iPS 備蓄、日赤が協力 京大計画、広範な活用へ道 【下司佳代子】 将来の再生医療を見据え、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)をつくって備蓄する京都大の計画に、日本赤十字社が協力すると 26 日発表した。 特殊な白血球の型をもつ献血者に協力を依頼する。 日本人の大半に使える iPS 細胞を確保できる可能性が出てきた。 この日開かれた厚生労働省の審議会で、計画が了承された。 日赤は来年から、献血の際に計画への協力を呼びかける。 他人に移植しても拒絶反応を起こしにくい特殊な白血球型の人がいれば、計画の説明と協力依頼の手紙を出す。 協力したい人は京大病院に連絡し、iPS 細胞をつくるための血液か皮膚を提供する。 白血球型の情報を備蓄計画に使われたくない場合は、献血時に拒否できる。 日赤が現在保管する血液は、輸血を前提に提供されたため使わない。 献血者の情報も京大に提供しない。 備蓄計画では、10 年以内に、日本人の 9 割をカバーできる 150 種類の型を集めるのが目標。 それには数十万〜数百万人の型を調べる必要があるが、日赤の協力があれば達成できる見込みだという。 備蓄する iPS 細胞の材料には、臍帯血や、京大病院の患者の血液も使われる予定。 (asahi = 12-27-12) iPS 細胞で心筋シート、不整脈再現し新薬目指す 京大 【鍛治信太郎】 ヒト iPS 細胞からシート状の心筋組織をつくり、不整脈の状態を再現することに京都大の研究グループが成功した。 新しい治療薬づくりに役立つという。 欧州心臓病学会誌速報電子版で 1 日、発表した。 京大医学研究科の大学院生の門田真(しん)さんらは、ヒトの iPS 細胞や ES 細胞から心筋細胞をつくってシート状にし、心筋の収縮が波のように伝わるのが見えるようにした。 心筋の密度が部分的に低い場所をつくると、波形が乱れ、不整脈の波形と同じになった。 実際の心臓でも、心筋梗塞(こうそく)などで心筋の機能が衰えた場所が部分的にできると、不整脈が起きることが知られている。 (asahi = 12-1-12) 白血病になりやすい iPS 細胞作製 慶応大など、発生メカニズム研究へ 慶応大、弘前大、広島大などの研究チームは 29 日までに、白血病になりやすい遺伝的な特徴を持つ人の人工多能性幹細胞(iPS 細胞)を作製したと発表した。 通常の iPS 細胞と同様、さまざまな細胞に成長させることができるが、血液細胞への細胞分化については障害が起きやすいことを確認。 白血病の発生メカニズムの研究に利用できるという。 新薬や早期診断法の開発につなげたいとしている。 慶応大の中島秀明准教授(血液内科)らは「血小板異常症」という病気を高い割合で発症する、世界でも 30 しか見つかっていないまれな家系の 3 人から血液の提供を受けた。 白血病になった人の遺伝子を調べると「RUNX1」という遺伝子に異常が見つかることが多いが、この家系の人々は、RUNX1 に先天的な異常があることが知られている。 (sankei = 11-29-12) 網膜再生の iPS 臨床研究、理研が承認 厚労省に申請へ ヒト iPS 細胞(人工多能性幹細胞)を使って目の細胞を再生し、患者に移植する初の臨床研究をめぐり、理化学研究所の倫理委員会は 19 日、理研の研究者らが提出していた計画を承認した。 移植手術をする先端医療センターの倫理委でも承認されれば、理研が厚生労働省に実施を申請する。 対象は、目が見えにくくなる加齢黄斑変性という病気。 今回認められたのは、神戸市の理研発生・再生科学総合研究センターで、患者の細胞から iPS 細胞を作って、網膜色素上皮の細胞シートに変化させる研究。 このシートを、隣接する先端医療センター病院で患者の目に移植する。 理研は、来年度内に 1 人目の手術ができるよう準備を進めている。 (asahi = 11-19-12) iPS 臨床応用を初申請 網膜再生、理研など来年度目標 【サンフランシスコ = 桜井林太郎】 ヒト iPS 細胞(人工多能性幹細胞)を使い、目が見えにくくなった人の網膜の再生医療を目指している理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)などの研究チームは、臨床研究の実施申請を理研の倫理委員会に提出した。実施病院の倫理委員会にも近く提出する。 (asahi = 10-26-12) iPS に 10 年で 200 - 300 億円助成へ 文科省方針 ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった山中伸弥・京都大教授の iPS 細胞の実用化を進め、世界的に優位な産業として成長させるため、文部科学省は今後 10 年間で 200 億 - 300 億円を助成する方針だ。 iPS も含めた再生医療全体に対しても、今後 5 年間で 435 億円を投じる。 10 年間の集中支援の方針は、野田政権が 7 月にまとめた「日本再生戦略」に盛り込まれた。 これを受け、文科省は山中教授が所長を務める京都大 iPS 細胞研究所を拠点に、来年度の概算要求で 27 億円を計上。 この予算規模を 10 年間維持することをめざす。 iPS 細胞を含めた再生医療全体では、病気の種類や部位別の研究拠点の整備費 31 億円など、計 87 億円を概算要求に盛り込んだ。 (asahi = 10-11-12) 山中京大教授にノーベル賞 iPS 細胞で医学生理学賞 スウェーデン王立カロリンスカ研究所は 8 日、2012 年のノーベル医学生理学賞を、京都大 iPS 細胞研究所所長の山中伸弥教授 (50) に贈ると発表した。 受賞理由は「細胞の初期化」。 英ケンブリッジ大のジョン・ガードナー博士と共同受賞。 山中教授は四つの遺伝子(山中ファクター)の導入で、皮膚などの体細胞から、さまざまな細胞に分化する能力のある幹細胞に初期化する技術を世界に先駆けて実現、iPS (人工多能性幹)細胞と名付けた。 再生医療や難病の原因解明、新薬開発につながる画期的業績で、新たな医学の可能性を開いた。 12 月 10 日にストックホルムで授賞式が行われる。 日本人のノーベル賞受賞は 2010 年の鈴木章氏、根岸英一氏に続き 19 人目。 医学生理学賞は 1987 年の利根川進・米マサチューセッツ工科大教授に次ぎ 2 人目。 これまでの受賞者 18 人のうち、湯川秀樹博士をはじめ 10 人が京都にゆかりがある。 山中教授は、さまざまな細胞に分化する能力がある ES (胚性幹)細胞で働いている遺伝子を網羅的に解析。 初期化に重要な四つの遺伝子を見つけ出した。 この四つの遺伝子を、ウイルスを用いて皮膚細胞に導入して働かせ、細胞が心筋細胞や神経細胞などさまざまな種類の細胞に分化する能力を再び獲得することを見つけた。 がん化を防ぐ安全な作製法の開発が進み、慶応大との共同研究で脊髄損傷のサルの機能回復に成功、理化学研究所が iPS 細胞を用いて加齢黄斑変性を治療する臨床試験の開始を予定するなど、再生医療の実現に近づいている。 また、京大の別のグループがマウスの iPS 細胞から精子や卵子を作ることに成功、生殖補助医療への応用も期待されている。 難病患者の体細胞から iPS 細胞を作って病態を再現した上で治療薬を探索する研究も進んでおり、医学の進歩への貢献が今後も期待されている。 (京都新聞 = 10-8-12)
ヒトの iPS から精子や卵子になる細胞? 作製 様々な組織や臓器に変化できる人間の iPS 細胞(新型万能細胞)から、精子や卵子のもとになる「始原生殖細胞」とみられる細胞を作製することに、慶応大の岡野栄之教授らの研究チームが成功した。 国内では初めてという。 岡野教授らは、皮膚の細胞から作った iPS 細胞に、数種類の化学物質を加えて培養。 5 日後に始原生殖細胞に特徴的な遺伝子が働いていることを確認した。 精子や卵子に変化できるか、さらに調べている。 国内では iPS 細胞で人間の精子や卵子を作る研究が 2 年前に解禁され、先行する米国を追っている。 精子や卵子を作製しても、受精させることは文部科学省の指針で禁止されている。 マウスの研究では、京都大チームが iPS 細胞から始原生殖細胞を作り、精子や卵子の作製に成功。 この卵子を使い、子や孫も誕生している。 (yomiuri = 10-6-12) iPS 卵子でマウス 京大世界初、生命創出可能に iPS 細胞由来の卵子から誕生した生後 4 週のマウス(斎藤教授・林准教授提供) マウスの iPS (人工多能性幹)細胞から卵子を作り、その卵子から子どもを誕生させることに、京都大医学研究科の斎藤通紀教授と林克彦准教授たちのグループが世界で初めて成功した。 先に iPS 細胞からの精子作製も成功しており、iPS 細胞だけで生命が誕生することが理論上示された。 生殖補助医療への応用が期待される一方、技術や倫理的な問題から、臨床応用の是非が議論となりそうだ。 米科学誌サイエンスで 5 日に発表する。 雌の体細胞から作った iPS 細胞に生理活性物質を加えて始原生殖細胞を作り、将来卵巣のもとになる細胞と一緒に培養した上で卵巣内に移植。 作られた未成熟な卵子を体外に取り出し、受精可能な状態まで成熟させた。 この卵子にマウスから採取した精子を授精させて雌の体内に戻すと、子どもが生まれ、健康で生殖能力があることを確認した。 同様に ES (胚性幹)細胞でも卵子ができた。 子どもの誕生率は iPS 由来の受精卵が 1.8%、ES 由来の受精卵 3.9% で、通常の受精卵 (12.7%) より低い。 iPS、ES 由来の卵子の一部で減数分裂に異常があったとみられる。 卵子を作る手順は、始原生殖細胞を作るまでは iPS 細胞から精子を作る手法と同じだが、精子は雄の細胞から、卵子は雌の細胞からしかできない。 今後、人間やサルでも iPS 細胞から精子と卵子の作製を進める計画。 斎藤教授は「卵子ができるメカニズムの研究に役立ち、不妊症の原因究明が期待できるが、(人とマウスの iPS 細胞は性質が異なり)さらなる基礎研究が必要」と話している。 (京都新聞 = 10-5-12) iPS 細胞 : 日米で新たに特許成立 京都大は 18 日、人工多能性幹細胞(iPS 細胞)の作成技術に関する特許が日本で 1 件、米国で 3 件成立したと発表した。 従来のものだけではなく、類似の遺伝子を使った iPS 細胞の作成技術の特許が認められ、より包括的な特許権が確立したという。 日本での特許は 4 件目、米国での特許は 6 件目。 京大 iPS 細胞研究所によると、iPS 細胞は、体細胞に特定の遺伝子を導入して作成するが、分子構造が似た「遺伝子ファミリー」を使っても作成が可能だ。 今回、遺伝子ファミリーを用いた作成手法と、この手法で作成された iPS 細胞を創薬などに使うことの特許が認められた。 日本で作成される iPS 細胞の 8 割程度をカバーできるという。 米国での 3 件は、米バイオベンチャー企業「アイピエリアン」から昨年、譲り受けた技術などに特許が認められた。 米国での研究や創薬などをめぐり、京大の権利が及ぶ範囲が広がるという。 記者会見した山中伸弥所長は「しっかりした特許が得られた。 今後は、あまり争いに関わらず、再生医療や創薬などの応用研究に力を尽くしたい」と話した。 (五十嵐和大、mainichi = 9-18-12) ALS 患者の iPS 細胞から薬の候補 京大チーム成功 全身の運動神経が衰える難病「筋萎縮性側索硬化症 (ALS)」の患者の iPS 細胞から運動神経の細胞をつくり、薬の候補となる化合物を見つけることに京都大チームが成功した。 患者の iPS 細胞をもとに治療効果のある物質にたどり着いたのは初めてという。 米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(電子版)で 2 日、報告する。 京大 iPS 細胞研究所の井上治久准教授(神経内科)らは、特定のたんぱく質をつくる遺伝子に生まれつき異常がある 50 代の患者 3 人に皮膚を提供してもらい、iPS 細胞から運動神経の細胞をつくった。 (asahi = 8-2-12) 長寿で亡くなった人から iPS 細胞作製 慶大教授ら成功 健康なまま長寿で亡くなった人の細胞から iPS 細胞を作ることに、慶応大の鈴木則宏教授(神経内科)らが成功した。 26 日付の米科学誌プロスワンに研究成果を発表した。 病気の人の細胞と比べると病気の特徴がよく分かり、アルツハイマー病やがんなど老化にかかわる様々な病気の研究や治療法の開発に役立つという。 チームは、重い病気をせずに年を重ね、老衰や肺炎で亡くなった 105 歳を超える 2 人の皮膚細胞から、iPS 細胞を作り、神経細胞に変化させた。 アルツハイマー病やパーキンソン病の患者の iPS 細胞も皮膚から作り、神経細胞に変化させた。 長寿の人の細胞と比べると、病気に関係する毒性の強いたんぱく質が 2 倍近く作られていた。 若い人だと、健康に見えても細胞内に異常があり、年を取ってから病気が発症することがある。 100 歳を超えても病気を発症しない人の細胞はこうした心配がなく、健康な細胞のモデルになる。 伊東大介専任講師は「がんや心疾患など、老化と関係する他の病気の研究にも役立つだろう」と話す。 (下司佳代子、asahi = 7-27-12) 臍帯血、同意なしの提供容認 iPS の研究用に 厚生労働省の委員会は 18 日、臍帯血(さいたいけつ)バンクで保管している一部の臍帯血を、提供者の同意がなくても、人工多能性幹細胞(iPS 細胞)の研究用に提供できるという見解をまとめた。 再生医療に使う iPS 細胞を備蓄する計画に協力するのがねらいという。 現在の臍帯血は、主に白血病治療のための移植や研究に使う前提で、提供の同意を得ている。 iPS 細胞の研究に使うのは想定していなかったが、将来の移植医療のための備蓄なので、提供時の同意内容を超えないと解釈できる、とした。 実際に協力するかは各バンクの判断に委ねられるが、この見解が普及すれば臍帯血が別の組織や臓器に姿を変えられて移植に使われる可能性が出てくる。 このため今後については「法整備が必要」としている。 (asahi = 7-19-12) ヒト iPS 細胞で膵島・肝臓の組織作製 東大・横浜市大 ヒトの人工多能性幹細胞(iPS 細胞)を使い、血糖値を下げるインスリンを作る膵島(すいとう)という組織と、肝臓の組織を作ることに、東京大と横浜市立大のチームがそれぞれ成功し、横浜市で開かれている国際幹細胞学会で 14 日に発表した。 多数の細胞を使って立体的な構造を作った点が新しく、将来の再生医療につながると期待される。 東大の宮島篤教授らは、ヒトの iPS 細胞を膵島の細胞に変化させた後、立体組織を作った。 ヒトの膵島と同じように、インスリンとグルカゴンというホルモンをそれぞれ作る 2 種類の細胞が混じり合っていることを確認した。 膵島細胞の作製効率が低いなどの課題があるが、糖尿病治療への応用が期待される。 横浜市立大の谷口英樹教授らは、ヒトの iPS 細胞を肝細胞の一歩手前の細胞に変化させ、血管を作る細胞と、細胞同士をつなぎ合わせる細胞と一緒に、数日間培養した。 (asahi = 6-14-12) ES 細胞から立体的な網膜 理化学研究所などのチーム ヒト ES 細胞(胚性幹細胞)から立体的な網膜を作ることに、理化学研究所と住友化学のチームが成功した。 失明につながる網膜色素変性症などの原因解明や治療法の開発につながる可能性がある。 試験管内に約 9 千個の ES 細胞を浮遊させながら、目的の細胞に分化させた。 約 1 カ月後、真ん中が杯のようにへこんだ「眼杯(がんぱい)」と呼ばれる状態になった。 4 カ月後には、人の場合と同じように神経など細胞が層構造をもつことを確認できたという。 液体窒素で急速に冷やすことで、どの段階でも冷凍保存できるようにもなった。 理研では、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)から作ったシート状の細胞で網膜を再生させようという研究も進む。 笹井芳樹グループディレクターは「共同研究を進め、将来的に目の移植に使えるようにしていきたい。」と話す。 論文は 14 日付の米科学誌「セル・ステムセル」に掲載された。 (東山正宜、asahi = 6-14-12) 遺伝子異常のマウスから正常 iPS 細胞 京大など成功 遺伝的な病気のマウスから、正常な iPS 細胞をつくり出すことに京都大、帝京大のグループが成功した。 この iPS 細胞からつくったマウスは病気にならなかった。 米科学誌プロスワンで 10 日発表した。 iPS 細胞の遺伝情報は元になる細胞と同じ。 遺伝的な病気の患者から iPS 細胞をつくっても、遺伝子は異常のままで、再生医療に応用する際の課題だった。 今回の成果で iPS 細胞が遺伝的な病気の治療に使える可能性が出てきた。 帝京大の堀江重郎教授らが、遺伝子の異常で腎臓に小さな袋が大量にできて機能が悪くなる「多発性嚢胞(のうほう)腎」のマウスをつくり、その細胞から京大の多田高准教授らが iPS 細胞をつくった。 (asahi = 2-11-12) iPS 細胞がん化防ぐ新手法発見 京大グループ iPS 細胞づくりでウイルスを使うとき、心配されていた細胞のがん化を防ぐ方法を京都大のグループが見つけ、米科学誌で報告する。 ウイルスは細胞の特定の場所に組み込まれたときにがん化するので、その場所を見張っておけばいいのだという。 iPS 細胞は皮膚などの細胞に特殊な遺伝子を入れてつくる。 ウイルスは、その遺伝子の運び屋として使っている。 ウイルスがもつ余計な遺伝子まで細胞に組み込まれて、がんになると考えられてきた。 京大の鶴山竜昭准教授(病理学)らはマウスの白血球をがん化させて白血病にすることが知られる MLV というウイルスを調べた。 他の方法に比べて遺伝子を運ぶ効率が高く、よく使われている。 フランスでこのウイルスを使い遺伝子治療を受けた患者 2 人が白血病になったことがある。 このウイルスで白血病になったマウスの白血球をみたら、ウイルスの遺伝子は細胞の特定の 3 カ所を狙って入り込んでいた。 ここは、フランスの遺伝子治療で起きた白血病での場所とよく似ていた。 (asahi = 2-4-12) アルツハイマーの特徴、iPS で確認 患者から細胞作成 脳の神経細胞が死滅して起きるアルツハイマー病の患者の細胞から人工多能性幹細胞(iPS 細胞)をつくり、神経細胞に変え、病気の特徴を確認することに米欧の研究チームが成功した。 ヒトの生きた細胞で発症の仕組みを調べられ、治療法を試すのにも役立ちそうだ。 26 日付の英科学誌ネイチャー(電子版)で発表した。 研究チームは、患者の 9 割を占める突発性アルツハイマー病と、遺伝性アルツハイマー病の各 2 人の皮膚細胞から iPS 細胞をつくり、神経細胞に変化させた。 遺伝性の患者の神経細胞では、アルツハイマー病を起こすという毒性の強い二つのたんぱく質ができることを確認。 これらを抑える薬剤で二つのたんぱく質を減らせた。 突発性でも 1 人は同様の現象がみられた。 チームは「患者では何十年もかかって現れる症状を短期間で調べられる」としている。 遺伝性アルツハイマー病患者では、iPS 細胞を使った病気の再現に慶応大チームも成功している。 (下司佳代子、asahi = 1-26-12) iPS 細胞から血小板、臨床試験へ 東大・京大チーム 東京大と京都大のチームが、人工多能性幹細胞(iPS 細胞)から血小板と呼ばれる血液成分を作り、止血剤として使う臨床試験(治験)を米国で計画している。 2015 年に米当局への申請を目指す。 iPS 細胞の究極的な目標である組織や臓器の再生ではないが、別の形の先進的な臨床応用例となる。 血液を固める働きがある血小板を利用した血小板製剤は、血液の病気の治療や心臓の手術などに欠かせない。 しかし献血液から作るためにウイルス混入の恐れがあり、採血から 4 日間しか保存できないなどの課題がある。 だが皮膚細胞などから作った iPS 細胞を変化させて血小板にする方法では、事前にウイルスのチェックができるうえ、血小板になる手前で止めた細胞は長期間の凍結保存ができる。 (asahi = 1-20-12) 10 日間で iPS 細胞できた 大人の細胞活用 京大開発 人の脂肪の細胞から 10 日間で人工多能性幹細胞(iPS 細胞)をつくる技術を、京都大再生医科学研究所のグループが開発した。 大人の細胞では世界最短で、従来の半分以下。 コスト削減にもつながる。米医学専門誌で発表した。 再生研の中村達雄准教授らは、皮下脂肪に含まれる脂肪幹細胞から iPS 細胞をつくる際、通常使う遺伝子のほかに 5 種類の薬を加えて、酸素の濃度を 5% と薄めにした。 すると、6 日目で iPS 細胞と同じ丸い形に変わり、10 日目に、iPS 細胞になったことを示す現象を確認した。 薬剤は、細胞が分化するのに働く酵素をじゃまする作用がある。 低酸素状態も iPS 細胞づくりを速める。 できそこないの細胞が生きにくくする効果もあり、iPS 細胞とより分けるのにも役立つ。 実験を担当した大学院生の島田英徳さんは「iPS 細胞をつくる培養液はとても高価。 作製期間が縮まり、コストが下がる。」 iPS 細胞を皮膚の細胞からつくるには 1 カ月以上かかっていた。 昨年、慶応大グループが血液中のリンパ球で 25 日という最短記録を出した。 (鍛治信太郎、asahi = 12-31-11) iPS 細胞バンク、来年度スタート 山中教授が方針 京都大の山中伸弥教授は 19 日、再生医療用につくったさまざまな人工多能性幹細胞(iPS 細胞)を保管し、必要な患者に提供する「iPS 細胞バンク」を来年度に始める方針を明らかにした。 朝日新聞などのインタビューで答えた。 まずは一般の人から iPS 細胞のもとになる皮膚の提供を受け、2013 年度にも iPS 細胞の提供を始めるという。 iPS 細胞はさまざまな組織の細胞に変えることができるが、作製には時間がかかる。 そこで、献血のように、健康な人から提供された皮膚から iPS 細胞をつくって増やし、冷凍して保管しておく。 事故で脊椎(せきつい)を損傷し、緊急な移植が必要な患者にも素早く対応できるよう、あらかじめ準備しておくという構想だ。 現在、皮膚の提供者の募り方などを厚生労働省などと詰めているという。 山中教授は「来年は非常に重要な 1 年。 臨床研究に向けてバンクを軌道に乗せたい」と話した。 (東山正宜、asahi = 12-20-11) ヒト iPS 細胞からつくった肝臓細胞、市販へ 医薬基盤研究所(大阪府茨木市)とバイオベンチャー「リプロセル(横浜市)」は 15 日、ヒト iPS 細胞(人工多能性幹細胞)からつくった肝臓細胞を製品化したと発表した。 来年 4 月に販売開始する予定。 薬の安全性や副作用の検査が効率よくでき、新薬を安く早く開発するのに役立つという。 iPS 細胞でつくった細胞では、心筋や神経細胞はすでに製品化されているが、肝臓細胞は初めて。 医薬基盤研などによると、特定の遺伝子を適切な時期に導入することで、効率良く肝臓細胞を作り出せるという。 従来 1 - 2 割程度だった効率を 8 - 9 割までに上げられたとしている。 この手法は、医薬基盤研の水口裕之チーフプロジェクトリーダー(大阪大教授併任)らが開発した。 肝臓には薬を分解する働きがあり、薬剤が肝臓にどう働くかや、毒性がないかの確認は、新薬開発の初期段階で欠かせないが、現在はヒトの肝臓細胞から育てた輸入品に頼っている。 (12-17-11) 血小板、iPS細胞で限りなく増殖 京大グループ成功 ヒトの人工多能性幹細胞(iPS 細胞)で血小板を大量につくる方法を、京都大などのグループが開発した。 血小板をつくる細胞を iPS 細胞からつくる際、組み込む遺伝子を工夫することで、限りなく増やせる細胞をつくることができた。 iPS 細胞で課題とされるがん化の危険も避けられるという。 米血液学会で 11 日発表する。 血小板は血液を固めて出血を止める働きがある。 血小板が減る病気や大量出血する心臓手術などでは血小板輸血が必要だ。 今回の成果が実用化できれば、冷凍保存できずに不足している血小板を、献血に頼らず高品質で大量に生産できるようになるという。 3、4 年後の臨床試験をめざす。 まず、血液のあらゆる細胞のもとになる細胞を iPS 細胞からつくり、それを巨核球(きょかくきゅう)という血小板を生み出す細胞に分化させる。 京大 iPS 細胞研究所の中村壮特定研究員らは、細胞を増やす遺伝子と細胞の老化を防ぐ遺伝子を入れ、巨核球のもとになり、限りなく増やせる細胞をつくることに成功した。 その巨核球からできた血小板をマウスの体に入れ、正常に働くことを確認した。 (asahi = 12-11-11) ES 細胞 → 神経細胞、100% 製法を発見 マウスの胚(はい)性幹 (ES) 細胞から神経細胞を作る際、すべて神経系の細胞に分化させる方法を京都大学ウイルス研究所の小林妙子助教、影山龍一郎教授らが見つけた。 ES 細胞から作った神経細胞を移植する場合、ES 細胞が残っているとがんになるおそれがあり、今回の成果はその解決策になる可能性がある。 15 日付米専門誌に発表する。 影山教授らは、Hes1 という遺伝子が神経系の細胞に分化させる遺伝子群の働きを抑えていることを突き止めた。 ES 細胞で Hes1 の働きが強くなったり弱くなったりするなど 3 - 5 時間周期で振動しており、Hes1 の働きが弱い時に神経系の細胞ができやすいことも明らかにした。 そこで、Hes1 の働きを止めた ES 細胞に神経系の細胞に分化させる物質を加えたところ、6 日目までにほぼ 100% 神経系の細胞に分化した。 通常の ES 細胞は 30% だった。 「ヒトの ES 細胞、iPS 細胞(人工多能性幹細胞)でも試してみたい」と影山教授は話す。 (瀬川茂子、asahi = 8-17-09) iPS 細胞の作成、数十倍効率化 京大・山中教授ら成功 身体のあらゆる組織や細胞になりうる人工多能性幹細胞(iPS 細胞)の作製効率を数十倍高めることに、京都大学の山中伸弥教授らのグループが成功した。 特定の遺伝子の働きを止める方法で、課題だった作製効率の低さを改善した。 この遺伝子の制御法を改善すれば、安全で効率のよい作製法の確立につながり、再生医療や難病治療など実用化を加速すると期待される。 9 日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表する。 激しい研究競争を背景に、山中教授らとは別に同様の成功をした京都大の川村晃久・特定助教と米ソーク研究所など他の 4 グループの研究も同時掲載される。 山中教授らは、がん抑制遺伝子「p53」が、iPS 細胞の作製時に活発に働くことに注目。 がん化のおそれがある細胞の増殖を止めたり、細胞死に導いたりする p53 が働かないようにした皮膚細胞から iPS 細胞を作製した。 その結果、06 年に山中教授らが開発した 4 遺伝子を細胞に組み込むマウスを使った最初の作製法で、数 % だった作製効率が約 20% に向上。 ヒトの皮膚細胞を使っても、千個の細胞から数個だった作製効率を数十倍高める効果があった。 さらに、遺伝子の組み込みにウイルスを使わない安全性が高い方法でも、マウスの実験で、約 10 万個の細胞から、p53 が働いたままではほとんどできなかった iPS 細胞を約 100 個作ることができた。 がん化を防ぐ役割の p53 の働きを止めた状態が続くと、iPS 細胞ががん化する可能性が高まるが、特殊な操作や薬剤で p53 の働きを一時的に抑える方法は確立されている。 山中教授は「iPS 細胞を作るときだけ p53 を抑えるよう工夫すれば、安全で効率の高い iPS 細胞の作製法につながる」と話している。 (林義則、asahi = 8-10-09) マウス胎児細胞から完全な歯を再生 東京理科大グループ マウスの胎児から歯のもとになる細胞を取り出して培養し、痛みの感覚がある、ほぼ完全な歯に再生させることに東京理科大の辻孝教授(再生医工学)らのグループが成功した。 人の歯の再生だけでなく、肝臓や腎臓などの臓器の再生医療につながる成果として期待される。 米科学アカデミー紀要電子版に発表する。 奥歯の位置に移植したところ、正しいかみ合わせの位置で成長が止まり、硬さは正常な歯と同じだった。 刺激を与えるとマウスの延髄に、歯痛を感じた際にできるたんぱく質がたまることから、歯と脳の神経がつながっていることも確認された。 約 8 割で、ほぼ完全な歯ができるという。 グループは、マウスの歯の再生自体には 07 年に成功していた。 人工多能性幹細胞(iPS 細胞)から歯のもとになる細胞を作り、歯周病や虫歯で失った歯の跡に移植して再生できれば、入れ歯がいらなくなると期待される。 また、再生医療の臨床で応用が進んでいるのは皮膚や角膜といった比較的単純な組織が多く、今回の確認によって、歯と同じように複雑で立体的な臓器の再生医療につながる可能性が示された。 (林義則、asahi = 8-4-09) iPS 細胞由来のマウス誕生 中国チーム、万能性を証明 中国科学院と上海交通大のチームが、マウスの受精卵の細胞を人工多能性幹細胞(iPS 細胞)に置き換えると、iPS 細胞由来のマウスが誕生することを確認した。 生まれたマウスは繁殖能力もあった。 あらゆる細胞になりうるという iPS 細胞の多能性を、マウスの個体の誕生で改めて証明した。 英科学誌ネイチャー電子版に 24 日、発表する。細胞分裂が進んだ白色のマウスの受精卵に、黒色のマウスの体細胞から作った iPS 細胞を注入。 もとの受精卵の細胞は事前に成長しないように処理しておいた。 この受精卵を別のマウスの子宮で育てたら、黒色のマウスが誕生した。 遺伝子型も注入した iPS 細胞と一致した。 今回の方法でマウスを誕生させるには質の高い iPS 細胞が必要で、成功例の報告は今回が初めて。 これまでは iPS 細胞と受精卵の細胞が混ざったものを成長させてマウスの誕生につなげ、iPS 細胞の多能性を確認していた。 理化学研究所の小倉淳郎・遺伝工学基盤技術室長は「胚(はい)性幹細胞(ES 細胞)なみの品質を iPS 細胞が持つことを確かめた成果といえる」と話している。 (林義則、asahi = 7-24-09) iPS、腫瘍のできやすさは元細胞の部位次第 京大など 【バルセロナ = 瀬川茂子】 iPS 細胞(人工多能性幹細胞)から体のさまざまな細胞を作って移植する際、元になる細胞の種類によって、腫瘍(しゅよう)のできやすさに違いがあることを、京都大の山中伸弥教授らが突き止めた。 iPS 細胞の応用では、腫瘍ができる危険を減らすことが課題になっており、元の細胞をうまく選ぶことで、安全性向上につながると期待される。 この成果について 9 日、バルセロナで開催中の国際幹細胞学会で発表した。 山中教授や慶応大の岡野栄之教授らは、マウス胎児の皮膚や大人のしっぽや胃、肝臓など様々な細胞をもとに、36 種の iPS 細胞を作った。 それらの iPS 細胞から、神経のもとになる細胞を作り出して、マウスに移植して、腫瘍ができるかどうかを調べた。 その結果、しっぽの皮膚の細胞から作った iPS 細胞では、8 割以上で腫瘍ができたが、胎児の皮膚から作ったもので、腫瘍ができたのは 4 割以下、肝臓でも腫瘍は 3 割以下だった。 山中教授は「今後、ヒトの iPS 細胞でも同じか、神経系の細胞以外ではどうか、調べたい。 移植を検討するには、どの細胞から iPS 細胞を作れば、安全なのか、早く絞り込む必要がある。」と話している。 この結果は、米専門誌ネイチャーバイオテクノロジーでも発表する。 (asahi = 7-10-09) iPS 細胞の臨床研究、5 年以内に開始 文科省が工程表 あらゆる細胞や組織になりうるヒトの iPS 細胞の研究について、文部科学省は 24 日、臨床研究開始までの年数など、到達目標を段階別に示した「研究ロードマップ」を発表した。 iPS 細胞研究には多額の予算が投じられており、実現までの道筋を国民に説明するとともに、治療への早期活用を促すのが狙いだ。 再生医療研究では、まず 5 年以内に網膜細胞の一種(網膜色素上皮細胞)を使った臨床研究を始める。 心筋梗塞(こうそく)などの治療に使う心筋細胞の臨床研究開始は 5 - 7 年後。 前提として iPS 細胞から心筋細胞をつくる技術を 3 年程度で確立させる。 脊髄(せきずい)損傷などの治療が期待される神経細胞の臨床研究開始は、7 年後以降。 iPS 細胞から神経細胞をつくる技術の確立に 2 - 4 年かける。 臨床研究開始の目標が最も先なのは、糖尿病や腎不全の治療に必要な膵臓(すいぞう)や腎臓の細胞で、10 年後以降とした。 基礎研究分野では、2 年以内にがん化などの危険性が少なく品質の高い iPS 細胞の作製法を確立し、3 年以内に細胞配布の体制を整える。 研究に携わる大学研究者ら約 30 人の意見を聞き、実現可能な目標年限を定めた。 ヒト iPS 細胞は、山中伸弥・京都大教授が 07 年に初めて作製成功を発表。 今年度は補正予算も含め、研究や拠点整備などに約 145 億円が投じられる。 (林義則、asahi = 6-25-09) がん化回避、遺伝子使わずヒト iPS 作製 米韓グループ さまざまな細胞や組織になりうるヒトの新型万能細胞(iPS 細胞)を遺伝子を直接使わずに作製することに、米韓の研究チームが成功した。 遺伝子をそのまま細胞に入れるとがん化する危険性があったため、たんぱく質だけを細胞に入れて作ることで安全性を高めた。 マウスの細胞では 4 月に米独チームが成功していたが、ヒトの細胞では初めて。 再生医療の実現に向けた大きな成果といえる。 米ハーバード大のキム・カンスー准教授らのチームが 29 日、米科学誌セル・ステムセル電子版で発表した。 京都大学の山中伸弥教授らが最初に開発した iPS 細胞の作製法では、ウイルスを使って 4 遺伝子を細胞に入れる。 しかし、この方法は、もとから細胞にある遺伝子を傷つけるなどして細胞ががん化するおそれがあった。 米韓のチームは、この 4 遺伝子をヒトの培養細胞に導入し、iPS 細胞への変化をうながすたんぱく質を作らせた。 この培養細胞からたんぱく質を含む抽出液を取り出し、その中で新生児の皮膚細胞を培養した。 たんぱく質は皮膚細胞に入り込みやすくなるように工夫した。 抽出液を交換しながら、培養を続けると 8 週間後に iPS 細胞ができ、マウスに移植すると神経や筋肉などさまざまな組織ができた。 iPS 細胞ともとの皮膚細胞の遺伝情報は同一で、外部からの遺伝子が入っていないことが確認できたという。 ただ、ウイルスを使った従来の方法に比べ、iPS 細胞の作製効率は 10 分の 1 と低く、研究グループは「さらなる作製法の改良が必要」としている。 (林義則、asahi = 5-30-09) 遺伝子使わず iPS 細胞 米独チーム、がん化リスク低減 遺伝子を使わずにマウスの新しい万能細胞(iPS 細胞)をつくることに米独チームが成功した。 遺伝子を使うと細胞ががん化する恐れがあり、使う遺伝子を減らす世界的な開発競争が続いていた。 再生医療の実現につながる安全性の高い iPS 細胞の開発に向けた大きな成果となる。 開発したのは、米スクリプス研究所のシェン・ディン准教授や独マックスプランク分子医薬研究所のハンス・シェラー教授らのチーム。 23 日付の米科学誌セル・ステムセル電子版に発表する。 京都大の山中伸弥教授らが最初に iPS 開発に成功した方法は、ウイルスを使って 4 遺伝子を細胞に入れる。 しかし、遺伝子を入れると細胞が持つ本来の遺伝子を壊したり、入れた遺伝子が異常に働いたりして、がん化する危険がある。 遺伝子を入れずに iPS 細胞を作ることができれば、がん化の恐れは低くなるが、方法は開発されていなかった。 チームは山中教授らが iPS 細胞の作製で使ったのと同じ 4 遺伝子から、たんぱく質を細胞外で大腸菌につくらせた。 たんぱく質が細胞膜を通過しやすいように、分子の小さな物質につなげ、マウスの胎児細胞内に入れた。 この細胞を約 1 カ月培養すると、形や性質が万能細胞に似た細胞ができた。 それをマウスの受精卵に入れ、この細胞が心臓や肝臓、生殖細胞などさまざまな細胞になりうることを確認。 チームは、たんぱく質 (protein) の頭文字をとり、この細胞を「piPS 細胞」と名づけた。 iPS 細胞は、病気やけがで失った臓器の細胞に成長させて移植すれば、拒絶反応のない再生医療につながると期待されている。 しかし、今回の方法はまだ動物実験の段階で、ヒトの細胞でも可能なのかや安全や安定性の検証を重ねる必要がある。 理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹グループディレクターは「ヒトで成功すれば、実用化に向けて、有望な選択肢の一つになりうる。研究開発の競争が世界中で速いスピードで進んでおり、遠からず、最良の方法がわかるだろう」と話している。 (林義則asahi = 4-24-09) ◇
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