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パソナ元社員の個人営業、国に衝撃「とんでもない事案」 危うさ露呈 人材派遣大手パソナの元派遣社員が在職中、企業の補助金申請を有料で支援する営業活動をしていた問題は、本来国が担うべき基金事業の業務を企業に委託する危うさを露呈させた。 いまの法制度や企業への委託契約では、基金事業の公正性・中立性が担保できておらず、政府は早急な見直しが求められる。 この不祥事が表沙汰になると、補助金を所管する経済産業省に衝撃が走った。 補助金が採択された事業者の約 11 万人分の個人情報が、この社員によって流出した可能性があるからだけではない。 より深刻なのは、補助金の書類をチェックする事務局の社員が、申請を支援する「副業」で、個人的な利益を得ようとしていたことだった。 ある幹部は、「補助金の公正性に疑念を持たれても仕方ない。 とんでもない事案だ。」と、つぶやく。 現時点で、この社員が実際に副業で収入を得ていたかはわかっていない。 だが、営業活動をしていた事実は重い。 公金を使って特定の個人や企業を支援する補助金は、中央省庁や独立行政法人など公的な機関が配るのが一般的だ。 だが、コロナ下で膨れあがった予算を行政機関だけではさばききれず、審査を含む業務の大半を企業に委ねる事例が続出している。 主要業務を企業に委託した基金事業は、昨年度 2 次補正予算に計上された分だけで 8 事業にのぼる。 うち 7 事業が経産省の関連事業だった。 今回の舞台になった「事業再構築補助金」もその一つだ。 お金をためておく基金は独法の中小企業基盤整備機構に設置したが、審査などほぼすべての実務をパソナに委託し、2 兆円を超える巨額の補助金の執行を委ねていた。 パソナによると、社員は業務上知り得た情報の目的外利用や漏洩をしない旨の誓約書を提出していたという。 ただ、委託先の企業には、国家公務員法の守秘義務違反や刑法の贈収賄による刑事罰は原則適用されない。 経産省はこれまで、「罰則が適用されなくても、契約によって適正な業務が担保できる」と説明してきたが、今回は契約だけで不正は防げなかった。 基金事業をめぐっては、政府の 11 月の行政事業レビューで、有識者から「政府が責任を持って行うべきだ」など企業任せの運用を疑問視する声が相次いだ。 これを受け、デジタル行財政改革会議は 12 月 20 日、根幹的な業務を企業に外注することは避けるよう求める新ルールを決めたばかりだ。 白鳳大の藤井亮二教授(財政制度)は、「基金事業で政府は、主要業務の企業委託の禁止を徹底する必要がある。 やむを得ず委託する場合でも、企業の社員に公務員並みの罰則を科せるようにするといった再発防止策をとることが急務だ」と話す。 (大日向寛文、asahi = 12-27-23) 「ゼロゼロ融資」返済本格化、苦しむ中小企業 戻らぬ注文、物価高 … コロナ 5 類移行から 3 カ月。 中小企業の倒産が、コロナ下を上回る勢いだ。 中小企業向けの実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済も本格化しており、今後さらに倒産が増える可能性もある。 ゼロゼロ融資を巡っては、倒産を大幅に抑える効果の一方、もともと稼ぐ力のない企業の「延命」につながった可能性も指摘されていた。 一方、物価高や生活スタイルの変化など、営業努力だけでは乗り切れない現実も。 今後、どんな形の支援が必要なのか。 営業努力続けても苦しい 「できればもう少し…」 アパレル衣料品の製造などを手がける「小倉メリヤス製造所(東京都墨田区)」は、20 年 3 月と 6 月の 2 回、日本政策金融公庫から「ゼロゼロ融資」を使い、5 千万円ずつ計 1 億円を借り入れた。 中国で新型コロナウイルスの感染が広がり始めた 2 月ごろから、中国の製造拠点の工場が操業を停止。 最初の緊急事態宣言が出た 4 月には、得意先のアパレル大手の営業が事実上止まり、全くといっていいほど発注が来なくなった。 「先行きに不安しかない時期、無利子無担保で借りられて、とてもありがたかった。 現金が手元にあることは心の支えになった」と小倉大典社長 (46)。 営業努力も続けた。 取引のあった大手だけでなく、個人の注文も受けるように。 「洋服以外でも『縫える物』ならご相談を。」 声かけをするうち、注文は少しずつ増えた。 それでも、21、22 年の 10 月期決算では、売り上げはコロナ前の約 25% 減。 仕入れ資金確保のため、ゼロゼロ融資以外に、民間の複数の金融機関からもコロナ関連の融資を受けた。 もともと後継者不足に悩んでいた企業が、融資の返済をきっかけに会社をたたんだケースもいくつか耳にした。 今年に入り、これまで取引のなかった企業から、「今まで注文していた会社がつぶれたので、お願いしたい」と電話が来るようになった。 「競合他社が減り、注文が増えるのは複雑ですが…。」 同社の場合、ゼロゼロ融資の 1 億円全額をいったん借り換えた分の返済が昨年 5 月から始まっており、さらに今夏以降、それ以外の返済も順次始まる見込みだ。 売り上げは回復しつつあるが、「返済が本格的に始まればどうなるのか。 今後も資金繰りが厳しくなる可能性はあり、見えざる恐怖がある。」と小倉社長。 「できればもう少し、現金に余裕が生まれてからの返済ならありがたい」と漏らす。(三井新) 歴史的な低水準だったコロナ下の倒産件数 ゼロゼロ融資などの手厚い公的支援により、コロナ下での倒産件数は歴史的な低水準に抑えられてきた。 東京商工リサーチによると、21 年度の倒産件数は 5,980 件。 1964 年度以来、57 年ぶりの少なさだった。 ただ今後、融資の返済が本格化するにつれ、焦げ付きと経営破綻が相次ぐ可能性がある。 中小企業庁によると、民間金融機関によるゼロゼロ融資の返済開始は 7 月に最初のピークを迎え、来年 4 月にもう一度ピークが見込まれる。 23 年 3 月末時点で 5 割近くが返済中で、完済は全体の 2.7% にあたる約 3 万 7 千件にとどまる。 民間金融機関によるゼロゼロ融資が返済されない場合、公的機関の信用保証協会が返済を肩代わり(代位弁済)する。 協会が回収できなければ、最終的には国民負担となる。 信用保証協会によると、22 年度の代位弁済額は前年度比 44.7% 増の 3,509 億円。 今年度はさらに 7 割増のペースという。 中小企業の経営が行き詰まるのを防ぐため、政府は今年 1 月、ゼロゼロ融資から低金利で借り換えられる制度を始めた。 中小企業庁によると、6 月下旬までに 1.3 兆円の借り換え保証が行われた。 金融庁は金融機関に対し、貸し出し条件の緩和など、できるだけ中小企業を支えるよう呼びかけている。 金融庁幹部は「今後、金融機関が企業をきちんとサポートできるかが問われる」と話す。 全国銀行協会の加藤勝彦会長(みずほ銀行頭取)は 7 月の会見で、「コロナという危機を脱した今、改めて中小企業が経営課題に向き合う機会、タイミングが来ているのではないだろうか」と話した。 積極的な資金繰り支援を続ける意向は示しつつ、「早期の事業再構築や事業承継、あるいは廃業、といったさまざまな選択肢が含まれている」とも語った。 危機対応だった支援策が次々と終わる中、抜本的な経営の見直しを迫られる中小企業が今後も増えそうだ。 (栗林史子、asahi = 8-20-23) GW の国内線予約、コロナ前水準 国際線ふるわず 燃料費高騰も影響 全日本空輸 (ANA) と日本航空 (JAL) は 21 日、ゴールデンウィーク期間(4 月 29 日 - 5 月 7 日)の予約状況を発表した。 国内線の予約は、ANA が前年から 32.0% 増の 93 万 2 千人、JAL が 14.2% 増の 82 万 7千人となった。 国内線はコロナ禍前の 2018 年の水準に迫る一方、国際線の回復のペースは鈍い。 18 年と比べると、グループのピーチ・アビエーションと合わせた ANA の予約は 9 割まで戻った。 比較する日数は異なるが、JAL も 18 年の水準にほぼ回復した。 一方、国際線は ANA が前年の 2.7 倍の 15 万 2 千人、JAL が 2.4 倍の 14 万 6 千人だった。 18 年と比べると、いずれも 6 割ほどの水準だった。 円安を追い風に日本着便の乗客は好調に推移するものの、日本発便の回復は、燃油サーチャージの高騰などが影響し勢いを欠く。 旅行会社の予測などでも同じ傾向だ。 国内旅行について、JTB が 2 万人を対象に行ったアンケートでは 26.5% がゴールデンウィーク期間に、1 泊以上の旅行に「行く」、「たぶん行く」と回答。 前年から 9.3 ポイント増えた。 同社は宿泊施設の予約状況などを踏まえ、国内旅行者数を 2,450 万人と推計する。 コロナ拡大前の 19 年の 2,401 万人を上回り、00 年以降でも最も多くなると予測した。 旅行に行かない理由にコロナ禍を挙げた人の割合は前年比 26.2 ポイント減の 13.2% だった。 海外旅行の予約は振るわない。 エイチ・アイ・エスによると、5 日時点の予約者数は前年の 20 倍だが、19 年比では約 3 割の水準だという。 (高橋豪、松本真弥、asahi = 4-21-23) 「全国旅行支援」 4 月以降も継続へ 初夏まで適用、GW は除外 観光庁は 8 日、旅行代金を補助する「全国旅行支援」を 4 月以降も継続することを明らかにした。 ゴールデンウィーク (GW) 期間は除外する。 都道府県に割り当てられた予算がなくなり次第、順次終了するが、多くの地域で夏まで続くと見込まれている。 前年度までの予算を繰り越したことで支援策を継続できるようにした。 観光庁が自民党の会合で示した。 4 月以降の旅行支援の適用について明らかにしたのは初めて。 現在は 4 月以降の旅行の予約については割引が適用されていないが、各都道府県が発表し次第、4 月からの旅行にも適用される。 すでに予約した分については適用されない。 割引率については、現行と同じ 20%。 割引の上限額は公共交通機関とセットの旅行商品は 1 人 1 泊 5 千円、それ以外は 3 千円。 地域で使えるクーポン券は、平日 2 千円、休日千円が支給される。 4 月 29 日から 5 月 7 日までの GW は割引を適用しない。 予算がなくなり次第、終了するため、夏休みシーズン以降も継続する場合には新たに予算をあてる必要がある。 昨年の国内旅行の宿泊者数は 2019 年の 9 割まで戻ったほか、昨年 10 - 12 月は 19 年の水準を超えている。 (三輪さち子、asahi = 3-8-23) 全国旅行支援 10 日再開、20% 割引・上限 5 千円に 感染対策と両立 政府が旅行代金を補助する「全国旅行支援」が 10 日から再び始まる。 昨年 10 - 12 月に実施した際は割引率が 40% だったが、今回は 20% に引き下げる。 都道府県ごとに割り当てられた予算を使い切ったところから順次、終了する。 新型コロナウイルスの感染が拡大しているが、観光庁は観光需要の回復と感染対策の両立を図るとしている。 10 日から始まる支援策は、割引率は 20% で、割引の上限額は公共交通機関とセットの旅行商品は 1 人 1 泊 5 千円に、それ以外は 3 千円となる。 地域で使えるクーポン券は平日 2 千円、休日千円が支給される。 原則、電子クーポンとする。 販売が始まる前に予約した分には適用されない。 終了時期は都道府県ごとに異なる。 観光庁は支援策として約 2,700 億円をほぼ各都道府県に配ったとしている。 これらの予算を使いきった自治体から支援策は終了する。 観光庁は「地域によっては春先の行楽シーズンまで続くだろう」としている。 新型コロナの新規感染者数は増加しており、今月に入り、一部の県では過去最多となっている。 しかし、観光庁は「政府が新たな行動制限を出さない限り、支援策は実施する」としている。 感染状況をふまえて続けるかどうかの判断は都道府県に委ねられている。 観光行政を担う斉藤鉄夫国土交通相は 6 日の記者会見で「屋内でのマスク着用などの基本的な感染対策を徹底しながら、日本各地を訪れていただきたい」と話した。 (三輪さち子、asahi = 1-9-23) コロナ交付金 7 億 3 千万円が不適切 商品券の未活用など 検査院指摘 新型コロナウイルス対応で国が地方自治体に交付する「地方創生臨時交付金(コロナ交付金)」について、会計検査院が検査したところ、約 7 億 3 千万円の不適切な支出が確認された。 効果が把握できないケースも多数あるとして、検査院は 17 日、内閣府などに改善を求めた。 コロナ交付金は、2020 年 4 月に閣議決定されたコロナ対応の「緊急経済対策」に位置づけられた。 ▽ 感染拡大の防止、▽ 雇用の維持と事業の継続、▽ 経済活動の回復、などを目的とした事業が対象となる。 自治体の「実施計画」に基づいて交付され、20 - 21 年度に予算計上された総額は約 15 兆 2 千億円。 これまで 47 都道府県 1,741 市区町村に配られた。 検査院が 20 年度の計画に基づいて交付された 3 兆 4,058 億円(約 4 万 5 千事業)を対象に検査したところ、7 億 3,061 万円の不適切な交付が確認された。 生活支援などを目的に、8 県と 596 市区町村が行った商品券の無償配布事業では、30 市区町村で未使用の商品券(交付金額約 6,695 万円)が精算されず、活用されないままになっていた。 また、中小企業などが融資を受ける際の保証料の補助事業では、3 県と 82 市区町村で約 5億4750万円が自治体に滞留していた。 水道料の減免事業で、警察署など対象にならない公共施設が含まれているところもあった。 コロナ交付金には地域の実情にあった事業であれば原則、使途に制限がなく、使い道は多岐に及ぶ。 広島県三次市は交付金約 1,600 万円を使い、古くなった公用車を 10 台買い替えた。 新車はすべて県内に本社があるマツダ製だった。 モニュメントの設置などにあてる自治体もあった。 佐賀県は、コロナに絡んだ差別解消のための「佐賀誓いの鐘(仮称)」の設置事業費 779 万円を計上したが、議会の反対もあり、最終的に予算案から外れた。 感染拡大を防ぐため、時短営業した飲食店の協力金などにも使われた。 内閣府は使途を例示しているが、地域振興の面も強く、コロナ対策と直接結びつくか不明なものも多い。 このため、事務連絡などで事業終了後、効果をホームページなどで閲覧できるようにした上で説明責任を果たすよう要請している。 ところが、検査した 24 都道府県と 965 市区町村について、検査院が今年 3 月末時点での効果検証の実施や公表の状況を確認したところ、約 8 割(21 都道県と 738 市区町村)が検証結果を公表していなかった。 事業費はコロナ交付金だけで 2 兆 6,977 億円、総額は約 5 兆 1,083 億円に上る。 17 道県と 541 市区町村は効果の検証をしていなかった。 理由としては「交付金事業が完了した後にする」、「議会に報告済みのため」などだった。 一方、「効果の検証方法がわからない」、「検証が必要だと認識していなかった」という自治体もあったという。 検査院は、内閣府に効果検証の方法を自治体に周知し、速やかに公表させるよう求めている。 (山本孝興、asahi = 10-17-22) 全国旅行支援、東京都は 10 月 20 日スタート 1 人 1 泊当たり最大 1 万 1 千円 東京都は 9 月 30 日、政府の全国旅行支援について、開始が 10 月 20 日にずれ込むと明らかにした。 観光庁によると、46 道府県は 11 日開始に向け準備している。 都は準備に時間がかかると説明。 20 日まで東京都を目的地とする旅行は割引対象外になるが、都民が事業を開始済みの道府県に旅行する場合は割引を受けられる。 一方、割引とクーポン配布で旅行者に支払額を上回るもうけが出ないよう、観光庁と都道府県が対策を講じることが分かった。 観光庁は、宿泊実態が伴わないなどの不正抑止のため、1 回の割引利用は 7 泊までとする連泊制限も導入する。 支援額は 1 人 1 泊当たり最大 1 万 1 千円。 旅行代金 40% の割引と、平日 3 千円分、休日千円分のクーポン配布を組み合わせる。 例えば平日に 4 千円で宿泊した場合、40% 引きで支払額は 2,400 円となり、3 千円のクーポンを渡すと、600 円分の利益が出る。 観光庁は、都道府県向けの通知で「実質的な負担が 0 円を下回らないことを求める」とし、支払額を上回る利益が出る場合はクーポン金額の減額を要請。 都道府県の中には、割引を適用する宿泊代金について「平日 5 千円、休日 2 千円」といった下限を設定するなどの対応が出始めている。 また、観光庁は、旅行に行く際には基本的な感染対策をしっかりと行った上で出掛けるよう呼び掛けている。 (福井新聞 = 10-1-22) 政府の「全国旅行支援」 東京都、初日の来月 11 日からは実施せず 政府の観光需要の新たな喚起策「全国旅行支援」について、東京都は、準備に時間がかかるなどとして、期間の初日となる来月 11 日からは実施しない考えを示しました。 政府の観光需要の新たな喚起策「全国旅行支援」は、来月 11 日から 12 月下旬までの期間、都道府県が国の財源で実施するもので、旅行代金を 1 人 1 泊当たり最大で 8,000 円、クーポン券も含めると最大で 1 万 1,000 円の割り引きを受けることができます。 都の幹部は、都内での旅行について 28 日の都議会で新型コロナの感染状況や専門家の意見を踏まえる必要があることやホテルの募集などにおおむね 1 か月の準備がかかることを明らかにしました。 都議会のあと小池知事は記者団に対し、「専門家から意見を聴くというコロナに対しての判断と実務的にクーポンを印刷することなどで、若干時間はかかる」と述べ、来月 11 日からは実施しない考えを示しました。 都は「適切な判断を行い、効果の高い観光振興策として実施したい」としています。 (NHK = 9-29-22) 政府、5 万円給付を決定 住民税非課税世帯に ガソリン補助金は延長 政府は 9 日、物価高対策を議論する「物価・賃金・生活総合対策本部」を首相官邸で開き、住民税非課税の低所得世帯に 1 世帯当たり 5 万円を給付することを正式決定した。 ガソリンの補助金を 12 月末まで延長することも決定。 新型コロナウイルス対策などと合わせた 3 兆円台半ばの予備費で実施する。 5 万円給付は、住民税非課税世帯の約 1,600 万世帯が対象となる見通し。暮らしに関わる電気・ガス、食料品などの価格高騰が家計に与える影響が大きいと判断した。 ガソリン補助は現在、レギュラーガソリンの全国平均価格が 1 リットル当たり 168 円を超えた場合に 35 円を上限に石油元売り会社に対して補助金を支給し、この上限を超えた場合は超過分の半額を支援している。 9 月末を期限としていたが、原油価格が高止まりしている状況を踏まえ、支援を年末まで継続する。 食料品の価格抑制策では、10 月の改定で 2 割ほどの上昇を見込んでいた輸入小麦の政府売り渡し価格を実質的に据え置く。 コスト削減に取り組む畜産農家には 10 - 12 月期の配合飼料コストを支援。 地方自治体が自ら使い道を決められる地方創生臨時交付金には 6,000 億円規模の交付金を新たに創設し、効果的な物価高対策を促す。 政府は今回の対策とは別に、10 月に総合経済対策を策定し、補正予算を編成して秋の臨時国会での成立を目指す。 岸田文雄首相は 9 日の会合で「世界的な物価高騰の中で国民生活や事業活動を守り抜くことは岸田政権の最優先課題の一つだ」と述べた。 (松山文音、mainichi = 9-9-22) コロナ協力金 5,900 万円不正受給 東京都では最高額、返還請求へ 東京都は 19 日、墨田区内で複数の飲食店を経営する 40 代男性が、新型コロナウイルス対策の協力金 59,071,000 円を不正受給していたと発表した。 都支給分の不正受給としてはこれまでの最高額だといい、都は同額の違約金も含めた約 1 億 1 千万円の支払いを男性に請求する。 都によると、男性は 2020 年 4 月以降に計 19 回、多いときで 4 店舗分について営業時間短縮などに対する協力金を都に申請した。 このうち 1 店舗は、実際は協力金の対象にならないテイクアウト店だが、男性は客席があるように見える写真や店舗の見取り図を申請書に添付し、協力金を不正受給していたという。 他の 3 店舗には客席があったが、男性が協力金全般に関し「不正はしていない」と申請していた点が事実に反していたとして、都は合わせて不正受給と判断した。 都は店舗の詳細を明らかにしていない。 名称などから不正受給の疑いがあるとして昨年以降、現地調査などを実施。 今年 7 月になって男性が不正を認めたため、他の店舗分も含めて返還請求することにした。 (asahi = 8-19-22) 全国旅行支援の開始延期へ 感染拡大影響、9 月以降にずれ込む可能性 政府は、7 月前半の開始をめざしていた観光支援策「全国旅行支援」の実施を延期する方針を固めた。 新型コロナウイルスの感染状況が改善するまでは見合わせる構えだ。 週内にも発表する。 14 日に終了予定の「県民割」は、期間を 8 月末まで延長する。 岸田文雄首相は 6 月中の感染状況の改善を条件に 7 月前半からの実施を予定していたが、感染者数は増加傾向に転じ、今月 8 日には 1 日の新規感染者数が 3 カ月ぶりに 5 万人を超えた。 感染が広がっている間は実施は難しいと判断した模様だ。 斉藤鉄夫国土交通相は 12 日の会見で「(13 日に開かれる)厚生労働省の専門家会議の結果をふまえて、感染状況を総合的に見極めたうえで、7 月前半中に適切に判断したい」と述べた。 政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長が 11 日に「感染拡大で『第 7 波』に入っている」との認識を示すなど、当面は感染が落ち着きそうにない。 7 月中の実施は厳しく、9 月以降にずれ込む可能性もある。 全国旅行支援は、都道府県ごとの県民割を全国に広げるものだ。 新幹線や航空機などの交通機関をセットにした旅行商品なら、1 人 1 泊 8 千円を上限に、旅行代金の 40% が補助される。 旅行先で使える 3 千円分(平日)のクーポン券が付き、合計で実質 1 万 1 千円が補助される。 2020 年末から中断している「Go To トラベル」に次ぐ水準だ。 旅行業界や経済界からは、延期で経済に与える影響を懸念する声が上がる。 経済同友会の桜田謙悟代表幹事(SOMPO ホールディングス会長)は 12 日の会見で「今の状況で見る限り、延期しなくてはいけない理由が明確ではない」と話した。 日本旅行業協会の高橋広行会長(JTB 会長)は 7 日の会見で「全国旅行支援が延期になれば、旅行そのものが感染拡大につながっているという印象を与えかねない」と訴えた。 (asahi = 7-12-22) 東京国税局職員ら男女 7 人逮捕 持続化給付金 2 億円詐取か 国の新型コロナ対策の持続化給付金をだまし取ったとして、警視庁少年事件課は 2 日までに、詐欺容疑で東京国税局職員の塚本晃平容疑者 (24) = 横浜市旭区 = ら 20 代の男女 7 人を逮捕した。 暗号資産(仮想通貨)関連の事業に投資するグループのメンバーで計約 2 億円の不正受給に関与したとみて調べている。 少年事件課によると、他に逮捕したのは塚本容疑者の同僚だった東京国税局の元職員や会社員佐藤凜果容疑者 (22) = 東京都三鷹市 = ら。塚本容疑者は虚偽の確定申告書を作成する立場だったという。 塚本容疑者は黙秘し、佐藤容疑者は「申請に関わったが不正受給とは知らなかった」と供述している。 (kyodo = 6-2-22) ◇ ◇ ◇ 不正受給、続々発覚 自主返還は 166 億円に コロナ持続化給付金 家族ぐるみで計約 9 億 6 千万円もの持続化給付金の不正受給にかかわったとして、住居不詳の谷口光弘容疑者 (47) が詐欺容疑で指名手配され、谷口容疑者の元妻と長男、次男が逮捕された。 新型コロナウイルスの経済対策として導入された持続化給付金は、迅速な支給のため手続きが簡素化された半面、後に数多くの不正受給が発覚している。 中小企業庁によると、要件を満たさなかったとして給付金の受給者が自主返還を申し出た件数は 26 日時点で約 2 万 2 千件。 このうち約 1 万 5 千件についてすでに返還があり、その総額は約 166 億円に上っている。 同庁は、自主返還があった場合には警察への通報や被害相談はしていないという。 一方で、全国の警察による摘発も相次いでいる。 昨年 3 月、衆院議員事務所元スタッフの男ら 4 人が給付金 100 万円を詐取した疑いで愛知県警に逮捕された。 セミナーを開いて「私ども自民党としましては、みなさんが持っていない情報を持っている」などと話し、不正受給を持ちかけていたとされる。 大阪国税局 OB で元税理士の男も、身分を個人事業主と偽るなどして同じく 4,500 万円を詐取したとして今年 1 月に有罪判決を受けた。 キャリア官僚の関与が明るみに出たことも。 経済産業省の元官僚 2 人はペーパーカンパニー 2 社の売り上げを偽造し、など計約 1,550 万円を詐取したとして昨年 12 月に東京地裁で有罪判決を受けた。 (山口啓太、asahi = 5-30-22) ◇ ◇ ◇ コロナ給付金、不正受給は 9 億円超 返還拒めば名前や所在地の公表も コロナ禍で影響を受けた人や企業を支援するため、国が設けた給付金には不正受給が相次いだ。 経済産業省は返還を働きかけ、警察は事件化を進めている。 同省によると、売り上げが大幅に減った事業者を支援する持続化給付金は、支払った約 5.5 兆円(約 424 万件)のうち約 8.6 億円(855 件)を不正と認定した。 地代や家賃の負担軽減が目的の家賃支援給付金は、約 0.9 兆円(約 104 万件)のうち 0,5 億円(22 件)が不正受給だった。 いずれも今年春に給付事業は終了したが、同省担当者は「簡単さと迅速さを重視しながら大金を支払う初めての取り組みで、どれぐらい不正が起きるかは開始当時わからなかった」と打ち明ける。 同省は不正対策として、疑わしい申請を警察に報告しつつ、本人に事情を聴いて不正を認定できれば返還を要求している。 ペナルティーとして、20% の加算金と年利 3% の延滞金も科す。 不正受給者の 7 割以上が返還したが、返さない場合は事業者の名前や所在地をウェブサイトで公表している。 警察官、国税 OB、印刷局職員も … 摘発は 2 千件以上 警察による摘発も続く。 警察庁によると、持続化給付金の不正受給の摘発は今年 11 月までに全国で計 2,262 件(計約 22 億円分)、家賃支援給付金は 46 件(計約 1 億円)に上った。 21 日に有罪判決を受けた経済産業省の元職員 2 人のほかにも、公務員やメディア関係者が詐取したケースがあった。 9 月には警視庁の巡査部長が妻の職業を偽って 100 万円を受給したとして書類送検されたほか、大阪国税局 OB や独立行政法人国立印刷局職員も詐欺容疑で逮捕された。 沖縄タイムス社社員は、100 万円を不正受給し執行猶予付きの有罪判決を受けた。 学生や主婦が事業実態がないのに、個人事業主を装って確定申告書を偽造する例もあった。 こうした経緯を踏まえ、同省は今年 3 月に始めた「一時支援金」では、税理士などが申請書類を確認する仕組みを導入した。 不正受給は大幅に減ったという。 (新屋絵理、田内康介、asahi = 12-21-21) |