トランプ氏、中国に農産物関税の全廃要求 対中制裁「引き上げない」見返りに 【ワシントン = 塩原永久】 トランプ米大統領は 1 日、ツイッターで「中国に米国の農産物に課しているすべての関税をただちに撤廃するよう求めた」と述べた。 トランプ氏は「(対中制裁)関税の引き上げをやめた」ことの見返りに、中国が一層の市場開放に応じるべきだとの認識をにじませ、「これは米国の農家と私にとって、とても重要なことだ」と強調した。 トランプ氏は「牛肉や豚肉などを含む」米国産品の関税撤廃に中国が踏み切るべきだと言及。 対中関税の引き上げを延期したことや「貿易協議でうまくやっている」ことから、最終的な合意までに中国のさらなる歩み寄りを促した。 米中両政府は、先週までの閣僚級を含む協議が「進展した(トランプ氏)」として、最終合意を目指す首脳会談を今月中にも開くことを計画している。 トランプ氏は、今月 1 日を期限とした対中交渉を延長し、翌 2 日に予定した 2 千億ドル(約 22 兆円)相当の中国産品への追加関税の引き上げ延期を決めていた。 中国は米制裁への報復として、米国が対中輸出の主力品とする大豆などの農産物に高関税を課している。 トランプ氏は、米国が各国からの輸入品に低関税を適用しているのに対し、中国などは米国からの輸入品に課す関税率が高いと繰り返し不満を表明してきた。 (sankei = 3-2-19) 米大統領、中国への関税上げ期限 60 日延長を検討 = ブルームバーグ [北京] トランプ米大統領は、中国製品に対する関税引き上げ期限を先に設定した 3 月 1 日から 60 日延長することを検討している。 ブルームバーグが 14 日、情報源を特定せずに伝えた。 大統領は米中協議にさらに猶予期間を与えるために期限延長を考えているという。 米中の閣僚級貿易協議は 14 日、北京の釣魚台国賓館で始まった。 会談には、米国のムニューシン財務長官、ライトハイザー通商代表部 (USTR) 代表と中国の劉鶴副首相が参加。協議は 15 日まで行われる。 (Reuters = 2-14-19) 中国、米産大豆 100 万トン購入 合意履行を強調 【北京 = 永井央紀】 中国の国有企業、中糧集団は 2 日、米国産の大豆を新たに 100 万トン購入したと発表した。 2018 年 12 月の米中首脳会談での合意に基づく措置だと説明。 貿易摩擦の解消に向けて中国が提案した米国の農産品輸入の拡大を履行する姿勢を示した。 中糧集団は「米中首脳間の合意を実行するため、すでに数百万トンの米国産大豆を分割購入したのに加えて、新たに 100 万トンを購入した」としている。 習近平(シー・ジンピン)国家主席はトランプ米大統領に農産品やエネルギー資源の輸入拡大を約束。 訪米している劉鶴副首相もトランプ氏との会談で「大豆輸入を 500 万トン増やす」と伝えた。 米中貿易協議をめぐっては中国の合意履行姿勢に対する米国の不信が強い。 中糧集団の発表にはこうした懸念を払拭したい思惑がのぞく。 ただ、米国が中国に求めているのは輸入拡大だけでない。 技術移転の強制や産業補助金などに対する改善措置を具体的に示さなければ、根本的な解決に至らないとの見方が多い。 (nikkei = 2-2-19) 米中貿易摩擦で強まる経済不安 米 FRB、利上げ休止へ 米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会 (FRB) は 30 日の連邦公開市場委員会 (FOMC) で、これまで続けてきた緩やかな利上げを休止する方針を打ち出した。 国債などの保有資産を減らして市場に流す資金量を減らす政策も見直す。 米国の景気過熱を抑えるため利上げしてきたが、米中貿易摩擦などで世界経済の減速懸念が強まり、金融引き締め路線を転換する。 FRB は FOMC 後の声明で、従来の「いくらかのさらなる緩やかな利上げが、経済活動の安定的な拡大に見合う」との表現を削除した。 FRB は昨年 12 月、2019 年の利上げ回数の見通しをそれまでの 3 回から 2 回に減らした。 今回の FOMC では、景気次第では年内に全く利上げをしない可能性もにじませた。 声明では「政策金利の誘導目標をどう調整するか決めるに当たっては辛抱強くなるだろう」との文言も加えた。 「辛抱強くなる (patient)」という文言は、昨年末の利上げ以降、米金融市場が乱高下したのを踏まえ、1 月に入ってパウエル議長が講演で使ってきた言葉で、当面は金融引き締め路線を停止し、景気動向を見守ることを明確にした。 政策金利の誘導目標は「年 2.25 - 2.50%」で据え置いた。 (ワシントン = 青山直篤、asahi = 1-31-19) 中国でアフリカ豚コレラ禍拡大、米大豆農家に打撃 中国で養豚数が大きく落ち込んでおり、米国の大豆農家にとり頭痛の種となっている。 大豆はすりつぶされて、大豆油と大豆ミール(大豆粕)が生成される。 この高タンパク質の大豆ミールは、豚や牛、魚まで、家畜飼料として広く使われており、4 億頭を超える中国の豚はその最大の消費者だ。 中国では昨夏、北部の豚を家畜伝染病の「アフリカ豚コレラ」に見舞われた。 その後、感染が拡大し、大量の豚が殺処分された。 養豚数の減少は、大豆需要の低下につながる。 アフリカ豚コレラは豚にとっては極めて危険で、人間には害を及ぼさないとされるものの、一部では買い控えが起こり、豚肉販売を下押しした。 豚肉需要の後退は、米農家にとって厳しい時期に重なった。 中国の米国産大豆の輸入は、昨夏の終わりに導入された報復関税により、すでに減少している。 米中は昨年 12 月、通商紛争の「一時停戦」で合意し、中国は大豆の購入を再開したが、関税は残ったままだ。 大連商品取引所で、3 カ月物大豆ミール先物価格は昨年 10 月半ば以来、27% 値下がりし、2016 年 4 月以来の安値に迫っている。 相場の状況は、アフリカ豚コレラの感染が、政府統計以上に広がっていると市場がみていることを示唆している。 INTL FC ストーンのアジア商品部門リスク管理コンサルタント、ダリン・フリードリッヒ氏はこう指摘する。 感染拡大を食い止めるため、これまで 90 万頭以上の豚が殺処分された。 中国農業農村省は今月、国内の養豚数は 12 月時点で、前年比 5% 近く減少したと明らかにしている。 同省幹部は、世界の事例では、アフリカ豚コレラの絶滅には少なくとも 5 - 6 年を要するとし、「長い取り組み」になるとの見方を示した。 中国税関総署のデータによると、中国の 12 月の大豆輸入量は前年比 4 割減の 570 万トンとなり、2011 年以来の水準に落ち込んだ。 大半がブラジル産で、米国産は前年の 620 万トンから 6 万 9,000 トンに激減し、全体の 1.2% にとどまった。 中国はこれまで、9 月までの 1 年に大豆輸入が 11% 減少するとの見方を示している。 アフリカ豚コレラの感染が今後も拡大し、豚の殺処分も続けば、大豆需要も落ち込むとみられ、米農家にはさらなる圧力がかかりそうだ。 (Lucy Craymer、The Wall Street Journal = 1-30-19) ◇ ◇ ◇ 大豆ブーメラン、中国を直撃 関税合戦で米国産「蒸発」 「今年の大豆の収穫はさっぱりだね。」 黄河沿いに貧しい農村地帯が広がる河南省新郷。 20 歳前後の若い農家の男性が大豆畑で顔をしかめた。 夏以降、極端な雨と乾燥が繰り返され、天候が安定しなかったことが響いたという。 10 月、中国有数の大豆生産地である河南省を取材した。 中国は 7 月、米国の高関税措置への報復として、米国産大豆などに 25% の追加関税を発動。 大豆が米中貿易紛争を代表する農産品の一つとなったためだ。 取材して真っ先に感じたのは、生産性の低さだった。 ちょうど大豆を収穫する時期だったが、小規模な畑で栽培され、収穫も手作業。 大型トラクターを使うなど機械化が進んだ米国の巨大農場との違いは明らかだった。 背景には、中国では同じ穀物でも農家の収入が多いトウモロコシの栽培が奨励された歴史がある。 大豆の農地面積が減少したうえ、品種改良や栽培技術に関する研究も遅れた。 その結果、主要な生産国との差は歴然と開いた。 この 30 年近くの間にブラジルは大豆の生産量を約 6 倍、アルゼンチンは約 5 倍、米国も約 2 倍に増やした一方、中国はわずか 25% 増にとどまった。 中国最大の大豆の生産地である黒竜江省では 11 月、農家に出す補助金を倍増する方針を示し、栽培の奨励に乗り出した。 だが、中国農業に詳しい高橋五郎・愛知大教授は指摘する。 「政府が急に号令をかけても、良質の種子の確保や栽培技術の研究の蓄積がなければうまくいかない。」 中国は、世界の大豆の約 3 割を使用する最大の消費国だ。 食生活が豊かになるにつれ、豚肉など肉類の消費量も増え続け、家畜の飼料となる大豆の重要性は増している。 だが、消費量の約 9 割をブラジルや米国などの外国産に依存しており、自給率は約 1 割にとどまる。 食料安全保障の観点からみれば、非常に危うい構造だ。 中国は長年、工業化を中核とする経済成長を優先させてきたことが根本的な背景にある。 にもかかわらず、中国は 11 月の米中間選挙を見すえ、農家を支持基盤とするトランプ大統領を揺さぶることを優先。 米国産大豆に報復関税を課すというカードを切った。 (河南省新郷 = 益満雄一郎、asahi = 12-22-18) 中国、米産の原油・LNG 輸入を停止 対米交渉カードか 中国が昨年 12 月、米国から原油と液化天然ガス (LNG) をまったく輸入しなかったことが、中国税関総署が 25 日発表した同月の詳細な貿易統計でわかった。 米中両国は 3 月 1 日を期限にして厳しい通商交渉を続けており、中国側が国有エネルギー大手による調達を制御し、対米交渉のカードをつくったとみられる。 中国政府関係者は 25 日、「エネルギーは米国が最も重視している輸出品だ。 中国は米国産の最大の輸入国だったが、買うのをやめた。 米国は直接的な打撃を受けるだろう。」と話した。 原油と天然ガスは米国にとって、対中貿易での「弱点」とみられていた。 国連と世界貿易機関 (WTO) が共管する国際貿易センターによると、米中通商紛争前の 2017 年、米国が輸出する原油に占める中国向けの割合(金額ベース)は 20%。 一方、中国の輸入に占める米国産の割合は 2% にすぎない。 LNG も 13% 対 4% で、中国にとって対米報復に使いやすい輸入品だからだ。 中国は同年 10 月も LNG を輸入していない。 不足分は、ロシアなど米国の競争相手から輸入を増やすとみられる。 (北京 = 福田直之、asahi = 1-26-19) 台湾半導体大手、中国への技術協力縮小 対米摩擦懸念 【台北 = 伊原健作】 中国の半導体産業育成の目玉事業に対し、台湾大手の聯華電子 (UMC) が技術協力を大幅に縮小することが分かった。 米国が産業スパイの罪で同社と中国側企業を起訴し、同事業への製造装置の輸出も規制したためだ。 中国側では台湾の先進技術への期待が大きく、事業の先行きに暗雲が漂う。 米中摩擦の影響は中台間で進行していた実際の事業にも及んだ。 ハイテク産業や金融などの先進的サービスの育成を急ぐ中国は、あらゆる先端機器の制御を担う半導体を最も重視する。 その半導体で海外からの技術導入を制限されることの打撃は大きい。 中国半導体メーカー、福建省晋華集成電路 (JHICC) への協力を縮小する。 関係者によると UMC は 2018 年末、JHICC への技術支援を担う約 300 人で構成する開発部署に人員削減を通知した。 約 140 人を配置転換する方針で、一部には解雇を通告した。 台湾南部の台南に置く同部署について、関係者は「既に業務はほぼ停止しており、事実上の解散だ」と話した。 UMC は日本経済新聞に対し「内部の人員調整を公開することはない」としたうえで、JHICC との協業を終了するかについては明言せず「現在は一時停止している」とした。 JHICC の事業は中国で半導体メモリーの 3 大プロジェクトの一つと位置づけられている。 同社は 16 年 2 月に中国福建省の政府系企業などの出資で設立。 370 億元(約 5,900 億円)を投じ、UMC の支援を得ながらデータの一時記憶に使う DRAM の工場を建設していた。 世界一の製造強国を目指す中国が掲げる産業政策「中国製造 2025」の中核事業の一つとも目されてきた。 UMC は演算処理を担う半導体の受託生産の世界 3 位企業だ。 DRAM への進出を目指して技術を蓄積しており、16 年 5 月に JHICC と提携した。 技術供与の見返りに報奨金を受け取る契約を結び、製造に必要な巨額投資を負担せず事業参画する狙いだった。 ただ、中国のハイテク産業の台頭や産業スパイ行為への警戒を強める米国では、トランプ政権は両社が米半導体大手マイクロン・テクノロジーの技術を盗用したと批判。 18 年 10 月に米企業に対し、同事業への技術提供を制限する措置を打ち出した。 11 月には米連邦大陪審が企業秘密を盗み出した産業スパイの罪で両社を起訴したことが明らかになった。 UMC は問題収束まで協業を一時停止すると表明していた。 UMC としては、このまま協力を続ければ、米国からの技術や半導体製造装置の導入が自社の事業でも制限され、米国の顧客からの製造受託にも響きかねないと判断したようだ。 JHICC との契約や中国政府との関係上、撤退方針は明確にはできないとされる。 関係者は「ひっそりと実質的に開発チームを解散する格好だ」と話した。 JHICC の新工場では設備は搬入済み。 ただ米の規制を受け、日米などの製造装置大手がメンテナンスや部材などの供給を停止している。 18 年内に試験生産し、19 年にも量産する見通しだったが、先行きが見えない。 欧州の一部企業は協力を継続しており、JHICC は代替の技術導入や装置確保について模索しているが、状況は厳しい。 技術革新のカギを握る半導体は米中摩擦の最前線になっている。 中国通信機器大手、中興通訊 (ZTE) はイラン問題の制裁で一時、米企業からの半導体調達を断たれて経営危機に直面した。 (nikkei = 1-4-19) 中国、米自動車・部品向け追加関税を 19 年 1 月から 3 カ月間停止 = 財政省 [北京] 中国財政省は 14 日、米国製自動車および自動車部品への追加関税適用を 2019 年 1 月 1 日から 3 カ月間停止すると発表した。 米国から輸入する自動車および部品への 25% の追加関税と自動車関連製品への 5% の追加関税を 2019 年 1 月1日から 3 月 31 日まで停止する。 財政省は、中国と米国がすべての追加関税撤廃に向けた交渉を加速することを望むと表明した。 (Reuters = 12-14-18) 米、中国への追加関税を 90 日猶予 首脳会談で合意 【ブエノスアイレス = 河浪武史、永井央紀】 米中両国は 1 日開いた首脳会談で、米国が中国への追加関税を猶予すると決めた。 米中は貿易問題で協議を続け、中国の知的財産保護などで妥結点を探る。 米側は 90 日以内と期限を区切り、合意できなければ 2,000 億ドル分の中国製品の関税率を 10% から 25% に引き上げる。 交渉決裂による貿易戦争の激化は回避したが、関税撤廃など完全解決には至っていない。 トランプ大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席は約 2 時間半、アルゼンチンで夕食会形式の首脳会談を開いた。 両首脳が直接対談するのは、2017 年 11 月に北京で開いて以来。 トランプ氏は会談後に「実りの多い協議だった」などとする声明を発表した。 米国はこれまで 3 回にわたって計 2,500 億ドル分の中国製品に制裁関税を発動した。 第 3 弾の 2,000 億ドル分は年末商戦が終わる 19 年 1 月以降、関税率を 10% から 25% に引き上げる予定だった。 トランプ政権は 1 月以降の関税引き上げを猶予し、関税合戦の激化をひとまず回避する。 米国側の発表では、発動猶予は中国の構造改革が条件としている。 (1) 米企業への技術移転の強要、(2) 知的財産権の保護、(3) 非関税障壁、(4) サイバー攻撃、(5) サービスと農業の市場開放 - - の 5 分野で協議し、90 日以内に結論を得るとした。 それまでに合意できなければ、2,000 億ドル分の関税は 10% から 25% に引き上げる。 中国側は関税引き上げの猶予に加え、米国が現在 25% の関税を課している第 1 弾、第 2 弾の 500 億ドル分の制裁措置を「取り消す方向で協議する(王受文商務次官)」とした。 中国側の発表は具体的な協議期限を示しておらず、サイバー攻撃や技術移転の強要など具体的な交渉項目に触れるのも避けた。 貿易不均衡の是正をめぐっては、中国は対米貿易黒字を減らすため、米国産の農産品やエネルギー、工業製品などを「大量に購入する」ことで合意した。 農産品については「すぐさま購入を開始する」とした。 中国の王毅・国務委員兼外相は 1 日、日本経済新聞など一部メディアの取材に対し「中国は輸入を拡大し、貿易不均衡を徐々に解決したい」と述べた。 米国は 7 月、知的財産権の侵害などを理由に中国に制裁関税を発動し、中国もすぐさま報復措置に打って出た。 二大経済大国が高関税を課す異例の貿易戦争に、世界は強い不安を抱いていた。 米中はひとまず短期の「休戦」で合意に達したが、制裁関税そのものは継続され、貿易戦争の終結にはなお時間がかかる。 また、トランプ政権が強く求めていた先端産業育成策「中国製造 2025」の見直しは協議の対象とするのを見送った。 産業補助金の撤廃など米側のこれまでの要求は声明に盛り込まれていない。 中国の国家資本主義の柱である産業補助金の見直しは、習政権が「認めない」と強く反発しており、同分野の扱いは玉虫色となった。 首脳会談は開始時間を急きょ 1 時間前倒しして踏み込んだ議論を交わした。 習氏は会談の冒頭で「米中の平和と繁栄は両国の協調関係によってのみ築ける」と関係改善に意欲をみせていた。 (nikkei = 12-2-18) 中国が対米貿易改善案 142 項目、トランプ氏明かす 【ワシントン = 河浪武史】 トランプ米大統領は 16 日、中国との貿易戦争を巡って「中国は 142 項目の行動計画を提出してきた」と記者団に述べた。 米中は 11 月末にも首脳会談を開く予定で、トランプ氏は「取引で合意するかもしれない」と期待をにじませた。 ただ、同氏は「大きな懸案がいくつか残っており、現時点ではまだ受け入れられない。」とも述べ、中国側に一段の譲歩を促した。 米政権は中国製品に制裁関税を発動し、両国は貿易戦争へ突入した。 トランプ政権は 5 月、中国に対して、(1) 貿易赤字を 2 年で 2 千億ドル(約 22 兆 5 千億円)削減、(2) 先端産業の育成策「中国製造 2025」による補助金の撤廃、(3) 米国並みに関税を引き下げ - - など 8 項目を要求。 次回の首脳会談を前に中国側の回答を促していた。 トランプ氏は 16 日、記者団に「中国が広範な行動リストを提出してきた。 142 項目だ。 非常に完成度が高い。」と一定の評価を下した。 ただ、同氏は「重要な 4、5 項目が解決されていない」と述べて「私にとって、まだ受け入れられるものではない」とも指摘した。 中国側は関税引き下げなど市場開放策を示したものの、米国とのハイテク分野の覇権争いで欠かせない「中国製造 2025」の抜本的な見直しは拒んでいるとみられる。 米中両国は 11 月 30 日 - 12 月 1 日にアルゼンチンで開く 20 カ国・地域 (G20) 首脳会議に合わせて、トランプ大統領と習近平(シー・ジンピン)国家主席が会談する予定だ。 トランプ氏は「合意しなければ追加の制裁関税を発動するが、中国は合意を望んでおり、それは不要かもしれない」とも述べた。 (nikkei = 11-17-18) 人民元の大幅安「注視している」と米財務長官 ムニューシン米財務長官は 10 日までの英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、中国の通貨、人民元の大幅な下落について「注視している」と述べた。 中国との貿易協議に通貨問題も絡める姿勢を示し、インドネシア・バリ島で開かれる 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議を前に中国側をけん制した。 ムニューシン氏は「人民元は今年大幅に下落している。 さまざまな要因があるだろうが、中国側と協議したい。」とした上で「中国が通貨の競争的な切り下げをしないことを確かめたい」とも語った。 人民元は米中貿易摩擦に伴う景気悪化への懸念から対ドルで下落傾向が続き、上海外国為替市場では 1 ドル = 6.92 元台と約 1 年 9 カ月ぶりの安値水準にある。 財務省は今月、主要な貿易相手国・地域の通貨政策を分析した半年に 1 度の外国為替報告書を公表する予定。 中国が自国通貨を安値に誘導している「為替操作国」に指定されるかが焦点だが、ムニューシン氏は言及を避けた。 (kyodo = 10-11-18) 米、対中関税第 3 弾発動 = 22 兆円対象、「貿易戦争」拍車 【ワシントン、北京】 トランプ米政権は米東部時間 24 日午前 0 時(日本時間同日午後 1 時)すぎ、中国による知的財産権侵害を理由とする過去最大の制裁関税を発動した。 第 3 弾として新たに 2,000 億ドル(約 22 兆 5,000 億円)相当の中国製品に 10% の追加関税を課す。 中国は即時に報復措置に踏み切り、過熱する「貿易戦争」の出口は見えない。 米国は同日開かれる日本との貿易協議にも厳しい姿勢で臨むとみられる。 米国による対中制裁は通商法 301 条に基づく措置。 米中両国は双方からの輸入品 500 億ドル相当にそれぞれ 25% の追加関税を 2 段階に分けて実施済み。 米国が第 3 弾を発動したことで、中国からの年間輸入実績(約 5,000 億ドル)の半分に制裁を科す異例の事態となる。 第 3 弾に対して中国は、600 億ドル(約 6 兆 7,500 億円)相当の米国製品に 5% または 10% の追加関税を課すと決定。 過去の実施分と合わせた報復対象は、米国からの年間輸入実績(約 1,300 億ドル)の 8 割以上に達した。 新華社電によると、中国は制裁発動直後に対米貿易摩擦に関する白書を発表し、「米国は追加関税などの手段で経済的などう喝を続けている」と強く反発。 米国が摩擦を激化させたと非難した。 米国は、これまでの制裁で中国のハイテク産業振興戦略が重点とする品目を主な標的にしたが、第 3 弾は生活必需品にまで広げた。 家電や家具など 5,745 品目が関税の上乗せ対象。 税率は 10% から始め、来年から 25% に引き上げる。 これに対する中国の報復対象は液化天然ガス (LNG) や中型航空機など 5,207 品目。 トランプ米大統領はこれまでに、中国が第 3 弾の制裁に報復措置を取れば残り全ての輸入品に追加関税を課すと強調しており、事態打開への手掛かりはつかめていない。 (jiji = 9-24-18) ◇ ◇ ◇ 中国へ関税第 3 弾 22 兆円分 「9 月 6 日以降すぐ発動」 米トランプ大統領が、対中国の高関税措置の「第 3 弾」として検討してきた 2 千億ドル(約 22 兆円)分について、9 月 6 日に公聴手続きの期間が終わり次第すぐに発動を表明したい、との意向を示したことが分かった。 米ブルームバーグ通信が 30 日に伝えた。 米中は通商協議を再開していたが、中国もさらなる報復措置で応じる構え。 通商紛争は収束の兆しが見えない。 第 3 弾の対象は、第 1 弾と第 2 弾の合計 500 億ドル分の 4 倍にのぼる。 雑貨など消費財を幅広く含み、米経済への打撃も大きい。 世界経済に悪影響を及ぼす懸念が広がり、30 日のニューヨーク株式市場で、大企業でつくるダウ工業株平均は前日比 137,65 ドル (0.53%) 安い 2 万 5,986.92 ドルで終えた。 ブルームバーグは「事情を知る 6 人の関係者」による情報として、トランプ氏が第 3 弾の発動を急ぐ意向と伝えた。 (ワシントン = 青山直篤、asahi = 8-31-18) 中国の対米黒字最大 8 月 310 億ドル、関税で輸入鈍る
【北京 = 原田逸策、ワシントン = 鳳山太成】 米中貿易戦争の影響が統計に鮮明に表れ始めた。 中国税関総署が 8 日発表した 8 月の米国からの輸入は、前年同月比 2% 増どまりの 133 億ドル(約 1.5 兆円)だった。 伸び率は 7 月の 11% から大幅に鈍った。 対米輸出は同 13% 増の 443 億ドルと好調。 今後の追加関税をにらみ、駆け込み輸出が広がったとみられる。 対米貿易収支は 310 億ドルの黒字。 同 19% 拡大し、単月として過去最大となった。 トランプ大統領が狙う貿易赤字圧縮は実現していない。 米国からの輸入の伸びは春節(旧正月)休暇で統計がふれる 1 - 3 月を除くと 17 年 4 月以来の低水準。 輸入全体は 20% 増えており、米国からの鈍化が目立つ。 8 日発表の統計は速報値で国ごとの品目の動向は明らかになっていないが、7 月以降の追加関税で車などの輸入が減ったもようだ。 米中は互いに 7 月 6 日から 340 億ドル分、8 月 23 日から 160 億ドル分の製品に 25% の関税を上乗せした。 中国は米国からの輸入の 3 分の 1 に追加関税をかけ、車と大豆で課税対象計 500 億ドルの 6 割を占める。天津市の車の輸入会社の経営者は「関税上昇後は米国からの輸入を控えて様子をみている」と話す。 中国の 8 月の輸出は全体では 10% 増で、対米の伸びが上回った。 トランプ政権は 7 月に追加関税第 3 弾となる 2 千億ドル分の品目候補リストを公表。 対象になった家具などの駆け込み輸出が起きた可能性が高い。 トランプ氏は 7 日、中国からの輸入品すべてに制裁関税を課す可能性に再び言及した。 2 千億ドル分への第 3 弾の関税発動を近く判断するが、早くも「第 4 弾」をちらつかせて強硬姿勢を崩していない。 (nikkei = 9-9-18) 米、対中関税第 2 弾発動 中国は WTO 提訴へ 【ワシントン = 鳳山太成】 トランプ米政権は 23 日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の第 2 弾を発動した。 半導体など中国からの輸入品 160 億ドル(約 1 兆 8 千億円)分に 25% の関税を上乗せする。 中国も同規模の報復関税を課す。 両国は貿易問題の事務レベル協議を始めたが、中国の補助金政策などを巡って溝は深い。 世界の二大経済大国が互いに関税をかけ合う貿易戦争は泥沼化している。 米国側は米東部時間 23 日午前 0 時 1 分(日本時間午後 1 時 1 分)以降に通関した製品から関税を徴収する。 中国も同時刻に米国からの輸入品に関税をかける。 米国が関税を課す対象は集積回路やメモリーなどの半導体、製造装置のほか、家電や産業機械に幅広く使われるプラスチックやゴムといった化学素材など計 279 品目。 中国側は古紙や自動車、銅、アルミニウムのくずなど計 160 億ドル分、333 品目に 25% の追加関税をかける。 関税で中間財のコストが上がれば米中をまたぐ企業のサプライチェーン(供給網)に影響が広がりそうだ。 中国商務省は 23 日の声明で「米国の追加関税は明らかに世界貿易機関 (WTO) の規則に違反している疑いがある」と批判し、「必要な反撃を取り続けざるを得ない」と表明。 今回の件を WTO に訴える方針を示した。 米国は 7 月 6 日、産業用ロボットなど 340 億ドル分に 25% の関税を発動した。 第 2 弾と合わせると計 500 億ドルに上り、中国からの年間輸入額の 1 割に相当する。 中国側も同規模の報復措置をかけており、関税の応酬が一段と激しくなる。 米中は 22 日から、6 月上旬以来の公式対話となる次官級協議をワシントンで始めた。 マルパス米財務次官(国際問題担当)と王受文商務次官が 23 日まで貿易問題や人民元相場を議論する。 両政府には 11 月の首脳会談開催をにらみ対話による解決を探る動きがある。 ただトランプ大統領は長期戦も辞さない構え。 双方に強硬論も根強く、事態の打開につながるかは不透明で、対立は一段と深まる恐れがある。 米政権は中国が報復措置に出れば 2 千億ドル分に関税を課す方針を表明済みだ。 約 6 千品目にわたる対象品目の原案を公表しており、9 月上旬までに産業界の意見を募った後で発動手続きに入る。 第 3 弾にはかばんや帽子などの服飾品や家電、果物や野菜といった食料品など消費財を多く含む。 中国は液化天然ガス (LNG) など計 600 億ドル分の報復リストを公表済み。 第 3 弾を実際に発動すれば世界経済への影響は本格的に広がる。 米政権は 3 月、500 億ドル分の中国製品に制裁関税を課すと表明。 5 月から 6 月に貿易協議を開いたが、米国側が求める中国のハイテク産業振興策「中国製造 2025」の撤回や知財対策で溝は埋まらなかった。 (nikkei = 8-23-18) ◇ ◇ ◇ 米、対中関税第 2 弾を 23 日発動へ 化学品など 279 品目 【ワシントン = 鳳山太成】 米通商代表部 (USTR) は 7 日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税の第 2 弾を 23 日に発動すると発表した。 半導体や化学品など中国からの輸入品 160 億ドル(約 1 兆 8 千億円)、279 品目に 25% の関税を上乗せする。 中国は既に報復する構えをみせている。 米中の貿易戦争が激しくなり、実体経済への影響も広がりそうだ。 トランプ米大統領は制裁措置を表明した 3 月当初から知財侵害による年間被害額とみる 500 億ドル分に制裁関税を課す方針を示してきた。 7 月 6 日に課した第 1 弾と合わせて 500 億ドル分に予定通り関税を上乗せすることで、中国からの輸入品全体の 1 割に関税をかけることになり、米政権の強硬姿勢は鮮明になる。 USTR が今回発表したのは第 2 弾の最終品目リスト。 中国が重視する集積回路などの半導体関連や電子部品、プラスチック・ゴム製品、鉄道車両、通信部品、産業機械などを含んだ。 6 月 15 日に発表した原案からは企業の要請を受けて鉄道コンテナや工作機械など 5 品目を取り除いた。 半導体や電子部品は一般消費者向けの家電などに幅広く使われている。 関税を課せば値上がりにつながるとして、半導体や電子機器の業界団体は強い反対を示していた。 中国は、米国が第 2 弾を発動すれば同じ 160 億ドル分に 25% の報復関税を課すと表明済みだ。 米政権は中国の報復措置に対抗するため、さらに第 3 弾として 2 千億ドル分を準備する。 トランプ大統領は 8 月 1 日、税率を 10% から 25% に引き上げるよう USTR に指示した。 中国政府は 3 日、米国から輸入する 600 億ドル分に報復すると表明した。 米中政府による公式交渉の再開はメドが立っておらず、貿易戦争は泥沼化している。 (nikkei = 8-8-18) 【米中貿易戦争】 中国の経済学者「勝ち目なく壊滅的」 金融市場は「無謀な戦い」 米中両国の事務レベル貿易協議が 22 日から米国で開かれる予定だが、双方の主張は依然として隔たりが大きく、摩擦解消につながるかは不透明だ。 今春に始まった米中貿易戦争は、すでに中国経済にダメージを与え始めた。 「中国に勝ち目はなく、はやく失敗を認めて、事態を収束すべきだ」との厳しい見方も中国国内でくすぶっている。 2 期目の習近平政権が発足した直後の 3 月 23 日、中国商務省は米国による鉄鋼・アルミ製品への追加関税措置への報復として、128 品目の米国製品に対し追加関税を課すと発表。 問題がエスカレートした。 中国の官製メディアは「われわれはいかなる戦争も恐れていない」と強気な姿勢を崩していない。 ただ、対米輸出に依存している中国経済が米国と全面対決することは「無謀な戦い」とみる投資家も少なくなく、中国の金融マーケットは敏感に反応した。 株式市場では 3,300 ポイント前後だった上海総合指数が 3 月末から下落し、8 月中旬には 2,600 ポイントと約 20% も下げた。 人民元の為替相場も対ドルで 10% 近く急落した。 中国は近年、経済成長率が前年比 6 - 7% で推移している。 為替相場が下落すれば輸入コストが大幅アップするなど、成長率を押し下げる要因になる。 「中華民族の偉大なる復興」とのスローガンを掲げ、経済規模で米国を追い越すことを夢みる習政権にとって、打撃は大きい。 広東省や上海周辺で、米国からの発注激減にともない、生産停止に追い込まれる工場も出ている。 中国は報復措置として、米国産大豆に高い関税を課したが、中国国内の家畜飼料は米国産大豆に依存しているため、飼料のコストが増大。 7 月以降、北京など都市部の豚肉の価格が高騰し、市民生活にも大きな影響が出始めている。 一方で、中国が追加関税を課す米国製品は農業分野に集中していることもあって、貿易戦争が米国経済に与える影響は今のところは限定的。 ニューヨーク株式市場のダウ工業株 30 種平均はこの間、むしろ 5% 前後上昇している。 中国の著名な経済評論家、賀江兵氏は香港メディアに対し米中貿易戦争について「勝ち目がない」と強調した上で、「いまの状態が今後 2 2カ月以上も続くと、中国の経済は壊滅状態に突入する」と指摘し、中国当局に対し早期解決を訴えている。 (矢板明夫、sankei = 8-19-18) 株・通貨「米国買い・中国売り」鮮明に 場当たり「トランプ流」に不確実さも 「米国買い・中国売り」の動きが金融市場で強まっている。 米中貿易摩擦が強まるなか、景気動向の違いなどから「米国は有利な立場で、中国は譲歩せざるを得ないのでは」との見方が強まっているためだ。 ただ、経済規模で 1、2 位の大国同士による貿易摩擦の行方は読み切れないうえ、トランプ米大統領の場当たり的な動きがどんな影響を及ぼすかも不確実だ。 米中の株・通貨は 6 6月に入ったあたりから乖離が鮮明になっている。 5 月末比で米ダウ工業株 30 種平均は 3% 上昇。 一方、上海総合指数は 9% 下落し、7 月上旬には約 2 年 4 カ月ぶりの安値を付けた。 米ドルは通貨の総合的な実力を示す名目実効レートでみて 5 月末比で約 1.5% 上昇。 中国人民元は 4% 強下落している。 「米中の景気の方向性の違い(三井住友アセットマネジメントの永見哲氏)」がある。 米国は大型減税の効果もあって、個人消費が伸び、企業の生産活動も活発だ。 一方、中国ではインフラ投資が落ち込み、個人消費も弱含んでいる。 過剰債務の削減の途上でもあり、「貿易摩擦が重なると景気の減速リスクが一段と強まってしまう。(米 BNY メロン・インベストメント・マネジメントのリズ・ヤング氏)」 経済構造の面でも「中国が不利(三菱 UFJ 国際投信の石金淳氏)」との声がある。 米国に比べて中国は輸出依存度が高い。 米モルガン・スタンレーの試算では米国による 500 億ドル(5 兆 6,000 億円)分の中国製品への 25% の追加関税は、輸出減を通じて中国の経済成長率を 0.1 ポイント下押しする。 仮に 2,000 億ドル相当の中国製品に 10% の関税を追加すれば、中国景気への悪影響は 0.3 ポイントに拡大するという。 また、中国は関税による対抗措置の規模が限られる。 中国の米国からの輸入額は年間約 1,300 億ドルと、米国の中国からの輸入額(約 5,000 億ドル)の約 4 分の 1 にとどまるためだ。 関税以外では米国製品の不買運動、人民元の大幅切り下げ、米国債の売却なども取り沙汰されるが「どれも中国へのデメリットが大きく非現実的。(SMBC 日興証券の肖敏捷氏)」 例えば、元切り下げは資本流出につながるリスクがある。 このため、中国はいずれ輸入拡大などの譲歩策に追い込まれるとの見方が強まっている。 もっとも、米中を含めた世界全体に打撃が広がり、「全員が敗者」となる恐れは否定できない。 国際通貨基金 (IMF) は 18 日、貿易戦争が激化すれば世界の経済成長率が 0.5 ポイント下振れするとの試算を公表した。 トランプ氏の政策・発言の一貫性のなさもリスクだ。 高関税で安い輸入品を締め出せば米国内でインフレ圧力が強まって、一段の利上げ・ドル高につながり、輸出競争力が低下して貿易赤字の削減はおぼつかなくなる。 利上げ・ドル高をトランプ氏はけん制し始めたが、インフレを放置すれば実質賃金が低下して景気を冷やす恐れがある。 場当たり的な「トランプ流」の帰結はまだみえず、「米国買い」がどこまで続くかも不透明だ。 (nikkei = 7-21-18) |