンジンを切ったままエアコンをつけていたため、バッテリーがあがってしまったというのだ。 そのドライバーは副業として皇包車の仕事を始めてまだ数カ月とのこと。車に関する知識はほとんどなかったようだ。 違法白タク、その最高のマナー 素人丸出しの失敗を見せたドライバーだが、その後のフォローは完璧だった。 日本語が話せない(という設定の)筆者に代わりタクシーをつかまえ、目的地まで送るよう手配してくれたのだ。 ドライバーは中国東北部出身の中国人で、来日から数年たっているというが、日本語は決してうまくない。 不自由な日本語で必死になってタクシー運転手に説明する姿は感動的ですらあった。 目的地までかかったタクシー料金(約 1 万 6 千円)はすべてドライバー持ちだ。 私が支払った費用は 564 元(約 9,580 円)だ。 ここから手数料を抜かれた金額がドライバーの収入となる。 タクシー料金を負担すればドライバーは大赤字である。 なぜここまでドライバーは親身になってくれるのだろうか。 マナーやサービスの良さがシェアリングエコノミーの特徴だ。 中国シェアリングエコノミーの雄に「滴滴出行」がある。 同社はウーバー型のライドシェアを導入しているが、初期にはタクシー業界から猛烈な反発があった。 ストライキや抗議集会も頻発したが、世論は滴滴出行を支持した。 ガラの悪いタクシー運転手よりも滴滴出行のドライバーのほうがよっぽどマナーがよいというのだ。 滴滴出行では乗車後に客が運転手を 1 - 5 点で評価する仕組みが採用されており、評価の低いドライバーは仕事を受注できる機会が減ってしまう。 儲けるためにはマナーをよくするしかないのだ。 精神論ではなく、利益駆動型の道徳システムがそこには存在する。 先のドライバーも「私は信用を守りますから」と繰り返し話していた。 トラブルがあっても自分の評価を下げたくないと必死だったのだ。 ちなみにドライバーが乗客を評価するシステムも組み込まれており、行儀の悪い客はその後ライドシェアを捕まえにくくなる。 快適に移動したければ、よい客として振舞うしかないのだ。 皇包車も同様の利益駆動型の道徳システムを採用しており、高評価を受けるほど仕事が増えるうえに、低評価を受けた仕事では報酬が減額されるという、よりドライな仕組みだ。 別の皇包車ドライバーに話を聞いたところ、「客への対応にはかなり神経を使う」と話していた。 わがまま放題の金持ち子弟を乗せた時はあまりの態度の悪さにむかついたが、「必死に堪えた」という。 キレたら収入が減ると思えば我慢もきくといったところか。 境外包車の利便性とコスト 境外包車はスマホで簡単に予約でき、質の高いサービスが受けられる。 しかもドライバーとは中国語でのコミュニケーションが可能で、チャーター利用の際にはガイド兼通訳の仕事もこなしてくれる。 中国人にとって極めて利便性の高いサービスといえる。 ある女性利用者(上海市出身、30 代)に聞くと、「言葉が通じない海外なのに、不安なく行動できて便利」と評価していた。 私にとって 2 回目の利用となったお台場観光でもサービスは上々だった。 シェアリングエコノミー恐るべしとの感を抱いた。 お台場観光のサービスも上々だった サービスは完璧だが、料金面はどうだろうか。 東京都内観光の 1 日チャーターで 2 万 3,500 円程度。 皇包車の料金は 5 人乗りセダンだとタクシーとさほどかわらないが、7 人乗り、13 人乗りなどの大型車の予約ができ、13 人乗りならば 1 人当たりの料金を 3,000 円程度に抑えることができる。 とりわけ中国の個人旅行客は親戚や友人など、団体で行動することが多い。 また大きなトランクを持ち歩くのが一般的で大型車のニーズが高い。 皇包車の予約画面でも、乗車可能な人数のほかに大型トランクを持ち込める数が表示されていた。 ちなみに民泊も同様の理由で個人観光客の人気が高い。 一人頭ではなく一室単位で料金を払うため、狭い部屋に雑魚寝すれば費用がぐっと抑えられるからだ。 利便性の高い境外包車だが、問題は違法な白タク行為であることだ。 日本ではライドシェアは認められておらず、タクシー業務の提供には事業用自動車の緑ナンバーの取得が義務づけられている。 また在日中国人がドライバーとして働いた場合、資格外活動として入管難民法に抵触する恐れもある。 この法的問題について皇包車を展開する北京純粹旅行有限公司に問い合わせたが、いまだ回答は得られていない。 大手旅行サイトから違法白タクが予約できる中国 法的には明らかに問題を抱えている境外包車だが、中国企業にとってそんなことはお構いなし。 中国旅行サイト最大手の「携程旅行網(シートリップ)」や個人旅行オーダーメイドで人気の「途牛旅遊網」、同じく個人旅行に強くシートリップに買収された旅行サイトからも予約できるほか、街中でも広告を見かけるなど、アングラなイメージは一切ない。 皇包車は今年 1 月に 2 億 1,000 万元(約 34 億 7,000 万円)の B+ ラウンド融資(B ラウンド融資は、ビジネスモデルを確立し事業拡大を目指す段階での資金調達。 + はそれを繰り返したことを示す)、「易途 8」は昨年 8 月に 1 億 5,000 万元の B ラウンド融資を獲得し、順調に成長している。 「唐人接」はシートリップに買収されており、境外包車は成長分野としてビジネス界でも注目を集めている。 利用者数も順調に伸びているようだ。 シートリップの境外包車部門は、今年 7 月期の境外包車利用件数が 1 万件を突破し、前年同月比 700% と急成長したと発表している。 こうしたサービスが評価される理由には、中国人観光客がツアー旅行を避けて、個人旅行へシフトしたことがある。 中国ではツアー旅行に対する悪評が絶えない。 ツアー旅行を手配する「ランドオペレーター」は各地の免税店からのキックバックを主な収入としているため、旅行といっても免税店を回るばかりでろくに観光もできないことが多いという。 そこで中国で起きているのが個人旅行ブームだ。 日本を訪れる中国人の数も 2014 年の 240 万人から 2016 年には 637 万人と約 2.5 倍に急増しており、昨年には初めて、中国人への個人観光ビザの発給数が団体観光ビザを上回った。 中国人による中国人のための中国人だけが儲かる観光ビジネス 中国人観光客が増えることで国内での消費につながれば喜ばしいことだ。 しかし今、皇包車のような「中国人による中国人のための中国人だけが儲かる観光ビジネス」が移動サービス以外でも急速に広まっている。 その代表例は民泊だ。 需要を見込んで、中国系民泊企業は日本進出を加速させている。 来年 1 月には住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、全国的に民泊が解禁されることもあり、中国人観光客の民泊活用はさらに加速するだろう。 8 月に楽天傘下の楽天ライフルステイ(東京)との提携を発表した中国系民泊企業「途家網」は、20 年までに日本国内で物件 20 万件を確保し、年 250 億円の売り上げを目指すと発表している。 中国系プラットフォームが個人旅行をも囲い込もうとする動き。 これは日本だけではない。 お台場観光のドライバーによると、「世界中、中国人がいる場所ならばすべてこうしたサービスはある」という。 もちろん以前から在日中国人相手だけに営業している白タクは存在した。 ただし、それは口コミやローカルネット掲示板というディープな世界を知らなければ使えないものだった。 今やスマホアプリをダウンロードするだけで、世界中どこでも白タクに乗れてしまうわけだ。 民泊もそうだ。 無認可の宿泊所は何も昨日今日始まったわけではない。 誰でも簡単に利用できるようになった点が革命的なのだ。 かつてはコネやら知識が必要だったアングラな世界が、インターネットのプラットフォームに引きずり出されることによって、また、シェアリングエコノミーという大義名分によって、誰でも自由に使える存在に変わっていく。 そうした静かな革命が世界で起きつつある。 規制をかけても地下に潜るだけ 上述の通り、「境外包車」は中国では人気のサービスだ。 ところが日本では散発的な報道があるぐらいで一般的にほとんど知られていない。 タクシー業界や空港、あるいは警察など監督官庁はこの問題を知っているのだろうか。 取材を進めると驚くべき事実が浮かび上がった。 タクシーの業界団体、空港、警察、国土交通省と取材を進めても、知らぬ存ぜぬとの答えが返ってくるばかり。 羽田空港を縄張りとしているタクシー運転手に話を聞くと、「えっ、そんな白タクがあるんですか」と目を白黒させた。 成田空港は「顧客からの投書があったが、実態は承知していない」との答え。 羽田空港国際線ターミナルでは「確認していない。 我々のターミナルは狭く、そうしたサービスを行う余地などないのでは ・・・。」との回答があった。 ほかならぬ問い合わせた私自身が先日利用したばかりなのだが。 現場は理解していなくともお上はわかっているはず、と警視庁、国土交通省に問い合わせてみたが、そうした実態は把握していないとの答えが返ってくるばかりだった。 中国の街中で宣伝されているようなサービスを日本の監督官庁は理解していないのか!? と驚いたが、よく考えてみると仕方のない話だ。 なにせ境外包車と一般自家用車は外から見る限りなんの違いもない。 「自家用車の送迎が少し増えましたね」と、まったく勘づかなくとも不思議ではない。 ただ、日本が観光立国を目指すならば、単に外国人を誘致するだけでなく、彼らの動向を把握し、ニーズをくみ取って、民泊のように必要なサービスについての規制を緩和していかなければならないだろう。 皇包車のようなライドシェアに対するタクシー業界からの反発は必至だが、一律に禁止することは難しいのではないか。 そもそも、禁止を続けてもその広がりを止めることはできない。 インバウンド評論家の中村正人氏は「日本がルールを仕切る側にならないと日本にお金は落ちてこない。 しかし、行政にその姿勢が見られない。」と嘆く。 税制に詳しい中央大学法科大学院の森信茂樹教授も「ライドシェアの規制が残っていることによって、結果的に皇包車のように地下に潜ってしまう。 日本でビジネスを展開しているにもかかわらず、ドライバーや事業者の所得を把握し、課税をするような議論にはとてもたどり着けない。」と指摘する。 このままでは訪日中国人の観光需要を、テクノロジーを使った中国人たちに奪われる一方だ。 まずはサービスの実態を把握し、日本の事業者も公正な競争ができるように、観光政策と各種規制の折り合いをつけることが政府の喫緊の課題である。 (高口康太、Wedge Infinity = 9-25-17) こんなはずではなかったのに … 日本旅行でハマりがちな 5 つの「落とし穴」 = 中国メディア 海外旅行、国内旅行問わず、ガイドブックやインターネットの情報で念入りに予習していても、その内容と実際の状況が異なっていて慌てることが少なくない。 日本を訪れる中国人観光客の中にも似たような経験をした人がいるかもしれない。 中国メディア・今日頭条は 12 日、「日本旅行で注意しなければならない、5 つの落とし穴」を紹介する記事を掲載した。 記事がまず挙げたのは、成田空港から羽田空港への移動時間に関する「落とし穴」。 「北京から東京に向かう国際線の多くは成田空港離発着だが、日本の国内線の多くは羽田空港を離発着する。 両空港間には 80 キロの距離があり、バスや電車で 1 時間半程度かかる。」としたうえで、4 時間程度の乗り換え時間があれば余裕との情報を鵜呑みにしていると、入国手続きの待ち時間やバスの渋滞時間などによってギリギリになる、あるいは間に合わなくなる可能性もあることを紹介している。 続いては、ホテルの部屋の大きさやベッドのサイズについて言及。 東京で 3 つ星、立地もよく、見た目の良さそうなホテルを予約して実際に訪れたところ、部屋がとても狭くて大型トランクを広げられる場所すらなかったという経験談を紹介。 日本のホテルは部屋やベッドのサイズが小さいことが多く、ダブルベッドであっても大人 2 人が寝るには狭いので事前の確認が必要であると説明した。 さらに、ガイドブックなどで予約しなくても大丈夫とされていたレストランに実際行ってみると予約でいっぱいと言われ無駄足を踏むケース、テーマパークによっては事前申し込みすべきものがあり、知らずに予約無しで行くと長蛇の列に並ばなければならないことを「落とし穴」として挙げている。 このほか、信用社会であるとともに高品質で知られる日本にも多くはないがニセモノ製品があることについても言及。 日本でのショッピングは、高級品であればデパートで、各地の特色あるお土産なら大きな駅の売店で、腕時計や小型家電は家電量販店で、化粧品などは全国的なドラッグストアやディスカウントストアで購入することを勧めた。 旅行にハプニングはつきもの。犯罪に巻き込まれる、大きな損害を受けるといった「落とし穴」には気をつけなければいけないが、ちょっとした問題にはおおらかに、そして臨機応変に対応する心構えも必要だ。 ピリピリしてしまっては、せっかくの楽しい旅行も台無しになってしまう。 (今関忠馬、SearChina = 9-18-17) 北海道・釧路の海岸遺体、行方不明の中国籍女性と判明 北海道警は 30 日、釧路市桂恋の海岸で 27 日朝に見つかった女性の遺体が、DNA 鑑定の結果、先月から道内を訪れて行方不明になっている中国籍の危秋潔さん (26) と判明したと発表した。 死因は溺死だった。 道警は、事件に巻き込まれた可能性は低いとみている。 道警によると、危さんは先月18 日に観光で来日。 23 日朝に釧路市阿寒町のホテルを出た後、JR 釧路駅近くの防犯カメラに危さんとみられる女性が映っていたが、足取りが分からなくなっていた。 遺体は損傷が激しく、一部白骨化していたという。 (asahi = 8-30-17) 中国人白タク 横行も検挙困難 スマホ決済で 数千人登録 【上海・林哲平】 旅行熱が続く中国からの観光客を当て込んだ「中国式白タク」が、成田空港や関西国際空港など日本各地の空港で横行している。 「中国人による送迎・ガイド」をうたい、中国の業者に登録した在日中国人が自家用車を運転。 集客から支払いまでスマートフォン上で完結するため、取り締まりを免れるケースが大半だ。 急速なキャッシュレス化が進む中国。 日本側の対応が追いついていないのが現状だ。 (mainichi = 8-27-17) 全国 6 つの港を「国際クルーズ拠点」に 指定書交付 大型のクルーズ船で日本を訪れる外国人旅行者を増やそうと、国土交通省は全国の 6 つの港を「国際クルーズ拠点」として重点的に整備する港に指定し、岸壁の整備や旅客ターミナルの建設を進めることになり、26 日港を管理する自治体の責任者に指定書を交付しました。 26 日は、国土交通省で熊本県の蒲島郁夫知事ら 6 つの港を管理する自治体の責任者に、石井国土交通大臣から指定書が手渡されました。 今回「国際クルーズ拠点」として重点的に整備していく港に指定されたのは横浜港、静岡県の清水港、長崎県の佐世保港、熊本県の八代港、沖縄県の本部港と平良港です。 今後、クルーズ船で日本を訪れる外国人旅行者を増やすため、国と自治体が連携してクルーズ船専用の岸壁などを重点的に整備します。 また、クルーズ船を運航する船会社が出入国管理の手続きを行う旅客ターミナルビルなどを整備する計画で、横浜港が最も早い 2019 年に、そのほかの港は 2020 年から新たな拠点としてクルーズ船の受け入れを開始することになっています。 国土交通省によりますと、クルーズ船での外国からの旅行者は中国などから年々増加していますが、西日本を中心に受け入れ可能な港が不足しているということで、今後、さらに国際クルーズ拠点となる港を増やしていく方針です。 (NHK = 7-26-17) 中国版エアビー「途家」 訪日客つかむ法則 一般住宅に旅行者を有料で泊める民泊。 2016 年 4 月に日本法人を設立していた中国の途家(トゥージア)が紹介できる物件の開拓に乗り出した。 主な狙いは訪日外国人の 2 割強を占める中国人だ。 途家はどのようにして中国人旅行者の心をつかんでいるのか。 「静かできれい。 洗濯機もあってまるで我が家みたいね。」 今月下旬に大阪を訪れた中国人の朱恵さん (30) はマンションの 1 室に入り、目を輝かせた。 夫と息子と一緒に家族旅行で来日した朱さんが選んだのは、途家を通じて予約した民泊物件だ。 息子の王梓●(火へんに宣)くん (4) も自宅に帰ったかのようにはしゃいでいた。 朱さんたちの日本旅行の期間は 7 日間。 宿泊料金を節約するため、ホテルの利用は最初から考えなかったという。 民泊なら 1 泊あたり 1 人 3,000 円程度ですむ。 一般的なホテルの半分以下だ。 ■ 扱い物件、倍に 途家で予約できる日本国内の物件は 5,000 件程度とみられる。 途家は利用者数を公開していないが、物件数は直近の 3 カ月間で 2 倍近くに膨らんでおり、利用者数も伸びているようだ。 民泊市場では、日本で約 5 万件の物件を抱える米エアビーアンドビーが先行している。 そうしたなかで途家は中国人旅行者に的を絞った手法で存在感を示し始めている。 途家が民泊仲介事業を始めたのは 11 年 12 月。 中国国内の 335 都市の部屋を探せる。 中国以外では、日本や台湾、タイ、韓国、シンガポールなど 67 の国・地域でサービスを提供、合計で 45 万件の物件を掲載している。 途家を利用して東京都内の物件に泊まった大学生の顧暁銘さん (22) は「日本に来たのは初めてで不安もあったけれど、(途家のサイトをみて)これなら大丈夫だなと思った」と語る。 途家のサイトは中国語での利用が基本だ。 宿泊先を評価するコメント欄も中国人利用者が中国語で書き込んでいるのが一般的。 エアビーなど欧米のサイトも中国語で操作できるが、日本など中国国外にある物件の情報は英語で書かれていることが多い。 英語が得意ではない中国人にとって抵抗感がある。 途家のやり方は時宜にかなっている。 生活水準の急速な向上を背景に、日本を訪れる中国人が増加しているからだ。 17 年 1 - 4 月の訪日外国人は前年同期比約 16% 増の約 912 万人。 このうち中国人は約 218 万人で国・地域別では首位の韓国に迫る。 国内外の格安航空会社 (LCC) は関西国際空港と中国の主要都市を結ぶ路線を多く持っている。 ビザ(査証)の発給要件緩和も中国人の来日を後押しする。 日本の外務省は中国人とその家族が 5 年間に何度でも日本を訪問できるビザを高所得者に発給している。 このほど所得制限を緩めた上で何度でも訪日できる期間を 3 年にしたビザも発給するようになった。 中国国外に住む中国人も同様のビザを取得できる。 ■ 適法性に課題 途家が気を配っているのは言語だけではない。 「3 つの部屋を 1 つのグループに貸し切ってしまうこともある。」 大阪市で民泊用に4棟の賃貸住宅を持つ小村圭一さん (45) はえびす顔だ。 小村さんは途家を通じて中国人旅行者に賃貸住宅を提供している。 中国人は親戚同士やグループなどで旅行することが多く、同じフロアにある複数の部屋を同時に利用することが多い。途家はこうした中国人の特性にあわせ、賃貸住宅保有者に物件提供を呼びかけている。 ホテルは公共性が強く、団体客がプライベートな感覚で利用するのは難しい。 だが、民泊で 1 つのフロアを借り切ってしまえば、周りをそれほど気にせずに済む。 料金体系にも工夫を凝らす。 エアビーは物件の貸し手と利用者の双方から手数料を受け取る。 途家は貸し手から手数料を徴収するが、利用者には請求しない。 中国人は宿泊料とは別に手数料の名目でお金を支払うのを嫌うからだ。 間口も広げている。 途家は初めての利用者に対して、予約時点で宿泊料金を 300 人民元(約 5,000 円)を割り引いている。 利用回数に応じてポイントやキャラクターグッズを付与する仕組みも採り入れている。 中国人旅行者に的を絞った途家の戦略は今のところうまくいっているようだ。 中国の人口は 10 億人を超えており、顧客開拓に困る可能性は低い。 ただ、中国景気が減速すると、日本を訪れる中国人が減少する懸念はある。 韓国との外交関係が悪化したときに韓国を訪れる中国人が激減したこともある。 顧客の裾野を広げる工夫もいずれ必要になるだろう。 民泊は国家戦略特区に指定された地域以外では原則として違法だ。 ホテルが足りないため、今は事実上、黙認されているが、事業に適法性を持たせるという課題は残っている。 ■ 旅館加え客層広げる 途家が台頭するが、先行するエアビーも手をこまぬいてはいない。 国内航空券のネット販売で最大手のエボラブルアジアと組み、近く高級ホテル・旅館の予約サービスを始める。 特に旅館は外国人に人気があり、欧米の富裕層を顧客にする有効な手段になり得る。 エアビーのサイトを経由して 16 年に宿泊を予約した訪日外国人は約 370 万人だった。 延べ人数ではあるが、16 年の訪日外国人数の 2,400 万人の約 15% に相当する。 日本では、民泊に関するルールづくりが遅れている。 民泊は、旅館業法の簡易宿所の許可を得るほかは、国家戦略特区の大阪市や東京都大田区など一部の地域でしか合法的には行えない。 政府は民泊を条件付きで全国で解禁する住宅宿泊事業法案(民泊新法案)を閣議決定しており、今国会での成立をめざしている。 年間営業日数を 180 日以下と制限を設ける代わりに民泊を合法化する。 エアビーはこれにあわせて、営業日数が 180 日を超える物件の表示をやめる方針だ。 (清水孝輔、nikkei = 5-30-17) |