月まであと 5 キロ HAKUTO-R 船、時速 360 キロ以上で衝突か 民間による月探査計画「HAKUTO-R」を進める日本の宇宙ベンチャー「ispace (アイスペース)」は 26 日、着陸船は月面までの高度約 5 キロまで正常に降下したが、最終的に時速 360 キロ以上でぶつかったとみられると発表した。飛行の途中、月面の崖の上空を通過時に高度測定の誤りが生じたという。 同社によると、着陸船は、4 月 26 日未明、月の「氷の海」と呼ばれる地点への着陸寸前に通信が途絶えた。 フライトデータの解析では4 月 26 日午前 0 時 40 分ごろ、高度約 100 キロの位置から降下を始め、約 5 キロまで接近した。しかし、その際の高度を「0 キロ」と誤ったという。その後、1 分間は減速したものの、燃料が尽きて落下。 月面にぶつかる際には時速約 360 キロ以上だったとみられる。 着陸地点から約 15 キロ離れた崖の高度情報の処理で誤りが起きた。 地形の把握に問題があったという。 2024 年に打ち上げ予定の着陸船では、着陸地点付近だけでなく、広い範囲の地形をふまえた設計に改良する。 今回の挑戦で得たことについて、同社の氏家亮・CTO (最高技術責任者)は「フライトに耐えうる設計をできたのは大きい」と説明。 袴田武史代表は「持続性が宇宙事業では重要。 今後のミッションに向けて、技術の成熟度をしっかり上げていく。」と話した。 また米航空宇宙局 (NASA) は、月探査機が撮影した着陸地点付近の画像を発表した。 着陸船が月面に衝突したときにできたとみられる穴(クレーター)や、着陸船の破片とみられる痕跡を少なくとも 4 カ所確認したという。 (玉木祥子、asahi = 5-26-23) ◇ ◇ ◇ 日本企業開発の月着陸船 "落下場所の画像" NASA が公開 先月、日本のベンチャー企業が開発した月着陸船が月面に着陸できずに落下したとみられる場所の画像を NASA = アメリカ航空宇宙局が公開しました。 日本のベンチャー企業「ispace」は、先月、自社が開発した着陸船で、世界初の民間による月面着陸を試みましたが着陸できず、会社は着陸船が月面からの高度を誤って認識し、最終的に月面に落下したと推定されるとしています。 これを受け、NASA は人工衛星を使って着陸船が落下したとみられる場所を月の上空から撮影し、23 日、画像を公開しました。 画像は先月撮影され、着陸を試みた時間の前後で比べると、着陸予定場所近くの少なくとも 4 か所で、白っぽい点や影のように見える部分が新たにできたことがわかります。 NASA はこれらが着陸船の一部か、落下によってできたクレーターの可能性があると分析しています。 また、前後の様子を重ねて比較した画像からは、幅 60 メートルから 80 メートルほどの範囲が周囲と比べて白っぽく変化していることが確認でき、NASA は、落下による影響と見ています。 NASA は、今後、数か月かけてさらに詳しい分析を進めることにしています。 (NHK = 5-24-23) ◇ ◇ ◇ HAKUTO-R 月着陸船 高度計に問題、着地前に燃料尽きた可能性 民間企業で世界初の月着陸をめざす日本の宇宙ベンチャー「ispace (アイスペース)」は 26 日、月探査計画「HAKUTO-R」の着陸船が月面に衝突した可能性が高いと発表した。 着陸の直前に燃料が尽き、減速できなかったとみられるという。 同日午前に記者会見を開き、「めざしていた軟着陸ができなかった」と説明した。 同社の袴田武史代表は会見で「着陸直前まで通信が確立してデータを獲得できていることは非常に大きな成果。 今後のミッションでの月面着陸の成熟度を上げる大きな一歩だと思う」と話した。 今回得た知見を、次回以降のミッションに生かしていくという。 同社によると、着陸船は午前 0 時 40 分ごろ、月まで約 100 キロの位置から降下を始めた。エンジンを逆噴射させて減速しつつ月面に近づいていた。 着陸予定時刻は午前 1 時 40 分だったが、管制室との通信が途切れたという。 着陸を示すデータが管制室に送られてこない状態が続いている。 同社は、燃料の推定残量がなくなっていることや、月面への降下速度が急に上がったことなどを確認したという。 こうした状況から、月面にぶつかるように着地する「ハードランディング」をした可能性が高いとみる。 月までの距離を測るセンサーに問題があり、逆噴射で燃料を使いすぎたために月面に到達する前に燃料が切れたとみられるという。 引き続きデータ解析を続けて、着陸船の詳しい状況を調べる。 着陸船は、昨年 12 月に米フロリダ州から打ち上げられた。 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) やタカラトミーなどが開発した月面探査ロボットや、アラブ首長国連邦の月面探査車など 7 つの荷物を搭載。 着陸船から電力を供給して月面で動かし、集めたデータを着陸船の通信設備で地球に送る計画だった。 (玉木祥子、asahi = 4-26-23) ◇ ◇ ◇ HAKUTO-R、26 日未明に月面へ 「着陸の難しさ例えると …」 日本の宇宙ベンチャー「ispace (アイスペース)」の月探査計画「HAKUTO-R」の着陸船が早ければ 26 日未明に月に降り立つ。 成功すれば、民間企業で世界初の月面着陸となる。 24 日午前、同社は記者会見を開き、CTO (最高技術責任者)の氏家亮さんは「緊張と楽しみが入り交じった状態。 とうとう来たなと実感している。」と話した。 同社の着陸船は昨年 12 月に米国で打ち上げられ、約 4 カ月半かけて月に向かっている。 現在、月まで約 100 キロの距離で月のまわりを時速約 6 千キロで飛んでいる。 26 日午前 0 時 40 分ごろから、エンジンを逆噴射させて減速し、少しずつ月に近づいていき、1 時間ほどかけて降り立つ予定。 月面着陸の難しさについて、氏家さんは「スキーのジャンプ台を滑り、あるところでブレーキをかけて、台の端でピタッと止まるくらい」と例える。 着陸態勢に入ると、減速したり、センサーで月との距離や速度を測定したりするといった、これまでの飛行にない運用が出てくる。 氏家さんは「着陸は 1 回きりのチャンスになる。 緊張感をもってやっていきたい。」と話した。 着陸船には、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) やタカラトミーが開発した月面探査ロボットや、アラブ首長国連邦の月面探査車など計 7 つの荷物を載せている。 着陸船から供給される電力で、探査機などを動かし、月面で得たデータを地球に送ることをめざす。 着陸船は、昨年 12 月、米フロリダ州から打ち上げられた。 少ない燃料で月に向かうため、地球と月と着陸船との間に働く引力などを使って、いったん地球から約 137.6 万キロまで離れてから月に向かう遠回りのルートを飛行してきた。 約 4 カ月半の旅の末、目的地は目の前だ。 氏家さんは「これまで順調に進めてきて、着陸に向けて自信を深めている。 しっかり準備して臨みたい。」と意気込んだ。 (玉木祥子、asahi = 4-24-23) ◇ ◇ ◇ 「HAKUTO-R」、月への旅は折り返し 民間の「最遠飛行」達成 月探査計画「HAKUTO―R」の月着陸船を打ち上げた日本の宇宙ベンチャー「ispace (アイスペース)」は 28 日、地球から約 137.6 万キロに 1 月 20 日に到達したと発表した。 同社によると、民間が運用中の機器として地球から最も遠い地点まで達したとみられるという。 月にたどり着くのは 4 月末の見通しで、トラブルなく飛行できれば世界の民間で初となる月面着陸となりそうだ。 昨年 12 月 11 日に米フロリダ州から米宇宙ベンチャー・スペース X 社のファルコン 9 ロケットで打ち上げられた月着陸船は、ロケットから分離直後、姿勢や通信状態が不安定になったが、推進剤を追加で使うなどして約 3 時間後に回復したという。 省エネのため、いったん遠く離れてから戻って月に向かうルートを選んだ。 今のところ、地球から約 80 万キロの地点を航行しているという。 アイスペースは今回のミッションに続き、2024 年に「ミッション 2」、25 年に「ミッション 3」として月着陸船を打ち上げる予定。 ミッション 2 では、空調設備会社「高砂熱学工業」の月面用水電解装置やバイオベンチャー「ユーグレナ」が開発する食料生産モジュールなどを輸送するという。 アイスペースの袴田武史代表は「トラブルに対して試行錯誤してリカバリーしてきた。 これまでの成果をミッション 2、3 へつなげていきたい。」と話した。 (玉木祥子、asahi = 2-28-23) ◇ ◇ ◇ 月面着陸船打ち上げ成功 東京のベンチャー、民間初の月を目指す 宇宙ベンチャー「ispace (アイスペース、東京都)」は 11 日、独自開発した月着陸船を米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から米スペース X のファルコン 9 ロケットで打ち上げた。 着陸船は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。 月面への到着は約 5 カ月先で、成功すれば日本初かつ世界初の民間による月面着陸になる可能性がある。 着陸船が目指すのは、月の表側にある「氷の海」と呼ばれる場所だ。 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) とタカラトミーが開発した探査ロボット「SORA-Q」や、アラブ首長国連邦の月面探査車などを搭載。 探査ロボは大ヒットしたタカラトミーの変形ロボ「トランスフォーマー」から着想しており、月面に降りて撮影し、画像データを地球に送る。 アイスペースは、宇宙で採取した物質の所有権を民間企業などに認める「宇宙資源法」に基づく初の許可を 11 月に受けた。 着陸船が撮影した月の砂の所有権を米航空宇宙局 (NASA) に移転し、世界初の月資源の商取引を目指すという。 当初は 11 月 28 日に打ち上げる予定だったが、ロケットの点検で延期していた。 日本の月面探査では、国際月探査「アルテミス計画」の第 1 弾で同 16 日に打ち上げた米国の大型ロケットに搭載された JAXA の探査機「オモテナシ」が、日本初の月面着陸を目指したが断念した。 JAXA は 2023 年度にも月面のピンポイント着陸を目指す探査機「SLIM (スリム)」の打ち上げを予定しているが、アイスペースの着陸が先になる可能性がある。 民間の月着陸を巡っては、19 年にイスラエルの探査機が世界初を目指すも失敗。 米企業も今後、月着陸船の打ち上げを予定しており、どちらが先になるかは「わからない(アイスペース)」という。 (垂水友里香、mainichi = 12-11-22) ◇ ◇ ◇ HAKUTO-R の月着陸船、11 日に打ち上げ 民間初の月探査計画 民間初の月探査計画「HAKUTO-R」を進める日本の宇宙ベンチャー「ispace (アイスペース)」は、月着陸船の打ち上げを 11 日午後 4 時 38 分(米東部時間同日午前 2 時 38 分)に実施すると発表した。 打ち上げるロケットの点検作業が必要となり、打ち上げが延期になっていた。 当初の予定通り、来年 4 月末ごろの月着陸をめざす。 月着陸船は、米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から米宇宙ベンチャー・スペース X 社のファルコン 9 ロケットで打ち上げられる。 11 月 28 日を予定していたが悪天候による他社の打ち上げ延期や、ロケットの追加点検のため、延期が続いていた。 (玉木祥子、asahi = 12-7-22) ◇ ◇ ◇ HAKUTO-R の民間月着陸船、最短で 11 月に打ち上げへ 民間初の月探査計画「HAKUTO-R」を進めている日本の宇宙ベンチャー「ispace (アイスペース)」は 20 日、月着陸船を最短で今年 11 月にも打ち上げると発表した。 宇宙環境に耐えられるかを確認する最終的な試験を終えたら、米フロリダ州から打ち上げる予定だ。 アラブ首長国連邦 (UAE) や宇宙航空研究開発機構 (JAXA) などが開発した月面探査機を搭載。 月面に着陸し、探査機を降下させ、月への物資輸送技術の確立などをめざす。 袴田武史代表は「民間宇宙開発の歴史的転換点になると信じている」とのコメントを発表した。 (玉木祥子、asahi = 7-20-22) ◇ ◇ ◇ 民間初の月着陸計画「HAKUTO-R」、今年末に打ち上げへ 民間初の月探査計画「HAKUTO-R」を進めている日本の宇宙ベンチャー「ispace (アイスペース)」は 25 日、月着陸船を今年末に米国から打ち上げると発表した。 アラブ首長国連邦 (UAE) や宇宙航空研究開発機構 (JAXA) などが開発した月面探査機を搭載。 数カ月後に月面に着陸し、探査機を降下させる計画だ。 発表では、ドイツでの組み立ては最終段階。 今後、宇宙環境に耐えられるかを試験し、その後、米フロリダに輸送する。 袴田武史代表は「いよいよ打ち上げの年。 困難もあったが、今は順調に進んでいる。」と話した。 元飛行士の毛利衛さんは対談で、「民間での月着陸は世界で一番乗りになる。 ぜひ成功してほしい。」と応援した。 一方、アイスペースが開発する月探査車を月で走らせる第 2 弾の打ち上げについては、2023 年の予定から 1 年後ろ倒しにすることも発表された。 (小川詩織、asahi = 1-25-22) H2A ロケット 46 号機、打ち上げ成功 情報収集衛星を軌道に投入 H2A ロケット 46 号機が 26 日午前 10 時 50 分ごろ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。 政府の情報収集衛星のレーダー 7 号機を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。 H2A の打ち上げ成功は 40 機連続。 情報収集衛星は安全保障に関する情報収集や、大規模災害時の状況把握をする。 現在、夜間や曇天でも地上を撮影できるレーダー衛星など計 9 機(予備機を含む)が運用中で、政府は 10 機体制の確立をめざしている。 レーダー 7 号機は、設計寿命の 5 年を迎えたレーダー 5 号機の後継機。 当初の打ち上げは 25 日の予定だったが、寒波による悪天候で 1 日延期されていた。 (玉木祥子、asahi = 1-26-22) 日本の小型探査機「エクレウス」初期運用フェーズ終了 月の裏側で撮影した画像も公開 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 11 月 26 日(日本時間・以下同様)、小型探査機「EQUULEUS (エクレウス)」の初期運用フェーズが終了したと発表しました。 EQUULEUS は東京大学を中心に JAXA や日本大学などが協働して開発した探査機です。 大きさは靴箱くらい(約 10 x 20 x 30cm、CubeSat 規格の 6U サイズ)、重量は 10.5kg という小型・軽量の探査機ながらも、気化させた水を噴射することで推力を得る水レジストジェット「AQUARIUS (アクエリアス)」を推進システムとして搭載しており、地球 - 月系のラグランジュ点 L2 (EML2、地球からの距離約 45 万km)まで飛行する計画です。 2022 年 11 月 16 日、EQUULEUS は新型宇宙船「Orion」や 9 機の小型探査機とともに、アメリカ航空宇宙局 (NASA) の「アルテミス 1」ミッションで新型ロケット「SLS (スペースローンチシステム)」初号機に相乗りして打ち上げられ、月へ向かう軌道に投入されました。 JAXA によると、11 月 18 日に行われた第 1 回軌道遷移 (DV1) で地球 - 月系に留まる軌道へ入った EQUULEUS は、11 月 25 日に月フライバイを実施。 一連の軌道制御と月フライバイの結果、EML2 に向かう所定の軌道に投入されたことが確認されました。 水を推進剤に利用する推進システムで軌道制御に成功したのは、地球低軌道よりも遠い領域では EQUULEUS が世界初とされています。 また、月フライバイ中には月の裏側表面の撮影が行われており、EQUULEUS の運用チームからは高度 5,550km で撮影された昼夜の境界線(明暗境界線)などの画像が公開されています。 今後の EQUULEUS は初期運用フェーズから定常運用フェーズに移行し、約 1 年半かけてEML2 に向かう予定とのことです。 (sorae = 11-28-22) 小型探査機オモテナシ、通信安定せず月着陸を断念 「日本初」ならず 再び人類を月に送るアルテミス計画の第 1 弾で米国の新型ロケット SLS によって宇宙船オリオンとともに 16 日夕(日本時間)に打ち上げられた日本の探査機「OMOTENASHI (オモテナシ)」について、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 22 日、月面への着陸を断念したことを明らかにした。 地球との通信が不安定な状況が続いており、状況が把握できないためという。 月着陸に成功すれば、日本初の月面着陸機となり、旧ソ連、米国、中国に続く 4 例目になるはずだった。 JAXA によると、オモテナシは 37 x 24 x 11 センチメートルの小包サイズの探査機。 SLS から分離後に太陽光パネルが付いている面が太陽を向いておらず、想定の 8 倍もの速度で高速回転している状況という。 姿勢を制御させる信号を送ったが、バッテリーの電力が低下しており、うまく機能したか分からないという。 月面着陸の予定は 21 日深夜から 22 日未明だったが、通信が改善されず探査機の詳しい状況を把握できないため、着陸はできないと判断したという。 SLS には計 10 機の探査機が搭載され、このうち 2 機が日本の探査機。 もう一つの日本の探査機で、JAXA と東京大が開発した「EQUULEUS (エクレウス)」は順調に飛行を続けており、約 1 年半かけて、地球と月の重力が釣り合う月の裏側の「ラグランジュ点」と呼ばれる地点へ向かう。 (玉木祥子、asahi = 11-22-22) ◇ ◇ ◇ 通信途絶えた月探査機「オモテナシ」目覚まして … 機器開発の町工場「我が子同然」 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の月探査機「オモテナシ」からの通信が 16 日夜から途絶えている。 21 日夜頃までに復旧しなければ月を通り過ぎ、日本初となる月面着陸は不可能になる。 通信機や着陸技術を担った町工場などの関係者は、祈るような気持ちで回復を願っている。 オモテナシは縦 37 センチ、横 24 センチ、高さ 11 センチで世界最小の月面着陸機。 米国のロケットで 16 日に打ち上げられた後、21 - 22 日、月の赤道付近に降りる予定だった。 だが、打ち上げ後、太陽電池が太陽と反対側を向いたまま、想定の 8 倍の速度で回転していることが判明。バッテリー電圧が低下し、通信が途絶えた。 通信機は、社員 4 人の無線通信機メーカー「アドニクス(東京都)」が開発した。 小型で耐久性の高い通信機の製作に定評があり、これまで 100 個以上を JAXA や大学などに提供してきた。 米アポロ計画の月面着陸を見て宇宙に興味を持った小島要社長 (63) は、「通信機は我が子同然。 目を覚ましてほしい。」と話す。 今後、通信が再開して、月面に到達できたとしても、安心はできない。 事前の軌道修正が十分にできていないため、着陸速度は当初の想定をはるかに上回り、強い衝撃が機体に加わることになるためだ。 頼みの綱は、機体を衝撃から守るアルミ製の部品。 金属部品メーカー「コイワイ(神奈川県)」が 3D プリンターでつくった。 正六角形の微細な隙間が無数にある構造で、衝撃を吸収する。 小岩井修二専務 (65) )は「着陸に挑戦できるよう祈るばかり。 奇跡が起きてほしい。」と話した。 (yomiuri = 11-22-22) イプシロン 6 号機打ち上げ失敗 10 分後に破壊指令、JAXA が調査 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 12 日、小型固体燃料ロケット「イプシロン」 6 号機を午前 9 時 50 分ごろに鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げたが、計画を断念したと明らかにした。 打ち上げから 10 分ほど後に、ロケットを破壊する指令を送ったという。 イプシロンの打ち上げ失敗は初めて。 JAXA は詳しい状況を確認している。 JAXA によると、ロケットの打ち上げ失敗は 2003 年の「H2A」 6 号機以来という。 商業衛星 2 機を含む計 8 機の人工衛星を搭載していた。 JAXA によると、商業衛星が載ったのは今回が初めて。 天候や昼夜に関係なくレーダーで地表を観測する衛星で、福岡市のベンチャー企業が開発した。 このほか、地上との通信容量の拡大に向けた技術実証をする衛星や、早稲田大が金属 3D プリンターでつくった衛星など。 イプシロン 6 号機は全長 26 メートル、重さ約 96 トン。 当初、10 月 7 日の打ち上げ予定だったが、ロケットの位置を把握する測位衛星の位置に問題があり、ロケットの飛行を把握するのが困難になるおそれがあったため、延期していた。 (玉木祥子、asahi = 10-12-22) ◇ ◇ ◇ イプシロン 6 号機、商業衛星初めて搭載 10 月 7 日に打ち上げへ 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 8 日、小型固体燃料ロケット「イプシロン」 6 号機を 10 月 7 日午前に鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げると発表した。 福岡市のベンチャー企業が開発した 2 基を含む人工衛星 8 基を載せる予定。 商業衛星を載せての打ち上げは初めてで、宇宙ビジネスの拡大につながると期待される。 イプシロンは、小型の人工衛星を低コストで打ち上げるために JAXA が開発したロケットで、扱いやすく短時間で発射できる固体燃料を使う。 大きさは全長 26 メートル、重さ 95.6 トン。 これまでに 5 機の打ち上げに成功している。 商業衛星は、福岡市のベンチャー企業「QPS 研究所」が開発し、天候や昼夜に関係なくレーダーで地表を観測する「QPS-SAR」衛星 2 基。 ほかに、衛星と地上の通信容量の拡大に向けた技術実証などをする衛星「RAISE-3」や、早稲田大が金属 3D プリンターでつくった衛星なども搭載される。 (玉木祥子、asahi = 8-8-22) JAXA、観測ロケット「S520」の打ち上げに成功 … 電波乱す現象解明へ 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 12 日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から観測ロケット「S520」 32 号機の打ち上げに成功し、予定通りのデータを取得したと発表した。 全地球測位システム (GPS) などの電波を乱す「擾乱」と呼ばれる現象の解明が目的。 11 日午後 11 時 20 分に打ち上げられ、高度 280 キロまでの大気中の電子密度などのデータを取得後、同観測所の南東約 500 キロの海域に落下した。 記者会見した JAXA 宇宙科学研究所の阿部琢美准教授は「データを詳細に解析し、現象の解明に近づきたい」と話した。 (yomiuri = 8-12-22) 観測ロケット打ち上げ 極超音速機エンジン飛行試験 - 防衛装備庁の受託研究・JAXA 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 24 日午前 5 時、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で、観測ロケット「S-520」 RD1 号機を打ち上げた。 RD1 号機は正常に飛行し、打ち上げは成功した。 同機は、音速(マッハ 1)の 5 倍以上で飛ぶ極超音速旅客機の実現に必要な空気吸い込みエンジン(スクラムジェットエンジン)の試験用機材を搭載。 超音速で飛行しながら燃焼試験を行い、開発に必要なデータを取得した。 JAXA の谷香一郎超音速燃焼飛行試験チーム長は記者会見で「一定の成功を収められた」とコメント。 「今度は(試験用ではなく)本当のエンジンとして機能するものを造り、飛行実験したい」と語った。 スクラムジェットエンジンは、燃焼に必要な酸素を超音速飛行中に空気から取り入れる。通常のロケットエンジンのように液体酸素を搭載する必要がなく、極超音速旅客機や宇宙と往復するスペースプレーンなどの基盤技術として期待されている。 RD1 号機は全長 9.15 メートル。 高度約 170 キロに到達後、最上段の試験用機材を分離。 降下しながら速度を上げ、高度約 30 キロでマッハ 5.5 に到達し、数秒間エンジンの燃焼試験を行った。 飛行中の燃焼データを、地上の風洞試験やシミュレーションの精度向上に役立てる。 スクラムジェットエンジンはミサイルの長射程化や弾頭の小型化につながる利点があり、各国が開発を進めている。 今回の燃焼試験は、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」による受託研究の一環で、同庁が研究費約 18 億円を提供。得られたデータを極超音速誘導弾などの開発に生かすことを期待している。 (jiji = 7-24-22) JAXA とインターステラが共創で獲得したい小型ロケットエンジン技術 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は、宇宙ベンチャーのインターステラテクノロジズ(北海道大樹町、稲川貴大社長)と小型ロケット用エンジンシステム技術の研究開発に関する共創活動を始めた。 同社が開発中の軌道投入ロケット「ZERO (ゼロ)」のエンジン開発に同技術を応用し、早期での実機打ち上げを目指す。 宇宙ベンチャーの技術開発の促進につながると期待される。 JAXA と同社は、これまでにロケットエンジンの主要要素である噴射器や燃焼室、ターボポンプの開発を進めてきた。 今回は JAXA と同社がそれぞれロケットエンジンを設計し、JAXA の施設で試験などを実施する。 成果を共有することで広範囲の試験データを効率良く得られ、低コストで実用的なエンジンシステム技術を獲得できると見込んでいる。 同社は同技術をゼロの開発に応用して、早期の実機打ち上げを目指す。 JAXA は民間宇宙輸送サービス事業や将来宇宙輸送系に適用する。 (NewSwitch = 3-7-22) H2A ロケット 45 号機打ち上げ成功 英国の通信衛星を予定の軌道に 三菱重工業は 23 日午前 0 時半過ぎ、H2A ロケット 45 号機を鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げた。 約 30 分後、英国の通信衛星を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。 今回の打ち上げ直前、追加で確認しなければならない状況が発生したため、三菱重工は打ち上げを約 1 時間遅らせた。 H2A は 2023 年度に退役する見通しで、来年には後継となる H3 ロケットの初打ち上げが計画されている。 (小川詩織、asahi = 12-23-21) イプシロンロケット 5 号機打ち上げ 新技術試す衛星など 9 機搭載 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 9 日午前 10 時前、新技術を試す小型衛星など 9 機を載せた固体燃料ロケット「イプシロン」 5 号機を鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。 約 1 時間かけて 9 機を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。 9 機は、3D プリンターで作ったアンテナなどを試す「RAISE-2」や、高専 10 校が開発し、木星の電波を受信するアンテナの展開実験をする「KOSEN-1」、宇宙ごみの捕獲実験をする川崎重工業の「DRUMS」など。 イプシロン 5 号機は全長 26 メートル、直径 2.6 メートル、重さ 96 トンで、打ち上げ費用は 58 億円。 当初、10 月 1 日の打ち上げ予定だったが、地上レーダーの不具合や悪天候のため 3 回延期になっていた。 (小川詩織、asahi = 11-9-21) ◇ ◇ ◇ イプシロンロケット緊急停止はレーダーの不具合 H2A に影響も 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 1 日、小型固体燃料ロケット「イプシロン」 5 号機の打ち上げを延期した。 午前 9 時 51 分に鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げる予定だったが、ロケットの位置や速度を測る移動式レーダーの時刻表示がずれていることがわかり、予定時刻の 19 秒前にカウントダウンが緊急停止した。 新たな打ち上げ予定は未定。 説明では、先月実施したリハーサルでは異常はなかったという。 このレーダーは H2A ロケットの打ち上げでも使うため、原因究明や対策が長引けば、下旬に予定されている H2A 44 号機の打ち上げにも影響する可能性がある。 イプシロンロケット本体や搭載している衛星に問題はなかった。 イプシロン 5 号機は全長 26 メートル、直径 2.6 メートル、重さ 96 トン。3D プリンターで作ったアンテナなど新しい技術を確認する小型実証衛星 2 号機 (RAISE-2) や、木星の電波を受信するアンテナの展開実験をするため全国の高専 10 校が共同開発した「KOSEN-1」、宇宙ごみの捕獲実験をする川崎重工業の「DRUMS」など 9 機の衛星を搭載。 高度約 580 キロの軌道に投入する計画で、打ち上げ費用は 58 億円という。 (小川詩織、asahi = 10-1-21) 日本版 GPS 搭載、H2A ロケット打ち上げ 位置情報の精度向上へ H2A ロケット 44 号機が 26 日午前 11 時 20 分ごろ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。 日本版 GPS とも言われる準天頂衛星「みちびき」を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。 当初は 25 日の予定だったが、悪天候の予想で延期になっていた。 みちびきは、米国の GPS を補う信号を出す測位衛星。 GPS と一体で運用することで、山間部やビルの谷間で電波が遮られて生じるスマートフォンなどの機器の位置情報のずれを抑える。 2010 年に打ち上げられた初号機が設計寿命を迎えることから、代替機を打ち上げた。 国は、カーナビやスマートフォンなどの位置情報の精度向上を目指し、今後さらに 3 機を打ち上げて 23 年度に 7 機体制にする方針だ。 また、H2A は 23 年度に退役する見通しで、今年度には後継となる H3 の初打ち上げが計画されている。 (小川詩織、asahi = 10-26-21) 木造人工衛星、2023 年打ち上げ目指す 近く宇宙空間で木材試験 京都大学と住友林業は、木材を機体に使った木造人工衛星の打ち上げを 2023 年に目指す。 近く、宇宙空間での木材の劣化の状態を調べるため、国際宇宙ステーション (ISS) で実験をする。 将来的には商業衛星に木造人工衛星の技術を売り込みたい考えだ。 京都大学のチームによれば、木造の人工衛星が打ち上がれば世界初。 今回打ち上げを目指している人工衛星は、半導体の基板はシリコンや金属、プラスチックなどでできているが、1 辺 10 - 11 センチ余りの大きさの機体は木材で作る。 高度 100 キロ相当にあたる気圧の低い環境を実験室で作り、ホオノキやヒノキ、スギなどを約 3 年間置いても、劣化は確認できなかった。 実際に宇宙空間で受ける影響を調べる実験を今年度中に始める。 硬さの異なるホオノキ、ヤマザクラ、ダケカンバの 3 種を、ISS の船外で半年間、宇宙空間にさらす計画だ。 原子状酸素や宇宙線によって、木材の表面がどの程度消失するかや、強度がどう変化するかなどを評価する。 こうした実験の背景には、宇宙の「環境問題」がある。 現状、人工衛星の機体本体は、主にアルミニウムでできている。 運用が終わったら、他の衛星のじゃまにならないよう大気圏に突入させて燃えるよう設計されている。 だが、燃えた後も数マイクロメートルほどの極めて小さい酸化アルミニウムの粒子が残る。 一つ一つは小さくても、大きな速度で打ち上がるロケットが衝突すると、機体の損傷につながりかねない。 さらに、地球への影響も懸念されている。 宇宙飛行士で、チームの土井隆雄・京都大学大学院総合生存学館特定教授は「粒子が増えると太陽光を反射し、地球の気候が極端に暑いところと寒いところが出るなど異常気象にも影響する恐れがある」と話す。 (神田明美、asahi = 9-10-21) はやぶさ 2 持ち帰った砂に大量の有機物 生命の解明期待 小惑星探査機「はやぶさ 2」が地球に持ち帰った小惑星の砂に、大量の水をつくるのに十分な量の水素原子と、生命の材料になる有機物の分子が確認された。 砂の本格的な分析が始まるのを前に、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が 17 日に開いた会見で、岡山大の中村栄三特任教授が初期分析の結果として明らかにした。 生命の材料が宇宙から飛来したという説の解明につながりそうだ。 JAXA は、昨年 12 月にはやぶさ 2 が持ち帰った小惑星「リュウグウ」の砂を大きさや色、形などごとに半年かけてカタログ化してきた。 今後、日米など 14 カ国 269 人の研究者が本格的に分析し、約 1 年かけて詳しい構造や成分などを調べる。 会見で中村さんは、すでに着手した分析の結果を説明。 リュウグウ表面の砂と、はやぶさ 2 が人工クレーターを掘って採取した地下の砂のいずれからも、水分子を構成していたとみられる水素原子が大量に見つかったという。 有機物の分子もあったが、中村さんは「どんな有機物か、具体的な種類については今後の論文で明らかにする」と述べた。 リュウグウは、初代「はやぶさ」が探査した小惑星「イトカワ」と違って、砂に有機物や水が多く含まれていると期待されていた。 はやぶさ 2 が上空から観測した結果からも存在が示唆されていたが、実際に砂を分析して、含まれているのが確認されたのは初めて。 有機物は生命の誕生に欠かせない材料。 もともと地球にあった有機物はマグマに覆われた時代に失われたとされており、我々の材料がどこから来たのかは謎に包まれている。 (小川詩織、asahi = 6-17-21) ◇ ◇ ◇ 1 センチ近い石も大量に採取 はやぶさ 2 探査機「はやぶさ 2」が小惑星リュウグウで最大 1 センチ近くの石も採取していたことが分かった。 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) が 24 日、発表した。 地下の物質採取に挑んだ 2 回目の着地時の試料を確認して判明した。 2 回目の着地で採取した試料を入れる容器を 21 日、開封したところ、1 センチ近い黒い石が大量に入っていた。 既に判明している 1 回目の着地時の試料が数ミリだったのと比べ、明らかに大きいという。 2 回目の着地では、地下の物質を露出させるため人工クレーターを作製した。 画像の分析から、作製した場所の岩盤は硬かったとみられ、そのため大きな破片が生じた可能性があるとみている。 採取した試料が地下の物質かどうかは今後、詳しく分析する。 試料容器には、アルミニウムの金属片のような人工物とみられる物質も混ざっていた。 着地時や試料採取時に、機体から外れるなどした部品の可能性があり、想定の範囲内で試料への影響はないとみている。 (sankei = 12-24-20) ◇ ◇ ◇ はやぶさ2のカプセルに、リュウグウ由来の粒子を確認 ![]() 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 12 月 14 日、小惑星探査機「はやぶさ 2」から切り離されて地球に戻ってきたカプセル内に、小惑星リュウグウ由来のサンプルを確認したと発表した。 スコープカメラで撮影したサンプルコンテナ内部の写真も公開した。 カプセルは 12 月 6 日に豪州で回収。 8 日に JAXA 相模原キャンパス(神奈川県)に搬入され、サンプルコンテナの開封作業を行ったところ、14 日、サンプルコンテナ内部にリュウグウ由来とみられる黒い砂粒状のサンプルを確認できた。 これは、サンプルが格納される容器「サンプルキャッチャー」の入り口に付着していた粒子と考えられるという。 JAXA は引き続き、サンプルキャッチャーを開封し、サンプルの取り出しと分析を行っていく。 (ITmedia = 12-15-20) ◇ ◇ ◇ はやぶさ 2 のカプセルを発見 JAXA、朝に回収作業へ 小惑星探査機「はやぶさ 2」が採取した小惑星の砂が入っているとみられるカプセルが 6 日午前 2 時半ごろ、豪州の上空で大気圏に再突入した。 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は午前 5 時前、ヘリコプターによる捜索でカプセルを発見したと発表した。 月より遠い天体に着陸した探査機が帰還するのは 2010 年の初代はやぶさ以来 2 例目。 特に今回の小惑星「リュウグウ」の砂には、炭素や窒素といった生命の材料になる有機物が豊富に含まれているとみられ、生命の起源の謎に迫れると期待される。 JAXA によると、カプセルは 5 日に地球まで約 22 万キロの距離ではやぶさ2から切り離され、予定通りの時刻に豪州上空で大気圏に突入した。 回収班がカプセルの光跡や落下時に発する電波から着地点を推測し、ヘリコプターで周辺を捜索した結果、午前 4 時 50 分ごろに着陸しているカプセルを発見したという。 JAXA は 6 日朝から回収作業に入る。 カプセルの回収に成功すれば、有機物から出たガスをすぐさま回収するため、現地で採取作業がある。 その後、チャーター機で日本へ空輸され、相模原市の JAXA 宇宙科学研究所で分析に入る。 (小川詩織、asahi = 12-6-20) ◇ ◇ ◇ はやぶさ 2、カプセルの分離成功 6 日未明に大気圏突入 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は 5 日、小惑星探査機「はやぶさ 2」が午後 2 時半ごろにカプセルの分離に成功したと発表した。 カプセルは日本時間 6 日午前 2 時半ごろに豪州上空で大気圏に突入し、パラシュートを開いてゆっくりと着地する。 落下地点が確認できれば、6 日昼にも回収できる見通しだ。 一方、はやぶさ 2 は午後 4 時半ごろ、地球にぶつかる軌道から離脱した。 別の小惑星へ追加探査の旅へ向かう。 JAXA 宇宙科学研究所によると、分離時、はやぶさ 2 がカプセルをゆっくりと前方に押し出したことで、はやぶさ 2 の速度がわずかに遅くなり、姿勢も変化したのを管制室で確認した。 津田雄一プロジェクトマネージャが分離成功を宣言し、管制室では拍手が起こった。 地球までの距離は、月の軌道の 6 割ほどにあたる約 22 万キロ。 カプセルはこれから半日かけて地球に近づく。 久保田孝教授は「今まで一つ一つ積み重ねた集大成。 完璧なミッションでホッとした。」と話した。 はやぶさ 2 の総事業費は 289 億円。 10 年前に、小惑星「イトカワ」の砂を持ち帰った初代はやぶさの後継機として、2014 年に打ち上げられた。 炭素など有機物が豊富とされる小惑星「リュウグウ」の砂を持ち帰り、地球の有機物と比べることで、生命の材料が宇宙から来たのではないかという説を確かめる。 (小川詩織、asahi = 12-5-20) ◇ ◇ ◇ はやぶさ 2、なお残る「探査機ごと再突入」の可能性 小惑星探査機「はやぶさ 2」が 6 日、小惑星「リュウグウ」の砂が入っているとみられるカプセルを地球へ帰還させる。 初代はやぶさが豪州の夜空で燃え尽きてから 10 年。 6 年 50 億キロの旅は最終盤を迎えている。 カプセルが着陸する豪州ウーメラでは、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の回収班が準備を進めている。 地球への軌道変更に成功、あとは分離待つのみ JAXA は 11 月 30 日、はやぶさ 2 が地球に向けた軌道変更に成功したと発表した。 それまでは地表から 290 キロの上空を通過する軌道にいたが、26 日夕に化学エンジンを 4 回噴射し、地球の大気圏に再突入する軌道に乗ったという。 小惑星「リュウグウ」の砂が入っているとみられるカプセルはこれで、地球に帰還できることが確実になった。 今後の最大局面は、カプセルのはやぶさ2からの分離だ。 カプセルは 12 月 5 日午後 2 時半ごろ、地球まで約 22 万キロの距離で切り離される。 狙うのは豪州の約 100 キロ四方の砂漠地帯だ。 いったん分離したらカプセル自身が軌道を修正することはできないため、分離する際のはやぶさ 2 の姿勢やカプセルを放り出す方向の精度が極めて重要となる。 予定では、はやぶさ 2 はカプセルを分離すると、約 1 時間後には化学エンジンを噴射して再突入する軌道を離れる。 初代はやぶさは傷だらけで帰還したため、カプセルとともに再突入して燃え尽きたが、はやぶさ 2 は次の小惑星へ追加探査の旅に出る予定だ。 万が一の時は探査機もろとも再突入 だが、万が一、カプセルの分離が確認できなかったらどうなるのか。 津田雄一プロジェクトマネージャは「カプセルを地球に戻すことが一番の優先順位。 そのときは、探査機ごと大気圏に再突入させることになる。」と明かす。 分離が成功すれば、はやぶさ 2 の速度がわずかに遅くなり、姿勢も変化するはずだ。 管制室は、その微妙な変化を 1 時間以内に捉え、化学エンジンを噴射するかどうか判断しないといけない。 確認が遅くなれば、地球の重力から逃れられなくなる。 津田さんは「限られた時間で判断することになる。 もう一度気を引き締めたい。」と語った。 豪州ウーメラの砂漠地帯では、JAXA のカプセル回収班が準備中だ。 発表では、カプセルは 6 日午前 2 時 28 分ごろ、秒速 12 キロの速さで大気圏に再突入する。 空気を押しつぶして高温になり、光を放つ。 その後、高度 10 キロでパラシュートを開き、ゆっくり落下しながら位置を知らせる電波も出す予定だ。 超小型人工衛星、21 日に ISS へ 筑波大発ベンチャー 世界初となる宇宙空間での光通信ネットワーク事業を目指す筑波大発のベンチャー企業「ワープスペース(茨城県つくば市)」は 17 日、開発した超小型人工衛星を国際宇宙ステーション (ISS) に向けて 21 日に打ち上げると発表した。 つくば市内で記者会見した常間地(つねまち)悟 CEO によると、米ノースロップ・グラマン社の補給船「シグナス」に載せ、米バージニア州のワロップス島から打ち上げる。 ISS には野口聡一飛行士が滞在中で、時期は未定なものの数カ月以内をめどに宇宙空間に放出してもらう。 軌道投入されれば、県内の民間企業としては初めてとなる。 超小型人工衛星は最長で 2 年間地球を回りながら、電波や放射線の環境などを調べる実証実験を行う。 同社は、地上 500 - 800 キロメートルを周回する数多くの観測・気象衛星が、低軌道のため一日に短時間しか地上と交信できていない点に着目。 高度 1 万キロメートルに中継衛星を複数打ち上げてネットワークをつくり、衛星事業者向けに、24 時間高速な通信を提供するサービスを計画する。 中継衛星は 2022 年末に打ち上げる。 常間地 CEO は「民間が参入して盛り上がる宇宙ビジネスは今後飛躍的に発展する。 今回の実証実験をステップにして、通信インフラの分野で地歩を築きたい。」と話した。 (庄司直樹、asahi = 2-18-21) レーダー、AI 無人機 … 回収作戦は準備 OK 回収班はまず、カプセルが上空を飛ぶ際の光跡を地上のカメラで撮影し、着陸地点を予測する。 この光学観測には、米航空宇宙局 (NASA) の航空機 2 機も上空から協力する。 パラシュートが開き、電波が出ると、落下エリアを囲むように配置した5局のアンテナで電波を受け、位置を絞り込む。 ただ、当日が曇りや雨だったら、カプセルの光跡は見えなくなってしまう。 何らかの問題で、電波が発信できない可能性もある。 そこで、回収班は今回、船舶用のレーダーを準備。 レーダーから電波を出してカプセルに反射させ、カプセルが電波を出せなくても方向や距離を割り出す計画だ。 さらに、地上に落ちたカプセルを上空から人工知能 (AI) で探せる無人航空機も初めて投入した。 現地で回収を指揮する JAXA 宇宙科学研究所(宇宙研)の藤本正樹副所長は「悪天候でも、電波が出なくても、回収できるようしっかり準備を進めたい」と話す。 リュウグウの砂には有機物が含まれている可能性があり、有機物からガスが出ている可能性がある。 カプセルは初代のものより密閉性を高めているが、ガスはできるだけ早いタイミングで採取する方針だ。 その後、カプセルは専用の輸送容器に入れられ、チャーター機で日本に向けて飛び立つ。 羽田空港に到着後、神奈川県相模原市にある宇宙研に運ばれて本格的な分析に入る予定だ。 沢田弘崇・主任研究開発員は「ガスや砂を分析して、みなさんに明るい話題を報告したい」と意気込む。 (石倉徹也、小川詩織、asahi = 12-2-20) H2A ロケット 43 号機打ち上げ成功 データ中継衛星を分離 種子島宇宙センター 29 日午後 4 時 25 分、南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げられた政府の情報収集衛星「データ中継衛星」を搭載した H2A ロケット 43 号機は、約 30 分後、予定の軌道で衛星を分離した。 打ち上げから約 2 時間後、三菱重工などは打ち上げは成功した、と発表した。 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の光データ中継衛星も搭載している。 (南日本新聞 = 11-29-20) 観測衛星「いぶき」大気圏で焼却 宇宙ごみ対策で環境省 環境省は 15 日、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」が運用終了後に宇宙ごみとなるのを防ぐため、大気圏に再突入させて焼却するとした対策案をまとめた。 小泉進次郎環境相が井上信治宇宙政策担当相に面会して伝えた。 2009 年に打ち上げたいぶきは 5 年の耐用年数を超過。 運用終了時期は未定だが、急な故障で宇宙ごみになることが懸念されており、省内で対応を検討していた。 対策案は、運用終了後間もなく再突入させるケースと、自然落下する軌道まで 25 年以内に落とすケースを明示。 今後、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) などと協議し、どの方法にするか詰める。 (kyodo = 10-15-20) |