公道で「完全自動運転」スタート 国内初、常時監視なしで走行 国内初となる公道での本格的な自動運転が 21 日、福井県永平寺町で始まった。 ドライバーの代わりに、センサーやカメラなどで情報を集約したシステムがすべての運転操作をする。 政府は 2025 年ごろまでに全国 50 カ所での実現を目指す。 自動運転のレベルは 5 段階。 最高のレベル 5 はどの区間でも走行できるが、今回は区間が限定されたレベル 4 にあたる。 レベル 3 では遠隔地で車両を常時監視する人が必要だが、レベル4はそれより進んだ「完全自動運転」となる。 同町では 21 年から、町の第三セクターがレベル 3 での運行を始めた。 今回の新車両は 7 人乗りの電気自動車 (EV) で、廃線跡の遊歩道(6 キロ)のうち 2 キロを最大時速 12 キロで走る。 所要時間は約 10 分。 28 日から土日祝日に営業運行を始める。 運賃は大人 100 円、中学生以下 50 円。 (永井啓子、asahi = 5-21-23) 「運転席のないバス」が走る町 無事故で 2 年、1 万 2 千人運ぶ 全国で初めて自動運転バスの公道での定期運行を始めた自治体が、茨城県にある。 利根川沿いの「河岸(かし)の町」こと境町。 運行開始から今月で丸 2 年、無事故で約 1 万 2 千人を運んだ。 人口減少と高齢化の時代、お年寄りが車を運転できなくなっても、技術の力で買い物や通院に困らず暮らしていける社会が、すぐそこまでやってきている。 フランス製の EV 車 大きな窓ガラス越しに流れる古い町並みが、近未来の景色に見えた。 鉄道のない境町で、高齢化が進む町民の足を確保しようと令和 2 年 11 月、運行が始まった自動運転バス。 11 人乗りの車内に運転席はない。 オペレーターと呼ばれる運転手が立ったまま乗車し、ゲーム機のようなコントローラーで交差点の通過などの操作を行う。 バスはフランス製の電気自動車 (EV) で、時速は 20 キロ未満。 2 系統の計 18 便を毎日運行し、運賃は無料だ。 5 年で 5 億 2 千万円の事業費は、ふるさと納税や補助金を活用する。 バス側が物損被害を受けた「もらい事故」 1 件を除き、無事故が続いている。 興味があって乗ってみたという町内の会社員、柿沼健作さん (49) は「自分もいつか年を取る。 その時、移動のための選択肢になっていれば。」と話した。 発案者の橋本正裕町長 (46) は「年齢を問わず、抵抗感なく利用が進んでいる。 今後は運行頻度を増やし、さらに使いやすくしていきたい。」と語る。 レベル 4 を実証へ 自動運転と一口に言っても、操作の一部をシステムが支援するレベル 1 (運転支援)から完全自動運転のレベル5まで 5 段階ある。 境町の自動運転はレベル 2 (部分自動運転)。 運転席がなく、ほぼシステムが操作しているように見えるが、運行を担うソフトバンクの子会社「BOLDLY (ボードリー、東京)」の星野達哉さん (33) は「信号機のある交差点を自動で通過することは難しいため、必ず止まる設定にし、オペレーターが確認して通過している」と説明する。 同社に限らず、国内でレベル 3、4 への課題は「信号機をどう通過させるか」だという。 現在、国内で認められているのはレベル 3 (条件つき自動運転)まで。 ホンダが 3 年 3 月、世界で初めて限定 100 台で発売した「レジェンド」がレベル 3 だが、これは信号機のない高速道路で渋滞中という、特定の条件下でシステムが操作するものだ。 ただ、来年 4 月にはレベル 4 (高度自動運転)の新ルールを定めた改正道交法が施行予定。 ホンダは年内にも、栃木県の宇都宮市と芳賀町の公道で、レベル 4 の車両を走らせる技術実証を行う準備を進めている。 安全とコスト課題 自動運転をめぐっては安全性の課題もぬぐえない。 昨年の東京パラリンピックでは、トヨタのレベル 4 の自動運転 EV 「イーパレット」が選手村を走行中、視覚障害のある選手に軽傷を負わせる事故が起きた。 国の重点の一つは、人口減少によりバスやタクシーの廃止が相次ぐ中山間地域だ。 国土交通省は平成 29 年度から全国 18 カ所で、道の駅などを拠点とするレベル 2 の自動運転サービスの実証実験を行った。 このうち全国 4 カ所で実用化。 令和元年 11 月、全国に先駆け有料サービスが始まった秋田県上小阿仁(かみこあに)村では、ヤマハの 7 人乗り EV が道路に埋め込まれた電磁誘導線に沿って走る。 平日午前の 1 便のほか、予約で運行される。 課題はコスト面。 電磁誘導線を敷く初期費用がかかるほか、安全のため乗務員が必要で、自動運転で期待される低コストでの運行にも限界がある。 国交省によると、運賃は 200 円で直近の利用者は 1 日平均 7.7 人。 国の補助金なしには運営できないのが実情だ。 (谷島英里子、asahi = 11-12-22) 深センでロボタクシー日常化、中国が自動運転を加速 [深セン(中国)] 混み合う市街地で突然、自動車の前にデリバリー用の自転車 3 3台が横断歩道を横切って飛び出してきた。 自動車のダッシュボードには、1990 年代のビデオゲームに登場した 3 次元 (3D) の青いブロックのように映る。 ハンドルは自動で旋回し、自動車は静かに停車した。 「セーフティドライバー」が助手席からその様子を見守る。 この自動車はスタートアップ企業、元戎啓行 (DeepRoute.ai) が製造するセンサー搭載型「ロボタクシー」だ。 中国・深セン市の中心部、福田区では 100 台が走行しており、昨年は乗客を乗せて 5 万回の試験走行が実施された。 自動運転技術の試験ではこれまで、米国が先行していると考えられてきた。 しかし深センが今ギアを上げており、ロボタクシーの試験走行があっという間に日常の風景になりつつある。 深セン市で試験走行を行っているのは元戎啓行のほか、インターネット検索サービス大手、百度(バイドゥ)の「アポロ」、トヨタ自動車が支援する「小馬智行(ポニー・エーアイ)」、日産自動車などが出資する「文遠知行(ウィーライド)」、中国電子商取引大手アリババが支援する「オート X」の各社。 信号無視する歩行者が多く、電動バイクが走り回るこの都市の難しい環境下で走行している。 人口 1,800 万人の深センは今、中国で最も明確な自動運転車の規制が整っている。 8 月 1 日からは市の広い範囲で、登録済みの自動運転車であれば運転席にドライバーが座らずに走行することが可能になる。 もっともドライバー 1 人の乗車は義務付けられる。 今のところ中国各都市は、地元当局から許可を得ることを条件に、もっと限定的なロボタクシーの走行を認めている。 しかし深セン当局は同国で初めて、事故時の法的責任を巡る重要な枠組みを整えた。 この枠組みでは、自動運転車でドライバーがハンドルを握っていた場合、事故の責任はドライバーにある。 完全にドライバー不在の場合には、車両のオーナーが責任を負う。 自動車の欠陥が原因で事故が起こった場合には、オーナーはメーカーに補償を求めることができる。 元戎啓行のマクスウェル・チョウ最高経営責任者 (CEO) は「自動車が増えれば、ゆくゆくは事故も増える。 従って広く普及する上で規制は非常に重要だ。」と語る。 「完全な無人運転が実現したわけではないが、大きな一里塚だ」と話す。 <アクセル踏む中国> 自動運転車の試験走行はこれまで、米国が先行してきた。 カリフォルニア州は 2014 年から公道での試験走行を認めており、テスラとアルファベット傘下のウェイモ、米ゼネラル・モーターズ (GM) の自動運転車部門クルーズは数百万マイルの走行を実施済みだ。 しかし中国もアクセルを踏み込んでいる。 中央政府は最新の 5 カ年計画で自動運転車を柱の一つに据えた。 深センは 2025 年までに同産業の収入を 2,000 億元としたい意向だ。 クルーズのダン・アマン CEO は昨年 5 月、バイデン米大統領に対し、米国の自動運転車安全基準では「トップダウンで中央指令型アプローチの」中国に遅れを取りかねないと進言した。 元戎啓行は深センで数年以内に、セーフティドライバーが乗るロボタクシーを 1,000 台走行させたい意向だ。 そのころには、もっと詳細な規制が整っていると期待している。 しかし深センは電気自動車 (EV) 大手、比亜迪 (BYD) のお膝元であり、国が保有する同社の EV タクシー 2 万 2,000 台が低料金で走行している。 このため自動運転車の製造コストが下がらなければロボタクシーは商業的に見合わないと元戎啓行のチョウ CEO は語った。 元戎啓行などのロボタクシー企業は、コスト低下とデータ収集を目的に、大量生産に打って出ている。 元戎啓行は 3,000 ドル前後で他の自動車メーカーに自動運転車ソリューションの販売も行っている。 百度は 7 月 21 日、ハンドルが取り外せる新型自動運転車を発表した。 価格は 1 台 25 万元と前世代型の約半分に抑え、来年からロボタクシーに活用する計画だ。 百度のロビン・リー CEO は「今のタクシー料金の半額でロボタクシーに乗れる未来へと向かっている」と述べた。 <井戸から飛び出すカエル> 深センはサプライチェーン(供給網)の充実と価格の低さという点で、シリコン・バレーに比べて製造上の大きな利点がある。 深センの自動運転車ソリューション企業、恵爾智能 (Whale Dynamic) のデービッド・チャン創業者兼 CEO は「深センは資本コストがカリフォルニアの 3 分の 1 で済む。 バッテリーのサプライヤーがあり、センサーもあり、インテグレーションがほぼ整っているからだ」とした上で、「しかし収入はカリフォルニアの 12 分の 1 なので、魅力的な事業ではない」と指摘した。 元戎啓行、文遠知行、小馬智行の各社はシリコン・バレーにも事務所を構えて研究開発チームを置き、同地と深センの両方で試験を行っている。 「井の中に縮こまって他のカエルと闘うことは望まない。 井戸から飛び出したい。」とチャン氏は語った。 (David Kirton、Reuters = 8-6-22) 7 割がテスラ、米国の運転支援システム搭載車の事故 米当局報告書 米高速道路交通安全局 (NHTSA) は 15 日、昨年 7 月から今年 5 月までに全米で起きた運転支援システムを搭載した車による事故が 367 件あったと発表した。 同局が運転支援システムに関連した事故の報告書を出すのは初めて。 このうち、米電気自動車大手テスラの車が 273 件と約 7 割を占めた。 NHTSA は昨年 6 月、「レベル 2」と呼ばれる自動運転技術による支援機能を導入している自動車メーカーに、事故の報告をするよう命じていた。 全体の事故のうち、6 件が死亡事故で、負傷事故は 46 件だった。 メーカー別で最も多かったのがテスラで、ホンダ(90 件)、スバル(10 件)が続いた。 テスラは運転支援機能「オートパイロット」や「フル・セルフ・ドライビング (FSD)」を提供している。 地域別では、カリフォルニア州が 125 件で最も多かった。 また、「レベル 3」以上の技術を使った車では、同期間に 130 件の事故の報告があり、グーグル傘下のウェイモ(62 件)が最多だった。 死亡事故はなく、負傷事故が 16 件あった。(サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 6-16-22) ノキア・NTT など通信 48 社、トヨタやホンダに特許料要求 フィンランドのノキアや NTT など世界の通信関連企業 48 社が、インターネットに常時接続する「コネクテッドカー(つながる車)」の部品について、トヨタ自動車やホンダなどに特許料の支払いを求めていることが分かった。 1 社あたり最大で年 200 億円近い負担になり、次世代車のコスト増につながる可能性が高い。 次世代車の中核技術はネット接続や自動運転などソフトの重要性が増している。 日本勢の技術戦略は見直しを迫られている。 IT(情報技術)系など異業種の競争力が高い分野で、次世代車のコスト増につながる可能性が高い。 次世代車の中核技術はネット接続や自動運転などソフトの重要性が増しており、日本勢の技術戦略は見直しを迫られている。 通信規格「LTE(4G)」の特許料の交渉を担う米企業のアバンシを通じ、トヨタとホンダ、日産自動車の国内車大手 3 社に関連特許を包括的に使う代わりに車 1 台あたり 15 ドルの支払いを求めている。 車の所有者が通信機能を使うかどうかにかかわらず、車メーカーに請求する。 アバンシは「パテントプール」と呼ばれる関連特許を持ち寄って共同で交渉する企業だ。 海外企業ではノキアのほか、スウェーデンのエリクソンや米クアルコム、蘭フィリップスなどが参加する。 国内企業からも NTT やソニーグループ、パナソニック、シャープなどが加わっており、国内外の 48 社が参加する。 48 社で 4G の基盤となる標準必須特許の約 7 割を持つ。 車載通信機が電波を送受信する方法や機器の動作の順序など、いずれもつながる車に欠かせない基本的な特許とされる。 企業別ではノキアが基地局など通信インフラ、クアルコムは半導体関連、シャープは通信開始時の接続技術などに強い。 部品会社との費用の分担なども含めて車 3 社が支払いに応じるかは不明だ。 応じれば、年数十億 - 200 億円近い使用料になるとみられる。 トヨタは 2022 年 3 月期にグループ全体で 1,029 万台を販売する計画だ。 全車に通信機を搭載して特許を使うと約 180 億円の支払いが必要になる計算だ。 トヨタの同期の連結純利益見込みの 0.7% にあたる。 アバンシは日本経済新聞の取材に「3 社との協議は初期段階だ」としている。 トヨタとホンダ、日産は「コメントを控える」としている。 通信特許はスマートフォンなどの端末をつくる機器メーカーが 4G 関連の多くを保有し、クロスライセンスで特許料を相殺しあうのが一般的だ。 車メーカーは基本的に 4G の特許を持っていない。 今回の同 15 ドルの要求額は、新たに車メーカーに支払いを求める枠組みとして設定した。 海外勢では独 BMW などが同 15 ドルの支払いに応じている。 独ダイムラー(現メルセデス・ベンツグループ)は 21 年 6 月、4G の特許を巡る訴訟でノキアに特許使用料を支払うことで和解した。 4G などの通信機が車に搭載されるようになったのはここ数年で、自動車メーカー、車部品メーカーともに標準必須特許の使用料を原則として支払っていない。 48 社はパテントプールを組み、一体となって自動車メーカーから特許料を得る交渉を進める考えだ。 アバンシは年内にも高速通信規格「5G」の契約条件も車メーカーに提示する方針で、使用料などの詳細を詰めている。 通信関連の特許を巡っては米特許管理会社が 21 年 10 月、トヨタやホンダなどを通信部品の特許侵害で米国で提訴した。 次世代車の目玉となる新技術はデジタル分野が中心で IT 大手などが強みを持つ。 独コンチネンタルによると、車両価値に占めるソフトの比率は現在の 1 割から 30 年に 3 割まで高まると試算する。 エンジンなど機械的な特許が多い自動車メーカーには手薄な領域だ。 自動運転では「LiDAR (ライダー)」と呼ばれる高機能センサーが欠かせない。 世界で 100 社あまりが参入し、米ベロダイン・ライダーなど新興企業のほか、ソニーグループなども技術開発や特許の確保に動いている。 映像の分析などには人工知能 (AI) の技術も重要になる。 AI の特許では米 IBM や米マイクロソフトが強い。 これらの分野も次世代車を巡る知財の中核になりそうだ。 知財問題に詳しい牧野和夫弁護士は「次世代車の特許に対応する戦略部門を設ける必要がある」と指摘。 そのうえで「(M & A などで)特許を買い集めるか、IT 大手と提携して自社のポジションを高める戦略が求められる」と語る。 これまで自動車メーカーは部品メーカーと一体となって新型車を開発してきた。 車メーカーを頂点に産業ピラミッドを作っており、業界内での知財リスクは表面化することが少なかった。 次世代車で技術の裾野が広がることで、業界の慣例が通用しない異業種が重要な技術を握ることになる。 (nikkei = 2-1-22) 自動運転「レベル 4」実現へ 警察庁、許可制度を創設 警察庁は 23 日、特定の条件下で運転を完全に自動化する「レベル 4」の自動運転車を地域の移動サービスで使用するための許可制度を創設する方針を固めた。 過疎地で運行する無人巡回バスへの活用などを想定。 都道府県公安委員会が事業者の運行計画を審査し許可を与える。 来春にも道路交通法改正案を通常国会に提出し、成立すれば国内で初めてレベル 4 実用化への道が開く。 運行許可の対象は、限定された地域で遠隔監視のもと特定のルートを無人走行する巡回バスなどを想定している。 政府は 2022 年度中にも高齢者らの利用が見込まれる地域などで実用化し、25 年度をメドに全国 40 カ所以上に拡大する目標を掲げる。 自動運転技術は現在、高速道路の走行などに限りシステムに運転を任せるレベル 3 まで実現している。 レベル 4 はレベル 3 と異なり、天候悪化や救急車の接近時など自動運転の継続が難しくなった状況でも人間が運転を引き継がず、システムが車を安全に停止させる機能を持つことが前提となる。 現行の道交法が対応しているのはレベル 3 までで、市販車が搭載している機能も同レベル相当までだった。 政府は 25 年をメドに、自家用車や物流トラックが高速道路を走行できるレベル 4 の実現を目指しており、許可制度の普及による知見の集積で技術開発が進むことも期待される。 新たな制度では、走行予定地の都道府県公安委が移動サービスを提供する事業者の運行計画を審査し、許可を与える。 事業者には遠隔監視の実施や監視主任者の配置を義務付ける。 自動運転車が事故に遭った際の負傷者の救護など人間の対応が必要な場合に、速やかに車のもとにスタッフを派遣できる体制の構築も必須とする。 一律の人数基準は設けない見通しで、運行内容に応じて十分な体制を設けているか審査する。 監視を担う人材に求める知識や資格要件、許可を更新制とするかなど制度の詳細は今後詰める。 運行計画にある体制を怠るなど事業者側に違反行為があれば公安委が改善指示や許可の停止、取り消しといった行政処分を行えるようにする。 処分に従わない場合の罰則を設けることも検討している。 車の性能や安全性は、国土交通省が道路運送車両法に基づき保安基準に適合しているかを審査する。 (nikkei = 12-23-21) つながる車、サイバー攻撃に備え 90 社連携 トヨタなど 通信機能を備えたコネクテッドカー(つながる車)をサイバー攻撃から守るために自動車メーカーや IT 企業など 90 社が連携する。 搭載するソフトウエアの弱点や、サイバー攻撃の動向などに関する情報を共有して、乗っ取りやデータ盗難を防ぐ。 自動運転車の普及も迫るなか、車の品質を守るソフト面での対策が本格化する。 トヨタ自動車、日産自動車などの完成車メーカーとデンソーやパナソニックといった関連部品メーカーの団体に、日本マイクロソフトやトレンドマイクロ、NTT コミュニケーションズといった IT 企業や損害保険ジャパンなどが参画する。 つながる車ではエンジンやモーター、ブレーキなどの部品を電子制御する。 各部品の稼働状況や走行データはインターネットを通じ外部に送っている。 これらを管理するソフトにセキュリティーホール(安全上の欠陥)があると、データを抜き取られたり外部から操作されるおそれもある。 従来はエンジンやシートベルトなどのハードでの品質や安全性が重視されてきたが、ソフトの欠陥がリコールに直結するようになっている。 自動運転車の開発も進む中、サイバーセキュリティーは喫緊の課題になっている。 ソフトの脆弱性は世界で月数千件見つかっている。 その中から自動車に関連するデータを抽出して、週一度のペースで情報を共有する。 各社は自社で使用しているソフトがないか確認して、もしあれば改修する。世界で報告される攻撃手法の事例なども即時に通知する。 一般的にソフトの調査を個別に外部委託すると年 2 億 - 3 億円かかるとされる。 中小部品メーカーなど自社の人材が不足している企業の負担が小さくなり、日本車全体の信頼性の向上にもつながる。 2015 年以降、システム研究者が自動車を遠隔操作したり、専用アプリをハッキングしたりする事例を公開。 20 年には中国の騰訊控股(テンセント)がトヨタの「レクサス」の脆弱性を指摘し、ソフト改修を迫られた。 米国では既に自動車メーカーや IT 企業がサイバーセキュリティーで連携する組織があり、トヨタや独フォルクスワーゲンなど欧州勢も参加している。 米テスラはソフトウエアの脆弱性を見つけた外部のハッカーに報奨金を支払うなど独自の取り組みをしている。 国連の欧州経済委員会は 20 年に対策を義務づける指針を採択した。 日本でも国土交通省が 1 月に同指針に合わせて道路運送車両法の保安基準を一部改正した。 国内では無線通信でソフト更新できる機能を持つ新型車について、22 年 7 月以降に売る車から基準にあった車両でないと型式認証を取得できず、日本では販売できなくなる。 (nikkei = 8-14-21) トラックの隊列走行運転に成功 運転者不足解決に期待 人が運転する先頭車のトラックを、2台の無人トラックが追走する。 そんな隊列走行実験に成功したと経済産業省や国土交通省が 5 日発表した。 成長戦略の一環で 2016 年から取り組んでおり、運転者不足の解消や燃費の改善を見込む。 静岡県内の新東名高速道路で 2 月に実験があった。 時速 80 キロで約 9 メートルの車間を保ち、約 15 キロの距離を走ったという。 レーザー光で周囲を確認するセンサー「ライダー」などを搭載。 アクセルやブレーキ操作も後続の車へ即座に伝わり、先頭車のコースから 50 センチ以上ずれることがなかった。 車間を狭めることで風の抵抗が減り、3% の燃費改善を見込む。 隊列間への他の車の割り込みを防ぐねらいもある。 割り込みがあると、後続車は路肩に自動停車するなどの課題も残る。 まず今年中には、システムが運転を補助して後続ドライバーの負担軽減をねらう有人の隊列走行の実用化をめざす。 さらに課題解決のため、経産省は「(高速道路上で完全自動運転できる)レベル 4 のトラック実現に向けたプロジェクトを検討中(植木健司 ITS・自動走行推進室長)」という。 (神沢和敬、asahi = 3-6-21) 前 報 (1-23-18) ホンダ「手放し運転」できる高級車発売 実用化は世界初 ホンダは 4 日、スマートフォンやテレビを見ながら「手放し運転」ができる機能を高級セダンのレジェンドに搭載し、5 日に発売すると発表した。 5 段階に分かれる自動運転技術のレベル 3 にあたり、実用化は世界初だ。 消費税込み 1,100 万円。 まずは 100 台限定で、3 年契約のリース販売とする。 昨年 11 月に一部改良したモデルに新機能を加えた。 高速道路など自動車専用道路の渋滞時(時速約 50 キロ以下)に利用でき、自動車側が主体となってすべての操作をする。 運転者はハンドルから手を離し、前を見ずにカーナビを操作したりスマホを見たりできる。 二つのカメラや五つのレーダーに加え、国内大手の市販車で初めてレーザー光で物体の形状を正確に捉えるセンサー「ライダー」を五つ搭載。 高精度の 3D 地図データや準天頂衛星「みちびき」の情報なども使って車の位置や周囲の状況を詳細に把握できるようになり、レベル 3 を実現した。 渋滞解消や天候不良などで自動運転機能の作動が難しい時は、警告音やシートベルトの振動で運転者に知らせる。 法律に基づき、運転者にはすぐに運転を交代できるように備えておく義務がある。 交通事故の刑事責任の所在は現状と変わらないが、自動運転機能が誤作動したケースなどは自動車会社の責任が問われる可能性もありそうだ。 手放し運転ができる車は他社にもあるが、周囲の注視が必要なレベル 2 だ。 国内では昨年 4 月に改正道路交通法などが施行。 世界に先駆けてレベル 3 の車が公道を走るルールができ、ホンダは昨年 11 月に国の審査に合格した。 (稲垣千駿、asahi = 3-4-21)
◇ ◇ ◇ サンキューハザード、自動運転車は識別できる? ホンダ 駅から運転者がいない車に乗り、自宅まで送ってもらう - -。 ホンダがそんなライドシェア(相乗り)サービスの 2030 年代の提供開始を目指している。 米ゼネラル・モーターズ (GM)、同社傘下で自動運転を手がける GM クルーズホールディングスと専用の車を開発しており、今年中に国内で実証実験を始める予定だ。 その詳細についてサービスを担う子会社ホンダモビリティソリューションズの高見聡社長に聞いた。 ☆ - - 3 社で共同開発している「クルーズ・オリジン」はどんな車?
- - 開発の状況は?
- - 国内の実験の内容は?
- - 実験で何をみる?
- - 専用車の実用化はいつを見込んでいますか。
- - 自動運転車が公道を走るには環境の整備も必要です。
- - 同様の車は IT 企業なども参入し、開発競争が激化しています。
◇ ◇ ◇ ホンダ、GM と国内でも自動運転の実証実験 専用 EV で ホンダは今年、国内でも米ゼネラル・モーターズ (GM) と自動運転の実証実験を始める。 日本の道路環境に適応できるかを検証し、導入を目指している無人車両によるライドシェア(相乗り)サービスに生かすという。 車両は、GM の電気自動車をもとに開発された「クルーズ AV」。 現在は、特定のエリア内を無人で走ることができ、5 段階ある自動運転技術のレベル 4 にあたる。 ホンダのテストコースを走らせた後、テストコース以外でも実証実験する計画。 ホンダは GM 傘下で自動運転を手がける GM クルーズホールディングスに出資し、ライドシェアサービス向けの専用車「クルーズ・オリジン」を共同開発している。 実験結果や法整備の状況をみながら国内への導入を目指すとしている。 (稲垣千駿、asahi = 1-22-21) ◇ ◇ ◇ ホンダ世界初、自動運転「レベル 3」機能搭載車実用化へ ![]() 大手自動車メーカーのホンダは、「レベル 3」と呼ばれる高度な自動運転の機能を搭載した乗用車を、今年度中に販売することになりました。 高速道路など一定の条件のもとですべての操作をシステムに任せるレベル 3 の実用化は、世界で初めてです。 自動運転は機能によってレベル 1 からレベル 5 まで 5 段階に分かれ、最近多くの車に搭載されている自動ブレーキや車線をはみ出さずに走る機能はレベル 1 や 2 とされています。 さらに 1 段階高度なレベル 3 は、一定の条件のもとであればハンドルやブレーキなどすべての運転操作をシステムに任せることが可能になる機能ですが、車の販売は実現していません。 こうした中、ホンダはレベル 3 のシステムを搭載した乗用車の「レジェンド」が安全基準を満たしているとして、国土交通省から「型式認証」を取得しました。 高速道路が渋滞しているか渋滞に近い状態で、速度 50 キロ以下で走行している場合などが条件となっていて、ホンダは今年度中に販売に乗り出す方針です。 国土交通省によりますと、レベル 3 の車の実用化は世界で初めてだということです。 自動運転は自動車メーカーだけでなく IT 企業なども参入して世界的に開発競争が激しくなっていますが、レベル 3 の実用化で一層の普及に向けて大きく前進することになります。 自動運転の「レベル」とは 自動運転は機能や技術の水準によってレベル 1 からレベル 5 までの 5 段階に分かれています。
日本では、東京オリンピック・パラリンピックも見据え、ことし道路運送車両法など関連する法律を改正し、世界に先駆けてレベル 3 の機能に関する安全基準がつくられました。 今回ホンダはこの新しい基準をクリアし、世界で初めてレベル 3 の車の販売が実現することになりました。 自動運転の開発競争は 今回、世界で初めてホンダが実用化する「レベル 3」をめぐっては、トヨタ自動車や日産自動車も実用化の具体的な時期は掲げていないものの、開発を進めています。 海外メーカーではドイツのアウディはレベル 3 の機能がついた車を開発していますが、安全基準に関する法律がまだ整備されておらず、一般向けの販売に必要な型式認証はまだ得られていません。 またドイツの BMW や中国の吉利自動車が来年にレベル 3 の車の量産を始める計画を発表しているほか、アメリカのテスラなど多くのメーカーが開発に乗り出し、競争が激しくなっています。 一方、AI = 人工知能や膨大なデータの処理技術に強みを持つ IT 企業もレベル 4 やレベル 5 の実現を目指しています。 グーグルのグループ会社「ウェイモ」は、アリゾナ州でエリアを限定したうえで自動運転の車の配車サービスを始めたほか、「アップル」や配車大手の「ウーバー」も技術の開発に乗り出しています。 中国の IT 企業「百度」や配車サービスを手がける「滴滴」がレベル 4 以上を目指して試験走行を行っています。 ただ、おととし、アメリカでウーバーの車が自動運転の試験走行中に歩行者をはねて死亡させる事故が起きています。 自動運転は開発が急速に進む一方、安全性の確保が課題となっています。 専門家「非常に大きな第一歩」 自動車産業に詳しい、みずほ情報総研の西村和真チーフコンサルタントは「一部ではあるが、ドライバーに代わってシステムが運転してくれる状態になるため、『これぞ自動運転』という機能だ。 自動運転の分野では、非常に大きな第一歩だと思う」と述べました。 さらに「システムとドライバーの役割をすみ分けながら、安全に運転することが求められる。 システムを過信しすぎずに対応しなければならないという理解がきちんと広まるかが普及のポイントになる。」と話していました。 一方、今後の課題については「レベル 3 と何か起きてもシステムが運転に対応するレベル 4 との間には、技術的に大きなハードルがある。 法規制の課題も残っていて、ひとつひとつ解決していく必要がある」と述べ、安全面や事故が起きた時の責任は誰にあるかといった問題などルールの検討も急ぐべきだという考えを示しました。 (NHK = 11-11-20) 五輪も走る自動運転相乗り車 トヨタ、効率配車の仕組み トヨタ自動車は 22 日、自動運転の大型電気自動車「eパレット」のための「運行管理システム」を発表した。 自動運転する複数の車両の運行状況をリアルタイムで把握し、「必要な時、必要な場所」へと車両を向かわせるための仕組み。 混雑や乗客の待ち時間を減らす。 自治体などを対象に、2020 年代前半にも、車両とシステムを一体で販売する計画だ。 eパレットは箱形の車両で、最大 20 人が乗れる。 車の外側のセンサーやカメラで、周囲の人や障害物を認識しながら走行し、停車も自動で行う。 トヨタは、自動運転の電気自動車を使った新サービスを開発する「eパレット構想」を 18 年に発表し、車両は 19 年に公開していた。 運行管理システムと eパレットは、東京五輪・パラリンピックの選手村で移動手段として使われるほか、21 年 2 月にトヨタが着工する実験都市「ウーブン・シティ」では住民が利用する予定だ。 トヨタは 21 日に運行試験を報道陣に先行公開。 東京都大田区の研究開発施設内に設けられた1周約 580 メートルのコースを、4 台のeパレットが、乗客を乗せて時速約 10 キロで走行。車両の現在地や速度、乗車人数は、運行管理システムが常時把握。 交差点では、車両同士の衝突を避けるために、どの車両を優先的に通過させるかをシステムが判断した。 配車にもジャスト・イン・タイム このシステムを活用することで、停留所の乗車待ちの人数を把握して、人数の多いところに車両を多く配車し、待ち時間を減らすことができるという。 車両に異常が見つかった場合は、代わりの車両をすぐに投入することもできる。 部品を必要な時に必要な分だけ調達する「トヨタ生産方式」の「ジャスト・イン・タイム」の考え方に基づいて開発されている。 人間のスタッフがシステムを目で見て常時監視。 車両の配車の指示や緊急停止といった重要な判断は、人間が担う。 eパレットは、人の移動のほか、宅配や店舗など、さまざまな目的で利用できる。 試験では、宅配ロッカーを搭載したり、洋服ショップに改装したりした eパレットも公開された。 (三浦惇平、asahi = 12-22-20) 初 報 (10-9-19) 霧の中を見通せるレーザー技術で自動運転車がさらに賢くなる 課題は、リアルタイムで実行できるか。 車両の周囲全体を見ることができる高度なカメラやレセンサーを駆使した自動運転車でも、濃い霧の中を運転するのは簡単なことではありません。 霧の中を光が通過することはできますが、光子は厚い霧の中で偏光・屈折するため人間の目では正常に捉えるのが難しくなります。 先月の Nature Communications で公開されたスタンフォード大学の研究者が開発したイメージングデバイスは、自動運転車が使用するレーザー駆動の LIDAR スキャナーと同様に機能し、3 次元で世界を捉えることができるといいます。 その仕組みは、強力なレーザーが障害物(この場合は 1 インチの厚さの泡の壁)を前後にスキャンし、高感度の光子検出器が泡を通過して反対側に隠されたオブジェクトに当たった光子を記録し、もう一度跳ね返ります。 レーザーが毎秒放出する数と比較すると、検出器に戻ってくる光子はごくわずか。 ただ、研究者が開発したカスタムアルゴリズムによって散乱光子も含めセンサーや検出器に当たった場所も考慮することができるようになっているといいます。 このアルゴリズムでは、自動運転車の LIDAR システムが毎秒処理するデータの山と比較しても処理する情報が少ないのにもかかわらず、障害物の背後に隠されたオブジェクトの 3D 表現を作成することができます。 人間の目では何もわからない状況でも、かなりの精度が期待できるとか。 ただし、この技術がいますぐ公道を走る自動車に適用できるかというとそうではなく、現時点ではスピードに改善の余地ありとのこと。 カスタムアルゴリズムはデータを処理し、非表示のオブジェクトの 3D 表現をリアルタイムで生成できましたが、スキャンのプロセスで隠れているオブジェクトによっては 1 分から 1 時間かかるのだとか。 またテストでは、自動運転車が霧の状態でも安全にナビゲートするうえで必要な視野の一部のみをスキャンしたといいます。 一方で、この技術が適用できそうな分野は他にもあります。 たとえば、正確で詳細な医用画像を出すことで医師が手術をしなくても体の中の情報がわかったり、もっと将来的には宇宙船でこの技術を使ったイメージングデバイスを搭載し、実際に地表に着陸することなく遠くの惑星の大気中の雲やその他の粒子を透視したり … といったことも不可能ではなさそうです。 (Gizmodo = 10-8-20) |