1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9 - 10

中国共産党、習近平氏を総書記に選出 3 期目の指導部が発足

中国共産党は 23 日、第 20 期中央委員会第 1 回全体会議(1 中全会)を開き、習近平(シーチンピン)国家主席 (69) を総書記に選出した。 2 期 10 年を原則として世代交代を進めてきたシステムが崩れ、習指導部は 3 期目に入る。 任期は 5 年だが、習氏が退任を迫られるルールはすでになく、さらなる長期政権も視野に入る。 北京の人民大会堂で開かれた 1 中全会は、22 日の党大会で選ばれた中央委員(205 人)が集った。 非公開だが、国営新華社通信が習氏が総書記に選ばれたことを速報した。 最高指導部である政治局常務委員会やその下の政治局員も陣容が固まり、3 期目の指導部が発足する。

習氏は浙江省、上海市のトップや国家副主席を経て、2012 年に総書記に就任した。 16 年に「党中央の核心」に位置づけられたほか、17 年には自らの名を冠した政治理念「習近平の新時代の中国の特色ある社会主義思想」を党の憲法にあたる党規約に明記するなどして、権威を高めてきた。 今回の党大会では、核心の地位と政治理念の指導的地位の「二つの確立」を強調し、忠誠の徹底を図っている。

習氏は「今世紀半ばまでに中国を富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国に築き上げる」との目標を掲げており、長期政権にこだわる背景には「中国の社会主義はいまだ試練に直面している」との認識がある。 ただし、習氏個人への権力集中は、内政や外交で方針を誤った際に歯止めがきかなくなるリスクをはらむ。 習氏との関係性が希薄だった李克強(リーコーチアン)首相 (67) や汪洋(ワンヤン)全国政治協商会議主席 (67) は最高指導部からの退任が決まり、新たな指導部の布陣は習氏の元部下ら側近の割合が増えることになる。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 10-23-22)


習氏の部下たちは、一様に硬い表情

異例の 3 期目となる総書記に選出された習近平(シーチンピン)国家主席に続いて記者団の前に登場したのは、政治局常務委員の 6 人。 習氏に続いて 2 番目に現れたのは、上海市トップの党委書記を務め、習氏の元部下の李強氏だった。 習氏に紹介されると、李氏は少しこわばった表情のまま左、真ん中、右に向かって頭を下げた。 習氏と同じ色のスーツ、ワイシャツ、ネクタイ姿の李氏は、緊張した様子でひな壇に立っていた。

新たに国家指導部の常務委員に入った李氏を含む 4 人は、いずれも習氏の地方時代の部下といった側近や信頼の厚いメンバー。 その一人の北京市トップを務めた蔡奇氏は、習氏があいさつをしている間、硬い表情で、長身の体をまっすぐにしたまま立っていた。 広東省トップを務めた李希氏は、習氏のあいさつが終わると拍手をし、習氏に続いて会場をあとにする際も拍手を続けていた。 習氏以外の 6 人は、一言も発する機会はなかった。 (asahi = 10-23-22)


貧しさ超え 16 歳で北京大 胡春華氏、消えた「最高指導者」への道

北京時間の 23 日正午過ぎ、新華社通信が速報した中国共産党の新指導部の名簿に、その名がなかった。 胡春華副首相 (59) だ。 若い時代から次代を担う可能性がある「ホープ」として広く知られ、40 代だった 10 年前に「トップ 25」の政治局員入り。 最年少の指導部メンバーとして迎えた 5 年前の党大会の時期にすでに「トップ 7」の最高指導部入りの観測があった。

今回も再び最年少の政治局員として党大会を迎え、改めて有力候補の一人とみられていた。 ところが公表された名簿では、24 人となった政治局員の中にすら、名前がなかった。 最高指導部の 7 人どころではない。 降格人事だ。 「将来の最高指導者」と呼ばれてきた胡氏に、一体何が起きたのか。

中国メディアによると、胡氏は湖北省の貧しい家庭で育った。 16 歳で名門の北京大学に入学。 学部で年齢は一番下で、背丈も一番低かった。 卒業時には人民大会堂で、北京の優秀な大学生を代表し、あいさつに立った。 「厳しい環境で働きたい。」 北京での政治に携わる仕事を勧める周囲の声を押し切り、1983 年に志願してチベット自治区に赴いたという。 数年後、自治区の書記を務める人物の信愛を受けた。 胡錦濤(フーチンタオ)前総書記だ。 同氏の出身母体となるエリート養成機関「共産主義青年団(共青団)」で、同氏や李克強首相も務めたトップの第 1 書記に就任した。 2006 年のことだった。

その有望性や、最高指導者との関係性から、党内では胡錦濤氏と比較して「若い方の胡」とも呼ばれた。 若くしての指導部入りにつながった 12 年の党大会では、トイレにまで記者がついてきた。 「10 年後には最高指導者」という声も少なくなかった。 その時、総書記に就任したのが習近平(シーチンピン)氏だ。 最高指導者となった習氏は、党内の一大勢力だった共青団派の引き締めを強めていった。 胡春華氏は、習氏との政治的距離が離れていることを指摘されるようになっていった。

今年 7 月、胡氏は党機関紙・人民日報への寄稿文で、50 回以上にわたって習氏の名前を挙げた。 「習氏の重要論述を学び、貫徹する。」 悲願の最高指導部入りに向け、忠誠を示したものと受け止められた。 行政能力への評価は高い。 最高指導部に入り、首相か、筆頭副首相になる。 そんな見方は、10 月に党大会が始まってからも、ずっと消えなかった。

ただ、22 日の閉幕式では、共青団の先輩にあたる李首相が「定年前」にもかかわらず退任することが決まった。 そして、元指導者として参加していた胡錦濤氏が途中退席するという異例の事態が起きた。 退席の真相は不明だが、白髪交じりの胡錦濤氏が「晴れ舞台」から去りゆく姿は、「若い方の胡」の行く末を暗示するかのように見えた。 「習 1 強」が明確となった新指導部に、胡春華氏の居場所はなくなった模様だ。 今回の降格で、名簿上だけではなく、長く続いてきた多くの人の「最高指導者候補」の観測からも、完全に名前が消えることになる。 (北京 = 高田正幸、asahi = 10-23-22)


20 年ぶり、中国指導部から女性「ゼロ」 政治参画の遅れ浮き彫りに

中国共産党第 20 期中央委員会第 1 回全体会議(1 中全会)が 23 日、新たに選出した党トップ 24 人の政治局員に女性が 1 人も含まれなかった。 政治局員に女性がいなくなるのは、2002 年以来 20 年ぶりの事態だ。 男女平等を掲げる習近平(シーチンピン)指導部だが、人事面では後退が否めない。 これまでの党政治局員としては孫春蘭副首相 (72) がいたが、高齢のため今回引退した。 孫氏に代わる女性の政治局員としてはェ貽琴・貴州省党委書記 (62) や全国人民代表大会(全人代)常務委員会の沈躍躍副委員長 (65) らが昇任するとの見方もあったが、ともに実現しなかった。

共産党の憲法にあたる党規約は、「党は女性幹部の育成と選抜を重視する」と明記。 習氏は今月 16 日に読み上げた政治報告でも「男女平等の基本国策を堅持する」と語っていた。 だが、101 年ある党の歴史のなかで、共産党で政治局員になった女性はこれまで 6 人のみ。 最高指導部の政治局常務委員に上り詰めた女性は 1 人もいない。 女性の政治参画の遅れという中国の現状が、改めて浮き彫りになった形だ。 (北京 = 高田正幸、asahi = 10-23-22)


中国共産党の最高指導部、李首相ら 4 人が退任へ 次世代へ枠を確保?

22 日に閉幕した中国共産党大会で、トップ 7 人の政治局常務委員のうち、4 人の退任が明らかになった。 その下の政治局員を含む 25 人で見ると、半数の 13 人が退く。 69 歳の習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)が異例の 3 期目に進む中、世代交代を印象づける狙いもあるようだ。 最高指導部の政治局常務委員からは、李克強(リーコーチアン)首相 (67)、栗戦書(リーチャンシュー)全国人民代表大会常務委員長 (72)、汪洋(ワンヤン)全国政治協商会議主席 (67)、韓正(ハンチョン)副首相 (68) の 4 人の名前が次期指導部の中央委員名簿から漏れ、退任が確定的になった。

栗氏は、30 代前半で習氏とともに河北省の近隣の県書記を務めた腹心だ。 習氏が 2012 年に総書記になると「官房長官役」である党中央弁公庁主任に就任。 2 期目は議会トップとして、香港での反体制的な言動を取り締まる「香港国家安全維持法(国安法)」の制定などを進めた。 党指導部には、党大会の年に 67 歳以下であれば留任し、68 歳以上なら退く「七上八下」という慣例が存在すると言われてきた。 李、汪両氏はこの定年に達しておらず、ルールの形骸化が鮮明になった。

定年制で線引きすると、習氏以外の今回の退任は 2 人にとどまり、1997 年以来の少ない交代となる可能性があった。 2017 年の前回党大会では 5 人が退任している。 党幹部の高齢化が指摘されるなか、退任者を増やすことで次世代の不満解消も図った形だ。

政治局員では外交部門トップの楊潔チー外事工作委員会弁公室主任 (72)、経済の司令塔である劉鶴副首相 (70)、新型コロナ対策の政府責任者だった孫春蘭副首相 (72) らの名前が中央委員名簿から消えた。 軍から政治局に入っていた許其亮中央軍事委員会副主席の退任も決まった。 一方、退任と見られていた張又●(狹の偏が人偏)同委副主席 (72) の名前はあり、軍の「継続性」を重視した模様だ。 外交部門では王毅(ワンイー)国務委員兼外相 (69) が留任。 23 日に楊氏の後任として政治局員へ昇格する可能性が高い。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 10-22-22)


台湾、中国との統一に断固反対 「民主主義と自由守る」

【台北】 台湾総統府の報道官は 16 日、中国共産党の習近平総書記(国家主席)が台湾統一への決意を示し「武力行使の放棄は約束しない」と述べたことに対し、「中華民国(台湾)は主権を有する独立国。 民主主義と自由を守ることは台湾人の主流の考えだ」として、中国との統一に断固反対する決意を表明した。 報道官は、習指導部が要求する「一国二制度」を断固拒否すると表明。 蔡総統による 10 日の演説に触れて「台湾海峡や地域の平和と安定を維持することは(台湾と中国の)責任だ」と述べた。 双方が受け入れられる方法を見つけるため、習指導部に「理性的で対等な対話」を呼びかけた。 (kyodo = 10-16-22)

◇ ◇ ◇

習氏、台湾問題「武力行使を放棄せず」 中国共産党大会

【北京 = 羽田野主】 中国共産党の幹部人事を決める 5 年に 1 度の第 20 回党大会が 16 日、北京の人民大会堂で開幕した。 習近平(シー・ジンピン)総書記は過去 5 年間の成果と今後の方針を示す活動報告で台湾統一方針を巡り、「決して武力行使の放棄を約束しない。 必要なあらゆる措置をとる選択肢を持ち続ける。」と強調した。

台湾問題に介入を深めるバイデン米政権や台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権を威嚇した。 習氏は「台湾問題は中国人自身のことであり、中国人が自分で決めなくてはいけない」と主張。 「祖国の完全な統一は必ず実現しなくてはならず、また必ず実現できる」と訴えた。 「平和統一の見通しを得るために最大限の努力をする」とも述べた。

中国共産党には、党トップの総書記は 2 期 10 年との慣習がある。 習氏は党大会後、この慣習を破って異例の 3 期目に入る見通しだ。 習氏は「これからの 5 年間は、社会主義現代化国家の全面的な建設が始まる重要な時期だ」と述べ、異例の 3 期目入りに向けた正当性を強調した。 「最悪の事態も想定した思考を堅持しなくてはいけない」とも話し、習氏の指導のもとでの結束を訴えた。

新型コロナウイルスのワクチン供与を中心とした海外との協力が「国際的な称賛を勝ち取った」とも主張した。 「中国の国際的影響力が著しく向上した」と成果を誇示した。 16 日の開幕式では、会場となる人民大会堂に、習氏ら最高指導部らとともに、総書記などを務めた長老のほか、各地域などを代表する党員約 2,300 人が出席したもようだ。 胡錦濤(フー・ジンタオ)前総書記が参加した一方、江沢民(ジアン・ズォーミン)元総書記は姿を見せなかった。

司会は李克強(リー・クォーチャン)首相が担当した。 活動報告を読み上げる形の習氏の演説は約 1 時間 45 分に及んだ。 会期は 7 日間。党大会は中国共産党の指導体制や基本方針を決める最高意思決定機関だ。 北京で 5 年に 1 度開き、党序列上位 200 位以内の中央委員らを選出し、党の憲法といわれる党規約の改正案や重要な政策課題を議論する。

今回、習氏が異例の 3 期目を決めるとの見方が大勢だ。 党大会の報道官は 15 日に記者会見し、活動報告の起草グループ長を習氏自身が務めていると明かした。 党大会では、次の指導者が起草の責任者を担うのが慣例だ。 習氏が 3 期目入りを確実にしたとの受け止めが広がっている。 会期中には、党規約の改正案も審議する。 習氏の党の核心としての地位と、習氏の政治思想の指導的な地位を確固たるものとする「二つの確立」を軸に、習氏の権威を高めるキーワードを盛り込む見通しだ。

党大会の最大の焦点は最高指導部である政治局常務委員の人選だ。 正式には党大会閉幕後の 23 日に開く中央委員会第 1 回全体会議(1 中全会)で決める。 現状で 7 人いるメンバーに、習氏の側近がどれだけ入るかが関心を集める。 丁薛祥・共産党中央弁公庁主任などの名前が挙がる。 習氏は側近らを幹部に引き上げ、「1 強体制」を盤石にしようとしている。 23 日に習氏をトップとする新たな最高指導部が発足する見通しだ。 (nikkei = 10-16-22)


読んだ内容半分だけ 「1 強」習近平氏の余裕と、読まなかったリスク

16 日開幕した中国共産党大会は、習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)の 3 期目への続投を決める場になるとみられる。 1 強体制を固めた習氏は今後の方針を示す政治報告で「団結奮闘」を呼びかけ、台湾統一への意欲も示した。 独自の政治体制で「強さ」を追うことに自信を見せる習氏だが、深まる米中対立や経済の落ち込みなどリスクもつきまとう。

午前 10 時過ぎ、中国共産党のシンボルカラーである赤いネクタイを締めた習氏が自信満々に政治報告を読み上げ始めた。 人民大会堂に集まった約 2,300 人の代表は、習氏の演説が一区切りするたびに、拍手で賛意を示した。 2017 年の前回党大会の演説はやや興奮気味にも見えた習氏の表情だったが、この日は余裕すら感じさせた。

最大の違いは、置かれた立場だ。 前回は党大会直前に憲法改正の作業チームを水面下で立ち上げ、3 期目を念頭に国家主席の任期撤廃を目指すタイミングだった。 まだハードルは多く、実績が問われる党大会でもあった。 習氏はこの時の政治報告で、3 時間半にも及ぶ大演説をぶっている。 だが、今回はほぼ「1 強体制」を作り上げ、ライバルも後継者も見当たらない。 5 年前には後方に座っていた江沢民元総書記も欠席。 唯一の関門であった定年問題もクリアした模様で、習氏の 3 期目に向かう今党大会は「通過儀礼」に近い状況となっている。

習氏は前回党大会で「35 年までに社会主義現代化強国を基本的に実現し、今世紀半ばまでに現代化強国を築く」という 2 段階の目標を示した。 その長期目標にも、今回の演説では 1 度触れたのみ。 演説時間も 1 時間 45 分に半減した。 演説後に公表された政治報告全文で、習氏が述べた内容が全体の半分であることが判明した。 政治報告演説による成果のアピールを重視しないほどに、習氏の威信は高まっている。 (北京 = 冨名腰隆、北京 = 西山明宏、asahi = 10-16-22)


「領袖も PCR もいらない」 北京に横断幕 党大会直前、習体制を批判

5 年に 1 度の中国共産党大会を控えた北京の街中で 13 日、習近平(シーチンピン)政権を痛烈に批判する横断幕が掲げられた。 ツイッターに出回った複数の画像によると、「領袖(りょうしゅう)はいらない、投票用紙が欲しい」などと書かれ、そばでは煙が上がっていた。 民主派への弾圧や厳しい言論統制で、体制批判を徹底的に抑え込んできた習政権に対する批判が、公開の場で繰り広げられるのは極めて異例だ。

北京では 16 日から、習総書記が異例の 3 期目入りを決めることが確実視されている共産党大会が始まる。 参加する各地の代表が北京入りを始め、警戒も強まる中での出来事だった。 画像によると、二つの横断幕が掲げられたのは北京市海淀区の高架で、「独裁国賊習近平を罷免せよ」、「文革はいらない、改革が必要だ」などと強い言葉が大書されていた。

党大会をめぐっては習氏を「領袖」と呼ぶ党規約の改正も取りざたされている。 習氏の強権ぶりから、文化大革命の再来への懸念も語られており、習氏への権力集中を強く非難する内容だといえる。 横断幕にはさらに「PCR 検査はいらない、ご飯が食べたい」、「封鎖はいらない、自由が欲しい」といった文言もあり、習政権が厳しい隔離や移動制限を伴う「ゼロコロナ」政策を続けていることへの批判が読み取れる。 13 日午後に近くの店舗で店番をしていた男性店員は、横断幕を見たと証言した。

習政権は近年、人権や言論の自由といった米欧の「普遍的価値」との対決姿勢を強めている。 国内では自らへの批判を許さず、反体制派とみなす人物だけでなく、人権派弁護士らも弾圧してきた。 2012 年に習氏が総書記に就任してから 10 年間で、公の場での体制批判はなりを潜めるようになった。 (asahi = 10-13-22)

◇ ◇ ◇

「二つの確立」意義を強調 7 中全会閉幕、習近平氏 3 期目へ態勢整う

16 日に始まる中国共産党大会の準備にあたった第 19 期中央委員会第 7 回全体会議(7 中全会)は 12 日、党の憲法にあたる党規約の改正案を党大会に提出することなどを決め、閉幕した。 成果をまとめたコミュニケでは、習近平(シーチンピン)総書記(国家主席)への忠誠を打ち出す概念「二つの確立」について、「全党が決定的意義を深く悟らなければならない」と強調。 党規約にも明記される見通しがさらに強まった。

「二つの確立」は「習氏の核心的地位と習氏の思想の指導的地位を確立する」という意味を持つ。 党規約に盛り込まれれば、習氏が歴代の指導者の中でも別格であることが示されることになる。 コミュニケは、過去 5 年間の成果を「習近平同志を核心とする党中央の強い指導と、『習近平の新時代の中国の社会主義思想』の指導の下で成し遂げられた」と総括したうえで、「社会主義現代化国家を建設し、中華民族の偉大な復興を推し進めるため、さらに団結、奮闘する」とした。

個別の課題では、台湾問題について「『一つの中国』原則を堅持し、国家主権と領土を守り、台湾独立勢力に反対する強い決意と能力を示した」と強調。 現在の党規約は「祖国統一を完成する」と短くあるのみだが、より強い表現に変わる可能性がある。 香港については、「『愛国者による香港統治』の原則を実行に移し、混乱から統治への重大な転換を実現した」と誇った。

一方、コミュニケは党規約改正の焦点となっている「習近平思想」や「領袖(りょうしゅう)」などの呼称は使っていない。 いずれも毛沢東と並ぶ地位を意味することから、一部から慎重論も出ている模様だ。 毛が就いていた「党主席」の復活についても触れていない。 ただし、習氏の 3 期目続投は揺るぎない状況だ。 12 日には北京市内で始まった 10 年間の成果をアピールする展覧会をメディアに公開。 習氏個人を礼賛する写真や発言が多く紹介され、さらに威信を高めている。

コミュニケは、この 1 年の活動についても触れ、新型コロナ対応について「感染防止と経済社会の発展を統一して進めた」と強調。 外交面では北京冬季五輪の成功を誇ったほか、ウクライナ危機について「リスクと試練に適切に対応し、安定的で健全な経済環境を維持した」とした。 7 中全会は、党規約改正案のほか、習氏が党大会で行う政治報告や中央規律検査委員会の活動報告も採択した。 (北京 = 冨名腰隆、asahi =10-12-22)


中国共産党の習総書記、3 期目就任に一歩近づく - 党大会参加者決まる

中国共産党の習近平総書記(国家主席)が、異例の 3 期目就任に一歩近づいた。 来月の党大会に参加する代表 2,296 人を党が選んだと国営新華社通信が 25 日報じた。 党機関紙の人民日報は 26 日の論評で、党大会代表に対し「党の核心」である習氏の下で緊密に連携するよう求めた。 「習近平同志を核心とする党中央委員会の強力な指導の下、全代表の協調した取り組みを通じ、第 20 回党大会は団結と勝利、努力の大会になると確信している」という。

習氏は今月、中央アジアを歴訪し、新型コロナウイルス感染拡大後で初めてとなる外遊を行った。 それ以来、同氏は公の場に姿を見せていないが、中国の厳格な「ゼロコロナ」政策が定める帰国後の隔離措置によるものだとみられている。 ただ、習氏の不在は臆測も呼んだ。 週末には同氏の指導力に異議が唱えられているとのうわさが飛び交った。 ユーラシア・グループのニール・トーマス氏らアナリストはこれについて、「誤った情報や偽情報を広めるソーシャルメディアのユーザーから発信されたようだ。 仮にそうしたシナリオなら、党大会代表の発表はまずあり得ない。」と説明した。

「党大会に先立ち、習氏の立場に関するうわさが増えると見込んでいるが、習氏のリーダーシップやアジェンダに挑むような人事やプロパガンダ、政策決定の可視的な変化に速やかにつながらないのであれば、それらは根拠のないものである可能性が高い」と指摘した。 党大会は 10 月 16 日、北京で開幕する。 (Bloomberg = 9-26-22)


中国、前司法相に死刑判決 党大会前に引き締め

【北京 = 三塚聖平】 中国国営新華社通信によると、吉林省長春市中級人民法院(地裁)は 22 日、収賄罪などに問われた前司法相の傅政華(ふせいか)氏に執行猶予(2 年)付きの死刑判決を言い渡した。 習近平政権は、10 月に開く中国共産党大会を前に党内の引き締めを図っており、特に公安・司法部門の摘発を強めている。 傅氏に対し、生涯にわたる政治的な権利の剥奪や、全ての個人財産の没収も言い渡した。 執行猶予が過ぎた後には無期懲役となり、減刑や仮釈放は許さないとしている。

判決では、傅氏が 2005 - 21 年に公安次官や司法相などを務める中で職権や地位を利用し、直接もしくは親族を通じて計 1 億 1,700 万元(約 24 億円)相当の財物を違法に受け取ったほか、弟の重大な犯罪に関する手掛かりを隠蔽したと認定。 「社会への影響が特に悪く、国家と人民の利益に重大な損失を与えた」と指摘した。 習近平国家主席が最高指導者として 3 期目続投を目指す党大会を前に、公安・司法部門で元幹部の摘発や有罪判決が続いている。 党大会に向けてわずかなリスクも排除しようと、絶大な権力を持つ同部門の引き締めを強化しているとみられる。 (sankei = 9-22-22)

◇ ◇ ◇

習指導部で出世の前司法相を党籍はく奪処分 「政治野心膨らませた」

中国共産党員の腐敗問題などを取り締まる党中央規律検査委員会などは 31 日、傅政華・前司法相に重大な規律違反があったとして、党籍はく奪などの処分にしたと発表した。 傅前司法相は習近平(シーチンピン)指導部の下で昇進を重ねたが、ふだんから不法に銃器を持ち歩いていたり、多くの住宅を所有したりした上、「政治野心を極度に膨らませた」などと激しい言葉で批判された。

規律検査委は、傅前司法相は収賄罪などで起訴された元公安次官の孫力軍被告らの「政治グループ」に加わり、徒党を組んで党中央を欺いたなどと指摘。 自分や家族のために部下らを私的に使い、頻繁に高価な接待を受け、迷信にもはまっていたなどと厳しく断罪した。 2013 年、天安門に車が突っ込んで炎上する事件が発生。 政権がウイグル族の独立を主張する東トルキスタン・イスラム運動 (ETIM) が関与したとして警戒を強めるなか、北京市公安局長だった傅前司法相は自ら陣頭に立ち、多数の警察車両を連ねて大々的なパトロールをするなど派手なパフォーマンスが目立った。

習指導部は今秋の党大会を前に再び反腐敗の取り組みを強めており、3 月 29 日には遼寧省副省長の取り調べを発表するなど、地方幹部らの摘発も目立っている。 (北京 = 林望、asahi = 3-31-22)


中国新疆で「深刻な人権侵害」 国連が報告書、ようやく公表

国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) は 31 日、中国新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害」が行われていると指摘する報告書を公表した。 報告書をめぐっては、中国政府が発表しないよう要求していたとされる。 OHCHR は報告書で「身柄拘束の劣悪な環境に加え、度重なる拷問や虐待の疑惑は信ぴょう性が高い」と指摘。 ウイグル族らが置かれる状況は「国際犯罪、特に人道に対する罪に当たる可能性がある」と強調した。

一方、OHCHR は中国側の声明も同時に公表した。 中国は今回の報告書について「発表に断固として反対する」と表明。人権状況の評価が「反中国勢力が捏造(ねつぞう)した偽情報などに基づいており、中国に非があることを前提にしている」と説明し、「中国の法律や政策を歪曲(わいきょく)し、誹謗(ひぼう)中傷している」と主張した。 欧米諸国は、中国が同自治区で少数民族ウイグル族らを収容所に送って洗脳したり、強制労働させたりしていると非難。 日本でも、大手アパレル企業が自治区で生産された「新疆綿」の使用を中止する動きが広がっている。

バチェレ国連人権高等弁務官は 5 月に同自治区を視察したが、視察内容は全て非公開で、人権侵害の実態は全く明らかにされなかった。 人権団体は、バチェレ氏が人権侵害を否定する中国に融和的な姿勢を取ったと批判していた。 バチェレ氏は任期満了に伴い、31日付で退任した。 (jiji = 9-1-22)


李克強首相が習近平国家主席を暗に批判? 言動が憶測呼ぶ 政治手法異なる故ケ小平氏を持ち上げ

【北京 = 新貝憲弘】 中国の李克強首相が広東省深センを視察した際の言動が、習近平国家主席を暗に批判したものではないかと臆測を呼んでいる。 習氏は今秋以降の続投が確実視されるものの、共産党内では習氏の強硬路線に対する反発は小さくないようだ。

李氏は 16 日に広東省・深センの塩田港を視察し「中国の開放はまだ引き続き進めなければならない。 黄河と長江は逆流しない」と強調し、故ケ小平氏が唱えた改革開放路線の堅持を訴えた。 一部の海外メディアは発言の動画を公開し、国内メディアは李氏がケ氏の像に献花したことを伝えた。

習氏は、集団指導体制を取り入れたケ氏より、個人独裁を進めた毛沢東の政治手法に近いと見られている。 米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア」は専門家の話として、李氏はケ氏を持ち上げることで習氏に異論を唱えていると説明。 しかし、来春の首相引退は確実なため「態度表明にすぎない」と指摘し、習氏の権力基盤が揺らぐことはないとの見方を伝えた。

その習氏は 16、17 の両日に東北部の遼寧省を視察。 中国国民党との内戦や朝鮮戦争で活躍した元兵士との面談では「抗米援朝戦争(朝鮮戦争)の勝利に多大な貢献をしたことを、党と人民は永遠に忘れない」と話し、対米強硬路線の継続をにおわせた。

新華社電によると、共産党理論誌「求是」の最新号に習氏が発表した論文は「(あらゆる分野は)政治と切り離せない」とした上で、偏りがあれば「速やかに修正する」と記し、自身への異論を許さない姿勢も示唆している。

中国では今月上旬から共産党の非公式重要会議「北戴河会議」が開かれ、今秋の第 20 回党大会で決める次期最高指導部の人事などを調整したとみられる。 李氏や習氏のこうした言動が、党大会にどう影響するのか注目される。 (東京新聞 = 8-21-22)


習近平の解決策はいずれ中国で大きな問題をもたらす

米国にとって習近平主席の野望が問題だとすれば、中国にとってはもっと大きな問題だ。 新型コロナに対する勝利宣言を熱望する習首席の政策であるロックダウンや隔離に加えて、同氏による共産主義中央集権と計画主義の強化は、中国の経済的奇跡を弱体化し、さらなる成長の可能性に深刻な打撃を与える恐れがある。 新型コロナウイルスおよび中国政府が強いている厳しいロックダウンと隔離は、中国経済にとって最も差し迫った脅威だ。 政府の厳しい締めつけは、ウイルス制圧の失敗につながるだけでなく、著しい経済的損害を与えていながら、経済にずっとやさしい西側の政策と比べて効果はほとんど変わらない。

新型コロナ政策は、中国国民に恐怖の種を蒔くことで必要以上に経済を停滞させている。 政府はオミクロン株の毒性が弱いことや欧米がより緩やかな方法で効果的に対応している事実を隠してきた。 さらに中国政府は、権威を維持するために、海外製のワクチンや医薬品の有効性を中国国民に対して否定しなければならないと信じているようでもある。

一連の厳格な行動が、中国は他の国々よりも効果的にウイルスに対応してきた、と主張してきた過去の政府プロパガンダに根ざしていることは間違いない。 中国政府にとって、西側には何か効果的なものがあり、経済が回復しつつあると認めることは、重要な国内プロパガンダ神話の土台を壊すことになる。

上海、香港などの中心地を都市封鎖することによる経済損失はまだ計算不能かもしれないが、膨大であることはまぎれもない。 李克強首相は最近広く流布された演説で、都市封鎖だけで、すでに引き下げられている 2022 年の中国の実質成長率目標である 5.5% の達成が阻まれる可能性があることを明言した。 すでに失業率は昨年末の 4.9% から今春 6.1% に上昇している。 消費者信頼感指数は昨年の 128 から最新データの 114 へと落ち込んだ。 わずか 3 年前に二桁成長していた住宅販売も 2022 年に完全に停滞した。 輸出は数ヶ月にわたる減少の後、中国製造業を上昇させたが、この上昇は中国よりも海外の回復を反映している。

最終的により破壊的なのは、習首席の経済運営における共産主義的原理の主張強化だ。 同氏の「新しい開発構想 (NDC)」には、いくつかの要素があるが、基本的には、アジアソサエティ政策研究所所長のケビン・ラッド氏がいみじくも名づけたように、中国の「国家の方向転換」を構成する。 これは、毛沢東以来初めて、中国の経済運営を厳しく管理された産業政策に合わせて再構築し、生まれ変わった国営部門を通じて、政府が国のすべての経済努力を一元的に指揮するものだ。

この方針の下、すでに中国政府は本来急成長していたはずのいくつかの消費者向けサービスへの出資を拒否した。 これらの会社は経済的必要性を明らかに満たしていたにもかかわらず、立案者らの好みから外れていた。 習首席はその「転換」の一環として、これらの企業のリーダーおよび政府の認定する経済目標から外れるビジネスリーダー全員を激しく批判した。 同氏は、企業の所有者が誰であろうと、これらの人々は「国とのパートナーシップ」の下、政府の立案者、ひいては中国共産党の指示に従って生きていることを明確にした。

立案者が間違うと膨大な国家的努力も間違った方向に進む

習首席の NDC は、同氏が「双循環」と呼ぶモデルも強調している。 中国はこのモデルの下、輸出依存から脱皮し、国内の成長源への依存度を高める。 さらに同氏は、中国のビジネスエリートの収入を人民に再分配する「共同富裕」という概念も強調した。 NDC のこの部分には人道的言語が網羅されているが、同構想が中産階級や労働階級の利益を目的としている可能性は低く、中国共産党外のビジネスパワーの弱体化が主目的である可能性が強い。

1970 年代後半にケ小平氏が経済を開放して以来、中国が驚くべき成功を収めてきたことを踏まえると、この権威主義/共産主義的な方向転換は驚きといえる。 しかし、さまざまな方法で、中国政府はこれを宣伝してきた。

ケ氏から習首席まで、中国の指導者は常に「自由化」は共産主義の究極の思想的目標のための手段に過ぎないと説明してきた。 ケ氏は当初から「中国の特色ある社会主義」はこれに基づいてのみ定義されることを明確にしていた。 西側では、そんなほのめかしは、異なる未来が見える指導者たちの古い理想に対する皮肉なレトリックであり、西側の指導者たちが、票のために、自分たちがすでに信じていない伝統的規範に対して大げさに敬意を示すのと同じだと見られている。 しかし、その解釈は、西側が中国について信じたいことを信じている、という以上に現実と合っていない。

今や中国政府は、真の共産主義信奉者よりも、皮肉屋の方が多いように思える。 つまるところ習首席が、市場がもたらした「圧倒的な量の物質的な富」が社会主義への道の次の段階に中国を位置づけたと述べて NDC を説明したのはごく最近のことだ。

もし習首席が本当にこの次の段階へ進みたいのなら、中国の成長と発展は困難な状態にある。 たとえば、同氏の NDC はそれ自身と矛盾している。 中国が、彼の立案者らが強調する産業である半導体、人工知能、量子コンピュータ、先端製造技術などで繁栄する唯一の道は、これらの分野で世界を支配することであり、それは中国の輸出依存を減らすという彼のもう 1 つの計画を阻止することになる。

もっと基本的なところでは、硬直した計画は中国経済のダイナミズムを損なう。 開かれた市場が発展を加速する理由の 1 つは、分散化という特性が未来を先取りする取り組みに多様性をもたらすことだ。 未来は誰も見ることができないので、多様性はどんな計画よりも経済ニーズにヒットする可能性が高い。 計画とは、NDC がそうであるように、本質的に数少ない分野に集中するものだからだ。 NDC は幸運をつかむかもしれない。 半導体、人工知能、量子コンピュータの分野には世界制覇の未来があるかもしれない。 それらは現在間違いなく注目の分野だ。

しかし時間とともに、確率は計画とは逆方向に傾き、テクノロジーの世界では特にそうだ。 立案者が間違いを犯すと、そして実際に犯すものなのだが、膨大な国家的努力が間違った方向に進む。 それは基本的に分散化された市場では起こり得ないないことだ。 いずれ共産主義的中央集権は、資源を無駄遣いするだけでなく、創造性と実験を抑制し、中国から過去 10 年間のダイナミズムを奪うだろう。 そして経済は、新型コロナのロックダウンが悪い思い出になるずっと後に停滞するだろう。 (Forbes = 7-15-22)


中国幹部が脱走者射殺命令 = 習氏、ウイグル族収容所建設指示 - 独英メディア

【ベルリン、北京】 中国・新疆ウイグル自治区の人権侵害問題に関し、ドイツ誌シュピーゲル(電子版)は 24 日、少数民族ウイグル族の収容施設で、虐待を受ける人々の写真や脱走者の射殺を命じる共産党幹部の発言を記録したとする内部資料を報じた。 資料には、習近平国家主席が収容施設の建設を指示していたことも記されているという。

資料はドイツ人研究者のアドリアン・ゼンツ氏が匿名の情報源から入手した。 自治区西部イリ・カザフ自治州テケス県の収容所で、拷問用の拘束具に座らされる男性や、背中に傷を負った男性らの写真があった。 2017 年に自治区トップの陳全国・党委員会書記(当時)が演説で「数歩でも逃げようとした者は射殺せよ」と述べたことも資料で確認された。 英 BBC 放送(電子版)によると、資料には、趙克志公安相が 18 年に新疆を視察した際の演説も含まれる。 趙氏は、習氏が「200 万人」の収容目標を達成するために施設の建設や資金の増額といった「重要指示」を出したとして称賛した。 (jiji = 5-24-22)


中国大手行の元頭取に重大な規律違反の疑い 王岐山国家副主席の側近

中国共産党中央規律検査委員会と国家監察委員会は 22 日、中国の大手行、招商銀行の行長(頭取)だった田恵宇氏 (56) を重大な規律違反の疑いで調査していると発表した。 具体的な容疑は明らかにしていない。 田氏は、王岐山(ワンチーシャン)国家副主席に近い存在として知られている。 田氏は複数の銀行勤務を経て、2013 年に招商銀行頭取に就任。 小口金融に力を入れ、同行に成長をもたらした。 同行は 18 日に取締役会を開き、田氏の離任を決定し、グループ会社の副理事長に就任することを発表していた。 田氏はこの取締役会には「一身上の都合」を理由に参加しなかったという。

田氏は 1990 年代、王氏が中国人民建設銀行(現中国建設銀行)の頭取だった時代に、秘書として王氏を支えたとされる。 王氏は 12 - 17 年、中央規律検査委員会書記として、習近平(シーチンピン)国家主席の看板政策である「反腐敗」を率いた。 習指導部の 2 期目は党慣例の定年を超えたが国家副主席として要職にとどまるなど、習氏の盟友的存在と見られてきた。 ただし、近年は元部下らの失脚が相次いでいる。

20 年、王氏の後ろ盾で出世した蒋超良・湖北省党委員会書記が新型コロナウイルス対応の遅れを理由に更迭されたほか、今年 1 月には王氏が海南省党委書記や北京市長のときに秘書として仕えた董宏氏が 4.6 億元(約 92 億円)余りの不正蓄財の罪で死刑判決を受けた。 王氏は 8 日に人民大会堂で開かれた北京冬季五輪・パラリンピックの「総括表彰大会」に出席するなど、通常の業務をこなしている。 だが、周辺者の失脚が相次ぐ状況から王氏と習氏との関係に変化が生じた可能性を指摘する声も出ている。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 4-22-22)

1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9 - 10