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ウィーチャットのミニプログラム、182 万件の就業機会を提供 「微信(ウィーチャット、WeChat)は一つの生活方式だ。」 この広告文が初めて大衆の面前に現れた時、多くの人は疑問に感じたものだが、今や 10 億人のユーザーを擁するウィーチャットは、人々の生活のあらゆる面に深く浸透し、就職活動に使う人も少なくない。 2018 年にウィーチャットのミニプログラムが前年比で 75% 増となる 182 万件の就業機会を提供し、直接的就業機会が 70 万件に上ったことなどがわかった。 ウィーチャットと中国信通院 (CAICT) などが発表した「ウィーチャットの就業影響度報告書」で明らかになった。 ウィーチャットのミニプログラムは 2017 年に運営を開始してから 2 年間で、飛躍的な発展を見せている。 データによると、ウィーチャットのミニプログラムは現在 100 万本あり、200 の業界を網羅している。 2018 年に創造した商業価値は 5,000 億元(約 8 兆 2,960 億円)に上るという。 ミニプログラムは学びやすくて低コスト、開発時間が短いなどの理由で開発者らに支持されており、就業を進める重要なツールになっている。 ミニプログラムが提供する就業方式は柔軟で、時間や場所の制約を受けない。 技術的な手段で都市と農村の就業格差を取り除き、デジタル分野での労働を紹介することで就業のハードルを引き下げ、収入源を増やすことができる。 ミニプログラムは就職のハードルを引き下げると同時に、起業家らのために幅広い現金収入の道を提供している。 中でも、著名な「Becky's Fantasy」の成功物語は、ミニプログラム開発者の中で言い伝えられている。 2014 年にファッション公式アカウントを創設した「Becky's Fantasy」は、革新的な内容で多くのファンを引き付けている。 「Becky」ブランドのミニプログラムは 2017 年末に運営を開始し、7 分間で売上 100 万元(約 1,660 万円)突破の記録を残した。 科学技術が飛躍的に発展する現在、ウィーチャットのミニプログラムを代表とする新興のインターネットツールは、就業方式の変化を促進し、新たな求職ルートを作り上げ、起業の活力を生み出している。 この新たな生態系の中で、新たなサクセス・ストーリーがまた次々と生まれて来るのだろう。 (東方新報 = AFP = 3-25-19) ◇ ◇ ◇ 今年の春節期間、8 億人がウィーチャットで「お年玉」のやり取り テンセント報告 中国で春節(旧正月)前日の大みそかから 6 日間で、微信(ウィーチャット)の紅包(お年玉)機能を利用した回数が、のべ 8 億 2,300 万回に上ったことがわかった。 前年同期と比べ、利用者数は 7.12%、紅包の配信量も 64.2% それぞれ増加した。 騰訊(テンセント)のウィーチャット運営チームが 10 日に発表した「2019 年春節データ報告」で明らかにした。 ウィーチャットの「紅包」機能は、正月のお年玉など祝い事に際しておこづかいや祝い金をチャット上から相手に送金することができる機能だ。 利用者の多くは、現在のモバイルインターネットを世界的にもけん引する 90 年代生まれの人たちで、省別で最もやりとりが多かったのは広東、山東省、江蘇省など。 都市別では北京、広州、重慶市などが続き、北京市は紅包をあげる側、もらう側としても、最もやりとりが多い都市となった。 (東方新報 = 2-15-19) 中国共産党の影が動画アプリ「TikTok」を覆う
昨年 12 月にカナダ司法省が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟(モン・ワンチョウ)副会長兼 CFO (最高財務責任者)を逮捕して以来、中国企業と米企業の緊張関係が世界の注目を集めている。 世界制覇の野心に燃える中国企業は、ハードウエア部門だけではない。 消費者向けスタートアップのユニコーン(企業価値が 10 億ドルを超える非上場ベンチャー企業)も、世界のインターネットを中国化しようと挑んでいる。 なかでも 12 年創業のバイトダンス(北京字節跳動科技) は、国外で急激に市場を拡大している。 昨年 10 月の資金調達では企業価値 750 億ドルと評価され、非上場のスタートアップとして世界最大となった。 主力のサービスは 2 つ。 ニュースアグリゲーションアプリ「今日頭条(Toutiao/国外版はトップバズ)」は、基本的にフェイスブックのニュースフィードと同じだが、人工知能 (AI) による(興味のあるニュースを推薦する)リコメンド機能が売りだ。 もう 1 つの「抖音(ドウイン)」は、6 秒動画アプリの VINE に似たショートムービーアプリで、国外では「TikTok (ティックトック)」として絶大な人気を集めている。 アメリカでは昨秋、最も多くダウンロードされたアプリになった。 バイトダンスの張一鳴(チャン・イーミン)創業者兼 CEO は、20 年までにユーザーの半分を外国人にするという目標を掲げる。 中国の規制強化リスクを回避する狙いもあるだろう。 破格の評価額がついた大きな要因は、例えば騰訊(テンセント)が運営する携帯電話のチャットアプリ「微信(ウィーチャット)」と違って、国外でも成功できると証明したことだ。 ただし、その世界的な成功は、中国以外の消費者向け IT 企業が経験しているのと同じ緊張をバイトダンスにもたらす。 「人々がフェイスブックに向ける注目や不満と、まさに同じものを向けられる」と、IT 情報サイト、テックノードのジョン・アートマン編集長は指摘する。 インドでは昨年、バイトダンスのニュースアプリが、選挙前に差別を扇動するフェイクニュースを流したと批判された。 インドネシアでは「ポルノや不適切なコンテンツ、神への冒涜」を理由に、TikTok のアクセスが約 1 週間、遮断された。 民主主義社会で受ける批判に対する準備不足も露呈している。 YouTube で昨夏、TikTok が子供の性的なコンテンツを容認していると非難する動画が話題になった。 バイトダンスは著作権侵害を理由に動画の削除申請をしたが、拙速な申請だったことが判明し、さらに批判を浴びた。 このような反応は、中国企業と世界の間に大きなずれがあることを物語る。 政府との協力関係やコンテンツポリシーに関する原則は、中国共産党の影響下で成長した企業とシリコンバレーの企業では、根本的に異なるはずだ。 国内では、バイトダンスは繰り返し共産党に屈服している。 昨年 4 月には、ジョーク共有アプリ「内涵段子」が「低俗な」コンテンツを理由に閉鎖を命じられた。 張は反省文を公開。 「社会主義の中心的価値観に不相応のコンテンツだった」と説明し、今後は「権威ある(党公認)メディアとの連携を深め、権威あるメディアのコンテンツの配信を増やし、権威ある(党公認)メディアの声を伝えることに力を入れる」と約束した。 バイトダンスの製品が政府の取り締まりを受けた後、抖音では、警察や軍を宣伝する動画が以前より頻繁に表示されるようになった。 恐らくアルゴリズムのリコメンド機能をいじったのだろう。 ただし、中国企業が国外でシェアを伸ばすほど、共産党との関係や依存が注視されるようになる。 国際社会では、中国の影響力と、公的領域で IT 企業が果たす役割への懸念が高まっており、世界進出を目指す企業の足かせになりかねない。 グーグルやツイッター、フェイスブックは数々の批判を受けて、フェイクニュース対策に本気で取り組み始めた。 バイトダンスも、現地の言語に精通したコンテンツ管理者の採用や、フェイクニュースの通報に賞金を出す試み、不審なアカウントの削除、地元のファクトチェッカーとの提携などを進めている。 企業に選択の自由はない バイトダンスにはもう 1 つ、欧米の IT 企業とは共有できない問題がある。 常に中国政府の介入がちらついても、一企業には何もできないのだ。 中国政府はいずれ、バイトダンスのようなコンテンツプラットフォームが、国外の世論に対して持つ潜在的な影響力に気付くだろう。 人々をニュースやエンターテインメントのアプリに依存させることは、世論を誘導する強力なルートになり得る。 例えば、バイトダンスのアルゴリズムを操作して、特定の候補者の当選を後押しすることも考えられる。 それに比べたら、ロシアが 16 年の米大統領選でソーシャルメディアの宣伝に数百万ドルを投じたことなど、子供の遊びに思えてくる。 しかも、コンテンツ表示のアルゴリズムを微妙に操作するといった手法は、ロシアのような選挙介入より発覚しにくい。 「有権者登録を忘れずに!」というメッセージを、特定の候補者の支持者に向けて多めに発信しても、気が付きそうにない。 とはいえ中国企業も、このような外交政策に関して、政府に進んで協力しているわけではない。 エドワード・スノーデンが米国家安全保障局 (NSA) による監視の実態を暴露した後、欧米の企業は、政府から情報提供を求められても抵抗している。 消費者の信頼こそ、自分たちのビジネスの核心だと理解しているからだ。 中国企業も、政府への協力を疑われることのダメージを理解している。 配車サービス大手の滴滴出行は警察からデータの提供を要請されたが、プライバシーを盾に 2 回にわたり拒否。 最終的に段ボール数箱分の書類を提出したが、ほとんど役に立たない情報ばかりだった。 もっとも、一党独裁国家において、最終的に企業の側に選択肢はほとんどない。 中国で 17 年 6 月に施行された国家情報法は、全ての組織と個人に、国の情報活動への協力を義務付けている。 バイトダンスは、国外での評価がリスクにさらされるとしても、中国政府を喜ばせることを最優先させるしかないだろう。 (フィリップ・スペンス、NewsWeek = 1-29-19)
アリババ経済圏、異形の膨張続く 6 億人の情報収集
中国のアリババ集団が築くスマートフォン(スマホ)経済圏が異形の膨張を遂げている。 スマホ決済を軸に、通販や生鮮スーパー、金融、医療など、生活すべてをカバーするサービスを提供する。 利便性の代償は個人情報だ。 購買履歴や関心、生体認証など、膨大なデータの一部は当局にも流れる。 データをかき集め米 IT (情報技術)巨大企業を超える速度で成長するアリババだが、その繁栄は共産党一党支配と密接に絡み合う。 杭州市のケンタッキー・フライド・チキンの店舗。 注文した女子学生がレジの端末をのぞきこむと、画面に「支払い完了」と表示された。 顔認証で払える無人レジだ。 レジを開発したアリババは、顔などの生体データを抱える。 それだけではない。 購買履歴、学歴や資産、通院や投薬歴など、6 億人の顧客情報を抱え込むことで、人工知能 (AI) などの技術で世界の最先端を走る。 顧客も格付けする。 評価システム「芝麻(ゴマ)信用」のスコアは、車の保有やカード支払い状況が良いと上がり、優遇が増える。 就職やお見合いでも「スコアを参考にする」との声が出る。 まるで管理社会のようでも「アリババなしでは暮らせない」という人は増える一方だ。 生鮮スーパー「盒馬(フーマー)鮮生」はスマホで注文した魚介や果物が 3 キロメートル圏内なら 30 分以内に届く。 「3 キロ圏のマンション販売価格は近隣より 1 割高い。(四川省の不動産業者)」 中国のスマホ社会はいまや世界最大だ。 日本は規制やしがらみが多くスマホ決済がようやく離陸したばかりだが、中国の 18 年のスマホ決済額は前年比 1.5 倍の 160 兆元(2,600 兆円)に膨らんだもようだ。 中国では支払いをスマホ決済に限る店舗も出た。 当局はフーマーを含む 600 超の例で現金を拒まないよう指導した。 ただ国連の関係機関は、中国の現金決済比率が 10 年の 61% から 20 年に 30% と半減すると予測する。 アリババの成長速度は米 IT 大手も上回る。 アリババの時価総額は直近の株安でピークから 3 割下がったが、初めて 5 千億ドルを突破したのは上場から 3 年半後。 米アマゾン・ドット・コムは上場 20 年たってからだった。 18 年 11 月の「独身の日」セールでアリババの取扱高は約 3 兆 5 千億円。 アマゾンは同 7 月のセールで 4,500 億円(米調査会社推計)だった。 欧米ではアマゾンが既存業界を駆逐する「アマゾン・エフェクト」に批判が高まり、当局はデータ不正利用などの監視を強める。 中国でも百貨店閉鎖など「アリババ・エフェクト」は甚大だが、政府との距離は正反対だ。 18 年 12 月の共産党の改革開放 40 年式典で、アリババの馬雲(ジャック・マー)会長は「デジタル経済の創始者」と評され、党幹部からメダルを受け取った。 グーグルなど世界の IT 巨人が中国事業を制約されるなか、彼らと肩を並べようとしているアリババにも党や国家の影が色濃く迫っていることを印象づけた。 当局の関心はアリババが持つ個人情報だ。 中国人民銀行(中央銀行)は 18 年 6 月、アリババや騰訊控股(テンセント)など全スマホ決済が経由するシステム「網聯」を稼働させた。 「資金の流れのリアルタイムな監視に利する。(人民銀幹部)」 アリババは公安当局と協力して街を監視する役割も担う。 杭州市内 4,500 台超のカメラ映像を AI で分析。 火事や事件などを察知し、200 人以上の警察官に指示を飛ばす。 海外から懸念されても中国企業が共産党を拒む選択肢はないだろう。 中国は企業や個人が当局の情報収集に協力するよう義務付けた「国家情報法」を 17 年に定めた。 世界貿易機関 (WTO) は中国を念頭に、国家のデータ検閲禁止などの国際ルールをつくる方針だ。 中国が囲い込むデータが増えれば、米国などの警戒を招きかねない。 (上海 = 張勇祥、松田直樹、nikkei = 1-13-19) ◇ ◇ ◇ 「アリババ創業者は共産党員」報道、中国の内外で驚き IT 大手アリババ集団の創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が中国共産党員だったと党機関紙、人民日報が報じ、中国の内外で驚きが広がっている。 党とは距離を置いていると見られていたためだ。 マー氏は以前、政府との関係について「恋愛をしてもいいが、結婚してはいけない」と語っており、党員かが注目されていた。 今回明らかにされたことについて海外メディアは「党への信頼を高めるための宣伝活動の一環だ」などと報じている。 人民日報が 26 日、「改革開放に貢献した表彰者」のリストを掲載し、その中にマー氏の名前が含まれていた。 「アリババはネット通販、フィンテックとクラウドコンピューティング分野の国際競争で中国をトップクラスの地位にした」と紹介された。 英語教師だったマー氏は 1999 年にアリババを創業。 EC 通販サイト「天猫」を運営するほか、決済サービス「アリペイ」など手広く事業を手がける。 時価総額は 4 千億ドル(約 45 兆円)超。 今年 9 月に、来秋にアリババ会長職を退くと発表した。 (北京 = 新宅あゆみ、asahi = 11-28-18) ◇ ◇ ◇ アリババ創業ジャック・マー会長退任へ 慈善事業に注力 中国ネット通販大手・アリババ集団の創業者、馬雲(マーユン、ジャック・マー)氏が会長を退任することが 8 日、明らかになった。 7 日付の米紙ニューヨーク・タイムズの取材に答えた。 54 歳の誕生日となる 10 日に正式に公表する見込み。 取締役にはとどまるものの、今後は教育の慈善事業に力を入れていくという。 馬氏は英語教師を務めた後、1999 年にアリババを創業し、中国のニューエコノミーを推進してきた。 手がけたビジネスは、中国人に通販の習慣を広め、物流体系を大きく改善させた。 電子決済はキャッシュレス社会の実現につながった。 今や同社は米ニューヨーク証券取引所に上場する、時価総額 4,100 億ドル(約 46 兆円)の巨大企業になり、馬氏個人は中国一の富豪となったこともある。 中国政府との近さも指摘され、2017 年初めには米大統領に当選したトランプ氏と会って米国での雇用拡大計画を伝えるなど、政商としての側面も持つ。 中国の大手ネット企業では、アリババと、対話アプリやゲームを手がけるテンセント、検索の百度(バイドゥ)、ネット通販の京東集団がグループを形成し、様々な分野で勢力争いを繰り広げる。 これら大手 4 社の創業者で、経営の一線から退くのは馬氏が初めてとなる。 (北京 = 福田直之、asahi = 9-8-18) 京東集団の CEO が不起訴に 女性暴行の疑い、米で逮捕 中国ネット通販大手の京東集団は 21 日、米ミネソタ州ミネアポリスの司法当局が、女性への性的暴行の疑いで捜査していた同社の創業者、劉強東・最高経営責任者 (CEO) について、不起訴にしたと発表した。 劉氏は出張先の同州で 8 月 31 日に逮捕された。 9 月 1 日に釈放されたが、その後も捜査は続いていた。 劉氏は不起訴について声明を発表し、「私は法律を破っていないことが証明された」と述べた。 一方、「私とこの女性との交流は家族、特に妻を深く傷つけた。 誠実な謝罪を受け入れてくれることを望む。」と述べ、ネット上のアイドル「ナイチャ妹妹」として知られる妻・章沢天さんとの関係修復に努める意向を示した。 (香港 = 福田直之、asahi = 12-22-18) ◇ ◇ ◇ 中国 6 兆円企業、京東集団 CEO アメリカで強姦容疑で逮捕 中国の電子商取引 (EC) 企業では、アリババに次ぐ 2 位の大手企業「京東集団(JD.com)」の創業者、劉強東 CEO (最高経営責任者 = 45)が 8 月 31 日、出張先のアメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで地元警察に逮捕された。 容疑は強姦罪で、裁判で有罪になれば、最低でも懲役 12 年、最高の場合、懲役 30 年が科されるという。 劉氏はすでに保釈されており、北京の本社に戻っているが、今後、ミネアポリスで開かれる裁判には出席しなければならないという。 警察側は劉氏が中国でも著名な企業経営者で逃走の可能性が低いことや、劉氏がミネアポリスにあるミネソタ大学に多額の寄付をしており、今回の出張も同大の大学院博士課程で講義するためだったことなどを配慮して、保釈したという。 米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、ミネアポリス警察のスポークスマン、ジョン・エルダー氏は「劉氏は第一級犯罪に当たる『強姦罪』の疑いで逮捕されたが、事件の捜査を行う上で、身柄を拘留する必要がないと判断した」と発言。 エルダー氏は劉氏のほか、もう 1 人を逮捕したことを明らかにしたが、逮捕した場所や被害者など事件の詳細については「捜査上の秘密」として言及しなかった。 第一級犯罪は最も重大な犯罪として区分されており、ミネソタ州の州法では強姦や殺人、13 歳未満の少年少女への犯罪などとされている。 劉氏については、以前にも、女性への暴行について新聞沙汰になったことがある。 オーストラリア紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」によると、2015 年にシドニーの劉氏の別邸で開かれたホームパーティに招かれた女性モデルが劉氏を含む複数の男性に飲酒を強要され、中国籍の不動産デベロッパー、スー・ロンウェイ容疑者から繰り返し性的暴力を受けた。 スー被告は起訴され、裁判で強姦罪など 7 件の容疑で有罪判決が下っている。 劉氏はこの事件で告発を受けておらず、「会社と自身の婚姻関係に影響が出る」として、社名や名前の公表をしないよう求めたものの、裁判所はこの訴えを却下している。 京東集団はミネアポリスでの事件について、SNS を通じて「警察が違法行為を確認できておらず逮捕は不当だった」とする声明を発表したが、劉氏は年商 540 億ドル(約 6 兆円)とされる中国有数の大企業のトップだけに、今後のミネアポリスでの裁判の行方が俄然注目されるのは間違いない。 (News ポストセブン = 9-12-18)
中国政府、WeChat の削除済みメッセージを収集していることを認める 中国政府当局は先週末、ほぼ全国的に使用されているチャットアプリの WeChat の削除済みメッセージを取得するしくみを持っていることを明らかにした。 多くの人にとって驚きではなかったが、このような議論を呼ぶデータ収集手法を公式に認めることはかなり珍しい。 South China Morning Post の記事によると、安徽省の汚職防止委員会は土曜日(米国時間4 月 28 日)、当局は「あるテーマに関わる一連の削除された WeChat 会話を回収した」とソーシャルメディアに投稿した。 投稿は翌日削除されたが、それまでに多くの人が読み、起こりうる影響を理解した。 (私を含め) 10 億人近い人々が利用する WeChat を運営する Tencent は声明で「WeChat はチャット履歴を保存していない - - ユーザーの携帯電話やコンピューターにのみ保存される」と説明した。 この保存に関する技術的詳細については明らかにされていないが、関心を持つ当局が何らかに方法でアクセス可能であることは、委員会の投稿から明らかだ。 アプリはもちろん、特定の話題の検閲を含む政府の要件に対応している。 まだ多くの疑問があり、その答はユーザーの脆弱性を説明するのに役立つだろう。 メッセージーは安全に暗号化されているのか? 削除メッセージの復活にユーザーの ID とパスワードは必要ないのか? それとも「マスターキー」やバックドアで突破できるのか。 ユーザーは WeChat でメッセージを永久的・完全に削除することが可能なのか? 中国政府が中国企業の保有、操作するデータをアクセスすることに対する恐怖は、対象となる企業に対する世界的な反発を呼んでおり、一部の国々(米国を含む)では、中国製のデバイスやサービスの機密情報や公式での利用を禁止している。 (Devin Coldewey、TechCrunch = 5-1-18) 中国が VPN 規制をさらに厳格化、外国人への影響は? 中国政府は、VPN (仮想プライベートネットワーク)に対する規制を強化しており、中国のネット民にとってはフェイスブックやウィキペディア、ユーチューブなどの禁止されたウェブサイトにアクセスすることがこれまで以上に困難になっている。 中国政府は、これらのサイトには反政府的なコンテンツが含まれることを懸念している。 中国政府は、過去 10 年にわたり 4 万人とも言われるネット監視員を動員して VPN を閉鎖してきたが、ネット民は生き残った VPN を見つけては使用してきた。 しかし、3 月 31 日に政府は取り締まりをさらに強化し、非認可の VPN を全て閉鎖すると宣言した。 これは、中国を訪れる外国人にとって心配な動きだ。 フェイスブックや Gmail は、中国では一切使えない。 グーグル検索やグーグルドックス (Google Docs) も規制されており、WhatsApp は使えたとしても動作が重い。 海外のニュースサイトも、チベットや台湾など中国政府を不快にさせるテーマを扱うものは遮断されている。 しかし、規制が強化された後も VPN を使って検閲を回避することは可能だ。 最適な方法は、中国に拠点を持つ外国企業の VPN を利用することだ。 昨年、中国の工業情報化部は VPN 規制の強化を発表したが、専門家によるとターゲットは外国人ではなく、中国の一般大衆だという。 中国は海外への直接投資額ランキングで米国と英国に次いで 3 位となっており、昨年は 3 万 5,000 もの外資系企業が中国で設立された。 これは 2016 年を上回る数だ。 中国の学術機関も、海外の研究成果を調査する目的で今後も VPN の利用が認められる可能性が高い。 「過去の事例にもとづけば、今回も外資系企業の従業員と中国の学術機関に対しては VPN の利用が認められるだろう。 これまでの規制は、マスマーケット向けに提供されている VPN が対象だった。」と北京に本拠を置く調査会社「Marbridge Consulting」の Mark Natkin は話す。 「IDC」の Xue Yu によると、企業は海外サイトにアクセスする必要性を示せば、通信会社が提供する VPN への接続が認められる可能性が高いという。 例えば、中国で開催される国際的なカンファレンスの主催者であれば、地元企業であっても VPN の利用が許可される。 カンファレンスに出席する外国人のゲストも同様だ。 結局はいたちごっこに 「中国で登録された企業であれば、今後も VPN を運営することができる」と在上海米国商工会議所の IT 委員会で会長を務めた Danny Levinson は話す。 VPN のレビューサイト、「Top10VPN.com」は、「3 月 31 日の規制強化によって、数百万人の中国人ネットユーザーがグローバルなインターネットから遮断された」と述べている。 同サイトによると、中国には少なくとも 7 億 5,100 万人のネットユーザーがおり、VPN 利用者数も世界で最多だという。 3 月 31 日以降、一般ユーザーはネット上のマーケットプレイスやアプリから VPN に接続することができなくなった。 中国のネット企業も、当局と協力して禁止されたコンテンツを遮断している。 それでも、海外のサイトにアクセスしたいユーザーは、海外で販売されている VPN を利用することができる。 VPN 規制は、今後もいたちごっこの様相を呈す可能性が高い。 というのも、ビジネスへの影響を考慮すると非認可 VPN を一気に遮断することは難しいからだ。 また、我慢強く探せば閉鎖されていない VPN を見つけることができるかもしれない。 (Ralph Jennings、Forbes = 5-1-18) 日本人が知らない中国 E コマース新勢力「ピンドォドォ」の戦略 中国の EC 大手「アリババ」は、これまで中国の 3,700 億ドル(約 40 兆円)規模と言われる EC 市場で独占的なシェアを握ってきた。 しかし、内モンゴル地区のフフホト市に住む 59 歳の Liu Liping にとって、アリババのモールは高額商品が多く手が出せないという。 Liu は仕事を定年退職し、現在の月収は 470 ドルに過ぎない。 彼女は 2015 年に初めてオンラインで買い物をした際、アリババのライバルの「ピンドォドォ」を利用した。 ピンドォドォではトイレットペーパーのパックが 1 ドルやベッドのシーツが 5 ドルなど、生活必需品を安く買うことができる。 「ピンドォドォは便利で値段も安い。 わざわざ外に出て生活用品を買いに行くことがなくなった。」と Liu は話す。 アリババとテンセントが大都市に住む富裕層の囲い込みで熾烈な競争を繰り広げる中、上海に本拠を置くピンドォドォは地方都市に住む低所得者層をターゲットにし、シェア拡大に成功した。 同社は、わずか 2 年で 1 億人のユーザーを獲得し、中国で最大級の EC サイトに成長した。 アリババはピンドォドォの急成長に脅威を感じ、地方の市町村にようやく目を向け始めた。 ピンドォドォは、2015 年に元グーグルのエンジニアである Huang Zheng によって設立された。 同社が他のモールと異なるのは、オンラインショッピングとソーシャルメディアを融合させたことにある。 ユーザーは、米国のグルーポンのように商品のまとめ買いができるだけでなく、テンセントの「WeChat」を使って共同購入する仲間を見つければ、最大 90% の割引きが受けられる。 対象商品は、1 ドルの T シャツから 80 ドルのスマホまで多岐に渡る。 ピンドォドォはソーシャルメディア上でのシェア数を増やすために、ロイヤル顧客にはさらにキャッシュバックや無料商品を提供している。 「工場直送」で低価格を実現 大都市ではインターネットの普及率が飽和状態にあるが、地方はまだ伸びしろが大きい。 地方在住者の多くは WeChat を使って情報を入手しており、Liu も生鮮食品を安く購入した友人の投稿を見てピンドォドォの存在を知ったという。 アリババは、自社の「Tmall」にバーバリーやヴィクトリアズ・シークレットといった有力ブランドを誘致して富裕層の囲い込みを強化しており、小規模な販売業者や製造業者の多くはアリババからピンドォドォに移っている。 ピンドォドォのマーチャントであるトイレットペーパーメーカーの「Zhihu (通称 Botare)」の場合、ユーザーからまとめ買いの注文を受けた後、江蘇省にある工場からユーザーへ商品を直送している。 この方式であれば卸業者を何社も介す必要がなく、価格を安くすることができる。 ピンドォドォの成長は目覚ましい。 1 月時点でのアクティブ・ユーザー数は 1 億 1,400 万人と、ニューヨーク証券取引所に上場する中国のディスカウント小売り「Vipshop」を抜き、「JD.com」の 1 億 4,500 万人に迫る勢いだ。 コンサルタント会社「Analysys International」によると、ユーザーの約 60% は中国の 3 級都市以下の地方部に住み、最近 EC を使い始めたばかりだという。 ピンドォドォの昨年の月商はピークで 16 億ドルだったが、複数の現地メディアによると、今年に入って 4 倍に拡大しているという。 テンセントも出資に参加 インターネットと EC の地方への普及を背景に、ピンドォドォの成長は今後も継続すると見られている。 中国ネットワークインフォメーションセンターによると、2017 年の中国のインターネット利用者は 7 億 7,200 万人だという。 普及率は 56% と米国の 85% を大きく下回るが、小売全体に占める EC 比率は現状の 17% から 2020 年までに 25% に達するとゴールドマン・サックスは予測している。 「人口増加によってピンドォドォの成長は継続するだろう」と Analysys International のアナリスト、Wang Hui'e は話す。 投資家もピンドォドォに熱い視線を送っている。 同社のウェブサイトによると、2016 年に評価額 15 億ドルで 1 億 1,000 万ドルを調達したという。 出資者の中には、中国の投資銀行「Banyan Capital」やテンセントが含まれる。 テンセント自身も地方の市町村にリーチを拡大することを目指している。 収益化には苦戦のピンドォドォ 上海に本拠を置く「86 Research」のアナリスト、Wang Xiaoyan は、ピンドォドォの課題は最適なマネタイズ手法を確立できていないことだと指摘する。 アリババはアプリ内の広告やペイドサーチで収益を上げているが、ピンドォドォはマーチャントにこのようなフィーを課しておらず、アルゴリズムを使ってユーザーごとに最適な商品を表示している。 同社はトランザクションごとに手数料を得ているが、商品単価が安く大した金額にはなっていない。 Wang によると、顧客一人当たりの年間購入金額は 50 ドルで、アリババの 1,300 ドルや JD.com の 500 ドルを大幅に下回る。 「ピンドォドォが低価格商品に特化する限り、今後もマネタイズは困難だろう」と彼女は話す。 また、ここにきてアリババも反撃に出ている。 同社は、ピンドォドォのように商品を安くまとめ買いできる新サービス「Taobao Tejia」を 3 月にリリースした。 腐ったフルーツなどに苦情も 「ピンドォドォの急激な普及にアリババは驚いている。 これ以上の成長を食い止めるために対抗策を講じるに違いない。」と Wang は話す。 もう一つピンドォドォを悩ませているのが、偽物や不良品の問題だ。 「中国 E コマース調査センター」が 2016 年に実施した調査によると、中国の EC トップ 25 社に提出された消費者の苦情のうち、13.2% はピンドォドォに対するものだったという。 クレームの内容は、粗悪品や腐ったフルーツ、返金対応の悪さなどだった。 ピンドォドォの広報担当者は、2017 年に問題の発覚した 1,000 万件のリスティングを削除し、消費者への補償対策として 2,400 万ドルの基金を設立したことを明らかにした。 しかし、それでも問題は完全に解決していない。 「商品の品質管理は、ピンドォドォにとって非常に重要な課題だ。 良質な商品が揃えられなければユーザーは継続利用をせず、事業の成長が困難になるだろう。」とベイン・アンド・カンパニーの Ding は述べた。 (Yue Wang、Forbes = 4-13-18) 中国の京東集団、海外ブランド専用モールを開設 【上海 = 原島大介】 中国のネット通販大手、京東集団(JD ドットコム)は 13 日、海外の高級ブランドを集めた通販サイト「トップライフ」を開設した。 衣料品や宝飾品など約 20 のブランドをそろえ、年内に 30 - 40 に増やす計画。 各ブランドが商品を供給し、専用の倉庫で保管するなどの偽物対策を施し、他のサイトとの違いを打ち出す。 「トゥラサルディ」や「エンポリオ・アルマーニ」などの各ブランドが正規輸入した商品のみを用意する。 専用倉庫の入退室に顔認証が必要なほか、包装を工夫して偽物が紛れ込まないようにした。 今後は化粧品などの分野で、日本のブランドも扱う方針。 (nikkei = 4-13-18) |