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EU、少額輸入品に 3 ユーロの関税導入へ 中国発の通販締め付け強化
記事コピー (5-17-13 〜 12-13-25) 「国際裁判所の判決? 認めぬ!」 中国、南シナ海の領有主張が "ほぼ否定" され激昂
記事コピー (8-1-22 〜 12-12-25) 中国で自動運転タクシーが人を巻き込む事故 初の事例か 現地報道
記事コピー (10-11-13 〜 12-11-25) 中国の貿易黒字、初の 1 兆ドル超え 対米輸出減でも米国以外向け急増
記事コピー (5-9-22 〜 12-8-25) 中国製造業 PMI、11 月は 8 カ月連続 50 割れ 非製造業も 3 年ぶり縮小
記事コピー (5-1-13 〜 11-30-25) 中国、レアアース規制強化を 1 年延期 米中合意の解釈に食い違い?
記事コピー (12-6-18 〜 11-7-25) 中国 3 隻目の空母「福建」が就役 ローテ制で軍事活動活発化の可能性 中国国防省は 7 日、中国軍の 3 隻目となる空母「福建」が就役したと発表した。 中国海軍の空母はこれで 3 隻体制となり、東シナ海や太平洋地域での軍事活動がさらに活発化することが懸念される。 国営新華社通信によると、海南省三亜の軍港で 5 日に開かれた記念式典には、軍トップを兼ねる習近平(シーチンピン)国家主席が出席したという。 福建は、米空母も用いる電磁カタパルト(射出装置)を中国軍の空母で初めて備えた。 旧ソ連製を改修した 1 隻目の「遼寧」(2012 年就役)と、初の国産空母となった 2 隻目の「山東」(19 年就役)は甲板がそり上がるスキージャンプ方式で、艦載できる機種や燃料の重量に限界があった。 福建は 22 年 6 月に進水し、試験航行を重ねていた。 中国海軍の発表によると、今年 9 月には電磁カタパルトによる発着艦訓練に成功。 最新のステルス戦闘機「殲 35」や海軍の主力機を改造した「殲 15T」、早期警戒機「空警 600」が参加した。 福建の就役で、3 隻体制による「任務・訓練・整備」のローテーションを組むことができ、常に 1 隻が任務可能な態勢となることから、中国海軍の遠海での作戦能力は向上するとみられている。 中国海軍は今年 6 月には空母 2 隻が同時に西太平洋で展開し、伊豆諸島からグアムを結ぶ「第2列島線」を越えるなどした。「福建」の就役でさらなる活動の活発化が懸念される。 習指導部は「今世紀半ばまでに世界一流の軍隊を築き上げる」としている。 4 隻目の空母もすでに建造が始まっているとされ、中国初の原子力空母だとの情報もある。 福建の就役をめぐり、木原稔官房長官は 7 日の会見で「福建の動向を含めて我が国周辺の軍事動向に対し、強い関心を持って注視しながら、冷静かつ毅然と対応していく」と述べた。 (北京・小早川遥平、asahi = 11-7-25) 中国 7 - 9 月期 4.8% 成長、2 期連続の減速 消費低迷抜け出せず 中国国家統計局が 20 日発表した 7 - 9 月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価の変動を除く実質で前年同期比 4.8% 増だった。 4 - 6 月期の 5.2% 成長から減速。 消費刺激策の効果は息切れ気味で、個人消費の低迷から抜け出せずにいる。 1 - 3 月期(5.4% 成長)から 2 四半期連続の減速となった。 1 - 9 月期で見ると前年同期比の成長率は 5.2% だった。 中国政府は年間目標を「5% 前後」としている。 不動産不況などで個人消費が伸び悩んでいる。 この日発表された 9 月の経済指標によると、消費の動向を示す小売総額は前年同月比 3.0% 増と 4 カ月連続で伸び率が鈍化。 消費刺激策として中国政府が昨秋から始めた家電や自動車の買い替え補助金も、効果が薄れ始めている。 消費低迷を招いている不動産不況は回復の兆しが見えない。 1 - 9 月の不動産開発投資額は前年同期比 13.9% 減で、マイナス幅が拡大し続けている。 デフレ圧力も強まっており、9 月の消費者物価指数 (CPI) は前年同月比 0.3% の下落。 8 月に続くマイナスとなった。 1 - 9 月でも前年同期比 0.1% の下落だった。 需要不足に加え、電気自動車 (EV) などでは「内巻」と呼ばれる過当競争もあり、価格の下落が続いている。 (北京・鈴木友里子、asahi = 10-20-25) 消費拡大、AI 活用 … 中国が新 5 カ年計画議論へ 成長率目標掲げるか 中国共産党の重要会議である第 20 期中央委員会第 4 回全体会議(4 中全会)が 20 日から北京で開かれる。 2026 - 30 年の経済政策の方向性を示す「第 15 次 5 年計画」を議論する。 米国との対立が深まる中、経済成長のエンジンとしての国内消費の拡大や AI (人工知能)の幅広い活用などが打ち出される見込みだ。 今の第 14 次計画では、個人消費を軸とする「内需主導」の経済への転換が打ち出された。 「世界の工場」として成長を遂げてきた中国だが、米国との対立が激しくなる中、外需依存は転換を迫られてきた。 しかし、この 5 年で内需は逆に失速した。 不動産不況が長引いて人々は財布のひもを固くした。 消費動向を示す小売総額は、コロナ禍前には年 8% 以上の成長を維持していたが、24 年は 3.5% に。 22 年には人口も減少に転じるなど、条件は一層厳しさを増す。 モノの消費が振るわない中、医療や文化などのサービス消費を引き上げるべきだとの議論が活発で、新たな計画にはこうした方針が盛り込まれる見込み。 専門家からは「年金保障制度を発展させ続ける必要がある(国務院発展研究センター元副主任の劉世錦氏)」との声も上がる。 消費が弱いのは将来不安や所得格差の大きさも関係しているためで、こうした中長期の課題にどのような方向性を示すのかが注目される。 習近平(シーチンピン)指導部は、建国 100 年を迎える 2049 年ごろまでに、世界トップクラスの国力を誇る「社会主義現代化強国」をめざす。 中間地点としての 35 年には、国内総生産 (GDP) を 20 年比で 2 倍にするという目標を掲げる。 中国の専門家の試算では、第 15 次計画 (26 - 30 年) で年平均 4.8%、第 16 次 (31 - 35 年) で年平均 4.3% の成長が求められる。 ただ、国際通貨基金 (IMF) の予測では、中国の潜在成長率は、大規模な改革が無ければ 25 - 30 年に平均約 3.8%、31 - 40 年に平均約 2.8% まで減速する可能性が示されている。 現行の 5 カ年計画では見送った経済成長率目標が、再び設定されるかも注目される。 こうした中で一層の期待が寄せられるのがハイテク分野だ。 習指導部は「新質生産力」のスローガンのもと、イノベーションの創出で経済成長を目指す。 産業や技術開発など幅広い分野で AI を活用する「AI プラス」との考え方を掲げており、こうした方針も盛り込まれる見込み。 米中対立を念頭に、重要な科学技術を他国に頼らない「自立自強」のため、基礎研究の強化も打ち出すとみられる。 会期は 23 日までで、最終日に今後の政策方針を盛り込んだコミュニケが発表される見込みだ。 (北京・鈴木友里子、asahi = 10-19-25) 「習氏側近」が巨額汚職か 中国軍の制服組トップら党籍剥奪 中国国防省は 17 日、軍制服組トップである中央軍事委員会副主席の一人、何衛東氏 (68) を含む幹部 9 人を重大な規律違反の疑いで共産党の党籍と軍籍を剥奪したと発表した。 「重大な職務犯罪」としており、軍の大規模汚職事件に関わったとみられる。 現職の中央軍事委副主席が摘発されるのは極めて異例。 何氏は習近平国家主席が自ら抜てきし、軍における側近の一人と目されていたが、今年 3 月から動静が途絶えていた。 処分されたのはほかに、6 月に中央軍事委員を解任された苗華氏ら。 ロケット軍や武装警察部隊、東部戦区のトップ経験者など軍最高幹部の名前が並んだ。 9 人は軍事検察機関に送致され、起訴される見込み。 国防省の発表では、何氏らの容疑について「非常に巨額であり、極めて悪質」と厳しく批判。 「(習指導部が)反腐敗闘争を進める断固とした決意を示し、軍内に腐敗分子が隠れる場所がないことを鮮明にした」と主張した。 中央軍事委員会は軍の最高指導機関で 7 人で構成される。 主席を習氏が務め、副主席は制服組の張又?氏と何氏の 2 人。 その経歴から何氏は習氏、張氏に次ぐ軍のナンバー 3 とされた。 中央軍事委のうち、既に 2 人が解任されており、何氏の処分で計 3 人の空白が生じる異常事態となった。 何氏は 2022 年の共産党大会後、中央軍事委副主席と、指導部を構成する党政治局員の一人に抜てきされた。 何氏は、習氏が地方指導者として長く勤務した福建省で軍務経験がある「福建閥」の一人とされ、習氏の信頼が厚いとみられていた。 中国軍では 23 年以降、軍装備品などを巡る汚職により、国防相経験者など幹部の失脚が相次いでおり、その中には何氏のように、習氏の下で抜てきされた人物が少なくない。 習指導部は汚職撲滅を看板政策にしてきたが、軍の腐敗体質は根深く、統制が難しいことが改めて浮き彫りになった。 一方、この間にも 9 月の軍事パレードが実施されるなど、何氏らの摘発による軍組織への影響は表面化していない。 (北京・河津啓介、mainichi = 10-17-25) ◇ ◇ ◇ 中国軍の粛清、泥沼化 治安部隊や後方部門にも拡大 粛清が続く中国軍で今度は治安部隊の前司令官や後方支援部門トップら 4 人の将軍が失脚した。 習近平国家主席(中央軍事委員会主席)側近の軍高官を主な標的とする粛清は芋づる式に拡大。 主要部門・部隊の大半に影響が及んで、泥沼化している。 習氏側近停職で巻き添え 中国全国人民代表大会(全人代 = 国会)常務委員会は 9 月 12 日、人民武装警察(武警)の王春寧・前司令官(上将 = 大将に相当)、中央軍事委後勤保障部の張林部長、聯勤保障部隊の高大光政治委員、ロケット軍(ミサイル部隊)共産党規律検査委の汪志斌書記の 4 人が全人代代表(国会議員)の職務を罷免されたと発表した。 王春寧氏以外の 3 人はいずれも中将。 「反腐敗闘争」と称する政治的粛清で何らかの不正が摘発されたとみられる。 軍内の習派は旧南京軍区の第 31 集団軍(福建省)や第 12 集団軍(江蘇省)の出身者が多いが、武警の王春寧氏は元第 12 集団軍長。 父は南京軍区副政治委員(中将)だったといわれ、ロシア軍事留学の経験もあるエリートだ。 第 12 集団軍長から首都を管轄する北京衛戍区司令官に異動。 2020 年に武警参謀長へ転じ、1 年もたたずに同司令官となった。 武警は犯罪を取り締まる警察ではなく、治安維持を担う軍隊。 現有兵力は不明だが、06 年の国防白書では「定員 66 万人」とされていた。 沖縄県の尖閣諸島海域への領海侵犯を繰り返す海警も統括する大組織だ。 こうした経歴から、王春寧氏は当時、中央軍事委政治工作部主任として軍高官人事を握っていた習氏側近の苗華氏(第 31 集団軍出身、元第 12 集団軍政治委員)から非常に信頼されていたことが分かる。 しかし、苗氏が昨年 11 月、規律違反の疑いで停職になった後、王氏は公の場に姿を見せなくなった。 今年 7 月に武警副司令官が「司令官代理」として公の場に現れ、司令官の退任が判明。 全人代代表罷免で失脚が確定した。 苗氏を打倒する政争の巻き添えになったようだ。 これにより、陸海空軍・ロケット軍・武警という大部隊のすべてで首脳(司令官と政治委員)もしくはその経験者が粛清されたことになる。 軍中枢の大半に波及 王春寧氏以外の 3 人は第 31 集団軍や第 12 集団軍の出身ではないが、後方支援の実務を担う聯勤保障部隊の高氏はかつて、苗氏の下で政治工作部退役幹部局長を務め、その後、中央軍事委の機関事務管理総局政治委員、聯勤保障部隊政治委員と重用された。 中央軍事委の後方支援部門である後勤保障部の張林氏も、前職は機関事務管理総局長で、高氏の同僚だった。 高氏と共に、政治工作部と密接な関係にある同総局での働きが評価されて抜てきされたようだ。 後勤保障部は、習政権下で行われた軍の組織改革以前の「4 総部」体制で「総後勤部」だった重要部門である。 中央軍事委の中枢である弁公庁、連合参謀部、政治工作部、後勤保障部、装備発展部のうち、連合参謀部以外の全部門の首脳もしくはその経験者がこれまでに失脚した。 9 月 3 日の軍事パレード参加部隊を指揮するはずだった中部戦区の王強司令官が登場しなかったことからも分かるように、地方の 5 戦区でも複数の首脳が失脚、または反腐敗の調査対象になっているようだ。 中央と地方、人民解放軍と武警、指揮官系統と政治委員系統のいずれかを問わず、粛清が広がっている。 軍制服組トップをけん制 ロケット軍は歴代司令官 3 人が失脚するなど反腐敗の重点対象となっているが、同軍党規律検査委の汪書記が就任したのは 23 年 12 月。 同年 7 - 10 月にロケット軍司令官と政治委員が更迭されて、李尚福国防相(当時)とその前任者に対する中央軍事委の党規律検査委による調査が始まり、李国防相が解任された後だった。 習氏の代理人として当時権勢を振るっていた苗氏により、汪氏はロケット軍粛清のため、外部(西部戦区)から送り込まれたと思われる。 李氏は、中央軍事委の張又侠筆頭副主席(制服組トップ)と同じ中央軍事委装備発展部長の経験者で、張又侠氏の弟分のような存在。 同部は武器・装備の調達を担当する。 また、李国防相の前任者だった魏鳳和氏は初代ロケット軍司令官。 同軍と装備発展部に加えて、ミサイルを開発・製造する国有大企業の関係者が次々と連行された。一連の軍高官粛清はミサイル調達関連とみられる汚職摘発によって、張又侠氏を強くけん制する形で始まった。 逆襲された習派 習氏は 22 - 23 年に党・国家・軍の最高指導者として異例の 3 期目に入るに当たって、軍関係では子飼いの苗氏ら福建閥のほか、父親同士が革命の戦友だった張又侠氏を重用した。 習、張両氏の父は革命時代に西北地方で共に戦ったのだ張又侠氏は親子で将軍という血筋だけでなく、若い頃に対ベトナム作戦で戦功を挙げたため軍内で威信が高く、習氏の軍掌握に重要な役割を果たした。 ただ、習氏は中央軍事委指導部内のバランスを取るため、張又侠氏を序列 2 位の副主席から筆頭格に引き上げると同時に、もう一人の副主席として、福建閥の何衛東・前東部戦区司令官を大抜てきした。 何氏は苗氏と同じ第 31 集団軍出身である。 正副主席以外の中央軍事委員(当時 4 人)のうち、序列最上位は国防相と国務委員(上級閣僚)を兼ねた李氏。 苗氏はその下位ながら、軍内習派の中核として大きな実権を掌握した。 張又侠氏に近い李氏の失脚で、このバランスは崩れた。 習派の中心である福建閥にとって、張又侠氏は「目の上のたんこぶ」となったので、その力をそごうとしたのだろう。 同氏は政治的に追い詰められていくのではないかと思われた。 ところが、李、魏両氏の党籍剥奪が発表された昨年夏以降、形勢は逆転し、張又侠氏の活動はむしろ活発になった。 一方、苗、何両氏ら福建閥の軍要人は OB も含めて相次いで失脚。 さらに、全人代代表を今回罷免された 4 人のように、苗氏と職務上関わりがあったが、福建閥ではない幹部までが多数巻き込まれている。 習政権 3 期目の軍粛清は、毛沢東時代に起きた林彪事件後の関係者徹底排除を想起させるほど激しく、収拾のめどは立っていない。 習氏の存在感低下 なお、軍関係では 9 月 10 日、宇宙船「神舟」 18 号、19 号に乗った宇宙飛行士の表彰式があり、張又侠氏が中央軍事委の代表として祝意を伝えたが、昨年 9 月の 16 号、17 号表彰式と同じく習氏に言及しなかった。 23 年までは中央軍事委の代表が習氏の指示や関心に触れ、習氏が軍を率いていることを強調していた。 また、張又侠氏ら中国軍高官や各国軍関係者が出席した「北京香山フォーラム」(9 月 17 - 19 日)では昨年と違って、董軍国防相は習氏からの祝賀メッセージを読み上げなかった。 軍内習派の没落と連動するかのように、習氏の中央軍事委主席としての存在感はますます低下している。 (西村哲也、jiji = 9-26-25) 中国不動産大手の万科、辛傑会長が辞任 株価下落
記事コピー (10-29-24〜10-13-25) 中国、「倹約令」も響き小売りの伸びが鈍化 経済の減速傾向強まる 中国国家統計局が 15 日に発表した 8 月の経済指標によると、消費の動向を示す小売総額が前年同期比 3.4% 増で、3 カ月連続で伸び率が鈍化した。 鉱工業生産も伸び率の鈍化が続くなど、中国経済の減速傾向が強まっている。 小売総額では特に飲食店収入の鈍化が顕著だ。 今年 5 月までは前年同月比で 5% を超える増加が続いていたが、8 月は 2.1% 増にとどまる。 長引く不動産不況により消費全体が落ち込んでいることに加え、習近平(シーチンピン)指導部が 5 月に出した「倹約令」が響いている。 党や政府機関などを対象にした「節約励行・浪費反対条例」を改正し、業務上の会食での「高級な料理、たばこ、酒」の提供を禁じたことで、6 月に飲食店収入が 0.9% 増と大きく減速。 その後も低迷が続いたままだ。 鉱工業生産指数も 5.2% 増と、7 月の 5.7% 増から減速。 伸び率は昨年 8 月以来の低水準となった。 セメントやガラス、鉄鋼などで前年同月比でマイナスとなった。 経済減速の元凶である不動産の指標も悪化している。 1 - 8 月の不動産開発投資額は前年同期比 12.9% 減と、1 - 7 月の 12.0% 減から更にマイナス幅を拡大。 6 カ月連続の悪化となっている。 一方で、住宅在庫面積は 5.4% 増と増加が続く。 国内消費の低迷が続く中、米トランプ政権の対中追加関税も大きな影を落としており、中国経済の先行き不透明感は高まっている。 (北京・鈴木友里子、asahi = 9-15-25) ◇ ◇ ◇ 中国の宴会禁止令「消費への影響大きい」 伊藤忠総研の玉井芳野氏 中国経済の不振が一段と際立ってきました。 特にさえないのが国内総生産 (GDP) の4割を占める消費です。 7 月の小売売上高は 2 カ月連続で前の月に比べて減りました。 背景にはいったい何があるのでしょうか。 専門家の間で注目を集めているのが、小売売上高の 1 割を占める飲食店収入の伸びの急激な鈍化です。 5 月までは 5% を超える伸びを示していましたが、6 月以降は 1% 前後にとどまっています。 伊藤忠総研で上席主任研究員を務める玉井芳野氏は、ラジオ NIKKEI のポッドキャスト番組「NIKKEI で深読み 中国経済の真相」に出演し「公務員倹約令の影響が大きい」との見解を示しました。 中国当局は 5 月に「倹約と浪費反対に関する条例」を改定しました。 共産党の関係者や公務員が接待の会食で高級料理や酒、たばこを提供するのを禁じる内容です。 これに過剰反応し、宴会そのものを自粛する空気が中国全土で広がっているといいます。 ただでさえ、年後半にかけては耐久消費財の買い替えを喚起する政府補助金の効果がはげ落ち、その反動で消費は急減速しかねない状況です。 玉井氏は「このままだと(中国の景気は)想定より下振れする懸念がある」とみています。 (nikkei = 8-22-25) 天安門の楼上に見た「世界の分断」 もう一つの「極」、うかがう中国 10 年前の 9 月 3 日。 中国軍のパレードを見下ろす天安門の楼上で、正装の「中山服」姿の習近平(シーチンピン)国家主席のそばに立ったのは、ロシアのプーチン大統領と韓国の朴槿恵(パククネ)大統領(当時)だった。 そして今年。 習氏の両脇に、プーチン氏と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記が連れ添って天安門に上った。 顔ぶれが1人変わっただけだが、その意味の違いは大きい。 ロシアは武力で隣国ウクライナを侵略し、北朝鮮はロシアに兵士と弾薬を送って支えた。 国連憲章に背く戦争を続ける 2 人を、習氏が主賓として特別にもてなす光景は、法に基づく国際秩序と対極にある「枢軸」のようにも映る。 「世界の分断を象徴しているような式典だった。」 慶応大学の細谷雄一教授(国際政治)は、今回の式典をこうみる。 「10 年前は、イタリアやフランスの外相、国連事務総長も出席し、経済的にも中国は重要なパートナーとして国際社会に統合されていた。」 しかし今回、西側諸国からの参加がほとんどなく、この間、中国と欧米との関係改善が進まず、グローバルサウス(新興・途上国)や権威主義的傾向の強い国との関係を強め、分断が広まった。 習氏、プーチン氏、金氏の 3 人を結束させているものは何か。 最も際立っているのが、「米国への抵抗の結束」だろう。 3 カ国とも米国や西側の国際社会から経済制裁や輸出規制を受けており、そろって抵抗している。 また、いずれも米国を中心に戦後築いてきた自由や民主主義といった国際秩序に反発し、自分たちに有利となる新たな秩序に上書きしようという野心を隠さない。 さらに 3 人とも、トランプ米大統領との「交渉」を控えている。 米国にとって頭痛の種である 3 カ国が強い結束を維持しているように見せることで、米国の交渉戦術を複雑にし、自らに有利になるよう図っているようにも見える。 3 人の関係、対等とは言えない ただ、3 人の立場や力関係が対等かと言えば、そうではない。 米欧から石油の禁輸措置を受けているロシアは、中国に多くの石油や天然ガスを買ってもらっている。 国際社会における中国の支持は欠かせない。 かつての中ロ関係は、ロシアが兄貴分だった。 しかし、経済規模は約 9 倍にまで開いており、国力でいえば中国にとってロシアは「ジュニアパートナー」のような存在だ。 北朝鮮は、ロシアと事実上の軍事同盟関係を結び、新たな後ろ盾をみつけた。 それでも対外貿易の 90% 以上を中国に頼っており、ロシアと比べものにならないほど中国依存が高い。 トランプ氏は年内にも金氏との首脳会談に意欲を示しており、世界でほぼ唯一、米国に対して引き下がらない中国との良い関係を保っておきたい。 その一方の中国。 本来の立場は圧倒的に強いが、ロシア、北朝鮮とは、陰に陽に支援して良好な関係を保ち、中国に有利になるようかじ取りしようとしている。 プーチン氏は訪中にあたり、中国共産党が自らの正統性として掲げる「80 年前の抗日・反ファシズム戦争への勝利」のスローガンをなぞるように唱え、習氏の威信を高める演出をしてみせた。 さらに細谷氏は、台湾有事も見すえる。 国連安保理が中国への制裁を審議しても、「(拒否権を持つロシアの)プーチン氏が中国を支持するとの計算がある。」 中国を軸に強まる結束 中ロ朝は同床異夢だが、それぞれの利益のために、中国を中心に都合良く結びついている。 日本や米欧から見ると、こうした陣営につく国は少ないと思うかもしれない。 しかし、東京大の佐橋亮教授(国際政治)は「甘く見ない方がいい」という。 中ロは上海協力機構 (SCO) や新興国グループ「BRICS」の拡大にも力を入れており、米欧を中心とした国際秩序とは異なる中国を軸にしたグループの結束を強めている。 それが、今回の天安門で垣間見えた。 中国は、米国の「影響力の空白」をうまくつき、米国は信じられるのかという迷いをうまくついていると佐橋氏は語る。 戦後、米国を中心に築いてきた自由貿易や多国間主義といった価値観を、いま米国自らが壊している。 トランプ大統領が各国を高関税で脅し、米国に都合のいいディール(取引)を強要するなかで、中国は「責任ある大国として自由貿易を守る」、「国連を中心とした秩序が重要」と主張している。 かねて知的財産権の侵害や人権、海洋進出などで批判を浴びた中国の言葉が、説得力をもって響くのは皮肉なことだ。 戦後は、米国を中心とした国際秩序が築かれ、ソ連が崩壊した冷戦の終結によって、米国の「一極化」が定まったように見えた。 しかし、オバマ政権で欧州政策の大統領特別補佐官を務めたジョージタウン大学のチャールズ・カプチャン教授は、こういう。 「世界はいま、多極化の世界へと向かっている。 それは、自由主義的なルールに基づく秩序は一つの形態に過ぎないという世界だ。」 米国が自国第一主義を掲げ、世界で「影響力の空白」が生じるなか、中国はもう一つの「極」をつくる機会をうかがい続けている。 (集委員・奥寺淳、asahi = 9-3-35) 中国、社会保険料の回避が違法に 雇用と中小企業を直撃 [北京] 中国政府は長年約束してきた福祉制度改革のリスクに向き合わざるを得なくなった。 最高人民法院(最高裁)が企業と従業員が社会保険料の支払いを回避することを違法とすると判決し、雇用や中小企業の存続を巡る懸念が高まっているからだ。 アナリストやある政府顧問によると、この判決は高齢化が進む地域で枯渇しつつある年金基金を補充し、より手厚い福祉制度の基盤を築くことを目的としており、中国が債務依存型のインフラ・産業投資から消費者需要主導型の成長モデルに移行する流れを促すだろうという。 最高人民法院は今月、社会保険料の徴収が常に義務付けられていたとしつつ取り締まりが不十分だったと認めた。 労働者が工場、建設業、宅配業、飲食店やその他の中小企業と非公式に合意し、現金を手元に残すために社会保険料を支払わないことが多い。 一部の工場は今年になって米関税引き上げで打撃を受けたため、社会保険、失業保険、医療保険やその他の保険料を支払わなくて済むように、正社員を解雇し日雇い労働者として雇用し直した。 アナリストらによると、今回の判決は 9 月 1 日に施行され、中国政府が世界第 2 位の経済大国である自国のセーフティーネットを強化するという長年の公約実現に近づく一方で、企業や労働者の可処分所得が減れば経済成長に差し迫ったリスクをもたらすため、政府のより広範な改革意欲に対して困難な厳しい試練を引き起こすという。 中国新供給サイド経済学会を設立した賈康会長はロイターに、今回の判決が「多くの零細企業にとって死活問題」になり得るだろうと語った。 ソシエテ・ジェネラルは、判決結果が施行されれば企業と消費者が負担するコストが国内総生産 (GDP) の約 1% に相当すると試算している。 調査会社トリビウムのアナリスト、ジョー・ペイセル氏は「中国は改革のコストを誰が負担するのかという核心的な問いに直面している」と述べた。 ペイセル氏によると、現状では労働者と企業が改革のコストを負担しており、こうした状況は雇用と消費を損ない持続可能ではないかもしれないという。 「改革が長期的に成功するかどうかは、政府がどれだけコストを負担する意思があるかどうかにかかっている」と語った。 ロイターは中国人事社会保障部と国務院新聞弁公室にコメントを求めてたが、現時点で回答を得られていない。 <切迫した影響> 社会保険料の負担率は都市によって異なるが、一般的に従業員は総収入の約 10%、雇用主側は約 25% に相当する。 エコノミストらによると、これは世界的にみて高水準で支払いを非公式に回避する動きを促進しているという。 中国全国人民代表大会の 2024 年報告書によれば、複雑な給与体系も社会保険料の支払額の逆進性を高めており、所得の低い労働者が所得の高い労働者以上に負担が重く社会保険料の支払い意欲を損なう一因となっている。 人材サービス会社の中和集団が 6,000 社以上を対象に昨年実施した企業調査で、社会保険の規則を完全に順守している企業はわずか 28.4% だった。 公式データによると、中国の都市年金制度に加入している労働者は 3 億 8,700 万人で労働人口の約半数に相当する。 交流サイト (SNS) の利用者たちもまた、自分たちが納めた保険料がどのように運用されているかについて信頼できないと述べている。 24 年の国務院報告書によると、13 省が年金基金から 406 億元を他の支出に流用していた。 米国に拠点を置く検閲監視サイト「チャイナ・デジタル・タイムズ」の創設者である蕭強氏によれば、この話題に関する投稿が一部削除されており、特に判決が最も弱い立場の人々に偏って悪影響を及ぼしているという意見が対象になっているという。 <労働コストの抑制> 社会保険料の負担回避は中国国内外の経済バランスのゆがみを助長してきた。 回避によって工場の労働コストが下がり中国の輸出競争力が高まる。 公共インフラ事業のコストを下げ、さらに製造業の物流コストを削減しサプライチェーンを密接に結び付けた。 しかし、中国の高齢化が進む状況で未払いの保険料は年金制度にリスクをもたらす。 年金基金は 35 年までに枯渇すると予測されているのだ。 また、工場を拡張するために資源を自由に活用することで産業の過剰設備問題を悪化させている。 さらに労働者は自力で万一の時に備えて貯蓄しなければならず、消費支出の大きな足かせとなっている。 ある政策顧問は匿名を条件に「中国の全体的な経済発展の根本的な欠陥は、抑制された労働コストに依存して競争力をつけ、とりわけ米国や欧州に対して大きな貿易黒字を生み出してきたことだ」と述べた。 ソシエテ・ジェネラルのアナリストたちは中国政府が判決施行を遅らせるか、あるいは影響を相殺するための景気刺激策を打ち出す可能性があると予測する。 報告書で「労働市場に新たな悪影響を与えるのは政策担当者として最も避けたい事態だろう」と記した。 (Reuters = 8-23-25) |