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中国、ゆがんだ成長目標をいつまで掲げるか 3 月に入ると中国では全国人民代表大会(全人代)が開かれる。 恒例行事として全人代では中国の歴代首相がその年の成長目標を掲げてきたが、これが金科玉条のようになり、目標数字に合わせて地方政府が投資を必要以上に上積みしたり、統計数字を改ざんしたりする悪弊を引き起こしてきた。 中国は中所得国レベルに達しており、もはや高い成長目標を目指す段階ではない。 この際、成長目標の提示は取りやめにするのも一案ではないか。 日本経済新聞は 1 月 21 日、中国が 2017 年の成長目標を 6.5% 前後に事実上下げる方向で検討に入ったと伝えた。 16 年の目標は 6.5 - 7% だった。 ロイター通信は 1 月 1 日、中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員を務める黄益平・北京大学教授が改革努力の余地をさらに広げるため、6 - 7% と一段と柔軟な目標を設定すべきだと語ったと報じた。 目標を固定すると改革を妨げる無理な成長が生じるため、目標に幅を持たせようという考えだ。 ■ 高い目標、過剰投資や環境破壊の原因に 中国が高らかに成長目標を掲げ、一丸で目標達成にまい進するというのは計画経済時代の残滓(ざんし)、あるいは低所得国時代の成長渇望の名残だろう。 高い目標で威信を保ち、政権基盤を安定させようという思惑もあった。 しかし地方の代表を集めて開く全人代という場所で目標を掲げることにより、中国全体が目標数字にとらわれてきた。 地方の指導者が周囲に認められ、出世するために目標を超える成果を上げようとするからだ。 各地の成長競争は過剰投資を生み、無用な生産設備の山を築き、さらには不良債権を残した。 古くからの住民の住宅を壊し、マンションやビルを建て、土地収用係争をあちこちで頻発させた。 成長優先で環境の保護は顧みられず、大気・水質汚染のような深刻な公害を引き起こした。 成長目標に達しない地方は統計の改ざんに手を染め、統計の信頼性を傷つけた。 最近も遼寧省が 11 - 14 年の財政統計を水増ししていた事実が明らかになった。 全人代のような政治的なイベントの場で国内総生産(GDP)の伸び率の目標を提示する行為はそろそろやめにすべきではないかというのが筆者の見方だ。 目標数字を示されれば各地の指導者は経済というより政治の約束事として目標の達成を目指さねばならなくなる。 経済の質を顧みずに量の拡大ばかりに突き進む背景だ。 数値目標を掲げる行為自体が地方政府への圧力となったり、あるいは地方政府の乱開発に口実を与えたりしている。 どんな国でも成長率の目標は政府の思い通りにはいかない。 当初の目標から 2、3% くらい変動することも珍しくないし、それが自然の姿だ。 中所得国の水準に達した中国の成長率が 4 - 7% の間で行き来したとしても不思議ではない。 景気は良いときもあるし悪いときもある。 それを無理に目標数字に合わせようとすれば経済がゆがむか統計がゆがむ。 ゆがんだ業績を地方指導者の成績評価に結びつければ、ゆがみはさらに増幅してしまう。 どうしても目標を設定したければ、政府機関や人民銀行の統計部門が経済見通しとして全人代とは別のところでさりげなく公表すればよい。 見通しなのだから四半期に一度は数字を改めるくらいの柔軟性があってしかるべきだ。 見通しの数字を 1 年間、固定させる合理性はない。 見通しの変化に合わせて景気対策も機動的に打ちやすくなる。 成長目標を政治キャンペーンとは切り離し、経済政策の前提となる予測データと割り切ればよい。 少し前まで中国は 8% 成長を毎年のように目標としたが、毎年純増する新規労働者人口の 1,000 万人超を雇用するために最低限必要な成長といわれた。 だが、今や中国の生産年齢人口はマイナスに転じており、新規雇用の確保のために成長目標を掲げる必要性はなくなったはずだ。 ところが、そうなると今度は 2020 年に 10 年比で国民の所得を倍増させるという目標を達成するためには最低でも 6.5% の成長が必要だという議論が出てくる。 ■ 経済成長にとらわれない統計導入を これこそ成長に偏った議論だろう。 所得を高めたいのならば労働分配率を引き上げてもよいのだから。 中国の労働分配率は 4 割台とされ、米国などの 6 割強に比べて低い。 企業や政府への分配ではなく、もっと労働者にお金が入るように仕組みを変えた方がよい。 成長だけにとらわれる必要はない。 成長至上主義の地方指導者の行動や意識を変えるためには、中央政府が重視する経済統計を GDP から別の統計数字に変える必要がある。 人々の所得を上げたければ各地域の労働分配率を的確に公表すればよい。 雇用が大切ならば雇用統計を充実させて、米国のように雇用統計を金融政策の判断材料にすればよいのではないか。 残念ながら中国の雇用統計は GDP 統計以上に大ざっぱだ。 失業率は 10 年から 12 年まで 4.1% のまま推移した。 13 年は 4.05%、14 年は 4.09%、15 年は 4.05% と細かく表示するようになったが、四捨五入すればつまるところ 4.1% のままだ。 失業率の定義と調査対象が単純すぎて申し合わせたような数字が出てくる。 数字だけを見れば中国の雇用は安定しているようだが、実際は各地域で事実上の解雇や給料の遅配が起きている。 各種研究機関の調査では 10% 前後の数字も出ている。 しっかり調査すれば新規雇用者数や失業率はもっと景気に合わせて変化しているはずだ。 産業別、地域別に新規雇用者数、失業者数などの数字を毎月、詳細に発表する方式に改めるべきだろう。 中央政府が重視する統計を変えれば地方指導者の意識と行動は変わる。 環境保護に関連する統計を地方政府の指導者の業績評価に直結させれば環境改善は確実に進むはずだ。 もっとも、こうした観点を述べると真実の統計を表にさらしたら一般民衆の不満が政府に向きかねないのでは … そんな反論が必ず出てくる。 確かに中国が統計を整備し、詳細な数字を公表するのは障害も多い。 ならば、まずは全人代で掲げる成長目標の撤廃から始めてみてはいかがだろう。 (編集委員村山宏、nikkei = 2-27-17)
楽観論を捏造する中国、不動産市場の過熱ぶり隠ぺい [香港] 中国では 1 日また 1 日と、信頼できる経済指標が姿を消している。 過熱する中国不動産価格の動向を示す独立経済指標 2 つが最近、静かに公表を停止した。 スモッグが濃さを増し、データが不鮮明になっている同国は文字通り、そして比喩的にも一段と不透明になっている。 エコノミストらはポジティブな見方を貫くよう命じられている。 政府は公的に命令を発したことはないものの、不動産市場の自主規制は自発的に行われているようだ。ただ今回公表が停止されたのは、製造業の活動や大気汚染などを示す民間指標のうち、ごく一部に過ぎない。 ただ、信用できる情報がない中では、投資家は統計より口コミに頼りがちになる。 過去の経緯からみて、一般の中国人は公式声明に対する根深い不信感を持っており、うわさに対してはパニックになった家畜の群れのようになる。 中国政府が風説の流布の疑いで多くの処罰を行ってきたのはこれが理由だ。 過去、未確認のうわさが株価急落、銀行破綻を招き、人々をボトル入り飲料水やヨード塩や粉ミルクの買い占めに走らせてきた。 不動産データにブラインドを下ろすのは、特に危険だ。 家計や資金の貸し手は、政府が一段の価格抑制策を打ち出すのではないかと戦々恐々としている。 公表が停止された捜房網(ソーファン・ホールディングス)の調査がこの見方を裏付けており、100 都市の不動産価格上昇は公式統計を上回る大幅上昇となっていた。 不動産規制の強化に対する懸念は住宅価格の急落だけでなく、より危険な状況を誘発する可能性がある。 不動産に投資している流動性のより高い債券や富裕層向け商品も急落する事態だ。 独裁体制における最もよく知られた、最も危険な自己欺瞞は、楽観論を捏造することで人為的に本物の自信を生み出すのは可能だということだ。 最近まで中国政府は、事態が正しい方向に進んでいると国民に納得させることに関して、かなり良い仕事をしていた。 だがそれは、事態が本当に改善していたという要因が大きかった。 中国経済は実際急速に成長していたし、制度改革や社会の自由化も進んでいたのだ。 いまやファンダメンタルズは不安定となり、制度改革は後退し、反対意見は沈黙させられ、政府幹部は国民など簡単にだませるとの嘆かわしい錯乱に陥っているようだ。 だが、中国資本は引き続き海外脱出を目指す。 政府が明かりを暗くすればするほど、何かが隠されているとの疑念を抱く国民は増えていくだろう。 (Reuters = 2-16-17) 中国の 3 大取引所がビットコインの引き出しを停止 中国最大のビットコイン取引所である「OKCoin」、「Huobi」、「BTCChina」がビットコインとライトコインの引き出しを一時的に停止すると発表しています。 中国元の引き出しやその他サービスについては通常通り取り扱いが続けられていますが、この発表後にビットコインのレートが 1 ビットコイン = 1,000 ドル(約 11 万 3,000 円)を切るという影響が出ています。 現地時間の 2017 年 2 月 8 日、中国人民銀行は中国国内の複数のビットコイン取引所と非公開会合を開催しました。 中国人民銀行は国外への資本流出を抑制するため、仮想通貨のルールを厳しくする可能性があると見られており、政府の指針に違反している取引所に警告も行ったとのこと。 会合後、中国最大規模のビットコイン取引所の OKCoin と Huobi はマネーロンダリングや違法な取引を防止するためとして、ビットコインとライトコインの引き出しを 1 カ月間停止すると発表しています。 2 社の発表に続いて BTCChina も内部システムをアップグレードするためとして、ビットコインとライトコインの引き出しを 72 時間にわたって停止することを発表しました。 OKCoin と Huobi は国内の外国為替政策に対応するため「自社のプラットフォームをアップグレードする」と説明していますが、具体的な詳細は明らかにされていません。 なお、3 つの取引所が停止しているのはビットコインの引き出しのみで、ビットコインの購入や人民元のやり取りなどの他のサービスは引き続き利用可能とのこと。 ビットコインのレートは 7 日時点で 1 ビットコインあたり 1 ビットコインあたり 1,060 ドル(約 12 万円)前後をキープしていましたが、一連の発表による影響で一時は 1 ビットコインあたり 959 ドル(約 10 万 8,000 円)まで急落しましたが、記事作成時点では 1,011 ドル(約 11 万 4,000 円)まで持ち直しています。 (Gigazine = 2-12-17) ◇ ◇ ◇ 中国の人民元が急反発し、ビットコインが暴落した本当の理由とは?
おかしな動きを見せる中国市場 昨年の年初の金融市場はリスクオフの動きでスタートした。 中国経済の先行き懸念に、それに伴っての原油価格の下落、原油価格の下落による資源国への影響なども意識されて、円高が進むなどリスクオフの動きを強めることとなった。 そして 2017 年の相場がスタートして、またもや中国市場がおかしな動きを見せている。 1 月 5 日の東京市場の引けあと、ドル円があっさりと 116 円台を割り込んだ。 特に国内の材料が見当たらず、何か起きたのかと思われたが、この背景に中国の人民元の急反発があり、それによっとてドルが下落し、ドル円も 116 円を割り込んだという図式であった。 人民元は昨年 10 月に IMF の定める特別引き出し権 (SDR) に採用された。 このあたりからドルに対して下落傾向が続いていた。 ドルそのものも 12 月の FOMC の利上げ観測もあり、上昇しやすい地合のなか、米大統領選挙におけるトランプ氏の勝利を受けて、さらにドル高圧力が強まった。 そのトランプ氏は中国を「為替操作国」に指定すると広言しており、中国政府は為替介入という手段が取りづらくなっていた。 ここに外貨準備の減少も懸念材料となっていた。 中国人民銀が元安の急激な進行を抑えようとドル売り介入を断続的に実施してきた結果、2016 年 11 月末の中国の外貨準備高は 3 兆 516 億ドルと 14 年のピークに比べて 1 兆ドル近く減少していたのである(日経新聞電子版)。 これは中国の米国債の保有額の減少要因ともなっており、米財務省が発表している米国債国別保有残高によると昨年 10 月時点で、これまでトップを走っていた中国を抜いて日本がトップに返り咲いていた。 介入を行うと外貨準備が減少するが、外貨準備の減少は元安要因ともなりかねない。 このため、中国政府は年が変わってから介入ではない手段を講じてきたようである。 それは短期金利の操作で、いわゆる短期金利の高め誘導を行ってきた。 比較的に元を自由売買できる香港短期金融市場で、オフショア人民元の流動性をひっ迫させ、香港銀行間取引金利 (HIBOR) の翌日物が前日の 16.9% から 38.3% へと約 1 年ぶりの水準に上昇し、午後には 100% を超える取引も成立したようである。 ちなみに昨年 1 月にも香港市場で中国国有銀行を通じて、ドル売り元買いの市場介入を行ったことで HIBOR が急騰し、翌日物 HIBOR は 12 日には 60% 台に急上昇するという場面もあった。 なぜ人民元が急反発、ビットコインが暴落したのか? 今回は外国為替市場での大規模な元買いドル売り介入は見送られているようで、中国の国有銀行などが短期市場への資金供給を絞ったための短期金利の急騰とされる(日経電子版の記事より一部引用)。 年が変わると年間外貨両替枠が更新されて中国からの資金流出が加速される恐れも懸念されていた。 HIBOR の上昇をみて、ヘッジファンドなどが元売りのカバーに走り、人民元が急反発し、その余波で上昇し続けていた Bitcoin が急落するなどしたとされる。 当面、人民元の動向に要注意 ただし、インターバンク市場の流動性ひっ迫は、銀行に深刻な影響を与えかねない。 企業や市場などにも影響を与えることで、昨年のような景気減速そのものへの警戒が強まることもありうる。 さすがに昨年の二の舞はないと思われるものの、当面の中国人民元の行方も注意する必要がありそうである。 (久保田博幸 = 『牛さん熊さんの本日の債券』、MoneyVoice = 1-8-17) 中国、次のバブルを探せ バブルがぐるぐると循環 中国でまたも小さなバブルが起きている。 ガラス、石炭、銅などの商品相場だ。 2016 年秋に価格が急上昇し、年末にピークとなった。 昨秋は住宅価格の騰勢が一服し、投機資金が住宅からコモディティーへと矛先を変えた時期といわれる。 住宅→株→海外資産→債券→住宅→商品。 中国では一つのバブルがはじけると、資金が次の投機対象に移動し新たなバブルを順番につくってきた。 あたかもバブルがぐるぐると循環しているかのように。 鄭州商品取引所に上場される板ガラスの先物価格は年明け後、1 トンあたり 1,200 元(約 2 万円)半ばで推移している。 昨年同月比で 5 割ほど高い。 昨年 10 月に 1,000 元台だった価格は 11 月に 1,200 元台に跳ね上がった。 同じように原料炭、鉄筋、銅、亜鉛などの先物商品価格も 10 月から大幅に上昇している。 余剰生産設備の廃棄策で商品の供給が絞られた結果であるとか、住宅販売の好調で建材の需要が増しているからだとかと説明されている。 だが、もっとも説得力をもって聞こえるのはバブルの移動、循環が起きているという説明だ。 中国は昨年の夏に住宅価格が急騰し、政府は 9 月ごろから抑制策を強めてきた。 住宅価格は 10 月ごろにピークを打ち、深センなどでは下落に転じている。 商品相場が急騰したのはちょうどそのころからだ。 政府の抑制策により住宅バブルは「ここまで」と見切った投資家が新たな投資対象としてコモディティーを選んだという見立てだ。 中国では資金が移動するごとにバブルを引き起こしてきた。
中国内では一つの投資対象に資金が集中しすぎ、価格が合理的な水準から乖離する局所バブルがたびたび起きてきた。 政府当局がそのバブル対策に乗りだし、一つのバブルが崩壊すると、投機資金はすぐさま別の投資対象を見つけ出し、新たなバブルをつくってきた。 資金と政府のイタチごっこともいえ、バブル商品が一定期間で移動する循環が起きているともいえる。 過去 2 年間に起きたバブルの循環を振り返ってみたい。 15 年はまず株だった。 背景には前年までの不動産購入規制の影響で住宅バブルがはじけ、資金が株式市場に移動してきたといわれた。 政府も新規上場を後押ししようと積極的に株の購入を呼びかけた。 景気減速下にもかかわらず、この年の 6 月には上海総合指数は年初から 6 割上昇し、5,000 台に達した。 企業業績とかけ離れた株価は夏にかけて急落し、政府は買い支えに追われることになる。 折も折、8 月には制度変更により人民元が対ドルで急落した。 これを見た中国内の余剰資金は一斉に国外に向かった。 一段の元安が進む前に資金を外国通貨や国外の不動産に変えておこうとしたからだ。 こうして年間数千億ドルといわれる資金流出に拍車がかかった。 中国政府は元安阻止のために外貨準備を使い、準備高は減少し続けた。 その後、政府は企業や個人による海外送金への監視を強め、16 年春以降はこのブームもやや落ち着いた。 次に資金が向かったのが中国内の債券だった。 10 年債の利回りは 15 年上半期は 3.5% 前後で推移していたが、資金流入で年末から翌 16 年初に一気に 3% 以下の水準まで低下した。 ところが 12 月に不正な信用取引が発覚し、これをきっかけに債券離れが進み、10 年債利回りが 3.4% に急上昇(価格は急落)してしまった。 債券バブルと同時並行で進んでいたのが住宅市場への資金回帰だった。 政府は景気対策の一環で購入規制を緩和したが、高騰を招き再び規制に動かざるを得ないはめとなった。 住宅と債券の「バブル崩壊」を受けて商品相場の急上昇が始まったというわけだ。 危険を察知した政府は売買手数料の引き上げなどで投機抑制に動いている。 すでにガラスなど工業製品は価格上昇の勢いが衰えており、次は農産品の先物の番だという声すら出ている。 経済情勢に応じて資金が移動するのは経済的にきわめて自然な動きだが、不思議なのは中国では資金が移動していく先々でバブルとその崩壊を引き起こしてしまうことだ。 なぜなのか。 投資商品の受け皿の不足、各市場の制度設計の甘さ、政府の行き当たりばったりの投資推奨と規制、投機好きの国民性 …。 いろいろ理由はあるのだろうが、筆者は投資家がそれぞれの商品の価格形成メカニズムや合理的水準を無視して投資を集中させる傾向が強いことが大きな要因とみている。 「隣の人が投資するから投資する」、「値上がりしそうだから投資する」といった付和雷同型が中国の投資スタイルだ。 相場を動かす原理は資金の需給が中心となるため、経済原則やファンダメンタルズが意識されることは少ない。 個人投資家も機関投資家もいったん火がつけば行き着くところまで行くのが中国の投資の流儀だ。 だから急騰と急落を繰り返す。 所を変えて次々起きるバブルは、投資家が手痛い失敗を繰り返し、合理的な価格水準を探らねばならないと悟るまでなくならないだろう。 さてコモディティーの次に来るバブルは何になるのだろうか。 (編集委員、村山宏、nikkei = 1-14-17) 狭まる人民元防衛の選択肢、外貨準備の減少続く [シンガポール] 中国政府が今週発表する 12 月末の外貨準備は、ロイター調査によると 3 兆ドルをかろうじて上回るものの、2011 年 2 月以来の低水準になりそうだ。 そこで投資家の間では、果たして中国当局が人民元の防衛を続けられるのかという点だけでなく、さらなる資金流出と通貨安の悪循環が始まる恐れも大きな不安の種になっている。 中国の外貨準備の規模自体はまだ大きい。 とはいえ昨年 8 月に人民元切り下げを実施して以来、元急落局面に再三見舞われ、その都度当局が買い支えに動いて多額の外貨準備が取り崩されてきた。 当局は個人や企業の海外への資金持ち出しに締め付けを強めているが、外貨準備が目減りするスピードに対する懸念はくすぶり続けている。 一部のアナリストは、国際通貨基金 (IMF) の適切な基準を満たすには、中国は外貨準備を最低でも 2 兆 6,000 億 - 2 兆 8,000 億ドルに保つ必要があると試算する。 オックスフォード・エコノミクス(香港)のアジア経済責任者ルイス・クイス氏は「市場にはかなりの不安や憶測が渦巻いている。 なぜなら中国ではこの問題について『政府は 1 ドル = 7 元、ないしは外貨準備 3 兆ドルの大台を守るつもりなのだろうか』という語り口が多いからだ。」と述べた。 中国は今週、1 ドル = 7 元近辺まで元安が進むとオンショアとオフショアの両市場で介入に乗り出し、中国を為替操作国に認定する意向を示唆しているドナルド・トランプ氏が 20 日に米大統領に就任するのを前に、元安を容認したくないと考えているとの観測が広がった。 しかし急速な外貨準備の減少と海外への資金流出が続けば、中国は再び一気に大きく人民元を切り下げるしか手がなくなるかもしれない、というストラテジストの声も聞かれる。 こうした切り下げは、他の新興国を巻き込んだ通貨安競争へとつながりかねない。 専門家の見立てでは、外貨準備を減らさずに元安のペースを和らげるために中国当局が頼りにするのは規制の厳格化だ。 具体的には海外向け投融資や輸出代金の使い道への監視強化、あるいは既存の資本規制の抜け穴封じといったところになる。 ただ中国政府が元は一方的に下がるのだという市場に定着した見方を覆さない限り、ある規制の抜け穴を素早くふさいでもすぐ次の抜け穴が出現するといういたちごっこは続くだろう。 HSBC のアジア外為ストラテジスト、ジョーイ・チュー氏は「実際に外貨準備が十分にあるのかどうかは重要ではない。 人々が外貨準備が足りないと考えれば、海外に資金を逃がそうとして、自己実現的なメカニズムが作用する」と指摘した。 チュー氏によると、中国としては本来通貨防衛には 2 兆ドルあれば事足りるはずだが、こうした市場心理のために当局は外貨準備を取り崩そうとするのは逆効果だと既に認識しており、だからこそ規制に活路を見出しているという。 例えば当局は、金融機関が報告すべき 1 回当たりの国内外の現金決済額の下限を 20 万元から 5 万元まで引き下げた。 また個人の外貨購入は年間 5 万ドルの枠を維持しながらも、個々の取引に一段と目を光らせている。 上海証券のエコノミスト、ジェリー・フー氏は「以前なら資本規制は比較的緩く、外貨準備も潤沢だったので、当局は個人の外貨購入には目をつぶっていた。 今は相場観を変えるために監視を強めている」と述べた。 またオックスフォード・エコノミクスのクイス氏は、中国規制当局が海外企業合併・買収 (M & A) の審査を厳格化すると表明している以上、この分野でも何らかの措置が講じられる可能性があると予想。 HSBC のチュー氏は、輸出業者の外貨収入をもっと元に転換するよう政府が促す事態になってもおかしくないとの見方を示した。 一方でチュー氏は、中国政府が新たな資本規制は導入せずに、既存の規制の実施をより厳しくすることに重点を置くとみている。 それでも通貨安対策としては力不足で、元の下落は止まらないだろうという。 ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのアジア太平洋マクロ戦略責任者ドワイフォー・エバンス氏は「中国当局が取り得る選択肢は乏しい。 今より急速な元安を容認してしまうと、資金流出圧力を高めるだけになる。 一度に大きく元を切り下げれば、過去 1 年半に 2 回も起きた市場の混乱を再燃させるリスクがある」と語った。 (Nichola Saminather、Reuters = 1-7-17) 中国、人民元基準値を大幅上げ 終値は 0.6% 安 【北京 = 原田逸策】 中国人民銀行(中央銀行)が 6 日、上海市場の人民元の対ドル基準値を前日比 0.9% の元高・ドル安水準に設定した。 上げ幅は 2005 年 7 月の元切り上げ以来の大きさ。 前日までの中国本土以外での元急騰の流れに乗り、中国本土でも「ショック療法」により根強い元の先安観を払拭する狙いとみられる。 ただ、効果が上がるかは不透明だ。 6 日の基準値は前日より 0.0639 元の元高・ドル安となる 1 ドル = 6.8668 元。 香港市場での元急騰を受け、5 日の上海市場も約 1 カ月ぶりの元高・ドル安を記録。 基準値も大幅な元高となった。 国営中央テレビも正午のニュース番組で元高を取り上げ、官製メディアも動員して元高機運を盛り上げた。 中国当局は年初に狙いを定め、一連の動きを周到に準備してきたフシがある。 中国は個人の外貨買いを年 5 万ドルに制限しており、年明けにまた新たな枠が生まれる。 年初には元売り圧力が高まりやすく、香港市場では投機筋が元売りを膨らませていたからだ。 元安で減っていた香港の人民元預金は資本規制強化でさらに抑制。 11 月末に前月比 350 億元減の 6,276 億元(約 10 兆 5 千億円)と 3 年 10 カ月ぶりの低水準になった。 香港の人民元市場を縮小した上で、年明けに資金供給を一気に絞って短期金利を急騰させ、市場から元を調達して売る海外投機筋を締め上げた。 5 日はドル全面安という幸運も重なり、香港市場で元が急騰。 6 日の上海市場では基準値を大幅に上げた。 6 日はオフショア人民元の香港銀行間取引金利 (HIBOR) の翌日物が 61.3% と前日の 38.3% から急上昇し、過去 2 番目の高水準を記録。 海外投機筋をけん制するため、当局は元の流動性を絞り込む。 中国当局には成功体験がある。 16 年 1 月も上海株式市場の混乱が波及して元が全面安になったが、香港市場で短期金利を急騰させて一時的に元を安定させた。 今回も手法は同じだが、人民銀がほぼ為替介入をしなかった点が異なる。 逆に「国有大手銀行を通じてドルを買っていた(北京の金融筋)」との指摘がある。 外貨準備高は 15 年末に 3.3 兆ドルあったが、今は 3 兆ドル割れが目前。 中国社会科学院の張明主任研究員は「貴重な外貨は商品、技術、人材を輸入するのに使うべきで、介入で投機筋に与えるのは好ましくない」と語る。 一連の動きは介入せずに元の先安観を修正する戦略だった可能性がある。 ただ、6 日の上海市場は前日比 0.6% の元安・ドル高水準となる 1 ドル = 6.9230 元で大方の取引を終えた。 中国からの資本流出は続き、中国経済の減速懸念もくすぶる中で、小手先の対応で元の先安観を改めるのは簡単ではなさそうだ。 (nikkei = 1-6-17) 中国「債務危機」阻止へかじ取り難航、緩和局面は終了か [北京] 中国指導部は来年の景気減速を示唆しており、緩和的な金融政策によって経済下支えをしながらも、債務問題悪化による不安定化を阻止するという難しいかじ取りを迫られている。 中国の政策アドバイザーが指摘した。 この点からすれば、2014 年 11 月に始まって昨年 10 月までに 6 回の利下げを経てきた今の金融緩和サイクルは、恐らく終了したとみなされる。 デフォルト(債務不履行)や企業破綻を避けながら、債務や投機的な投資を抑え込むために、どのように金融引き締めを進めるかを考えるのは容易ではない、と複数の政策アドバイザーは指摘する。 アドバイザーの 1 人は「金融政策は緩和的過ぎてはいけない。 だからといって大幅な引き締めの余地もない。 デレバレッジ(債務圧縮)を推進してバブルを阻止する一方、成長を支える必要もあり、この釣り合いを取るのは難しい。」と語った。 先週開かれた中央経済工作会議で指導部が話し合った来年の主な政策は、経済成長に関するものではなく、資産バブルと金融面のリスクへの対応だった。 またそこで定義された金融政策の方針が、2011 年以降ずっと使われていた「慎重」という表現から「慎重で中立的」に修正された点も重要な意味を持つ可能性がある。 ある関係者はロイターに「『慎重で中立的』という枠組みで金融政策がやや引き締め方向に傾いてもおかしくない」と話した。 それでも利上げに動く環境は整っていないとみている。 人民銀行(中央銀行)は市場金利をじりじりと高めに誘導しているが、政策アドバイザーの見立てでは、消費者物価指数 (CPI) 上昇率が 3% に達するまでは政策金利の引き上げはなさそうだ。 11 月の CPI 上昇率は 2.3% だった。 一方で今年は人民元が対ドルで 8 年半ぶりの安値に沈み、来年も米連邦準備理事会 (FRB) の利上げ観測を背景に下げ圧力を受け続ける見込みなので、人民銀は元安を助長しかねない預金準備率の引き下げには消極姿勢を続けるとみられる。 このように金融政策の動ける範囲が限られるので、指導部は景気を後押しするために財政赤字の対国内総生産 (GDP) 比の目標を今年並みの 3% ないしそれ以上にすることを目指すかもしれない、と政策アドバイザーは予想している。 複数の関係者の話では、来年の成長率目標は今年の 6.5 - 7% から 6.5% 前後に引き下げられる見通し。 正式な発表は、来年 3 月の全国人民代表大会(全人代)開催時期まで待たねばならない。 (Kelvin Yao、Elias Glenn、Reuters = 12-26-16) 中国の通貨を巡る 2 つの重要な数字「7 と 3」 中国共産党がクリスマスを祝うことはない。 だが、クリスマスが悪い出来事を葬り去るのに適した時期だとは考えている。 最も評判が悪かったのは、中国の裁判所が 2009 年のクリスマス当日、後に中国で唯一ノーベル平和賞を受賞した民主活動家の劉暁波氏に対して、国家政権転覆扇動罪で懲役 11 年の実刑判決を言い渡した出来事だ。 今年は経済関連の厄介な出来事が起きるかもしれない。 今年のクリスマスは日曜に当たるが、その直前直後の取引日は中国の通貨、人民元が対ドルで重要な節目となる 7 元を割り込むのに都合のいい時期になり得る。 7 という数字は、北京の中国共産党と政府高官がこのところずっと取りつかれている重要な 2 つの数字のうちの 1 つだ。 もうひとつは 3 で、11 月末時点で中国が保有する外貨準備高は 3 兆ドルあまりだった。 そして、この 2 つの数字は密接に関連している。 中央銀行である中国人民銀行(人民銀)が市場に人民元の価値を決定する大きな役割を与えた 15 年 8 月以降、人民元は対ドルで値を下げ続けている。 人民元はその間に、対ドルで 6.2 元から 21 日に付けた 8 年来の安値、6.95 元近辺まで下落した。 もし人民銀が元安を食い止めようと、外貨準備から進んでドルを売らなかったら、人民元はもっと急速に一段と下落していただろう。 これが、14 年には 4 兆ドルもあった中国の外貨準備が減少の一途をたどる原因となった。 人民元が対ドルで 7 元近辺をふらついていることから、中国の外貨準備高は 3 兆ドルを割り込みそうな様相で、その事実が、既に意見が割れている国内政策の議論に火をつけている。 議論の争点は、人民元を支えるために外貨準備を「無駄遣い」し続けるのかという点だ。 ■ 必要な外貨準備は 1 兆 - 2 兆ドル 経済的学識のある政府高官らは、中国の外貨準備は有り余るほどの財産であると同時に、管理は頭痛の種だと主張する。 実際、国際通貨基金 (IMF) の計算によると、各国に必要な外貨準備は、輸入の支払いの 3 カ月分と、対外短期債務を履行する額を保有するだけで十分だとしている。 そうした高官らは今年初め、中国企業がいずれにしても返済すべきリスクの高い対外借り入れは、中国の外貨準備の少なくとも 1 兆ドルに相当し、対元でドル高が続くのであればなおさら返済すべきだと非公開の会議で話し合った。 高官らは、中国に必要な外貨準備は 2 兆ドル、もしくはたったの 1 兆ドルでも問題ないだろうと言う。 別の側面として議論になっているのは、重商主義だ。 指導的立場にある一部の高官は、正規の経済教育を受けておらず、巨額な外貨準備を国家の強みや権威に匹敵すると考えている。 そのほか、より合理的な人は純粋に、外貨準備は賢く使うべき資源だと言う。 このような高官は、外貨準備高が 3 兆ドルを切らないよう、人民銀は単に人民元が下落するに任せるべきだとしている。 1 ドル 7 元を諦めて外貨準備の 3 兆ドルを維持するということだ。 重商主義戦略には 2 つの問題がある。 1 つは、対ドルで元が下落するほど、中国の企業や個人が自身でドルを保有するのが難しくなり、資本の逃避を悪化させることになる。 したがって、中国国務院(政府)がこのところ行っている緊急事態への対応は、国外への資本逃避の対策にも等しい。 2 つ目の問題は、重商主義者の次期米大統領、ドナルド・トランプ氏だ。 同氏の公の発言からは、中国政府が対ドルでの元安を狙って「為替操作」をしていると信じているようだ。 中国は、実のところ元安阻止をしているのだが。 もし中国が一歩引いて、対ドルでの人民元急落を市場原理に任せるのなら、貿易戦争における衝突のお膳立てをすることになる可能性がある。 今後数日間で、人民元対外貨準備という政策議論において政府の誰が勝者となるか明らかになるだろう。 クリスマスであろうとなかろうと、世界は注視している。 (Tom Mitchell、The Finacial Times = 12-22-16) ◇ ◇ ◇ 中国の米国債保有額、6 カ月連続で減少 = 日本が米国の最大債権国に - 中国メディア 米財務省が発表した最新の月間報告書によると、中国は 6 カ月連続で米国債の保有額を減らした。 中国の 10 月の米国債保有額は 413 億ドル減の 1 兆 1,200 億ドルとなり、最大の売却者になった。 日本は昨年 4 月ぶりに中国を抜き、再び米国最大の債権国になった。 中国放送網が伝えた。 海外の中央銀行は 10 月末までの 12 カ月に渡り、米国債を 4,030 億ドル手放した。 うち中国は 10 月に 413 億ドル減らし(2013 年 12 月ぶりの下げ幅)、1 兆 1,200 億ドルとした。 国務院発展研究センター金融研究所の呉慶研究員は「中国を含む世界各国の外貨準備高の管理に影響を及ぼしているのは、主に米国となっている」と指摘した。 呉氏は「トランプ氏は次期米大統領に選出されるや米連邦準備制度理事会 (FRB) に早期利上げを勧告した。 その結果、FRB は 12 月に利上げに踏み切り、さらに2017 年に 3 回の利上げを見込んでいることをほのめかし、市場の観測を上回った。 利上げから数日に渡りドル高が進行し、米国の株価も高騰した。 利上げの米国債価格への影響は固定的で、国債価格に低下の圧力が存在するこの状況下、能動的な資産管理ツールである米国債を事前に手放す可能性が生じている」と分析した。 呉氏はさらに「人民元レートがプレッシャーを受け、中国企業の海外進出を加速させているが、米国債売却の伏線を張っている。 人民元対米ドルレートが低下しており、さらなる低下のプレッシャーが存在する。 また 2016 年は年間を通じて中国の海外 M & A が特に大規模となった。 中国企業は海外に進出し、世界的な資産配置を求めている。 このような状況の下、外貨準備高の総量が減少傾向を示しており、米ドル建て資産もこれに応じて減少している。 いくつかの原因が重なり、現在の現象が生じているのであり、特に奇妙なことではなく、完全に理解可能な状況だ」と指摘した。 (提供 : 人民網日本語版、RecordChina = 12-22-16) |
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