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経常収支、2 月は 2.2 兆円の黒字 貿易赤字は続く

財務省が 10 日発表した 2 月の国際収支統計(速報)によると、貿易や投資などの海外との取引状況を表す経常収支は 2 兆 1,972 億円の黒字だった。 黒字は 2022 年 12 月以来 2 カ月ぶり。 貿易収支は 6,041 億円の赤字だった。 円安・資源高は一服しているものの、資源の輸入額は高止まりしている。 経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやり取りを示す第 1 次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。

2 月の経常収支は赤字だった 1 月に比べて改善した。 中国の春節(旧正月)の影響で輸出が増加した。 経常収支の黒字幅は前年同月より 514 億円縮んだ。 貿易収支の赤字幅が 4,091 億円増えた。 日本企業の海外での投資収益や旅行収支の黒字が拡大した分を打ち消した。

輸入額は 8 兆 2,484 億円と前年同月比で 9.8% 増えた。 石炭や液化天然ガス (LNG) などの価格上昇が響いた。 2 月の原油の輸入価格はドルベースで 1 バレルあたり 87 ドル 71 セントと前年同月に比べ 1.1% 上昇。 円ベースでは 1 キロリットルあたり 7 万 1,915 円と 14.8% 上がった。 資源高や円安で輸入額がかさむ構図が続く。 輸出額は 7 兆 6,443 億円で 4.5% の増加だった。 中国への輸出額が増えた。 第 1 次所得収支の黒字は 3 兆 4,407 億円と 18.6% 伸びた。

サービス収支の赤字幅は 2,204 億円で 79 億円の拡大だった。 訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支は 2,239 億円の黒字で前年同月の 16 倍となった。水際対策の緩和で訪日客が増えている。 季節調整値で見た経常収支は 1 兆 892 億円の黒字で前月比 5.3 倍に増えた。 貿易赤字は 1 兆 984 億円と前月から縮小した。 (nikkei = 4-10-23)


貿易赤字、2 月として過去最大の 8,977 億円 資源高響く

財務省が 16 日に発表した 2 月の貿易統計(速報)は輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支がマイナス 8,977 億円となり、2 月の赤字額としては比較できる 1979 年以降で最大だった。 資源高と円安が影響し、輸入、輸出とも 2 月として最大だったが、輸入の伸びが輸出を上回った。 輸入額は 8 兆 5,524 億円で前年同月比 8.3% 増。 引き続き、石炭、液化天然ガス、原油といったエネルギー関連が大きく伸びた。 一方、輸出額は 7 兆 6,547 億円で同 6.5% 増だった。 (asahi = 3-16-23)


経常赤字最大の 1.9 兆円 1 月、円安・資源高で

財務省が 8 日発表した 1 月の国際収支統計(速報)によると、貿易や投資などの海外との取引状況を表す経常収支は 1 兆 9,766 億円の赤字だった。 赤字は 22 年 10 月以来、3 カ月ぶり。 比較可能な 1985 年以降では、14 年 1 月の 1 兆 4,561 億円の赤字額を超えて過去最大となる。 円安や資源高で輸入額が膨らんだ。 中国向けの輸出停滞も響いた。 経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやり取りを示す第 1 次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。 経常収支の赤字幅は前年同月の 3.4 倍になった。

貿易収支の赤字が過去最大の 3 兆 1,818 億円となり経常収支の赤字につながった。 貿易赤字は前年同月から 1 兆 6,021 億円増加し、日本企業の海外での投資収益や旅行収支の黒字幅拡大を打ち消した。 輸入額は 10 兆 45 億円と前年同月比で 22.3% 増えた。 石炭や液化天然ガス (LNG) などの価格上昇が響いた。 1 月の原油の輸入価格はドルベースで 1 バレルあたり 88 ドル 14 セントと 10.6% 上昇。 円ベースでは 1 キロリットルあたり 7 万 3,234 円と 27.1% 上がった。 上昇率は縮小しつつあるが、円安で輸入額がかさんだ。

輸出額は 6 兆 8,227 億円と 3.4% の増加にとどまった。 1 月は例年、国内工場の正月休みなどで輸出は伸びにくい。 加えて、今年は中国の春節(旧正月)の時期が 1 月 22 日で、22 年より早まった。 現地の物流や工場が止まり車部品などの対中輸出が減った。 第 1 次所得収支の黒字は 2 兆 2,905 億円と 18.1% 増えた。 インフレ抑制に向けた米欧の中央銀行による利上げの影響で、債券利子の受け取りが増えた。

サービス収支の赤字は 7,584 億円で 489 億円縮小した。 訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支が、1,779 億円の黒字と前年同月の 14 倍になったことが寄与した。 水際対策の緩和で訪日客が戻り始めた効果が出ている。 長期の傾向が分かりやすい季節調整値では、経常収支は 2,163 億円の黒字で前月比 81.7% 減った。 貿易赤字は 1 兆 6,959 億円と前月から赤字幅を広げた。 円安と資源高が重荷となっている。 (nikkei = 3-8-23)


貿易赤字最大の 3.4 兆円 1 月、対中輸出停滞や円安響く

財務省が 16 日発表した 1 月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は 3 兆 4,966 億円の赤字だった。 単月として比較可能な 1979 年以降で最大の赤字となった。 円安と資源高で輸入が増えた。 中国向けの輸出の停滞も響いた。 2022 年 8 月の 2 兆 8,248 億円の赤字を上回った。 赤字は 18 カ月連続となる。 15 年 2 月まで 32 カ月続けて赤字になったとき以来の長さだ。

輸入は前年同月比 17.8% 増の 10 兆 477 億円だった。 値上がりした石炭や液化天然ガス (LNG)、原油などの輸入額が増えた。 原油の輸入価格は 1 キロリットルあたり 7 万 3,234 円と前年同月比 27.1% 上がった。 ドル建て価格の上昇率は 10.5% で、円安が輸入価格をさらに押し上げた。 輸出は 3.5% 増の 6 兆 5,511 億円だった。 米国向けの自動車などが増えた。

輸出の増加は輸入に比べて小幅にとどまった。 地域別にみると、中国向けの輸出は 17.1% 減の 9,674 億円だった。 1 兆円を下回るのは新型コロナウイルスの感染が最初に広がった 20 年 1 月以来となる。 自動車や自動車部品のギアボックス、半導体製造装置などが減った。 大幅な減少は「春節(旧正月)が早まったことが影響した。(財務省)」 今年の春節は 1 月 22 日で、22 年の 2 月 1 日より早かった。 中国の物流や工場が止まる春節休みの間は日本からの輸出は減る。 同国での新型コロナウイルスの感染拡大も響いたとみられる。

荷動きを示す輸出数量指数(15 年 = 100)は対世界全体が 77.2 と前年同月比 11.5% 下がった。 対中国が 30.7% の大幅な落ち込みとなり、全体を押し下げた。 対中国の低下率は 09 年 2 月以来の大きさだった。 円安や資源高による輸入の押し上げは一時期より和らいできたが、輸出の停滞が記録的な貿易赤字につながった。 1 月は日本の正月休みで輸出が減る一方、春節前の在庫確保のため中国からの輸入が増えやすい。 赤字になりやすい季節性がある。 季節調整値でみると、輸入は前月比 5.1% 減の 9 兆 6,093 億円、輸出は 6.3% 減の 7 兆 7,880 億円だった。 収支は 1 兆 8,212 億円の赤字となった。 (nikkei = 2-16-23)


経常黒字 47% 減の 11.4 兆円 22 年、円安で 8 年ぶり低水準

財務省が 8 日発表した 2022 年の国際収支統計(速報)によると、貿易や投資などの海外との取引状況を表す経常収支は 11 兆 4,432 億円の黒字だった。 前年比 47.0% 減り、14 年以来、8 年ぶりの低水準となった。 減少額は 10 兆 1,478 億円と比較可能な 1986 年以降で最大だった。 円安や資源高でエネルギー関連の輸入額が膨らんだことが響いた。 経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやり取りを示す第 1 次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。

22 年は貿易収支が過去最大の 15 兆 7,808 億円の赤字となり、経常黒字を押し下げた。 輸入が 114 兆 4,711 億円と 42.0% 増えた。 原油と石炭、液化天然ガス (LNG) の値上がりが響いた。 原油の輸入価格は 1 バレルあたり 102 ドル 49 セントと 47.5% 上がった。 円建ては 1 キロリットルあたり 8 万 4,735 円と、76.5% の大幅な上昇となった。 一時 1 ドル = 150 円台をつけた記録的な円安が輸入価格の上昇に拍車をかけた。

輸出は 19.9% 増の 98 兆 6,903 億円だった。 輸出入とも最大だったが、輸入の伸びが輸出を大きく上回った。 第 1 次所得収支は 35 兆 3,087 億円の黒字だった。 32.8% 増え、過去最大となった。 自動車メーカーや商社の海外子会社からの配当などが増えた。 サービス収支は 5 兆 6,073 億円の赤字だった。 赤字は 1 兆 3,757 億円膨らんだ。 検索連動型のインターネット広告費のほか、自動車や製薬関連の研究開発費の支払いなどが増えた。 22 年 12 月単月の経常収支は 334 億円の黒字だった。 前年同月比 90.9% 減った。 貿易収支は 1 兆 2,256 億円の赤字、第 1 次所得収支は 1 兆 7,952 億円の黒字、サービス収支は 3,547 億円の赤字だった。 (nikkei = 2-8-23)


22 年の貿易赤字は過去最大、資源高と円安で輸入膨らむ

→ 赤字額は 19 兆 9,713 億円 - 輸入 39.2% 増、輸出は 18.2% 増で過去最高
→ 昨年 12 月の貿易収支は 1 兆 4,485 億円の赤字、17 カ月連続マイナス

日本の 2022 年の貿易収支は19 兆 9,713 億円の赤字と、赤字幅は 比較可能な 1979 年以降で最大となった。 資源価格の高騰や歴史的な円安で輸入額が膨らんだ。 財務省が 19 日発表した。 貿易赤字は 2 年連続。 輸入が前年比 39.2% 増の 118 兆 1,573 億円だった一方、輸出は同 18.2% 増の 98 兆 1,860 億円となった。 いずれも 2 年連続のプラスで過去最高を更新した。 昨年はロシアによるウクライナ侵攻の影響による資源高や、円安進行を背景に過去最大の赤字を記録した 14 年(12 兆 8,161 億円)を上回るペースで赤字幅が拡大していた。

輸入品目では、原粗油(91.5% 増)、石炭(178.1% 増)、液化天然ガス(97.5% 増)が寄与した。 数量ベースでは 0.3% 減と 2 年ぶりに減少した。 輸出は品目別で自動車(21.4% 増)や鉱物性燃料(121.8% 増)、鉄鋼 (24.2%) の伸びが目立った。 数量ベースでは 1.9% 減と 2 年ぶりに減少。 地域別では、対米、対欧州がそれぞれ 23.1% 増、22.1% 増と 2 年連続で増加。 中国向けは 5.7% 増と 3 年連続のプラスとなった。

昨年 12 月の貿易収支は 1 兆 4,485 億円の赤字と、17 カ月連続のマイナス。 赤字幅は市場予想の 1 兆 6,700 億円よりも小さかった。 資源価格の上昇が一服し、為替が円高方向へ転じたことで輸入額の伸びが鈍化した。 輸入は前年同月比 20.6% 増。 10 兆円を上回るのは 7 カ月連続で、石炭(108.1% 増)、原粗油(41.4% 増)、液化天然ガス(36.8% 増)が寄与した。 数量ベースでは 6.4% 減と 2 カ月連続で前の年を下回った。

輸出は 11.5% 増加。 自動車や鉱物性燃料、建設用・鉱山用機械の伸びが目立った。 数量ベースでは 7.1% 減と 3 カ月連続のマイナス。 地域別では、対米が 16.9% 増と 15 5カ月連続プラス。 対欧州は 27% 増と 22 カ月連続プラスだった。 一方、中国向けは 6.2% 減と 7 カ月ぶりにマイナスとなった。 SMBC 日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは、円高の影響が出てくるほか原油価格も下がっているため、貿易赤字は「今後数カ月でピークアウトが明確になってくるだろう」と述べた。 一方、「貿易収支が黒字になるにはハードルが高い」との見方を示した。 (占部絵美、Bloomberg = 1-19-23)


貿易収支 2 兆 274 億円の赤字 11 月としては過去最大 円安などで

日本の貿易収支は、11 月も巨額の赤字が続いています。 財務省が 15 日発表した 11 月の貿易統計によりますと輸出から輸入を差し引いた先月の貿易収支は、2 兆 274 億円の赤字となりました。 貿易赤字は 16 か月連続で、統計が比較できる 1979 年以降でこの月としては過去最大です。 貿易赤字は、8 月以降 4 か月連続で 2 兆円を超え、ことしの累計額は、年間で過去最大だった 2014 年をすでに上回る水準となっています。

歴史的な円安のなかで、原油や LNG = 液化天然ガスなどエネルギー資源の輸入額が増加したことが大きな要因です。 財務省によりますと円建ての原油の輸入価格は、去年の同じ月の 1.5 倍以上に上昇しています。 貿易収支のうち、輸入額は 10 兆 8,649 億円と去年の同じ月よりも 30.3% 増えて、11 月としては過去最大でした。 一方、輸出額は、8 兆 8,375 億円と去年の同じ月よりも 20% 増えて、こちらも 11 月としては過去最大です。 アメリカ向けの自動車と、建設や鉱山用の重機の輸出の増加が目立っていますが、輸入の大幅な伸びを補うほどではなく、巨額の貿易赤字となる構図が長期化しています。 (NHK = 12-15-22)


経常収支 10 月 641 億円赤字 円安・資源高で 1 月以来

財務省が 8 日発表した 10 月の国際収支統計(速報)によると、貿易や投資などの海外との取引状況を表す経常収支は 641 億円の赤字だった。 赤字は 1 月以来。 比較可能な 1985 年以降で 10 月に赤字となるのは 162 億円の赤字だった 2013 年以来、2 度目だ。 円安や資源高でエネルギー関連の輸入額が膨らんだことが響いた。 経常収支は輸出から輸入を差し引いた貿易収支や、外国との投資のやり取りを示す第 1 次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。 今年 10 月の経常収支は 1 兆 7,347 億円の黒字だった 21 年 10 月からマイナス方向に 1 兆 7,988 億円変化した。 マイナスの変化幅としては過去最も大きかった。

1 - 10 月の月次データを単純に累計した経常収支は 9 兆 6,960 億円の黒字となった。 前年同期比では 50.7% 減と半減した形だ。 第 1 次所得収支の黒字が大きく年間の経常黒字は保てそうだが、巨額の貿易赤字は重荷となっている。 10 月は貿易収支が 1 兆 8,754 億円の赤字となり、経常収支全体の赤字につながった。 輸入額が 10 兆 8,646 億円と前年同月比 56.9% 増えた。 原油と石炭、液化天然ガス (LNG) の値上がりが響いた。 10 月の原油の輸入価格は 1 バレルあたり 105 ドル 96 セントと前年同月比 37.8% 上がった。 円建ては 1 キロリットルあたり 9 万 6,684 円と、79.4% の大幅な上昇となった。

10 月は円相場が一時 1 ドル = 150 円台の記録的な円安・ドル高となっていた。 輸入物価の上昇に円安が拍車をかけた。 輸出額は前年同月比 26.9% 増の 8 兆 9,892 億円だった。 自動車や半導体等電子部品などが増えた。 輸出入とも単月として過去最大を更新した。 輸出は中国経済の減速などで伸び悩んでいる面があり、輸入の増加ペースが大きく上回った。

サービス収支は 7,224 億円の赤字だった。 赤字は前年同月から 1,153 億円拡大した。 海外に対する研究開発費の支払いなどが増えた。 訪日外国人の消費額から日本人が海外で使った金額を引いた旅行収支は 430 億円の黒字だった。 黒字の大きさは新型コロナウイルスの感染が広がる前の 20 年 1 月の 2,962 億円以来となった。 水際対策の緩和で訪日客が戻り始めた効果が出てきている。 第1次所得収支の黒字は 2 兆 8,261 億円と前年同月比 19.0% 増えた。 商社や自動車メーカーの海外からの配当などが増えた。 日本企業の海外での稼ぎを貿易収支の赤字が打ち消す構図が強まった。 (nikkei = 12-8-22)


今年度上半期の貿易赤字 11 兆円超え 半期で過去最大

財務省が発表した、ことし 4 月から 9 月までの今年度上半期の貿易統計は、原油などエネルギー価格の上昇や円安の影響で輸入額が膨らんだことから、過去最大の貿易赤字となりました。 今年度上半期の貿易統計では、輸出から輸入を差し引いた貿易収支が 11 兆 75 億円の赤字となりました。 赤字額は去年の同じ時期よりも 10 兆円余り増えて、比較が可能な 1979 年以降で、年度の半期としては過去最大となりました。

輸入額が 60 兆 5,838 億円と去年の同じ時期と比べて 44.5% 増え、過去最大となったことが主な要因です。 原油や液化天然ガスなどエネルギー価格の高騰に加えて、税関が公表しているこの期間の為替レートで円がドルに対して去年より 20% 余り下落するなど円安が加速していることも輸入額の増加につながりました。

一方、輸出額は 49 兆 5,763 億円でした。 自動車や鉄鋼、半導体電子部品などが伸びて輸出額は去年の同じ時期よりも 19.6% 増え、こちらも過去最大となりましたが、輸入の急増を補うことはできず、結果として貿易赤字が拡大しました。 また、同時に発表された先月の貿易収支は、2 兆 940 億円の赤字となりました。 赤字額は去年の同じ月よりも 3 倍余りに増え、貿易赤字の増加に歯止めがかからない状況が続いています。

松野官房長官「前例ない思い切った負担緩和策を行う」

松野官房長官は、午前の記者会見で「足元のエネルギー価格高騰などに対応するため、まずは先日の『物価・賃金・生活総合対策本部』でとりまとめた対策に着実に取り組んでいく。 加えて、今回の経済対策でも、急激な電気料金の値上がりによって影響を受ける家計や企業を直接的に支援するため、前例のない思い切った負担緩和策を行う」と述べました。

また「ガスは値上がりの動向や事業構造などを踏まえ、電気とのバランスを勘案した適切な措置を講じていくほか、ガソリンは来年 1 月以降も補助を引き続き実施していく。 中小企業には、賃上げにつながる生産性向上など前向きな投資を支援する補助金や輸出拡大への支援に加え、価格転嫁対策を強化していく。」と述べました。

"輸入価格上昇、円安加速の中で為替による要因拡大" 分析も

貿易赤字の拡大に関連して、輸入価格の上昇の主な要因は原油などのエネルギー価格の高騰でしたが、専門家からは円安が加速する中で為替による要因が次第に大きくなっているという分析も出ています。 20 日、財務省が発表した貿易統計で、先月の輸入価格の指数をみると前の年の同じ月と比べて 48.6% の高い伸びとなっています。 このうち、みずほ証券の分析では、為替による要因が 22.3% で、資源高を中心とした物価上昇の要因の 21% を上回っています。 (NHK = 10-20-22)


経常収支、8 月は 589 億円の黒字で予想下回る 貿易収支の赤字拡大

[東京] 財務省が 11 日に発表した国際収支状況速報によると、8 月の経常収支は 589 億円の黒字となった。 ロイターが民間調査機関に行った事前調査の予測中央値は 1.218 億円程度の黒字で、黒字幅は予想を下回った。 経常収支が黒字幅を縮小させたのは、貿易収支の赤字幅拡大が主因。 財務省によると、8 月としては最も少ない黒字額となった。

経常収支は、季節調整済みでは 5,305 億円の赤字だった。 赤字は 2 カ月連続。 経常収支のうち、貿易・サービス収支は 3 兆 1,065 億円の赤字で、貿易収支単体では 2 兆 4,906 億円の赤字だった。 輸出入とも対前年同月比で増加したが、輸入の伸びが大きく差し引きで赤字となった。 一方、第 1 次所得収支は 3 兆 3,271 億円の黒字、第 2 次所得収支は 1,617 億円の赤字だった。 (Reuters = 10-11-22)


9 月外貨準備は過去最大 540 億ドル減、ドル売り介入や証券評価減

→ 米国債を介入資金に充てたかとの問いに「答えられない」 - 財務相
→ 介入に米国債が使われた可能性も - −みずほリサーチ & テクノロジーズ

為替介入の原資となる日本の外貨準備高は 9 月末時点で 1 兆 2,381 億ドル(約 179.6 兆円)と、前月末から 540 億ドル減少した。 減少幅は過去最大だった。 財務省が 7 日発表した。 政府・日本銀行は 9 月 22 日、急激な円安に歯止めをかけるため 24 年ぶりの円買い介入(2 兆 8,382 億円)に踏み切っていた。 金利上昇に伴い証券の時価評価額が減少したことも影響した。 証券は 9,853 億ドルと前月末から 515 億ドル減り、最大の減少幅となった。 預金は 1,361 億ドルと前月末からほぼ変わらなかった。

外貨準備 過去最大の減少幅

鈴木俊一財務相は、外貨準備の減少要因について、債券金利の大幅上昇に伴う「証券時価評価額の減少や、ユーロの対ドル減価によるユーロ建て資産のドル換算額の減少、為替介入による外貨売り」と説明。 米国債を売って介入資金に充てたのかとの問いに対しては、「為替介入に関する取引の内容に関わることで答えられない」と述べた。

ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、償還金や利払いなどを原資に介入した可能性もあり、「単純に米国債を売って捻出したのか分からない」と指摘。 預金が減少したら限界だという見方が市場にあったため「あえて預金を減らさない形にしたかもしれない」とし、「手の内をさらさないうまいやり方」で介入効果が高まった可能性があるとの見方を示した。

みずほリサーチ & テクノロジーズの坂本明日香主任エコノミストは、「介入が行われたタイミングで、米国証券を使ったのではないかという思惑もあって米金利が上がっていた。 介入に米国債が使われた可能性は否定できない。」と分析。 さらなる介入に備えて「預金を使い切ることはできず、預金だけでなく証券を売る覚悟も決めてやるという複数のシナリオを財務省は考えているだろう」と述べた。 財務省の松本千城為替市場課長は 5 日、「特段、介入資金に限界があるとは認識していない」とし、「日本の外貨準備は為替介入に備えて流動性に最大限配慮した運用を行っている」と語っていた。 (占部絵美、Bloomberg = 10-7-22)


貿易赤字が過去最大 2 兆 8,173 億円 8 月、資源高・円安で

財務省が 15 日発表した 8 月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は 2 兆 8,173 億円の赤字だった。 エネルギー価格の高騰や円安で輸入額が前年同月比 49.9% 増の 10 兆 8,792 億円に膨らみ、輸出額の伸びを上回った。 赤字額は東日本大震災の影響が大きかった 2014 年 1 月を上回り、比較可能な 1979 年以降で単月の過去最大となった。

14 年 1 月は 2 兆 7,951 億円の赤字だった。 震災後の原子力発電所停止により火力発電所用の燃料輸入が増えていたほか、同年 4 月の消費増税を控えた駆け込み需要も輸入額を押し上げていた。 22 年 8 月は 8 年 7 カ月ぶりに当時を上回った。 貿易赤字は 13 カ月連続。 15 年 2 月までの 32 カ月に次ぐ過去 2 番目の長さとなっている。 22 年 8 月の貿易赤字額は QUICK がまとめた民間エコノミスト予測の中心値(2 兆 3,981 億円)を上回った。

輸入額が前年同月を上回るのは 19 カ月連続だ。 アラブ首長国連邦 (UAE) からを中心に原油を含む原粗油が 90.3% 増えた。 オーストラリアからを中心とする液化天然ガス (LNG) は 2.4 倍となり、石炭は 3.4 倍に増えた。 原粗油の輸入は金額ベースで 17 カ月連続で増加し、数量ベースでも 10 カ月連続で増えた。 通関での円建て輸入単価は 1 キロリットルあたり 9 万 5,608 円で、前年同月から 87.5% 上昇した。 ロシアのウクライナ侵攻で原油価格が上昇したほか、急速な円安が輸入額を押し上げた。

輸出額は 22.1% 増の 8 兆 619 億円だった。 18 カ月連続で前年同月を上回った。 数量ベースでは 1.2% 減と 6 カ月連続の減少で、円安局面でも低迷する。 部品などの供給制約が緩和されてきた自動車の輸出額は 39.3% 増え、中国向けなどの半導体等製造装置も 22.4% 増となった。 地域別では、対米国の黒字が 20.7% 増の 4,715 億円と、2 カ月ぶりの増加となった。 自動車や自動車部品などが伸び、8 月の輸出額としては過去最高となった。 輸入額は単月で過去最大で、医薬品や原粗油が伸びた。

対アジアの輸入、輸出額はともに 8 月としては最高だった。 このうち対中国もともに最高となった。 中国からの輸入は衣類や通信機が増え、中国への輸出はハイブリッド車などが伸びた。 対中国の貿易収支は 5,769 億円の赤字だった。 赤字は 17 カ月連続で、赤字額は 2.7 倍に増えた。 対ロシアの貿易収支は 1,091 億円の赤字だった。 日本政府の輸出禁止措置などにより輸出額は 21.5% 減の 549 億円だったが、輸入額は 67.4% 増の 1,641 億円となった。 原粗油の輸入額が 103 億円だった。 主要 7 カ国 (G7) は輸入禁止で合意しているが、通関手続きの関係で過去に到着したものが計上されたとみられる。

貿易統計上の 8 月の為替レートは 1 ドル = 135 円 08 銭で、前年同月に比べ 22.9% の円安だった。 足元の為替レートは 143 円前後まで円安が進んでいる。 ロシアのウクライナ侵攻で拍車がかかった原油や小麦などの資源・食料価格の高騰は一服しているが、前年に比べれば高水準だ。 貿易赤字の拡大傾向は続く可能性がある。 (nikkei = 9-15-22)


12 カ月連続の貿易赤字、資源高・円安で輸入 5 カ月連続最高 - 7 月

→ 貿易収支 1 兆 4,368 億円の赤字、輸入 47% 増、輸出 19% 増
→ 対中、対米の輸出入額はいずれも過去最高を更新

日本の 7 月の貿易収支は 1 兆 4,368 億円の赤字と、12 カ月連続でマイナスとなった。 赤字額は市場予想(1 兆 3,625 億円の赤字)よりも大きかった。 輸出入ともに過去最高を更新する中、資源価格の上昇や円安を背景に輸入の伸びが上回った。 財務省が 17 日発表した。 輸入は前年同月比 47.2% 増と 5 カ月連続で最高最高となった。 10 兆円を上回るのは 2 カ月連続で、原粗油(107.3% 増)、石炭(269.5% 増)、液化天然ガス(124.1% 増)が寄与した。 数量ベースでは 2.3% 増と 3 カ月連続で前の年を上回った。 輸出は 19.0% 増加。 自動車や鉱物性燃料、半導体製造装置の伸びが目立った。 数量ベースでは 2.0% 減と 5 カ月連続マイナス。

キーポイント

  • 貿易収支は 1 兆 4,368 億円の赤字(ブルームバーグ調査の予想中央値は 1 兆 3,625 億円の赤字) - 前月は 1 兆 3,985 億円の赤字
  • 輸出は前年同月比 19.0% 増(予想は 17.6% 増)の 8 兆 7,528 億円、17 カ月連続プラス - 前月 19.3% 増
    • 輸出数量指数は 2.0% 減
  • 輸入は 47,2% 増(予想は 45.5% 増)の 10 兆 1,896 億円、18 カ月連続プラス - 前月 46.1% 増
    • 輸入数量指数は 2.3% 増
  • ドル・円の平均値は 136.05 円、前年同月比 23.1% 円安 - 昨年 7 月は 110.55 円

輸出の地域別では中国向けが 12.8% 増と 2 カ月連続のプラス。 中国・上海市のロックダウン(都市封鎖)解除に伴い供給制約の影響が和らいだ。 対米は 13.8% 増と 10 カ月連続プラス、対欧州は 31.6% 増と 17 カ月連続プラスだった。 対中、対米の輸出入額はいずれも過去最高を更新した。 貿易赤字の 12 2カ月連続は 2012 年 7 月から 15 年 2 月まで 32 カ月連続以来の長さ。 (占部絵美、Bloomberg = 8-17-22)

エコノミストの見方

みずほリサーチ & テクノロジーズの諏訪健太エコノミスト :

  • 輸入過去最高の一番大きい要因は資源高
  • 輸出に比べて輸入の方がドル建て比率が高く、原油価格上昇に加えて円安が輸入増に効いている
  • 輸出数量指数の 5 カ月連続減少は、半導体供給不足が深刻化した 21 年後半以降、自動車や電気・情報通信機械の生産が 21 年前半の水準に戻っていないため
  • ロシア巡る供給不安やグリーン期待などで原油価格は意外と下がらない可能性もあり、貿易赤字は続きそう。 ただ、世界景気減速を背景に原油価格がさらに上がっていくとは考えにくく、貿易赤字も緩やかに改善していく方向
  • 6 月に原油価格はピークをつけており、ラグを伴って 7 - 9 月が貿易赤字のピークではないか

経常黒字 3 兆 5,057 億円、22 年上期 8 年ぶり低水準

財務省が 8 日発表した 2022 年 1 - 6 月の国際収支統計(速報)によると、海外とのモノやサービスなどの取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同期比 63.1% 減の 3 兆 5,057 億円だった。 ロシアによるウクライナ侵攻を背景にした原油などの資源高や外国為替市場での円安が響いた。 上期の経常黒字額としては 14 年以来、8 年ぶりの低水準となった。

経常収支の黒字幅は 21 年上期から 6 兆 21 億円減った。 減少額はリーマン・ショックの影響があった 08 年下期に記録した 7 兆 1,454 億円に次ぐ大きさだった。 上期としては比較可能な 1986 年以降で最大の減少額となった。 経常収支は輸出から輸入を差し引く貿易収支や外国との投資のやり取りを示す第 1 次所得収支、旅行収支を含むサービス収支などで構成する。 経常収支の黒字幅が縮小したのは原油や食料価格が高騰し、円安で輸入額が膨らんだためだ。 上期の貿易収支は 5 兆 6,688 億円の赤字となった。 21 年上期は 2 兆 2,823 億円の黒字だった。

鉄鋼や半導体などの電子部品が好調で輸出額は 18.2% 増の 46 兆 4,079 億円だった。 輸入額は 40.8% 増の 52 兆 767 億円と、いずれも過去最大だったが、輸入が輸出の伸びを上回った。 原油や液化天然ガス (LNG)、石炭といった燃料の輸入額が膨らんだ。 エネルギー価格そのものの上昇に加え、円安の影響もある。 21 年上期は平均で 1 ドル = 107 円 81 銭だったが、22 年上期は同 123 円 13 銭と 14.2% 円安・ドル高が進んだ。 原油価格は円ベースで 1 キロリットルあたり 7 万 5,506 円と前年より 83% 上昇した。

海外からの利子や配当の収入を示す第 1 次所得収支は前年同期比 22.4% 増の 12 兆 8,728 億円と過去最大になった。 世界で事業を展開する企業の拡大により、海外の子会社から受け取る配当金は増加傾向にある。 サービス収支は 2 兆 4,947 億円の赤字だった。 赤字幅は 4,106億円増えた。 製造業を中心に日本企業が海外に支払う研究開発費の増加が赤字拡大の要因となった。 新型コロナウイルスの感染拡大で、インバウンド(訪日外国人)の低迷も影響した。

6 月単月は 1,324 億円の赤字

6 月単月の経常収支は 1,324 億円の赤字だった。 経常赤字は 1 月以来、5 カ月ぶりとなる。 貿易収支の赤字傾向は足元でも変わっていない。 貿易収支は 1 兆 1,140 億円の赤字と、8 カ月連続で赤字だった。 輸出は前年同月比 20.4% 増の 8 兆 5,831 億円、輸入は 49.2% 増の 9 兆 6,970 億円といずれも最多となった。 輸入額が輸出額を上回る構図が鮮明になってきている。 (nikkei = 8-8-22)


2 月の経常収支 3 カ月ぶり黒字 原油高で前年比 42% 減

財務省が 8 日発表した 2 月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は 1 兆 6,483 億円の黒字だった。 黒字は 3 カ月ぶり。 原油高に伴い輸入額が大きく膨らみ、前年同月に比べると黒字額は 42.5% 減となった。 経常収支のうち、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は 1,768 億円の赤字だった。 資源価格の高騰に伴い輸入が 34.2% 増となった。 輸出は 19.8% 増だった。 旅行や貨物輸送を含むサービス収支は 2,035 億円の赤字だった。 赤字幅は前年同月から 1,602 億円拡大した。 (北海道新聞 = 4-8-22)


日本円の力、半世紀前の水準まで弱体化 急激な円安で暮らしに影響も

ほかの国の通貨に比べ、日本円はモノを買う力が強いのか弱いのか。 そんな通貨の購買力を示す国際指標で、日本円が約 50 年前の水準まで下がっていることが分かった。 この 1 年で急激に円安が進んだのも一因だ。 その分、輸入に頼る原油や食材などが値上がりするなど、暮らしへの影響も広がり始めている。 この指標は、国際決済銀行 (BIS) が毎月公表しており、「実質実効為替レート」と呼ばれる。 約 60 カ国・地域の通貨を比較し、各国の物価水準なども考慮して総合的な通貨の実力を示す。 数値が低いほど、海外からモノを買う際の割高感が高まる。 円安が進むと、海外旅行で何かと割高に感じるのと同じだ。

この指標をみると、日本円は昨年 5 月に 80 以上だったが、海外でコロナ後の景気回復への期待が先行して円安基調となり、下落傾向が続いた。 今年 10 月に 70 を割り込み、11 月に 67.79 まで下落。 これは同様に円安が進んだ 2015 年 6 月以来の水準で、1972 年 8 月と同じ値だ。 過去最高だったのは、一時 1 ドル = 79 円台まで円高が進んだ 95 年 4 月で 150.85 だったので、その当時と比べ、大幅に海外のモノが高く感じる状態になっている。

なぜ、こんなに円は弱くなったのか。日本では 1990 年代以降、バブル崩壊後の不良債権問題などで景気が低迷し、物価が下がり続けるデフレが深刻化。 景気を支える金融緩和や円高を防ぐ為替介入など、円安になりやすい政策が続いた。 13 年には、デフレ脱却をめざし、日本銀行が市場に大量のお金を流し込んで金利を抑える大規模な金融緩和を開始。 低金利の日本円よりも金利が高いドルを買う投資家が増え、さらに円安が進むことになった。

今年に入って急速に円安が進んだのも、基本的には同じ構図だ。 今年のドル円相場は 1 ドル = 103 円台で始まったが、コロナ後の経済再生への期待などから米国の金利が上昇。 コロナ対応で始めた金融緩和の縮小に向けた動きが欧米で強まると、さらにドル買い円売りが加速。 11 月には 1 ドル = 115 円台になり、年初来の安値となった。 原油高など輸入品の値上がりも円安を後押しした。 海外からモノを仕入れるためにドルを買い、円を売る流れが強まるからだ。

円安が進むと、輸出や外国人観光客が増えたり、海外での円換算のもうけが膨らんだりすることで、日本経済へのいい影響もある。 ただ、海外への工場移転が進んだことなどで輸出の伸びは限られ、コロナで訪日客の増加も望みにくい。 このため最近は、輸入コストが上がり、ガソリンや食品などの値上げが相次ぐなど、円安による物価上昇が景気を押し下げることへの懸念が強まっている。 (徳島慎也、asahi = 12-27-21)


原油高で輸入が過去最大、貿易収支は 9,548 億円の赤字 - 11 月

→ 輸入 8 兆 3,218 億円 - 原粗油 129.2% 増、液化天然ガス 136.1% 増
→ 輸出 7 兆 3,671 億円、11 月として最大 - 鉄鋼 87.8% 増、自動車 4.1% 増

財務省が 16 日発表した 11 月の貿易統計(速報)によると、輸入は前年同月比 43.8% 増の 8 兆 3,218 億円と過去最大となった。 輸出から輸入を差し引いた貿易収支は 9,548 億円の赤字で、4 カ月連続のマイナス。 赤字幅は市場予想(6,003 億円)よりも大きかった。 原油価格が引き継き高値圏で推移する中、輸入は原粗油が 129.2%、液化天然ガスが 136.1%、石炭は 195% それぞれ増加した。

輸出は 11 月としては最大で、伸び率は 6 カ月ぶりに前の月を上回った。 鉄鋼が 87.8% 増、半導体等製造装置が 44.7% 増と引き続き好調だった。 供給制約が和らいだ自動車は 4.1% 増と前月のマイナス (36.7% 減)からプラスに転じた。 地域別では米国向け輸出が 10% 増と 2 カ月連続プラス。 中国向けは 16% 増と 1 年 5 カ月連続でプラスだった。 欧州向けは 16.4% 増と 9 カ月連続のプラス。 (黄恂恂、関根裕之、Bloomberg = 12-16-21)


医薬敗戦、バイオ出遅れ 21 年の貿易赤字 3 兆円へ

日本の医薬品の存在感が低下している。 日本発の画期的新薬は減り、2000 年代後半から膨らむ貿易赤字額は 21 年に初めて 3 兆円を超える見通しだ。 新型コロナウイルスでも国産ワクチンの開発は遅れ、輸入に頼っている。 医薬品開発は化合物の合成からバイオ創薬へと競争力の源泉が移る。 技術転換に乗り遅れた日本の「医薬品敗戦」は医療制度にも影を落とす。 貿易赤字額が膨らみ始めたのは 15 年ほど前からだ。 財務省の貿易統計によると、医薬品の貿易赤字は 6 年連続で 2 兆円を超える。

医薬品の 20 年の貿易赤字は 2 兆 3,613 億円の赤字。 スマートフォンを含む通信機の赤字(約 2 兆 5,000 億円)に迫る規模だ。 日本全体を支える自動車や電子部品の貿易黒字を食い潰している。 そこに新型コロナワクチンが追い打ちをかけた。 21 年 1 - 10 月はワクチン輸入額が前年同期比で 10 倍以上のペースに増えた。 年間では貿易赤字額が 3 兆円を超えそうだ。 医薬品の貿易赤字の原因は 2 つ。 1 つは日本企業が海外に生産拠点を移したこと。 問題は日本企業の創薬力が落ちたというもう一つの理由だ。

日本は欧米と並ぶ新薬開発拠点だった。 00 年に世界売上高上位の医薬品 20 品目のうち、日本企業が開発したのは三共(現第一三共)の高脂血症治療薬や、武田薬品工業の抗潰瘍剤など 3 つあった。 それが 20 年は米医薬コンサルティングの IQVIA によると小野薬品工業のがん免疫薬「オプジーボ」の 1 つだけだ。 日本は植物や動物などが持つ化合物を化学的に改変し、合成した低分子薬を得意としてきた。 職人気質の研究者が地道に改良を重ね開発につなげる。 ノーベル化学賞は 8 人の受賞者を輩出する。

21 世紀に入り主流は低分子薬からバイオ創薬に移った。 病気の原因の分子に固く結びつく抗体医薬は効果が強い。 がんや自己免疫疾患などが治療できるようになった。 薬価は高く、年 1,000 万円を超える抗体医薬も珍しくない。 低分子薬にたけていた日本企業はバイオ創薬に出遅れた。 巻き返しは簡単でない。

バイオ創薬は幅広く、高度な技術が必要。 資金も必要となるが、日本企業の研究開発費は欧米企業に比べ少ない。 QUICK・ファクトセットで大手製薬の 5 年分の研究開発費が、次の 5 年の研究開発費と EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)をどれだけ増やしたかによって、各社の研究開発の効率の高さをみると、上位 20 社のうち日本企業は 2 社にとどまる。 コロナ治療薬の「レムデシビル」を実用化した米ギリアド・サイエンシズは 5 年前の 8 倍以上を次の 5 年間で稼いだ。 バイオ創薬に強みを持つ米アッヴィや米バイオジェンも 5 倍を超えている。 日本企業は額、効率ともに見劣る。

創薬の難易度が増し、産学連携も重要になる。 欧米は大学の先端的な研究成果を基にスタートアップが起業。 初期の臨床試験(治験)を経て大手製薬企業が買収し、実用化につなげる例が多い。 投資家が資金を支えて、好循環につながっている。 日本は投資家層が薄く、橋渡しを担うスタートアップが育たない。 IQVIA によると、20 年の日本の医薬品市場規模は 10 兆 3,717 億円。 バイオ創薬が中心となり、高額な医薬品を輸入に頼るようになれば貿易赤字は一段と膨らむ。

日本は新型コロナワクチンの承認が遅れ、米国の緊急使用といった承認や、治験でのデータ活用に課題を残した。 企業が再編によって資金力を高めるだけでなく、国として創薬をしやすい仕組みを整えなければ、日本の医療制度自体を揺るがしかねない。 (草塩拓郎、山田航平)

バイオ創薬とは がんなどの原因狙い撃ち

細胞や遺伝子を改変し医薬品を造る技術。 がんや病気の原因になる分子を狙い撃ちにする「抗体医薬」などの高機能な治療薬を造れる。 2000 年代にヒトのゲノム(全遺伝情報)が解読され、その後に一人ひとりの遺伝情報を高速で読み取る機器が普及すると、バイオ創薬が盛んになった。 20 世紀末まで主流だった低分子薬に比べて副作用が小さく、高い効果が期待できる。 一方で生産コストが高く、新薬の開発にも多様な技術が必要になる。 14 年に日本で登場した小野薬品工業の画期的ながん免疫薬「オプジーボ」は当初、年間の費用が 3,500 万円に達し、高額との批判を浴びた。

英調査会社のエバリュエートによると、26 年のバイオ医薬品の世界の売上高は 5,050 億ドル(約 57 兆円)と、20 年に比べて 78% 増える見通し。 全医薬品に占める比率も 35% と、20 年比で 5 ポイント高まる。 高価なバイオ医薬品の普及が進むなか、今後は医薬品の費用対効果を適正に算定し、高額な医薬品に対する国の保険給付を慎重に行うなどの工夫も求められそうだ。 (nikkei = 12-12-21)

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