1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9

「やっと日本来られた」 成田空港で笑顔 きょう水際対策緩和
訪日客の「個人旅行」解禁 円安も追い風に

訪日個人旅行の解禁や入国者数の上限撤廃など新型コロナウイルスの水際対策が緩和された 11 日、成田空港には多くの外国人観光客が到着した。 観光客たちは「この日をずっと待っていた」と話し、意気揚々と全国各地の目的地に向けて繰り出した。

「緩和の発表を聞いてすぐに日本行きの航空チケットを買った」と話すのは、フランス・マルセイユ在住のパン職人、ケビン・マソさん (23)。 2020 年 9 月ごろまでの 1 年半、留学と仕事目的で広島県や兵庫県に住むほど日本を気に入っている。 ケビンさんは日本の地理や風土に関心があり、いつか 47 都道府県を巡るのが夢だという。 訪日は今回で 5 度目で、これまでに 30 カ所訪れた。 「やっと日本に来られた。 友人に会って、日本の料理も楽しみたい。 円安もラッキーだ。」と満面の笑みで空港を後にした。

米国カリフォルニア州に住む会社員、ダグラス・オームステッドさん (54) は、パートナーの平井都さん (48) の故郷に初めて降り立った。 二人でベトナムのみを旅する予定だったが、水際緩和の発表を受けて急きょ日本行きを決意。 東京や熱海に向かうという。 ダグラスさんは「日本のニュースをずっと気にしていた。 すしやラーメン、天ぷらなど食べたいものがたくさんある。 渋谷のスクランブル交差点を見てみたい。」と笑顔。 平井さんは「ずっと日本に連れてきたかったのでとてもうれしい」と声を弾ませた。

日本での就職前に故郷のベトナムに一時帰国していた女性 (23) は「地元のたくさんの友達から日本に行きたいと言われた。 個人旅行が解禁されたので、いつか京都や大阪を案内してあげたい」と話した。 (千葉日報 = 10-11-22)


入国者数の制限撤廃、政府が月内判断へ 新型コロナの水際対策

新型コロナウイルスの水際対策を大きく緩和するかどうか、政府は 9 月中にも判断する。 1 日あたりの入国者数の上限撤廃や個人旅行の解禁、訪日ビザの免除などを検討する。 複数の政府関係者が明かした。 感染状況を見極めた上で決め、来月中にも適用する見通しだ。 新型コロナの新規感染者数は減少傾向で推移している。 政府は、学校の再開などで人の行き来が増えた影響を見極めた上で、最終的に判断する方針だ。

水際対策をめぐっては、9 月 7 日に 1 日の入国者数の上限を 2 万人から 5 万人に引き上げ、ワクチン 3 回接種を条件に入国時の陰性証明提出も不要にしていた。 添乗員を伴わないツアー旅行も認めたが、個人旅行客は受け入れていない。 手続きが煩雑なビザの取得も引き続き必要だ。 欧米の主要国の多くがこうした制限を撤廃しており、日本の対応は後れが指摘されている。

木原誠二官房副長官は 11 日に出演したフジテレビの報道番組で、「円安状況だから、インバウンド(訪日観光客)は最も効く。 世界が交流を再開しているわけで、我々も後れを取ってはいけない」と強調。 経済活性化のため、秋冬の観光シーズン前に、訪日観光客の受け入れ拡大を図る考えを示していた。 政府は 2030 年に訪日客 6 千万人をめざしている。 コロナ禍前の 19 年には過去最多の約 3,200 万人を記録したが、昨年の訪日客は約 25 万人に激減した。 (西村圭史、asahi = 9-12-22)


水際緩和、きょうから 添乗員なし解禁、訪日旅行回復へ「一歩前進」

政府の新型コロナウイルスの水際対策が 7 日、緩和された。 1 日の入国者数の上限を 2 万人から 5 万人に引き上げ、3 回のワクチン接種で入国時の陰性証明の提出は不要となった。外国人観光客は添乗員なしのツアーが解禁された。一方、ビザの取得などの制約は続き、観光客が大幅に増えるかは不透明だ。 政府は昨年 11 月、オミクロン株の広がりを受け、外国人の新規入国を原則停止し、その後、段階的に緩和した。 今年 6 月に 1 日の入国者数の上限を 1 万人から 2 万人に引き上げ、今回さらに 5 万人に増やした。

また、これまで日本に入国するには出国前 72 時間以内に検査を受けて陰性証明書を入手する必要があり、入国をためらわせる大きな要因と指摘されてきた。 7 日からはワクチンを 3 回接種していることを条件に、証明書の提出は求めない。 外国人観光客については、全行程で添乗員がつくツアーに限っていたが、添乗員なしのツアーも認めることになった。 自由行動もできるようになる。 ショッピングや飲食などの行動範囲が広がりそうだ。

一方で、観光客が自分で宿泊先や航空券を手配する「個人旅行」は引き続き認められない。 ビザの取得も必要だ。 経済界は「一歩前進」と受け止める一方、さらなる緩和を求めている。 感染リスクの低い国・地域に限定してきた受け入れ対象の制限もなくしたが、コロナ禍前まで訪日観光客の半数を占めていた中国、台湾、香港は自国の水際対策が厳しく、訪日はほぼ見込めない。 観光庁は緩和に合わせて感染対策のガイドラインをつくり、ツアー客と確実に連絡が取れるよう国内の旅行会社に求めている。 入国後に連絡してマスク着用などを呼びかけるほか、陽性者が出た場合に対応できるようにする。 (高橋豪、asahi = 9-7-22)


海外から到着の 30 人新型コロナ感染 厚生労働省

厚生労働省は 3 日、海外から国内の空港に到着した 30 人が新型コロナウイルスに感染していたと発表した。 (kyodo = 7-3-22)


「それでも日本に行きたい」 香港から初のツアー客来日

「2 年以上ぶりの日本にわくわくしている。」 団体ツアーのみ訪日外国人観光客(インバウンド)の受け入れが再開されて以降、香港からは初となるツアー客が 22 日、成田空港に到着した。 円安も相まって参加者からは買い物が楽しみだとの声が上がった。 今後、インバウンドの入国は本格化するとみられ、観光消費の活発化が期待される。 観光庁によると、受け入れ再開以降、今月 15 日に初めてインバウンドの入国があり、16 日現在で既に 1,300 人以上の入国申請があったとしている。 今後も徐々に増加する見込みだ。

この日、成田空港に到着したのは香港の旅行会社が主催したツアーの参加者計 10 人と添乗員 1 人。 6 泊 7 日の日程で北海道や東京などをめぐる予定だ。 参加者のうち 3 人は香港のテレビ局スタッフで、現在の日本の観光地やツアーの様子などを取材するという。 成田空港の到着ゲートに姿を見せたツアー参加者らは、空港スタッフらの出迎えを受け、疲れた様子も見せずに笑顔で応じた。

新型コロナウイルス禍前は年 4 - 5 回のペースで来日していたという参加者の女子大学生 (23) は「ここに来られてうれしい」と喜んだ。 帰国後に現地のルールで 1 週間程度の隔離を余儀なくされるが、「それでも日本に行きたいという気持ちが強かった」とし、グルメやショッピングを楽しみたいと語った。

観光庁は旅行会社向けに策定したガイドラインで、マスク着用のほか、交通機関や食事の際に座席配置を記録することなどを要請。 ただ、ツアー添乗員の男性 (53) は「(日本の対策を)厳しいとは思わない。 国が決めたルールは守らないといけない。」と話し、参加者にもコロナ対策の順守を徹底するよう求めたことを強調した。 日本政府観光局によると、コロナ禍前の令和元年で国・地域別のインバウンド数をみると、香港は全体の約 7% に上る約 229 万人。 香港をはじめ東アジアだけで全体の 7 割以上を占めていたことから、需要の本格回復に向けては特に熱い視線が注がれている。 (福田涼太郎、sankei = 6-22-22)


検査免除でスムーズ入国、タイから帰国の男性「早さがまるで違う」 … きょうから水際対策緩和

政府による新型コロナウイルスの水際対策が 1 日から緩和され、米国や中国、韓国、タイなど 98 か国・地域からの入国者には入国時の検査が実施されず、自宅などでの待機も免除されることになった。 成田空港では、検査を免除された利用客らがスムーズに入国手続きを済ませていた。

午前 8 時半頃、タイ・バンコク発 JAL718 便が成田空港に到着。 約 40 人の乗客が検疫場所に移動し、陰性証明などを登録したスマホの画面を検疫官に提示した。 検疫官の確認を受けると、乗客らは到着ロビーへと向かっていった。 タイから半年ぶりに帰国した埼玉県戸田市、会社員の男性 (53) は「国内線と同じくらいの時間で到着ロビーに出られた。 これまでとは早さがまるで違う。」と驚いた様子だった。

新しい措置では、国・地域をウイルスの流入リスクが低い順に「青」、「黄」、「赤」の 3 グループに分類。 全員に出国前 72 時間以内の陰性証明書の提示を義務づけるが、「青」に該当する 98 か国・地域からの入国者は検査を免除する。 ベトナムなど 99 か国・地域の「黄」はワクチンを 3 回接種していれば免除、パキスタンなど 4 か国の「赤」は 3 回接種でも検査を実施する。 政府は 2021 年 1 月以降、日本人帰国者を含めた全ての入国者に、到着した空港で検査を実施してきた。 3 回目のワクチン接種者以外には、感染リスクが低い国でも入国・帰国後に最短 3 日間の自宅などでの待機を求めていた。 (yomiuri = 6-1-22)


再開実証の外国人観光客からコロナ感染者 … タイからの 4 人グループがツアー中止

観光庁は 30 日、外国人観光客の受け入れ再開に向けた実証事業で、タイから 27 日に入国した参加者 1 人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。 発熱はなく、大分県内の宿泊療養施設で待機している。 入国時に空港で行った PCR 検査では陰性で、感染経路は不明としている。

同庁はこの参加者がいるグループのツアーを中止した。 感染した参加者は計 4 人のグループで、福岡、大分の両県を 4 泊 5 日で旅行する予定だった。 大分県内に滞在中の 30 日朝、のどの痛みを訴え、病院で抗原検査をしたところ陽性だった。 他の 3 人は簡易検査で陰性だったが、濃厚接触の可能性があるため、別のホテルで待機している。 実証事業では、タイや米国など 4 か国の旅行会社の社員ら 15 組約 50 人が 12 県を旅行する。 他の組のツアーは予定通り継続する。 (yomiuri = 5-30-22)

◇ ◇ ◇

観光客の入国、月内に試験的再開 米国、豪州など 4 カ国から受け入れ

斉藤鉄夫国土交通相は 17 日の閣議後会見で、外国人の観光目的の入国を 5 月中に試験的に再開すると発表した。 感染状況が落ち着いている国から少人数限定のツアーを受け入れ、感染対策や、感染者が出た場合の対応などを検証する。 新型コロナウイルスの変異株の指定国以外で、日本を訪れる観光客が多い米国、オーストラリア、タイ、シンガポールの 4 カ国からそれぞれ少人数のツアーを受け入れる。 参加者はワクチンの 3 回接種が条件で、旅行会社の添乗員が付き添う。 旅行先は都道府県の同意が得られた地域に限定する。

感染防止対策の実効性や、ツアー中に感染者が出た場合の対応などを検証した上で、旅行会社や宿泊施設向けのガイドラインを策定する。 感染拡大を抑えながらツアーができると判断すれば、徐々に受け入れの拡大を検討する考えだ。 斉藤国交相は 17 日の会見で「感染拡大の防止と社会経済活動のバランスに十分配慮しながら進めてまいります」と述べた。

政府は 3 月から、ビジネス目的や留学生らの入国を人数制限しながら認めてきた。 政府が水際対策の緩和にかじを切ったことを受けて、旅行業界や航空会社からは、観光客の受け入れ再開を求める声が上がっていた。 松野博一官房長官は 16 日の会見で「連休後の感染状況をしっかり見極めた上で、6 月にも G7 (主要 7 カ国)諸国並みに円滑な入国が可能となるよう検討していきたい」と話していた。 政府は 1 日あたり 1 万人の入国者数も 6 月から倍の 2 万人に増やす方向で検討している。 (高木真也、asahi = 5-17-22)


外国人観光客、今月にも入国緩和へ 少人数の団体客を受け入れ

新型コロナウイルスの水際対策をめぐり、政府は 5 月にも、現在停止されている観光目的の入国を試験的に認める方向で調整に入った。 一定の条件下で少人数の団体客の入国を認め、感染状況などを見極めたうえで、現在 1 日あたり 1 万人としている入国者数の上限も段階的に緩和したい考えだ。 複数の政府関係者が明らかにした。

政府は 5 月にも観光目的について試験的に数百人規模の想定で入国を認める方向で調整。 ゴールデンウィーク後の新型コロナの感染状況も踏まえ、6 月以降、ビジネス目的を中心として、さらに緩和に踏み切れるか検討する。 観光目的の入国条件など具体的な内容は今後さらに詰める方針だ。

水際対策をめぐっては、政府は 3 月から、原則停止してきた外国人の新規入国についてビジネス目的や留学生、技能実習生らを認め、1 日あたりの入国者数の上限も段階的に引き上げてきた。 ただ、観光目的の入国は停止が続いていた。 一方、岸田文雄首相は 5 日に英ロンドンで行った記者会見で「6 月にも専門家の見解も踏まえつつ水際対策を含めたコロナ対策を段階的に見直し、日常をさらに取り戻していきたい」と意欲を示していた。 (asahi = 5-6-22)


「留学生 15 万人入国できず」松野官房長官 政府は水際緩和を検討

松野博一官房長官は 15 日の記者会見で、政府が新型コロナウイルスのオミクロン株対応でとっている水際対策によって、「在留資格の事前認定を受けており、日本へ入国できていない外国人留学生は、2021 年末時点で約 15 万人となっている」と明かした。 一方、政府は卒業時に支障がでる懸念がある国費留学生など、「特段の事情による新規入国」について個別の審査を経て入国を認めている。 松野氏によると、昨年 11 月 29 日 - 2 月 10 日の速報値で約 6 千人が入国できたという。

政府は現在、外国人の新規入国を原則停止しているが、3 月からビジネス関係者や留学生らを対象に、段階的に入国制限を緩和する方向で調整している。 松野氏は会見で、「変異種も含めたオミクロン株に対する科学的な知見の蓄積、内外の感染状況の変化、海外の水際対策のありようなどを総合的に勘案し、新型コロナウイルス感染症対策全体の流れの中で、緩和に向けた検討を進めている」と述べた。 (西村圭史、asahi = 2-15-22)


入国制限 3 月緩和へ 1 日上限 5 千人軸 対象はビジネス・留学生

新型コロナウイルスの水際対策について、政府は 3 月からビジネス関係者や留学生らを対象に、段階的に外国人の入国制限を緩和する方向で調整に入った。 感染状況や世論の動向の推移を見ながら、早ければ来週にも具体的な内容を決める方向だ。 複数の政府関係者が明らかにした。 岸田文雄首相は 12 日、東京・羽田空港で水際対策の措置を視察した後、記者団に「骨格自体について見直し、緩和の方向で検討していきたい」と語った。

政府は、月内は今の水際対策を続け、3 月から 1 日あたりの入国者数の上限を拡大した上で、3 回目のワクチン接種の有無や入国後の待機日数などの条件を満たせば入国可能とする方向で調整。 待機日数の短縮も検討する。 緩和の開始時期は、国内外の感染状況などを見極めて最終判断する。 1 日あたりの入国者数は、段階的に当面 5 千人まで拡大する案を軸に調整する。 入国後は一定の待機期間を必要とし、受け入れ先や監督者を定めることなども検討する。 今回は観光客までは拡大しない方向だ。

首相は見直し内容の判断基準については、「変異種も含めたオミクロン株に対する科学的な知見の蓄積、内外の感染状況の変化、海外における水際対策のありようを総合的に勘案」すると説明。 「具体的な中身はこれから検討していかなければならない」と話した。 政府は昨年 11 月 30 日、オミクロン株対策として、「特段の事情」がある場合を除き、外国人の新規入国を原則停止した。 現在は 1 日の入国者数を 3,500 人に制限し、日本人の帰国や在留資格がある外国人の再入国にも入国後 7 日間の自宅待機、さらに特定の国からの入国者には指定の宿泊施設で、3 日間から 6 日間の待機を求めている。 1 度延長し、期限は今月末となっている。

首相は「G7 で最も厳しい水準」と強調してきたが、留学生の入国を求める国内外からの声のほか、ビジネス関係者や技能実習生の入国を求める経済界からは批判が出ていた。 公明党の山口那津男代表や自民党の安倍晋三元首相も見直しを要求。政権にとって、水際対策への対応が大きな課題となっている。 (asahi = 2-13-22)


岸田首相、外国人の入国禁止を表明 全世界対象、30 日午前 0 時から

新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」をめぐり、岸田文雄首相は 29 日、緊急避難的な予防措置として「外国人の入国について、11 月 30 日午前 0 時より全世界を対象に禁止する」と述べた。 首相官邸で記者団の取材に答えた。 政府は今月 8 日から、海外のビジネス関係者や留学生、技能実習生の新規入国を認める規制緩和を行っているが、この規制緩和を当面停止することにした。

岸田氏はまた、日本人帰国者らについても水際対策を強化する考えを示した。 南アフリカなど 9 カ国に加えて、オミクロン株の感染が確認された 14 カ国・地域から帰国する際には、「リスクに応じて指定施設における厳格な隔離措置を実施する」と述べた。 これらの対応について、岸田氏は「オミクロン株についての情報がある程度明らかになるまでの、念のための臨時、異例の措置」だと強調。 「未知のリスクには慎重の上にも慎重に対応すべきだと考えて政権運営を行っている。 状況がわからないのに、岸田は慎重すぎるという批判については、私が全て負う覚悟でやっていく」と語った。

オミクロン株をめぐっては、世界保健機関 (WHO) が 26 日、デルタ株などと並んで最も警戒度が高い「懸念される変異株 (VOC)」と指定した。 欧州や香港、イスラエルなどでも見つかっており、各国が素早く水際対策の強化に動いていた。 日本も、南アなどアフリカ南部からの入国制限を段階的に強化してきたが、自民党などから「相当な迅速性としっかりとした決断を持って水際対策を徹底的に強化するということをやっていただかないといけない(自民の高市早苗政調会長)」などと、さらなる対策強化を求める声が上がっていた。

また、岸田氏は 29 日、南アフリカなどすでに水際対策を強化した 9 カ国から、これまでに 32 人の入国があったことも明らかにした。 うちナミビアから入国した 1 人は、新型コロナ陽性の疑いがあるという。 ゲノム解析によって、オミクロン株かどうかを解析するが、結果が出るまでに「4 日から 5 日かかると聞いている」と説明した。 (asahi = 11-29-21)


ナミビアからの入国者の男性 1 人が陽性 オミクロン株か検体確認へ

南アフリカで見つかった新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」をめぐり、後藤茂之厚生労働相は 29 日、水際対策の強化措置がとられているナミビアから入国した男性 1 人について、28 日夜に新型コロナの陽性が確認されたことを明らかにした。 国立感染症研究所でゲノム解析をし、オミクロン株かどうか検体を確認するという。

陽性だったのはナミビアから帰国した 30 代の男性。 厚労省側は男性の国籍について明らかにしていない。 オミクロン株かどうかを判定するゲノム解析には数日かかるという。 政府は、南アフリカなどの計 9 カ国に対して、国指定宿泊施設での 10 日間の待機が必要とする水際対策をとっていた。 政府は 30 日午前 0 時から外国人の新規入国を停止する。 (石川友恵、asahi = 11-29-21)


政府、南アフリカなど 6 カ国の入国規制強化へ 宿泊施設で 10 日待機

南アフリカで新たな新型コロナウイルスの変異株の検出が伝えられたことを受けて、日本政府は 26 日、南アフリカやその周辺国のジンバブエなどアフリカ南部の計 6 カ国からの入国に関する規制を強化すると発表した。 6 カ国からの入国者は、国指定の宿泊施設で 10 日間の待機が必要となる。 適用は 27 日午前 0 時から。 ほかに対象となったのはナミビア、レソト、エスワティニ、ボツワナ。いずれも、英国が 25 日、飛行機の乗り入れを禁止すると発表した対象国だ。(佐藤達弥、asahi = 11-26-21)


自宅待機 3 日の高すぎるハードル 入国制限緩和、企業は「使えない」

政府が 8 日から始めた入国制限の緩和で、海外から帰国したビジネス関係者の自宅待機が最短 3 日に短縮された。 ただ、この緩和策について、現場の企業から「事実上、使えない」という不満が噴出している。 申請手続きやルールが厳しすぎるというのだ。 今回の緩和では、ワクチン接種者が仕事で入国する際の自主隔離の最短期間が従来の 10 日から 3 日に縮まった。 当初は商社などから歓迎の声も出たが、今は失望の声の方が大きい。 政策シンクタンク「運輸総合研究所」の山田輝希国際部長も 22 日、国土交通省で記者会見し、「手続きと内容の両面で緩和の実が伴っていない。 ぜひ見直してほしい。」と要望した。

問題点は…

実際の問題点はどこにあるのか。 まず、申請の手続きが煩雑だという。 自宅待機を 3 日(帰国日の翌日から起算)にするためには、勤め先の企業などが申請書や誓約書、活動計画書など 4 - 5 種類の書類を提出し、所管官庁の審査を受ける必要がある。 厚生労働省のホームページには「3 週間ほどかかる場合がある」とある一方、帰国後の 1 日ごとの仕事や会食の場所、移動手段を書く欄もあるなど必要とされる情報はかなり細かい。 予定の変更があった場合は、そのつど報告して中身を確認してもらう必要もあるという。 ある運輸大手企業の関係者は「3 週間前に細かく決めるのが難しいものも多い。 作業がとにかく繁雑で、負担が大きい。」と話す。

従業員の帰国時には原則、「受入責任者」である企業などの担当者が空港に毎回迎えに行かなければならない。 行動確認に使うアプリを帰国者がスマートフォンに入れたことを、その場で確認する運用だ。 今は、アプリのインストールが画像などで確認できるなどした場合に迎えを免除する例外規定も追加されたが、それまでは帰国者が多い企業から「空港に常駐者が要るのか」という批判が出ていた。

「経営者レベルじゃないと使えない」

3 日の自宅待機が終わっても、帰国者が自由に働くことは難しい。 公共交通機関の利用は座席指定できる新幹線や航空機などに限られ、普通の電車やバスは使えない。 出勤しても働く場所は「なるべく個室」。 近く海外出張の予定がある東京都内の不動産会社の社員は「経営者レベルじゃないと使えない制度だ」と話す。 仕事上、外せない会食に参加した場合は、企業がその後 10 日間にわたって会食相手全員の健康チェックをしなければならない。 運輸大手の関係者は「『体温は何度ですか』と会社が毎日連絡するのか」と頭を抱える。

こうした厳しいハードルに、企業側からは「行政の責任転嫁ではないか」、「緩和は『フェイク』では」といった声が出ている。 一方、厚労省は、提出書類の数を減らすなど運用改善を進めつつも「緩和しても感染を持ち込むリスクを上げないことが前提」との立場だ。 感染症に詳しい東京医大病院渡航者医療センターの浜田篤郎・特任教授も「企業側の不満の声も聞いてはいるが、海外で感染者が増えている現状を考えればやむを得ないのでは」と指摘する。 (友田雄大、石塚広志、asahi = 11-22-21)

◇ ◇ ◇

入国制限の緩和スタート 受け入れ企業の有無で恩恵に明暗も

政府は 8 日、新型コロナウイルスの水際対策として、1月から原則停止していた海外のビジネス関係者や技能実習生らの新規入国を認め、入国制限を大幅に緩和した。受け入れ企業の管理や、ワクチン接種などを条件に入国後の待機期間が短縮される。 成田空港にこの日、到着した旅客からは緩和を歓迎する声の一方で、緩和条件の不便さへの不満の声も聞かれた。

米サンフランシスコ在住で、日本に 6 週間滞在予定のコンサルタントの日本人女性は「今回の緩和で日本からのビジネス客が増えてほしい」と期待する。 一方、「私はフリーランスで日本に受け入れ企業がなく、緩和の恩恵は受けられない」と話す。 ワシントン DC 在住の弁護士の日本人男性 (54) は「ワクチン接種も終え、待機期間は 3 日間になると期待したが、受け入れ企業はないので、待機期間は短くならない。 海外を拠点にするビジネスマンには不便なので改善してほしい。」と話した。

米国のワシントン DC から帰国し、2 週間滞在予定という IT 会社役員の日本人男性 (45) は、受け入れ先の企業の管理下で、待機期間を 10 日間から 3 日間に短縮する申請をし、都内のホテルで待機する。 男性は「日本のビジネスマンが海外出張し、帰国後復帰しやすくなっただけ。 海外滞在のビジネスマンには使いづらいと不評。企業の管理下にいれば感染拡大を防げるとしている根拠もよくわからない。」と話した。

経団連は 8 日に発表した政府のコロナ対策への提言で、ワクチンを 2 回接種した人は入国時の隔離を免除するよう求めた。 十倉雅和会長は同日の会見で、ビジネス関係者らの隔離期間を 3 日に短縮する政府の決定について「まずは一歩として評価したい」と述べた上で、経団連の求める「待機日数ゼロ」に向け、「(政府は)状況を見据えて段階的に、現実的に対応してくれると思う。 そう遠くない将来に、ご判断いただけるのでは。」と更なる制限緩和への期待感を示した。 (上沢博之、伊藤弘毅、asahi = 11-8-21)


留学生の入国制限、緩和されたけど 落胆の声相次ぐ理由

新型コロナの水際対策として続いていた留学生らの入国制限が緩和された。 だが、来日を待っていた海外の学生からは、落胆の声が漏れ始めた。 なぜなのか。

「日本政府が海外の留学生について気にしていないと感じる。 残念。」
「来年まで待たなければならないのは理解できない。」

これまで留学生の入国を認めてもらおうと署名活動をしてきた国立大学 1 年の女子学生のもとには、入国制限が緩和された 8 日以降、日本への渡航を待ちこがれる海外の学生からこうした声が届いているという。

「ほかの国は渡航を緩和していますが、私たちは来年の 2 月よりさらに後まで(日本への入国を)待たなくてはなりません。 先週、日本から来ている留学生とピクニックに行き、彼らの楽しく充実した留学体験を聞いて正直、ねたましさを感じました。 彼らは 8 月からこちらで大学生活を楽しんでいますが、私たちは時差に苦しみながら終わりの見えない Zoom の授業を受け続けています。」

というメッセージもあった。 自身も、「制限緩和」のニュースを見たときは喜んだが、入国までに時間がかかりそうだと分かってがっかりしたという。

「感染予防はもちろん大事なのですが、日本の学生は留学できているなか、日本にはまだ来られないまま。 海外の友人に申し訳ない気持ちになりました。」

審査の受け付け、来年になる人も

文部科学省が今月 5 日以降、通知や資料、動画配信で各大学に示した手順では、大学などの「受入責任者」には留学生の「行動管理」が求められている。 まず、大学側が留学生の入国後の待機場所を記した書類や、大学と留学生による「誓約書」などを文科省に出し、審査にパスする必要がある。 審査の申請は、留学の在留資格を得た時期が早い人から順に、各大学が行う。 資格を得た時期、@ 昨年 1 - 3 月、A 同 4 - 9 月、B 同 10月 - 今年 3 月に分け、@ の人は今年 11 月、A は 12 月、B は来年 1 月から文科省が審査を受け付ける。

この区分には、「今年 4 月以降に資格を得た人」は入っていない。 文科省は、来年 2 月以降に「状況を踏まえて」申請を受け付けるとしか説明していない。 留学辞退者が出ることが想定されるほか、海外で感染が拡大中の地域もあり、実際に留学生の入国がどれくらい進むか見通せないためだ。 国際教養大学(秋田市)の米田裕之・事務局次長は「提出書類をそろえるのが大変そうで、手続きが進むスピードも心配」と語る。 同大学で学位を取るために入学した「正規留学生」 34 人のうち、日本に入れず、海外で同大学のオンライン授業を受けている 20 人は入国を待ちわびており、大学側も可能ならすぐにでも呼び入れたい気持ちだが、そう簡単ではないという。

実際の入国時期は

米田さんは、在留資格を取得している正規留学生が、審査を経て入国できるのは最速でも来年 1 月になるとみる。 来日後は 14 日間(ワクチン接種済みの人は 10 日間)の待機が必要だが、大学の授業は 2 月半ばすぎまで。来日してもすぐに大学の授業がなくなり、春休みに入ってしまう。 「来日の時期を春まで遅らせることになるのではないか」と米田さんは話す。 大学間の協定に基づく「交換留学生」の入国時期も不透明だ。 同大学は交換留学に力を入れており、コロナ禍の前には年間約 300 人が来ていた。 日本人学生は授業だけでなく、寮や課外活動でも外国人留学生と日常的に接する機会が多く、それによってコミュニケーション能力や多文化共生の意識が育まれていたという。

秋学期には例年であれば海外から約 200 人が来ていたが、現在の交換留学生は 16 人で、全員が海外でオンライン授業を受けている。 「早く日本に行きたい」という学生はいるが、審査などの諸手続き、大学側の準備を考えると、受け入れは早くて 3 月になりそうだ。 来春は約 100 人の交換留学生を受け入れ、国際色豊かなキャンパスの環境を取り戻そうとしている。 既に 3 月後半に成田空港周辺のホテルの部屋を確保したが、「審査を含む複雑な手続きを考えると、来日は 4 月以降にずれ込むのではないか。 ホテルの予約を取り直すことになるのか、満杯で取れないという事態にならないか、心配は尽きません。」と米田さんは言う。

日本が選ばれなくなる危機感

昨年からの入国制限で、留学生の受け入れ人数は激減した。出入国管理統計によると、昨年 1 年間に留学の在留資格で日本に入国した人は 4 万 9,700 人で、前年から 6 割近く減った。 今年上半期に限ると、コロナ前の 19 年上半期と比べて約 9 割減だ。 昨年 1 月以降、日本政府から留学の在留資格を認められたものの、入国できていない人は約 14 万 7 千人に上る。 日本語教育機関関係6団体の 7 月の調査(加盟 184 校が回答)では、2020 - 21 年の日本語学校への留学予定者 4 万人のうち、約 6 千人が入学をキャンセルした。

米国や英国などがワクチン接種証明や PCR 検査の陰性などを条件に留学生らを受け入れるなか、厳しい入国制限を続けた日本をあきらめ、留学先を他国に変更する事例も相次いだ。 文科省の担当者は「日本が選ばれなくなる危機感は持っていたが、感染状況が落ち着かなければ来てもらうのは難しかった。 今回の緩和を反転の第一歩としたい。」と話す。 1 千人以上(秋入学者の見込み数を含む)の留学生が入国できていない東京大学。 林香里副学長は留学生を受け入れる意義を「違う発想の人たちが集まることでいろんなプロジェクトが始まる。 キャンパスが圧倒的に活性化する。」と語る。 早期の入国に向けて手続きを進める方針という。

東京外国語大学の松隈潤副学長(国際担当)は入国制限の緩和について「やっと風穴が開いた」と前向きにとらえるが、「コロナの第 6 波も心配されるなか、スピード感が大事」と言う。 懸念しているのは、長く続いた入国制限の影響だ。 「母国を離れてでも日本で学びたい、社会や文化、歴史を理解したいという若者は貴重な存在。 入国を拒否し続けたことによる中期的な悪影響がこれから顕在化するのでは。」 心配ごとはほかにもある。 同大学では現在、108 人の交換留学生全員が来日できていない。 一方、93 人が交換留学で渡航し、現地の大学で学んでいる。 本来は相互の行き来が前提で、日本からの学生だけが増える事態は信頼を損ないかねないという。

政府が認めている入国者数の枠は現在 1 日あたり 3,500 人。 政府は広げることも検討しているが、この枠にはビジネス関係者や技能実習生も含まれ、留学生がどのぐらい入国できるかは不透明だ。 「ビジネスに比べて留学生は不要不急と誤解されるのが心配。 国の将来を考え、戦略的に国際社会での存在感を高めるうえで、留学生を受け入れることが重要だと知ってほしい」と松隈副学長は話す。 (上野創、桑原紀彦、asahi = 11-13-21)

留学生をめぐる日本政府の水際対策の経過
2020年春外国人の入国制限を段階的に強化
20年8月国費留学生の入国再開
20年10月私費留学生の入国再開
21年1月新規入国を原則停止
21年5月国費留学生の入国再開
21年11月私費留学生の入国制限を解除

ビジネス目的入国、月内にも緩和 短期は待機 3 日で調整 留学生らも

政府は新型コロナウイルス対策で新規入国を原則認めていない短期滞在のビジネス関係者や留学生、技能実習生について、認める方向で調整に入った。 受け入れ先企業や団体が行動計画書を提出し、行動管理を徹底することを条件とする。 今週中にも発表し、月内にも実施する方向だ。 政府関係者が明らかにした。 短期滞在のビジネス関係者については入国後の待機期間を、ワクチン接種済みであることを条件に、留学生や技能実習生より短い 3 日とする方向で調整中。 この方針は海外出張から帰国した日本人に適用することも検討している。

一方、観光客は今回の入国規制緩和の対象としない方針だ。 現行の 1 日あたり 3,500 人の入国者枠は当面は維持し、国内外で感染状況が悪化すれば、入国規制を再び強化することも想定している。 政府は 1 月以降、外国人の新規入国を原則として停止。 人道的な理由など「特段の事情」がある場合のみ入国を認めてきた。 このため、海外とのビジネス往来を重視する経済界や、来日できない海外の留学生から、入国規制の緩和を求める声が出ていた。 (佐藤達弥、asahi = 11-2-21)


「日本で実物見たいのに」嘆く研究者 ビザ出さぬ日本、留学生 9 割減

日本が、新型コロナウイルス対策を理由に留学生ビザの大半の発行を止め、再開のめどもないことに、国内外から懸念が出ている。 留学生が日本に渡れないだけでなく、海外での日本研究や、日本からの留学生の受け入れにも影響しかねない状況だ。 米ハーバード大学院博士課程のリア・ジャスティン・ヒニッチさん (31) は昨春から、研究のために日本へ行く予定だった。 奨学金を得て、受け入れ大学や指導教官も決まっていた。 だが、新型コロナの影響で断念せざるを得ず、米国にとどまっている。

研究テーマは、狂歌連と浮世絵師の関係。インターネットを使って絵画を調べるなどしているが、日本の美術館の多くは所蔵作品をデジタル化しておらず、限界がある。 「日本画の研究では実物を見ながら、どのような記載があるかを見なければならない」と語る。 2020 年は、生活費を得るために働いた。 今年は金銭的な支援を得ることができ、時間を取り戻そうと研究を進めているが、「日本にいたら」という思いがつきない。 「自分では見落としていることが、日本の専門家から指導を受ければ分かると思う。 同じ分野の研究仲間との交流もない。」

日本人女性と結婚しているが、日本が同性婚を認めていないため、配偶者ビザを申請することもできない。 「精いっぱいやっている」と自分に言い聞かせるが、展望のなさにストレスがたまる。 同じくハーバード大学院博士課程で日本史を研究するジョン・ハヤシさん (30) は 19 年秋から、京都大に留学をしていた。 1 年間の予定だったが、20 年春に新型コロナが広がり、米国務省から帰国するよう求められ、奨学金も打ち切られた。 それ以来、戻る機会をうかがうが、見通しは立たない。 「日本にいる間に資料を集められただけ運が良かったが、研究計画は変えざるを得ない」という。

ハヤシさんの祖父は日系 2 世。 ただ、イリノイ州で育ち、子どものころは日本文化との接点もなかった。 姉が高校生の時、日本に留学したことを機に興味がわき、自身も続いた。 「育った環境との違いや、日本語の複雑さに引きつけられた。 『自分』を指す言葉がこれほどたくさんあるのが驚きだった。」と話す。 大学に入ってからも日本語を学び、卒業してからは外国の若者を日本に招く JET プログラムの一員として三重県松阪市で 2 年間過ごした。 今後も日本研究に残りたいと思っているが、不透明感が増している。 「この数年間が研究にどのように影響し、将来にかかわるのか、多くの人が不安を抱えている。」

日本に留学をしたくても、行けない人は多い。 日本政府は昨秋に留学生ビザの発給をいったん再開したが、今年 1 月から再び全面的に止めた。 国費留学生に限って 5 月から受け入れを始めたが、コロナ禍前に留学生の 96% を占めた私費留学生は門戸が閉ざされている。 出入国在留管理庁によると、21 年上半期に入国した留学生は 7,078 人で、19 年の同時期と比べて約 9 割の減少だった。

「東京で五輪開催ができたのなら …」

日本の高等教育機関が、長期的に影響を受けるという懸念も出ている。 米国や日本の大学や研究機関に所属する有志の 656 人は 21 日、「日本の教育機関のグローバルな関係や評判が損なわれている」として、ビザの発給再開などを求める要望書をニューヨーク総領事館に提出した。 取りまとめ役の 1 人、日本国際基督教大学財団エグゼクティブ・ディレクターのポール・ヘイスティングスさんは「東京で五輪開催ができるのなら、長期的に滞在する留学生の受け入れも可能なはずだ」と話す。

水際対策の一環で、ビザの数を減らしたり、渡航制限を設けたりするのは各国に共通している。 だが、米国や英国は留学生の受け入れを続けてきた。 また、ワクチンの普及に合わせて制限を緩和する国が多いなか、日本は厳しさが目立つ。 ハーバード大のアンドリュー・ゴードン教授(日本史)は「外国に対する根拠のない不安が表れている。 日本語を必死に学び、重要研究テーマを持っている学生が日本に行けない。」と指摘する。 日本私立大学連盟も 9 月、留学希望者が他国へ行くことを検討せざるを得なくなっているなどとして、制限緩和を文部科学省などに要望した。

既に、留学生が他国へ向かうケースが出ている。 国際基督教大 (ICU) のマーク・ウィリアムズ副学長によると、米カリフォルニア大から来る予定だった留学生は、入国を認めていた韓国へ渡ったという。 来年度の留学生についても、「このままでは日本への派遣ができない」という趣旨を同大から伝えられている。 カリフォルニア大バークリー校の羽生淳子日本研究センター長は「以前は米国の大学にも余力があり、数年間かけて研究者を育てることができたが、今では時間がかかるのならば、別の道に進むという選択を取りかねない」と語る。 「米国における日本研究が全体的に押されているなか、人の交流が途切れてしまう影響は大きい」と話す。

日本から海外に出る留学生も、受け入れが困難になる可能性がある。 日本学生支援機構の調べによると、18 年度に海外へ出た約 11 万 5 千人の日本人留学生のうち、7 万人余りが海外の大学との協定などに基づく派遣だった。 こうした派遣は、日本側も相手の大学から留学生を受け入れることが条件になっていることが多い。 ICU のウィリアムズ氏は「米国からの留学生が来なければ、こちらから送ることもできなくなると恐れている」と話す。

文部科学省学生・留学生課の担当者は、国費留学生だけを受け入れている理由について「国が奨学金を出しており、私費留学生よりも公益性が高いため」と説明する。 日本が留学生の受け入れを積極的に勧めてきた経緯もあり、私費留学生についても再開をしたいとする一方、「入国が制限されているのは留学生だけでなく、文科省だけで決めることではない。 緩和に向けて、関係省庁と調整を進めていきたい」としている。 (中井大助 = ニューヨーク、河崎優子、asahi = 10-22-21)

1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9