1 - 2 - 3 - 4 - 5 - 6 - 7 - 8 - 9
B787、翼と胴体の結合検査で不正か … ボーイング「安全性に緊急の問題が生じるものではない」 【ニューヨーク = 小林泰裕】 ウォール・ストリート・ジャーナルなど米メディアは 6 日、米航空機大手ボーイングが中型機「787」の必要な検査を行っていなかった可能性があるとして、米連邦航空局 (FAA) が調査を開始したと報じた。 報道によると、翼と胴体の結合部について検査が適切に実施されなかったおそれがある。 従業員が検査記録を改ざんした可能性もあるという。 ボーイングは 4 月に同局に問題を報告。 生産中のすべての 787 を再検査し、運航中の機体についても対策を講じるとしている。 同機は全日空や日本航空など世界の航空会社で広く利用されている。 ボーイングは読売新聞の取材に対し、必要な検査が一部実施されていなかったことを認めた。 その上で「運航中の安全性に緊急の問題が生じるものではない」との声明を出した。 (yomiuri = 5-7-24) ◇ ◇ ◇ ボーイング旅客機、また事故 … 脱出用スライドが落下して引き返す = 米国 米デルタ航空所属のボーイング 767 旅客機が 26 日(現地時間)、ニューヨークを離陸した後、非常脱出用スライドが落下して空港に引き返した。 AP 通信などによると、同日午前 7 時 15 分、米ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港 (JFK) から出発し、ロサンゼルス (LA) に向かっていたデルタ航空 520 便から離陸直後、機内右側にある脱出用スライドが落ちた。 当時、パイロットは離陸して間もなく異常音とともに機体に振動があったと米国連邦航空局 (FAA) に報告した。 乗組員も飛行機の翼の近くで音を感知したという。 このため、離陸から約 1 時間後の午前 8 時 35 分にジョン・F・ケネディ空港に再び着陸した。 この旅客機には乗客 176 人とパイロット 2 人、乗務員 5 人が乗っていた。これといった人命被害は報告されていない。 (韓国・中央日報 = 4-29-24) ◇ ◇ ◇ ボーイング 787 「胴体接合部に安全上の懸念」内部告発を米当局調査 米航空機大手ボーイングの中型機「787」について、米連邦航空局 (FAA) が製造工程の調査に乗り出したことが明らかになった。 安全上の問題をめぐり内部告発があった。 ボーイング機はトラブルが相次ぎ、同社の安全管理への疑念は経営を揺るがしている。 内部告発者は 40 年以上の経験があるボーイングの技術者。 代理人弁護士によると、787 の胴体部分の部品を接合する際、作業の早さを重視した工程を採用したことで、接合部に過度な圧力がかかっていると主張。 耐久性に問題があり、安全上の懸念があると訴えている。 告発者は社内でこうした点を指摘したが受け入れられず、別の部署に異動させられたという。 「安全よりスケジュール」を優先させていると会社側を批判した。 これに対しボーイングは「(告発者の)主張は不正確」と否定。 機体は「FAA の監視のもとで厳密な工学的検査を受けている」、「安全上の懸念はなく、航空機は数十年にわたる耐用年数を維持できると検証されている」などと反論した。 「準国産機」、深刻化すれば日本にも影響か FAA は取材に「報復を恐れず自発的に報告することは、航空の安全にとって極めて重要な要素」として、「私たちはすべての報告を徹底的に調査する」と回答した。 この件が報道された 9 日、ボーイング株は 1.9% 急落。 約 5 カ月半ぶりの安値をつけた。 787 は「ドリームライナー」の愛称で知られ、主翼を担当する三菱重工業など、日本企業が機体構造の 35% を担う「準国産機」。 米南部のボーイング工場で組み立てている。 787 は FAA から品質管理上の問題を指摘され、22 年夏まで 1 年余り出荷が止まったことがある。 問題が再び深刻化すれば、日本にも影響が及ぶ可能性がある。 ボーイングは主力の小型機「737MAX」が 2018 年にインドネシアで、19 年にはエチオピアで墜落し、計 346 人が死亡した。 飛行システムの誤作動が原因とされ、737MAX は世界で運航を止められた。 今年 1 月には、米国で飛行中の 737MAX の胴体側面のパネルが脱落。 機体に「穴」が開いて緊急着陸するなど、ボーイング機は大小のトラブルが頻発している。 安全上の問題は経営を直撃。 ボーイングは 9 日、今年 1 - 3 月の商用機の出荷数が 83 機にとどまり、前年同期の 130 機から 3 割以上減ったと公表した。 FAA は、品質管理上の問題が「解決されたと納得するまで」は 737MAX の増産を認めないとしており、生産が低迷している。 一連の問題を受け、デービッド・カルフーン最高経営責任者 (CEO) は 3 月に入り、今年末で退任する意向を表明した。 カルフーン氏はゼネラル・エレクトリック (GE) 出身で、737MAX 連続墜落事故後の 20 年に CEO に就き、経営再建の途上だった。 ボーイングは事故後、23 年まで 5 年連続で赤字に陥っている。 (ニューヨーク・真海喬生、asahi = 4-10-24) ◇ ◇ ◇ MAX シリーズ 8 型機で新たな不具合か、今度は方向舵 NTSB 米運輸安全委員会 (NTSB) は 9 日までに、米ボーイング社製旅客機「737MAX シリーズ」の 8 型機で機首の方角調整などに使う方向舵が機能しない事例が先月見つかり、新たな調査を開始したことを明らかにした。 NTSB の暫定報告書によると、この事象は先月 6 日、米ニュージャージー州ニューアーク国際空港に着陸を試みた米大手ユナイテッド航空の旅客機便の操縦士が報告した。 着陸準備で定められた手順を踏んでいる際、方向舵ペダルが「作動しない」事態に襲われたという。 NTSB によると、同便に搭乗の乗客ら 161 人にけが人は出ず、乗降ゲートに無事に到着していた。 ユナイテッド航空の整備士らが 3 日後の試験飛行を実施した際、似たような方向舵の不具合が「起きた」という。 ただ、NTSB はこの同社の試験飛行について、方向舵の機能に関係する自動操縦システムの動作を冷温下で調べており、方向舵ペダルを踏む力が邪魔された可能性もあると指摘した。 ボーイング社の MAX 型シリーズの機材で方向舵ペダルの問題点が浮上したのは初めて。 しかし、同社製の別の機種では以前にも表面化していた。 737 型機の原型とも言える「ネクストジェネレーション (NG)」型機では 2019 年、同様の不具合が 2 件報告されていた。 関係筋によると、機材の部品を変えることで問題点を解消していたという。 MAX シリーズ機は最近、機体製造過程での安全管理対策の怠慢行為などが表面化し、ボーイングは対応策を迫られている。 今年 1 月 5 日には米アラスカ航空機の機内側壁の一部が飛行中に吹き飛ぶ異例の事態も起きていた。 (CNN = 3-9-24) ◇ ◇ ◇ ボーイング製貨物機、離陸後にエンジンから出火 … マイアミの空港に緊急着陸 【ニューヨーク = 小林泰裕】 欧米メディアによると 18 日、米アトラス航空が運航するボーイング製貨物機「747-8」のエンジンから出火し、フロリダ州マイアミの空港に緊急着陸した。 米アラスカ航空の運航するボーイング機でも事故が起きたばかりで、同社機への信頼が揺らぎ、経営への打撃となりかねない。 アトラス航空の貨物機は 2015 年に製造され、エンジンは米ゼネラル・エレクトリック (GE) 製。 乗員 5 人に重傷者はいなかったという。 米連邦航空局 (FAA) が原因を調査している。 ボーイング機を巡っては今月 5 日、アラスカ航空の運航する「737MAX-9」でも離陸直後に窓が吹き飛び、緊急着陸する事故が発生した。 FAA は同型の約 170 機の一時運航停止を命じ、機体の検査を進めている。 事故後にボーイングの株価は一時 10% 以上下落した。 ボーイングを巡っては 18 年と 19 年、「737MAX-8」の墜落事故により計約 350 人が死亡した。 その後、機体の注文キャンセルなどで経営不振に陥り 4 年連続で赤字決算が続いている。 今年に入り起きた 2 度の事故は、信頼回復に取り組む同社にとって、業績へのさらなる重荷となる可能性がある。 (yomiuri = 1-20-24) ◇ ◇ ◇ 全日空ボーイング 737、離陸後空港に引き返す 操縦席の窓に亀裂 東京 : 全日本空輸 (ANA) の国内便のボーイング 737-800 型機が 13 日、離陸後に操縦席の窓に亀裂が入ったことがわかり、空港に引き返していたことがわかった。 ANA が 15 日、明らかにした。 ANA によれば、離陸から約 40 分後、窓に亀裂が見つかった。 操縦席の六つの窓のうち右から二つ目の窓に亀裂が入っていた。 乗客乗員 65 人を乗せた便は安全に空港に戻ったという。 ANA によれば、亀裂が見つかったのは操縦席の窓の 4 層にわたる強化ガラスの一番外側。 亀裂の原因を調査しており、国土交通省に報告も行った。 ボーイング 737-800 型機は 1998 年から運航されており、信頼性と高い安全性が認められている民間航空の主力機。 ただ、ボーイングの機体をめぐっては、737MAX9 型機が今月に入り、飛行中に側壁が吹き飛ぶなどしており、同社には再び厳しい目が注がれている。 (CNN = 1-17-24) 機体接近、警報鳴らず 記録確認できず 海自ヘリ墜落 伊豆諸島東方の太平洋で海上自衛隊の哨戒ヘリコプター 2 機が墜落した事故で、他機が異常接近したときに衝突の危険を知らせる警報音が、2 機とも鳴っていなかったとみられることが、関係者への取材でわかった。 夜間訓練中、重要な安全システムのひとつが機能していなかった可能性がある。 防衛省によると、2 機は 20 日午後 10 時 38 分ごろ、「対潜水艦戦」訓練のために海上を飛行中に墜落した。 状況から空中衝突した可能性が高く、海自は回収した 2 機のフライトデータレコーダー (FDR) の解析や、周辺にいた他機、護衛艦の通信記録などの調査を進めている。 政府関係者によると、これまでの調査では、衝突防止のための警報が作動した記録が 2 機とも確認できていないという。 2 機は、共に行動する味方の航空機と互いに位置情報などを共有する「僚機間リンク」というシステムを備え、機体同士が一定距離内に近づくと警報が鳴る仕組みになっているが、護衛艦を発艦後に、リンクがつながっていなかった可能性もあるという。 僚機間リンクは、捕捉した目標物の情報なども共有できるため、対潜水艦戦では一般に使うことが多いとされる。 防衛省は FDR の解析結果から、機体や機器に大きなトラブルはなかったとみているが、原因を調べている。 (矢島大輔、里見稔、asahi = 4-23-24) ◇ ◇ ◇ ヘリのフライトレコーダー発見 衝突「可能性が高い」 防衛相一問一答 伊豆諸島東方海域で 20 日深夜に海上自衛隊の哨戒ヘリコプター 2 機が相次いで消息不明となった事故を受け、木原稔防衛相が 21 日午前 9 時、報道陣の取材に応じた。 主なやりとりは以下の通り。
2 機の位置関係は。 衝突の可能性についてどのように見ているのか。
同型機の今後の対応は。
1 人の死亡確認ということだが、所属、年齢、性別は。
他の回収物は。
2 機分?
墜落事故と判断した根拠は。
2 機と最後に連絡が取れた時間帯は。
緊急救難信号が 1 機からしか発せられていない状況はどう見ているか。
ブレードの接触か、機体自体か。
2 機の発艦元の船は同じか。 艦名は。
対潜戦訓練は接触することがあるのか。
◇ ◇ ◇ 海自ヘリ 2 機が墜落か 1人救助、7 人行方不明 伊豆諸島東方の海域 防衛省は 21 日未明、海上自衛隊の哨戒ヘリコプター SH60K の 2 機が、伊豆諸島東方海域で相次いで消息不明になったと発表した。 4 人ずつ計 8 人が搭乗しており、1 人が救助されたが、7 人が行方不明になっている。 防衛省によると、現場は伊豆諸島・鳥島の東の海上。 20 日午後 10 時 38 分ごろ、1 機と通信が途絶え、その 1 分後にこの機体からの緊急信号を受信した。 さらに午後 11 時 4 分ごろ、別のもう 1 機とも通信が途絶したという。 2 機は大村航空基地(長崎県)と小松島航空基地(徳島県)の所属機。 海自の艦艇 8 艦と航空機 5 機が現場を捜索し、1 人を救出したが、容体は不明という。 海上保安庁の巡視船 2 隻も現場に向かっている。 ヘリは当時、対潜水艦戦の訓練をしていたという。 機体の一部と思われるものが海上で見つかったといい、防衛省は、2 機は墜落したとみている。 木原稔防衛相は、他国の関与はないとの考えを示し、「まずは何よりも人命の救出に全力を尽くす」と述べた。 SH60Kとは 海上自衛隊のホームページなどによると、哨戒ヘリコプター SH60K は、乗員は 4 人で、機体の全長約 20 メートル、全幅約 16 メートル。 主に護衛艦に搭載し、潜水艦を探知するための専用の装置などを装備している。 自衛隊ヘリの墜落、相次ぐ 伊豆諸島東方海域で訓練中だった海上自衛隊のヘリコプター 2 機が 20 日夜、相次いで消息不明となった。 自衛隊のヘリは近年も、エンジントラブルや人為的なミスが原因とされる事故が相次いでいる。 昨年 4 月には、沖縄県・宮古島沖で陸上自衛隊のヘリ「UH60JA」が墜落。 搭乗していた第 8 師団長ら 10 人が亡くなった。 防衛省は今年 3 月、機体左右のエンジン 2 基のうち右側で出力が徐々に低下する現象が発生し、左側も出力が下がって高度を保てなくなったとする調査結果を発表した。 2017 年 8 月には、青森県の日本海沖で夜間訓練をしていた海上自衛隊のヘリ「SH60J」が墜落し、2 人が死亡、1 人が行方不明になった。 防衛省は、方位指示器に生じた誤差を修正する過程で人為的なミスがあったと発表。 機体に問題はなかったと結論づけた。 15 年 2 月にも、宮崎県えびの市の山中で、海自の訓練用ヘリコプターが墜落し、3 人が死亡した。 悪天候で飛行する中で、機長が平衡感覚や機体の高度の感覚を失う「空間識失調」に陥ったことが原因と推定された。 (asahi = 4-21-24)
鳥取・米子空港で「ANA ウイングス」機がゴー・アラウンド … 運輸安全委員会が調査開始 鳥取・米子空港で今月 7 日、着陸に向けて降下していた ANA ホールディングス傘下「ANA ウイングス」の旅客機が、地上への異常接近を知らせる対地接近警報装置 (GPWS) が作動するなどしたため、2 回にわたって直前で着陸をやり直す「ゴー・アラウンド(着陸復行)」をした。 けが人はなかったが、航空事故につながる重大インシデントに当たるとして、運輸安全委員会は 19 日、原因の調査を始めた。 国土交通省や同社によると、羽田発米子行き ANA389 便(ボーイング 737-800 型、乗客乗員 138 人)は 7 日午後 9 時 20 分過ぎ、空港東側から降下中に、滑走路への進入角度が合わず、着陸をやり直した。 空港に面する湖「中海」などの上空を旋回して西側から再度着陸を図ったが、降下の開始が早すぎて高度が足りず、湖の上空約 85 メートルで GPWS が作動したため、もう一度やり直して、同 34 分に着陸した。 国交省は発生直後に同社側から報告を受け、聞き取り調査などを実施。 その結果、航空法施行規則が重大インシデントとして定める「飛行中に地表・水面への衝突・接触を回避するため、緊急の操作を行った事態」に該当すると判断した。 (yomiuri = 4-19-24) 宮崎発の JAL 機に 2 度落雷 機内で焦げ臭いにおい、目的地を変更 3 日午後 3 時ごろ、宮崎発羽田行きの日本航空 694 便から「雷を受けた」と日本航空宮崎空港所に連絡があった。 乗客・乗員 122 人にけがはなかった。 同社によると、同機は同日午後 2 時 48 分ごろ宮崎空港を離陸し、間もなく雲の中で 2 度雷を受けたという。 機内で焦げ臭いようなにおいが発生したとの報告もあった。 機体の点検のため目的地を変更し、約 1 時間後に関西空港に到着した。 (奥正光、asahi = 4-3-24) 陸自ヘリ墜落、片側エンジンに「ロールバック」現象 防衛省調査 沖縄県・宮古島沖で昨年 4 月、陸上自衛隊のヘリが墜落して 10 人が死亡した事故で、防衛省は 14 日、事故調査の結果を発表した。 機体の左右にあるエンジン 2 基のうち、右側の 1 基で出力が徐々に低下する「ロールバック」という現象が発生。 その後、左側も出力が下がって高度を保てなくなったとしたが、左側の出力低下の要因は特定できなかったと結論づけた。 事故は昨年 4 月 6 日に発生。 当時の陸自第 8 師団長ら 10 人が乗る多用途ヘリ「UH60JA」が、宮古島近くの海に墜落した。 海中から機体の主要部分のほか、事故時の状況を記録したフライトデータレコーダー (FDR) を回収した。 FDR を解析したところ、右側エンジンの出力低下の要因は、空気を送り込む配管の漏れや詰まりで燃料供給が滞り、出力が緩やかに落ちる現象「ロールバック」と推定した。 「マニュアルにも記載のない非常にまれな事象」としている。 一方、左側エンジンの出力低下については、出力や制御に影響を与える機体やエンジンの部位に異常が起きた可能性を検討したが、それをうかがわせる証拠は見つからなかった。 エンジンが二つある機体では、一方にトラブルが起きても正常なエンジンだけで飛行することが可能だ。 その場合、異常が生じた方の出力を落として飛行するのが通常の手順となっている。 回収された FDR には異常が起きた右側ではなく、左側の出力を調整するよう乗員が発声する記録が残されていた。 防衛省は誤操作の可能性があるとみて調べたが、実際に正常な方の出力を落としたことを裏付けるデータは残っておらず、機体やエンジンの部位の異常とともに可能性の一つとして記載するにとどめた。 (成沢解語) トラブル発生 90 秒で墜落か 防衛省が公表した調査結果からは、最初のエンジントラブルから約 90 秒後に海面に墜落したことをうかがわせる状況が浮かび上がった。 調査結果をまとめたのは、事故が起きた昨年 4 月 6 日に防衛省が設けた事故調査委員会。 陸上幕僚副長をトップとする内部組織で、関係幹部らが議論し、ヘリを製造した三菱重工や IHI、専門家の意見も聞き取った。 再発防止のため、点検回数を増やすなどの対策も講じるとした。 調査結果によると、右側エンジンの出力低下が始まったのは午後 3 時 54 分 44 秒で、その時点の高度は約 330 メートル。約 20 秒後には、出力はほとんどゼロになっていた。 右側の出力低下から約 40 秒後、今度は左側のエンジンの出力が落ち始める。 このときの高度は約 310 メートルだったが、左側の出力低下から約 50 秒後には高度は約 95 メートルまで低下。 そこを最後に左右のエンジンの出力と、ヘリの高度のデータが途絶えていた。 直後に墜落したとみられるという。 エンジンが 2 基ある機体では、2 基同時にトラブルが起きる可能性はほぼないとされる。 こうしたなか、防衛省は乗員の操縦ミスの可能性も視野に原因を調べた。 回収された FDR には緊急時に手動でエンジンの出力を調整する「ロックアウト」という操作を推認させる音声記録が残っていた。 乗員が正常な左側エンジンをロックアウトするよう発声した直後、右側をロックアウトするよう言い直していたという。 防衛省関係者によると、調査委員会でメーカー側は、正常なエンジンを絞ったことが原因と主張したという。 だが、約 1 年間に及ぶ調査でも、詳細な原因の究明には至らなかった。 機体やエンジンの部位の異常とともに、乗員の出力抑制の操作を三つの可能性の一つに挙げた。 ある事故調メンバーは「残っているデータが限られており、分かることも限られた」と振り返る。 航空評論家の青木謙知さんは、出力低下の要因が特定されなかったことについて「事故調査は基本的に推測の集まり。 あらゆる記録から推測を積み上げ、最も可能性が高いものを残す。 絶対これという要因が出てくるとは限らない」と話した。 (成沢解語、上地一姫、asahi = 3-14-24) ◇ ◇ ◇ 陸自ヘリ墜落直前、エンジン出力が急低下 … フライトレコーダーに機長ら対応の音声記録 沖縄県・宮古島沖で 4 月に起きた陸上自衛隊の多用途ヘリコプター「UH60JA」の事故で、墜落の直前にエンジンの出力が急激に低下していたことが関係者への取材でわかった。 海底から回収されたフライトレコーダーに録音されていた機長らの音声記録から判明した。 事故は機体の不具合が発端で起きた可能性が高まった。 関係者によると、フライトレコーダーには、同機のエンジンが異常な音を立て、機体のトラブルを知らせる警報音も鳴る状況が記録されていた。 エンジンの出力が下がる中で、操縦席に並んで座る機長と副操縦士が高度を保とうと声を出し合う様子も残されていた。 エンジンに不具合が起き、操縦席から対応すると伝えられた機内の隊員の 1 人が「はい」と答えた声も記録されていた。 機体はその直後に海面に墜落したとみられ、「あっ」という声を最後に音声は途絶えたという。 同機は 4 月 6 日午後 3 時 46 分頃、宮古島の地形などを確認する目的で空自宮古島分屯基地を離陸した。同 54 分、近くの下地島空港の管制塔と交信したが、その 2 分後、同基地のレーダーから機影が消えた。 政府関係者によると、同機は離陸後、宮古島東側の海岸沿いを高度約 300m で飛行。 池間島を過ぎたあたりで針路を南西に変えた。 この頃から徐々に高度を下げ、事故の直前は 150m 前後の低空を飛行していたとみられる。 エンジンの出力低下は、空港管制との最後の交信があった同 54 分以降に発生した。 機体に異常が起きた場合に無線で宣言するエマージェンシー(緊急状態)は確認されておらず、機長らが機体の制御に追われていた可能性がある。 陸自は、フライトレコーダーを分析するとともに、海底から回収した機体の調査を進め、エンジンの出力が低下した原因の特定を進める。 事故機には坂本雄一・前第 8 師団長ら 10 人が搭乗しており、海底から引き揚げた 6 人の身元が確認されている。 自衛隊は残る 4 人の捜索を続けている。 (yomiuri =5-24-23)
◇ ◇ ◇ 陸上自衛隊ヘリ事故 引き揚げ機体は "激しく損傷" 4 月に陸上自衛隊のヘリが消息を絶った事故。 改めて経緯とともに、その原因についてみていきます。 フライトレコーダーの解析が待たれる状況 改めて事故の経緯から見ていきます。 陸上自衛隊のヘリコプターは 4 月 6 日午後 3 時 46 分、宮古島分屯基地を離陸した約 10 分後、宮古島付近でレーダーから機影が消失しました。 そして 5 月 1 日、隊員とみられる 6 人目の死亡が確認されました。 海難事故などに詳しい東海大学の山田吉彦教授に話を聞き、事故の要因、あるいはどのような状況だったのかを推測していただきました。 まず、「機体が複数に分断されているので、"横倒しの状態" で墜落したのではないか」とのことです。 そのまま垂直に墜落した場合はそれほど大きな分断にはならないそうです。 しかし "横に倒れていった" ことによって複数に分断されたのではないかと山田教授はみています。 そして報道では「機体がバラバラになっていた」というような表現もありましたが、山田教授いわく、内部で何かが爆発した可能性もあるとのことです。 そして今回わかった新たなニュースとして、引き揚げた機体からフライトレコーダーが回収されました。 これを解析することが、事故原因の究明の鍵になってくるのでは、とみられています。 (南波雅俊、TBS = 5-2-23) ◇ ◇ ◇ 自衛隊ヘリ事故 早ければあすにも機体回収へ 民間作業船が準備 陸上自衛隊のヘリコプターが沖縄県の宮古島の周辺で消息を絶った事故で、民間の作業船による機体の回収に向け 29 日、準備が進められました。 機体の回収は早ければ 30 日にも行われるとみられます。 今月 6 日、陸上自衛隊のヘリコプターが宮古島の周辺で消息を絶ち、乗っていた隊員 10 人が行方不明になった事故では、これまでに 5 人の死亡が確認されています。 隊員が見つかった水深 106 メートルの海底では、胴体部分とみられる損壊した機体の一部のほかに操縦席や尾翼とみられる部分も見つかり、それぞれは分離していたことが防衛省関係者への取材で分かっています。 現場海域では 29 日午前、民間の作業船「新世丸」から無人探査機や大型のネットが海中に下ろされました。 防衛省関係者によりますと、ネットは機体をつり上げるために海底に敷かれ、その後、機体をワイヤーでつり上げネットの上に乗せ、ネットで包み込むようにしてクレーンで引き上げることになっています。 機体の回収は早ければ 30 日にも行われるとみられます。 陸上自衛隊は機体を引き上げて調べるとともにフライトレコーダーも回収して事故原因の究明を進めることにしています。 また、自衛隊は今月 18 日に見つけた隊員とみられる 1 人を作業の状況に応じて引きあげるとともに、行方が分かっていない 4 人の捜索を続けています。 (NHK = 4-29-23) ◇ ◇ ◇ 不明ヘリ、海中 100 メートルに 機体近くに複数の隊員らしき姿 沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊のヘリが消息を絶った事故で、13 日夜に見つかった機体とみられるものはレーダーから消えた地点の北側の海中約 100 メートルの深さに沈んでいることが防衛省関係者への取材でわかった。 近くに隊員数人とみられる姿があり、一部は機体の外に体が出ているような状態だった。 14 日昼にも、深海まで潜る「飽和潜水」で改めて確認する方針だ。 防衛省関係者によると、機体とみられるものが見つかったのは 13 日午後 10 時ごろ。 宮古島の西にある伊良部島の北側海底で、レーダーから消えた地点から見ても北側だった。 伊良部島の北約 6 キロとの情報がある。 海上自衛隊の掃海艦「えたじま」が音波によるソナー探査で発見した。 水深は約 100 メートルで、水中カメラを入れたところ、機体が海底に沈んでおり、近くに隊員 1 人とみられる姿が見つかった。 その後、14 日朝にはさらに隊員 2 - 3 人とみられる姿も見つかった。 最初に見つかった隊員とみられる姿を確認したところ、体は機体に近接した状態で体の部分が一部、機内にかかっているように画像上は見えたという。 これまでに見つかった 3 - 4 人らしき姿が確認されたのはいずれも機体周辺だという。 ヘルメットや迷彩服などの装着状況は、水中カメラの画像からは判別できなかった。 このため、ダイバーが潜水して詳しい状況を確認する。 水深 100 メートル以上では、あらかじめ加圧した環境にダイバーを慣らして高圧の深海に潜水させる「飽和潜水」が必要とされる。 防衛省は 14 日昼をめどに、現場海域に派遣している潜水艦救難艦「ちはや」に乗り込んでいる飽和潜水が可能なダイバーを投入する方向で調整を始めた。 同日朝時点では、ダイバーを入れる準備として、海底の状況をソナーで確認しており、準備が整い次第、飽和潜水を始める方針だ。 (成沢解語、asahi = 4-14-23) ◇ ◇ ◇ 陸自ヘリ、どこを飛んでいた? レーダー消失位置、一夜明けて修正 沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊のヘリが 6 日に消息を絶った事故で、防衛省は 7 日午前、レーダーから事故機の機影が消失した位置を修正した。 複数のレーダー情報や機体の破片を回収した状況から、さらに精査した結果という。 事故から一晩明けての修正だったが、捜索活動への影響はなかったとしている。 事故機がレーダーから消えたのは、6 日午後 3 時 56 分ごろとされる。 防衛省は同日午後 9 時ごろ、ヘリの飛行ルートと、レーダーから消失した位置を落とし込んだ地図を発表。 航空自衛隊宮古島分屯基地を離陸して北北西に向かい、宮古島と橋でつながる池間島の東側の沿岸付近で消失したと図示していた。 複数のレーダー情報をもとに、最後に確認できたところを消失地点としたという。 しかし、7 日午前 8 時ごろの発表では、池間島から南西に離れた場所を消失地点だと修正した。 別のレーダーがさらに先までヘリの動きを捉えていたことがわかったという。 6 日に消失地点としていた池間島東側付近から北側に進んで南西方向に進路を変え、海上を飛行した後に消息を絶ったとしている。1 ヘリの一部とみられる部品を海上保安庁が発見したのも、この周辺だとされる。 事故後の捜索では当初の消失地点周辺を含む広範囲を捜索しており、早い段階で浮遊物を発見していたことなどから、防衛省は捜索活動に支障は出ていないと説明している。 修正後の位置については「(島中心部にある)宮古空港から北西 18 キロ」とした。 7日午前の発表では、レーダーから消える 2 分ほど前の 6 日午後 3 時 54 分、修正後の消失地点の南側にある下地島空港の管制塔と事故機がやり取りしていたことも明らかにされた。 内容は確認中としているが、危機を知らせる内容ではなく、同空港に近づいたことを知らせるための通信だった可能性があるという。 防衛省によると、海上自衛隊の掃海艇が 7 日午後から現場周辺で水中捜索を始める。 (asahi = 4-7-23) JAL 機が米空港でまたトラブル、停止線オーバーしデルタ機着陸やり直し … 国交省が抜き打ち検査 米サンディエゴ国際空港で今月上旬、出発前の日本航空機が滑走路手前の停止線を誤って越えたため、別の旅客機が直前で着陸をやり直す「ゴー・アラウンド(着陸復行)」をしていたことがわかった。 日航機は別の米空港でも地上を移動中に滑走路へ誤って進入しており、国土交通省は 13 日、運航や安全管理の体制を監査するため、日航に対し、航空法に基づく立ち入り検査を抜き打ちで実施した。 複数の関係者によると、サンディエゴ発成田行きの日航 65 便(ボーイング 787-8 型)は今月 6 日正午過ぎ(現地時間)、駐機場で客を乗せた後、地上走行を始めた。 管制官からは「(滑走路に平行な)誘導路 B を走行し、誘導路『B8』で待機せよ」などと指示を受けたが、65 便は指示になかった誘導路「B10」に入った上、B10 の停止線を越えた。 65 便は管制官の指摘も受けて誤りを認識し、滑走路への進入は直前で回避されたという。 (yomiuiri = 2-14-24) 伊丹空港の駐機場でANA機同士が接触 乗客や乗員にケガなし 1 日午前 10 時すぎ、大阪・伊丹空港の国内線の駐機場で、ANA の機体同士が接触しました。 乗客や乗員らにけがはありませんでした。 空港を運営する関西エアポートによりますと、午前 10 時すぎ、伊丹空港から松山空港に向かう ANA1637 便と、福岡空港から伊丹空港に到着した ANA422 便の右翼同士が駐機場で接触しました。 ANA によりますと、スポットで出発を待機していた 1637 便の右翼と、着陸後にスポットに入ろうとした 422 便の右翼が接触したということです。 1637 便には乗客 69 人と乗員 4 人、422 便には乗客 65 人と乗員 4 人が乗っていましたがけがはなく、1637 便は機体を変更して運行しているということです。 この影響で、伊丹空港を発着する 10 便が欠航になっています。 ANA などは接触の原因や経緯などを詳しく調べています。 (読売テレビ = 2-1-24) 米国籍客暴れ、全日空機引き返す CA 負傷、かみつき疑いで逮捕 太平洋上を飛行中の羽田発米シアトル行きの全日空 118 便が 16 日夜、機内トラブルで引き返した。 米国籍の乗客の男 (55) が暴れたためで、乗員が取り押さえ、羽田空港で警視庁東京空港署員に引き渡した。 署は客室乗務員の女性にけがを負わせたとする傷害容疑で男を現行犯逮捕した。 逮捕容疑は 16 日夜、全日空機内で客室乗務員の女性の腕にかみつき、けがをさせた疑い。 署によると、男は「睡眠剤を飲んで全く覚えていない」と否認している。 全日空機は 16 日夜に羽田を離陸したが、太平洋上で引き返し、17 日未明に戻った。 (kyodo = 1-17-24) 成田行きの全日空機、米シカゴの空港でデルタ機と接触 … 離陸のため移動中・乗客 171 人けがなし 【ニューヨーク = 金子靖志】 複数の米メディアは 15 日、米中西部イリノイ州シカゴのオヘア国際空港で離陸前の成田行き全日空 11 便と、デルタ航空 2122 便が接触したと報じた。 けが人はなかった。 全日空によると、11 便には乗客 171 人が搭乗していたという。 CBS などによると、14 日夜、離陸のために誘導路で移動中の全日空機の左主翼が、同空港に到着したデルタ機の尾翼に接触した。 全日空の同便は欠航となった。 米連邦航空局 (FAA) が原因を調べている。 (yomiuri = 1-16-24) 新千歳空港で大韓航空機とキャセイパシフィック航空機が接触 16 日午後 5 時半ごろ、北海道の新千歳空港の駐機場で、大韓航空とキャセイパシフィック航空の旅客機同士が接触する事故があった。 千歳市消防本部によると、火災の発生はなく、搬送者はいないという。 燃料の流出も確認されていない。 空港を運営する北海道エアポートや大韓航空などによると、乗客 276 人を乗せた大韓航空機が出発のため駐機スポットから後方に下がった際、隣で停止していたキャセイパシフィック機(乗客なし)に接触したとみられるという。 空港では午後 5 - 6 時に降雪量 4 センチを観測していた。 (平山公崇、谷口拓未、mainichi = 1-16-24) ジェットスター全便出発できず システム不具合、復旧見通し立たず 格安航空会社 (LCC) のジェットスター・ジャパンは、12 日午後 4 時ごろから全便の出発を取りやめていると明らかにした。 体の重さや天候などをもとに性能を管理するシステムで不具合が起きていることが原因だという。 午後 6 時半時点で復旧の見通しは立っていないという。 同社は国内線 17 路線、国際線 4 路線を運航している。 (長橋亮文、asahi = 1-12-24) |