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「国際裁判所の判決? 認めぬ!」 中国、南シナ海の領有主張が "ほぼ否定" され激昂 中国が、国際仲裁裁判所による南シナ海をめぐる判断について、管轄権がないことなどを理由に、改めて受け入れられないとの立場を示した。 Newsis の報道によると、孫衛東外務次官は 10 日、海南省三亜で開かれた南シナ海シンポジウムで、フィリピンの提訴を受けて 2016 年 7 月に出されたハーグの国際仲裁裁判所の判断を受け入れないと述べた。 中国は判決が出た当時も、これを断固拒否する立場を明らかにしてきた。 孫次官は、判決が「国家の同意」および「約束は守られなければならない(pacta sunt servanda)」という国際法の基本原則に反すると主張した。 この原則に従えば、国家は自ら同意した規則にのみ法的拘束力を持つことになる。 孫次官はまた、「隣国間で時に問題が生じることは自然なことだが、重要なのは相違点を管理し、紛争を解決することだ」と述べ「関係国は海上で自制を発揮し、紛争を悪化させたり状況を複雑化させたりする一方的な行動を避けるべきだ」と語った。 裁判所は、国連海洋法条約 (UNCLOS) に基づき、中国が南シナ海で主張する「九段線」を基準とした領有主張の法的根拠の大半は認められないと判断している。 香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト (SCMP) は 10 日「中国は海洋法条約の当事国だが、中裁手続きへの参加を拒否し、仲裁裁判所が主権紛争に管轄権を持たないとしていかなる判断も受け入れないと表明した」と伝えた。 SCMP はまた「しかし、この事例は競合関係にある国々だけでなく、米国や他の西側諸国によっても、中国が国際法を順守しなかった例としてしばしば引用されてきた」と報じた。 孫次官はこの日、先月 7 日に高市早苗総理が「人民解放軍 (PLA) による台湾への攻撃は、日本の自衛隊派遣を正当化し得る『生存脅威事態』に該当し得る」と発言したことにも強く反発した。 孫次官は「80 年前、中国が日本の侵略から台湾を取り戻したことは戦後国際秩序の重要な一部だ」と述べ「生存脅威を口実に台湾海峡への武力介入の可能性を示唆した」と批判した。 さらに「これは戦後国際秩序への公然たる挑戦であり、失敗するほかない後退的な動きだ」と非難した。 孫次官は、来年までに東南アジア諸国連合 (ASEAN) との南シナ海行動規範 (COC) 交渉を妥結するという目標を改めて示した。 中国と ASEAN は、2000 年代初めから南シナ海の緊張管理策として南シナ海行動規範の交渉を進めてきたが、具体的な進展はほとんどみられていない。 2023 年、中国と ASEAN 加盟国の外相は、2026 年半ばまでに交渉を終えることで合意した。 来年の ASEAN 議長国であるフィリピンは、COC 交渉の迅速化と最終署名に向け、より頻繁な会合開催を提案する可能性があるとされる。 SCMP は「規範の適用範囲、定義、執行など核心条項に関する意見の隔たりが依然大きく、早期妥結の可能性は低いとみられる」と見通しを示した。 (織田昌大、江南タイムズ = 12-12-25) 中国艦隊が日本の火力網に踏み込む瞬間 … 日米同盟はどう動くのか 東シナ海で続く中国の上陸準備行動は、日本周辺の安全保障環境を急速に不安定化させている。 民間貨物船を装った中国船が沿岸へ接近し、車両や兵力を密かに積み降ろす様子が衛星で相次いで確認された。 さらに、中国は港を必要としない浮遊式埠頭システムまで投入したとされ、単なる示威を超えた実戦的能力の構築が明白となっている。 特殊バージ 3 隻を連結し全長 850 メートル級の簡易橋を展開する訓練も実施され、台湾側は「橋頭堡を瞬時に奪われ得る」と強い警戒感を示す。 台湾は通信遮断を避けるため、独自の低軌道衛星網の整備を急ぐ。 一方で中国は、台湾上空に電子戦用無人機を大量散布し、衛星通信そのものを妨害する実験を進めている。 作戦初期の混乱を狙った露骨な行動であり、日本としても無関係ではいられない情勢だ。 こうした中、日本は米国と協調し、中国の台湾接近そのものを阻止する「長距離飽和火力網」の構築に踏み出している。 米海軍が射程 1,600 キロのトマホーク・ブロック 5A を大量配備し、多軸飽和による艦隊打撃能力を強化する中、日本も同ミサイルを 400 発導入し、F-35A にはステルス対艦ミサイル JSM を搭載。 いわば、日米が一体で抑止の基盤を整える形だ。 日本独自の戦力整備も本格化している。 台湾に最も近い与那国・宮古・沖縄・奄美の列島線には最新型の地対艦ミサイル部隊を展開し、急機動 TVC ノズルを採用した 12 式改良型は迎撃を困難にする性能を持つ。 これに加え、ASM-3A や極超音速兵器 HVGP が段階的に整備され、射程 2,000 - 3,000 キロ級の多層的打撃圏が形成されつつある。中国側から見れば、日本列島そのものが "接近封鎖の火力壁" として立ち塞がる格好だ。 さらに注目されるのが、日本が開発する AI 基盤のモジュール式長距離対艦ミサイルである。 偵察・ジャミング・対艦・対地・貫通弾頭を先端モジュールで切り替える構造で、射程 2,500 キロ超を視野に入れている。 偵察モジュールが中国艦隊の位置を捉え、ジャミングが敵防空を無力化し、最後に対艦・貫通弾頭が中枢を叩くという、日本独自の高精度・飽和型運用が想定される。 最終的に、日本・米国・台湾の連携は一つの戦略へと収束する。 すなわち、「中国艦隊が台湾に近づく瞬間を、数百発規模の長距離ミサイルと無人機で覆い尽くす防衛線」を構築することである。 専門家が「時間は中国の味方ではない」と語るゆえんもここにある。 2030 年代にはこの地域に配備される火力が中国の対処能力を上回る見通しで、中国が 2027 年以前に動く可能性が指摘されるのも同じ理由からだ。 韓国も長距離打撃資産や原潜導入を模索しており、東アジアの安全保障環境はかつてない速度で再編されている。 日本としては、列島線が地域安定の要である以上、自国の防衛力強化こそ最も現実的な抑止策となる。 (望月博樹、江南タイムズ = 12-10-25) 南沙諸島に中国船 100 隻超、退役軍人や漁民ら「海上民兵」の船舶か … フィリピン沿岸警備隊に火炎弾 【ハノイ = 竹内駿平】 フィリピン沿岸警備隊は 6 日、中国が軍事拠点化している南シナ海・スプラトリー(南沙)諸島のスービ礁周辺などで、中国船 100 隻超を確認したと発表した。 発表によると、スービ礁周辺で中国の退役軍人や漁民らで構成する準軍事組織「海上民兵」を乗せたとみられる船舶 29 隻が停泊し、沿岸警備隊と警戒活動を行った比漁業水産資源局の航空機に対しフレア(火炎弾)が発射されたという。 中国と領有権を争うウィットスン礁(中国名・牛軛礁)周辺などでも民兵船計 72 隻などが確認された。 (yomiuri = 12-7-25) トランプ米大統領、台湾との関係めぐる法案に署名 中国は反発 トランプ米大統領は 2 日、台湾との関わりについて国務省に定期的な見直しを義務づける法案に署名し、成立させた。 ホワイトハウスが発表した。 関係強化につながると期待する台湾は歓迎する一方、中国は反発。 ただ、トランプ政権が対中関係で難しいかじ取りを迫られる中、今回の法律がどのように台湾政策に影響するかは不透明だ。 米国は 1979 年の中国との国交正常化後、台湾との正式な外交関係はない。 「台湾関係法」に基づいて軍事支援などを通じた関係を保つものの、その関与は抑制されてきた。 今回成立した「台湾保証実行法」は、今年 5 月に議会下院を、11 月に上院を通過。 少なくとも 5 年に 1 度、台湾との関係に関する指針を見直すよう国務省に求めている。 法案を提出したワグナー下院議員(共和党)は、「台湾との関係を強化し、中国共産党の危険なたくらみに対し強く立ち向かうとのメッセージを送るものだ」としている。 台湾総統府は 3 日の声明で「緊密な関係を支持するものだ」として歓迎。 「台湾は今後も米国と密接な意思疎通を保つ」とした。 台湾の中央通信社は、台湾側との交流をめぐって米側が設けてきた制限を取り払うことに重点を置いていると伝えた。 一方、中国外務省の林剣副報道局長は 3 日の定例会見で法成立について問われ、「中国は、米国が台湾とあらゆる形式の公式交流を行うことに反対している」と批判。 「台湾独立勢力に誤ったシグナルを送らないように促す」と米国を牽制した。 第 2 次トランプ政権は今夏、台湾の頼清徳(ライチントー)総統の米ニューヨークへの立ち寄りを認めなかったと伝えられる一方、10 月末の米中首脳会談の後になって、台湾への武器供与を 2 件承認している。 今回の法成立は、台湾への支持で超党派の合意がある議会だけでなく、トランプ政権の一定の関与を裏付ける動きといえそうだ。 (ワシントン・畑宗太郎、台北・高田正幸、北京・小早川遥平、asahi = 12-5-25) 20 隻以上の中国船や中国軍ヘリコプターがフィリピン公船を妨害 … 比 EEZ 内のスカボロー礁周辺 【ハノイ = 竹内駿平】 フィリピン沿岸警備隊は 13 日、南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)周辺で、比公船が中国船などから妨害を受けたと発表した。 同礁はフィリピンの排他的経済水域 (EEZ) 内にあるが、中国は 9 月に同礁の一部を「国家級の自然保護区」に指定するなど、実効支配の動きを強めている。 発表によると、同礁周辺で漁業者の支援をしていた比漁業水産資源局などの船舶が 13 日、中国海警局や、中国の退役軍人や漁民らで構成する準軍事組織「海上民兵」を乗せたとみられる船舶計 20 隻以上のほか、中国軍のヘリコプターなどから妨害行為を受けた。 この際、中国側からは「比船が自然保護区を損なう恐れがある」との無線連絡があったという。 比沿岸警備隊はこうした連絡は初めてだとし、声明で「同礁はフィリピンの不可分な一部だ」と強調した。 (yomiuri = 10-15-25) 中国船とフィリピン船が衝突 双方非難 領有権めぐり緊張続く南シナ海で再び フィリピン当局は領有権を巡って緊張が続く南シナ海で自国の船が中国船から放水などの攻撃を受けたと発表しました。 フィリピン沿岸警備隊は12日、フィリピンが実効支配する南シナ海のパグアサ島周辺で停泊していた当局の船に中国海警局の船が接近し、放水してきたと発表しました。 中国船はさらにフィリピン船に衝突し、損傷を与えたということです。 フィリピン側は故意に衝突されたと中国側を非難し、「威圧的かつ攻撃的な行動に対して断固として立ち向かう」と強調しています。 一方、中国海警局は「フィリピン船が領海に不法侵入した」と発表し、「相手の危険な接近が衝突事故を招いたもので、全責任はフィリピン側にある」と主張しています。 (テレ朝 = 10-12-25) 台湾・頼総統、防空システム「T ドーム」の構築を発表 圧力強める中国に対抗へ 台湾の頼清徳総統は「建国記念日」にあたる「双十節」の式典で、圧力を強める中国に対抗するため「T ドーム」と呼ばれる防空システムを構築すると発表しました。 (日テレ = 10-10-25) 米、中国「自然保護区」を「フィリピンとともに拒否」 スカボロー礁 中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)について、中国が 10 日に「自然保護区」を設定すると主張したことに対し、ルビオ米国務長官は 12 日、「同盟国フィリピンとともに、不安定化を招く中国の計画を拒否する」との声明を発表した。 スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域 (EEZ) 内にあるが、中国が実効支配している。 ルビオ氏は中国の主張について「隣国を犠牲にして全面的に南シナ海の領土・海洋権益の主張を推し進めようとするものであり、中国によるさらなる威圧的な試みだ」と批判した。 (ワシントン・青山直篤、asahi = 9-13-25) ◇ ◇ ◇ 中国、比と争うスカボロー礁に「自然保護区」 実効支配強化ねらう? 中国とフィリピンが領有権を争う南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)をめぐり、中国政府は 10 日、「国家級の自然保護区を新設することを承認した」と発表した。 中国による実効支配を強めるねらいがあるとみられる。 スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域 (EEZ) 内にあるが、中国が実効支配し、フィリピン漁船の航行を妨害するなどの措置をとってきた。 近年は中比両国が権利を明確化する法規制の策定や手続きを進めるなど、対立がエスカレートしている。 中国政府の 10 日の発表は、自然保護区について「黄岩島のエコシステムの多様性と安定性、持続可能性を守る」と説明。 中国の自然保護区条例などの法規制に従って違法行為への監督を強めるとしており、フィリピン側の漁業などに対してさらに強硬な措置を取る可能性もある。 南シナ海の大半について「歴史的権利」を持つとする中国側の主張に対し、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は 2016 年、国際法上の根拠がないとして否定する判決を出した。 判決では、中国がスカボロー礁周辺でフィリピンの漁業権を侵害し、サンゴ礁を破壊して海洋環境を保全する義務に違反しているとも認定された。 判決に強く反発してきた中国側が自然保護区の設定で、「中国こそが環境を守っている」という論法をとることも見込まれる。 (北京・斎藤徳彦、asahi = 9-10-25) 中国の海軍艦艇と海警船が衝突 南シナ海で比警備船追跡中 フィリピン政府は 11 日、中国と領有権を争う南シナ海のスカボロー礁付近で、中国海軍の艦艇が中国沿岸警備隊の船と衝突したと発表した。 衝突は中国側がフィリピンの沿岸警備隊の船を追跡中に発生した。 フィリピン沿岸警備隊のジェイ・タリエラ報道官によると、係争中のスカボロー礁付近での衝突は、この海域の漁業従事者に物資を配布する漁業水産資源局の船を沿岸警備隊が護衛していた際に発生した。 フィリピン政府が公開した動画には、中国海警の船と、船体に「164」と記されたはるかに大きな船が大きな音を立てて衝突する様子が映っていた。 「当時、(フィリピン沿岸警備隊の船) BRP スルアンを(中国海警の船)CCG3104 が高速で追跡していた。 CCG3104 は BRP スルアンの右舷後方から危険な操縦を行い、そのまま中国人民解放軍海軍の軍艦と衝突した」とタリエラ氏は説明。 「衝突により、CCG 船の船首部に大きな損傷が生じ、航行不能となった」と続けた。 現時点で在フィリピン中国大使館はコメントの要請に応じていない。 死傷者の有無も不明だ。 タリエラ氏は AFP に対し「フィリピン側からの支援申し出に対し、中国側は一切応答しなかった」と語った。 (AFP/時事 = 8-11-25) 台湾有事描く異例ドラマ配信で賛否両論 制作者「危機向き合って」 中国の台湾侵攻や浸透工作が題材の台湾ドラマ「零日攻撃 ZERO DAY ATTACK」の放送や配信が 8 月から始まり、日本でも同月 15 日からアマゾンプライムビデオで配信される。 台湾有事を扱った映像作品が台湾で制作されるのは異例だ。 現実に迫る危機を取り上げているとして評価する声がある一方、台湾当局の補助金が出ていることから、「(中国と距離を置く)民進党のプロパガンダ」との批判もあり、議論になっている。 台湾東部沖で墜落した偵察機の救助を名目に中国軍が海空軍を派遣し、台湾を海上封鎖する - -。 ドラマはこうしたシナリオから始まり、サイバー攻撃やフェイクニュース、浸透工作によって台湾社会が混乱に陥るなか、様々な選択をする人々の姿を描いていく。 計 10 話を複数の監督が手がけている。 現実でも台湾に対する中国の軍事的圧力は強まっている。 プロデューサーの鄭心媚さんは、作品制作の背景に「侵略が近づいているという切迫感」があったと語る。 台湾の危機、「無関心ではなく語らないだけ」 「感覚がまひした台湾の人々への警告」の意図もあったというが、予告編を公開した後に巻き起こった議論を通じて、台湾の人々が危機に対して「無関心ではなく、語らないだけだということがわかった」という。 危機が迫っている現実に「向かい合って欲しい」とも語る。 総制作費の約 2 億 3 千万台湾ドル(11 億 6 千万円)のうち 4 割超は当局からの補助金や投資によるものだ。 台湾当局や軍から協力を受けて撮影した場面もある。 野党からは「民進党が(中国の危機を強調する)認知戦に利用している」と批判も受ける。 鄭さんは当局側から「内容を審査したいという要求はなかった」と明かした上で、「危機は現実だ」と批判に反論する。 中国からの「圧力」も 中台関係を正面から扱った作品が異例なのは、中国による圧力もあるからだという。 政治的に敏感な話題を扱うことによって中国市場を失うリスクから参加を断念した監督や俳優、匿名を求めたスタッフもいるという。 「中国は台湾(の映像界)にとって非常に大きな市場であるがゆえに影響力を持っている」と鄭さんは話す。 ただ、そうした障害が作品を手がける動機にもなったという。 「この作品をつくる理由の一つは、敏感な話題であっても台湾が自由に創作を出来る場所だということを示すためでもある」と話す。 日本からは、日台にルーツを持つ役柄を演じる高橋一生さんのほか、水川あさみさんも出演する。 (台北・高田正幸、asahi = 8-2-25) 中国の「グレーゾーン作戦」に危機感 台湾当局が高雄で海上演習公開 台湾の海巡署(海上保安庁に相当)は 8 日、南部・高雄の高雄港で海空軍などとの合同演習「海安 12 号」を公開で行った。 台湾が実効支配する離島周辺では、中国公船が台湾の定めた制限水域に侵入する事案が相次ぎ、台湾側は対応力強化が急務となっている。 演習は 2 年に 1 度行われていて、今年は海巡署の巡視船・巡視艇計 13 隻や海軍の対潜ヘリコプターなどが参加。 テロ組織のメンバーが台湾本島と離島を結ぶ客船を乗っ取り、近くの天然ガス備蓄基地を攻撃しようとしているとの想定で行われた。 高速ボートに乗った海巡署の特殊部隊は、ヘリコプターと連携しながら客船を追跡。 舷側にかけたロープを使って、客船に乗り込んで制圧した。 視察した頼清徳総統は、武力行使に至らない手段で脅威を与える中国の「グレーゾーン作戦」に直面しているとの認識を示し、第一線で対峙する海巡署員を激励。 「台湾人の安全と尊厳を守るために、海巡署には最新の装備と科学技術を備えさせなくてはならない」と訴えた。 少数与党の頼政権は予算審議で野党の反対にあっている。 今回の演習には、海巡署の役割を強調して、態勢強化への協力を野党側に呼びかける狙いもある。 海巡署が重視される背景には、中国・福建省の対岸にある金門島や南シナ海北部の東沙諸島周辺での中国船の動きへの警戒感がある。 金門島では 2024 年 2 月に海巡署公船の取り締まりから逃れようとした中国漁船が転覆し、中国人 2 人が死亡した事件をきっかけに、中国海警局がパトロールの常態化を宣言している。 高雄の南西約 450 キロにある東沙諸島では、今年に入り中国船の動きが活発化。 サンゴ礁が主体の島は台湾当局が公立公園として周辺での漁業を禁止しているが、海巡署によると絶滅危惧種のアオウミガメなどを狙った中国漁船が船団を組んで漁をするケースが増加している。 台湾が定めた制限水域に入った中国船は 23 年に 11 隻、24 年に 33 隻だったが、今年は 5 月上旬時点で 30 隻を数える。 3月には台湾の巡視船が中国漁船を制限水域から追い払おうとしていたところ、海警局の公船が水域に侵入して中国漁船に乗船検査を行おうとした。 漁船を伴って水域に現れ「法執行」を既成事実化して、対外的にアピールするのが目的とみられる。 中国海警局は、フィリピンと領有権を争うスカボロー礁など南シナ海でも活動を活発化させている。 海巡署関係者は「海警局の公船が南シナ海からの帰路に、わざと東沙諸島に近づいていやがらせしている可能性もある」と指摘。 「台湾の主権に対する脅威であるだけでなく、海洋生態系の保護という国際社会の理念にも反する」と訴えた。 (高雄・林哲平、mainichi = 6-8-25) 中国軍、台湾周辺で演習 「重大な警告」 実施当初の公表は今年初 中国軍東部戦区は 1 日朝、同日から台湾周辺で演習を始めると発表した。 陸海空、ロケットの各軍の兵力が参加する。 報道官は声明で、「『台湾独立』勢力に対する重大な警告」であり、「正当かつ必要な行動だ」としており、中国政府が敵視する台湾の頼清徳(ライチントー)政権に圧力をかける狙いとみられる。 台湾周辺の演習をめぐり、実施当初から公表するのは今年初めて。 昨年は「連合利剣」と称する演習を台湾周辺で 2 回展開した。 今回の発表では、演習は陸海空・ロケット軍の合同で、多方向から台湾島へ接近するほか、パトロールや関連の海域、陸への攻撃、主要な海域や航路の封鎖などを重点的に訓練し、実戦能力をテストするとしている。 台湾国防部(国防省に相当)によると、中国の空母「山東」の艦隊が 3 月 31 日、台湾周辺の海域に入った。 軍による監視を行っているという。 (北京・畑宗太郎、台北・高田正幸、asahi = 4-1-25) 中国が海底ケーブル切断装置開発 深海で作業可 香港紙「重要なネットワーク混乱させる」 中国船舶科学研究センター (CSSRC) が世界で最も強固な海底通信線や電力線を切断できる小型の海底ケーブル切断装置を開発した。 香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)が 22 日配信した。 同紙はケーブル切断装置について「重要な海底ネットワークを混乱させる可能性のある資産を公開した初のケースとなった」と指摘している。 中国の最新潜水艇と統合 CSSRC のケーブル切断装置は 2 月 24 日に中国の学術誌「メカニカル・エンジニア」で論文を公表した。 深さ 4 千メートルで切断作業が可能で、世界のデータ伝送の 95% を占めるという鋼鉄、ゴム、ポリマーで被覆された装甲ケーブルをターゲットにしている。 中国の有人無人の最先端の深海潜水艇と統合できるように設計されている。 水圧 400 気圧を超える中、切断装置の破裂を防止し、作業中の海洋堆積物の撹拌(かくはん)を最小限に抑えるなど技術的課題が克服されたという。 ダイヤモンドでコーティングされた直径 15 センチの研削砥石の刃が毎分 1,600 回転し、ロボットアームで操作される。 一方、台湾の沿岸警備当局が 2 月 25 日、中国人が乗った貨物船が海底ケーブルを損傷させた疑いで捜査していると発表するなど台湾周辺やバルト海では不審な海底ケーブル切断事案が相次いでいる。 武力行使に至らない「グレーゾーン」の攻撃の可能性がある。 同紙は米国の西太平洋のグアムなど戦略拠点付近でケーブルが切断されれば、地政学的危機の際、世界の通信が不安定化する可能性があるなどと懸念を伝える一方、CSSRC の開発チームは今回の切断装置の開発は海洋資源開発に役立つと主張している。 (sankei = 3-25-25) ◇ ◇ ◇ 台湾当局、中国人乗組員の貨物船を捜査 海底ケーブル損傷の疑い 台湾の海巡署(海上保安庁に相当)は 6 日、カメルーン船籍の貨物船が台湾北部の海域で海底ケーブル 4 本を損傷させた疑いがあり、捜査していると発表した。 台湾の中央通信社によると、貨物船のオーナーは香港籍で、乗組員 7 人全員が中国籍。 海巡署は「真意は確認できない」としつつ、意図的な妨害行為である可能性も排除できないと指摘している。 海巡署などによると、3 日昼に通信会社からの通報を受けて現場に船を派遣。 台湾北部約 13 キロの海域で貨物船を確認したが、気象条件が悪く乗船できなかったという。 貨物船は韓国の釜山港に向かったことから、韓国側に協力を依頼した。 中央通信社によると、損傷したのは台湾と米国の西海岸をつなぐ海底ケーブル。 米国や日本の通信業者も利用しているという。 (台北・高田正幸、asahi = 1-7-25) |