西側企業の中国熱は冷めつつある - 独メディア

2024 年 11 月 6 日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは「西側企業の中国熱は低下しつつある」と題したドイツ紙ハンデルスブラットの評論文章を紹介する記事を掲載した。 記事は、第 7 回中国国際輸入博覧会が 5 日に上海で開幕し、ドイツ企業が出展企業数と展示面積の両方で世界トップとなったことを伝えた上で、同紙の評論文章を紹介。

同紙が「輸入博は通常の産業展示会ではなく、7 年前に中国共産党と習近平(シー・ジンピン)主席が創設した国家主導の製品展示会。 中国の李強(リー・チアン)首相は開会式で自由貿易を守ると誓ったものの、輸入博の本質はますます自信を深める中国の国家資本主義のショーだ。 中国とビジネスをしたいのであれば、中国に忠誠心を示さなければならない。 一方で、多くの欧米企業にとって中国の巨大な市場とますます激化する地政学的・経済的紛争を考えると、中国への依存を避けるのは容易ではない」と評したことを伝えた。

同紙はまた、中国による差別的、高圧的な扱いを受けて多くの欧米企業が中国に対する熱意を低下させ、もはや中国市場の将来に自信を持てなくなっていると指摘。 その背景として米中間の貿易戦争と、中国がますます強硬な産業政策を展開していることを挙げ、「その結果、EU をはじめとするますます多くの国や地域が、中国からの輸入品から自国の市場を守るための措置を講じている」と論じた。

その一方で、BMW やフォルクスワーゲンなどドイツの大手自動車企業が EU による中国製電気自動車 (EV) への制裁関税発動に関する決定を自由貿易や市場経済の原則によるものであるにもかかわらず、大胆に批判しつつ、中国政府が自国メーカーへの巨額の補助金支給を行い、外国のライバルを排除しようとしていることに対しては全く口を開かないと指摘した。

その上で、「自由民主主義国家の企業が権威主義国家の差別的な産業政策を批判する勇気を持たず、その代わりに自国の産業政策を攻撃するようでは、経済政策に関する議論は深刻にゆがめられてしまうだろう。 中国市場なくしてドイツの自動車産業が利益を上げ続けることが今や困難であることは明らかだが、公平な競争なくしてドイツの自動車産業が利益を上げられないのも明白だ」と評し、中国におけるドイツの自動車メーカーの利益の急激な減少が好例だと伝えた。 (川尻、Record China = 11-8-24)


EU、中国製 EV への追加関税を承認 11 月から最大 35.3%

中国から輸入する電気自動車 (EV) への追加関税について、欧州連合 (EU) は 4 日、加盟国による投票を行い、賛成多数で承認した。 EUは、中国製 EV の価格が中国政府の補助金で不当に抑えられているとして、その効果を打ち消す相殺関税案を 6 月に発表。 追加関税は 11 月から 5 年間、導入される見通しだ。 EU は輸入乗用車に、原則 10% の関税をかけている。

承認された追加関税案で、補助金の程度などに応じてメーカーで差をつけ、EV 大手 BYD は 17%、上海汽車集団は最大の 35.3% を上乗せすることになる。 AFP 通信などによると、加盟国 27 カ国中、10 カ国が賛成し、5 カ国が反対。 12 カ国が棄権した。 棄権した国々は EU の立場を理解しつつも、中国からの「報復措置」を不安視したとみられる。

ドイツの自動車業界「死活問題」

これまで、追加関税に最も強く反対していたドイツの政府高官は、この日の採決で反対に回ったと明らかにした。 ドイツは、最大の貿易相手国である中国と敵対的な関係に陥ることを懸念し、当初から EU に対して妥協するよう求めていた。 ドイツの自動車メーカーは、2023 年の販売台数の約 3 分の 1 が中国向けで、特にポルシェといった高級車は中国では生産せずにドイツから輸出しており、報復措置をとられれば自動車業界にとって死活問題となる。 ロイター通信によると、リントナー財務相は 2 日、「中国との貿易戦争は欧州やドイツの主要産業にとって、利益よりも損害をもたらすだろう」と発言していた。 ドイツは終盤まで、棄権か反対か態度を明らかにしていなかったが、国内の自動車メーカーなどからの強い要請を受け、最終的に決断したとみられる。

欧州委「引き続き交渉の用意ある」

中国政府は 8 月、EU の追加関税は不当だとして世界貿易機関 (WTO) に提訴。 さらに、ブランデーや乳製品といった EU からの輸入品に対し、ダンピング(不当廉売)の調査を連発している。 EU の行政を担う欧州委員会は 2023 年 10 月、中国政府による補助金は不正だとして、中国の EV 企業 100 社以上の調査を開始。 今年 6 月には、従来の 10% の関税に上乗せする形で、補助金の効果を打ち消す相殺関税を発表していた。

一方、BYD や上海汽車集団などの中国の EV メーカーは、EU 向けの EV に「最低価格」を設ける譲歩案を提示している。 欧州委は承認後も、引き続き交渉する用意があるとしている。 これに対し、中国商務省は 4 日「中国は、EU の最終決定案に断固反対するが、EU 側が交渉を通じた問題の解決を続けるという政治的意思を表明したことにも注目している」との報道官談話を発表した。(ブリュッセル・牛尾梓、北京・鈴木友里子、asahi = 10-4-24)

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EU が中国製 EV に追加関税発動 カナダも検討、「中国包囲網」に

欧州連合 (EU) の行政を担う欧州委員会は 4 日、中国から輸入する電気自動車 (EV) に最大 37.6% の追加関税を課す措置を 5 日に始めると発表した。 米欧や日本のメーカーの中国製 EV も対象で、欧州での販売に影響するおそれがある。 「過剰生産」が問題視される中国製 EV をめぐっては、米国やカナダでも同様の動きがあり、「中国包囲網」の様相だ。

欧州委は、中国政府の補助金により不当に価格が抑えられ、競争がゆがめられているとして、関税引き上げ方針を 6 月に発表した。 これまで中国製の輸入 EV には 10% の関税をかけていた。 5 日からは補助金の程度などに応じて EV 大手 BYD には 17.4%、上海汽車集団は最大の 37.6% を上乗せする。 部品供給網(サプライチェーン)に広く補助金が行き渡っているとみて、中国メーカー以外でも調査に協力した企業に 20.8%、協力しなかった企業には 37.6% を追加する。 関税率は 6 月の発表時より一部引き下げた。

EU の追加関税、米テスラやホンダも対象に

今回は暫定措置で、11 月までに正式決定する。 決まれば追加関税は 5 年間続くことになる。 欧州委は、世界貿易機関 (WTO) ルールに沿った解決策に向け、中国側と協議を続けているとしている。 欧州のシンクタンク「輸送と環境 (T & E)」の調べによると、2023 年に EU 向けに輸出された中国製 EV は約 29 万台。 EU 全体の EV 販売に占めるシェアは 19.5% で、うち中国メーカーは 4 割、欧米などのメーカーが 6 割を占める。 最も台数が多いのは米テスラで、仏ルノーや独 BMW などが続く。

ルノーは傘下のダチアの EV が 20.8% の追加課税の対象となる。 ルノーの広報担当者は「(対象の EV は)グループの販売台数の 1% に過ぎず、収益性を脅かすものではない」とした。 日系ではホンダが昨年 9 月から、欧州向けに EV の SUV (スポーツ用多目的車) 1 車種を輸出しており、20.8% の追加関税の対象になる。 23 年度の欧州向け輸出台数は約 4,200 台。 ホンダ広報担当者は「競争力の最大化に向けて最善を尽くす」としている。

中国製 EV に対してはカナダも 6 月 24 日、新たな関税を検討していると表明した。 フリーランド副首相兼財務相は記者会見で「カナダを中国の過剰供給のごみ捨て場にさせはしない」と述べた。 今後、一般からの意見聴取を経て、正式に決める。 自動車はカナダの一大産業だ。 フリーランド氏は中国による EV の「つくりすぎ」は極めて意図的で、「カナダを含む世界中の EV メーカーを弱体化させる」と懸念を語った。

カナダは主要 7 カ国 (G7) の一角を占める。 同じ G7 の欧州や米国が強硬姿勢を打ち出すなか、カナダも対応策をとらざるを得なくなった面もある。 米政府は 5 月、中国から輸入する EV にかけている制裁関税を、8 月から 4 倍の 100% に引き上げると発表。 バイデン大統領は中国の商慣行について、「競争ではない。 不正行為だ。」と批判する。 ただ、米国では中国製 EV はほとんど出回っておらず、カナダも中国工場製の米テスラ車が輸入されている程度だ。 輸入が本格化する以前から予防的に高関税をかけることには批判もある。 (ロンドン・寺西和男、ワシントン・榊原謙)

中国の対抗措置必至、EU 産豚肉の調査開始

中国側はこうした動きに強く反発している。 中国製 EV の価格競争力は補助金によるものではなく「新たな技術革新や市場競争によるものだ(外務省)」と主張。 過剰生産との批判にも「世界のインフレ圧力を緩和し、気候変動への対応でも積極的な貢献をしている(李強首相)」などと反論している。 逆に、欧米の関税引き上げの動きを「典型的な保護主義のやり方だ」と繰り返し批判。 特に米国に対しては、自国が輸出で優位な製品は「自由貿易」を主張しているのに、他国が優勢な製品では「過剰生産」を持ち出す、などと強い不満を示してきた。

中国は世界最大の EV 生産国であり輸出国だ。 米中摩擦が深まる中で欧州を有望な市場と位置づけ、「理性的かつ専門的な方法で、貿易摩擦の拡大・エスカレートを回避することを望んでいる(王文濤商務相)」などとしてきた。 今回の追加関税発動を受け、中国が対抗措置に出ることは必至だ。 EU 域内産の豚肉についてダンピング(不当廉売)の疑いで調査を始めると発表しており、反ダンピング関税などにつながりうる。 EU のブランデーに対しても既に同様の調査を進めている。 このほか、輸入大型ガソリン車への関税引き上げも示唆しており、EU との間でも対立が激しくなる可能性がある。 (上海・鈴木友里子、asahi = 7-4-24)


中国海軍、ロシアの手引きで NATO の海を堂々と正面突破 深まる中ロの軍事協力

<周囲をほとんど NATO 諸国に囲まれたバルト海を堂々と通行する中国軍艦の目的地は、ロシアのバルチック艦隊の母港サンクトペテルブルク。 中ロ両国は戦略的に足並みを揃え、軍事協力をますます強化している>

中国海軍の艦艇 2 隻が 7 月 20 日、NATO 艦艇のエスコートでバルト海に入った。 2 隻は式典に参加するため、ロシアのサンクトペテルブルクに向かって航行中だ。 目撃者が X (旧ツイッター)に投稿した橋からの映像には、バルト海に浮かぶデンマークの島々の近くを、中国の 052D 型(旅洋 III 型)ミサイル駆逐艦「焦作」と 903 型(福池型)総合補給艦「洪湖」 が、先導するデンマークの哨戒艇とともに航行する様子を捉えている。 別の目撃者の投稿では、中国海軍の艦艇が、やはりバルト海に浮かぶデンマーク領の島々を結ぶグレートベルト(大海峡)橋の下を通過するところだった。

フィンランドとスウェーデンの NATO 加盟によって、バルト海は大部分が NATO 諸国に属することになり「NATO 湖」とも呼ばれている。 そうした NATO の海域を、焦作と洪湖は数時間かけて通過した後、ロシア軍が駐留する飛び地カリーニングラードの沖を通ってバルチック艦隊の母港サンクトペテルブルクに向かうとみられる。 本誌は NATO の同盟海上司令部とデンマーク海軍に書面でコメントを求めたが回答は得られなかった。 サンクトペテルブルクでは毎年 7 月の最終土曜日に「海軍の日」の式典が行われる。 ウラジーミル・プーチン大統領やロシア軍幹部が顔を揃え、近くの島から海上軍事パレードを観閲する。 地元メディアは、中国海軍の艦艇の参加が予定されていると伝えている。

 

だが今週初め、サンクトペテルブルクの当局者はメインイベントである 28 日の軍事パレードが中止になったと発表した。 理由は明らかになっていないが、代わりにもっと規模の小さい式典を市内各地で行うという。 中国がサンクトペテルブルクに自国の艦艇を初めて送り込んだのは 2017 年のこと。 海軍の艦隊がバルト海でロシア軍と合同軍事演習を行った。 2019 年にも他の国々の艦船に混じって駆逐艦を式典に参加させた。 一方、ロシアの太平洋艦隊は先週、所属するフリゲート艦が南シナ海で行われた 15 日間にわたる中国海軍との合同演習を終えたと発表した。 航行距離は 4,800 海里に及んだという。 (NewsWeek = 7-22-24)


EU、中国発「SHEIN」、「Temu」に情報要求 違法商品対策で

欧州連合 (EU) の行政を担う欧州委員会は 28 日、中国発のネット通販サイト「SHEIN (シーイン)」と「Temu (テム)」の運営会社に対し、違法商品対策や利用者保護についての情報を提供するよう要求した。 この要求は、EU のデジタルサービス法 (DSA) に基づくもので、EU 域内の月間利用者数が 4,500 万人以上のサービスが規制対象になる。 フェイスブックやアマゾンなど米巨大 IT 企業のサービスに加え、シーインが 4 月に、テムが 5 月に指定されていた。 指定を受けると、知的財産権を侵害する偽造品や未成年に有害な商品への対応が求められる。

「ダークパターン」で必要以上の出費

欧州の消費者団体は 5 月、テムについて、利用者が望まない選択へ誘導する「ダークパターン」を使って消費者に必要以上の出費をさせているとして EU 側に通報。 欧州委は今回の要求に踏み切った。 両社は 7 月 12 日までに情報を提供する必要があり、期日までに回答しなかった場合、制裁金が科される可能性がある。 シーインは日本でも 20 年からサービスを開始。 低価格で流行のファッションアイテムが買えることから若年層を中心に人気が高い。 23 年末時点で、世界の登録者数は 4 億 6,700 万人を超えるといわれている。 テムも「送料無料」などを売りに、昨年から日本でもサービスを開始。 現在、世界 50 カ国以上で 1 億 3 千万人以上が利用しているといわれている。(ブリュッセル・牛尾梓、asahi 6-29-24)


中国と EU、EV 追加関税巡る協議開始で合意 - 商務省が声明

中国から輸入される電気自動車 (EV) に追加関税を課す欧州連合 (EU) の計画を巡り、中国と EU は協議を開始することで合意した。 中国商務省の声明によると、中国の王文濤商務相と欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長(通商担当)は 22 日にビデオ会議で会談し、協議を開始することで一致した。 詳細は明らかにされていない。

EU は 12 日、中国から輸入される EV に最高 48% の関税を課す計画を発表。 これにより、中国との貿易摩擦が悪化した。 EU は巨額の国家補助金など不公正な貿易慣行を理由に中国に対する多くの調査に着手。 一方、中国は欧州製品を標的にした活動を加速させ対抗措置に出ている。 今回の協議の背景には、 ドイツのハーベック経済相が中国を訪問したことがある。 同相は 22 日に王商務相と会談し、問題の関税について EU には協議する意思があるとあらためて表明していた。 (Shiyin Chen、Kamil Kowalcze、Bloomberg = 6-23-24)


中国、EU 産豚肉をダンピング疑いで調査 EV 関税引き上げに対抗か

中国商務省は 17 日、欧州連合 (EU) 域内産の豚肉について、ダンピング(不当廉売)の疑いで調査を始めると発表した。 反ダンピング関税などの措置につながる可能性がある。 EU の行政を担う欧州委員会は今月、中国から輸入する電気自動車 (EV) に対する関税の引き上げ方針を発表したばかり。 中国側が対抗措置に出た形だ。 商務省の発表によると、調査対象は豚肉やその内臓、塩漬けなどの加工品。 中国国内の豚肉業界を代表し、中国牧畜業協会から調査の申し立てがあったという。 今後、基本的に 1 年以内に調査を終わらせるとしている。

中国当局によると、2023 年に中国は約 271 万トン(約 64 億ドル分)を輸入しており、その約半分が EU からだった。 欧州委は、EV 産業に対する中国政府の補助金で中国メーカーの EV の価格が抑えられ、競争をゆがめていると判断し、最大 38.1% の相殺関税を課す方針を発表したばかり。 中国は対抗措置をとる構えを見せていた。 今回の反ダンピング調査のほかにも、輸入大型ガソリン車への関税引き上げも示唆している。 今回の中国の調査について、欧州委のギル報道官は、定例の記者会見で、「調査が世界貿易機関 (WTO) のすべての関連規則に完全に準拠するよう、適宜介入していく」と述べた。 また、中国の主張に一理あるかと問われ、「EU における中国への働きかけはすべて正しく、WHO 義務に完全に適合している」とした。(北京・鈴木友里子、ブリュッセル・森岡みづほ、asahi = 6-17-24)


EU、中国製 EV に 38.1% の関税 上乗せする方針を発表

EU = ヨーロッパ連合は、中国から輸入される EV = 電気自動車について、中国政府からの不公平な補助金を受け、ヨーロッパの企業に損害を与えるおそれがあるとして、暫定的に最大で 38.1% の関税を上乗せする方針を発表しました。 中国側は強く反発しています。 EU の執行機関、ヨーロッパ委員会は 12 日、中国から輸入される EV について、すでに課している 10% に加え、暫定的に関税を上乗せする方針を明らかにしました。 上乗せは最大で 38.1% で、中国当局との協議で状況が改善しなければ、7 月 4 日以降、発動するとしています。

対象となるのは、中国メーカーに加えて、中国で製造する欧米メーカーも含まれます。 ヨーロッパ委員会は、中国から輸入される EV が、中国政府からの補助金を受け、EU 市場での競争をゆがめているとして、2023 年 10 月から調査を行っていました。 その結果、供給網のあらゆる段階で補助金を受けていることが確認され、こうした車が、EU 市場でのシェアを急速に伸ばしていることで、EU のメーカーは価格を引き上げられず損失を出しているとしています。 中国製の EV をめぐっては、アメリカのバイデン政権が 5 月に、関税を 25% から 100% に引き上げると発表していて、EU の方針はこれに続くもので、中国側は強く反発しています。

中国外務省「合法的な権益を断固として守る」

EU 側の発表に先立って中国外務省の林剣報道官は 12 日の記者会見で「市場経済の原則と国際貿易のルールに反し、中国と EU の経済貿易協力や世界の自動車生産のサプライチェーンの安定を損ない、最終的にはEU 自身の利益を損なうものだ」と主張しました。  そのうえで「われわれは EU に対し、自由貿易を支持し、保護主義に反対するという約束を厳守するよう求める。 中国は、あらゆる必要な措置をとってみずからの合法的な権益を断固として守る」と述べ、対抗措置をとることを示唆しました。

中国商務省「断固反対」 EU の発表に強く反発 対抗措置を示唆

EU = ヨーロッパ連合の発表を受けて、中国商務省の報道官は「中国は強い懸念と強烈な不満を示し、中国産業界も深く失望するとともに断固反対する」と強く反発するコメントを出しました。 そして、「EU 側の行いは、中国の EV = 電気自動車産業の合法的な権益を損なうだけでなく、EU を含む世界の自動車サプライチェーンを乱し、ねじ曲げるものだ」と主張しました。 そのうえで、「中国は EU に対し、直ちに誤ったやり方を正すよう求める。 中国側は EU 側の今後の進展を細かく注視するとともに、あらゆる必要な措置をとり、中国企業の合法的な権益を断固として守る」として対抗措置をとることを示唆しました。

ドイツ政府、関税の上乗せに慎重な姿勢

フォルクスワーゲンなどの大手自動車メーカーを抱えるドイツ政府の報道官は 12 日の記者会見で「われわれにはさらなる貿易の障壁は必要ない」と述べ、中国の EV に対する関税の上乗せに慎重な姿勢を示しました。 その上で EU が中国当局との協議で状況が改善しなければ、来月 4 日以降に関税の上乗せを発動するとしていることについて「まだ時間はある。 友好的な解決にたどり着くことが望ましい。」として、協議を通じて上乗せが回避されることに期待をにじませました。

ドイツの自動車メーカーは中国市場を重視し、EV に関税を上乗せした場合、中国側の報復を受ける可能性を懸念してきました。 ドイツ自動車工業会のミュラー会長は声明を発表し、中国政府の補助金について課題だとの認識を示しながらも、「世界的な貿易紛争のリスクをさらに高める」として自動車産業への影響にあらためて懸念を表明しています。

EU 市場での中国製 EV のシェアは

ベルギー・ブリュッセルに拠点を置く交通分野の環境 NGO は、ことし 3 月に発表した報告書で中国から EU に輸入される EV の今後の見通しを示しました。 それによりますと EU 市場で販売される EV のうち、中国から輸入される車の割合は、欧米のメーカーが中国で生産する EV も含め、去年は 19.5% でしたが、3 年後の 2027 年には 26% になると予測しています。 ま7た、中国のメーカーの EV が占める割合は、去年は 7.9% でしたが、3 年後には 20% にまで伸びる可能性もあるとしています。

環境 NGO によりますと、EU 市場で販売される中国のメーカーの EV は、ヨーロッパのメーカーに比べて、5% から 27% 安いということで、仮に関税をいまの 10% から 25% にまで引き上げれば、車種によっては中国のメーカーのEV がヨーロッパのメーカーのものより高くなると指摘しています。 (NHK = 6-13-24)


中国鉄道メーカー「中国中車」を欧州委が調査へ … 政府補助金で不当に安く落札の疑い

【ロンドン = 中西梓】 欧州連合 (EU) の執行機関・欧州委員会は 16 日、政府補助金により EU 域内の公共事業が不当に安く落札された可能性があるとして、中国の国有企業で世界最大手の鉄道車両メーカー「中国中車」グループを調査すると発表した。

欧州委の発表によると、中国中車はブルガリア政府から、鉄道車両 20 両と 15 年間の保守事業を推定 6 億 1,000 万ユーロ(約 1,000 億円)で落札した。 英紙フィナンシャル・タイムズによると、落札額はブルガリア政府の想定額や競合相手のスペイン企業の入札額の約半額だったという。 EU は、一部の産業を除き、特定企業に対する政府の補助金を原則禁止している。 EU は昨年、政府の補助金を受ける域外企業との競争で欧州企業が不利にならないように新たな規制を設けている。 今回の調査は新規制に基づく初の本格調査になるという。 (yomiuri = 2-17-24)


イタリア首相、「一帯一路」離脱を中国に非公式に伝える - 関係者

→ メローニ首相はインドで中国の李首相と 9 日に会談
→ イタリアは中国による貿易報復を警戒、正式表明に慎重になっている

イタリアのメローニ首相は中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に関する投資協定から離脱する方針を中国の李強首相に非公式に伝えた。 インドでの 20 カ国・地域首脳会議(G20 サミット)に出席した両首相は 9 日に会談し、メローニ首相がイタリアの離脱方針を李首相に語った。 事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。 イタリアは 2019 年、一帯一路協定に正式に署名していた。 一帯一路は習近平国家主席が旗振り役となって進めている政策だが、習主席は今回の G20 サミットを欠席。 メローニ首相は中国による貿易報復を警戒し、協定離脱の決定をどのように中国側に正式に表明するか決めるまで時間をかけている。 (Chiara Albanese、Alberto Nardelli、Bloomberg = 9-10-23)


「デリスキング」の欧州、中国の EV 投資は規制対象か 専門家の見方

中国メーカーが欧州市場で電気自動車 (EV) の販売攻勢をかけている。 中国から欧州への投資も、EV 向け電池など自動車産業への投資が主役になっている。 一方で、欧州連合 (EU) は、経済安全保障の観点から中国に依存することを警戒し、「デリスキング(リスク軽減)」を掲げて対応を進める。 独シンクタンク「メルカトル中国研究所」のアナリスト、グレゴール・セバスチャン氏に、欧州での中国の投資の見通しなどについて聞いた。

メルカトル中国研究所のリポートによると、中国からの欧州への投資は、主流だった企業買収・合併 (M & A) が減る一方、2022 年は、EV 向け電池工場を中心にグリーンフィールド投資(更地から工場などを建てる投資)が増え、初めて M & A 投資を抜きました。

中国政府の「手厚い補助金」

「投資は雇用を生み出すため、多くの政府は投資を受けることに熱心です。 M & A は中国企業が欧州企業の技術を買収し、中国に移転させるというように見られがちです。 工場建設などのグリーンフィールド投資は、そうしたリスクは低いです。」

「ただ、グリーンフィールド投資も、EU 市場をゆがめる恐れがあります。 中国の電池産業は(中国政府の)手厚い補助金を受けて保護される形で成長してきました。 (欧州に進出する中国電池メーカーとの競争で)欧州の電池メーカーの成長の余地は、小さくなる可能性があります。」

EU は 7 月から新たな国家補助規制を導入し、外国政府の補助を受けて欧州で活動する企業への規制も厳しくしました。 中国企業からの欧州への投資にも影響する可能性が指摘されます。

「今までの EU の国家補助規制は、欧州各国の政府による欧州企業への支援を対象にしてきました。 新しい規制の対象は、外国政府の支援を受けた企業に広げることになります。 中国の EV 電池メーカーの投資をねらった可能性があり、欧州への投資を難しくするかもしれません。」

「EU の行政機関にあたる欧州委員会は、企業が外国政府の補助金で製品を非常に安く生産し、EU 市場での競争をゆがめる恐れがあると判断すれば、調査をします。 中国の大手電池メーカーの寧徳時代新能源科技 (CATL) が、ハンガリーで建設中の EV 向け電池の新工場への投資についても、欧州委員会の判断次第では対象になる可能性があります。」

「この規制は、EU のデリスキングの手段の一つで、欧州での公平な競争条件を保つための手段になります。 実際にどのように運用がされるのかは、今後見ていかないといけません。 中国から欧州への直接投資は、ここ数年は年 80 億 - 100 億ユーロ(約 1.2 兆 - 1.5 兆円)程度と低水準ですが、この傾向が今後も続く可能性があります。」

中国の投資、欧州に「良い面も」

欧州が、中国の EV 電池産業に頼りすぎるのはよくないのでしょうか。

「(デリスキングの観点からは)依存度を高めることはよくない半面、中国による電池投資が欧州によい影響をもたらす面もあります。 ドイツ政府は今、十分なバッテリーの生産能力がないことを懸念しています。 欧州の投資の一部は、北米で組み立てた EV が税制面などで優遇される米国の『インフレ抑制法』を受け、米国に流れています。」

「一方、(米中対立のなかで)米国への投資機会があまり多くない中国の電池メーカーなどは、欧州で電池生産を増やし、欧州の脱炭素化を支えています。 欧州の観点から望ましいのは、欧州にできる CATL などの巨大な電池工場が中心になり、その工場で使われる電池部材の会社からの投資へとつながっていくことです。 それによって欧州で生産が広がれば、電池部材を中国からの輸入に頼る必要はなくなり、欧州経済を強靱にする助けになります。 欧州におけるグリーンエネルギーへの移行は、中国の関与なしに難しいと思います。」

EU は中国依存を警戒し、原材料の自給率を高める法案を発表しました。 原材料の調達先を多角化する取り組みも進めています。

「EU は原材料の調達を多角化するため、チリやオーストラリアなどと自由貿易協定を結ぶことを目標にしています。 ただ、問題は、原材料加工などの多角化の取り組みが十分にできていないことです。 仮に自由貿易協定を結んだ相手から原材料を調達しても、加工するために中国に持って行く必要があります。 こうした状況では、(デリスキングという)肝心の課題を解決したことになりません。」 (聞き手・寺西和男、asahi = 7-16-23)


NATO 共同声明、中国の覇権主義的行動に強い懸念 … 事務総長「国際秩序に挑戦している」

【ビリニュス = 池田慶太】 リトアニアの首都ビリニュスで開催中の北大西洋条約機構 (NATO) 首脳会議は 11 日、初日の討議を踏まえて共同声明を採択した。 「中国の野心と威圧的政策は、NATO の利益や安全、価値観への挑戦だ」と明記し、覇権主義的行動を続ける中国に強い懸念を表明した。 日本を含むアジア太平洋地域のパートナーとの連携強化も打ち出した。 声明では、中国が「幅広い政治的、経済的、軍事的手段」を用い、世界で着実に影響力を拡大させていると指摘し、重要技術や鉱物資源を「支配しようとしている」と警告した。 中国は核兵器を急速に増強させているとして、核政策の透明性向上を強く求めた。

NATO のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は記者会見で「中国はますますルールに基づく国際秩序に挑戦している」と述べた。 焦点だったウクライナの NATO 加盟について、声明には「条件が満たされ、加盟国が同意した場合」に手続きを進めると盛り込んだが、具体的な時期は明示しなかった。 ロシアを巡っては、「最も重大かつ直接的な脅威」とする従来の表現を維持し、ウクライナからの即時撤退を改めて要求した。 (yomiuri = 7-12-23)


欧米から台湾問題めぐる発言に批判、マクロン仏大統領が沈静化はかる

フランスのマクロン大統領は 12 日、訪問先のオランダでルッテ首相と会談した。 共同記者会見では、台湾問題で米中いずれにも「追従するべきではない」と仏紙などで述べて欧米から批判を招いたマクロン氏に質問が集中した。 マクロン氏は「我々の立場は変わっていない」と述べ、事態の沈静化を図った。 マクロン氏のインタビューは 5 - 7 日の中国訪問の際、移動の機中で行われ、仏紙レゼコーなどが 9 日付で電子版に掲載した。

マクロン氏は台湾問題について「最悪なのは、欧州が米国のリズムや中国の過剰反応に追従しなければならないと考えることだ」と主張。 米中対立と距離を置き、欧州は両国の「属国」ではなく、両国に対抗する「第三極」になるべきだと訴えた。 オランダの首都アムステルダムで 12 日午後に開かれたルッテ首相との共同会見では、この発言をめぐって、マクロン氏に質問が集まった。 マクロン氏は台湾問題について「現状維持を支持する」という発言を繰り返し、フランスの立場に変化がないことを強調した。 一方で、「同盟は属国であることを意味しない」として、自立的な立場を取る考えも示した。 (asahi = 4-13-23)


「理想的だ」中国側が評価したマクロン氏の発言 フランスの狙いは?

フランスのマクロン大統領は 6 日、北京で習近平(シーチンピン)国家主席と会談した。 両首脳は共同宣言でウクライナ侵攻について、「核兵器を使ってはならない」とロシアに対して呼びかけた。 欧州と中国はここ数年、人権問題をめぐって関係がこじれてきたが、互いに共通する主張を強く打ち出すことで結束を強調した。 マクロン氏は会談の冒頭で習氏に、「ロシアに理性を取り戻させるためにはあなたが頼りだ」と語りかけた。 会談後の共同宣言では、「核兵器は完全にこの紛争から排除されなければならない」と指摘。 この点で中国側と考えを共有していると説明した。

ウクライナ侵攻をめぐっては、欧州連合 (EU) の加盟国の間でロシアに対する中国の兵器支援への警戒感が強い。 AFP 通信によると、マクロン氏は北京到着後の 5 日、中国を念頭に「侵略者を助けるなら、何者であっても国際法違反の共犯者になる」と語った。

欧州諸国、対中国では温度差

EU では、昨年 11 月から今年 3 月までにドイツのショルツ首相やスペインのサンチェス首相らが訪中。 中国との経済関係を深めたい加盟国がある一方、マクロン氏に同行する EU のフォンデアライエン欧州委員長は中国に厳しい姿勢をとる。 6 日の李強(リーチアン)首相との会談では「中国は欧州にとって非常に重要だ」とする一方、「EU と中国の関係はより複雑になっている」とも話した。

一方、フランス側は今回、友好ムードの演出に努めた。 マクロン氏は共同宣言で「我々には違いがある」とする一方、「忠告を与えるよりも尊重する方が結果が得られる」と語った。 背景には首脳会談を商機にしたい意図があるからだ。 訪中には仏エアバスなど企業のトップ約 60 人が同行。 マクロン氏は首脳会談前の 5 日、「いくつかの重要な契約が結ばれる」と述べ、航空機の受注など大型契約の締結を示唆した。 フランス側は農産物加工品や航空機などで中国市場への参入拡大を優先事項にしており、仏大統領府の関係者は「我々は中国の経済を切り離すつもりはまったくない」と言い切る。 (パリ = 宋光祐)

フランスをつなぎとめたい中国

「世界はいま、歴史の変化を経験している。 中仏は意見の相違を乗り越え、真の多国間主義を実践し、世界の平和、安定、繁栄を守る能力と責任がある。」 首脳会談の冒頭、習氏はマクロン氏にこう語りかけ、対中重視の姿勢を堅持するよう促した。 マクロン氏は北京に到着した 5 日の行事で「中国との対話は不可欠であり、ロシアばかりが中国と話し合うのは間違いだ」と述べた。 中国外交筋は「理想的な発言だ。 多極化を目指す中国の外交戦略にも合致する」と評価する。

米国の覇権に基づく国際秩序の転換を訴える中国にとって、フランスは二つの意味で特別な存在だ。 一つは、フランスが国連安全保障理事会常任理事国であることだ。 中国は米英との対立が続く一方、ロシアとは良好な関係を維持。 フランスはその中間に立つ。 国連中心主義を唱える中国にとって、フランスとの関係は重要だ。 もう一つは、EU、そして欧州の中核であるフランスとの経済協力が不可欠なことだ。 新型コロナウイルスの感染拡大や米中対立による経済のデカップリング(切り離し)で、中国経済の成長は鈍化している。

昨年の国内総生産 (GDP) は前年比 3.0% と目標の「5.5% 前後」に届かなかった。 EU の統計によると、昨年の EU 27 カ国と中国の貿易額は前年比 22.8% 増の約 8,563 億ユーロ(約 123 兆円)で、フランスはぜひともつなぎとめておきたい相手だ。 ウクライナ問題に対し、中国が停戦や和平交渉を唱えるのも、欧州向けのアピールの意味が大きい。 習氏は会談後の記者発表で「中国は対話による政治解決の立場を堅持する。 フランスとともに国際社会に呼びかける」と訴えた。 (北京 = 冨名腰隆、asahi = 4-6-23)



EU、「脱中国」鮮明に 経済安保強化、人権重視

【ブリュッセル】 欧州連合 (EU) が「脱中国」の動きを鮮明にしている。 欧州委員会は今月、中国を念頭に置いた二つの法案を発表。 経済安全保障を強化し、民主主義や人権といった価値観を重視する姿勢を強く打ち出した。 ロシアのウクライナ侵攻を契機に、中国への警戒感を一層強めている。

「石油やガスと同じような依存関係に陥る事態は避けなければならない。」 フォンデアライエン欧州委員長は 14 日の施政方針演説で、中国が生産の大半を占めるレアアース(希土類)の調達をめぐり危機感をあらわにした。 EU 域内のレアアース生産拡大に向けて投資を増やし、必要に応じて戦略備蓄を構築する狙いで、「欧州重要原材料法案」の提出を表明した。

また、強制労働が関わる製品を排除する法案も公表。 特定国の名指しこそしていないが、6 月には欧州議会が中国による新疆ウイグル自治区の人権侵害や強制労働を非難し、法案策定を求めていた。 ロシアのウクライナ侵攻は、欧州にエネルギー問題を突き付けた。 天然ガスの 4 割をロシアからの輸入に依存してきたことが裏目となり、調達先の多様化を余儀なくされた。

欧州委のシェフチョビッチ副委員長も 12 日、EU が目指す脱炭素社会やデジタル経済にはレアアースが欠かせないと主張。 「対立関係によって、あらゆる物資が武器として利用される地政学的変化が起きている」と指摘し、「戦略分野では、(特定国に)過度に依存できないことが一層明確になった」と強調した。 (jiji = 9-19-22)