トヨタと SB が作る「日本連合」 競合も異業種も合流 愛知県豊田市の山あいの小原地区。 7 月下旬の午前、「おばら桜バス」のマークのついた白い乗用車の後部座席に、中山喜久代さん (82) が乗り込んだ。 桜バスは決まった時間やルートがなく、利用者の求めに応じて運行するオンデマンドバス。 中山さんは自宅そばから国道までの約 3 キロの距離を送ってもらい、国道沿いのバス停で路線バスに乗り継ぐ。 この日は街なかの百貨店に出かけた。 中山さんは 10 年前に夫を亡くし、田んぼや山に囲まれた自宅にひとりで暮らす。 車は運転せず、通院や買い物はバス頼み。 だが、バス停まで歩くのもひと苦労だ。 「自分の足では 40 分以上かかるけど、車なら 5 分ほど。 助かっています。」 桜バスの利用者は、160 ほどの停留所から乗り降りする場所を選ぶ。 料金は大人 1 回 200 円。運行は 2009 年に始まったが、2 月から新運行システムをとりいれた。 手がけたのは、トヨタ自動車とソフトバンクが共同出資し、移動サービスを提供する会社「モネ・テクノロジーズ」だ。 モネ (MONET) とは、「睡蓮」で知られるフランス印象派の画家 - - ではなく、英語の「モビリティー・ネットワーク」にちなんだ。 その役割は、自動運転の時代を見すえた新しい移動サービスの開発。 当面は、桜バスのように有人車両を使った移動サービスを支えていく。 23 年にはトヨタが開発する自動運転の電気自動車の e パレットを使ったサービスに乗り出す。 街を走るトヨタ車の車両データと、ソフトバンクのスマホからとる人の流れのデータが、モネには集まってくる。 それらのデータをもとに便利なサービスをつくり、事業として成り立たせることが課題となる。 豊田市の担当者は「人の移動だけでなく、買い物の代行や医療などに広がることが期待できる」と話す。 モネが目をつけるのは、過疎化が進む地方都市だ。 自治体と協定を結び、一部ではサービスを始めている。 宮川潤一社長(ソフトバンク副社長)は「交通弱者や買い物が難しい人をサポートし、交通をめぐる課題解決を手伝いたい」と語る。 協議中の自治体は、すでに 300 を超えた。 温泉地で知られる石川県加賀市も 12 日、連携協定を結んだ。 宮元陸市長は「モネが日本のモビリティー社会を改革していくと考える自治体は多い。 早く参画することが大事だ。」と話す。 このような取り組みで、モネがめざすものは何か。 宮川社長は「プラットフォーマーになる」と語る。 プラットフォーマーは、パソコンの基本ソフト (OS) のように、さまざまなサービスの前提となる基盤(プラットフォーム)を提供する会社だ。 代表例はグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン。 いずれも米国の IT 企業で、頭文字をとって「GAFA (ガーファ)」といわれる。 利用者から集めた膨大なデータで巨大経済圏を築く。 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は「将来、クルマ自体がひとつの部品になる。 むしろプラットフォームの方が大きな価値をもつ。」と説明する。 クルマづくりにこだわるトヨタもそれは十分に分かっている。 豊田章男社長は「(移動サービス分野の)プラットフォーマーへの道をひらく」と意気込む。 かつて携帯電話で世界首位を誇ったフィンランドのノキアは、スマホ時代に乗り遅れ、事業から退いた。 旧型の携帯をインターネットにつなぐ「i モード」を始めた NTT ドコモは、スマホ時代のプラットフォーマーになれなかった。 自動運転が実現すれば、ドライバーの人件費がなくなるなど移動サービスは激変する。 マイカーがいらなくなり、自動車業界の勢力図もぬりかえられる可能性がある。 「技術革新でクルマの概念そのものが変わろうとしている。 これまでのビジネスモデルが壊れるかもしれない。(豊田氏)」 訪れた変革期。 モネをめぐる環境は急にあわただしくなった。 ライバルであるホンダとトヨタ傘下の日野自動車が出資する、と決めたのだ。 6 月にはマツダやスバルなどの 5 社も出資を発表した。 設立の公表からわずか 9 カ月ほどで、モネは「日本連合」に発展することになった。 トヨタ自動車とソフトバンクが、昨年 10 月に提携を発表してから約 3 カ月後。 両社が共同でつくる移動サービスの会社「モネ・テクノロジーズ」の宮川潤一社長(ソフトバンク副社長)は、ホンダの幹部と向かい合っていた。 「バラバラでは意味がない。 一緒に参加した方がいいと思います。 でないと、グーグルにやられますよ。」 ホンダとソフトバンクは次世代技術で連携するなど関係が深かった。 ソフトバンクがトヨタと組んだことで、ホンダ社内には「裏切りだ」との受けとめもあった。 ホンダ側は「ソフトバンクと一緒に、モネのような会社をつくりたい」と打診したが、宮川社長はそれを退け、ホンダにモネへの「合流」をもちかけた。 そして 3 月。 ホンダは、トヨタ子会社である日野自動車と並んで、モネへの出資を発表。 トヨタの豊田章男社長も「非常にオープンなかたちで第一歩が踏み込めた」と歓迎した。 「『日本連合』で世界に打って出たい」と当初、宮川社長が語った通り、仲間づくりは急ピッチで進む。 6 月にはマツダとスズキ、スバル、ダイハツ工業、いすゞ自動車の 5 社がモネへの出資を発表。 国内では、日産自動車と同社のグループの三菱自動車を除く主要メーカーが参加する巨大連合となった。 一方の日産は 6 月、連合を組む仏ルノーとともに、自動運転で先行する米グーグル系のウェイモと、自動運転車を使った移動サービスで提携すると発表した。 ただ、モネ幹部は日産と三菱のモネ合流についても、「可能性はある」と話す。 モネが多くの自動車メーカーの参加にこだわるのは、より多くの車からデータを集めて便利なサービスをつくるためだ。 宮川社長は「データが多ければ多いほど安全性と効率性は飛躍的に高まる。 日本で走る車全部の記録が集まり、共有するのが最終目標だ。」 モネの仕組みを使って移動サービスを担うタクシー業者などにとっても、対応車種が多い方がよい。 また商用車メーカーは、顧客が人手不足の問題に直面し、効率化を迫られている。 日野の石井直己・商業 CASE 推進部長は「我々のトラックの位置情報とモネのデータをかけあわせれば、新たな価値を生み出せる。 バスの運行に関するノウハウでも貢献したい」と話す。 自動車業界以外にも輪は広がる。 モネの役割は、自動運転の時代を見すえた新しい移動サービスの開発。 そこで業界の垣根を越え、どんなサービスが提供できるのかアイデアを持ち寄ることにしたのだ。 モネは様々な業種と組み、新たな移動サービス開発を目指す 3 月に連携団体「モネ・コンソーシアム」を設立。 メンバーは当初の 88 社から、3 倍以上の 300 社超に増えた。 JR 東日本や全日本空輸、3 大メガバンク、ヤフー、物流大手ヤマトホールディングスなど名だたる企業が加わる。 具体的なビジョンも浮かんでいる。 サントリーホールディングスは、帰宅しながらお酒が飲める「移動バー」のアイデアを公表。 ヘルスケアのフィリップス・ジャパンは「移動クリニック」の実現をめざす。 一方、「まずはほかの企業の動向を知り、乗り遅れないように勉強したい(ある参加企業)」と様子見ムードもある。 米国のウーバー・テクノロジーズや東南アジアを拠点とするグラブが、ライドシェアやタクシー配車といった「人の移動」をおもな事業としているのに対し、モネはモノやサービスの移動も視野に入れる。 モネの湧川隆次取締役は「過疎化する地方では人の移動だけでは事業が成り立たなくても、モノとサービスを移動させることで需要は大きくなる。 動く店舗が実現すれば、世の中が変わる。」 移動スーパーや買い物代行だけでなく、スーパーまで客を無料で乗せて、かかった料金をスーパー側から回収するといった新たな枠組みも描く。 自前主義を貫いてきたトヨタだが、近年は「仲間づくり」に舵を切っている。 モネはその象徴的な存在。 この新会社を舞台に新しいビジネスモデルを確立できるのかどうか - -。 変革の成否を占うカギとなる。 (竹山栄太郎、asahi = 8-20-19) 日通、自動トラック実用化へ 「レベル 4」相当実験 日本通運は商用車世界大手のボルボ(スウェーデン)傘下の UD トラックスと組み、8 月から限られた区域を無人で走るトラックの実用化に向けた実証実験に乗り出す。 トラックの運転手不足は深刻で物流のネックになっている。 少子高齢化が進む中、物流網やサービスの質を維持していくには無人運転の実現と普及がカギを握る。 実験は北海道で始め、農作物の輸送ルートをつくる。 今回は 5 段階ある自動運転のレベルのうち限られた区域を無人で走る「レベル 4」に相当する。 トラックを使うレベル 4 の実証実験は国内初。 ボルボはトラックの自動運転技術で商用車首位の独ダイムラーと並んで先行しており、アジアで初めて実証をする。 トラック運転手を含む自動車運転職の 5 月の有効求人倍率は 2.86 倍で、全職種の 1.35 倍を大きく上回る。 米ボストン・コンサルティング・グループは、国内では 2027 年には高齢化による大量退職などで 24 万人が不足すると試算する。 日通は UD トラックス、ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)と共同で実証を始める。 ホクレンが北海道斜里町に持つ製糖工場の入り口から加工ラインまで(1.3 キロメートル)を走行する。 現行の道路交通法では公道で運転手の監視が必要な「レベル 2」の自動運転まで可能だ。 今回はホクレンの私有地のためレベル 4 もできる。 実験中は故障などに備えてドライバーが運転席に座るが、実用段階では完全な無人運転を目指す。 自動運転では欧米がルール作りで先行している。 米国では一部の州が公道でレベル 4 の無人運転試験を認めている。 一方、日本は 20 年に高速道路でシステムに運転を任せるレベル 3 の実用化を目指し、5 月に法改正をしたところだ。 北海道は広大な土地に加え、自動運転の試験に欠かせない積雪や寒冷な環境を売りに企業の試験を誘致している。 自動車・部品メーカーなどが道内に持つ自動運転の試験場は全国最多の 28 カ所。 最近は稼働率が低い自動車学校や休業中のスキー場など公道以外の施設も試験場として開放している。 企業が大規模な開発・生産拠点を道内に置くことを期待しており、日通の実証も支援する。 (nikkei = 7-19-19) ホンダ、自動運転「レベル 3」対応へ 渋滞時にスマホ操作 OK に ホンダは 4 日、埼玉県和光市で次世代技術・サービスに関する戦略説明会を開いた。 2020 年に確立するとしてきた高速道路での自動運転技術では、渋滞時には運転者がスマートフォンの操作などができる「レベル 3」に対応する方針を示した。 電気自動車 (EV) に関しては、電池のパックを床面に敷き詰めた基本構造を世界で共通化してコストを低減する。 また、次世代移動サービス「MaaS (マース)」と、着脱式電池などを活用したエネルギー効率利用を組み合わせた「eMaaS」を推進する方針も表明した。 高速道の自動運転については、本線に入った後は自動で走行し、必要に応じて車線を変更。 運転者はハンドルから手を離すことができる。 ホンダの技術開発子会社、本田技術研究所の玉川裕執行役員は、「長距離運転の負荷を劇的に低減する」と話した。 50 キロ以下を想定する渋滞時には、手動運転に対応できる態勢であれば、スマホを操作したり、テレビを視聴したりすることが可能。 5 月に成立した改正道交法などに対応し、一定条件下で人ではなくシステムが運転主体となるレベル 3 に踏み出す。 高速道の自動運転機能搭載車両について、ホンダの八郷隆弘社長は 4 日、「商品化したい」と強調した。 また、踏み間違いによる事故が社会問題化していることに関連し、玉川氏は「後付けキットを早急に市販できるように開発に取り組んでいる」と話した。 一方、EV については、基本構造の中核となる電池パックを一括開発。 その中で使う電池のセルに関しては、EV を生産・販売する地域などによって最適な企業から調達する。 基本構造の共通化でセダンやスポーツ用多目的車 (SUV) など、さまざまなタイプの EV をつくりやすくなり、開発期間短縮やコスト低減につなげる。 電池はパナソニックや中国の寧徳時代新能源科技 (CATL) などから調達。 米ゼネラル・モーターズとは北米での EV で電池を共通化し、「スケールメリットを両社で享受する(本田技術研究所の松尾歩常務執行役員)」という。 (SankeiBiz = 7-5-19) 高速道路で手放し運転 OK 日産が発売、車線変更も自動 日産自動車は 16 日、ハンドルから手を離した状態で高速道路の走行が可能な乗用車を今秋に国内で発売すると発表した。 車線変更はハンドルを握りつつではあるが、スイッチ一つで自動で行える。 日産によると、手放し運転が可能な車は国内メーカー初、手放し運転とカーナビに連動した形で自動で車線変更ができるのは世界初だという。 新機能は、高級セダンの「スカイライン」に搭載される。 手放し運転が可能なのは、高速道路(高速自動車国道法に基づくもの。 首都高速道路などは含まない。)上での運転。 速度を設定し、同一の車線を走り続けていれば、ハンドルやアクセル、ブレーキ操作を自動で行う。 ドライバーが前方を注視していれば、ハンドルから手を離していても走り続ける。 ドライバーがきちんと前方を注視しているかどうかは、車内に取り付けられたカメラが目線を確認する。 目をそらし続けたり、目を閉じていたりすると、警報音が鳴る。 目線が戻らない場合は、緊急停止する。 設定速度で走行中、前方に車を検知して追いつきそうになった場合は、車内のモニター上で車線変更するかどうかを提案する。 車線変更する場合、ドライバーはハンドルを握り、手元のスイッチで車線変更を選べば、周囲を確認した上で自動で車線変更する。 車線変更中はハンドルを握り続ける必要がある。 まず日本国内で売り出し、海外での展開も目指す。 スカイライン以外の車種に広げるかは未定という。 高速道路上でハンドルやアクセル、ブレーキの操作が自動でできる機能は、すでに内外の自動車メーカーが実用化しているが、ハンドルから手を離すことはできなかった。 独 BMW も 4 月、渋滞中の高速道路に限り、ハンドルから手を離しても自動で操作される車を今夏にも日本で発売すると発表した。 自動車各社の競争がより激しくなりそうだ。 (森田岳穂、asahi = 5-16-19) 自動運転に安全基準 プログラム更新・車検制度も新設へ 自動運転車を安全に走らせるための制度を整備する道路運送車両法の改正案が 8 日、閣議決定された。 改正案では自動運転を初めて法律で定義。 安全性の基準を作って、プログラムの更新や点検整備、車検などの制度をそれぞれ新設する。 政府は、高速道路など一定条件のもとで自動運転が可能な「レベル 3」や、地域を限定した自動運転「レベル 4」について、2020 年をめどに実用化しようとしている。 ところが、現行法はドライバーの運転を前提にしているため、自動運転の定義すらなく、安全性の基準もなかった。 法案では、自動運転システム(自動運行装置)をプログラムによって自動的に車を運行させるための装置などと定めて、保安基準の対象にすることを明示。 車種ごとに決められた速度、ルート、天候、時間などの走行条件で安全性能を満たしているかを、国が実際にテストコースを走らせたり、シミュレーションをしたりして確認する。 システムの作動状況を記録する装置の搭載も求める。 自動運転技術のプログラム更新を許可する新制度もつくり、メーカーが無線で一斉に更新することもできるようにする。 ただし、国の許可を受けずに配信した場合は罰則が科される。 このほか、紙の車検証を IC カード化したり、完成車検査で不正をした企業への是正命令を新設し、罰則を強化したりする。 (贄川俊、asahi = 3-8-19) 自動運転、国内でも進む公道実験 KDDI は 5G 初使用 自動運転車の公道での走行実験が、国内でも目立ってきた。 米国では商用サービスも始まった。 技術の進歩はめざましいが、完全自動運転の実現には、まだ時間がかかりそうだ。 愛知県や KDDI などは 2 月 9 日、愛知県一宮市で自動運転車の公道実験を公開した。 次世代通信規格「5G」を全国で初めて使い、2 台の自動運転車を遠隔で監視・操作した。 実験車はセンサーやカメラで周囲の状況を認識し、ハンドルやアクセルを自動で制御して走る。 運転席は無人だ。 0 - 5 まである自動運転の段階「レベル 4 (限定領域での完全自動運転)」にあたる。 5G は従来の 4G より高速で大容量。 その強みを生かし、車のカメラで撮った高精細の 4K 映像を拠点に送り監視に使った。 通信の遅延が少ないため遠隔で制御がしやすく、従来の倍の時速 30 キロを出せる。 自動運転の基本ソフトを提供したベンチャー企業ティアフォー(名古屋市)の加藤真平・最高技術責任者は「時速 40、50 キロの自動運転が近い将来、実現するのではないか」と話した。 (竹山栄太郎、asahi = 2-28-19) 空港制限区域で自動運転、成田で実験 人手不足に対応へ 国土交通省が、空港の制限区域で乗客・乗員らを自動運転の車で運ぶ実証実験を進めている。 訪日客が増加する中、作業を省力化して空港の人手不足に対応するのが狙い。 来年 2 月にかけて成田、羽田、中部、仙台の 4 空港で実験し、2020 年の実用化を目指す。 17 日、成田空港で 3 日間の実験が始まった。 ▽ 鴻池運輸(大阪)、▽ 自動運転ベンチャーの ZMP (東京)、▽ 成田国際空港会社などが参加。 この日は GPS (全地球測位システム)と 3 次元マップを活用し、走行ルートが設定された自動運転車両に空港の作業員ら 4 人が乗り、時速 15 - 30 キロで約 2 キロを無事に走った。 センサーやカメラで周りの人や車両を認識し、衝突を回避できるという。 国交省空港技術課の担当者は「空港の特殊車両を探知して、安全に走行できるか注目している。 実現に向けて具体的な課題を抽出したい。」と話した。 (黒川和久、asahi = 12-17-18) 夢の自動運転、山手線で実験する理由 … 今後はどの路線に? 運転士なしで列車を動かす … 2 本のレールの上を走るタイプの鉄道では、実現しそうでいて、なかなか実現できなかった。 JR 東日本は、グループ経営ビジョン「変革 2027」でドライバレス運転の実現を掲げ、自動列車運転装置 (ATO) の開発を進めている。 12 月 29 日・30 日、1 月 5 日・6 日のそれぞれ終電後、自動列車運転装置の試験を行うことになった。 今回の試験では、何をめざすのか? E235 系を使用する今回の試験では、自動列車運転装置の評価と課題の抽出をする。 さらに運転士の安全のためのヘッドアップディスプレイの視認性の試験も行う。 自動列車運転装置では、加速・惰行・減速など車両の制御機能と乗り心地の確認を行い、さまざまなパターンを想定して試験を行う。 これまでの自動列車運転装置は、運行条件にかかわらず一定の走行パターンを行おうとするものであった。 一方、JR 東日本が開発中の自動列車運転装置では、自動列車制御装置 (ATC) による速度制限にあわせて、運行条件に応じて走行パターンが可変する、いわば人間が運転するかのような調整が可能になっている。 なぜ、難しかったのか? なぜ、山手線なのか? 新交通システムでは、すでに自動運転が取り入れられているところが多い。 それは、無人運転を前提にしたシステムがつくられているからだ。 自動案内軌条式旅客輸送システム (AGT) といい、ゴムタイヤ車輪の車両がコンピューター制御で自動運転できるようにするという形になっている。 大量輸送機関というより、中量輸送機関という位置づけである。 また、リニア中央新幹線では、運転士なしの運行となることが予測されている。 一方、明治時代から続くレールの上を走る鉄道は、システムは時代にあわせて更新していったものの、2 本のレールの上を走るという構造は、基本的には変わらなかった。 多くの路線が出入りし複雑化した現在でも、運転士の判断や力量が必要な局面は存在する。 山手線は、各駅にホームドアが整備され、多くの列車が走る一方で、他路線からの出入りはなく、山手線だけで運行を純粋に完結できるという条件にある。 そのため、自動運転の導入には、ふさわしい路線である。 ホームドアがない場合、ホームからの転落という事態により列車が動かせなかったりすることも多く、それでは自動運転の能力は発揮できない。 なお、山手線には 1 箇所踏切がある。これをどうするかも課題だろう。 どの路線が自動運転にふさわしいのか 無人の自動運転にふさわしい路線とは、ほかの路線からの出入りがなく、ホームドアが整備され、列車の本数も多い路線である。 たとえば、東京メトロ丸ノ内線では自動列車運転装置による運転を行い、運転士だけが乗務し、車掌は乗務していない。 同線では各駅にホームドアが設置され、かつほかの路線からの出入りが基本的にはない。 たまに銀座線の列車が回送で中野車両基地に向かうだけだ。 こういった路線では、信号装置を改良し、無人運行の試験を重ねれば自動運転も可能になるだろう。 またほかにも、東京メトロ銀座線では、渋谷駅と新橋駅を除き、ホームドアの導入が進められている。 この路線は小型車体の短編成・高頻度運転なので、ぜひ自動運転を導入してほしいと考えている。 最近の地下鉄路線では、都営地下鉄大江戸線も、無人の自動運転の導入が検討されてもいいものである。 この路線も他線との出入りの日常的にない路線であり、かつホームドアも完備されているため、自動化の導入可能性が高い路線である。 逆に、東京メトロ東西線や半蔵門線など、他線の列車が多く出入りし、多様な運行形態をとっている路線では、運転の自動化は難しいだろう。 山手線の今回の自動運転試験、将来のドライバレス運行への挑戦は、ほかの鉄道会社にも影響を与える、画期的なものとなるだろう。 鉄道界全体のためにも、ぜひ成功させてほしい。 (小林拓矢、Yahoo! = 12-12-18) 声・視線・身ぶりで動かせる 「世界初」の自動運転車 ハンドルやブレーキに全く触らず、声や身ぶり、視線などで操作できる自動運転車が、名古屋市で公開された。 名古屋大と徳島大、アイシン精機(愛知県刈谷市)などの研究グループが開発し、こうした自動運転車は世界で初めてという。 武田一哉・名大教授(信号処理)らの研究グループは、運転者の声に加え、カメラで視線の向きや口の動きなどをとらえ、高い精度で運転者の意思を認識する技術を開発。 名大キャンパス内の実証実験で、走行中だけでなく、出発から到着まで自動で走行できることを確認した。 運転者が「右に曲がって」と伝えると指示通りに方向を変えるほか、「あれは何」と尋ねると、視線の向きや地図情報から「図書館です」などと建物の名前も答えられる。 この技術は自動運転車だけでなく、ロボットなどを簡単に操作することにも応用できると期待される。 武田教授は「実用化には時間がかかるが、今後、様々な環境で誰が使っても走行できるよう性能を高めていきたい」と話している。 (西川迅、asahi = 10-30-18) ホンダと GM、自動運転のライドシェア提携 専用車開発 ![]() ホンダと米ゼネラル・モーターズ (GM) は 3 日夜、無人の自動運転によるライドシェア(相乗り)サービス向けの専用車を共同開発することで合意したと発表した。 ライドシェアサービス事業を世界で展開することも視野に入れている。 ホンダが、GM 傘下で自動運転を手がける GM クルーズホールディングスに 7.5 億ドル(約 850 億円)を出資する。 出資比率は 5.7%。 今後 12 年間で計 20 億ドル(約 2,260 億円)の事業資金も支出する。 共同開発するのは、電気自動車 (EV) をベースにした専用車。 ホンダが車両の外観や内装のデザインを担い、EV 技術を含めた車両の製造責任は GM が負う。 ライドシェアサービス事業はクルーズが担う。 GM は来年にも本格的に自動運転車を売り出す予定だ。 主要自動車メーカーで最も早く自動運転車の量産を始めることをめざしており、世界の自動車・IT 企業が入り乱れる自動運転車の開発競争で、米グーグル系の開発会社ウェイモなどとともに先頭集団にいるとされる。 量産に向けて必要な資金を確保するため、今年 5 月にはクルーズがソフトバンクグループから 22.5 億ドルの出資を受けると発表していた。 米サンフランシスコなどで路上試験を重ねており、ホンダとの協業でさらに開発を加速させる。 クルーズのカイル・ボグト CEO (最高経営責任者)は 3 日、「ホンダが加わることで、安全な自動運転技術を普及させるための十分な経営資源を獲得した。 事業拡大を図っていく。」とのコメントを発表した。 GM は来年にも本格的に自動運転によるライドシェア事業を始める予定だが、開始当初は、ホンダと共同開発する車両は使わないという。 共同開発車の投入時期は未定としている。 ホンダと GM は 2013 年、水素で走る燃料電池車 (FCV) の技術開発で提携。 17 年 1 月には、FCV の普及に向け、GM との合弁工場で 20 年をめどに燃料電池の量産を始めると発表した。 今年 6 月には、電気自動車 (EV) 用の電池システムを共同で開発することでも合意。 米カリフォルニア州で強まる環境規制を受け、米国の都市部を中心に EV の需要が高まるとみて、EV 用電池でも連携を強める方針を打ち出した。 GM が開発中の EV 向けリチウムイオン電池のシステムをベースに、ホンダも開発に加わって従来より小型で充電時間が短い次世代電池の開発をめざしている。 車の電動化をめぐる技術開発に続き、自動運転の分野にも協業関係を広げる。 GM のメアリー・バーラ会長兼 CEO は 3 日、「ホンダとの協業で、世界トップレベルの車両デザイン、開発、生産技術をクルーズに供給することができる」とのコメントを出し、ホンダとの協業に期待をにじませた。 自動運転技術をめぐっては、ウェイモが 5 月、自動運転サービスの年内の開始に向け、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ (FCA) から、最大 6 万 2 千台の自動運転車を調達すると明らかにしている。 トヨタ自動車も 8 月、配車サービス最大手の米ウーバー・テクノロジーズに 5 億ドルを出資すると発表。 両社で自動運転車を共同開発し、21 年にウーバーの米国でのライドシェア事業に投入する方針を打ち出している。 ホンダと GM の協業により、世界的な主導権争いが激しくなりそうだ。 (木村聡史、ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 10-3-18) ルネサス、自動運転で攻勢 7 千億円超で米企業買収へ 半導体大手ルネサスエレクトロニクスが、7 千億円超を投じて米国の同業メーカーを買収する。 人員削減で経営難を脱したとはいえ、技術革新の激しい半導体業界での生き残りは簡単ではない。 大型買収で技術力を強化し、急成長が見込める車の自動運転向けで攻勢をかける狙いだ。 ルネサスが 11 日に発表した買収先は、米カリフォルニア州のインテグレーテッド・デバイス・テクノロジー (IDT)。 企業のデータセンターなどで使われる通信用半導体に強く、年間売上高は 900 億円超。 自社工場を持たず、他社に製造をゆだねる事業モデルで急成長した。 ルネサスは 8 月末の IDT の株価に 3 割ほど上乗せして全株を買い取る予定で、来年前半の完了をめざす。 ルネサスの呉文精(くれぶんせい)社長は記者会見で「予選通過ではなく、優勝を狙う。 自動運転では絶対に明け渡さないという決意だ。」と語った。 ルネサスは車向けの半導体で世界有数のシェアを握るが、自動運転に不可欠な無線通信技術は強くない。 そこで車向けに用途を広げたがっていた IDT に、買収による傘下入りを持ちかけた。 両社の技術を組み合わせて車向けの新製品を開発する考えだ。 買収には各国で独占禁止審査を通る必要があるが、両社の製品にほぼ重複がないため、早期に通過できるとみている。 (北川慧一、内藤尚志、asahi = 9-12-18) アップルも自動運転車の公道実験 後続車に追突され判明 米アップルが、米国での自動運転車の公道実験をすでに開始していることが 8 月 31 日、明らかになった。 実験は、トヨタ自動車の高級車「レクサス」に自動運転の仕組みを積み込んで行われた。 日系を含む自動車大手がしのぎを削る自動運転分野で、IT 大手のグーグルだけでなく、アップルも本格参戦している形だ。 業界の枠を超えた競争はさらに激しくなっている。 アップルが自動運転車の公道実験をしていることは、1 週間前の事故で明らかになった。 朝日新聞は 31 日、カリフォルニア州の陸運局 (DMV) から、事故の資料を入手。 それによると、8 月 24 日午後 3 時前、アップルがレクサスの SUV 「RX450h」に自動運転の仕組みを組み込んでいる実験車は、シリコンバレーのサニーベール市で走行中、後ろから来た日産自動車の電気自動車「リーフ」に追突されたという。 自動運転モードだったアップルの車は、大通りに合流しようとして 1 マイル(1.6 キロ)に満たない速度でゆっくり進んでいて、後ろからきたリーフが約 15 マイル(24 キロ)でぶつかったという。 車は損傷したが、双方の車に乗っていた人にけがはなかった。 アップルは 2017 年春、DMV から自動運転車の試験走行するための許可を取得。 アップル幹部は米メディアに「自動運転システムに注力している」と発言し、公道実験の目撃情報が報じられたことはあるが、実態ははっきりしていなかった。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 9-1-18) トヨタがウーバーに 5 億ドル投資、自動運転技術で
トヨタ自動車は新たな出資と自動運転車の路上走行計画を通じて、米ウーバー・テクノロジーズとの提携を拡大する。 両社の 27 日の発表によると、トヨタは約 5 億ドル(約 560 億円)をウーバーに出資する。 事情に詳しい関係者によると、ウーバーの価値を 720 億ドルと評価するものだという。 トヨタは、ウーバーの自動運転キットとトヨタの高度安全運転支援システムを搭載したミニバン「シエナ」を生産し、2021 年にこの車両をウーバーのライドシェアネットワークに導入する。 自動運転車両の運営や、第三者を含む運営会社についても検討していく予定。 ウーバーのダラ・コスロシャヒ CEO は、目標は自社ネットワークに「世界で最も安全な自動運転車を投入することであり、今回のトヨタとの合意はその実現に向けた大きな一歩」と文書でコメントした。 また、トヨタの友山茂樹副社長は「トヨタがモビリティカンパニーへと変革する上で、重要なマイルストーンになる」と文書で述べた。 自動車業界でライドシェアなど新しい移動提供サービスが急速に広がる中、トヨタは 16 年にウーバーと協業の検討を開始。 さらに今年 1 月には中国の配車サービスの滴滴出行と次世代電気自動車「e パレット」でパートナーとなり、6 月には東南アジアで拡大する配車サービス大手グラブに約 1,100 億円出資するなど、今後のモビリティーサービスの構築に向けて提携を加速させている。 うまみはソフトバンクに 一方、それらすべての会社にソフトバンクグループも出資している。 ソフバンクは過去数年、ウーバーに出資し、ことし 1 月にはソフバンク率いる投資家連合が約 8,900 億円相当の株を引き受け、筆頭株主となった。 滴滴には 17 年 5 月に傘下の投資会社が 20 億ドルを出資している。 また、14 年にはグラブに出資している。 ソフバンクを「携帯電話の会社ではない。 情報革命の会社だ。」と話す孫正義会長兼社長は、18 年 3 月期の決算会見で、ライドシェアは「自動車産業を大きく、業界地図を丸ごと塗り替えてしまうくらい大きなインパクトを与える」と指摘。 ウーバー、滴滴などで筆頭株主となっていることで「我々が世界で圧倒的、最大の交通機関になったというぐらいの状況ではないかと思う」と話した。 トヨタの豊田章男社長も今年 1 月の米国でのイベントで、トヨタは「クルマ会社を超え、人々の様々な移動を助ける会社、モビリティ・カンパニーへと変革することを決意」したとし、「自動運転やカーシェアリングなど私たちが実現したい数多くのモビリティサービスの屋台骨となるのはプラットフォーム」だとして、同分野で他社との協業を積極的に進めている。 SB I証券の遠藤功治アナリストは電話取材で、トヨタのウーバー出資について「特にどういうリターンが出るかわからない中、とりあえず参入していかなくてはということでやっている印象」と指摘。 トヨタはウーバーとの協業を通して自動運転やシェアリングの知見や技術を得たい一方で、ソフバンクグループは純粋に利益が上がることを狙い投資しており、トヨタとウーバーが提携することはソフバンクグループとしては歓迎すべきこととの見方を示した。 トヨタとの提携でウーバーの価値は前回の投資から 15% 高まる。 今年のより早い時期に投資家グループはウーバーの価値を 620 億ドルとみていた。 (Eric Newcomer、John Lippert、佐野七緒、Bloomberg = 8-28-18) 公道で自動運転タクシーの実験 営業走行は世界初、都内で 車の自動運転技術を手掛けるベンチャーの ZMP (ゼットエムピー、東京)とタクシー大手の日の丸交通(東京)は 27 日、一般客を乗せた自動運転タクシーの実証実験を東京都内で始めた。 千代田区大手町と港区六本木の約 5.3 キロを自動で走行した。 日の丸交通によると、タクシー事業者が自動運転で公道を営業走行するのは世界初。 東京五輪・パラリンピックを見据え、2020 年をめどに無人の完全自動運転での商用化を目指す。 自動運転タクシーは米企業が公道での実験を重ねて先行。 日本でも 3 月に横浜市の公道で実験が行われたが、今回は実際に客を乗せて営業走行し実用化への課題を検証する。 (kyodo = 8-27-18) 自動運転技術、世界に外販 トヨタ系 4 社が新会社 トヨタ自動車グループのデンソーやアイシン精機など 4 社は、自動運転の基盤技術を開発する新会社を年内にも設立する。 センサーやステアリングなどグループに分散する技術開発の機能を集約し、自動運転車の制御システムを世界の車メーカーに一括提案できる体制を整える。 中核技術を外販して独ボッシュなど欧米のメガサプライヤーに対抗し、次世代車を巡る主導権争いを制したい考えだ。 自動運転車は周囲の状況を認知し、人間の脳のように判断をして、操作を指示する機能が必要で、一貫した制御システムを開発する動きが広がっている。 ボッシュや独コンチネンタルといった部品会社が車メーカーに提案を始めており、米グーグル系や中国の百度(バイドゥ)も人工知能 (AI) の技術を軸に参入を目指す。 新会社は電装品に強いデンソーと変速機などの駆動部品を手掛けるアイシン、ステアリングのジェイテクト、アイシン子会社でブレーキ事業を手掛けるアドヴィックス(愛知県刈谷市)の 4 社で設立する。 デンソーが過半出資する方向で調整している。 AI の判断をもとに、車のハンドルやアクセル、ブレーキなどを素早く正確に自動で動かす基盤技術を開発する。 自動車メーカーが搭載しやすいようにセンサーから半導体、駆動系部品までまとめて提供できる体制を整える。 トヨタのほか欧米や中国の自動車メーカーにも外販し、グループ全体で競争力を高める。 4 社はこれまで個別に自動運転技術の開発を進めていたが、重複を解消してスピードを速める。 トヨタは 20 年にも高速道路で車線変更などができる自動運転技術を実用化し、高級車「レクサス」に搭載する計画だ。 20 年代前半には一般道での実用化に加え、エリアを限定して完全自動運転ができる「レベル 4」の技術確立を目指している。 ほかの車メーカーも 20 年前後から自動運転車の投入を計画しており、PwC コンサルティングの推計では 30 年までに欧米中で、計 8,000 万台規模のレベル 4 以上の自動運転車が普及する見通しだ。 自動運転は中国の滴滴出行や、米ウーバーテクノロジーズなどライドシェア(相乗り)大手、物流や商用車での需要も高まっている。 ボッシュやコンチネンタルは企業買収を重ねてセンサーやブレーキ、ステアリングなどシステムを一括提案できる技術を集めており、部品メーカーとしても世界大手のトヨタ系の再編が焦点になっていた。 自動運転は認知や判断に AI が必要で、米アップルなどが技術の蓄積を急いでいる。 周囲の状況を判断して操作する半導体など従来は車メーカーとの関係が薄かった新たなプレーヤーが勃興している。 トヨタは AI 分野の研究のため 16 年に米シリコンバレーに研究子会社を設立した。 今年 3 月には AI 技術を車に実装するためのソフトウエア開発に向け、デンソーやアイシンと東京都内に別の研究会社を立ち上げた。 トヨタ系 4 社の新会社はこうした技術を市販車に搭載させる役割を担い、ソフトからハードまですべてを手掛けるグループの体制が整う。 (nikkei = 8-24-18) ドライバーの運転パターンを記憶・反映する自動運転車 日産が開発 日産自動車が、ドライバーの運転パターンを学習する自動運転車の開発を進めていることが 16 日、わかった。 自動と手動を切り替えられる車を想定し、自動運転時には人工知能 (AI) が学習したドライバーの "癖" を反映して違和感を小さくする。 日産は平成 34 年に完全自動運転車の展開を目指しており、これに合わせて実用化される可能性がある。 交通事故の 9 割が人為的な過失によるものとされており、自動運転車が普及すれば、事故を大幅に減らせる見込み。 ただ、いくら安全だとわかっていても、加減速のタイミングや曲がるときの位置の取り方といった運転パターンが日常的に感じる乗車体験とかけ離れていると、乗員は安心して自動運転に任せられない。 このため日産では、AI がハンドルの切り具合やブレーキの踏み方といったその車の主なドライバーの運転パターンを記憶し、自動で再現させる方向で開発を進めている。 他の自動車メーカーと同じく日産も、「運転する楽しさ」を訴えてきた。 このため、運転したい時は手動でハンドルを握り、疲れているときや作業をしたい時などは自動運転に切り替えることを想定している。 日産は 28 年から、「プロパイロット」と呼ぶ一連の先進安全機能をミニバンの「セレナ」や、小型車の「ノート」などの主力車に順次、搭載してきた。 昨年、全面改良して発売した電気自動車 (EV) 「リーフ」では、ボタン一つで自動駐車できる機能を追加。 今年度内には、高速道路の複数車線を自動で走行する機能を実用化する見通しだ。 中畔邦雄専務執行役員は自動運転車について「快適に移動できるシステムとして進化させていく。 自動運転は単なる運転の代行ではなく、(乗員の)期待値に車の挙動を合わせていく必要がある。」と話している。 (sankei = 7-17-18) |