おもちゃ大国・中国に「倒産加速」の不安 関税直撃、米国市場の次は

13 万平方メートルの広い会場には、人形やボードゲーム、水鉄砲など大小さまざまなおもちゃがところ狭しと並んでいた。 中国の南部・広東省深セン市で 4 月上旬に開かれた「国際おもちゃ展覧会」。 1,400 社以上のメーカーが出展し、各ブースは大声で呼び込みをかけたり、バイヤーと交渉したりする人たちの熱気であふれていた。 大半が中国企業だが、パッケージを見ると英語表記も多い。 中国は、玩具生産で世界シェア 7 割超を握る「おもちゃ大国」。 その最大の輸出先は米国だ。 米国市場で売られる玩具の輸入元の 8 割近くを中国が占める。

関税の影響は「必ず出る」

「1 - 3 月期の米国の注文が約 5 割取り消された。」 恐竜や動物のフィギュアを展示していた深セン市のメーカーの副社長はこう漏らした。 180 人ほどが働く工場を抱え、売り上げの半分は輸出で稼ぐ。 うち 6 割超が米国向け。 「関税分を上乗せして、それでも売れるのかどうか。 米国の仕入れ業者も確信が持てないようだ。」と語る。 3 月の時点で米国が中国にかけた追加関税は 20% だった。 ところが、展覧会開催中にもエスカレートし、最終的に計 145% に。 影響が出るのはこれからだが、「米国売上比率の大きいメーカーには非常に大きな打撃だ」と副社長は言う。

家庭用のビニールプールや浮輪を製造する別の会社の業務マネジャーは「今後は、同業で倒産が加速するのではないか」と心配する。 自社の夏向け商品は、取引先の要望で前倒しで出荷し、今のところ打撃は免れた。 第 1 次トランプ政権下の「貿易戦争」時には、多くの取引先が第三国を経由して米国に輸出するなどの方策をとった。 しかし、広範囲が相互関税の対象になった今回は「必ず影響が出てくる」と身構える。

探る「次」、「足元」の市場

中国企業がいま、目を向けるのが、米国に代わる市場だ。 米国の受注が減るなかで、これまでも進めてきた中国の巨大経済圏構想「一帯一路」や中東、欧州の国々の市場開拓に注力しようという企業は多い。 第 1 次トランプ政権との激しい「関税合戦」を繰り広げた中国は、更なる米国との対立に備え、グローバルサウス(新興・途上国)や欧州などの国々との関係強化を進めてきた。

中国の輸出総額に占める米国の割合は、第 1 次トランプ政権が始まった 2017 年の 18.98% から、24 年には 14.66% まで低下。 一方、東南アジア諸国連合 (ASEAN) 向けは 17 年の 12.33% から 24 年には 16.39% まで上昇し、米国を超えた。 アフリカや中南米向けも同様に割合を伸ばしている。

だが、米国からあぶれた中国製品が流れ込む先の市場には、自国の産業を圧迫されることへの警戒感も強い。 ベトナムでは低価格で知られる中国発のファッション通販企業 SHEIN が一時サービスを止められた。 中国が関係を深めつつある欧州連合 (EU) のフォンデアライエン欧州委員長は「EU 市場で、ダンピング(不当廉売)を吸収することはできない」と訴えている。

もともと 14 億人の巨大市場を足もとに抱える中国にとって、内需こそ、生み出された製品の受け皿として期待が大きい。 だが、不動産不況に端を発した個人消費の低迷は続いている。 トランプ関税の影響で、企業の業績悪化や倒産が相次げば、国内の個人消費はますます冷え込み、中国市場はさらに弱るという悪循環にも陥りかねない。

蜜月の米国市場 岐路に

今年の政策方針を示す政府活動報告で、李強(リーチアン)首相は最重要任務として「内需拡大」を挙げ「安心・安全な消費環境を整える」と述べた。 家電の買い替えを促進する補助金などあらゆる手段で個人消費の喚起を目指すが、足元ではいまだ伸び悩みが続く。 結局のところ、中国にとって米国は今でも単独では最大の貿易相手国だ。 貿易黒字の約 3 分の 1 を米国で稼ぎ、24 年も前年から 7.4% 増えた。 経済成長を支える重要な牽引役だ。

安価で大量のメイド・イン・チャイナは巨大な米国市場と切り離されるのか。 それとも、米国の「次」へ向かうのか。 拡大を続けてきた中国の物作りは、その行方次第で新たな摩擦を生みかねない岐路に立っている。 (深セン・鈴木友里子、asahi = 4-14-25)


中国、カナダ産農水産物に最大 100% の追加関税 EV 関税に対抗

中国政府は 20 日から、カナダ産の菜種油やエンドウ豆に 100%、水産物や豚肉に 25% の追加関税を課す。 カナダ政府が中国産の電気自動車 (EV) などに追加関税をかけたことに対する対抗措置だとしている。 8 日に発表した。 カナダは昨年 10 月、中国製 EV が不公平な政府補助を受け不当に安い価格で輸出されているとして、100% の追加関税をかけた。 中国産の鉄鋼とアルミ製品に対しても 25% の追加関税を課している。

中国政府は「カナダ側の一方的な追加関税は、客観的事実と世界貿易機関 (WTO) の規則を無視した、典型的な貿易保護主義のやり方で、中国の合法的利益を著しく損ねる」と改めて批判した。 中国製 EV に対しては、米国も昨年 9 月から制裁関税を従来の 4 倍の 100% に引き上げている。 (北京・鈴木友里子、asahi = 3-8-25)


弱い内需、テコ入れ急ぐ中国 「トランプ関税」控え輸出に暗雲

輸出頼みからの転換を進めようと、中国政府は伸び悩む内需のテコ入れに動いている。 「国の買い替え補助金 15 - 20%」。 北京市内の家電量販店には 1 月上旬、そんな横断幕があちこちに掲げられていた。 お買い得感をアピールし、少しでも財布のひもを緩めてもらおうとしていた。 ただ、週末だというのに店内に人影はまばらだった。 洗濯機売り場の店員は「年末までは客はもっと多く、週末は平均 10 台ほど売れたが、もうその時期を過ぎた」と話す。 不動産不況などにより冷え込んだ個人消費を押し上げようと、中国政府は昨秋、約 3 千億元(約 6.4 兆円)を投じ、家電や自動車を対象に買い替え補助金を始めた。

この効果もあり、小売総額のうち「家電及び音響機器」は 9 月以降、前年同月比 20% 以上の大きな伸びが続いた。 販売が低迷していた電気自動車 (EV) を含む自動車も 9 月以降、前年同月比で増加に転じている。 2024 年第 2 四半期(4 - 6 月)から失速していた国内総生産 (GDP) 成長率を第 4 四半期(10 - 12 月)で回復させる一因となった。 ただ、こうした補助金は「需要の先食い」の面もあり、息切れ後の反動減につながりかねない。 当初 12 月までだと思われていた補助金を目当てに、家電量販店では駆け込みと見られる購入も相次いだという。

政府は年明け早々、補助金の拡充を発表。 スマートフォンやタブレットにまで対象範囲を広げるなど、さらなる刺激策に動いた。 これに先立って昨年末に開いた中国共産党と政府による「中央経済工作会議」では、25 年は「消費を強力に押し上げて、全方位で国内需要を拡大する」と宣言していた。 当局が内需拡大に突き進む背景の一つには、トランプ氏の再登板がある。 24 年の輸出が過去最高を更新するなど、中国経済は外需頼みが強まっていた。 しかし、対中高関税を主張するトランプ次期政権が始動すれば輸出への急ブレーキも想定され、内需の立て直しが急務だ。

ただ、大和総研の斎藤尚登氏は「消費全体の地合いは非常に弱く、25 年は補助金の効果も薄くなる」と指摘。 「不動産不況の本質的な対策などに手を付けずに足元の GDP をつくるような政策は非常にあやうい」とも話す。 内外需とも不透明さを増す中でも、中国政府は 25 年の成長率目標を 24 年同様の「5% 前後」に設定するとみられている。 (北京・鈴木友里子、asahi = 1-17-24)


中国の輸出額と貿易黒字が過去最高に 摩擦激化の懸念 24 年統計

中国の 2024 年の輸出額(ドル建て)は前年比 5.9% 増の 3 兆 5,772 億ドル(約 563 兆円)で、過去最高を更新した。 輸出額から輸入額を差し引いた貿易黒字も 9,921 億ドルで過去最大となった。 膨れあがる中国の貿易黒字は貿易摩擦の火種になっている。 中国税関総署が 13 日に発表した。 輸出は、電気自動車 (EV) を含む自動車(前年比 15.5% 増)や半導体(同 17.4% 増)などが牽引。 これまでの過去最高だった 22 年の 3 兆 5,444 億ドルを 328 億ドル上回った。

一方、輸入額は前年比 1.1% 増の 2 兆 5,850 億ドルと小幅な伸びにとどまった。 長引く不動産不況による内需の弱さなどが背景にある。 また、この日会見した税関総署幹部は、米国による半導体関連の対中輸出規制などを念頭に「(これがなければ)輸入は更に多かっただろう」との見方も示した。 この結果、貿易黒字は前年から 20.7% 増加し、過去最大だった 22 年より 1,542 億ドル拡大した。

貿易黒字、3 分の 1 は対米

中国の貿易黒字のうち約 3 分の 1 を占めるのが米国で、24 年の対米貿易黒字は前年から 7.4% 増えて 3,610 億ドルとなった。 欧州連合 (EU) に対する黒字も前年比 12.5% 増加。 欧米にとっては中国との貿易で赤字が膨らんでいることになり、安価な中国製 EV などをめぐって既に貿易摩擦が生じている。 貿易赤字を問題視するトランプ次期米大統領は全ての中国製品に 60%の関税を課す方針を掲げており、摩擦の更なる激化も予想される。

こうしたなか、中国は東南アジア諸国連合 (ASEAN) などグローバルサウス(新興・途上国)との貿易を強化している。 ただ、24 年の対 ASEAN 輸出額は前年比 12.0% 増、貿易黒字は 40.6% 増の 1,907 億ドルまで膨らんでいる。 安価な中国製品が大量に流入することで貿易赤字が膨らむこうした国々との間でも摩擦が生じかねない状況になっている。 (北京・木友里子、asahi = 1-13-25)


中国の貿易黒字、今年は過去最大の見通し 貿易摩擦激化のおそれも

中国税関総署が 10 日発表した 11 月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は 974 億ドル(約 15 兆円)で、10 月の 957 億ドルから拡大し、前年同月から 41% 増えた。 今年 1 - 11 月の累計では 8,847 億ドルと同期間としては過去最大を記録しており、通年でも過去最大となる可能性が高い。 11 月の輸出額は前年同月比 6.7% 増の 3,123 億ドル。 家電やアルミ材の輸出が増えた。 主に欧米との間で貿易摩擦を招いている電気自動車 (EV) を含む自動車は、数量は増えたものの金額ではマイナスに転じており、販売価格の低下が鮮明になっている。

一方、輸入額は同 3.9% 減の 2,148 億ドルとなり、2 カ月連続で減少した。 長引く不動産不況で個人消費が低迷していることが背景にある。 中国経済は外需頼みが続き、1 - 11 月の累計の貿易黒字は前年同期比 18% 増え、通年では初の 1 兆ドルに迫る勢いだ。 ただ、対中貿易赤字を問題視する米トランプ次期大統領は中国製品へ 60% の関税をかける方針を掲げている。 10 月の中国の対米貿易黒字は前年同月比で 17% 増加している。 膨らむ中国の貿易黒字は米国などとの貿易摩擦の激化につながる可能性もある。 (北京・鈴木友里子、asahi = 12-10-24)


中国、先月の輸出額 去年同月比 7% 増 輸入額 2 か月ぶりにプラス

中国の先月の輸出額は、主要な貿易相手の東南アジア向けが大きく増えたことなどから、去年の同じ月と比べて 7% 増加しました。 輸入額も 2 か月ぶりにプラスに転じ、中国国内で景気の先行きに不透明感が広がる中、貿易の拡大が続くのか注目されます。 中国の税関当局が 7 日発表した先月の貿易統計によりますと、輸出額はドル換算で去年の同じ月と比べて 7% の増加となりました。

 輸出額が増加するのは 4 か月連続で、主要な貿易相手の東南アジア向けが大きく増えたことや、アメリカやヨーロッパ向けも増えたことなどが主な要因です。 また、輸入額は去年の同じ月と比べて 7.2% の増加となり、2 か月ぶりのプラスとなりました。 中国では、不動産不況の長期化などを背景に内需が停滞しているほか、デフレへの懸念がくすぶるなど、景気の先行きに不透明感が広がっています。 さらに、中国製の EV = 電気自動車などが過剰生産によって不当に安く輸出されているなどとして欧米で関税を引き上げる動きも出るなか、今後も貿易の拡大が続くのか注目されます。 (NHK = 8-7-24)


西側が恐れる中国製造業、国内では苦境

【シンガポール】 西側企業が安価な中国製品による新たな輸出猛攻におののくなか、中国では異なるドラマが繰り広げられている。 政府が新たな需要を掘り起こすことなく工業生産能力を拡大させているため、中国メーカーは苦境に陥っている。 例えば、電池に使われるリン酸鉄リチウムを製造する江蘇龍蟠科技(ジャンスー・ローパル・テック)の場合、直近の年次報告書によると、2023 年に 1 億 6,900 万ドル(約 265 億円)の損失を出し、ほぼ 3 年分の利益を帳消しにした。 赤字の原因は、中国のリン酸鉄リチウム市場の過剰生産能力と国内電池メーカーの需要減速にあると同社は言う。

同じような哀調を帯びた声があちこちの中国企業から聞かれる。 過剰生産能力のまん延と消費者需要の弱さが相まって、多くの中国企業を瀬戸際に追い込み、値下げを余儀なくさせ、利益を圧迫している。 経済成長を長年支えてきた不動産バブルがしぼんだため、政府は製造業に投資をつぎ込んでいる。 だが、結果的に生じる供給を吸い上げるだけの消費需要を喚起する手段をほとんど講じていない。 習近平国家主席は米国流の消費を無駄と捉え、中国を産業・技術大国にする自身の目標とは相いれないと考えているためだ。

中国共産党は 5 年に 1 度の重要会議である中央委員会第 3 回全体会議(三中全会)を先週開催し、こうした政策課題を改めて取り上げた。 不動産市場の減速を受け、政府は電気自動車 (EV) や太陽光発電といった「新興・未来産業」の発展を加速させる、と政府高官は 19 日の記者会見で述べた。

過剰生産能力が価格を押し下げ

結果的に生じる過剰生産能力のために、生産者が出荷時につける価格は約 2 年にわたり下落し続けている。 それが経済全体の足かせとなってデフレに近づき、利益をむしばんでいる。 ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ) が上場企業の財務諸表を分析したところ、中国本土に上場する企業の 24% が赤字に陥っていた。 10 年前は 7% だった。 太陽電池モジュールを製造する隆基緑能科技(ロンジー・グリーン・エナジー・テクノロジー)は今月、上半期に 6 億 6,100 万ドルを超える赤字が見込まれると発表した。 国内の太陽光発電業界の供給過剰を理由に挙げた。

そうした圧力は、政府が推進する新産業にとどまらず、機械や電子機器、ソフトウエアの分野にも及んでいる。 鞍山鋼鉄(アンガン・スチール)は、1 - 6 月の赤字額は約 3 億 7,000 万ドルとなり、前年同期のほぼ 2 倍に拡大する見通しであると株主に伝えた。 同社によると、業界全体が価格急落と需要低迷に見舞われているという。

国内の販売不振を埋め合わせるため、中国企業は輸出に注力している。 6 月の輸出は前年同月比 8.6% 増だった。 だが、そうした輸出は他の国々の雇用や産業に圧力をかけており、四半世紀前の「チャイナ・ショック」をほうふつとさせる。 当時、中国が世界貿易システムに組み込まれたことで、米国など諸外国のおもちゃ・衣料品・家具といった労働集約型製品のメーカーは苦境に見舞われた。 新たなチャイナ・ショックを受け、中国に対する貿易障壁は拡大している。

中国の余剰製品を買うことに外国は抵抗

ドナルド・トランプ前米大統領は中国からの輸入品全てに 60% の関税をかける考えを示し、欧州連合 (EU) は最近、中国の電気自動車 (EV) に対する関税を引き上げると発表した。 インドやブラジル、トルコは制限措置や反ダンピング(不当廉売)調査などで中国製品の流入に抵抗している。 「投資主導の成長モデルには限界がある。 最終的にどこかで需要が必要になるからだ。」 米調査会社ロジウム・グループのパートナーで中国市場調査部門を率いるローガン・ライト氏はそう話す。 「中国国内に報いがあるはずだ。」

中国指導部は、世界は低価格の中国製品によって恩恵を受けていると主張。 諸外国は過剰生産能力への不満を利用し、自国産業の保護を正当化していると批判する。 多くの経済学者によると、生産能力の過剰は中国の経済システムから十分予測できる結果である。 政府は補助金や税優遇措置、国有銀行、投資ファンドを通じて、常に資本を望ましい分野に誘導している。 そのことが、対象分野に企業が一斉に参入し、生産を拡大する誘因となる。 例えば、中国自動車業界は過酷な価格戦争のさなかにある。 100 社余りの企業が毎年、国内ドライバーが購入する台数の約 2 倍の EV を生産しているためだ。

2022 年初めに比べ、中国の銀行の不動産向け貸出額は横ばいだが、産業向け貸出額は 60% 以上増えている。 習氏にとって、ある程度の過剰生産能力は他の目標を達成するために容認できる。 すなわち、短期的な経済成長の下支えや、労働人口減少を補うための生産性向上、クリーンエネルギー・EV・先進コンピューティングなどの分野で主導権を握ること、敵対的な政権によって制限されかねない西側諸国の技術への依存を減らすといった目標だ。

赤字企業の行き着く先

中国の過剰生産能力は最終的に債務不履行(デフォルト)や債務超過という結果を招く。 それは米国でも同じだ。 異なる点は、どの企業が生き残り、どの企業が破綻するかを決めるのに、中国では国家が主導的な役割を果たすことだ。 過去には鉄鋼や太陽光発電のような肥大化した産業で損失が膨らむと、政府は補助金を引き揚げ、生産能力の削減を命じ、多数の弱小プレーヤーをより大規模で競争力が高く、採算の取れる少数の企業に統合させてきた。

だが、他の多くの企業は国有銀行からの借り入れや政府系投資ファンドからの資本受け入れによってその後も生き延びる。 EV メーカーの知豆電動汽車 (ZHIDO) は 2019 年に経営破綻した。 だが資金注入を受けて今年、新型ミニ EV を発表。 さらに 10 種類以上の新モデルを準備している。 中国企業は何とか踏みとどまるため、世界中で市場を探し回ったり、国外の生産拠点に投資したり、関税を課される国で販売を続けるためにさらに大きな損失を受け入れたりしている。 そのため、新製品に投資し、賃金を引き上げ、国内で人員を増やす能力が限られることになる。

結局、中国は需要以上に供給を押し上げることで今日の成長を生み出すが、明日の成長を犠牲にしている。 英調査会社オックスフォード・エコノミクスの中国担当首席エコノミスト、ルイーズ・ルー氏はそう話す。 「いま何を生産していようとも、将来は生産できなくなる。」 (Jason Douglas、Wall Street Journal = 7-25-24)


中国の貿易黒字が過去最大に - 相手国に警戒感、摩擦激化リスク

中国の貿易黒字が 6 月に拡大し、過去最大規模に膨らんだ。 輸出が伸びる一方、輸入は予想外に減少した結果で、通商対立が激しくなるリスクが高まっている。 税関総署が 12 日発表した 6 月の輸出はドルベースで前年同月比 8.6% 増と、3 カ月連続で増加。 エコノミスト予想中央値は 8% 増、5月は 7.6% 増えていた。 一方、輸入は前年同月比 2.3% 減少。 予想は 2.5% 増加だった。 貿易黒字は 990 億ドル(約 15 兆 7,700 億円)に上った。 (Bloomberg = 7-12-24)


中国の貿易黒字データ、不可解な食い違い - 米国が説明求める

→ 中国の税関データと国際収支の報告で約 2,300 億ドルの開き - 2023 年分
→ 食い違いは 2021 年を過ぎ突然拡大し始めた - IMF も注視

米財務省によれば、中国の税関データが示す貿易黒字額は国際収支で報告されているよりもはるかに大きい。 中国の国際収支は国家外為管理局 (SAFE) がまとめている。 同省は 20 日発表した半年に 1 度の外国為替報告書で、中国税関が公表した 2023 年の貿易黒字は SAFE の報告よりも 2,300 億ドル(約 36 兆 5,000 億円)近く大きかったと指摘。 2000 年以降、両者の差は平均 70 億ドルに過ぎなかったという。

住宅不況で国内消費が落ち込んだ中国は、経済成長の原動力を対外貿易に依存。 こうした背景から 2 つの数値の食い違い拡大はここ数年、多くのエコノミストや国際機関から注目されている。 23 年の差は中国の国内総生産 (GDP) の 1% 余りに相当する。 自国市場が中国からの製品で席巻されつつあると主張する中国の貿易相手国もあり、中国の貿易黒字額が実際にはどの程度なのかということが大きな問題となっている。

SAFE は 1 年前、多国籍企業が中国企業に商品の製造を委託する特殊なタイプの自由貿易区を利用するようになったことが、データの違いの一因だと説明。 だが、米財務省は「過去 3年間、どのような傾向がこうした格差を拡大させたのかは明らかではない」とし、中国に対しその理由をはっきりさせるよう定量的な裏付けをさらに提出するよう求めた。 国際通貨基金 (IMF) は先月の記者会見で、昨年からこの問題を「注視」していることを明らかにし、近く公表される報告書で取り上げる予定。

もう一つの異常

IMF の中国担当ミッションチーフ、ソナリ・ジェインチャンドラ氏によると、税関のデータは国境を越えた物品の物理的移動に基づいているのに対し、SAFE の集計は所有権が変わる際の居住者・非居住者間の取引を対象としているため数値が異なるという。 同氏はこのようなギャップは他国にも存在すると述べたが、中国の場合、なぜ 21 1年を過ぎ突然拡大し始めたのかは説明しなかった。

米財務省が強調したもう一つの異常は、中国が 22、23 両年で海外からの投資所得の減少を報告したことだ。 この期間、ほとんどの先進国で金利が急上昇し、中国居住者が保有する有利子海外資産の明らかな減少もなかったが、それでも投資所得が減ったとしている。 同省によれば、これは中国の経常黒字を小さくする効果もある。 (Bloomberg = 6-21-24)


中国輸出、5 月は前年比 +7.6% に加速 内需弱く輸入は低調

[北京] 中国税関総署が 7 日発表した 5 月の貿易統計によると、輸出は前年比 7.6% 増と 2 カ月連続で増加し前月から加速した。 中国製品の需要が底堅いことが示され、景気回復に明るい材料となった。 しかし輸出が持続可能かどうかは不透明だ。 また長引く不動産危機により内需は引き続き弱く、輸入の低迷につながっている。 ジョーンズ・ラング・ラサールの中国担当チーフエコノミスト、ブルース・パン氏は「中国の輸出は 5 月も力強い伸びを維持した」と述べ、海外市場で中国製品のシェアがなお大きいことや、人民元相場が有利な状況にあること、関税引き上げを予想して企業が輸出を急いだことなどを反映していると分析した。

輸出は 4 月の 1.5% 増から伸びが拡大し、エコノミスト予想の 6.0% 増を上回った。 前年同月の水準が低かったことも要因とみられる。 一方、輸入は 1.8% 増と前月の 8.4% 増から伸びが鈍化し、市場予想 (4.2% 増)も下回った。 内需の弱さが浮き彫りになった。 5 月の貿易黒字は 826 億 2,000 万ドルと、4 月の 723 億 5,000 万ドルから増加した。 市場予想は 730 億ドルだった。 対米貿易黒字は 308 億ドルで、4 月の 272 億 4,000 万ドルから拡大した。 1 - 5 月では 1,282 億ドルとなった。

ハイテク輸出が好調

エレクトロニクス部門の世界的な景気循環の回復が中国製部品や完成品の需要を後押ししている可能性がある。 ロイターの推計によると、5 月の集積回路の輸出は前年比 28.4% 増加した。 韓国も 5 月の半導体輸出が堅調な伸びとなった。 自動車輸出(シャーシを含む)は 16.6% 拡大した。 キャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、Zichun Huang 氏は「実質実効為替レートの低下に支えられ、中国の輸出は今後数カ月好調を維持すると予想される。 外国の関税が直ちに輸出を脅かすことはないだろう」と述べた。 企業が関税を回避するために前倒しで出荷することで、輸出が増加する可能性があるとの見方を示した。 (Joe Cash、Reuters = 6-7-24)