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EV ブームは一過性で終わる? 価格と設備不足の壁、日本勢に勝機は 二酸化炭素を多く排出するガソリン車から、電気自動車 (EV) へ - -。 脱炭素の流れをくんで EV が世界の自動車市場の主役になるかと思いきや、最近は販売に勢いが見られない。 果たして、EV 市場の成長は、一過性で終わるのか。
フィアットやプジョーなどを傘下に持つ欧州大手のステランティスが 9 月に東京都内で開いた新車発表会。 日本法人の打越晋社長の言葉には、EV市場の変調がにじんでいた。 同社は、2030 年に世界での EV 販売台数を500万台とする戦略を描く。 同社の世界販売台数(23 年)の約 8 割に相当する。 とりわけ欧州では同年までに新車販売をすべて EV にする方針だ。 成長は減速、米国でも欧州でも中国でも この日の発表会では、日本市場向けにフィアットの新型 EV「600e」が紹介された。 しかし、打越社長は「EV 一辺倒ではなくハイブリッド車 (HV) もある。 ご提案してどちらがよいか、お客様が選ぶ。 それが本来我々がやるべきこと。」と語る。 新型 EV「600e」も、来年には HV を日本で発売する方針だ。 EV 市場の変化は、数字からも読み取れる。 電気自動車の販売台数が世界で伸び悩んでいる 調査会社マークラインズによると、EV の世界販売台数は 22 年は前年比 66.0% 増、23 年は同 26.0% 増と、急成長してきた。 だが 24 年 1 - 7 月は前年同期比 7.8% 増。 成長は続けているものの、伸び幅は縮んだ。 特に主要市場の米国で同 5.6% 増、欧州で同 1.5% 増と勢いを欠く。 中国では今年、EV や PHV などの「新エネルギー車 (NEV)」の新車販売が 1 千万台を超える見通しだ。 大都市圏を中心にエンジン車や HV のナンバープレートの交付が制限されているが、NEV だとすぐに得られることが大きい。 ただ足元で EV の伸びは大きくない。 中国自動車工業協会によると、1 - 8 月の販売台数は 421.6 万台で前年同期比 9.7% 増。 ま人気があるのはガソリンも使える PHV だ。 今年 1 - 8 月の PHV は 281.7 万台で同 84.2% も増えている。 寒冷地で電池の消耗が激しい EV よりも航続距離で不安がないことが大きいとみられている。 EV の減速は日本ではより顕著だ。 日本自動車販売協会連合会によると、軽自動車を除く EV の新車販売台数は今年 1 − 7 月、前年同期から 3 割近く減った。 月ごとの販売台数をみると 7 月以外はすべて前年同月から減っている。 潮目の変化を感じた欧州の大手メーカーは EV の計画見直しに動いた。 スウェーデン大手のボルボ・カーズは 9 月、30 年までに世界の新車販売をすべて EV にする目標を撤回。 今年 2 月にはドイツのメルセデス・ベンツも 30 年にすべての新車を EV にするという計画を事実上撤回した。 フォルクスワーゲンは低調な EV の販売を受け、コスト削減のためドイツ国内の工場閉鎖を検討する。 アンケートの回答者の半数近く「EV 購入したくない」 EV 以外の選択肢を検討する動きも出始めた。 BMW は 9 月、トヨタ自動車と提携して水素を使う燃料電池車 (FCV) の量産に乗り出すことを明らかにした。 同社の幹部はオンライン会見で「将来がどうなるか予想は難しい」と EV 市場の先行きが不透明だとした上で、「EV だけに賭けるのは片足だけで立とうとするようなもの。 立つことはできるが、長くは続かない。」と話した。 日本の大手メーカーの幹部は欧州メーカーのこうした動きについて、「急速な EV 化は結局、企業側の論理を優先する発想。 お客様は求めていなかったということではないか。」と分析する。 なぜ EV 市場の成長は鈍化したのか。 理由の一つがガソリン車や HV に比べて高い価格だ。 野村総合研究所が昨年、日米独中で行ったアンケートで、回答者 3,232 人の半数近い 1,527 人が「EV を購入したくない」と回答。 購入したくない理由に、日米独で半数以上が「車両価格」を挙げた。 また日本では「充電スポットの利便性」が 6 割近くと、他の 3 カ国より突出して高かった。 情報サービス会社「東海東京インテリジェンス・ラボ」の杉浦誠司シニアアナリストは「(新しい物好きの)アーリーアダプターによる購入が一巡したことが大きい」とした上で、「エンジン車に比べて商品として未熟」だと指摘する。 強まる政策誘導 技術進化も普及に追い風 では、EV 市場の成長は一過性か、といえば、そうではなさそうだ。 国際エネルギー機関 (IEA) は 4 月、35 年に世界の新車販売台数の半分が EV になると予測した。 背景には脱炭素による環境保護という大きな目標を受けて、米欧中の市場で EV への政策誘導が強まることがある。 同年には欧州連合 (EU) や米カリフォルニア州でガソリンエンジン車や HV は原則販売できなくなる見通しだ。 EV への強烈な政策誘導を進める中国政府も、大都市中心に販売が増えるなか、地方都市にも EV を広げようとしている。 米欧中での EV 推進には、高性能なエンジンを作れなかった中国勢、HV で日本勢に後れをとる欧州勢が自国のメーカーに有利な競争環境に変えようとする政治的な思惑も絡むとされる。 課題となっている価格面でも変化の兆しが出ている。 EV の価格の 3 割ほどを占めるとされる車載電池は、次世代の全固体電池の実用化が目前だ。 全固体電池は現在主流のリチウムイオン電池よりも高容量で EV の航続距離が伸びるほか、充電時間も短縮できる。 液漏れがなく安全性も高いとされている。 26 年にも中国勢が搭載した車両の量産を始めると報じられている。 日本の大手メーカー首脳は「中国メーカーは日本勢がどこまで開発が進んでいるか相当気にしているようで、頻繁に確かめに来る」と明かす。 中長期的に見れば「EV がベストなソリューション」 減速は一時的で、近い将来、さらなる拡大が見込まれる EV 市場。 米テスラや中国 BYD の後塵を拝し、車載電池でも中国勢にリードされる日本勢に挽回の機会はあるのか。
ホンダの三部敏宏社長は 2 日、EV 市場の成長が一時的に減速するのは想定内とし、計画通りに EV に注力する方針を示した。 40 年には新車の販売を EV と FCV のみにする目標を掲げる同社は、26 年には北米市場に新しい EV 「HONDA 0」シリーズを投入する。 生産を効率化し、EV 普及の壁となっているコストを抑えるため、同社は新たに大型のアルミ鋳造設備を導入してバッテリーのケースに使う部品数を削減。 EV 専用のプラットフォームも導入した。 様々な自動運転技術や人工知能 (AI) を活用して新しいサービスも展開する。 三部社長は「中国勢やテスラと対抗するには、やはり我々の既存の価値観の延長線上ではだめ。 『HONDA 0』シリーズの方向性は間違っていないと確信している。」と話す。 EV だけでなく HV や FCV など多様な技術で脱炭素を目指すべきだという「マルチパスウェイ(全方位)戦略」を掲げるトヨタは、26 年に EV や PHV で年 150 万台を販売できる体制をつくろうとしている。 「将来の EV の需要の伸びに対応できるようにするため。(同社幹部)」 世界で初めて量産 EV を販売した日産自動車は、EV のコストを現行車から 3 割低減させ、30 年度までに内燃機関車と同等にする。 中国勢が強い車載電池については、トヨタ、日産、スバルなど大手自動車メーカーや装置メーカーが電池の生産工場をつくる計画だ。 投資額は計 1 兆円に上る。 政府は中国産の電池への依存を避けるため、各社の投資に最大で 3 分の 1 を補助する方針だ。 東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦氏は、減速している EV が普及し、日本勢が競争力を持てるかは車としての商品力にかかっているとみる。 「補助金頼みではない安い価格で、使い勝手やデザインに魅力がある EV を出せるかどうかが壁を突破するカギになる」と話す。 (西山明宏、asahi - 10-14-24) トヨタ、北米での EV 戦略見直し、初の生産開始を 2026 年に延期 トヨタ自動車が、北米で電気自動車 (EV) の生産計画を見直すそうだ。 当初は 2025 年からケンタッキー州の工場で EV 生産を開始する予定だったが、北米初となるその稼働時期をを数カ月程度遅らせて 2026 年前半にずれ込む見通しとしている。 また、北米で現地生産する車種も減らす方針で、2030 年までに北米で生産する計画だった高級車ブランド「レクサス」の SUV の新型 EV は、一部を日本からの輸出に切り替えるという。 日本の自動車メーカーで北米の EV 生産計画の先送りが明らかになるのは初めてとみられるだけに、きょうの日経が 1 面準トップで「トヨタ、北米 EV 生産延期」とのタイトルで「世界有数の自動車市場の北米で EV 販売が減速するなか、戦略を転換する」などと報じている。 日経によると、トヨタは EV の世界販売台数を 26 年に 150 万台とする計画を公表していたが、生産台数を 100 万台程度とする計画を部品メーカーに伝えたという。 北米生産の延期もその一環とみられ、背景には米国の EV 市場の販売が減速していることに加え、主力とするハイブリッド車 (HV) の需要が想定以上に強いこともあるとしている。 ただ、トヨタは延期の理由として「品質向上につなげるため一定の期間が必要になったため」としており、北米市場で EV 需要が鈍化していることとは「関係がない」と説明しているという。 このため、産経などは「トヨタ、米 EV 生産開始 2026 年に、品質を確保」などと取り上げており、延期は延期でも日経の「北米市場での EV 販売減速」が背景にあるようなニュアンスの違いを微妙に伝えているのが興味深い。 (Response = 10-4-24) テスラ、中国で「過去最高の四半期」との声 - ウォール街の期待高まる 電気自動車 (EV) メーカーの米テスラは、中国で今年 7 - 9 月(第 3 四半期)は「過去最高の四半期」となる可能性があり、ウォール街のアナリストの間で同社の四半期販売見通しを引き上げる動きが相次いでいる。 少なくとも 4 人のアナリストが、テスラの 7 - 9 月納車台数見通しを上方修正。 いずれも、中国で販売が持ち直し始めつつある兆候を指摘した。 納車台数は来週発表される。 中国はテスラにとって重要な地域であり、世界的な EV の主要市場でもある。 バークレイズのアナリスト、ダン・レビー氏は「こうした中国での強さはテスラにとって非常に好都合なタイミングで到来し、米国と欧州で続く弱さを補う一助になる」と指摘。 同氏は 7 - 9 月の納車台数を約 47 万台と見込んでいる。 従来予想は 46 万 2,000 台だった。 健全な納車台数の数字が示されれば、業界全体の減速や価格競争力のあるライバル企業台頭を背景とする需要軟化への懸念緩和に大いに貢献する可能性がある。 テスラの投資家は、同社が待望の自動運転タクシー「ロボタクシー」を発表する 10 月 10 日のイベントに主に注目しているが、主力事業に対する疑念はなお株価への重しとなり得る。 「予想を上回る納車台数となれば、ロボタクシーの披露イベントにかけて、株価はさらに上昇する可能性がある。 少なくとも現時点では、ファンダメンタルズを巡る懸念が解消されたことを示すものになる。」とレビー氏は述べた。 (Esha Dey、Bloomberg = 9-26-24) 電気自動車が世界で失速 … 巨額投資に見合わぬ販売実績、ベンツやボルボが計画断念 「EV (電気自動車)失速」が世界の自動車大手を揺さぶっている。 独メルセデス・ベンツは 2030 年としていた「完全 EV 化」計画を撤回。 同じく 30 年までに「全ての新車を EV にする」としてきたスウェーデンのボルボ・カーも構想断念に追い込まれた。 米ゼネラル・モーターズはミシガン州の工場での EV 投資を 2 年間凍結。 フォード・モーターは大型 SUV の EV モデル開発を取りやめる。 系列部品メーカー筋によると、トヨタ自動車も 26 年で 150 万台としてきた世界 EV 生産台数を 100 万台に下方修正したという。 業界関係者らにひときわ衝撃を与えたのが独フォルクスワーゲン (VW) だ。 ドイツ国内の生産拠点の一部閉鎖を「検討する」というもので、実施されれば 1937 年の創業以来初。 2029 年末までの従業員に対する雇用保障契約の「破棄」すら辞さない構えだ。 VW はディーゼルエンジンでの燃費不正問題が発覚して以降、ひたすら EV 化に舵を切ってきた。 21 年には向こう 5 年間の総投資額の 6 割に当たる 14 兆円超(890 億ユーロ)を EV 関連領域に振り向ける方針も打ち出した。 しかし、巨額投資に見合うだけの販売実績を挙げられず、コスト削減を余儀なくされた格好だ。 同社はドイツ国内に完成車 6 工場、部品 4 工場を抱え 13 万人を雇用している。 閉鎖対象となるのはこのうち「少なくともそれぞれ 1 工場(首脳)」とされ、現地では、傘下ブランドのポルシェやアウディに比べ相対的に収益力が劣る「VW ブランド車の工場が標的になる」とも取り沙汰されている。 無論、組合側は猛反発している。 そんな中、大手各社が固唾をのんで見つめているのがホンダの動きだ。 「40 年に EV/FCV (燃料電池車)化率 100%」の旗印を今なお掲げ続けているからだ。 その達成に向け今年 5 月には、30 年度までに 21 年度から累計で EV とソフト開発に 10 兆円を投じるとの計画も発表している。 だがホンダの研究開発費は 24 年 3 月期ですでに 1 年間に稼ぎ出す営業キャッシュフローを上回る規模に膨らんでいる。 そんな財務上の重荷に「一体いつまで耐えていけるのか(トヨタ関係者)」というわけだ。 販売拡大によるキャッシュインで回収できなければ「いずれ行き詰まる」と市場関係者らも気を揉むことしきりだ。 (重道武司、日刊ゲンダイ = 9-12-24) ドイツ系 EV が中国ブランドに「完勝」 - 独メディア 2024 年 7 月 23 日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ドイツ国内で行われた世論調査で、ドイツ系の電気自動車 (EV) が信頼性や魅力度で中国製 EV に「完勝」したことが明らかになったと報じた。 記事は、コンサルティング会社ベアリング・ポイントとドイツ紙ハンデルスブラットがこのほど共同で発表した「電気自動車魅力度指数 2024」の結果を紹介。 調査ではドイツ国内の市民 2,000 人以上を対象にヒアリングを行い、価格とともに航続距離や充電コスト、革新性、ブランドの品質、信頼性など多くの要素を総合した魅力度がランキング形式で示されたと伝えた。 そして、魅力度が高いEVブランドがフォルクスワーゲン、アウディ、メルセデス・ベンツ、テスラ、ポルシェ、ヒュンダイ、BMW、オペル、ルノー、上海汽車(SAIC MG)、BYD、長城汽車の順になり、ドイツブランドがトップ3を占める一方で、中国ブランドは価格面での優位性とは裏腹に品質への信頼や技術革新など総合的な魅力が不足していることが浮き彫りになったと紹介している。 また、ドイツ市場で消費者が自国ブランドEVを好む理由について、主に品質とサービスに対する信頼性が高いことを指摘。調査に参加した62%がEV購入に当たり価格を重視する一方で、航続距離、電気代、ブランドの品質を重んじるとの回答もほぼ同水準に達したことを伝えた。そして、調査における品質と信頼性の項目ではメルセデス・ベンツやアウディ、BMWがいずれも70%以上と高い支持率を得た一方で、中国の3ブランドは40%前後と低い水準にとどまったことを伝えている。 記事は一方で、調査を実施したベアリング・ポイントの専門家が「現在のドイツ自動車メーカーの優位性は揺るぎないものではない」と警告したことを紹介。 中国ブランド車が数多く出展した2023年のミュンヘン国際モーターショーで無作為に行った消費者へのヒアリング調査では一定割合の人が「次の新車を購入する際もドイツの自動車メーカーを優先する」と答えた一方で、どこの国の車かを伏せた上でのインタビューでは中国製EVの受容度も決して低くなかったと伝えた。 (川尻、Record China = 7-24-24) 米国の EV 市場が復活か、4 - 6 月販売台数は前期から 2 割増 電気自動車 (EV) に関してはここ数カ月、バイデン米大統領に対してよりも否定的な見方が多く示されていた。 EV の販売が激減し、EV 部門は全滅するという考えは早すぎた可能性があることが新たなレポートからうかがえる。 自動車専門の米評価機関ケリー・ブルー・ブック (KBB) によると、今年第 2 四半期(4 - 6 月)に米国で販売された EV は 33 万 463 台で、前年同期比 11.3% 増、前期比 23% 増だった。 新車販売全体に占める割合は 8% と過去最高だった前年同期の 7.2% を上回った。 この販売増は、かつて EV 部門の健全性を示す指標だったテスラの販売状況とは真逆だ。 同社の第 2 四半期の販売台数は前年同期比で 6.3% 減少した。 KBB のデータによると、同社は現在、米国における EV 販売台数の 49.7% を占めており、2022 年の 75% から下がっている。 「EV 販売は予想を上回り、記録的な四半期となった。 競争の激化で価格に下げ圧力がかかり続け、EV の普及が徐々に進んでいる」とCox Automotive(コックス・オートモーティブ)のインダストリー・インサイト・ディレクターのステファニー・バルデス・ストリーティは話す。 「適切な製品を適切な価格で販売し、優れた消費者体験を提供する自動車メーカーが EV 普及をリードしていくだろう」とも指摘する。 テスラのクロスオーバー SUV 「モデル Y」は全体として販売不振に陥っているが、第 2 四半期に 10 万 1,000 台以上を納車し、引き続き最も売れている EV だ。 次に売れている EV モデルは同じくテスラのセダン「モデル 3」で、販売台数は 4 万 3,000 台弱。 KBB によると、3 番目に多く売れたのはフォードの「マスタング・マッハ E」で、1 万 2,645 台だった。 メーカー別では、ゼネラルモーターズの販売台数は 1 万 2,645 台と、テスラに次いで多かった。 EVに関しては航続距離や公共の充電施設がまだ十分でないなどの制約があるにもかかわらず、競争の激化や大幅な値下げ、一部モデルに対する連邦政府の最大 7,500 ドル(約 118 万円)の税額控除が販売台数を押し上げた。 さらに、新型コロナのパンデミックに端を発したサプライチェーンの混乱で生産が低迷していた間、ほぼなくなっていた自動車メーカーのキャッシュバックも今では復活。 復活どころか、これまで以上に行われている。 一部のモデルでは販売促進のために 7,500 - 1 万ドル(約 118 - 158 万円)ものキャッシュバックや、ゼロ金利のローンなどが宣伝されている。 同様に、リースも最近魅力的なものになっている。 前述の連邦政府による税額控除が適用されない EV を扱うメーカーの多くが、リース契約を通じて 7,500 ドルのインセンティブを提供している。 (Jim Gorzelany、Forbes = 7-16-24) エンジン、生き残りのカギは脱炭素 トヨタ・マツダ・スバルが新技術 トヨタ自動車、マツダ、スバルの 3 社は 28 日、新しいエンジンや関連技術を紹介するメディア向けイベントを東京都内で開いた。 いずれも厳しい環境規制に備えた「脱炭素」を意識したもので、電気自動車 (EV) だけに絞らない全方位戦略をアピールする狙いだ。 トヨタは、開発中の排気量 1.5 リットルと 2.0 リットルの次世代エンジンを展示。 電動ユニットと組み合わせることを前提に、小型で効率のよいエンジンになると説明した。 これまでよりも電気による走行の割合が高い、ハイブリッド車 (HV) やプラグインハイブリッド車 (PHV) に載せるという。 マツダは、独自技術のロータリーエンジンと関連技術を披露。 もともと小型で軽いため電動化の部品を載せやすい特徴があることから、組み合わせにより燃費が劣る面をカバーできる。 今後は様々な PHV に搭載する絵を描いているという。 スバルは、独自技術の水平対向エンジンにトヨタのハイブリッドシステムを組み合わせた新しい仕組みを紹介した。 秋には生産を始められるという。 トヨタは 27 日には、出光興産や ENEOS (エネオス)、三菱重工業と一緒に、自動車用のカーボンニュートラル (CN) 燃料の導入や普及に向けた検討を始めると発表。 28 日のイベントでは、マツダとスバルのトップも協力すると表明した。 マツダの毛籠(もろ)勝弘社長は、ロータリーエンジンが、バイオ燃料を含む様々な燃料との相性がいいと説明した上で、「社会に貢献できる技術として活用するのが私たちの使命だ」と話した。 3 社がこうしたイベントを開いたのは、多くのメーカーが EV シフトを強めている背景がある。 EV は欧米で売れ行きにブレーキがかかったり、中国で価格競争が激しくなっていたりするが、今後、さらに環境規制が厳しくなることでエンジンの生き残りが難しくなることも指摘されている。 トヨタの佐藤恒治社長は「未来への志を共有する仲間と切磋琢磨することで、技術を進化させたい」と述べた。 とはいえ 3 社も、EV 開発の手を緩めているわけではない。 「投資額でいえば今後の技術開発の中心は、やはり EV など電動化技術だ(トヨタ幹部)」という。 加えてエンジンでも大きな革新を進めようとすれば、研究開発費はさらにかさむ。 トヨタの技術部門トップの中嶋裕樹副社長は「研究開発費はもちろん上がる。 その分『いい車』を作ってがんがん売るしかない。」 特定の技術だけに寄らない姿勢は、かえってリスク分散になるとも考えている。 販売台数規模でトヨタの 1 割ほどのスバルの藤貫哲郎取締役は「会社の規模が小さいことは、技術開発を深くやることにはデメリットはない。 ただ、広くまんべんなくとはいかないので、(他社と)お互い補完できればいい」と話した。 (渡辺七海、大平要、asahi = 5-28-24) EV 普及の起爆剤となるか? 「走行中に充電できる」高速道路 インディアナ州にて、世界で初めて「走行中 EV 自動車を充電できる高速道路」が誕生する。 充電できる高速道路 - - 順を追って説明しよう。 当初、"100 年に 1 度のエネルギー改革" と評され、現在も普及が進んではいる EV だが、航続距離の短さや充電に時間がかかること、充電スポットの少なさなど負の面がこれまでずっと指摘されてきた。 そんななか、2018 年、化石燃料を使わない交通インフラの構築を目標とするスウェーデンが、EV を運転しながら充電できる「電化道路」を開通。 これは道路に敷設されたレールと車がアームで結ばれ、走行するとレール上からエネルギーが供給される仕組みだ。 その後もインド・ドイツ・イスラエルなど、世界各所でワイヤレス EV 充電技術の研究が進められてきた経緯がある。 話を戻して本題に。 「Indy Star」誌によると、推定 1,100 万ドルの予算がかけられたと言われる今回の電化道路は、インディアナ州・パデュー大学とインディアナ州交通局による共同プロジェクトによるものらしい。 彼らが設計したのは、送信コイルを取り付けた特別なレーンから車両の下に取り付けた受信コイルに向けて電力を送るというシステムらしい。 聞けば、置くだけでスマートフォンを充電できるワイヤレス充電器にどこか似ている。 先に紹介したスウェーデンの事例との違いが分かりづらいが、本プロジェクトはより高度な電力レベルを必要とする高速道路上での走行速度で車を走らせつつ、大型電気自動車と乗用車どちらも充電することを目的としているようだ。 彼らは 2025 年夏の運用開始から今後数年間にわたってテスト運用と研究を進めていく予定で、将来的にはインディアナ州間高速道路の一部電化に加え、EVの欠点を取り除いていくことを施策している。 アメリカが“EV普及”にこだわる理由 アメリカがここまで EV の普及にこだわる背景には、サステイナブルな都市開発へと大きくシフトチェンジしたい狙いがうかがえる。 「2030 年までにアメリカ国内で販売する新車の 50% 以上を電動化する」目標を掲げている同国において、EV 普及に伴っていやが応でも交通整備を進めていく必要があったのではないだろうか。 アメリカ全土で環境意識が高まり、改革が起きている現在。 自動車大国の先導的な取り組みがどのようにグローバルへと波及していくのか、注目していきたい。 (Tabi Labo = 4-13-24) 米テスラ、新しい低価格 EV の開発中止か 中国メーカーとの競争激化 ロイター通信は 5 日、米電気自動車 (EV) 大手テスラが新型の低価格車の開発を中止したと報じた。 2025 年に生産を始め、2.5 万ドル(約 380 万円)ほどでの発売を目指していた。 だが、既に中国メーカーがさらに安い EV を量産しており、価格競争が激化していた。 報道後、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者 (CEO) は X (旧ツイッター)に、「ロイターはウソをついている」と投稿した。 テスラの株価は 5 日、3.6% 下落した。 EV の販売は、価格の高さや需要の一巡などで伸び悩んでいる。 テスラの今年 1 - 3 月期の世界での新車販売台数は、前年同期より 8.5% 減と約 4 年ぶりに前年を下回った。 現在は高級車を中心に販売しており、最も安い「モデル 3」でも 3.9 万ドル(約 590 万円)と高価だ。 そのため、新しい低価格車が注目されていた。 EV 市場の伸び悩みを受け、米企業は相次いで EV 戦略を転換している。 米アップルが EV の開発を断念したと報じられたほか、米フォード・モーターも今月、一部の車種の発売を予定より 2 年延期すると発表。 当面は、EV より安く人気が高まっているハイブリッド車の販売に注力する方針を明らかにした。 (ニューヨーク・真海喬生、asahi = 4-6-24) アメリカで EV 販売失速、トヨタの HV がテスラの EV を逆転 … 値段手頃で燃費いい HV が見直される 【ニューヨーク = 小林泰裕】 米市場で電気自動車 (EV) の販売が失速している。 インフレ(物価上昇)や金利上昇で高額な EV を購入する負担が増す中、値段が手頃で燃費のいいハイブリッド車 (HV) が見直されており、メーカーの戦略にも影響を及ぼしている。 ■ 「安心して遠出」 2 月下旬、ニューヨーク・マンハッタンの自動車販売店を訪れたエベニザー・オーラさん (38) は「HV なら安心して遠出できるし、燃料代も節約できる。 次に買うなら HV だ。」と展示車両に目をこらしていた。 販売店のジョン・アイアコーノ社長によると、HV の販売は、この 1 年で約 3 割増えた。 「近いうちに、販売台数のほとんどが HV になるだろう」と話す。 英調査会社 JATO によると、米国では 2023 年 4 - 6 月期以降、3 四半期連続で HV の販売台数が EV を上回った。 23 年 10 - 12 月には、トヨタ自動車の米国での HV の販売台数が前年同期比 49% 増の約 18 万台と過去最多となり、20% 増の約 17 万台だった米テスラの EV を逆転している。 ホンダの HV も約 4 倍の約 8 万台と急伸した。 ■ インフラ不安 米メディアによると、米国での EV の平均価格(23 年)は約 5 万 9,000 ドルなのに対し、HV は約 4 万 2,000 ドルと 3 割ほど安い。 米政府は 23 年、EV 購入者に最大 7,500 ドルの税額控除を導入したが、それでも EV の方が割高だ。 米連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げで自動車ローンの金利も上昇している。 内陸部などでは充電設備が少ないことも失速の要因とみられる。 蓄電池は寒さに弱く、冬場に性能が低下しやすいことも消費者の不安につながっている。 米調査会社アイシーカーズによると、米国で EV 購入に関心を持つ層は 7 - 8% とされる。 急速に EV の普及が進み、米国の新車販売に占める割合は 23 年に 7% を超えた。 同社は「充電設備や価格の問題を解消しない限り、米国で EV 販売を伸ばすのは難しいだろう」と指摘する。 テスラも、24 年の EV 販売の伸び率は 23 年(38% 増)を大幅に下回るとの見通しを示している。 ■ 計画修正 市場の変化を受け、米ゼネラル・モーターズは EV の生産目標を撤回した。 今後はプラグインハイブリッド車 (PHV) の生産に注力する方針だ。 米アップルも 2 月、10 年がかりで進めてきた EV の開発を中止したと報じられた。 独メルセデス・ベンツも、30 年までに販売する新車をすべて EV にする計画を撤回した。 韓国・現代自動車は HV の生産を強化し、高級車ブランドに HV を投入する方針と報じられている。 (yomiuri = 3-4-24) EV はタイヤ交換地獄? ユーザーリポートから見えてきた単純明快な真実、北米計算では「2 か月に1 回」の可能性も EV 特有の弱点 日常的にクルマを使う一般的なユーザーにとって、タイヤ交換の頻度はどれくらいだろうか。 もちろん、
などによって、その結果は大きく異なる。 それでも、ほとんどのユーザーは、自分のクルマのタイヤがどれくらいの期間もつのかを把握しているだろう。 量産市販の電気自動車 (EV) が登場して 10 年以上が経過した。 EV の普及にともない、すでに何台も乗り継いでいるユーザーも珍しくなくなった。 走行距離が 10 万km を超えるケースも少なくない。 ただ、EV 特有の弱点として、
がある。 これはどういうことか。 多くの EV では、新車時に装着されるタイヤは EV 特有の車両仕様や走行特性に合わせて設計されている。 多くの場合、タイヤメーカーのラインアップのなかでも、いわゆる「エコタイプ」に属する。 つまり、基本的には走行抵抗の少ないモデルである。 EV 特有の車両スペックと走行特性を簡単にまとめてみよう。 まず、EV はハイブリッド車 (HV) や内燃機関車に比べてかなり重い。 例えば、ベーシックグレードの日産デイズは 840kg、同じく軽自動車の日産サクラは 1,070kg である。 軽自動車で 230kg の重量差はかなり大きい。 HV の日産ノートのベーシックグレードは 1,230kg、同じくコンパクト EV の日産リーフのベーシックグレードは 1,520kg である。 その差は 290kg である。 軽自動車やコンパクトカーのレベルでこの違いである。 ミドルクラス以上の上級グレードやスポーツタイプ多目的車 (SUV) の重量はさらに重い。 タイヤに負担を強いる特性 車重の差はタイヤへの負担に直結する。 標準装着タイヤの場合、設計段階で車重の増加に対して十分な対策が採られていると考えるべきだが、それでも限界はある。 EV には車重以外にもタイヤに大きな負担を強いる特性がある。 それは、
である。 これについては、EV は静粛性が高いため、多くのドライバーは自分ではそう意識していなくても急加速してしまう傾向がある。 その結果、減速時に回生ブレーキを多用することになり、内燃機関車での急加速/急減速に相当する操作を行っている。 また、車重が重く駆動力が大きいため、コーナリング時にタイヤにかかる負荷も大きくなる。内燃機関車の場合、ハイパワー FF 車では駆動輪タイヤの偏摩耗が見られる。 加速時や減速時にタイヤにかかる横方向の力が増大することは、非常に大きな負担となる。 EV の場合、ハイパワーをうたっていなくても、同じ理由でタイヤの偏摩耗が起こる。 EV がタイヤに大きな負担をかけていることはわかった。 では、実際にどの程度の負担なのか、タイヤは何km 持つのかを検証してみよう。 この件に関しては、インターネット上のブログにユーザーからのリポートが多数掲載されている。 極端な例だが、北米では EV が 1 万マイル(約 1 万 6,000km)も持たないケースもあるという。 市販されている EV のほとんどが SUV であることを考えると、これはかなり厳しい数字である。 北米では年間走行距離が 5 万マイル(約 8 万km)に達することも珍しくなく、最悪の場合、こうしたユーザーが EV を購入した場合、
はタイヤを交換しなければならない。 では、日本ではどうか。 何人かのユーザーのリポートによると、新車のタイヤの寿命は一般的に 3 万kmだったという。 これはよいことではないが、特に悪いことでもない。 興味深かったのは、「もっと快適なタイヤが欲しい」ということで、標準装着品とは違うタイヤに交換したところ、タイヤの減りや偏摩耗が目立ち始めたという報告だ。 この場合でも、タイヤが寿命を迎えるまでに約 2 万 5,000km 走ることができたが、それでも標準装着品に比べて走行可能距離が、
したという。 タイヤを使う上で難しいのは、
である。 例えば、摩耗限界に達したことを示すスリップサインは、「この状態では車検は通りません」を意味しているにすぎない。 それ以前にタイヤの性能が限界に達していると考えたほうがいい。 偏摩耗が見られる場合はなおさらだ。 このようにさまざまなケースを総合的に判断した結果、EV に装着するタイヤはどのように選べばいいのだろうか。 結論は、標準装着品か、EV 専用設計のタイヤである。 現在、EV 専用や EV・HV・PHV 専用タイヤとしては、
などがある。 価格と性能の微妙なバランス 気になるその価格だが、インターネットで調べた最安値は軽自動車用のエコピア EV-01 サイズで 1 本 1 万円強。 コンパクトカー以上では 1 本 2 万円前後となる。 スポーツ EV 用で最小サイズが 19in のミシュラン・パイロットスポーツ EV の場合、最も安いタイヤでも 1 本 4 万円前後からと非常に高価だ。 他にも EV専用タイヤはあるが、入手性の面で選択肢は多くない。 場合によっては、無理せず純正装着品を選択することもアリだろう。 EV が普及しなければ、タイヤの寿命問題がここまでクローズアップされることはなかっただろう。 今後も EV に関するユーザーサイドからの報告を注視していきたい。 (中島高広、Merkmal = 3-3-24) ◇ ◇ ◇ 電気自動車によるガードレール "クラッシュテスト" ガソリン車より数百 kg 以上重く アメリカのネブラスカ大学で、ガードレールのクラッシュテストが行われた。 電気自動車は、バッテリーによりガソリン車より車体が重く、ガードレールを簡単に突き破ってしまった。 今後の事故対策の見直しが必要になる可能性がある。 ガードレールの耐久性を測る 時速 90km 超えで迫る車が、クラッシュ。 電気自動車を使ったクラッシュテストだ。 試していたのは、車の耐久性ではなく、ガードレールの耐久性。 電気自動車は、簡単にガードレールを突き破っている。 アップデートも必要か その理由は、車の重さ。 テストを行ったアメリカのネブラスカ大学によると、バッテリーを大量に積んでいるため、ガソリン車に比べ、数百 kg 以上も重いという。 今後、電気自動車が普及する中で、事故対策のアップデートも必要になる可能性がある。 (FNN = 2-4-24) 電動自動車、米で人気上昇 ランキングで上位に = 消費者誌調査 米消費者情報誌「コンシューマー・リポート (CR)」が 27 日発表した 2024 年の自動車モデル別ランキング調査で、上位 10 車種のうち 7 車種をハイブリッド車と完全電気自動車 (BEV) を含む電動自動車が占めた。 電動自動車が消費者にとってガソリン車よりも望ましい選択肢になりつつあることが浮き彫りになった。 7 モデルのうち 4 車種を「プリウス」やハイブリッド版のセダン「カムリ」などトヨタ自動車が占めた。 米 EV 大手テスラはスポーツタイプ多目的車 (SUV) 「モデル Y」、米フォード・モーターは小型ハイブリッド・ピックアップトラック「マーベリック」、独 BMW のプラグインハイブリッド (PHEV) SUV 「X5」がランクインした。 CR によると、電動自動車は米国で人気が高まりつつあり、昨年は軽量自動車の販売台数全体の 16.3% を占めた。 通常のハイブリッド車と EV の差を埋める PHEV も人気が上昇しており、昨年は販売台数が 60% 増えた。 CR の自動車試験担当のシニアディレクター、ジェイク・フィッシャー氏は「多くのドライバーにとって PHEV は、ガソリン車やハイブリッド車、EV と比較した場合、長い目で見れば節約になる」と指摘した。 34 ブランドを対象にしたブランド調査では BMW がトップの座を維持した。 (Reuters = 2-27-24) 米でハイブリッド車の販売急増、EV は伸び悩み メーカーも戦略転換 米国でハイブリッド車 (HV) の人気が高まっている。 昨年はシェアの伸び幅で、電気自動車 (EV) を上回った。 新しいもの好きの人が EV を買う需要は一段落したともいわれ、一般の人にとっては値段が手頃で車種も増えてきた HV が魅力的に映っているようだ。 HV 人気を逃すまいと、戦略を転換するメーカーもある。 2 月上旬、米東部ニュージャージー州の自動車販売店「プラネット・ホンダ」。 客のスーザン・グリーンウッドさん (42) は、展示されているホンダの SUV (スポーツ用多目的車)「CR-V」の HV モデルを見つめていた。 車の窓に貼られた紙には本体価格 3 万 7,355 ドル(約 560 万円)、年間ガソリン代 1,450 ドル(約 22 万円)とある。 HV は一般的に同じグレードのガソリン車より 1 千 - 1,500 ドルほど高いが、燃費では上回る。 グリーンウッドさんは「ガソリン代は HV が年 400 ドルほど安い。 EV は高いので、HV にしようかなと考えている.。」と話した。 米自動車情報サイトのエドマンズによると、新車販売に占める HV のシェアは 2022 年の 5.5% から 23 年は 8.0% に急増。 EV は 5.・2% から 6.9% への上昇にとどまった。 米調査会社コックス・オートモーティブは、26 年時点でも HV が 16% で、EV の 15% を上回ると予測する。 EV は脱炭素の切り札とされるが、普及の速度はメーカーなどの想定を下回っている。 一般の人に広く受け入れられていない要因が、価格の高さと充電設備の不足だ。 エドマンズによると、EV の平均価格は 6.2 万ドルなのに対し、HV は 4.3 万ドル。米政府は一部の EV を買えば最大 7,500 ドルの税金を控除するが、それでも価格差は大きい。 充電設備については、米調査会社 S & P グローバル・モビリティーが昨年、全米に 14 万カ所以上あるが、不十分だと指摘。 不便なく EV に乗るには、25 年までにその 4 倍、30 年までに 8 倍が必要と見積もる。 プラネット・ホンダを統括するウィリアム・フェーンスタイン氏は、EV は航続距離が短く充電に時間がかかる弱点もあるとして、「HV はガソリン車より燃費が良くて価格も安く、環境意識が高まった一般の人には良い選択肢に見える。 航続距離が大幅に伸びるなど EV の技術的なブレークスルーがない限り、あと 5 - 7 年ぐらいは『現実的な解』として HV が優位だろう」とみる。 米国は中国に次ぐ世界 2 位の自動車市場。 HV 人気の高まりは、多くの車種を抱える日本メーカーには追い風だ。 一方、EV に重点を置いてきた米メーカーは、HV にも力を入れる戦略に転じている。 米フォード・モーターは昨年、予定していた EV への投資のうち120 億ドル(約 1.8 兆円)を延期すると発表。 ミシガン州につくる EV 向け電池工場の生産能力は、当初の計画より約 6 割減らす。 「投資と成長、収益性のバランス」を検討したという。 一方、HV の販売を 5 年後に 4 倍に増やす計画を明らかにした。 米メディアによると、米ゼネラル・モーターズ (GM) などに対し、販売店から、人気が出ている HV の品ぞろえを増やすよう要望が強まっているという。 ただ、エドマンズのジョセフ・ユン氏は、HV の人気は「EV の充電インフラが整うまで」の一時的な可能性があると指摘。 「EV がメーカーの進むべき方向であることに変わりはないだろう」と話す。 メーカーにとっては、足元で売れるHVの開発と、将来に向けたEVへの投資を両立させる難しいかじ取りとなる。 (ニューヨーク = 真海喬生、asahi = 2-18-24) |