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ボーイング、レアアース、ハリウッド … 中国、関税以外も対米措置激化

米トランプ政権の課す高関税に反発する中国が、報復関税以外の手段でも対抗措置を本格化させている。 航空機購入やレアアース輸出、映画の導入といった広範囲で規制の打ち出しが続く。 いずれも米国が「痛み」を感じやすい分野で、米中の経済戦はさらにエスカレートする様相だ。 米ブルームバーグ通信などによると、中国政府は国内の航空会社に対し、米ボーイングの航空機の追加納入を受けないように指示した。 米企業からの航空機関連の機器や部品の購入も止めるよう求めているという。

中国製品に対しての関税を 145% まで上げているトランプ政権に対し、中国側も「とことん戦う」として、米国製品への関税を 125% まで上げた。 ボーイング機の購入はコスト的にも不可能になっているとみられる。 中国の旅客機市場は、首位の欧州エアバスをボーイングが追う構図で、国産機の導入も進みつつある。 国有大手の中国南方航空は関税引き上げ後、保有するボーイングの中古機 10 機についての売却を延期することを明らかにした。 今後の調達が困難になることへ備えている可能性がある。

中国は、大きなシェアを握るレアアースでも規制を強める。 今月上旬に、航空宇宙分野で使われるスカンジウムなどの 7 種類のレアアースについて、輸出の際に許可申請が必要な輸出管理の対象とした。 軍需産業などの利用が多い米国への輸出を事実上、禁じる手段だとの見方がある。

関税かけ合い、中国と米国でどちらがより打撃?

対抗措置は、米ハリウッドの映画産業にも及ぶ。 中国国営中央テレビは 10 日、「中国での米国映画の輸入本数を減らす」とする国家映画局の報道官の話を伝えた。 米トランプ政権の措置で「観客の米国映画への好感度が低下する」ためとしている。 報道官はさらに、「中国は世界第 2 位の映画市場で、市場の需要に応えるためより多くの国の優れた映画を導入する」と、他国の映画を増やすことも示唆した。

中国メディアによると、2024 年には 93 本の外国映画が上映され、外国映画の興行収入上位 10 位のうち八つが米国映画だった。中国では政治的、文化的に問題がないか当局が映画の内容を審査し、承認されたものだけが上映を許される。

中国の統計によると、2024 年の中国から米国への輸出は 5,246 億ドル(約 75 兆円)にのぼる一方、輸入はその 3 分の 1 以下の 1,636 億ドル(約 23 兆円)。 このため、関税の掛け合いとなった場合に「中国が米国に与えられる打撃の方が小さい」との見方もあった。 中国側は規制も含め、米国へ影響を与える措置を政府全体で検討することで、対抗する構えだ。 (北京・斎藤徳彦、井上亮、asahi = 4-16-25)

〈編者注〉 何といっても、米国にとって最も恐ろしいのは中国の「米国債売却」でしょう。 間違いなく米経済の根幹を脅かすことになります。 無残にも、第二次相互関税をすぐ引っ込めなければならなかったのも、これだったのでしょう。 これを考慮に入れていなかったとしたら、やはり、トランプ政策は幼稚としか言いようがありません。


中国が報復関税打ち止め宣言 対米 125% も今後「相手にしない」

中国政府は 11 日、米国の「相互関税」への報復措置として、米国からのすべての輸入品にかけている追加関税を 41% 上乗せし、計 125% にすると発表した。 一方で今後、米国がさらに対中関税を引き上げても「中国は相手にしない」と報復の打ち止めも宣言した。 12 日に発動する。 中国政府は声明で「米国の中国に対する異常に高い関税は、国際的な経済貿易ルールに対する重大な違反だ」と批判。 世界貿易機関 (WTO) に改めて提訴したことも明らかにした。

一方で、「現在の関税水準では、中国に輸出される米国製品が市場に受け入れられる可能性はもはやない」ため、米国が対中関税をさらに引き上げても「今後、中国は何ら相手にしないだろう」と表明。 中国側からはこれ以上の関税の掛け合いに応じない意思も示した。 米トランプ政権は「相互関税」名目で世界に高関税を仕掛け、好条件の「取引」を引き出そうとしている。 各国・地域が協議を申し入れるなか、中国は真っ向から対抗して報復関税で応じ、関税の掛け合いが生じた。

前日までに、トランプ氏はほとんどの国と地域への相互関税の一部適用を 90 日間停止した一方、中国の税率は 84% から 125% まで引き上げていた。 別枠でかけた分と合わせ中国への追加関税は計145%になる。 米中貿易摩擦の再燃は世界経済の先行きを曇らせ、このところの株価の乱高下を招いた。 中国側は報復関税を打ち出す一方で、常に対話の姿勢も示してきた。 状況を打開するにはトップ同士の会談しかないとの見方も強まるなか、先に中国が打ち止めを宣言したことで、トランプ氏の出方が注目される。 (広東省汕頭・鈴木友里子、asahi = 4-11-25)


中国、米への関税 125% に引き上げ 全輸入品 41% 上乗せ

中国政府は 11 日、米国からのすべての輸入品にかける追加関税について、さらに 41% 上乗せし、計 125% を課すと発表した。 12 日から発動する。 米トランプ大統領が、中国に対する「相互関税」の税率を 84% から 125% へ引き上げたことへの報復措置。 トランプ米政権は相互関税とは別に、既に中国に対して計 20% の追加関税を発動しており、対中追加関税率は 145% まで引き上がっている。 (asahi = 4-11-25)


米中対立はエスカレート 17 年ぶりの元安ドル高、高関税相殺効果か

トランプ米大統領が仕掛ける「関税外交」に、報復関税で応じて真っ向勝負に出た中国。 互いに態度を改めるよう求める。 第 2 期トランプ政権でも幕を開けた米中対立は両国が一歩も引かぬまま、エスカレートするばかりだ。 トランプ氏が 2 日に相互関税の詳細を発表し、中国に高関税をかけると表明すると、中国はすぐさま、報復関税をかけると公表した。 トランプ氏からの撤回要求もはねつけ、10 日に米国からのすべての輸入品に 84% の追加関税をかけ始めた。 トランプ氏はさらに立腹し、即座に中国への追加関税率を 125% に引き上げた。

中国商務省の報道官は 10 日の会見で「正当な権利と利益を守るため、断固力強い措置をとるだろう」と述べ、「125%」への対抗措置を示唆した。  ほぼ全ての国・地域がトランプ氏の関税攻勢に屈する中、中国は「最後までおつきあいする」構えだ。 強気な姿勢を保つ中国だが、弱みは長引く不動産不況だ。 米中貿易摩擦の先鋭化が中国経済の一層の重しとなる懸念は国内でも強い。 米ブルームバーグ通信は、中国指導部が景気刺激策を協議する会合を開くとの観測を伝えた。 一方で、耐久戦に向けて、すでに手を打ち始めているとの見方もある。

10 日の上海外国為替市場では人民元が一時 1 ドル = 7,.351 元台後半と、2007 年 12 月以来 17 年 4 カ月ぶりの元安ドル高水準をつけた。 元安が進めばドルベースの輸出価格を安くできるため、高関税を一定相殺する効果がある。 市場では、中国当局が中国企業の輸出競争力を保つために、人民元安を容認しているとの見方も広がる。 しかし、こうした中国の「自衛策」すら火種になりうる。 米政権は、通貨安誘導に厳しい姿勢をとる方針を鮮明にしている。 8 日には「中国は為替操作をしている」とトランプ氏が早速かみついた。

トランプ氏は、「中国は取引したがっている。 (習近平国家主席は)どうやって進めるかを模索中なのだろう」と言う。 一方、中国外務省の報道官は 10 日の会見で、「米国側が話し合いを望むのであれば、平等と尊重・互恵の態度を示すべきだ」と述べ、米側に強硬姿勢を改めるよう求めた。 互いにボールは相手にあるという平行線の主張が続く。 こじれた局面の打開には、トップ同士の会談しかないとの見方も強い。 (深セン・鈴木友里子、ワシントン・榊原謙、asahi = 4-10-25)


「米映画は好感度低下する」中国が上映数減へ トランプ関税で報復か

中国国営中央テレビは 10 日、「中国での米国映画の輸入本数を減らす」とする国家映画局の報道官の話を伝えた。 トランプ米政権による対中追加関税を受け、「観客の米国映画への好感度が低下する」ためとしている。 関税措置への報復の一環とみられる。 同テレビによると、報道官は記者の質問に答える形で、「米国が中国に追加関税措置を乱発するという誤った行動をとったことで、観客の米国映画への好感度はさらに下がるだろう」と指摘。 「観客の選択を尊重して米国映画の輸入本数を適度に減らしていく」とした。

また、「中国は世界第 2 位の映画市場で、市場の需要に応えるためより多くの国の優れた映画を導入する」と、他国の映画を増やすことも示唆した。 中国メディアによると、2024 年には 93 本の外国映画が上映され、興行収入上位 10 位のうち八つが米国映画だった。中国では政治的、文化的に問題がないか当局が映画の内容を審査し、承認されたものだけが上映を許される。 (北京・井上亮、asahi = asahi = 4-10-25)


中国が米国に報復措置、全輸入品に計 84% の追加関税 50% 上乗せ

中国政府は 9 日、米国からのすべての輸入品にかける関税について、さらに 50% を上乗せし、計 84% の追加関税を課すと発表した。 米トランプ政権が米国時間 9 日午前 0 時 1 分(日本時間午後 1 時 1 分)に発動した「相互関税」の第 2 弾で、中国への税率を 84% に引き上げたことへの報復措置。 米国の相互関税と同じ税率にして対抗する。 発動は中国時間 10 日午後 0 時 1 分(日本時間午後 1 時 1 分)としている。 (深セン = 鈴木友里子、asahi = 4-9-25)

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トランプ米大統領、中国の「ばかげた」対米関税を非難 追加措置を警告

トランプ米大統領は 4 月 7 日、貿易相手国と関税を巡る交渉を進めるために関税措置を一時停止することは検討していないものの、日本や中国、その他の国々と協議すると述べた。 記者団の質問を受けて「多くの国々がわれわれと交渉する構えを示しており、それは公平な取引となるだろう」と述べた。 (Reuters = 4-8-25)

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中国、米国からの輸入品に 34% の報復関税 相互関税に対抗措置

中国政府は 4 日、米国からのすべての輸入品に 34% の追加関税を課すと発表した。 米トランプ政権が 2 日に導入を表明した「相互関税」に対する報復措置。 米国の相互関税と同じ税率を品目を限定せずに課し、徹底的に対抗する構えだ。 10 日午後 0 時 1 分から発動する。 中国政府は 4 日、米国の相互関税を世界貿易機関 (WTO) に提訴したことも公表。 「我々は米国に対し誤ったやり方を直ちに是正し、一方的な関税措置を廃止するよう強く求める」としている。

米トランプ政権は 2 日、中国に 34% の相互関税をかけると発表。 米国は既に 2 月と 3 月に 10% ずつ計 20% の対中追加関税を発動しており、中国への追加税率は計 54% になるとみられる。 中国側も、原油や液化天然ガス (LNG) や原油などのエネルギー関連や、大豆や豚肉といった一部の農畜産物など品目を限定し、10 - 15% の追加関税を発動してきた。 今回はさらにすべての米国からの輸入品に対して 34% の関税を追加する。 (asahi = 4-4-25)


香港「超人」実業家へ米中双方から圧力か パナマ運河港湾売却めぐり

パナマ運河にある港湾の事業を米国などの企業連合に売却することで合意した香港企業へ、中国が批判を強めている。 香港の「超人」とも呼ばれる大富豪が創業した企業だが、トランプ米大統領が「取り返す」としてきた運河の事業をめぐり、米中双方の圧力を受ける構図だ。 合意の実行も不透明さを増している。 米資産運用大手ブラックロックなどの企業連合は今月 4 日、パナマ運河などの港湾事業を、香港の長江和記実業(CK ハチソンホールディングス)から 228 億ドル(約 3.4 兆円)で買収することで基本合意したと発表した。

CK ハチソンは不動産などを手がける世界的な複合企業で、中国以外のインフラなどにも投資を広げてきた。 今回の合意では、パナマ運河を含む世界の計 43 港の運営権が売却対象だ。 トランプ氏は「パナマ運河が中国の影響下にある」と主張しており、理由の一つに香港の CK ハチソンが運河の両端にある二つの港を運営していることがあるとされる。 米紙ニューヨーク・タイムズによると、CK ハチソン側はパナマ運河から撤退するよう促す政治的圧力があるとみて、米国の買い手を探したという。

相次ぐ批判、中国当局も「同調」

ただ、これに対して今度は中国側が批判を高めている。 香港の親中紙「大公報」は 3 月中旬以降、圧力をかけたとみなす米側や、取引に応じた CK ハチソンなどを批判する記事を短期間のうちにたびたび掲載した。 「決して普通の商業行為ではない」、「国家や民族の利益を考えていないのか」。 こうした文字が躍る記事は、中国政府で香港を統括する香港マカオ事務弁公室も次々と公式ホームページに転載。 当局側も同調していることを示している。 中国側には、港湾が米国企業の手に渡った場合、「中国企業への利用料が差別的に値上げされるのではないか」といった懸念がある。

香港の李家超行政長官は 18 日、「(売却をめぐる)社会の懸念は重視するべきだ」とした上で、「国際貿易関係の中で脅迫や圧力をかけることには反対する」と発言。 名指しはしないものの、米国側の姿勢を批判した。 事態への注目がさらに高まる理由は、香港財界の「大物中の大物」も渦中にいるからだ。 CK ハチソンの創業者は、不動産を軸に巨万の富を築き、「超人」の異名をとる大富豪・李嘉誠氏 (96) だ。

矢面に立たされた財界の「超大物」

米誌「フォーブス」によると李氏の総資産額は 373 億ドル(約 5.6 兆円)とされる。 李氏は 2010 年代に、グループの資産を中国から欧州などにも振り向け、中国不動産市場の変調を予見したとも言われる。 習近平(シーチンピン)指導部とは距離があるとの見方もあった。 親中紙には「いつの時代も、偉大な企業家は冷血に利益を追うだけでない、屈することのない熱心な愛国者だ」として、李氏を標的にしたとみられる評論も載った。

米ブルームバーグ通信は 27 日、中国の高官が李氏とその家族側との取引をしないよう、国有企業に求めたと報じた。 中国当局が国家安全や独禁法違反を名目とした調査に乗り出すとの観測もある。 今回の合意を署名する期限は 4 月 2 日だが、香港紙「明報」は 28 日夜、CK ハチソン幹部に近い関係者の話として「来週にいかなる署名もない」との見通しを報じている。

CK ハチソン側にすると、合意を進めれば米側の、断念すれば中国側の圧力を受け入れることになる。 パナマ運河をめぐる米中対立の矢面に立たされた格好だ。 香港企業に「愛国」が強く迫られることも、民主化運動が弾圧されて以降の香港の実情を映し出している。 (北京・斎藤徳彦、asahi = 3-29-25)


米国内の食肉加工施設 1,000 か所以上、中国向け輸出の登録失効 … 中国当局がトランプ関税に報復か

ロイター通信は 17 日、中国当局が米国内の食肉加工施設 1,000 か所以上を対象に、中国向けの輸出時に必要となる登録を 16 日に失効させたと報じた。 米国産食肉の対中輸出が制限される懸念があり、米トランプ政権による対中追加関税への報復措置との見方が出ている。

報道によると、登録が失効したのは登録施設の 3 分の 2 にあたり、約 50 億ドル(約 7,500 億円)規模の損失につながる恐れがあるとしている。 2 月にも 84 か所の登録が失効し、これらの施設から中国への出荷は続いているものの、いつまで認められるかは不透明とも指摘した。 中国政府は今月 10 日、米国を対象とする第 2 弾の追加関税として農産物を中心に計 740 品目に最大 15% を課している。 今回の措置も、農家を支持基盤とするトランプ米大統領を揺さぶる狙いとみられる。(中国総局・山下福太郎、yomiuri = 3-19-25)

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中国、対米報復関税の第 2 弾 鶏肉・小麦・大豆など対象

トランプ大統領の追加関税に対する中国側の第 2 弾の報復関税が 10 日から、アメリカ産の鶏肉や小麦などにかけられます。 10 日から始まる中国側の第 2 弾の対抗措置では、鶏肉・小麦・トウモロコシ・綿花に 15%、大豆や牛肉などの農産品に 10% の追加関税を課すとしています。 日本貿易振興機構 (JETRO) によりますと、第 2 弾の対象品目の 2024 年の輸入額は 223 億ドル規模で、第 1 弾より大きくなっています。

「貿易戦争に勝者はいないし、アメリカは貿易戦争で結局は自国の利益を損なうだろう。(政策を議論する会議に出席した香港の委員)」

王毅外相は「必ず反撃する」としていて、アメリカが再度関税を課す場合は、報復措置を続ける構えです。 (テレ朝 = 3-10-25)

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中国は再び報復関税へ、トランプ関税「第 2 弾」 貿易摩擦激化の恐れ

トランプ米大統領が、メキシコとカナダに新たに高関税をかけるとともに、中国に課す追加関税を引き上げた。 中国は再び報復措置で応じた。トランプ氏は就任後 100 日以内の中国訪問に意欲的とされるが、習近平(シーチンピン)国家主席との首脳会談のメドは立っていないもよう。 世界 1 位と 2 位の経済大国の間で、関税のかけ合いばかりがエスカレートしていくおそれもある。

「10 + 10 だ。」

3 日、ホワイトハウスでの記者会見で、トランプ氏は中国への追加関税についてそう語った。 2 月 4 日に課した 10% に、さらに 10% を上乗せするという意味だ。 これを受け、中国政府もすかさず米国から輸入する小麦や大豆、牛・豚・鶏肉、果物や乳製品への 10 - 15% の追加関税を発表。 関税以外でも、米防衛関連企業など 15 社に対する輸出規制といった対抗措置を打ち出し、即日発動した。

中国商務省は米国を再び世界貿易機関 (WTO) に提訴したことも明らかにした。 中国外務省の報道官は「米国がもし関税戦争、貿易戦争、その他の戦争に固執するなら、中国も最後までお付き合いする」と語り、徹底的に対抗する姿勢を示した。 中国が追加関税の対象とした農産物は、米国の主力輸出品だ。 2 月のトランプ関税「第 1 弾」への報復措置として、米国産の石油や液化天然ガス (LNG) にすでに 10 - 15% の追加関税を課している。 米国の関税率引き上げに対し、中国は報復関税の対象品目を広げることで応じ、関税のかけ合いが熱を帯びつつある。

トランプ氏と習氏の直接会談が実現すれば、局面の打開につながるとの見方もある。 トランプ氏は「就任後 100 日以内」の早期訪中に意欲を示す。 追加関税は、来たるべきトップ会談で切る「カード」にするとみられる。 早期に会談を実現し、その成果を国内向けに宣伝したい思惑も透ける。 ただ、会談の早期実現は見通せない。 トランプ氏が直接交渉でディール(取引)するトップダウン型を好むのに対し、中国側は両国の事務方で調整を積み上げるボトムアップを重視するとみられ、時間を要するためだ。

米バイデン前政権時も、首脳会談前には 1 年がかりで両国の閣僚が会談を繰り返し、地固めをした。 首脳会談が先延ばしになったまま、貿易摩擦だけが激しくなっていく展開も予想される。 (ワシントン・榊原謙、北京・鈴木友里子、asahi = 3-4-25)


トランプ氏、習近平氏と「話した」 2 期目就任後、詳細は明かさず

トランプ米大統領は 10 日に放送された米 FOX ニュースとのインタビューで、1 月 20 日の 2 期目の就任後に中国の習近平(シーチンピン)国家主席と協議したと述べた。 具体的な協議の時期や内容は明らかにしていない。 トランプ氏はインタビューで、就任後に習氏と話したかと問われ、「彼(習氏)と話した。 我々には非常に良い個人的関係がある。」と答えた。

トランプ氏は、米国で社会問題になっている合成麻薬「フェンタニル」の中国からの流入が続いているとして問題視。 米国は今月 4 日、中国からの輸入品に10% の追加関税を発動した。 中国は 10 日、報復措置として、米国から輸入する石炭や液化天然ガス (LNG)、大型自動車など 80 品目に対して 10 - 15% の追加関税を課した。

米中間で関税の応酬がなされるなか、トランプ氏は習氏と直接、協議する意向を示してきた。 ただ今月 4 日には、習氏との電話協議について「急いでいない」とも述べていた。 トランプ氏は就任直前の 1 月 17 日に習氏と電話で協議。 両首脳は対話を続ける姿勢を確認していた。 (ワシントン・清宮涼、asahi = 2-11-25)

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