中国・百度の自動運転バス、日本にも参入へ SB と提携

中国の IT 大手、百度(バイドゥ)は 4 日、自動運転バスを量産し、中国と日本で走らせることを明らかにした。 日本ではソフトバンクのグループ企業と提携し、実証実験を年度内に始める。 自動運転をめぐる IT 企業の攻勢が、国内でも強まる。 「中国版グーグル」とも言える検索サービスで知られる百度は、自社の人工知能 (AI) を使った自動運転システム「アポロ」の開発を進めている。 北京近郊で建設が進む新都市「雄安新区」などで実験を進めており、知名度は世界的だ。

このシステムを載せた自動運転バス「アポロン」を中国のバスメーカー、アモイ金龍聯合汽車工業と開発し、量産を 4 日始めた。 自動運転は 5 段階に分類されるが、アポロンはそのうちの「レベル 4」。 ハンドルやアクセル、ブレーキペダルはない。 百度の李彦宏会長はこの日の北京での催しで「自動車工業を徹底的に変え、未来の生活を変える」と強調した。 百度はこの日、ソフトバンクのグループ企業、SB ドライブと提携した。 アポロン 10 台を日本に持ち込む予定だ。 (福田直之 = 北京、木村聡史、asahi = 7-5-18)


欧米 FCA、ウェイモと自動運転で提携拡大

【フランクフルト = 深尾幸生】 欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ (FCA) は 31 日、米グーグル系の自動運転システム開発会社ウェイモとの提携を拡大すると発表した。 ウェイモの技術を搭載した自社ブランドの自動運転車の生産に向け協議を開始。 ウェイモが 2018 年中に始める一般向けロボットタクシーサービスに 6 万 2 千台のミニバンを供給することでも合意した。 自社ブランドの自動運転車についてはウェイモから技術供与を受けるライセンス生産を含めて検討する。

自社の開発費を抑え、自動運転で最も進んでいるとされるウェイモの技術を取り込んで競合する自動車大手との差を詰める。 FCA は 16 年にウェイモと提携。 これまでにクライスラーのミニバン「パシフィカ」 600 台をウェイモの実験車両のベースとして提供し、開発に協力してきた。 今回の合意ではこの車両の提供台数を大幅に増やす。 ウェイモは 3 月に英ジャガー・ランドローバーとロボットタクシーの開発で提携すると発表。 ジャガーの電気自動車 (EV) を 2 万台調達するとしていた。 FCA は独 BMW や米インテルの自動運転連合にも参加している。 (nikkei = 6-1-18)


ウーバーの自動運転死亡事故、衝突 6 秒前に歩行者検知 米運輸安全委

米アリゾナ州テンピで 3 月、配車アプリ大手ウーバーの自動運転車に女性歩行者がはねられ死亡した事故に関し、衝突の 6 秒前に車が歩行者を検知したものの、自動緊急ブレーキ (AEB) が作動しなかったことが明らかになった。 米運輸安全委員会が 24 日、初期調査報告書を発表した。 同委員会は、今回の報告書で責任の所在は特定していないとし、結論は今後の報告書で明らかになると説明した。

一方、報告書は、自動運転システムは歩行者を検知した後、衝突の 1.3 秒前に緊急ブレーキが必要だと判定したが、事前にウーバーの技術者らが AEB システムが作動しないよう設定していたとも指摘している。 AEB を無効にした理由は「車体に不規則な挙動が生じる可能性を下げるため。」とされている。 また、緊急事態に備えて乗車していた運転手は衝突まで 1 秒を切った時点で事故回避の操作をしたが、衝突は避けられなかった。

報告書によれば、歩行者は暗い色の服を着て、側面に反射板のついていない自転車を押しながら、車道の街路灯のない地点を横断していた。 さらに、歩行者に対する薬毒物検査の結果は「メタンフェタミンとマリフアナが陽性」だった。 (Rob Lever、AFP = 5-25-18)

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トヨタ、米での自動運転車走行テストを見合わせ

トヨタ自動車は 20 日(日本時間 21 日)、米カリフォルニア・ミシガン両州での自動運転車の路上走行テストを当面見合わせると明らかにした。 ウーバー・テクノロジーズの自動運転車がアリゾナ州で死亡事故を起こしたのを受けた措置。 北米トヨタは声明で「事故原因や、自動運転産業にこの先どんな意味があるのかは臆測できない」とし、「この事故は試験ドライバーたちに感情的な影響を与えかねない」と説明した。 トヨタは子会社を通じてウーバーに出資し、配車サービスで提携しているが、トヨタが試験中の自動運転車は、事故を起こしたウーバーの技術とは無関係。 両社トップは今年 2 月に会談し、自動運転開発で協力を深めていくことを確認していた。 (ブエノスアイレス = 江渕崇、asahi =3-21-18)

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米ウーバー、自動運転車で死亡事故 試験中に女性はねる

配車サービスの米ウーバー・テクノロジーズが試験運行中の自動運転車が現地時間 18 日夜、アリゾナ州テンピで歩行者をはねて死亡させる事故を起こしていたことがわかった。 完全な自動運転の状態では初の死亡事故とみられ、ウーバーは 19 日、自動運転車の走行試験を中止すると発表した。 地元警察などによると、事故当時、車は完全な自動運転の状態で走行しており、横断歩道をはずれて道を横断しようとしていた女性 (49) をはねたという。 女性は搬送先の病院で死亡した。 運転席には緊急時のためのドライバーが座っていたが、後部座席には誰も乗っていなかったという。 米メディアは完全な自動走行の状態で走っている車としては初の死亡事故と報じている。

ウーバーはアリゾナ州のほか、ペンシルベニア州ピッツバーグやサンフランシスコ、カナダ・トロントでも自動運転車の試験走行をしているが、事故を受けて全ての都市での走行実験を中止すると発表した。 ウーバーのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者はツイッターに「何が起きたのか解明するため、捜査当局に協力している」と投稿した。 (サンフランシスコ = 宮地ゆう、asahi = 3-20-18)


不在率わずか 0.53%、自動運転ロボネコヤマト好評

宅配便最大手のヤマト運輸と IT 大手の DeNA (ディーエヌエー)は 24 日、ロッカー式の保管ボックスを積んだ車を自動運転で走らせ、自宅や職場の玄関先などで荷物を渡す実証実験「ロボネコヤマト」の様子を公開した。 昨春から神奈川県藤沢市で続けている。 この日はまず、市内のヤマトの営業所で集荷した実験用のワゴン車が、運転手のハンドル操作なしで公道を 6 キロ走った。 その後、一般車両を通行止めにした住宅街の生活道路に入ると、運転席に誰も座らない「ドライバーレス」のまま、時速 10 キロほどでゆっくり前進。 路肩に自動で停止し、車両側面のドアも自動で開いた。

荷物を取りに出てきた客は、ヤマトから事前にスマートフォンに届いた受け取り用の QR コードをロッカーのセンサーに感知させ、荷物を受け取った。 ロボネコヤマトでは、荷物の配達前に、客がスマホやパソコン経由で受け取りを希望する時間と場所を入力。 昨年 4 月から実験を続けていて、1 日あたり 20 - 50 件の利用があったという。 客が受け取らなかった「不在率」は 0.53% と極めて低かった。 客へのアンケートでも「好きな時間や場所で受け取れる」、「誰ともやり取りせず荷物が受け取れる」と好評で、約半数が繰り返し使うという。 (asahi = 4-24-18)


自動運転車で郵便物運ぶ実験 東京都心で、日本郵便

日本郵便は 5 日、自動運転車で郵便物などを運ぶ実証実験を東京都内で始めると発表した。 12 - 16 日に千代田区の千代田霞が関郵便局と、中央区の銀座郵便局の間の約 2 キロの公道を走る。 人手不足の解消が目的で、2020 年の実用化を目指すという。

実験では、各地で自動運転の実証実験を手がけるアイサンテクノロジーとティアフォーが開発した車を使う。 運転席に人が乗り、危険な場合はハンドルやブレーキを操作する。 将来は人が乗らずに走れるようにして、近隣の郵便局間で郵便物を運ぶのに使う計画だ。 親会社である日本郵政の長門正貢社長は 2 月末、「ドライバー不足、再配達によるコスト増など厳しい環境の中、自動運転車の導入は喫緊の課題だ」と話した。 ネット通販の拡大などでゆうパックの取扱数が急増しており、2017 年度は年度としての過去最多を更新している。 (徳島慎也、asahi = 3-5-18)


全日空が自動運転バス実験 空港での導入目指す

全日空は 25 日、羽田空港新整備場地区の公道で、ソフトバンクグループの「SB ドライブ」とともに自動運転バスの実証実験を行った。 2020 年以降、空港の制限区域で乗員や乗客を運ぶバスへの導入を目指す。 空港の制限区域は車両の速度や経路も決められ、急な飛び出しの恐れも小さいことから、自動運転導入の期待がかかる。  18 年度、制限区域内での実験も予定。

全日空の片野坂真哉会長は「空港の地上支援業務は数十年、仕事の進め方が変わっていない。 少ない労力と人数で働きやすい環境をつくり上げたい。」と話した。 無人で自動走行する「レベル 4」の実験では、衛星利用測位システム (GPS) などの情報を基に、バスが 1.4 キロの公道を時速 10 キロでゆっくりと進行。 大型 2 種免許を持つ「遠隔監視者」が、車内外を写したモニターで安全確認した。 (sankei = 2-25-18)


自律走行車の「膨大な消費電力」は、どこまで削減できるか

激化する「省エネチップ」の開発競争

あちこちで試験走行が始まり、量産化も視野に入り始めた自律走行車。 消費者向けに売り出そうとする際にネックになるのが、センサーの稼働や演算処理に必要になる膨大な量の電力だ。 走行可能距離を維持するために、消費電力の少ない「省エネチップ」の開発競争が本格化し始めた。 長年ピッツバーグに住んでいる人々にとって、Uber や Argo AI などがつくった自律走行車が道を走る様子は目新しいものではない。 この町のロボットカーの歴史は 1980 年代に始まった。

カーネギーメロン大学 (CMU) の生徒たちは時折、キャンパス内をおかしなクルマがガタガタと走っているのを見かけるようになった。 その鮮やかな青色のシボレーのヴァンは、人の歩みよりも遅いペースでのんびり移動していた。 自律走行車には見えなかったかもしれない。 しかし、この「NavLab 1」はゆっくり、本当にゆっくりと、自律走行車の時代を開拓しつつあった。

CMU ロボティクス研究所の研究者たちは、なぜトヨタ自動車の「プリウス」ではなく、このヴァンを選んだのだろう。 それはまず、トヨタがハイブリッドカーをつくる 10 年も前のことだったからだ。 そして NavLab (Navigational Laboratory の略)は、初めてコンピューターを搭載した自律走行車のひとつだった。 たくさんの "荷物" を積める広いスペースが必要だったのだ。 コンピューターのモニタリングを行う研究者 4 人。 作業台を横断する陰極線ディスプレイ。 クルマに載せるスーパーコンピューター、カメラ、巨大なレーザースキャナー、エアコン。 そして、これらを動かすための電力をひたすら発電する 4 気筒ガソリンエンジンなどだ。

それから 30 年がたち、自動車メーカーは初期の研究を現実へと進化させた。 クルマが確かに自力で運転できると証明している。 いま取り組んでいるのは、実務的な問題の解決だ。 法規制や賠償責任、セキュリティ、ビジネスモデルの検討。 そして商品化と量産に向けた電気系統の最小化と、消費電力の削減である。

進化するほど電力を消費するロボットカー

自律走行車を動かすだけなら、もはや追加のエンジンは必要ない。 しかし、センサーを稼働させたり、計算や分析処理を行ったりするためには、まだ膨大な量の電力を消費する。 販売中の量産車がカメラやレーダーで使うデータの量だけでも、30 秒当たり約 6 ギガバイトにも上る。 レーザー光によるセンシング技術「LiDAR (ライダー)」を活用したセンサーなどを追加すれば、もっと増える。

これらのデータ類はすべて集約・分類され、周囲の景色をロボットに理解できる映像へと変換し、次の行動を指示しなければならない。 そのためには高い処理能力が不可欠だ。 必要とする電力量もさらに多くなる。 プロトタイプの自律走行車が消費する電力は、約 2,500 ワット。白熱電球 40 個を照らすのに十分な量だ。

「ガソリン車にこうしたシステムを搭載するのは、ばかばかしい話です。 消費する燃料が途方もなく増えますから。」とメルセデス・ベンツの戦略担当でバイス・プレジデント (VP) を務めるウィルコ・シュタークは言う。 では、電気自動車 (EV) ならいいかというと、そういうわけでもない。 バッテリーの電力がモーターではなくコンピューターに消費されてしまい、走行距離が短くなってしまうのだ。

初めのうちは、燃料や走行距離のことは考えなくてもいいかもしれない。 その理由は、最初のロボットカーは街中を走るシャトルバスになる可能性が高いからだ。 市内をゆっくり走り、充電も頻繁に行える。 「実用化の初期段階では大きな問題にはなりません」と、グーグルの自動運転部門の元責任者で、現在は自動運転技術の開発を手がけるスタートアップ Aurora Innovation の CEO を務めるクリス・アームソンは言う。 Aurora はフォルクスワーゲンやヒュンダイ、中国の EV ブランド「BYTON (バイトン)」との提携を発表している。

とはいえ、自家用車を購入したい人たちは面白くないだろう。 ガソリンを節約しようと親がクルマのエアコンを切ったのを思い出す人もいるかもしれない。 同じ理由で、「目的地にたどり着くための電池がなくならないように」と自律走行機能をオフにしなくてはいけないとしたら、どうだろう。

白熱する「省エネチップ」の開発レース

ここでいいニュースがある。 車載コンピューターチップのつくり手たちが、この問題に取り組んでいるのだ。 米半導体大手エヌヴィディア (NVIDIA) は 2018 年 1 月、ラスヴェガスで開催された世界最大規模の家電見本市「CES 2018」で、自律走行車専用の新しいプロセッサー「Xavier」を発表した。 Xavier は、8 コアの CPU と 512 コアのグラフィック処理ユニット (GPU)、ディープラーニング(深層学習)用アクセラレーター、8K 対応のヴィデオプロセッサーを備えている。 これまでで最も複雑なシステムを備えたチップだという。

「われわれはデータセンターのスーパーコンピューターをクルマにもち込もうとしているのです」と、同社で自動車部門を担当するダニー・シャピロは言う。 重要なのは、Xavier が少ない電力で多くをこなす点だ。 「ひとつの SOC (System-on-a-chip、1 つの半導体にシステムを動かすために必要な機能を多く載せたチップ)上で 1 秒あたり 30 兆回の演算を行うことができ、消費電力は 30 ワットです。」

しかし、完全な自律走行車にとってはこれでも不十分だ。 NVIDIA はハンドルやペダルがなく、人の手を借りずに走る自律走行車には、「Pegasus」と呼ぶプラットフォームを使う必要があると考えている。 Xavier チップ 2 つに、さらに GPU を 2 つ追加したもので、1 秒当たり 320 兆回の演算を行う。 電力消費量は 500 ワットと許容範囲内だ。 競合他社も同じゴールを目指している。 インテルは自律走行車に最適化した省エネチップを開発中だ。 テスラは自動運転機能「オートパイロット」用のチップを自社で手がけている。 クアルコムは自律走行車に必要なコミュニケーション用ハードウェアに取り組んでいる。 いずれも省エネと効率化を念頭に行われている。

省エネは、省スペースにもつながる

自律走行車専用チップは、ほかの問題を解決する一助にもなる。 アリゾナ州フェニックスやサンフランシスコを走る実験用の自律走行車のトランクを開けると、棚にコンピューター機器が並んでいる。 一部はテストや開発を目的としている(設計士というものはクルマの一挙一動を記録したいものなのだ)。 消費者向けのクルマに積まれるハードウェアは、もっと少なくなるだろう。 買い物のあとにスーパーの袋を放り込める場所があることは、一般消費者にとって必須条件である。

膝に乗せたノートパソコンのせいで、脚をやけどしそうになったことがあるかもしれない。 コンピューターは処理量が増えると熱をもつ。 この熱は無駄なエネルギーであり、暑い日に車内にあってほしいものではない。 ロボットカーのなかには、ホースやラジエーターを使った水冷システムを必要とするものもある。 つまり、もっと場所がとられる。 いま、これらの装置をノートパソコンほどに小さくし、助手席の前にあるグローブボックスの中に押し込んでしまおうという動きが進んでいる。普段は忘れていても、アップグレードしたいときには、すぐ手の届くところにあるというわけだ。

新しい省エネチップはここでも役に立つ。 熱の放出量が少ないため、小さな冷却ファンがあればよく、パッケージを縮減できる。 自動車産業にとってロールモデルとなるのは家電製品だ。 家電業界ではデバイスはより小さく、より有能になっている。 半導体大手の ARM でプロダクトマーケティングを担当する VP のジョン・ロンコは、「われわれの顧客はみな、さらに高いパフォーマンスと省エネを求めています。 すべての業界が準ずるべきです。」と話す。

ARM は現在、使われているスマートフォンのほとんどのチップのアーキテクチャーを設計している。 NVIDIAの自律走行車用チップも担当している。 ロンコのコメントは、長らく繰り返されてきたセリフではある。 しかし、"初めてのロボットカー体験" がガタガタと走る青いヴァンより、もう少し快適なものであってほしいと願うなら、必要不可欠なことなのだ。 (Jack Stewart、Wired = 2-16-18)


トラック 4 社が公道で初の隊列走行実験、共同開発システムを使用

[東京] 経済産業省と国土交通省、国内トラックメーカー 4 社による高速道路での隊列走行実証実験が 23 日から始まった。 異なるメーカーのトラックが、共同開発したシステムを使い一定の距離を保ちながら走行する実験で、公道でのこうした隊列走行実験は世界初という。 少子高齢化などで物流業界のドライバー不足が問題となる中、早ければ 2022 年に先頭車のみ有人で運転する技術の商業化を目指している。

実験には日野自動車、いすゞ自動車、三菱ふそうトラック・バス、UD トラックが参加。 4 社共同で開発した「協調型車間距離維持支援システム (CACC)」を搭載したトラック 3 台が隊列を組んで走行する。 CACC は車両間通信で先行車の制御情報を受信し、加減速を自動で行い、車間距離を一定に保つ機能。 CACC によって車間距離の変動を少なく抑えられ、長距離を走るドライバーの疲労軽減につながる。 隊列走行では空気抵抗が減るため、燃費改善も期待されている。

この日はいすゞ、三菱ふそう、UD のトラック 3 台が約 30 メートルの車間距離を維持しながら、時速最大 80 キロ以下で、物流の大動脈である新東名高速道路の浜松サービスエリア(浜松市)から約 15 キロ離れた遠州森町パーキングエリア(静岡県森町)を 2 往復した。 トラック 1 台の全長は約 12 メートルで、先頭車から後続車までは約 100 メートルの長さになり、実験では周辺を走る一般ドライバーの受容性やトラック隊列が周辺を走る車に及ぼす影響などを確認する。

30 日から 2 月 1 日までは、北関東自動車道で坂道などの高低差に対応できるかどうかを確認する実験を行う。 今回の実験では後続車にもドライバーが乗るが、来年 1 月には後続車を無人にできるシステムを搭載した隊列走行の実証実験(後続車にも緊急対応用ドライバーは乗車)を実施し、20 年には高速道路で後続車が無人の隊列走行を実現したい考えだ。

初の実験に先立ち、経産省の垣見直彦 ITS・自動走行推進室長は「各社間でデータの共有などを進めて CACC、隊列走行技術のさらなる発展が期待できる」と説明。 国交省の佐橋真人国際業務室長は「後続車が無人の隊列走行はドライバー不足問題を解消し、トラック業界の生産性向上につながる」と語った。 (白木真紀、Reuters = 1-23-18)


自動運転、日産と DeNA が公道実証実験 来春、横浜で

日産自動車は 5 日、完全自動運転の車を使った新たな交通サービスの展開に向け、来年 3 月、横浜市内で IT 大手 DeNA (ディーエヌエー)と実証実験を始めると発表した。 一般モニターの参加も募り、スマートフォンの専用アプリで目的地の設定や配車を体験できるようにする。 将来的に「無人タクシー」としての事業化を目指すサービスの名称は「Easy Ride」。 実験は来年 3 月 5 - 18 日、横浜市のみなとみらい地区で開催。 電気自動車 (EV) 「リーフ」をベースとした車を使う。 交差点も含む公道で自動運転機能を使うが、運転手が同乗して最終的な運転の責任を負う。

モニターは来年 1 月 15 日まで公式サイト (https://easy-ride.com) で募集する。 自動運転や EV は、配車やカーシェアなどの移動サービスと相乗効果を働かせつつ普及するとみられる。 米ウーバー・テクノロジーズが先行するほか、トヨタ自動車もウーバーに出資したり、カーシェアの米ベンチャー企業と実証実験したりして布石を打っている。 (asahi = 12-5-17)


ボルボ、自動運転車をウーバーに納入へ 2 万 4 千台前後

スウェーデンの自動車大手ボルボ・カーズは 20 日、米配車サービス大手のウーバー・テクノロジーズに対し、2019 - 21 年に自動運転車を納めることで合意したと発表した。 購入台数は 2 万 4 千台前後になる見込みで、ウーバーは顧客向けサービスに使う方針。 運転手の要らない「自動運転タクシー」の実用化が現実味を帯びてきた。 両社は 16 年に自動運転車の共同開発で提携。 ボルボのスポーツ用多目的車 (SUV) 「XC90」をベースに開発した自動運転車に、ウーバーが開発したソフトウェアなどを使って走行試験などを進めてきた。 今回購入を決めた車両はサービスに使うもので、提携関係を開発から実用化に進める。

運転を車に完全に任せられる完全自動運転車が路上を走れるようになるには法整備などが必要だが、ウーバーは完全自動運転車を使ったサービスの実用化を視野に入れている。 ボルボも 21 年に完全自動運転ができる技術を搭載した車の発売を目指している。 ウーバーは、スマホのアプリを使って車を依頼した顧客を目的地に連れて行くサービスを提供している。 (ロンドン = 寺西和男、asahi = 11-21-17)


ホンダとソフトバンク、次世代携帯通信「5G」共同研究

ホンダは 16 日、ソフトバンクと次世代高速通信方式「5G」の普及を想定した共同研究を始めると発表した。 研究は 2018 年度に北海道のテストコースに実験設備を備えて本格的にスタートさせ、インターネットでつながる「コネクテッドカー」技術の強化を目指す。 ホンダ子会社の本田技術研究所とソフトバンクが 16 日までに覚書を交わした。

5G を使えば、いまの通信環境よりも数十倍速く通信することが可能になり、自動運転への活用も期待されている。 両社はテストコースに実験用の 5G 基地局を設け、高速で走る車が円滑に基地局を切り替えながら情報をやりとりする技術や、より適した車載アンテナを開発する。 電波が弱い環境でもデータを送受信できる技術開発も進める。 ホンダはソフトバンクとの連携を強めており、人工知能 (AI) を使って運転手の感情を分析するコネクテッドカーについても、昨年から共同研究している。 (木村聡史、asahi = 11-16-17)


米フォード、ドミノ・ピザと自動運転車による宅配実験へ

[アナーバー(米ミシガン州)] 米自動車大手フォード・モーターとピザチェーン大手のドミノ・ピザは 29 日、自動運転車によるピザ宅配を 9 月からミシガン州で試験実施すると発表した。 ミシガン州アナーバー地域でランダムに選ばれた顧客を対象に、自動運転機能を備えたフォード「フュージョン」のハイブリッド車で宅配を行う。 開始後しばらくはドライバーが操作する。 顧客は全地球測位システム (GPS) を使って配達状況を把握でき、宅配車が到着するとテキストメッセージを受け取る仕組みになっている。 (Reuters = 8-29-17)


山あいの過疎地、公道で自動運転実験始めます 国交省

道の駅などを拠点に中山間地の公道で自動運転の車を走らせる国土交通省の実証実験地に、福岡県みやま市が選ばれた。 実験が順調にいけば、高齢化や過疎化が進む地域で、人や物の移動を低コストで確保できる可能性が高まりそうだ。

実験地は全国 13 カ所。 九州では熊本県芦北町(4 月に決定)に次ぎ、みやま市が 2 カ所目になる。 実験は今年度中に実施される。 みやま市によると、同市の実験で起点となるのは、小中学校や市民センターなどの施設が近くにある市役所山川支所。 約 5 キロ離れた中山間地で、31 世帯 101 人が暮らす伍位軒地区との間を自動運転の車で結ぶ。 (asahi = 8-11-17)


米アップル、決算好調 CEO が自動運転車の開発示唆

米アップルが 1 日発表した 2017 年 4 - 6 月期決算は、売上高が前年同期比約 7% 増の 454 億 800 万ドル(約 4 兆 9,900 億円)、純利益は同約 12% 増の 87 億 1,700 万ドル(約 9,600 億円)の増収増益だった。 iPhone (アイフォーン)の販売は前年同期比 2% 増だった。

全世界の iPhone の販売台数は約 4,100 万台。 中国市場の売り上げは同約 1 割減だったが、ティム・クック最高経営責任者 (CEO) は電話会見で、「中国以外の新興国では売り上げが 18% 伸びており、まだ成長は見込める」と話した。 一方、タブレット端末の iPad の販売台数は同 15% 増だった。 クック CEO はまた、「自動化システムに注目し、多額の投資をした大きなプロジェクトが進行中だ」と自動運転車の開発を示唆するような発言もした。 アップルは 4 月、カリフォルニア州から自動運転車を試験走行させる許可を得ている。 (サンフランシスコ = 宮地ゆう、asahi = 8-2-17)


自動運転バス、完全無人化 ソフトバンク系が実験

ソフトバンク子会社で自動運転技術を開発する SB ドライブ(東京・港)らは 18 日、ドライバーの操作のいらない完全無人化の自動運転バスの実験を公開した。 バスはフランスの企業が開発した自動運転専用の電気自動車 (EV)。 バスに取り付けられた全地球測位システム (GPS) の信号をやり取りし、運転による誤差は数センチメートル程度。

自動運転バスの運行管理システムを開発する SB ドライブの佐治友基社長は「自動運転バスによって、過疎地といった移動に困る地域の問題を解決できる」と意気込む。 SB ドライブや東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センターなどが加わる自動運転バス調査委員会が実験を実施した。 東京都港区の公園内の私道で円周 150 メートルの決められたルートを走行し、歩行者の急な飛び出しを検知すると自動で止まる。 次世代通信規格である第 5 世代通信 (5G) を使えば信号のやりとりが安定し、より自動運転バスの精度が高まる。

佐治社長は「自動運転車の中で食べたり寝たりといった体験ができるようになれば、宿泊や飲食のビジネスの場になる。 これまで場所に縛られていたホテルやレストランのビジネスを代替できるようになる」と話した。 SB ドライブは 2018 - 19 年をメドに、まずは工場や実験施設での商用化を目指す考えだ。 (大西綾、nikkei = 7-18-17)


ホンダ「完全自動運転、25 年実現」 異例の時期明示

ホンダは 8 日、2025 年の実現をめどに、人が運転に関わらない「完全自動運転」の技術開発を目指すと発表した。 国内の自動車大手の多くは完全自動運転への慎重姿勢を崩していないが、ホンダはライバルに先駆けて目標を明示し、自動運転分野でリードすることを狙う。 まず、20 年に高速道路で車線変更ができるレベルの自動運転を導入。 その後、一般道で実証実験に移り、完全自動運転につなげる計画だ。 実現すれば理屈上は運転席も不要になるが、八郷隆弘社長は「ハンドルもペダルもない移動空間はイメージしていない。 ドライバーとして楽しい時は自分でコントロールできるようにする。」と語った。

人の操作を助ける部分的な自動運転は、日産自動車などが既に市販車に導入している。 トヨタ自動車も 20 年をめどに、高速道路での追い越しや車線変更などを自動化する計画。 高齢化に伴う安全への関心の高まりも追い風となり、各社とも技術開発にしのぎを削る。 (木村聡史、asahi = 6-8-17)


空飛ぶクルマ、実験機がふわり トヨタ、若手技術者支援

「空飛ぶクルマ」の東京五輪での実用化をめざす若手技術者を、トヨタ自動車が支援する。 手軽に空を飛べる次世代の乗り物をめぐっては、業種をまたいだ世界的な競争が起きており、日本勢も挑む。 3 日午後、愛知県豊田市の山間部で実験機が垂直に 2 メートルほど浮いた。 長さ 3 メートル、幅 2 メートル、重さ 200 キロ。 四隅のプロペラを電気で動かす。地上を走る車輪や、人が乗るシートはまだない。

自動車や航空機業界の 20 - 30 代の技術者ら有志約 30 人でつくる「カーティベーター」が、週末に実験を重ねている。 「誰でも空を飛べるようにしたい。 渋滞に巻き込まれず、道がない所にも行ける。」 代表の自動車エンジニア、中村翼さん (32) はそう話す。 設立は 2012 年。 20 年の東京五輪の開会式で、空飛ぶクルマを使って聖火をともすことをめざし、25 年には発売したい。 開発資金は、メンバーの自腹や、インターネットで広く出資を募るクラウドファンディングだけでは足りない。 トヨタグループに支援を求め、4,250 万円出してもらえることになった。 ことし 5 月のことだ。

「法整備など課題は多いが、挑戦を応援したい」とトヨタ幹部。 「未来のクルマは従来と全く違うかもしれない(豊田章男社長)」という認識も背景にありそうだ。 自動車をめぐる競争は、基本性能から、自動運転に必要な人工知能 (AI) やロボット技術などに重点が移りつつあり、IT など異業種の参入が相次ぐ。 空飛ぶクルマも、航空機大手の欧州エアバスや、グーグル共同創業者が支援しているとされる米キティーホークが開発中。 配車アプリの米ウーバー・テクノロジーズは「空飛ぶタクシー」の計画を公表済みだ。

自動車の巨人トヨタは、AI 研究のトップを米国防総省から招くなど、長年の自前主義を変えつつある。 型にはまらず空をめざす若者たちに、期待をかける。

なぜ空飛ぶクルマ? 代表に聞く

空飛ぶクルマの開発を進めている若手技術者グループ「カーティベーター」代表の中村翼さん (32) に話を聞いた。

- - なぜ、空飛ぶクルマなのですか。

「私はもともと自動車も飛行機も大好きです。 就職活動はこの 2 分野のメーカーに絞り、自動車メーカーに入りました。 幼いころから乗り物に夢をもらってきたので、自分も次の世代に夢を与えたい。 何ができるか仲間たちと議論するなかで、空飛ぶクルマに行き着きました。 イメージは映画バック・トゥ・ザ・フューチャーに出てくるデロリアン。 小型無人飛行機ドローンの技術を応用することで実現の可能性も見えてきました。」

- - メンバーは、どんな人たちですか。

「20 - 30 代を中心に約 30 人。 自動車や航空機の業界のほか、ベンチャー企業も含め、さまざまな職種から集まっています。 私は空飛ぶクルマの将来性についてよく講演するのですが、聴いてくれた人がスポンサーやメンバーになってくれ、輪が広がっています。」 「平日は仕事が終わった夜にインターネットで打ち合わせをしています。 実験は、週末に愛知県豊田市の山間部にある廃校跡に集まって行っています。」

- - 開発はどんな段階ですか。

「機体が安定して浮上できるように、実験とその結果を踏まえた改良を繰り返しています。 四隅のプロペラの回転数でバランスをとりますが、ドローンと比べて機体が大きいためリモコン操作への反応が鈍く、安定して浮かせるのが課題です。 2018 年末には人を乗せて飛ぶことをめざしています。」

- - 20 年の東京五輪の開会式に出るのが、当面の目標だそうですね。

「五輪は全世界が注目するイベントです。 空飛ぶクルマを使って聖火をともす様子を、子供たちに見てもらいたいです。」 「私が生まれた 1984 年に開かれたロサンゼルス五輪の開会式では(背負って空を飛ぶ)ジェットパックを使って聖火が点灯されました。 63 年の前回の東京五輪では、戦後初の国産旅客機 YS11 が聖火を運びました。 その系譜を引き継ぎたいのです。」

- - さらに先の目標も教えてください。

「25 年に一般向けに売り出し、渋滞の回避やレジャーに役立てたいです。 その後、新興国の道路がない地域の交通手段に育て、50 年には誰でも空を飛べるようにするビジョンを掲げています。」 「開発中の失敗は何度もありますが、みんな挑戦を楽しんでいます。 失敗も次への一歩とし、あきらめずやり続けます。」

- - 業種を超えた世界的な開発競争が始まっています。 意識するライバルはどこですか。

「個人的には欧州の航空機大手エアバスです。 米国を拠点に機体をつくるだけでなく交通システムまで考えていると聞いており、注目しています。」 「米国では、法規や充電設備、離着陸の場所など、空飛ぶクルマをどう社会に採り入れていくかの議論も進んでいます。 われわれも関係者を巻き込んでいく必要がありますが、まだできておらず、危機感を持っています。」 (竹山栄太郎、asahi 6-4-17)

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「空飛ぶクルマ」離陸 トヨタが支援、20 年の実用化目標

トヨタ自動車が「空飛ぶクルマ」の実用化に向けて、社内の若手有志が中心になって進めてきたプロジェクトに資金拠出する方針を固めた。 米国の新興企業や航空機会社が相次ぎ参入を表明するなど、今最も注目を集める分野だ。 次世代モビリティー(移動手段)論争が熱を帯びるなか、「空」が有力な選択肢として浮上している。

空飛ぶクルマは従来、有志団体「カーティベーター」のメンバーが勤務時間外に開発を進めてきた。 資金はネットで広く支援を募るクラウドファンディングなどに頼っていた。 今回、トヨタやグループ会社が 4 千万円規模の資金を提供することで大筋合意した。 今後は複数のプロペラを制御し機体を安定させる技術を確立し、2018 年末までに有人飛行が可能な試作機を完成させる計画だ。 東京五輪が開催される 20 年の実用化を目指す。

クルマは進化を続けて利便性を高めてきたが、排ガスによる環境問題や新興国などの渋滞は深刻だ。 ひずみ解消へ自動車各社は電気自動車 (EV) や燃料電池車など新たな動力源のクルマを開発、自動運転の研究も進めている。 個人の移動手段として空飛ぶクルマがにわかに注目を集めるのは、従来の延長線上ではない形で、現在の自動車が抱える問題を解決できると期待されているからだ。 道路そのものが不要になれば、渋滞はなくなる。 垂直で離着陸できれば滑走路も不要だ。 人の動き、流れが劇的に変わる可能性を秘める。

欧米勢も開発

「フライヤー」など呼び名は様々だが、すでに米グーグル共同創業者、ラリー・ペイジ氏が出資する米新興企業、キティホークなどが実用化計画を示している。 欧州航空機大手エアバスは年内に試験飛行を始めると公表。 ライドシェア(相乗り)の米ウーバーテクノロジーズは 4 月、空飛ぶタクシーの開発計画を発表した。 「空飛ぶ」は決して絵空事ではない。

安全性の確保に加え、免許や交通ルールなどの法整備といった課題は山積する。 EV や宇宙開発といった野心的な事業計画で知られる米起業家イーロン・マスク氏でさえ「騒音や風といった課題があり、頭上を飛行すると不安に思う」と発言している。 ただ、トヨタなど大手企業が支援して開発が加速すれば、議論が厚みを増すのは確実だ。

カーティベーターは 12 年、現代表の中村翼氏が社外のビジネスコンテストに参加したのをきっかけに発足。 オーダーメードの EV という計画で優勝し、その後、アイデアを練り直すなかで空飛ぶクルマにたどり着いた。 「わくわくするモビリティーを実現したい。」 こんな思いに賛同し、デザインや機械設計などを担当する約 30 人が加わる。 グループ外からもドローン(小型無人機)の開発で実績を持つ三輪昌史徳島大准教授らが参画した。 ガンホー・オンライン・エンターテイメントの創業者、孫泰蔵氏らも支援者に名を連ねる。

一方、事業の推進体制はなかなか固まらなかった。 開発加速のために独立やベンチャーキャピタルからの資金調達なども模索するが、思い通りに進まない。 15 年半ばにはトヨタ幹部に支援を直訴するが、具体的な動きにはつながらなかった。 「悔しい。」 メンバーのひとりは漏らしていた。

草の根から革新

トヨタの研究開発に対する姿勢が徐々に変わり始める。 15 年 11 月に技術系の新興企業に投資するファンドを設立することを決め、16 年に入ると外部の専門家をトップに据えた人工知能 (AI) の研究開発子会社を米国に設立した。 トヨタは 10 日、18 年 3 月期の研究開発費を過去最高水準に迫る 1 兆 500 億円とする計画を発表した。 技術革新への備えは盤石なようにみえるが実態はやや異なる。

「将来のクルマは現在とは全く異なる形になっているかもしれない。」 トヨタ幹部は危機感をあらわにする。 IT (情報技術)企業や新興企業など、異質な考え方や速さを持つ新たなライバルとの競争が始まっており、従来の枠組みを超えた突き抜けた発想も必要とみる。 カーティベーターは社員でありながらチームの組成や資金調達といった経験を重ね、外部とのつながりを強めていた。 一部には慎重な見方があったものの関係者によると内山田竹志会長が「技術の完成を待って資金を出すやり方では前進しない」と判断。 草の根の革新に賭ける。

トヨタはかつて、事業の柱を自動織機から自動車へと大胆に変えた経験を持つ。 それからおよそ 80 年。再び技術の大転換期を迎えている。 小さな一歩だが、新たな取り組みは非連続な変化を乗り越えるきっかけになるかもしれない。 (編集委員 奥平和行、nikkei = 5-14-17)