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「県外の観光客を抑える」 日本三大清流の駐車場を閉鎖

静岡県に 20 日から 9 月 12 日まで緊急事態宣言が適用されることを受け、各自治体は県の対処方針に沿って公共施設の休館や利用停止などを決めた。 県東部では、主要産業である観光関連の施設の休館が相次ぎ、周辺の事業者に大きな影響を与えている。

沼津市は 18 日に対策本部会議を開き、沼津港水門展望施設「びゅうお」や沼津御用邸記念公園といった観光施設の休館などを決めた。 頼重秀一市長は「他の都府県の方々は発令されている(緊急事態宣言の)内容を守ってほしい」と述べ、首都圏など県外からの観光客が目立つ状況に懸念を示した。 沼津市民に対しても「経済の立て直しは重要ではあるが、通常の生活を取り戻すために協力してほしい」と語った。

清水町は、日本三大清流として知られる柿田川公園の駐車場を閉鎖することを決めた。 2019 年度は年間約 44 万人が訪れたが、20 年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で約 29 万人と激減した。 夏休みに入ると県外ナンバーの車が目立ち、町の担当者は「県外から車で来る観光客を抑えるため」と駐車場閉鎖の狙いを話す。 このほか県東部では、伊豆の国市の世界遺産・韮山反射炉は、まん延防止等重点措置が適用された今月 8 日から引き続き休館となる。 (南島信也、asahi = 8-20-21)


脱出「ずっと我慢してた」 帰省ラッシュ初日の東京駅

新型コロナウイルスの感染が全国的に拡大する中、本格的な帰省シーズンを迎えた 7 日、JR 東京駅は大きなスーツケースを持った家族らでにぎわった。

列車予約、コロナ前から 7 割減 でも昨年比 1.5 倍に

JR 東日本によると、お盆期間(6 - 17 日)の東北、山形新幹線や在来線の特急などの指定席予約状況は、5 日現在で 59 万席。 コロナの影響がなかった 2019 年のお盆期間と比べると 73% 減少。 ただ、昨年比では、54% 増加している。 7 日は、東京発の下りの予約数が最も多いという。 また JR 東海によると、東海道新幹線は 7 月時点で 29 万席と、昨年比 96% でほぼ横ばいだ。

この日は 3 連休初日だが、東京都の小池百合子知事は都県境を越える移動を極力控えるよう呼びかけている。 友人に 1 年ぶりに会うため大阪に行くという女性会社員 (59) は、「本当は行っちゃ行けないとわかっているのですが、ずっと我慢してきたので …。」 大阪で仲間とご飯を食べて、コロナのストレスを発散したいという。

目立つ帰省客「親が心配してる」、「感染はさせない」

目立ったのは帰省客だ。 今春から都内で働く男性会社員 (18) は、福井の実家へ。 「親が心配して電話してくるので、一度顔を見せたかった。」 青森に帰省し、美術館などで過ごすという女性会社員 (24) は「東京を出ることに多少安心感もあるが、自分が感染させないことが大事」と話す。 アルバイトの女性 (26) は印刷関係の営業を 3 年ほど経験したが、「コロナで会社の経営が悪化して先が不安になった」と春にやめた。 大阪のホテルで過ごし、1 カ月ほどは戻らないという。 (小川崇、asahi = 8-7-21)


ワクチン接種者向け商品登場 業界、旅行機運盛り上げ

新型コロナウイルスのワクチン接種を終えた人を対象に、特別な旅行プランが登場し始めた。 苦境が続く観光業界にとってワクチン接種は光明だ。 接種の動機付けにつなげるとともに旅行機運にもつなげたい考えだ。 旅行大手のクラブツーリズムはワクチン接種済みの人限定のツアーを検討中だ。 安心して参加してもらう狙いで、8 月中にも予約の受け付けを始めたいという。 足元では、高齢者のツアー参加者の割合が例年より 10 ポイントほど多いという。 他の世代よりワクチン接種が先行していることが背景にありそうだ。 広報は「旅行意欲を後押ししたい。」

JR 東日本グループの日本ホテルは、ワクチンを接種した人に向けたキャンペーンを始める。 15 日から 9 月末まで、同社運営の 4 ブランド 34 ホテルで宿泊したり食事したりすると、利用金額に応じて 500 - 3 千円分の「ホテル共通利用券」を配る。 「接種済証」を提示する必要がある。 担当者は「接種促進の一助になれば」という一方、「キャンペーンは、我々のホテルを選んでいただく付加価値としても期待している。」

西武グループのプリンスホテルでは、ワクチンを接種済みの人と未接種の人が一緒に宿泊する場合に、全員無料で PCR 検査が受けられるプランを 2 日発売した。 対象ホテルを予約すると自宅に検査キットが届いて宿泊前に結果がわかる。 担当者は「1 年間集まれなかった 3 世代での家族旅行などに利用してもらえれば」と話す。

観光業界ではワクチン接種に需要喚起の望みをかける。 日本観光振興協会は 6 月、ワクチン接種の促進やワクチンパスポートの導入などを求める「緊急アピール」を発表。 ワクチン非接種者への差別や偏見につながらないよう配慮することにも触れつつ、「ワクチン接種証明等を有効活用した旅行などを進めることで交流拡大につなげていく」としている。 (初見翔、asahi = 7-5-21)


夏の旅行予約、回復の兆し ワクチン接種の進展が追い風

新型コロナウイルス対策の 3 度目の緊急事態宣言は沖縄県を除き、20 日の期限で解除される。 宣言に準じる「まん延防止等重点措置」に移行する地域は残るが、低迷が続く観光業界では、少しでも需要が回復するのではないかと期待がふくらむ。 ワクチン接種も徐々に進んでおり、夏の旅行の予約には、回復の兆しも見え始めている。

全日本空輸はこれまで低調だった 8 月の国内線の予約が徐々に入り始めた。 今月 15 日に 7 日間のタイムセールを始めると想定より売れ行きが好調という。 特にお盆の時期の予約が上向いているといい、担当者は「高齢者へのワクチン接種の広がりもあり、1 年前は自粛していた帰省の動きがあるかもしれない」と話す。

西武ホールディングスグループのプリンスホテルによると、軽井沢地区の 7 月の予約数は前年同月の 1.7 倍。 ここ 1、2 週間で軽井沢や箱根といった首都圏に近い観光地の予約が伸び始めている。 担当者は「宣言の解除が正式に発表されたことで予約がさらに活発化する」と期待する。

JR 東海の金子慎社長は 17 日の会見で「感染者数がおさまっていけば鉄道利用は増える。 良い方向に向かうことを期待している。」と述べた。 ゴールデンウィーク明けから止めていた東海道新幹線の臨時列車の運行を、7 月 21 日に再開させる方針を明らかにした。

観光庁によると、4 月に国内の宿泊施設に泊まった日本人は、新型コロナの影響がなかった 2 年前と比べて 4 割減。 1 月以降、3 - 5 割の減少が続き、運輸や観光業界の経営体力は弱まっている。 財務省が発表する 1 - 3 月期の法人企業統計をみると、宿泊業の営業赤字は約 32 兆円を数える。 自己資本比率は、コロナ禍前より低下し、中堅・中小はマイナス圏に沈む。

このため、日本観光振興協会は 17 日、ワクチン接種の早期拡大と接種歴を証明するワクチンパスポートの導入を求める「緊急アピール」を発表。 ワクチン効果による旅行需要を後押ししたい考えで、協会の副会長で JR 東日本の冨田哲郎会長は「一刻も早い人流の回復、正常化が緊急の課題だ」と訴えた。 業界は政府の観光支援策「Go To トラベル」の全面再開にも期待を寄せるが、再開は秋以降になるとの見方が強い。 16 日に会見した観光庁の蒲生篤実長官は「県をこえた移動を政府全体として奨励するような段階ではない。 Go To トラベル再開はしばらく時間がかかるだろう。」と話した。

感染再拡大のリスクも消えてはいないが、高齢者を中心にワクチン接種が進み始め、抑えられていた消費が徐々に回復するとの見方も増えている。 第一生命経済研究所の熊野英生氏は、ワクチンを 2 回打ち終えた人の割合(接種率)が 8 月以降、10% 高まると、抑えられていた家計の消費が 0.46% ポイントずつ戻っていくと試算。 温泉やゴルフ場、スポーツクラブなど 65 歳以上の高齢者の支出が多い分野は「早く回復するのでは」とみる。 (木村聡史、初見翔、asahi = 6-18-21)


ワクチン証明書「7 月中下旬から発行」 官房長官

加藤勝信官房長官は 17 日午前の記者会見で、海外渡航者への新型コロナウイルスワクチンの接種証明書を 7 月中下旬から発行すると発表した。 まずは紙で証明書を出し、デジタル方式の交付も検討する。 接種証明書はビジネス関係者の海外往来を円滑にするため、主要国で発行する動きが相次ぐ。 日本も経済界が導入を求めており、政府は加藤氏のもとで制度設計を進めている。 加藤氏は「7 月中下旬をめどに書面での交付が可能となるよう準備したい」と述べた。

接種記録を管理する市区町村が発行し、来週にも自治体向けの説明会を実施すると説明した。 河野太郎規制改革相も 17 日午前、日本商工会議所の三村明夫会頭とのオンライン懇談で「早く発行するため当初は紙になる」と語った。 河野氏は政府が掲げる 1 日 100 万回接種の目標について「今週中に達成されるのではないか」と話した。

政府のワクチン接種記録システム (VRS) への入力が 1 日 60 万回程度になっていると紹介。 「自治体によってはまとめて次の日とか1週間以内に入力するところがある」と指摘し、現状で 1 日 100 万回に近い接種数になっているとの認識を示した。 21 日から本格的に始まる企業などでの職場接種について、138 社の中小企業が個別で申請したと明らかにした。 このほか複数の中小企業が集まって申請したケースが 54 団体あると言明した。 (nikkei = 6-17-21)


EU、日本発の渡航を認める方針 ロイター報道

【ブリュッセル = 竹内康雄】 欧州連合 (EU) は域内への渡航を認める国のリストに日本を加える見通しであることが分かった。 ロイター通信が 1 日、複数の関係者の話として報じた。 EU は新型コロナウイルスの感染者数が抑え込まれているのを条件に、観光など不要不急の渡航を目的とした移動を認めるリストをつくっている。 現時点ではオーストラリアやシンガポール、韓国など 8 カ国。

日本はかつてリストに入っていたが、1 月に感染者増を理由に外れていた。 EU は 5 月に基準を緩和することを決めた。 EU 当局者は 1 日、日本経済新聞の取材に 2 日に開く大使級会合で決めると述べた。 出入国は加盟国の権限で、EU の決定後に加盟国がそれぞれ判断することになる。 (nikkei = 6-2-21)


観光庁、Go To トラベル代替で都道府県内の旅行に 1 人 1 泊 7,000 円支援

観光庁は、新型コロナウイルス感染症の感染状況が落ち着いているステージ 2 相当以下の都道府県内の旅行に対する割引事業を財政的に支援する「地域観光事業支援」を 4 月 1 日以降、順次開始すると発表した。 新型コロナウイルス感染症を巡っては、緊急事態宣言が全国的に解除されたものの、変異株の流行などもあり、地域ごとに感染状況にバラつきがある。 こうした状況から、国の施策として全国で行なう前提の Go To トラベル事業については、当面の間、再開は難しいとされている。

そこで、Go To トラベル事業が再開できるまでの間、ステージ 2 相当以下の都道府県が、各都道府県内の旅行についての割引支援を実施する場合、1 人 1 泊 5,000 円、代金の 50% を上限に、国から各都道府県に補助金を交付することにした。 Go To トラベル同様に、土産物店や飲食店、公共交通機関などで利用できるクーポン券を発行する場合は、1 人 1 泊 2,000 円を上限に追加で補助金を交付する。

同庁によれば、予算規模は約 3,000 億円。 4 月 1 日以降、準備が整った都道府県から開始し、5 月 31 日(6 月 1 日チェックアウト分)まで、この施策を実施するとしている。 (湯野康隆、トラベル Watch = 3-26-21)


首都圏 4 都県、時短要請 4 月 21 日まで継続 共同表明へ

東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏 4 都県は、新型コロナウイルス対策として飲食店やカラオケ店に要請している午後 9 時までの営業時間の短縮要請について、4 月 21 日まで継続する方針を固めた。 複数の自治体関係者への取材でわかった。 緊急事態宣言が解除された今月 22 日以降も感染の再拡大(リバウンド)を防ぐため、1 カ月程度の時短要請を継続する必要があると判断したとみられる。 4 都県は 1 月の緊急事態宣言に合わせ、4 都県全域を時短営業の対象とし、午後 8 時までの閉店を要請した。

宣言解除を受け、3 月末までを「段階的な緩和期間」として閉店時間を午後 9 時までに緩和していた。 自治体関係者によると、4 月以降も引き続き、4 都県全域を時短要請の対象とし、午後 9 時での閉店を維持する方向で最終調整している。 宣言解除に伴い、1 日あたり 6 万円から 4 万円に引き下げた協力金についても 4 万円を維持する方針。 24 日にも 4 都県知事会議を開き、こうした方針を確認して共同で表明する。 時短要請について、千葉県の森田健作知事は 23 日、記者団に「(4 都県で)一つになった方がいいと思っている」と述べた。 (asahi = 3-23-21)


全国 500 公立劇場、収入 8 割減 コロナ苦境の日本文化

昨年、コロナ禍で文化芸術分野の事業収入が大きく落ち込んだことが音楽、演劇、映画など 22 団体でつくる「文化芸術推進フォーラム」の調査でわかった。 このうち回答した全国の公立劇場 554 館については、主催公演で得た収入が 2019 年よりあわせて 81.6% 減っていたという。 18 日午前、与野党の国会議員による「文化芸術振興議員連盟(河村建夫会長)」のヒアリングで、中間結果を報告した。

フォーラムは今年 2 月から構成団体などを通じ、劇場や団体、事業者などに 19 年と比べて収入の変化などを聞いた。 演劇公演を継続的に実施する大規模劇場のうち、東京の歌舞伎座や帝劇、劇団四季などの計 20 劇場は、主催公演の収入が前年より 69.9% 減。 落語の寄席については、全国六つの演芸場をあわせて 58.8% 減だった。 この日のヒアリングでは、ほかに八つの文化芸術関係の団体が参加。 「次年度の経営方針の見通しがたたない」などと悲痛な声が上がった。 同フォーラムの大和滋事務局長は「芸術文化分野の収入減はかなり深刻だ」と述べ、政府によるこの分野に特化した継続支援が必要性を訴えた。 (丸山ひかり、asahi = 3-18-21)


緊急事態宣言、21 日で全面解除 首都圏の飲食店時短緩和へ - 政府、18 日決定

政府は新型コロナウイルス対策として東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏 4 都県に発令中の緊急事態宣言について、期限の 21 日で解除する方針を固めた。 菅義偉首相が関係閣僚と協議した上で 17 日中にも表明する見通し。 1 月 8 日から始まり、一時は関西圏などに対象が広がった宣言は 2 カ月半で全面解除となる。

新規感染者数が落ち着き、懸案だった病床使用率も改善していると判断した。 ただ、解除後のリバウンド(感染再拡大)を警戒しており、防止策は全面的に取りやめず、段階的に緩和。飲食店の営業時間短縮は午後 8 時までとしている要請を午後 9 時までとし、応じた事業者への協力金は 1 日 6 万円から同 4 万円に減らす方向だ。 イベント参加人数の制限も順次緩める形を取る。

政府は 18 日、専門家らによる基本的対処方針等諮問委員会を開いて解除について意見を聴いた上で、首相自身が衆参両院の議院運営委員会に出席し、事前報告する。 その後、対策本部を開いて正式決定し、首相が記者会見を行う運び。 変異ウイルスを含む検査態勢の強化、ワクチン接種の推進など今後の対応を説明する予定だ。 (jiji = 3-17-21)


大阪の時短要請「22 日以降も全面解除困難」 吉村知事

大阪府の吉村洋文知事は 16 日、新型コロナウイルスの感染防止策として大阪市内の飲食店に求めている営業時間の短縮について、期限を迎える 22 日以降も全面解除しない方針を示した。 新規感染者数は下げ止まっており、記者団に「全てを解除するのは今の段階で難しい」と話した。

週内に対策本部会議を開いて決める。 吉村知事は、3 月から 4 月にかけては人の移動が活発になることなども挙げて「徐々に徐々に解除するのが本来の筋だ」と述べた。 22 日以降は、時短要請の対象を大阪市中心部の北区や中央区に限定することや、営業時間を午後 10 時までに緩和するかが焦点になるという。 府は政府が 1 月 14 日に発令した緊急事態宣言に合わせて府内全域の飲食店に対する午後 8 時までの時短営業を要請。 宣言が解除された今月 1 日からは区域を大阪市内に限定して午後 9 時までの営業を求めている。 (多鹿ちなみ、笹川翔平、asahi = 3-16-21)


緊急事態宣言、2 週間程度延長へ 病床逼迫の改善不十分

菅義偉首相は 3 日、首都圏 4 都県で続く新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言を、期限の 7 日から2週間程度延長する方針を明らかにした。 感染症の専門家や 4 都県の知事らの意見を聴いたうえで正式に決定する。 4 都県では 2 度目の延長となる。 首相は 3 日夕、首相官邸で田村憲久厚生労働相、西村康稔経済再生相ら関係閣僚と感染状況を分析した。

その後、記者団の取材に応じ、「2 週間程度の延長が必要ではないか」と述べた。 政府・与党は 5 日に対策本部を開くなどして、期限の延長に必要な一連の手続きを行う方針だ。 首相は 4 都県の現状について「感染防止対策の極めて重要な局面だ」としたうえで、病床の逼迫など改善が十分でなく、「(国の解除の目安)ぎりぎりの指標もある」と判断の理由を語った。 首相は延長幅を「2 週間程度」と考える根拠や、延長に伴う追加の感染防止策や支援措置などについては触れなかった。

4 都県では、1 月上旬のピーク時より新規感染者数は大きく減ったものの、2 月中旬以降、下げ止まっている。 新型コロナ対策を厚生労働省に助言する専門家組織の会合資料によると、1 週間の新規感染者数を前週と比較した数値では 1 月下旬から 2 月上旬には、0.5 - 0.7 など 1 を下回り、減少していた。 だが、2 月中旬以降には減り方が鈍くなり、3 月 2 日時点では神奈川と千葉がともに 0.94、東京 0.83、埼玉が 0.73 だった。

医療現場への負荷も 2 月上旬より改善したが、4 都県の病床使用率の指標は、2 番目に深刻な「ステージ 3」にとどまる。 内閣官房の資料によると、ピーク時に確保する想定の「最大確保病床」の使用率は 3 月 2 日時点で、千葉 50%、埼玉 42%、東京 32%、神奈川 29%。 ステージ 2 の 20% に至っていない。 こうした現状に、日本医師会の中川俊男会長は、首相の延長表明に先立つ 3 日の会見で「緊急事態宣言を延長すべきだ」と発言。 解除までに十分に感染者を抑えなければ、4 月以降に感染がまた拡大する「第 4 波」を招く恐れがあると指摘し、「(今後)本格化する全国のワクチン接種を妨げかねない」と訴えた。

政府分科会の専門家にも解除後のリバウンド(再拡大)を懸念する声が相次ぎ、与党内にも延長容認論が出ていた。 4 都県の知事のなかからも「3 月 7 日の宣言解除は非常に難しい(森田健作・千葉県知事)」との声が上がっていた。 現在の緊急事態宣言は、首都圏 4 都県を対象区域として 1 月 7 日に出された。 その後、関西や東海など 7 府県を区域に追加したが、2 月末までに、この 7 府県の宣言は解除されている。

首相は、宣言の期間を現在の 3 月 7 日まで延長することを決めた 2 月 2 日の記者会見で、「1 カ月ですべての都府県で解除できるよう対策を徹底したい」と強調。 3 月 1 日の衆院予算委員会でも、同様の考えを示していた。 結果として、目標は実現できず、再延長せざるを得なくなった。 首相は自身の責任について記者団に問われたが、「緊張を高めて目標に向かって進んでいくことが大事ではないか。 油断することがないように対応していくのが私の役割だ。」と述べるにとどめた。 (asahi = 3-3-21)


緊急事態宣言、首都圏以外で先行解除へ 諮問委が了承

新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づき 10 都府県に出ている緊急事態宣言をめぐり、専門家による政府の諮問委員会は 26 日、6 府県で 28 日までで先行解除することを了承した。 政府は 26 日夕に対策本部を開き、解除を正式に決める。 解除を前倒しする 6 府県は、大阪・兵庫・京都の関西 3 府県、愛知・岐阜の東海 2 県と福岡県。 首都圏 4 都県は、3 月 7 日の期限まで宣言を継続する方針だ。

政府は宣言解除の判断の際、4 段階で示す状況で最も深刻なステージ 4 (感染爆発)を脱し、少なくともステージ 3 (感染急増)相当に改善することを目安にしている。 諮問委が感染の動向や医療体制の改善の度合いなどを議論した。 政府は宣言を解除しても、午後 8 時までとしている飲食店への営業時間の短縮要請について、一部緩和しながら続ける見通しだ。 要請に応じた店への協力金の上限は、現在の 6 万円から 4 万 - 2 万円とする。 イベント制限は段階的に緩和するが、全国で停止している観光支援策「Go To トラベル」の再開は当面、先送りする。 (asahi = 2-26-21)


関西 3 府県、知事が緊急事態宣言解除を要請 2 月末で

新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言について大阪、京都、兵庫の 3 府県の知事は 23 日、コロナ対応を担う西村康稔経済再生相に対して、3 府県に対する宣言を 2 月末で解除するよう求めた。 解除後は飲食店などへの営業時間短縮の要請は段階的に緩和するとし、1 日 4 万円の協力金の支給に向けて国の負担を求めた。 会議はオンラインで行った。 大阪府の吉村洋文知事によると、西村氏は「最終的にどうするかは国が決めることで、感染状況と専門家の意見を聞いて判断する」と応じたという。 政府内には早期の解除に慎重な意見もあったが、感染状況が一定程度落ち着き始めたことや自治体の意見を踏まえ、2 月末の解除について検討している。

西村氏との会議の直前、3 知事はオンライン会議を開いて、2 月末での宣言解除を要請することや、解除後の感染防止策の段階的緩和の必要性などを確認。 現在、時短要請に応じた飲食店などには国と地方で 1 日 6 万円の協力金を支払っているが、宣言解除後は 1 日 4 万円に減額して支給を続けるべきだとの考えで一致した。 吉村知事は「感染症対策と社会経済活動の両立を模索していくことが重要だ」と述べた。 兵庫県の井戸敏三知事は、宣言の期限である 3 月 7 日の前に宣言が解除されたとしても、同日までは午後 9 時までの時短を要請すると表明。 京都府の西脇隆俊知事も「最も怖いのは(感染の)リバウンドで、段階的な措置の緩和が必要だ。」と訴えた。 (asahi = 2-23-21)


国内旅行消費 54% 減の 9.8 兆円 20 年、GoTo 下支え限定的

観光庁は 17 日、2020 年の日本人の国内旅行消費額が前の年と比べ 54.9% 減の 9 兆 8,982 億円になったと発表した。 旅行者数は延べ 2 億 9,177 万人。 消費額、人数ともに現在の統計方式となった 2010 年以降で最低の水準となった。 新型コロナウイルスの感染拡大で、国内の移動が制限された影響が出た。 政府は 7 月以降、観光支援事業「Go To トラベル」などで回復を狙ったが、下支え効果は限定的だった。

国内旅行消費額(トラベル事業の支援額を除く)は、緊急事態宣言が発令されていた 5 月に 89.2% 減と 1 年間で最も大きな減少率を記録した。 その後、7 月のトラベル事業開始で減少幅は縮小し始め、11 月は 35.8% 減にまで持ち直した。 だが、12 月の全国的な感染再拡大で再び 5 割減となった。 蒲生篤実観光庁長官は同日の記者会見で「東京がトラベル事業に追加された 10 月、11 月は消費が活発になり一定程度の効果があった。 日本人国内旅行は旅行消費の 8 割を占め、地域経済へ影響を持つ。 引き続き動向を注視したい。」と述べた。

20 年の国内旅行の 1 人 1 回あたり旅行単価は 3 万 3,925 円で、19 年比で 9.2% 減だった。 新型コロナの影響で近場の旅行や、宿泊日数の短い旅行が好まれていることが響いたもようだ。 19 年の国内旅行消費額は 21 兆 9 千億円と過去最高で、旅行者数は延べ約 5 億 8 千万人だった。 21 年に入ってからは緊急事態宣言が再び発動され、トラベル事業も停止延長が続いている。 観光回復は見通せない状況にある。

年末年始は新型コロナの感染拡大に伴いトラベル事業は全国で停止された。 蒲生長官は会見で、この間に旅行のキャンセルに対応した事業者向け支援の申請額が 600 億円以上だったと明らかにした。 年末年始は観光事業者にとってかき入れ時にあたるため、政府は旅行商品の 50% を補助していた。 トラベル事業の全国一斉停止に先立ち札幌市や大阪市など一時停止をしていた 5 都市でキャンセル対応をした事業者の申請額は 70 億円以上だった。 (nikkei = 2-17-21)


「町長が話したらしい」 感染者の情報公表、揺れた町

人口 1,200 人余りの京都府笠置町。 1 月中旬のある日の午後、役場に町民から 1 本の電話が入った。 「感染者が出たとの情報が広まっている。 年代などから感染者探しができる。」 「町長が話したらしい。」 実際、その日に町で最初の感染者が確認され、役場では中淳志町長 (62) らが対策会議を開いていた。 府が夕方には、感染者の年代や職業もウェブ上で明らかにしたが、この電話の時点では公表前だった。

中町長は会議で問われ、「言った」と認めた。 府から午前中に感染者のことを知らされ、昼過ぎに出た町民の葬儀で同席した町議 3 人に感染者の年代や職業を話したという。 町では、年代によっては個人の特定は難しくない。 葬儀が終わる時には出席者の間で「町内に少ない世代だ」との認定とともに情報が広まっていた。 町民の 1 人は「感染者やご家族は迷惑したに違いない」といらだちをみせた。 中町長は「知らん顔もできないので情報共有のつもりだった。 甘かった。 ご本人やご家族に迷惑をおかけした。」と取材に話した。

感染症の予防や発生時の措置を定めた感染症法は、感染拡大を防ぐための情報は「積極的に公表しなければならない」と定めている。 国は、居住する都道府県や発症日、年代、性別を原則公表するとしている。 一方、市町村名や職業は自治体の判断次第。 中町長が漏らした内容がルール違反というわけではない。 しかし、同法が定めるもう一つの「個人情報の保護に留意」の考えには反する可能性がある。

府は原則として感染者の年代、性別、発症日、おおまかな職業、管轄保健所名をウェブ上で公表している。 市町村名は、個人が特定されない報道への配慮を前提に明かしている。 地域の情報を正しく発信することで混乱を避け、適切な感染予防の行動を個人がとれるようにするためだ。 ただ、府健康対策課によれば、各自治体や職場などが個別に出す情報と府の情報を照らし合わせると、個人が類推されうる事例もある。 逆に、無関係の人から「自分が感染者だと疑われる」と苦情が寄せられたこともあったという。

府内では感染者やその関係者、医療従事者への差別事案も起きている。 昨春、私立大学生らが感染した時は大学が特定され、無関係の学生も中傷される被害を受けた。 「どこまで公表するのがいいのか本当に難しい」と府の担当者は言う。 現在の国の公表の線引きは、致死率が最悪の場合で 9 割にものぼるエボラ出血熱など、法律上「1 類」に分類される激烈な感染症を想定した議論に基づいている。 コロナに単純に当てはめていいのか、という声は専門家の間にもある。

国の専門家会議の分科会で、偏見・差別とプライバシーの問題を検討する作業グループの武藤香織・東京大学医科学研究所教授は、「年代や性別など、生々しい個人情報が本当に感染の蔓延防止に資するのか。 コロナに必要な情報を早急に検討し、今後の感染症対策にも生かすべきだ。」と話す。 (甲斐俊作、権敬淑、asahi = 2-7-21)


広島で予定の 70 万人 PCR 検査 陽性なら … 揺れる市民

新型コロナウイルス対策として、広島県が広島市中心部で計画する大規模な無料 PCR 検査。 無症状の人を見つけ感染を抑え込みたい考えだが、対象となる住民はどう受け止めているのか。街で聞いてみた。

「安心したいので受けたい。」 日ごろから感染対策に気を使う広島市西区の主婦 (67) は、日課だったジム通いを昨年春からやめ、外出はスーパーでの買い物くらいにしている。 「無症状でも重症化すると聞く。 無料なのはうれしい。」

2 月中旬から予定される検査は中、南、西、東区の住民と就業者の計約 70 万人が対象となる。 事業費は約 10 億円。 湯崎英彦知事は「どこにいるか分からない無症状の陽性者からの感染を断ち、中長期で感染者を減らせる」と強調する。

東区の高校 1 年の女子生徒も「無症状のまま他人にうつすかもしれないのが怖い」と検査には前向きだ。 一方で「感染者は落ち着いてきた。 今することじゃない感じもする。」

広島市の直近 1 週間の人口 10 万人あたりの感染者数は 5 日時点で 4 人。 ピークだった昨年 12 月 26 日時点の 44.2 人から大幅に減っている。 無症状で陽性と判明した場合は原則、ホテルで隔離療養となる。 これを理由に検査をためらう人は少なくない。

「受けたくないですね。 良くないことなんでしょうが …。」 中区の 40 代の女性会社員は先月、小学 5 年の長男が一時体調を崩したが、悩んだ末に病院には連れて行かなかったという。 「もし検査して陽性だったら仕事に行けなくなる。」

中区で食材店を営む店主 (52) も「陽性だと店を休まないといけないし、食べ物を扱う店としての信用にも響く。 受けない。」と言い切る。 売り上げは前年の 2 - 3 割に落ち込み、休業は死活問題という。 「パートさんも家族に迷惑をかけるから受けたくないと言っている。」

西区の保育園で働く 30 代の女性保育士は、職場では常時マスクをつけ、食事も同僚と距離を取って話さずに食べている。 「感染の不安はない」としつつ、「陽性だと休園となり、保護者にも迷惑をかける。 できれば受けたくない。」

企業からは肯定的な意見も

対象エリアの就業者については、各事業所に検査キットを送って回収する予定だが、詳細はまだ示されていない。 広島三越(広島市中区)や、宇品工場(広島市南区)に自動車の生産ラインを持つマツダ(府中町)は県の正式発表待ちで、いずれも「対応は未定」という。 大手企業の支店などからは検査に肯定的な声が聞かれる。 会議のオンライン化などを進めてきた企業の支社の担当者は「感染抑制に向けて県から要請があれば協力したい」と話す。

在宅勤務や時差出勤を続ける企業の支店幹部も「検査のために社員が業務中に職場を離れる必要がない」と前向きに捉える。 一方で「陽性者が思いのほか多く出た場合、業務への影響が心配だ」とも打ち明けた。 (比嘉展玖、東谷晃平、辻森尚仁、asahi = 2-6-21)

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宣言対象地域と同等の支援、西村氏「広島市は該当せず」

新型コロナ担当の西村康稔経済再生相は 16 日、緊急事態宣言を出した 11 都府県に準じた地域とする方向で最終調整していた広島市について、「ここ数日の感染状況が改善していることから、現時点では該当するとは判断できない」と自身のツイッターに投稿した。 政府は緊急事態宣言の追加を決めた 13 日、宣言対象外の地域が飲食店の午後 8 時までの営業時間の短縮や、不要不急の外出自粛を要請するなど、宣言地域と同じ対策を講じる場合には同等の支援を行うと発表。 西村氏が 14 日、広島市を対象とする方向で最終調整中だと発表していた。

西村氏は 16 日のツイッターで、広島県の湯崎英彦知事と電話で協議したことを明らかにし、「引き続き国と県で密接に情報共有しつつ、感染状況を見極めていくことを、共有しました」と説明。 同県では感染が急拡大した昨年 12 月、午後 8 時までの時短要請を行い感染拡大を抑えているとして、「広島県の姿勢・取組みを評価します」と投稿した。 (中田絢子)

感染対策、広島県は予定通り実施へ

広島県の湯崎英彦知事も 16 日夜、県庁で記者団の取材に対し、同日夕に西村康稔氏から「準じる地域に該当するとは判断できない」と連絡があったことを明らかにした。 広島市内の新型コロナの新規感染者数が減少傾向にあるため、との説明を受けたという。 県は 18 日から 2 月 7 日まで、同市内の施設に時短要請をする方針にしているが、湯崎知事は「再拡大を防ぐため、徹底的に抑え込む」と話し、対策は予定通り進めるとの考えを示した。 期間中、時短要請に応じた飲食店に支払う協力金については、当初の 126 万円から 84 万円に減額する。

県内では昨年 12 月から同市を中心に感染が急拡大。県は同月 12 日から市内中心部の飲食店に営業時間の短縮などを求めるなど「集中対策」を開始し、その後、今年に入って感染者は減少傾向となった。 県によると、広島市の直近 1 週間の人口 10 万人あたりの新規感染者数が 13 日時点では 25.7 人で、最も深刻なステージ 4 (爆発的感染拡大)の基準である 25 人を超えていたが、16 日現在は 16.3 人にまで下がっていた。 湯崎知事は「新規感染者数がいったん下がって、その後急増した地域もある。 対策を緩めず、徹底的に抑え込むことが重要だ。」と話した。 一方、広島市中心部の住民ら最大 80 万人に無料で PCR 検査を行うことについては「方針は変えず、県として進める」とした。 (松島研人、東谷晃平、asah = 1-16-21)

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広島市、最大 80 万人を PCR 検査へ 無料で 2 月中にも

広島県は新型コロナウイルスへの集中対策の一環で、広島市の住民ら希望者に無料の PCR 検査をすることを決めた。 対象者は最大 80 万人に上り、2 月中には態勢を整える方針。 無症状の感染者を早期に見つけ、感染を封じ込めたい考えだ。 感染者の多い中区、東区、南区、西区の 4 区に住む住民約 60 万人と就業者約 20 万人が対象。 県内では現在、広島市内の 2 カ所を含む計 5 カ所に PCR センターを設置しているが、対象は飲食店の利用者らに限定してきた。

広島市では 12 2月に入って感染が急拡大。 朝日新聞のまとめでは、県全体の直近 1 週間の人口 10 万人あたりの新規感染者数が 24.88 人(17 日時点)となり、全国で 3 番目に多くなった。 その後、県は市内の飲食店に営業時間の短縮を要請するなど集中的に対策。 1 月 14 日時点で 10 万人あたり 15.51 人に減少した。 ただ県によると、広島市では同 25.7 人(13 日時点)で、ステージ 4 (爆発的感染拡大)の基準を超えている。 湯崎英彦知事は 14 日の記者会見で「感染の急拡大に歯止めはかかったが、広島市では感染者数の高止まりが続いている。 (検査は)強制ではなくあくまで任意だが、積極的に受けていただきたい。」と述べた。 (東谷晃平、asahi = 1-15-21)

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広島市に宣言地域と同様の支援 医療逼迫、政府が調整

西村康稔経済再生相は 14 日、新型コロナウイルスの感染者が増え、医療提供体制の逼迫が深刻な広島市について、緊急事態宣言を出した 11 都府県に準じた地域とすることで最終調整していることを明らかにした。 期限は、11 都府県の宣言の期限と同じ 2 月 7 日までとする方向だ。 西村氏は「できるだけ早く対応したい」と述べ、早急に手続きする考えを示した。 決定すれば、飲食店の営業を午後 8 時までとする時間短縮や、不要不急の外出自粛を住民に要請するなど、宣言地域と同じ対策を講じる必要がある。 国側も支援を手厚くし、飲食店への時短協力金は 1 日最大 4 万円から 6 万円に拡充、雇用調整助成金の支給要件を一部緩和するなどの対応をとる。

西村氏は、広島県から広島市の厳しい感染状況などを確認、共有したと説明。 県や市からの要請の有無や独自の緊急事態宣言を出しているかに関係なく、「知事と私の協議で決めていく」とした。 感染爆発に近づいている地域が対策を強化した場合に、支援を拡充する方針は、菅義偉首相が 13 日の記者会見で打ち出した。 広島市への支援が決まれば、第 1 号の自治体となる。 西村氏は、支援について協議中の自治体は現時点ではほかにないとしている。 (山本知弘、中田絢子、asahi = 1-14-21)

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