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インターネットのサイトをダウンさせた "Great Cannon, 巨砲" は中国の新兵器だった 中国は、最近の GitHub や、自由なインターネットを唱導するグループ Great Fire などに対する攻撃の背後の存在として多方面から疑われている。 このほど得られた具体的な証拠によると、それは事実であり、しかも今回は新しい武器ないし兵器が使われたらしい。 トロント大学の Munk School of Global Affairs (国際問題のための Munk 冠名大学院)の中にある、ICT やセキュリティや人権問題の研究室 Citizen Lab からの報告書が、そう言っている。 これら最近の攻撃を調べた Citizen Lab は、データを横取りして特定のサイトへリダイレクトする強大なツールと、攻撃システムがそれを使ったことを見つけた。 同研究室はそのツールを、"Great Cannon (巨砲)" という愛称で呼んだ。 最近の攻撃は実際に展開された巨砲の最初のインスタンスだ。 それらは、いくつかの理由により特記するに値する。 まずそのスケールだ。 Great Fire によると、何百万人ものユーザが一度にその攻撃の被害に遭っている。 巨砲は Baidu をハイジャックし、同サイトが Amazon Web Services に払うべき一日あたりの料金を 3 万ドルに押し上げた。 しかも、その巨砲氏はしつこい。 Github は過去最大の攻撃にさらされ、それが 5 日間も続いた。 Citizen Lab が挙げる証拠は、中国の検閲システム Great Firewall と Great Cannon との共通性だ。 それは、この悪辣な攻撃の背後に中国がいることを、示唆している。 中国はそれを否定しているが、中国のこのインターネット新兵器は今後もっと的を絞った攻撃に使われるかもしれないと懸念されている。 Edward Snowden のリークは QUANTUM の存在をあばいた。 それは、マルウェアを何百万ものコンピュータに植え付けることのできる NSA のツールだ。 Citizen Lab によると、中国の Great Cannon はわずかな調整により同じことができる。 Great Cannon の構成に技術的には簡単な変更を加えることにより、特定のアドレスに向かうトラフィックではなく、特定の IP アドレスからのトラフィックを操作できるようになり、暗号化による保護を採用していない中国のいかなるサーバと通信している個人にもマルウェアを送り込むことができるようになる。 このツールが見つかったことにより、あらためて HTTPS などによるセキュアな Web 閲覧の重要性が想起される。 セキュリティが弱いと、Web サイトを閲覧するユーザの安全性を損なうことになるからだ。 しかしこのツールは全世界に対して露出されていたわけだから、これだけおおっぴらにそれを使う中国の動機は何だろう? それは中国の検閲行為と支配体制に対して異議を唱えているそのほかのサイトに対する警告のつもりだったのかもしれないが、いずれにしてもそれは、Web サイトを検閲するという受け身の戦法から、それらをダウンさせるという積極戦法に変わったことを意味しているみたいだから、今後が心配である。 (Jon Russell、TechCrunch = 4-11-15) ◇ ◇ ◇ GitHub が毎日ぶっ続けで DDoS 攻撃に遭う … どうやら "中国がらみ" のよう オンラインのコードリポジトリ GitHub が月曜日(米国時間 3 月 30 日)に、継続的に分散型サービス妨害 (distributed denial-of-service, DDoS) 攻撃に遭っている。 同社によると、それは GitHub.com の歴史上最大の攻撃だ。 攻撃は木曜日(米国時間 3 月 26 日)に始まり、今も続いている、とGitHub のステータスページと Twitter アカウントで言っている。 今現在同社のすべてのシステムが 100% を報告しているが、攻撃のやり方が進化し続けているので、GitHub としては "高い警戒度" を維持しなければならない、ということだ。 先週のブログ記事で GitHub は、攻撃のベクターが複数あり、何も疑ってないユーザの Web ブラウザを利用して GitHub のサイトを大量のトラフィックで圧倒するなど、新しい高度なテクニックもある、と書いている。 このトラフィックの洪水によって、GitHub の可利用性が落ちる。 ステータスページでスパイクになっているところが、妨害が起きた時点だ。 セキュリティのエキスパートによると、攻撃は、中国の検索エンジン Baidu の海外ユーザからの検索トラフィックを、とくに 2 つのページへリダイレクトしている。 ひとつは中国政府による検閲を報じているサイト Greatfire.org のページ、もうひとつは The New York Times の中国語の Web サイトへのリンクがあるページだ。 (GitHub 上の)Greatfire のページには、中国でブロックされている 10 のWebサイトのコピーへのリンクがある。 なお、Greatfire 自身も今月初めに、DDoS 攻撃を食らった。 GitHub はどのページが攻撃されたかを確認していないが、ブログ記事ではこう言っている。 " われわれが受け取ったいくつかの報告によると、この攻撃の意図は、われわれに、特定の種類のコンテンツの削除を決心させることにある、と思われる。" 一方 Baidu は、システムが悪用されたことと、攻撃への関与を否定した。 "Baidu のセキュリティ技術者による細心の検査により弊社は、弊社のプロダクト上のセキュリティ問題やハッカー攻撃の可能性を排除した"、と Baidu の声明文は述べている。 セキュリティのエキスパートたちが The WSJ に語ったところによると、攻撃は中国の当局と結びついているようだ。 なぜならハッカーたちは中国のインターネットインフラストラクチャの高いレベルでトラフィックを操作できており、それは、その国にやってくるすべてのトラフィックに手を加える(= リダイレクトなど改悪する)能力を持った誰かの仕業(しわざ)でしかありえないからである、ということだ。 (sarah perez、TechCrunch = 3-31-15) ◇ ◇ ◇ 中国国内のサイトブロック状況が分かる「GreatFire.org」がサイバー攻撃を受け、事態は予断を許さない状況 「グレートファイヤーウォール(金循)」というネットワーク規制が敷かれている中国では、Google や Twitter などのサービスが規制され使えない状態が多いもの。 そのような中国でのネット規制状況を把握するのにネットワークのブロック状況を教えてくれる「GreatFire.org」は非常に便利なサービスですが、現在、何者かによってサイバー攻撃を受け続けており、世界中に支援を要請する事態となっています。 GreatFire.org は公式ブログで、何者かによって DDoS 攻撃を受ける緊急事態に陥っていることを明らかにしました。 GreatFire.org へのサイバー攻撃は 2015 年 3 月 17 日から始まり、通常の 2,500 倍のアクセス数の 26 億のキューが要求されている状況。 これによって現在、一日当たりの AWS (Amazon Web Services) サーバーの帯域コストが 3 万ドル(約 360 万円)にまで急上昇しているとのこと。もしも Amazon がこのサイバー攻撃という異常事態を勘案せずにサーバー利用料を請求した場合、GreatFire.org の運営は致命的なダメージを受けると述べています。 GreatFire.org は「この攻撃が何者によるものなのかは分からない」という前置きをした上で、過去数ヶ月に渡って攻撃が増加してきたこと、中国当局のサイバースペース管理を行う CAC に「GreatFire.org は海外の反中国組織のサイト」という認定を受けて以降、GreatFire.org のビジネスパートナーにさまざまな圧力がかけられていること、何者かによって暗号化されたメールを傍受するための偽装工作が発見されたこと、などの事実を明らかにしています。 GreatFire.org は「Amazon が言論の自由を支持する側にいると信じており、インターネットのグローバルリーダーとして情報アクセス権への重要な役割を果たすと信じている」として、Amazon にサーバー使用請求の便宜を図って欲しいと表明しつつ、さらなるサイバー攻撃に備えるためのサーバーアップグレードに対する技術的な支援を世界中のインターネット利用者に対して呼びかけています。 (Ishikawa Ken、Gizazine = 3-20-15) 中国でロイターなどのニュースサイトが一時閲覧不能 [北京] 中国でロイターのニュースサイトが 19 日夜から 20 日にかけて、一時的に閲覧不能になった。 ブルームバーグ、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルのサイトにも同様の障害が発生した。 今のところ原因は明らかになっていない。 ロイターを含む各大手メディアのサイトは、中国政府が神経質になっている話題に関する記事が掲載された後に、一部または全部がアクセス不能になることが多い。 中国のインターネット監督当局からのコメントは得られていない。 (asahi = 3-20-15) 米ヤフー、中国撤退か 200 人以上解雇予定と米報道 【シリコンバレー = 兼松雄一郎】 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は 18 日、米ヤフーが中国市場からの撤退準備に入ったと報じた。 米本社の 2% 程度にあたる 200 人以上を解雇する予定で、北京の研究開発拠点を閉鎖する見通しだという。 同社はスマートフォン(スマホ)への対応が遅れ、主力の広告事業が伸び悩んでおり、米国外でリストラを進めている。 (nikkei = 3-19-15) ネット検閲回避で米クラウドサーバー利用 中国の活動家 米 IT 企業は、インターネットへの検閲を強化する中国政府と、それをすり抜けようとする言論の自由を求める活動家との激しい戦いに巻き込まれている。 海外の活動家らによれば、ネットを活用する中国の活動家はデータを暗号化して検閲をくぐり抜け、米企業運営のクラウドサーバーに到達し、そこから中国政府が遮断しているフェイスブックやツイッター、G メール、各種ニュース・ウェブサイトにアクセスしているという。 クラウドサービスを提供しているのはアマゾン、マイクロソフト、アカマイ・テクノロジーズなど米大手 IT 企業。 顧客は、これら企業のリモートサーバーにデータを保管することで、自らのウェブサイトのスピードを上げることができる。 中国の活動家は、クラウドサービスを政府のネット規制をかいくぐるのに利用しており、クラウドサービス提供会社は意図せぬまま中国政府の検閲に挑む格好になっている。 中国政府は、禁止したコンテンツの流れを阻止するには、これらサービス会社のサーバーを全面封鎖しなければならず、多くの企業活動を混乱に陥れてしまう。 ロサンゼルス在住のプログラマーであるアダム・フィスク氏は「それは基本的には、独裁体制が抗議活動の扇動者と傍観者を区別できず、全員を殺害せざるを得なくなるのと似ている」と語る。 同氏は、2013 年に検閲をくぐり抜ける「ランターン」と呼ばれるアプリソフトを開発した。 ただ、クラウドサービス会社は同意なしに中国政府の規制を迂回され、中国での事業を危うくされる恐れがある。 事実、ベライゾン・コミュニケーションズのクラウド会社エッジキャストが昨年 11 月にサービスを遮断されており、それを回避するため活動家に対するサービス提供を取りやめたところもある。 中国はここ数ヵ月間、規制をかいくぐるのによく使われる仮想プライベートネットワーク (VPN) を遮断するなど、ネット規制を強化している。 VPN を利用すると、ユーザーは海外のプロキシーサーバーを通じてウェブに接続できる。 習近平国家主席は、共産党の権威を損なう恐れのあるオンライン・コンテンツへの規制を強化するよう命じている。 クラウドサービスを利用する活動家は、まず有償ないし無償のアカウントに登録し、遮断されているウェブサイトにリンクできるようにする。 その後、政府の規制をすり抜けるためのアプリをダウンロードし、それを使って遮断ウェブサイトのミラーバージョンにアクセスする。 送信データは暗号化されているので、検閲官はデータのコンテンツを把握できない。 活動家らによれば、中国は経済的な影響が大きいことから、デリバリーネットワークの広範な遮断には訴えていない。 調査会社 IDC によると、中国のクラウドコンピューティング・サービス市場は 14 年には 11 億ドル規模に達し、今年は前年比 45% の増加となる見込み。 S & P コンサルティングによれば、中国の大手企業の多くはクラウドサービスに依存しており、中小企業でも依存率は約 60% に上っている。 (Eva Dou & Alistair Barr、The Wall Street Journal = 3-17-15) 中国、インターネットサービスの実名登録を義務づける新規制 中国政府がインターネットサービスへの実名登録を義務づける新たな規制を発表したと、米 Wall Street Journal が報じた。 国益に反するコンテンツの拡散を防止するためとしており、現地時間 2015 年 3 月 1 日より発効する。 インターネット規制当局である国家インターネット情報室 (CAC) が 2 月 4 日に Web サイトに掲載した声明によると、新規制はブログ、ミニブログ、インスタントメッセージング (IM)、オンラインフォーラム、ニュースサイトのコメント欄などの利用者が対象となる。 また新たな規制では、誤解を招くユーザー名や他人をかたるユーザー名の使用も禁止する。 具体的には、「People’s Daily (人民日報)」など国営メディアを装うもの、「Barack Obama」、「Vladimir Putin」など外国の首脳を名乗るものは使用してはならない。 中国の大手インターネット企業は新規制の施行により大きな影響を受けると見られるが、ミニブログサービスの「Weibo (微博)」は新規制を歓迎している。 先月、Weibo は有害なユーザー名のアカウントを 293 件削除した。 また、IM サービス「Weixin(微信、英語名 : WeChat)」では歴史をゆがめているとして 133 アカウントが閉鎖されている(英 Reuters の報道)。 中国政府は「Great Firewall of China (万里のファイアウオール)」と呼ばれる極めて高度なインターネット検閲システムを設置しており、特に共産党の権威を低下させるおそれのあるコンテンツを厳しく監視している。 先月末には同システムのさらなる強化を図ったことが報じられた。 (鈴木 英子 = ニューズフロント、ITpro = 2-5-15) 中国のインターネット利用者 6.49 億人に、モバイル利用者は 5.57 億人 中国インターネット情報センター(中国互聯網絡信息中心、以下 CNNIC)が公表した同国のインターネット利用動向リポートの内容を、新華社通信のニュースサイト「Xinhuanet (新華網)」や英 Reuters などが現地時間 2015 年 2 月 3 日までに報じた。 それによると、中国のインターネットユーザー数は 2014 年末時点で 6 億 4,900 万人となった。 モバイル端末からネットにアクセスしている人はその 85.8% に当たる 5 億 5,700 万人で、2013 年末から 5,672 万人増加した。 これらの数値は 2014 年 6 月末(それぞれ 83%、5 億 2,700 万人)からも増えている。 CNNIC によると、2014 年に新たにインターネットを利用した人の数は 3,117 万人で、2013 年の増加人数、5,358 万人を下回った。 また中国のインターネット普及率は 47.9%。 農村部や中小都市のユーザーは中国全体の 4 分の 1 を若干超える程度にとどまっている。 これに対し、米国の 2013 年におけるインターネット普及率は 74.4%。 Internet Society (ISOC) のリポートによると、世界 40 カ国以上のインターネット普及率は 7 割を超えていると、米 Cnet は伝えている。 このほか中国のユーザーが利用しているネットサービスについて見ると、ネットショッピングの利用者は前年末から 20% 増えた。 Alibaba Group (阿里巴巴集団)と Tencent Holdings (騰訊控股)が運営するオンライン決済サービスの利用者は同 17% 増。 Tencent の「Weixin (微信、英語名 : WeChat)」や「QQ」などのインスタントメッセージング (IM) サービスの利用者は同 10% 増えた。 その一方で「Weibo (微博)」などのミニブログの利用は前年から 11% 減。 米 Wall Street Journal によると、こうした中国版 Twitter の利用は 2 年連続で減少した。 2013 年は同 9% 減だった。 (小久保 重信 = ニューズフロント、ITpro = 2-4-15) 中国政府、「万里のファイアウォール」を強化か 中国政府が検閲の壁を強化した。 この壁をよじ登ったり、回避したりするのはこれまでより困難だ。 The Wall Street Journal (WSJ) によると、中国のインターネットフィルタリングシステム(「万里のファイアウォール : Great Firewall of China」という通称で知られる)に先頃施されたアップグレードにより、インターネットフィルタリングがより厳格になり、検閲の回避がより困難になったという。 それにより、中国政府関係者は、これまでより効果的に不都合なコンテンツやサービスをブロックできるようになったという。 アップグレードされたファイアウォールは、多くの中国市民の生活をより困難なものにするだろう。 ブロックされたウェブサイト(Facebook や Twitter、Google、YouTube も含まれる)や「Gmail」を含むさまざまな電子メールサービスへのアクセスがこれまでよりはるかに困難になるからだ。 それらのサービスは、外国にいる友達や家族と連絡を取り合う手段を提供するだけでなく、中国国内で活動する国際企業にとっても重要な通信手段となっている。 万里のファイアウォールは、中国政府に批判的なコンテンツへのアクセスをブロックしたり、インターネットで閲覧可能な情報を統制したりするのに使われている。 (Charlie Osborne、Cnet = 2-2-15) マイクロソフト「Outlook」、中国で中間者攻撃の被害に 中国で Google の「Gmail」サービスへのアクセスがブロックされてからわずか数週間後の先週末、Microsoft の「Outlook」電子メールサービスがサイバー攻撃の被害に遭った。 中国のインターネット検閲を監視する Greatfire.org は現地時間 1 月 19 日、Outlook が中国で中間者 (MITM) 攻撃の被害に遭っているとの報告を受けたと述べた。 MITM 攻撃は、オンライン接続に侵入してチャネルを監視および制御する攻撃のことで、ほかの領域への接続を強制するのに使われることもある。 例えば、ユーザーを正規のウェブサイトではなく、悪質なウェブサイトに誘導する場合などだ。 テストの結果、Outlook の IMAP と SMTP が MITM 攻撃を受けたが、同電子メールサービスのウェブインターフェースには影響はなかったことが分かった、と Greatfire は述べている。 Greatfire が「特に悪質」と評した今回の攻撃は、Outlook に警告メッセージをポップアップ表示する。 ブラウザに表示される警告の場合と異なり、ユーザーはメッセージに実際に目を通したり、リスク要素を考えたりすることなく、メッセージの「Continue (続ける)」ボタンをすぐにクリックしてしまう可能性が高い。 おそらく、警告の原因をネットワークの問題と考えるため、心配する必要はないと判断してしまうのだろう。 そのボタンをクリックすると、ユーザーの電子メールと連絡先、パスワードがサイバー攻撃者によって記録されてしまう。 Greatfire によると、今回の攻撃は約 1 日続いたが、その後、少なくとも現在のところは停止しているという。 先頃、中国で Google と Yahoo、Apple に対する MITM 攻撃が発生したと報じられたが、今回の Microsoft システムへのサイバー攻撃はそれに続くものだ。 厳格な検閲法で有名な中国で Gmail へのアクセスがブロックされたのは、ほんの数週間前のことだ。 報道されたほかの MITM 攻撃とさまざまな共通点があることから、Greatfire は、Lu Wei 氏と Cyberspace Administration of China (CAC) が今回の攻撃を画策した、または「攻撃をあえて放置した」と非難した。 China Internet Network Information Center (CNNIC) は CAC が直接管理する組織なので、ソフトウェアプロバイダーは同組織を信頼すべきではなく、当該企業は即座に CNNIC 認証局への信頼を取り消すべきだ、と Greatfire は考えている。 中国ではこの数年間、外国のサービスへのアクセスがブロックされる事例が増えている。 「万里のファイアウォール (Great Firewall of China)」の狙いは、中国共産党を批判する言論の自由を求めるすべての人間を遮断することである。 (Charlie Osborne = ZDNet.com、Cnet = 1-20-15) G メール、中国全土で使用不能に 政府が規制強化か 米グーグルが運営する無料のウェブメールサービス、「G メール」が 27 日以降、中国でほとんど使えなくなっている。 中国当局がネット規制を強めた可能性がある。 複数の中国メディアによると、27 日から全国でパソコンやスマートフォンを使っての G メールの送受信ができなくなった。 グーグルがネットの利用や規制の状況について公表しているサイトによると、26 日から 27 日にかけて中国での G メールのデータ流量が急減し、以降はほとんどゼロになっている。 グーグルは中国政府が検閲への協力を求めることに反発し、2010 年 3 月に中国本土の検索サービスを停止した。 その後は香港のサイトを通じて検索できるようにしていたが、現在は中国本土から通常の手段ではアクセスが難しい。 G メールはグーグルの検索サービス停止後も利用でき、中国のユーザーからも人気を集めていた。 今回の原因について、「中国政府のネット上での規制措置がバージョンアップしている(香港メディア)」との指摘が挙がる。 企業や個人に他社のサービスの利用を促し、グーグルにさらなる圧力をかけている可能性もある。(北京 = 斎藤徳彦、asahi = 12-29-14) 中国政府はついに CDN までブロック、何千ものサイトが中国のオーディエンスに到達できない インターネットに対する中国の検閲はこのところ急に忙しくなり、過去一週間にこの国の万里の火壁 (Great Firewall) は Drupal.org や The Atlantic、Firefox ブラウザのエクステンションなど、何千もの Web サイトへのアクセスを妨げてきた。 一挙に何千も、というのは、大手 CDN をブロックしているためと思われる。 中国のインターネット検閲をモニタしている NPO GreatFire の報告によると、今現在は、大手 CDN の一つで Verizon が昨年 3 億 5,000 万ドルで買収した Edgecast が扱っている "数千の" Web サイトが、この国では見られなくなっている。 Edgecast のブログ記事も、同社のサイトの多くがブロックされていることを認め、現時点ではその状況に関して分かることもできることもほとんどない、と言っている。 ブログ記事から重要な箇所を二つ引用しよう : 今週はフィルタリングがエスカレートして、その影響下にある人気 Web プロパティの数が増加しており、弊社自身の多くのドメインの一つも部分的にブロックされている。 理由はまったく不明である。 弊社 Verizon EdgeCast においては、このもっとも最近のフィルタリングの効果を弊社の顧客が軽減できるためのポリシーを設けているが、しかしこれは、中国のユーザ(在中国ユーザ)への到達を求めている弊社顧客にとって、今後も引き続き存在する問題であると思われる。 中国の国家による検閲は理由が明らかでない場合が多いが、今回に関しては GreatFire が説得力のありそうな主張をしている。 それによると、中国当局は、検閲という弾丸に対する "防弾チョッキ" のような効果をもつプラットホーム、すなわち、検閲された Web サイトのミラーサイトを作って中国本土でも見られるようにしているサービスを、弾圧しようとしている。 '横に寄り添う自由 (Collateral Freedom, 相互協力による自由)' を自称する GreaFire も、Web サイトをホストするクラウドサービスを利用している。 これらのサイトはこのように、CDN の Edgecast やホスティングの Amazon Web Services といったクラウドサービスプロバイダに登録して存在しているから、中国政府がそれらをブロックするためには、そのネットワーク全体を封鎖しなければならない。 しかしそうすると、中国政府の本来の目的とは無関係な多くのふつうのサイトまで、アクセス不能になってしまう。 Edgecast がホストしている Web サイトの大量ブロックという今回の事件の、ありえる理由の一つがこれだ。 もしそれが真実なら、中国はひと握りの '有害な' サイトをブロックするために、大量のコンテンツを国内のインターネットユーザの目から隠そうとしているのだ。 中国のインターネットはあくまでも、中国独特のインターネットだ。 Google のサービスはこの夏以降厳しく制限されているが、クラウドサービスに対する今回のようなやり方がさらに手を広げれば、グローバルなインターネットの相当部分が中国の人たちから切り離されてしまうことになる。 GreatFire は寄り添う自由に協力する複数のサイトのマトリックスを使って、今回のニュースが伝達されたように、ブロッキングに対する "水漏れ穴" を維持しようとしている。 そしてその穴からは今後ますます、中国の検閲当局の活躍とともに、国際的サイトの大量ブロックという光景が、見えてくるだろう。 (Jon Russell、TechCrunch = 11-18-14) 「ヒキガエル」もネット検閲の対象に 中国で続くイタチごっこ ![]() 中国・北京に 7 月、巨大なヒキガエルのオブジェが設置されると、このカエルが江沢民(チアンツォーミン)元国家主席と似ているとして、ソーシャルメディア上で瞬く間に話題となった。 中国では依然として厳しいインターネット検閲が敷かれており、政治的な議論も制限されているが、ネットユーザーはジョークやユーモアを介して巧みに政治を論じているようだ。 72 フィート(約 22 メートル)の巨大なヒキガエルの作品はもともと、観光客を誘致するため、当局によって北京市内の公園に設置されたものとみられる。 黄金のヒキガエルは中国では幸運と繁栄の象徴だ。 作品のデザイナーが国営メディアに語ったところによると、昨年、中国各地に出現して話題になった巨大なゴム製アヒルに着想を得たという。 ところが、思わぬ事態が起きた。 カエル作品が設置されるや否や、中国版ツイッターの「新浪微博(ウェイボー)」上で江沢民氏との類似を指摘する声が続出。 政府当局が規制に乗りだし、「ヒキガエル」がウェイボー上の検閲単語の上位に入る騒ぎにまで発展した。 沢民氏とヒキガエルを結びつけるのは単なるジョークにとどまらない。 当局のインターネット検閲をかいくぐり、ひそかに政治ついて語るために編み出された、中国ソーシャルメディア独自の語法でもある。 ジャーナリズムを専門とする香港大学の傅景華氏はこれを、「ある種の秘密の言語」と表現する。 「中国のネット市民は、本当に議論したい問題について直接に語ることができないので、独自の新語、ジョーク、ユーモアを生み出して交流しようとしている」のだという。 実はウェイボー上では以前から、江沢民氏のことを「ヒキガエル」と呼んでいた。 今回の事件でヒキガエル作品の写真が広まることで、この愛称が一気に人口に膾炙(かいしゃ)した格好だ。 傅氏ら香港大学の研究者が作ったウェイボー検閲追跡ツール「Weiboscope」の調べによると、「ヒキガエル」は 8 月 1 日までの 2 週間で、複数日にわたり検閲単語の上位 5 以内に入ったという。 このようにネット上で愛称がつくのは、江沢民氏に限ったことではない。 不正疑惑で当局の取り調べを受けることが正式決定した周永康(チョウヨンカン)・前政治局常務委員の場合、中国で人気のインスタントラーメンにちなんで「康師傅(カンシーフー)」などと呼ばれている。 現国家主席の習近平(シーチンピン)氏も、好物の豚肉サンドイッチの名称で言及されることがある。 傅氏は「中国での環境は非常に特殊だ。 確かに検閲されてはいるものの、ある程度まで表現の余地が残されている。」と分析。 中国のネット市民は、ユーモアでもってこの間隙(かんげき)を突こうとしている。 動物のオブジェが検閲対象となったのはヒキガエルが最初ではない。 天安門事件から 24 年となる昨年、巨大アヒルの行進を前に 1 人の男性がたたずむ写真が、ウェイボーに投稿された。 戦車の隊列に 1 人立ち向かう男性の姿を捉えた、天安門事件時の有名な写真から合成したものだが、これもすぐに当局の検閲を受けた。 ネットユーザーの側では規制の網を逃れるべく工夫を凝らしているが、当局の対応も早い。 巨大ヒキガエルについて言及した最初の投稿は、わずか一夜で削除されたという。 2011 年、当時 87 歳だった江沢民氏の死亡説が誤って流れた際もやはり、当局はすぐさまウェイボーの投稿者を取り締まっていた。 (CNN = 11-3-14) 中国当局のネット締め付けが加速する 2014 年 - - 香港デモきっかけにさらに強化 学生や市民が民主化を求めて続いている香港デモ。 中国本土では中国政府に都合のいい報道ばかりが流れ、中国のネットユーザーが香港の実情を知ることは難しいという。 今年は中国政府がネット規制を強めている - - 山谷氏による現地からのリポート。 「香港から微信 (WeChat) の朋友圏(グループチャット)に写真がアップできないんだけどどういうこと?」 こんな疑問が、香港で続く大規模デモ以降、中国の Q & A 掲示板「百度知道」にいくつも投稿されている。 そのうちのいくつかには「検閲されたんじゃない?」という回答が寄せられている。 香港デモをきっかけに、中国では Instagram が利用できなくなっている。 7 月には「中国外の人間と文字画像動画をやりとりする外国産(外国サーバ利用の) SNS をアプリストアで配信することを禁止」し、中国向けの複数の中国産アプリストアから Instagram が消えていた。 そして 9 月 28 日以降、iOS 版も含め、Instagram の最新の画像は見られなくなった。 ただ、「百度 (Baidu)」の人気が Google を超え、動画サイト「優酷 (Youku)」や「土豆 (Tudou)」人気は YouTube を超えているなど、多くの中国ネットユーザーから外国サービスが受け入れられなくなって久しい今、中国で Instagram が使えなくなったところで、その反応は小さいというのが実情ではある。 だが、今最もホットな中国産 SNS で露骨な検閲が感じられれば話は別だ。 6 億人超のインターネットユーザーに、「表現の自由が政府によって制限されている」ことが分かるからだ。 香港デモへの反応に検閲の "成果" 報道されているように、香港のデモは中国の国慶節(10 月 1 日〜)の連休と重なったため、この時期の中国本土から香港への観光客は激減した。 デモがあること自体は報じられている上、また中国観光局からも「香港ツアーは控えるように」という通達があったことも原因だ。 「中国」と「民主化」がキーワードだけに、中国において香港のデモがデモ主催者側的立場で報じられることはない。 ただただ「『占中(セントラルでデモ)』はダメ、反対意見が多い、違法」といった言葉ばかりがニュースに並び、ネットユーザーを含む一般市民が香港の実情を正しく知ることは難しい。 こうした前提で、それでも香港に旅行に行った中国人が、香港でデモを間近で見たところでその反応は少ない。 検閲で削除された新浪微博のつぶやきをも確認できる「自由微博」のサイトで、香港に関するつぶやきを探しても、デモの内容について考察したつぶやきは極めて少ない。 また百度からの香港についての検索も、9 月末に検索数が多かった日があったものの、その後すぐに平常時に戻っている。 相次ぐネット規制 それにしても、今年に入ってからの中国でのネット規制は気味が悪い。 香港デモをきっかけにした Instagram のブロックにとどまらず、
- - とこれほどまでにある。 さらには中央政府の政治委員が「ウイグル関連のテロはネット規制の壁を越えて海外の動画サイトにアクセスしているのが一因」とコメントし、ネット規制をかいくぐる、いわゆる「壁越え」を非難したこともある。 「グリーンダム」が明白にした "検閲への意志" これからを予想する上で、過去のネット検閲を振り返ってみよう。 2009 年から 2010 年にかけての動きが特に目立っている。 2009 年 7 月、新疆ウイグル自治区のウルムチで大規模な騒乱が発生。 このタイミングでそれまでアクセスできた YouTube にアクセスできなくなった。 この夏、Windows 搭載 PC にフィルタリングソフト「グリーンダム」のプリインストール義務化という動きがあった(ユーザー側はソフトをハッキングしたり、萌えキャラ「グリーンダムたん」を生み出すなどして対抗する)。 グリーンダムでいよいよ検閲が表面化すると、少数のヘビーユーザーが「政府には迷惑をかけないから、自由にネットを利用させてほしい」という「2009 匿名網民宣言(匿名ネットユーザー宣言)」を発表。 様々なサイトに転載されたが逐一削除され、転載先の Google Drive もアクセス禁止になった。 10 年 1 月、Google は中国サイト「google.cn」について「これ以上検閲について容認できない」と、検索結果の検閲を停止。 3 月には同社検索サーバを香港に移動させた。 同年には、中国当局は愛国色を強めたネット浄化キャンペーン「緑色・陽光網絡工程」を実施し、多数のサイトやアカウントを取り締まった。 同年後半には淘宝網 (TAOBAO) で VPN、SSH サービスの商品が削除された。 ちなみにこの年、セクシー女優の蒼井そら氏が Twitter アカウントを開設し、1 万以上の中国ネットユーザーがネットの壁を越えてアクセスしていた。 グリーンダムというと萌えキャラ化のイメージばかりがあるが、端末側に仕掛けをつくろうとする点においては「TVOS 1.0」とグリーンダムは共通しているし、また YouTube など外国サービスにコンテンツをアップすることで削除できないようにしたり、そのための使用される VPN に嫌悪感を示している点も一貫している。 もはや検閲を隠していない現状だが ・・・ 「グリーンダム」は、中国政府がネットで検閲をしようとしていることを赤裸々にした。 だが、これ以前にも検閲の動きは薄々感じられていたようだ。 06 年から 07 年にかけ、ヘビーなネットユーザーが検閲の存在について語り始めている。 例えば「被和諧(政府が打ち出した「和諧社会」を皮肉り、転じてアカウントやコメントが消されるという意味)」や「五毛党(ネット論壇の政府賞賛のサクラアカウント。 1 書き込みにつき 0.5 元もらえるという噂から。)といった現在でも通じる検閲を示唆するワードは、このころ登場したものだ。 また 06 年には中国政府国務院の蔡武氏が「中国のネットユーザーは、実際世界で最も自由だ」と発言したが、ネットユーザーはこれを失笑ものとしてシェアし、検閲を知らなかった人に暗に伝えていた。 11 年以降は、堂々と検閲について紹介するニュースも多く登場しており、検閲の存在を無理に隠そうとすることはなくなっている。 中国のネットユーザーに最も身近な微博や微信で露骨に検閲が行われるようになった結果、もはや都市部の若きネットユーザーで検閲を知らない人はいない。 ネットの自由が大きく奪われている中、多くのネットユーザーが、より明白に、より厳しくなったネット検閲を目の前のモニターで感じながら、何も抵抗することなく提示された官製ネットライフを楽しんでいる。 だが、ごく一部であっても、「2009 匿名網民宣言」のようなネットユーザーからの民主化の訴えを掲げ、波紋を投げかけることを期待したい。 (山谷剛史、ITmedia = 10-31-14) |