中国軍、台湾周辺で演習 「重大な警告」 実施当初の公表は今年初 中国軍東部戦区は 1 日朝、同日から台湾周辺で演習を始めると発表した。 陸海空、ロケットの各軍の兵力が参加する。 報道官は声明で、「『台湾独立』勢力に対する重大な警告」であり、「正当かつ必要な行動だ」としており、中国政府が敵視する台湾の頼清徳(ライチントー)政権に圧力をかける狙いとみられる。 台湾周辺の演習をめぐり、実施当初から公表するのは今年初めて。 昨年は「連合利剣」と称する演習を台湾周辺で 2 回展開した。 今回の発表では、演習は陸海空・ロケット軍の合同で、多方向から台湾島へ接近するほか、パトロールや関連の海域、陸への攻撃、主要な海域や航路の封鎖などを重点的に訓練し、実戦能力をテストするとしている。 台湾国防部(国防省に相当)によると、中国の空母「山東」の艦隊が 3 月 31 日、台湾周辺の海域に入った。 軍による監視を行っているという。 (北京・畑宗太郎、台北・高田正幸、asahi = 4-1-25) 中国が海底ケーブル切断装置開発 深海で作業可 香港紙「重要なネットワーク混乱させる」 中国船舶科学研究センター (CSSRC) が世界で最も強固な海底通信線や電力線を切断できる小型の海底ケーブル切断装置を開発した。 香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)が 22 日配信した。 同紙はケーブル切断装置について「重要な海底ネットワークを混乱させる可能性のある資産を公開した初のケースとなった」と指摘している。 中国の最新潜水艇と統合 CSSRC のケーブル切断装置は 2 月 24 日に中国の学術誌「メカニカル・エンジニア」で論文を公表した。 深さ 4 千メートルで切断作業が可能で、世界のデータ伝送の 95% を占めるという鋼鉄、ゴム、ポリマーで被覆された装甲ケーブルをターゲットにしている。 中国の有人無人の最先端の深海潜水艇と統合できるように設計されている。 水圧 400 気圧を超える中、切断装置の破裂を防止し、作業中の海洋堆積物の撹拌(かくはん)を最小限に抑えるなど技術的課題が克服されたという。 ダイヤモンドでコーティングされた直径 15 センチの研削砥石の刃が毎分 1,600 回転し、ロボットアームで操作される。 一方、台湾の沿岸警備当局が 2 月 25 日、中国人が乗った貨物船が海底ケーブルを損傷させた疑いで捜査していると発表するなど台湾周辺やバルト海では不審な海底ケーブル切断事案が相次いでいる。 武力行使に至らない「グレーゾーン」の攻撃の可能性がある。 同紙は米国の西太平洋のグアムなど戦略拠点付近でケーブルが切断されれば、地政学的危機の際、世界の通信が不安定化する可能性があるなどと懸念を伝える一方、CSSRC の開発チームは今回の切断装置の開発は海洋資源開発に役立つと主張している。 (sankei = 3-25-25) ◇ ◇ ◇ 台湾当局、中国人乗組員の貨物船を捜査 海底ケーブル損傷の疑い 台湾の海巡署(海上保安庁に相当)は 6 日、カメルーン船籍の貨物船が台湾北部の海域で海底ケーブル 4 本を損傷させた疑いがあり、捜査していると発表した。 台湾の中央通信社によると、貨物船のオーナーは香港籍で、乗組員 7 人全員が中国籍。 海巡署は「真意は確認できない」としつつ、意図的な妨害行為である可能性も排除できないと指摘している。 海巡署などによると、3 日昼に通信会社からの通報を受けて現場に船を派遣。 台湾北部約 13 キロの海域で貨物船を確認したが、気象条件が悪く乗船できなかったという。 貨物船は韓国の釜山港に向かったことから、韓国側に協力を依頼した。 中央通信社によると、損傷したのは台湾と米国の西海岸をつなぐ海底ケーブル。 米国や日本の通信業者も利用しているという。 (台北・高田正幸、asahi = 1-7-25) 中国製水中ドローンを回収か フィリピン沖で発見、比海軍が調査開始 フィリピン軍は 2 日、中国製とみられる水中ドローンが、12 月末にフィリピン中部マスバテ沖で回収されたと明らかにした。 フィリピンは南シナ海の領有権をめぐり中国と対立しており、海軍が発射地点や目的を特定するための調査を始めた。 軍や警察によると、12 月 30 日朝、マスバテ州サンパスクアルの沖合 9 キロ付近で、地元の漁師が海面に浮かんでいる水中ドローンを発見した。 警察が地元の役場から通報を受け、回収した。 ドローンは全長約 2 メートルで、黄色い塗装が施され、「HY-119」と記されている。 調査はまだ完了していないが、警察は HY-119 について、「中国の水中航行・通信システム」で、「監視や偵察の用途がある」との見立てを示している。 昨年 6 月には、西部沖の南シナ海にあるサビナ礁付近で中国の調査船が確認された。 潜水艦が通過可能な場所を中国側が把握できるようになるとして、フィリピン側は警戒を強めていた。 軍のトリニダッド報道官は「我が国の海洋領域の安全保障のため、全力を尽くす」とし、今回の水中ドローンを徹底的に調べる方針を示した。 中比は南シナ海の領有権をめぐり対立している。 近年は双方の船同士が衝突したり、中国船がフィリピン船に放水したりして、負傷者も出るなど危険な事態が続く。 12 月 23 日には、フィリピン軍が米軍の中距離ミサイルシステム「タイフォン」の取得を計画していることを明らかにし、中国が反発していた。 (マニラ・大部俊哉、asahi = 1-2-25) 上海副市長が訪台、中台「家族」強調 中国、硬軟織り交ぜアプローチ 中国上海市の華源副市長が台湾を訪れて 17 日に台北市であった両都市が交流するフォーラムに参加した。 華氏はあいさつで「両岸(中台)の同胞は一つの家族である」と強調し、両都市間の交流強化などを主張した。 同フォーラムは 2010 年から台北や上海で開かれており、今年で 15 回目。 華氏は約 2 万 3 千社の台湾企業が上海に進出し、上海から中国本土に入った台湾の人々は今年だけで延べ 50 万人にのぼるなどと言及。 上海市が打ち出している台湾企業などに対する優遇策も「迅速に実行している」と強調した。 今回のホスト役にあたる台北市の市長(国民党)も「対話の機会を増やし、対立を減らすことが必要だ」と交流の重要性を訴えた。 フォーラムでは双方のパンダ交流などに関する覚書も交わした。 中国側は「独立派」とみなす民進党の頼清徳(ライチントー)政権への圧力を強める一方、国民党側とは交流を深めるなど、台湾の与野党に対して「圧力」と「融和」の硬軟織り交ぜたアプローチを進めている。 中国の大学や各地方政府などは今年、台湾の若者のイメージ向上を狙い、台湾の学生らを招く交流イベントを矢継ぎ早に開いている。 18 日からは国民党の馬英九(マーインチウ)元総統が率いる学生の交流団が黒竜江省ハルビンや四川省成都を訪れる。 一方、台湾当局関係者によると、中国軍と海警局は 11 日ごろにかけ、東シナ海から南シナ海、台湾海峡の広い範囲に多くの艦船などを展開。 今年 5 月と 10 月のように軍事演習を宣言していないものの、民進党政権に対する「新たな形の圧力」との見方も出ている。 台湾で対中政策を担う大陸委員会は、今回のフォーラムに関して訪台の申請があった人物のうち、上海市の台湾政策部門の幹部やメディア関係者ら計 11 人の訪台を認めなかった。 同委は中国側が 6 月に台湾独立を目指す動きに対する刑罰のガイドラインを公表したことなどを受け、台湾問題に関わる中国側の人員の訪台を「厳しく審査している」と説明。 上海市側が大陸委員会側との面会を拒否したことも明かした。 (台北・高田正幸 北京・畑宗太郎、asahi = 12-17-24) 「中国が飛行制限エリアを設置」台湾側が発表 軍事演習に警戒強まる 台湾国防部(国防省に相当)は 9 日、中国軍が沿岸部の福建省と浙江省の東部の空域に同日から 3 日間にわたって航空機の飛行を制限する七つのエリアを設けた、と発表した。 台湾では頼清徳(ライチントー)総統が外遊したことを受けて中国軍が台湾周辺で軍事演習を行うとの観測があり、台湾国防部は緊急対応センターを設置するなどして情報収集と警戒を強化している。 9 日の台湾国防部の発表によると、中国軍や海警局の船が台湾海峡周辺や西太平洋の海域で活動していることを確認した。 また、台湾の海巡署(海上保安庁に相当)も今月 6 日以降、台湾の東部や南西部の海域で計 7 隻の中国海警局船を確認したという。 頼氏は 11 月 30 日 - 12 月 6 日の日程で三つの太平洋島嶼(とうしょ)国を訪問、「経由地」として米ハワイや米領グアムも訪問し、米下院議長や上院議員らと電話やオンライン会議をした。 これに対し、中国外務省は「断固とした強力な措置を採る」と対抗措置を示唆していた。 (台北・高田正幸、asahi = 12-9-24) ◇ ◇ ◇ 中国が台湾周辺で軍事演習 5 月以来「独立勢力を震え上がらせる」 中国軍は 14 日朝、台湾周辺で軍事演習を行ったと発表した。 台湾周辺での大規模な軍事演習は 5 月末以来。 中国が「独立派」として警戒する台湾の頼清徳(ライチントー)政権への圧力を高める狙いとみられる。 中国軍の東部戦区の発表によると、陸海空とロケットの各軍が参加。 発表された地図では、5 月の演習に続き、台湾を取り囲むように演習区域を設定している。 主要な港などの封鎖、陸上や海上への攻撃など総合的な作戦能力の検証を行う。 演習について、「台湾独立勢力を震え上がらせる。 国家主権を守り、国家統一を維持するために必要で正当な行為だ。」としている。 中国海警局も 14 日、四つの編隊が台湾を取り囲むように周辺海域をパトロールすると発表。 同局は 5 月の演習にも参加しており、軍との連動性を高める狙いがあるとみられる。 台湾の頼総統は 10 日、建国記念日にあたる「双十節」の式典で演説し、「中華民国と中華人民共和国は互いに隷属しない」と語り、台湾は中国の一部だとして中国が主張する「一つの中国」原則を受け入れない姿勢を強調。 中国政府は「両岸(中台)の対立をあおった」と強く反発していた。 中国軍が台湾周辺での軍事演習を行うと発表したことに対し、台湾国防部(国防省)は 14 日朝、「非理性的な挑発行為を強く非難する」とするコメントを発表した。 「適当な兵力を派遣し対応する」として、警戒や監視を強化する考えも表明した。 国防部は同じコメントで、10 日の頼氏の演説について、「両岸(中台)の現状を示し、台湾海峡の平和と安定を守る断固とした意思を示した」と説明した。さ らに気候変動分野での協力や共栄の追求など前向きな提案を行っていたと指摘。 中国側が「挑発」などとしていることについて、「事実と完全に異なる」と訴えた。 (北京・井上亮、台北・高田正幸、asahi = 10-14-24) 中国海警局の船がフィリピン巡視船に放水 南シナ海スカボロー礁付近 フィリピン沿岸警備隊は 4 日、南シナ海のスカボロー礁周辺で巡回中の漁業水産資源局の巡視船が、中国海警局の船から 2 度放水されるなどの妨害を受けたと発表した。 比沿岸警備隊のタリエラ報道官は放水を「敵対行為」と強く非難した。 タリエラ氏によると、中国海警局の船は 4 日早朝、巡視船のアンテナをめがけて放水し、側面に激突した後、再び放水砲を使った。 また中国側は他の比巡視船の進路を妨害したり、300 ヤード(約 275 メートル)の距離まで迫る危険航行をしたりしたという。 スカボロー礁は中国が実効支配するが、フィリピンの排他的経済水域 (EEZ) 内にあり、放水を受けたのは同礁から 16 カイリ(約 30 キロ)の位置だったという。中国側は 4 月にもスカボロー礁周辺で比巡視船に放水砲を使用し、船舶を損傷させた。 (バンコク・石山絵歩、minichi = 12-4-24) スカボロー礁に中国が領海基線、フィリピン外務省が非難声明 【ハノイ = 竹内駿平】 フィリピン外務省は 13 日、中国政府が南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)に、領海設定の基準となる「領海基線」を定めたことについて、駐比中国大使を呼んで抗議した。 同省はこの日、「基線はフィリピンの主権を侵害し、国際法に違反している」と中国を非難する声明を出した。 フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領が 8 日、南シナ海で自国の海域と権限の及ぶ範囲を明確化する法律に署名したのに対し、中国政府は対抗する形で 10 日に基線の設定を発表していた。 スカボロー礁はフィリピンの排他的経済水域 (EEZ) 内にあるが、領有権を主張する中国は一方的に基線を決定し、両国の応酬が激化している。 (yomiuri = 11-14-24) 南シナ海でインドネシアの調査船を妨害 中国「主権有する」と主張 インドネシア海上保安機構は 24 日、南シナ海の南端にある同国の排他的経済水域 (EEZ) に、中国海警局の船 1 隻が侵入し、活動中だった調査船を妨害したと発表した。 インドネシアと中国は同海域の海洋権益をめぐって対立している。 海上保安機構などによると、23 日、南シナ海の南端にあるナトゥナ諸島北側の EEZ に中国船が侵入。 同海域にいた国営石油会社の調査船に接近し、妨害する動きを見せた。 調査船は石油や天然ガス採掘に向けた地震データなどの採集をしていた。 その後、現場に到着した海上保安機構が中国船を追尾し、EEZ 外に追い出したという。 同海域には、21 日にも同じ中国海警局の船が侵入していた。 海上保安機構が公開した動画によると、当局が無線で呼びかけると、中国船から「中国は南沙諸島とその周辺海域に対し、明白な主権を有している」と応答があった。 経済的結びつき「脅かす」 ナトゥナ諸島の北側に広がる EEZ は、中国が自国の権利が及ぶ境界線として主張する「9 段線」と重なる。 インドネシア政府が 2017 年に同海域を「北ナトゥナ海」と名付けると、翌年以降、海域に姿を現す中国船が目立ち始めた。 海上保安機構は 21 日、「インドネシアの主権と権利が維持されるよう、引き続き集中的なパトロールと監視を実施していく」とコメントした。 インドネシアでは 20 日に新大統領が就任したばかりだ。 英字紙ジャカルタ・ポストは 25 日、今回の中国船の EEZ 侵入がプラボウォ大統領の就任直後に発生したことなどに触れ、「インドネシアと中国の緊密な経済関係を脅かすものだ」と報じた。 ロイター通信によると、中国外務省は 24 日、海警局は「国際法と国内の法律に従って、中国の管轄海域で定期的な巡航」を行っていると説明したという。 南シナ海では、中国とフィリピンやベトナムなどが領有権をめぐって対立している。 (ジャカルタ・半田尚子、asahi = 10-25-24) バイデン氏、クアッド会談で本音? 中国への非難、マイクに拾われる バイデン米大統領は 21 日、日米豪印 4 カ国による戦略対話「QUAD (クアッド)」の首脳会合で、中国が南シナ海や台湾海峡などで「攻撃的な行動」を続けていると批判した。 AP 通信などが伝えた。 首脳会合の冒頭の報道陣への公開が終わった後に、バイデン氏の発言がマイクに拾われたのだという。 AP 通信によるとバイデン氏は、地元デラウェア州ウィルミントン近郊で開いた首脳会合で、岸田文雄首相、豪州のアルバニージー首相、インドのモディ首相を前に「中国は南シナ海、東シナ海、東南アジアや台湾海峡で攻撃的な行動を続け、我々を試している」と述べた。 また習近平(シーチンピン)国家主席を名指しし、自国の利益を推進するために外交を利用しようとしている、と述べた。 米高官「中国に焦点あてていない」 米政府はクアッドについて、「中国に焦点をあてているわけではない(サリバン大統領補佐官)」と説明してきた。 報道陣に公開されたこの日の冒頭発言でも、バイデン氏は中国についての言及は控えていた。 だが、クアッドの他の首脳と厳しい中国観を共有したいというバイデン氏の「本音」が伝わってしまったようだ。 バイデン氏は、習氏が「国内の経済問題に焦点をあて、中国の外交関係における混乱を最小限に抑えようとしている」とも指摘したという。 バイデン氏は昨年 11 月、米カリフォルニア州で習氏と直接会談した。今年 8 月にはサリバン氏が訪中。 バイデン氏の退任が近づくなか、米側は今秋にも、再び対面での米中首脳会談を開くことを目指している。 (ウィルミントン・清宮涼、asahi = 9-22-24) フィリピンが巡視船の撤退を表明 中国と領有権を争う南シナ海・サビナ礁に停泊中 交替の船を派遣 【バンコク = 藤川大樹】 フィリピン政府は 15 日、中国と領有権を争う南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島のサビナ礁に停泊していたフィリピン沿岸警備隊の巡視船「テレサ・マグバヌア」の撤退を発表した。 中国が同船の撤退を求めていた。 ただ、フィリピンは同船に代わる巡視船を派遣しており、緊張緩和につながるかは不透明だ。 ◆ 両国の当局船が衝突するなど緊張が続いていた 現地からの情報によると、テレサ・マグバヌアは 14 日にサビナ礁を離れ、15 日午後、西部パラワン島のプエルトプリンセサに到着した。 フィリピン国家海事評議会は声明で「侵入者たちの船団による包囲網に挑み、荒天と闘い、乗組員たちは食料の減少に耐えながら生き延びた」とねぎらった。 同船は修理を受け、乗組員は休暇を取るという。 フィリピンの排他的経済水域 (EEZ) 内にあるサビナ礁では中国が埋め立てを始めたとされ、フィリピンは 4 月以降、テレサ・マグバヌアを配備。 中国海警局の艦船がフィリピン船に衝突するなどの事案が相次ぎ、緊張が高まっていた。 (東京新聞 = 9-17-24) 「台湾より南シナ海で衝突のリスク大」 専門家ら、米中関係巡り討論 中国軍部は 12 - 14 日、各国の防衛当局者や学者らによる安全保障対話「香山フォーラム」を北京で開いた。 米中対立が深まるなか、中国側は対米関係を重視する姿勢をにじませた。 各国からは、南シナ海で緊張が高まる現状を危惧する声が相次いであがった。 2006 年に始まったこのフォーラムは、今回が 11 回目。 名前は紅葉で有名な北京郊外の香山のふもとで第 1 回が開かれたことにちなむ。 100 を超える国や国際機関から参加があり、イスラエルやウクライナの関係者も発言した。 中国側には、米欧中心ではない独自のプラットフォームで、国内や途上国など向けの発信を強める狙いがある。 米中関係をテーマとした 13 日の分科会では、多くの登壇者が衝突の懸念は「台湾よりも南シナ海の方が大きい」との見方を示した。 米ランド研究所のデレク・グロスマン上級防衛分析員は、全体として米中の直接衝突の可能性は「極めて低い」とした上で、「南シナ海で可能性がより大きいのは明らかだ」と指摘した。 (asahi = 9-15-24) ◇ ◇ ◇ 中国国防相、台湾・南シナ海の主張を封印 途上国へ前向き姿勢 PR? 中国の董軍国防相は 13 日、北京で開催中の多国間の安全保障対話「香山フォーラム」の開幕式で演説した。 国際会議などの場でたびたび展開してきた台湾や南シナ海に関する主張や対米批判を封印し、同フォーラムに高官を派遣した米国に配慮を示した形となった。 フォーラムは中国軍部が 100 以上の国や国際機関から専門家を招き、12 日から開催している。 米国防総省は昨年よりも高位のマイケル・チェイス国防次官補代理を派遣すると発表している。 ■ 軍人の訓練も「歓迎」 アフリカで 6 千人育成表明 董氏の演説は、新興・途上国を指す「グローバルサウス」を意識した発言が目立った。 董氏は「東西南北を問わず、全ての国は平等であり、対等な立場で自国の正当な権利と利益を守るべきだ」と強調。 途上国も他国に左右されずに自主独立した外交政策を進める権利があると述べた。 その上で、中国は「実務的で開放的な」軍事協力を各国と進めると表明。 「中国は各種の訓練を積極的に開き、各国軍隊が訪中して訓練を受けることを歓迎する」と述べた。 中国は先週、アフリカ各国首脳らを招いた「中国アフリカ協力フォーラム」で 10 億元(約 200 億円)の軍事援助を提供し、軍人 6 千人を育成すると表明している。 (asahi = 9-13-24) ドイツ軍艦が台湾海峡通過 22 年ぶり、国際秩序変更に警戒感 ドイツ海軍のフリゲート艦と補給艦が 13 日、台湾海峡を通過していることがわかった。 ピストリウス独国防相が同日、記者会見で明らかにした。 独海軍によると、同軍のフリゲート艦が台湾海峡を通過するのは 2002 年以来、22 年ぶり。 中国はドイツにとって昨年まで 8 年連続で最大の貿易相手国。 ただ、独政府は昨年決めた初の対中戦略で、経済の依存関係を見直す方針を打ち出すとともに、中国が地域覇権をめざし、ルールに基づく既存の国際秩序を変えようとしていると警戒を強めていた。 ピストリウス氏は会見で、台湾海峡について「国際水域」とし、最短のルートであるため通過すると説明した。 独海軍によると、両艦は米ハワイ沖での環太平洋合同演習(リムパック)に参加後、8 月に東京に寄港。 その後、韓国からフィリピンに向かう予定だった。 その途中で台湾海峡に入ったとみられる。 中国軍によると、台湾海峡を通過する他国の艦船の大部分は、「航行の自由作戦」を行う米国だ。 欧州に限ると英国海軍のフリゲート艦が通過した 21 年 9 月までさかのぼる。 中国外務省の毛寧副報道局長は 13 日の記者会見で「航行の自由を名目に中国の主権と安全を挑発し、危険にさらすことには断固反対する」と反発した。 独政府は昨年 7 月、対中戦略をまとめた外交政策の指針を初めて策定し、中国を「パートナー」としつつも「体制上のライバル」とした。 指針の中で「台湾海峡の現状は、平和的な手段と双方の合意によってのみ変更しうる」とし、軍事的な緊張関係の高まりはドイツの利益にも影響すると強調していた。 ドイツは自動車などに使う半導体を台湾企業から調達している。(ベルリン・寺西和男、北京・井上亮、asahi = 9-13-24) 「中国が 6 カ月以内に台湾の主要な島を隔離する可能性がある」アメリカのシンクタンクが警告
台湾周辺海域での最近の中国の攻撃的な作戦行動は、中国が脆弱なこの海域の主要な島を 6 カ月以内に占拠する可能性があることを示唆していると戦争アナリストが警告している。 そのような短期的な電撃作戦は、台湾の中国支配への抵抗を維持するための鍵となるアメリカとその同盟国にどのように対応すればよいのかという疑問を巻き起こす可能性がある。 戦争研究所 (IWS) とアメリカンエンタープライズ公共政策研究所 (AEI) の最新の報告書は、台湾の金門島を占領しようとする中国の作戦がどのようなものになり得るかを詳しくまとめている。 報告書は中国海警局による攻撃的な行動が今年になって急増していることから、中国がわずか 6 カ月以内にこの島を支配下におく行動を起こしかねないと指摘している。 2024 年初め、台湾の人々は民主進歩党(民進党)の頼清徳を総統に選んだ。 これは、中国の敵意を抑えて台湾の自治を守ることに対する人々の懸念を浮き彫りにした歴史的な動きだった。 頼氏の勝利は前例のないことで、3 期連続で民進党の総統になった。 これは中国にとっては好ましくない結果だった。 北京政府は頼氏を分離主義者だとし、彼の勝利に対して、台湾を標的とした一連の制裁措置を講じた。 その中で、最も注目すべきことは、中国が台湾の離島への支配力を弱めるための取り組みを開始し、以前は台湾の「金門島と馬祖島周辺海域の事実上の管轄権」を尊重していたにもかかわらず、そのエリアにおける台湾の主張を否定する姿勢に変えたことだと報告書はまとめている。 報告書は、演習中に中国が「これらの海域で法執行機関によるパトロールを自由に行う権利」を主張したと指摘している。 金門島沖で起きた転覆事件をきっかけに、船舶への乗船や捜索、抑留などの動きが出てきたという。 金門島と馬祖島は中国本土に近い 2 つの島で、厦門と福州の沖合いにある。 ここ数カ月間、これらの島周辺での中国の活動、特に中国海警局による活動が増加しており、特に 5 月の頼総統の就任式や、その後の台湾周辺での大規模な中国軍演習中に急増した。 中国の定期的な台湾海域への侵入は懸念事項であるが、報告書は、中国が海警局を使って金門島周辺に「隔離」区域を設定し、さらなる武器や「禁輸品」の流入を阻止するなど、事態がエスカレートする可能性があるとした。 その場合、中国は「この地域に入るすべての台湾船舶を捜索し、『禁輸品』を没収して『分離主義者』を逮捕する可能性がある」という。 大半の民間船舶は検問の後に通行を認められるが、中華民国の政府船舶の多くは阻止されると報告書は述べている。 特定の地域へのあらゆる動きを阻止する戦争行為となる封鎖とは異なり、キューバ危機でアメリカが行ったような隔離措置は、特定の物品の動きを制限するものであり、封鎖とはみなされないだろう。 その境界線はかなり曖昧で、中国と台湾のシナリオでは、ストーリーをコントロールし、その事件に関する情報がどれだけ広まるかにかかっているだろう。 これらの行動がどのように受け止められるかを予想することは難しい。 中国は、武器やいわゆる禁制品の動きを阻止する試みを行うことで、隔離状態を維持できる。 そして、この隔離によって、中国は金門島と馬祖島について、台湾の他の地域とのアクセス、通信、などを遮断し、これらを孤立させ、中国政府の支配に屈することを余儀なくさせる可能性がある。 ここでの最大の問題は、そのような出来事がアメリカとその同盟国を、意思決定者にとって適切な対応がわかりにくいグレーゾーンに陥れる可能性があることだ。 短期的には、これはアメリカの国内政治によってさらに複雑になりかねない。 2024 年初めに発表された ISW と AEI の紛争と安全保障の専門家による別の報告書で、アメリカは「侵略には程遠いが、それでも台湾を北京の支配下に置くような強制的な作戦」に対する準備ができていないとしており、そのような作戦の要素はすでに進行中だと指摘している。 近い将来、金門島と馬祖島が隔離される懸念はあるが、アメリカがそれを阻止するため、また、中国の行動に対抗するために行うべき措置があるという。 報告書は、アメリカ、台湾、そして同盟国は、このような作戦を正当化する中国の偽りのプロパガンダを否定し、台湾周辺地域で通信インフラの耐久性を高め、海上法執行を強化するべきだとしている。 (Chris Panella、Business Insider = 8-30-24) 南シナ海で中国とフィリピンの船衝突 6 日前と同じ海域、緊張高まる 中国海警局は 25 日、南シナ海のサビナ礁(中国名・仙賓礁)付近の海域で、海警局の船にフィリピン籍の船が故意にぶつかる事案があったと発表した。 一方、フィリピン当局は同日、「中国側から接近し、衝突を引き起こした」と発表した。 この海域では 19 日にも両国船の衝突事案があったばかりで緊張が高まっている。 サビナ礁はフィリピンの排他的経済水域 (EEZ) 内にあり、中国も領有権を主張。 中国側は「フィリピン船が不法侵入し、取り締まり措置を講じた。 責任はフィリピン側にある。」と説明した。 一方、フィリピン当局の声明によると、フィリピン船は、漁業水産資源局の船で、地元の漁師たちに燃料や食料などの物資を提供する目的で航行。 衝突や中国船による放水によってエンジンが不具合を起こし、物資の提供を途中で取りやめたという。 衝突によるけが人はいなかったものの、「攻撃的で違法な行為は、フィリピン人乗組員や漁師に深刻な危険をもたらした」と中国側を非難した。 フィリピン沿岸警備隊が公開した動画では、中国とフィリピンの船が急接近した後、フィリピン側の関係者が「ストップ(止まれ)!」と叫ぶなど、緊迫した様子が映し出されていた。 サビナ礁には中国側が観測船を派遣し、フィリピン側は埋め立ての兆候にも警戒を高めている。 一方、中国側はフィリピン当局が船を同礁に滞留させていると批判していた。 19 日には中国海警局とフィリピン沿岸警備隊の船が衝突。 フィリピン側の船体に直径 1.1 メートルの穴が開くなどし、フィリピン当局が「中国船の攻撃的な操船によって衝突した」と非難する声明を出していた。(上海・小早川遥平、ニューデリー・石原孝、asahi = 8-25-24) ◇ ◇ ◇ 中国とフィリピン、南シナ海での緊張緩和策で合意 実効性は不透明 中国との対立が続く南シナ海の領有権問題を巡り、フィリピン政府は 21 日、中国側と緊張緩和策で合意したと発表した。 フィリピンが実効支配するスプラトリー(南沙)諸島アユンギン礁への生活必需品の補給などに関して暫定的な取り決めを交わしたという。ただ、詳しい内容は明らかにされておらず、実効性が担保されるかは不透明だ。 フィリピン外務省は声明で、「双方は引き続き、南シナ海における(緊張)状況を緩和し、対話と協議を通じて相違に対応する必要性を認識する」と発表した。 「この合意が南シナ海における互いの立場を損なうものではないことに同意する」とも記した。 海洋進出を図る中国は、アユンギン礁への補給活動などでフィリピン側への妨害行為を繰り返してきた。 6 月には、補給任務中のフィリピン軍の船が中国海警局の船に衝突され、フィリピン人兵士が指を切断する事件も起きた。 これに対し、2022 年に発足したフィリピンのマルコス政権は、米国や日本などとの安全保障面の関係強化を図っている。 今月 8 日には、首都マニラで日本との外務・防衛担当閣僚会合(2 プラス 2)を実施。 両国部隊が共同訓練などで行き来しやすくする「円滑化協定」に署名した。 (石原孝、asahi = 7-21-24) ◇ ◇ ◇ 南シナ海問題で「積極広報」に転じたフィリピン、試される中国 [マニラ/香港] 昨年 2 月、フィリピン大統領府の危機管理室に集まった政府高官は、数日前に撮影された写真を前に厳しい選択を迫られていた。 写真には、フィリピンと中国が領有権を巡って対立する南シナ海の海域で、中国の戦艦がフィリピンの巡視船に軍用レーザーを照射したとされる様子が写っていた。 写真を公開して中国政府の怒りを買う危険を冒すのか、巨大な隣国を刺激することを避けるのか - -。 国家安全保障担当顧問で南シナ海タスクフォースのトップをy務めるエドゥアルド・アニョ氏の決断は、「国民は知る権利がある。 写真を公表せよ。」だった。 レーザー照射問題を巡るこの会合は重要な転換点となった。 会合の内容が明らかになったのは今回が初めて。 これを契機にフィリピン政府は南シナ海における領有権争いの激化に注目を集める広報活動に乗り出した。 会合出席メンバーで、当時のやり取りを明かした国家安全保障会議のジョナサン・マラヤ報道官は「あの会合が転機になり、透明性を重視する政策に転じた」と述べた。 新たな政策は「最終的に中国の評判やイメージ、地位に対して厳しい圧力を掛けるのが狙いだった」と言う。 マラヤ氏によると、マルコス大統領は領有権問題について「軍事色を薄め、国際化」するよう担当者らに指示。 担当者らは沿岸警備隊を活用し、外国人ジャーナリストに警備活動への同行取材を定期的に認めることでそれを達成した。 「こうした取り組みはフィリピンに対する国際的な支持を構築する上で重要な要素となった。」 今回、フィリピンや中国の高官、アジア地域の外交官、アナリストなど 20 人にインタビューし、フィリピン政府の対中政策の転換やその影響が明らかになった。 取材では、中国側の行動を知らしめることは、フィリピンが米国との軍事同盟を深めていることと相まって、中国政府のエスカレートに対する歯止めになっている一方で、中国から経済的な報復を受け、米国の関与を招くリスクを高めている、との指摘が聞かれた。 シンガポールの ISEAS ユソフ・イシャク研究所のイアン・ストーリー氏は「米比相互防衛条約の発動を招き、中国と米国の軍事衝突を引き起こさずに済むようなエスカレートの選択肢を、中国はほとんど有していない」と述べた。 南シナ海は石油と天然ガス資源が豊富だ。 この海域を通過する貿易は年間約 3 兆ドル(約 474 兆円)。 米国によるフィリピンの基地へのアクセスは台湾有事において重要な意味を持つ可能性がある。 オランダ・ハーグの仲裁裁判所は 2016 年、フィリピンの訴えによる裁判で、中国が主権を唱える独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠がないと認定した。 しかし中国はフィリピンの船舶が係争中の海域に不法侵入していると主張。 22 年 6 月に大統領に就任したマルコス氏に対し、状況を見誤るべきではないと警告している。 フィリピンの法学者のジェイ・バトンバカル氏は「これは瀬戸際外交であり、ポーカーだ。 瀬戸際外交は物事をギリギリの状態に持っていき、誰が怖気づくのか試す。 ポーカーはハッタリと欺瞞のゲームだ。」と述べた。 米国務省の報道官は、透明性を重視するフィリピン政府の対応は、国際法を無視し、フィリピンの軍人を危険にさらす中国の行動に対する関心を高める上で成果があったと述べた。 軍関与のリスクについてはコメントしなかったが、フィリピンが中国から経済的締め付けに直面した場合、米国はフィリピンを支援すると述べた。 (Karen Lema、 Greg Torode、Reuters = 6-20-24) ◇ ◇ ◇ 南シナ海で中国海警局の船とフィリピン船が衝突 中国は新規定施行 中国海警局は 17 日、南シナ海スプラトリー(南沙)諸島のアユンギン礁(中国名・仁愛礁)近海でフィリピンの補給船と衝突したと発表した。 フィリピン側は「詳細は論じない」としつつ、反発している。 両国はいずれもアユンギン礁の領有権を主張。 中国側は、同礁に駐留するフィリピン兵への補給に向かっていた船に対して「取り締まりを実施した」と説明。 衝突は補給船が「再三の警告を無視し、未熟なやり方で故意に接近してきた」ためだとし、「責任は完全にフィリピン側にある」と非難した。 一方、フィリピン軍のトリニダッド広報官は記者団に対し、「欺瞞に付き合うつもりはない」と述べ、中国側の主張を一蹴。 経緯や被害状況については説明しなかった。 そのうえで、「中国海警局が続ける攻撃的な行動が地域の緊張をエスカレートさせている」と述べた。 5 月にも、フィリピン軍がアユンギン礁に運搬していた食料などを中国海警局が強奪する事件が起きたばかりだ。 この海域では双方の船による衝突や、中国側による放水銃の発射などが相次いでいる。 中国側は管轄海域に違法に侵入した外国人を最長 60 日間拘留できるとする規定を 15 日に施行し、フィリピン側への圧力を強めている。 (北京・畑宗太郎、バンコク・大部俊哉、asahi = 6-17-24) ◇ ◇ ◇ 「準同盟」フィリピン支援、南シナ海への関与強める日本 シンガポールを訪問中の木原稔防衛相は 1 日、シンガポールで開催されている「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ、英国際戦略研究所主催、朝日新聞社など後援)」での演説で、同盟国・米国や同志国との連携を強化し、「力による一方的な現状変更を抑止し、望ましい安全保障環境を創る」と強調した。 念頭にあるのが、インド太平洋地域で覇権主義的な動きを強める中国だ。 同志国の中でも特にフィリピンとの関係強化に力を入れる日本だが、南シナ海問題への軍事的な関与にはリスクも伴う。 「力や威圧による一方的な現状変更やその試みが続いている。」 木原稔防衛相は 1 日の演説で、中国を念頭に危機感を示した。 演説に先立つ中国の董軍国防相との会談でも、中国がフィリピン船に危険行為を行う南シナ海情勢について「深刻な懸念」を伝えた。 今年のアジア安全保障会議は、日本が南シナ海問題に以前にも増して軍事的に深く関与する中で開かれた。 南シナ海は日本のエネルギー輸送にとって重要なシーレーン(海上交通路)に位置する。 日本は、米国主導の「格子」型の対中抑止戦略の中で、中核的役割を果たすことで、中国の周辺地域への影響力拡大を抑え込もうとしている。 日本が近年、急速に関係を強化している相手が、日本と同じ米国の同盟国であるフィリピンだ。 フィリピンは南シナ海、日本は東シナ海で中国の攻勢にさらされている。 日本はフィリピンを英豪に続く「準同盟国」級と位置づけ、南シナ海で中国と領有権を争う同国の海洋安全保障能力強化を支援。 これまでも大型巡視船などを供与しているが、昨年導入した「同志国」の軍に装備品を提供する政府の「安全保障能力強化支援 (CSA)」を初適用し、沿岸監視レーダーの供与を決めた。 4 月の日米比首脳会談でも自衛隊と米比海軍の共同訓練実施を合意した。 木原氏は演説で「(日本が)各国とのネットワークをいかし、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化をリードする覚悟」を表明した。 ただ、マルコス大統領の「国民が(相手の)故意の行為によって死亡した場合、それは戦争に極めて近い」という発言に見られるように、関係国の権益が複雑に絡み合う南シナ海問題に日本が軍事的に深く関与することにはリスクも伴う。 政府内には「自衛隊の限られた装備では南シナ海の活動に制約が多い(防衛省幹部)」という見方もある。 さらに日本にとって気がかりなのが、今秋の米大統領選の結果次第では、バイデン大統領主導の多国間協力の先行きが危ぶまれることだ。 ある自衛隊幹部は「不安定化する米国が、日本の安全保障にとって『変数』にもなってきている」と語る。 (シンガポール・田嶋慶彦、asahi = 6-1-24) ◇ ◇ ◇ 中国の善意を乱用すれば自業自得の結末 新華社論評 【北京】 フィリピンが南中国海で権利侵害の挑発を頻繁に行い、矛盾を激化させている。 少数の民間反中勢力が組織した漁船 100 隻がフィリピン公船の庇護の下で黄岩島海域への侵入を企てたほか、上院議長や国防相などの高官が視察団を組んでフィリピン側が不法占拠する中業島に上陸した。 フィリピンが域外国と結託して南中国海情勢をかき乱し、中国側の善意と自制を無視すれば、自身の分不相応な考えを実現できないだけでなく、自業自得の結末を招くことになる。 フィリピンのコラムニスト、ロッド・カプナン氏は、フィリピンで最も貧しいのは農民と漁民であり、今回のような「漁船ショー」は「米国とフィリピンの代理集団が、米国の宣伝目的を達成するために実施したフィリピン貧困層に対する機会の?奪だ」と指摘。 東南アジア諸国連合 (ASEAN) と中国は南中国海の資源の集団的利益の共有を実現しようとしており、フィリピンが米国と共に地域の平和と安定、経済の発展を引き続き破壊すれば、機会を逃すことになるとの見方を示した。 中国は南中国海諸島と付近の海域に争う余地のない主権を有し、関係当事者と引き続き対話と協議を通じて海洋関連問題を適切に処理し、南中国海の平和と安定を共同で守ろうとしている。 同時に、中国の領土主権と海洋権益の侵犯は許さず、中国が自らの合法的権利を守る決意と意志は揺るぎない。 中国外交部報道官は 15 日の定例記者会見で、中国側は 2016 年にフィリピンの少数の小型漁船が黄岩島付近海域で正常な漁業活動を行うのを善意に基づき容認し、フィリピン漁民の活動を法に基づき監督管理していると説明。 フィリピンが中国の善意を乱用し、中国の領土主権と管轄権を侵害すれば中国は法に基づき権利を守る対抗措置を取り、責任と結果は完全にフィリピン側が負うことになると警告した。 南中国海情勢のこのところのエスカレートは、米国の介入と無関係でない。 米国が「インド太平洋戦略」を進める中、フィリピンは地理的位置から米国の中国に対する布石の重要な結節点となった。 マレーシア新アジア戦略研究センターの Koh King Kee 理事長は、南中国海情勢の最近のエスカレートは米国による再三の挑発が原因と指摘。 フィリピンが南中国海問題の処理でとった対抗的方式は米国の中国抑制戦略と非常に合致していると述べた。 地域の平和と安全を脅かす米国とフィリピンの結託が人心を得ることはない。 フィリピンがこのほど「内部的に整理」したとする南中国海問題でのフィリピンの主張を公に支持する国のリストに ASEAN 諸国は一つも含まれていない。 インドネシア戦略国際問題研究センターのベロニカ・サラスワティ研究員は、南中国海での米国とその同盟国の軍事活動が ASEAN 諸国と世界の経済にプラスの影響をもたらすことはなく、域外勢力の干渉は情勢をエスカレートさせるだけとの見方を示した。 フィリピンに対し、一部の大国による対中圧力に期待して中国が核心的利益とする問題で妥協と譲歩を迫るのは無駄であり、最終的に損なわれるのはフィリピン自身の利益と地域の平和・安定であることを認識するよう望む。 事実を尊重し、約束を守り、権利侵害と挑発をやめ、対話と協議を通じて中国と意見の相違を適切に処理する正しい軌道に確実に戻るよう忠告する。 (中国・新華社 = 5-19-24) 中国国防省、台湾海峡通過のカナダ海軍に抗議 「平和と安定を危機にさらす」 中国国防省はカナダ海軍のフリーゲート艦が台湾海峡を通過したことに対し、カナダ側に厳正に抗議したと発表しました。 中国国防省によりますと、カナダ海軍のフリーゲート艦「モントリオール」は先月 31 日、台湾海峡を通過しました。 これに対し、中国国防省は 2 日、談話を発表し、カナダ側に厳正に抗議したことを明らかにしました。 談話ではカナダ海軍の行動について「台湾海峡の平和と安定を深刻な危機にさらすものだ」と批判。 「台湾問題は内政問題であり、いかなる外部からの干渉も許さない」と警告しています。 (TBS = 8-3-24) ass="head2">中国軍機 56 機が台湾との中間線越え 「記録残るうちで最多」 台湾国防部(国防省に相当)は 11 日、10 日午前 6 時からの 24 時間で、中国軍機延べ 56 機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側に進入したと発表した。 「記録が残るうちで最多」だとしている。 10 日には中国海軍の空母「山東」が率いる艦隊が西太平洋で訓練を行ったことが確認されており、台湾は中国軍の動きを警戒している。/p> 国防部によると、11 日は中国軍機延べ 66 機が台湾周辺で活動し、軍艦延べ 7 隻も確認された。 10 日午前には、台湾周辺で中国軍の戦闘機「殲 16」や爆撃機「轟 6」、早期警戒機、無人機などが展開し、一部は西太平洋で山東を中心とする艦隊と合同で訓練を実施したという。 顧立雄・国防部長は 10 日、山東艦隊はフィリピン・ルソン島北方にあるバリンタン海峡を通って西太平洋に入ったと説明し、「航行の状況は必要な手段を通じて十分把握している」と話した。 日本の防衛省も 9 日、同日午前 7 時ごろに宮古島(沖縄県)の南東約 520 キロの海域で山東やミサイル駆逐艦など計 4 隻の中国軍艦が航行しているのを確認したと発表。 山東の艦載機や艦載ヘリが発着艦を行ったため、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させるなどの対応を取ったという。 (台北・林哲平、mainichi = 7-11-24) |