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H3 ロケット 8 号機打ち上げ、17 日に再設定 日本版 GPS を搭載
記事コピー (6-12-18〜12-13-25) 日本製鉄、US スチール含め約 6 兆円投資 30 年度までの計画発表
記事コピー (12-18-23〜12-12-25) ラピダスに最大 2 兆円融資へ 3 メガ銀、政府保証を付けた上で
記事コピー (9-29-23〜12-11-25) カメラの前歩くだけで顔と虹彩から本人確認 NEC、世界初の技術 1 台のカメラの前を歩いて通り抜けた人が誰か、顔認証と目の虹彩認証を組み合わせた技術によって確認できる - -。 そんな、世界初となる技術を NEC が開発した。 国境での出入国審査や空港の搭乗手続き、決済など、厳格な本人確認が求められる場での利用を見込んでいる。 厳格な本人確認が求められる生体認証は、生体認証に加えて、カードの提示やパスワードの入力が必要な二要素認証が主流だ。 だが、処理に時間がかかって施設が混雑するほか、カードやパスワードの紛失・失念という課題があった。 顔のぶれやよそ見、メガネの有無にも対応 NECは、顔と虹彩による認証を組み合わせることで、それぞれ単一の認証よりも高い精度で本人かどうか確認できるようにした。 カメラの前で立ち止まったり、のぞき込んだりする必要はなく、3 メートル離れていても、時速 6 キロの早歩き程度で歩いている利用者を、屋内外を問わず認証ができるという。 独自の人工知能による技術を使い、移動による顔のぶれやよそ見、メガネの有無などに関わらず、特徴を正確に捉えられるという。 同社は昨年、顔と虹彩認証を組み合わせ、利用者が立ち止まった状態で本人確認ができる技術を発表していた。 今回、立ち止まらずに認証できるようになり、より幅広い活用を見込んでいる。 (篠健一郎、asahi = 12-8-15) パナソニック、データセンター向け蓄電システム売上高 3 倍を目標に パナソニックホールディングスは 2 日、需要が急速に伸びているデータセンター (DC) 向けの蓄電システムについて、2028 年度の売上高を今年度の約 3 倍となる 8 千億円まで引き上げる目標を示した。 車載向け蓄電池を生産するラインの改造を含め、国内外の生産能力を強化していく方針だ。 同日の記者会見で、蓄電池部門を担う子会社「パナソニックエナジー」の只信一生社長が明らかにした。 同社によると、世界の AI (人工知能)サーバー市場は 23 年の 520 億ドルから 28 年に 2,240 億ドルに拡大する見込み。 生成 AI の登場で DC で使われる半導体の性能や消費電力も急増し、停電時の電源のバックアップやコスト削減につながるピーク使用電力の抑制などでも、高度なマネジメントが求められるようになっているという。 同社は生産ラインの拡充や車載向けからの転換で、DC 向け蓄電池の国内の生産能力を 28 年度までに 3 倍に高める方針。 北米でも今年 7 月に稼働を始めた米カンザス工場の一部を DC 向けに振り替えるなど能力を拡充していくという。 現在主力とする電気自動車 (EV) 向けの需要が伸び悩んでおり、同社は 26 年度末としていたカンザス工場のフル生産の時期を今年、白紙に戻していた。 只信社長は「売上高が 8 千億円になれば、車載向けと対等以上の規模となる可能性がある。 カンザスの工場稼働率も改善していく。」との見通しを語った。 (清井聡、asahi = 12-2-25) ◇ ◇ ◇ データセンターを冷やせ ダイキンが強化、北米売上高 3 千億円へ 空調大手ダイキン工業は 27 日、需要が伸びるデータセンター (DC) 向け冷却システム事業への投資を強化する方針を公表した。 急拡大が見込まれる北米市場に向けた生産体制の強化などに取り組み、今年度に約 1 千億円を見込む北米での売上高を 2030 年度には 3 倍以上に引き上げる計画だ。 宮武正明執行役員が同日、大阪市内の本社で記者会見した。 今後、米カリフォルニア州に研究開発の拠点を新設するほか、米アリゾナ州の工場では新型の冷却システムの量産体制を来年春までに構築する予定。 メキシコの工場でも大型の冷却設備の生産能力を増強していくという。 米 IT 大手による AI (人工知能)への巨額投資などで北米の DC 市場は急拡大を続けている。 高性能化が進む AI 向け半導体は発熱の量も増え、より強力な冷却システムが必要とされる。 ダイキンによると、DC 向け冷却システムの市場は現状の約 1.1 兆円から 30 年には 2.7 兆円に伸びる見通しだという。 同社は現在、北米市場では 3 位となる約 12% のシェアを持つ。 23 年以降、個別の半導体チップを液体で直接冷やす技術を持つベンチャー「チルダイン社」などの買収を重ね、複数の冷却システムを自前で手がける体制を整えてきた。 宮武氏は会見で「顧客にワンストップで最適な冷却設備を提供できるのが当社の特徴。 主要な米 IT 大手のすべてに商品を納入することを目標に、技術を磨いていく。」と語った。 (清井聡、asahi = 11-27-25) 中国、「緊急事態対応」で宇宙船を打ち上げ 「天宮」の飛行士帰還用
記事コピー (12-2-13〜11-25-25) パナソニック HD、住宅設備子会社を YKK に売却 構造改革の一環 パナソニックホールディングス (HD) は 17 日、住宅建材・設備を手がける子会社を YKK に売却すると発表した。 金額は非公表で、2026 年 3 月に株式の 8 割を YKK に譲渡する。 YKK の子会社と合わせた売上高は 1 兆円超となり、最大手の LIXIL グループに次ぐ規模になる。 売却するのは「パナソニックハウジングソリューションズ (PHS)」で、24 年度の売上高は 4,795 億円、連結従業員数は約 1 万 1 千人。 今年 2 月に楠見雄規社長が、再建や見極めが必要な低収益事業の一つにあげていた。 YKK 傘下で住宅建材・設備を手がける「YKKAP」は窓枠などを中心に商材を展開。 トイレやバスタブといった水回り設備などが中心の PHS とは補完関係にあるという。 記者会見した YKKAP の堀秀充会長は「窓が中心の当社はリフォームに弱い。 国内の住宅建設が減るなか、幅広い商材をそろえてリフォーム需要を取り込む。 海外展開も加速していきたい」と語った。 パナソニック HD は近年、同業他社に比べて低い利益率の改善を目指した構造改革を進めている。 24 年 12 月には車載機器を手がける子会社「パナソニックオートモーティブシステムズ」を米投資ファンドに売却。 今年も国内外 1 万人の人員削減を打ち出すなどしている。 (清井聡、asahi = 11-17-25) 液晶パネルの JDI、中間決算は 40 億円の債務超過 赤字 113億円 液晶パネル大手ジャパンディスプレイ (JDI) が 13 日発表した 2025 年 9 月中間決算は、純損益が 113 億円の赤字(前年同期は 168 億円の赤字)となり、9 月末時点で 40 億円の債務超過だった。 債務超過は 6 月末時点(129 億円)に続き 2 四半期連続だ。 26 年 3 月末時点で債務超過だと、原則として、その後 1 年以内に解消しないと上場廃止となる。 売上高は前年同期比 35.5% 減の 664 億円だった。 茂原工場(千葉県茂原市)での生産縮小と、25 年 3 月に 生産を終えた鳥取工場(鳥取市)の受注が減ったことなどが響いた。 26 月 3 月期の業績見通しは、財務改善に向けた施策の実現時期や内容によって変動することが予想されるとして、非開示とした。 希望退職に国内人員の 6 割が応募 JDI はこの日、茂原工場の閉鎖を今年 11 月に前倒しすると発表した。 当初は 26 年 3 月を予定していた。 データセンターへの転用を検討しており、複数社から購入意向があると説明している。 できるだけ早く資産を譲渡して財務を改善したい意向だ。 明間純社長 CEO (最高経営責任者)は同日の会見で、「茂原工場の譲渡を通して、できるだけ早く債務超過を脱したい」と話した。 同社は、コスト削減とセンサーや半導体の分野などで新たな収益源を確保することで 27 年 3 月期に営業利益を黒字化する目標を示している。 だが、資金調達や協業などを想定した主力の車載事業の子会社化は、当初の今年 10 月から来年 4 月に後ろ倒しになっており、先行きは見通せない。 国内従業員の 6 割弱にあたる 1,500 人程度の希望退職者の募集に対しては、1,483 人の応募があったという。 約 135 億円の人件費削減を見込む。 (篠健一郎、asahi = 11-13-25) 資生堂、純損益予想が過去最大 520 億円赤字 200 人追加削減へ 資生堂は 10 日、2025 年 12 月期決算(国際会計基準)の純損益予想をこれまでの 60 億円の黒字から一転、520 億円の赤字に引き下げた。 純損益の赤字は 2 年連続となり、同社の赤字額としては過去最大。 米州事業の不振などが響いた。 業績改善のために、新たに国内で従業員 200 人を削減する。 同日発表した 25 年 1 - 9 月期決算に、低迷が続く米州事業に関連して、現地企業を買収時に見込んだ価値を引き下げて 468 億円の減損損失を計上した。 同日、国内の本社などで希望退職を募るとも発表した。 200 人前後を想定し、12 月 8 日 - 26 日に募集し、来年 3 月 31 日に退職する。 これに伴う費用は 30 億円と見込む。 同社は昨年以降、今回とは別に国内で約 1,500 人の希望退職を実施。 中国・免税事業や米州事業などでも人員削減に踏み切った。 同社は、訪日外国人による「爆買い」の減少や米国での生産トラブル、中国事業の不振によって業績不振が続いている。 (友田雄大、asahi = 11-10-25) ブラザー、関税負担「ほぼ打ち返せる」 値上げしてもプリンター堅調 ブラザー工業は 10 日、米トランプ政権の高関税政策による影響を受けない見通しだと発表した。 2026 年 3 月期(国際会計基準)では関税負担額を 140 億円と見込んだ上で、値上げなどで回収できるとした。 好調な市況と「インフレ社会」を背景に、懸念した販売減も見られなかったという。 同社は 5 月時点の予想では年間の関税負担額を 215 億円と見込んでいた。 その後、関税率が引き下げられたことで 140 億円に修正。 この負担額も、米国では 7 月に主力のプリンターで平均 10% の値上げをしたり、経費削減をしたりすることで、「ほぼ全部打ち返せる(中島聡財務部長)」とした。 当初は値上げで販売が落ちるともみていた。 ただ、池田和史社長は「需要には全く影響がなかった。 米国は値上げに慣れたインフレ社会で、10% くらいは日常茶飯事。 リーズナブルな値上げはしっかりと受け入れてもらえる。」と述べた。 「紙離れ」もプラスに 市況も味方した。 同社は卓上にも置けるサイズのレーザー複合機に強みを持つ。 米国では 6 - 7 割のシェアを持っており、コロナ後のオフィス集約化や「紙離れ」を受け、大型製品から置き換える動きが堅調だという。 円安による押し上げ効果もあり、26 年 3 月期の業績見通しは、売上高が 5 月時点の 8,750 億円から 9 千億円へ、純利益も 550 億円から 630 億円へと上方修正した。 また、この日発表した 25 年 9 月中間決算は、売上高が前年同期比 2.5% 増の 4,377 億円、純利益が 0.4% 増の 282 億円だった。 プリンターがよく売れたほか、工作機械が中国の電気自動車やロボット、半導体向けに好調だった。 (高橋豪、asahi = 11-10-25) 王子HD、苫小牧工場の新聞用紙の生産能力 3 割減 設備 1 基停止へ 製紙大手の王子ホールディングス (HD) は 7 日、王子製紙苫小牧工場(北海道苫小牧市)の新聞用紙の生産設備のうち 1 基を 2026 年 3 月末をめどに停止すると発表した。 この工場での新聞用紙の生産能力は年間計約 50 万トンだが、そのうち約 3 割を減らすことになる。 王子製紙では、苫小牧工場が新聞用紙の主力の生産拠点だ。 近年は新聞の部数減などに伴って稼働率が下がっていた。 今回の設備削減を巡って、足元の需要に対する供給に影響は出ないという。 (三浦惇平、asahi = 11-7-25) 学研 HD の高齢者事業、売上高で祖業の「教育」に並ぶ 9 月期決算 学研ホールディングスが 7 日発表した 2025 年 9 月期決算は、売上高が前年比 7.3% 増の 1,991 億円、純利益は 58.3% 増の 35 億円だった。 主力の教育事業でオンライン教育の会員数が増えたほか、高齢者住宅の運営が好調だった。 全国展開する「学研教室」などでは月謝を約 1 割値上げしたことが貢献。 出版事業は高校生向け学習参考書や実用書でヒット作に恵まれた。 高齢者住宅では高い入居率を維持していることが押し上げた。 1 年間で新たに 16 棟を開設して入居者を増やした。 認知症グループホームや子育て支援の売り上げも大きく伸びた。 高齢者住宅を含めた医療福祉事業の売上高が 950 億円と、学研の祖業の教育事業(953 億円)と同規模になった。 宮原博昭社長は会見で「今後は医療福祉の方が大きくなるかもしれない。 教育、医療福祉とも海外展開も強くしていきたい。」と語った。 (山口博敬、asahi = 11-7-25) 任天堂が通期営業益 3,700 億円に増額、「スイッチ 2」堅調で株主還元拡充
記事コピー (7-8-16〜11-4-25) パナソニック HD、テレビ事業を存続 楠見社長「収益改善にめど」 パナソニックホールディングスは 30 日、撤退や売却も含めた見直しを検討していたテレビ事業について「収益改善にめどがついた」とし、存続させる方針を示した。 楠見雄規社長が 2 月、利益水準の低い課題事業に挙げ、「撤退や売却を含めた抜本的な対策を講じ、2026 年度末までに一掃する」としていた。 この日、協業の拡大と運営の効率化を進めることで「撤退や売却をせずとも、収益が改善できるめどがついた」と説明した。 かつて主力だったテレビ事業は近年、中国勢の台頭などで事業を縮小。 生産拠点を減らして外部委託を増やすなどの対策をしてきたが、利益水準の低迷が続いていた。 テレビ以外の課題事業では、キッチン家電事業も同様に改善のめどがついたとした。 一方、産業デバイス、メカトロニクス事業は「踏み込んだ改革を断行する」などと述べるだけにとどめた。 5 月に打ち出した、国内外 1 万人の人員削減については、退職者の募集が予定通り進んでいるとし、人数が一部増える見通しも明らかにした。 同日発表した 25 年 9 月中間決算(国際会計基準)は売上高が前年同期比 10.1% 減の 3 兆 8,204 億円、純利益が同 24.6% 減の 1,424 億円で減収減益となった。 26 年 3 月期の業績予想は下方修正し、売上高を 7 兆 7 千億円(期初予想比 1 千億円減)、純利益を 2,600 億円(同 500 億円減)とした。米テスラなどに供給する車載電池の販売減が主な要因。 トランプ関税の影響も初めて数字に織り込み、グループ全体で 300 億円(うち車載電池事業で 240 億円)の営業利益減になるとした。 (清井聡、asahi = 10-30-25) ニュートリノ異例の共同研究 日米ライバルは手を握り、最終的には … ライバル同士にあたる日米の素粒子研究チームが初めて協力し、23 日、英科学誌ネイチャーに論文が掲載されることになった。 ノーベル賞級の発見を競う 2 チームのタッグは異例。 今回の研究で、宇宙の起源の謎解明に一歩近づいたが、最終的な発見に向けてはライバルに戻って、競い合うという。 研究対象はニュートリノ。 幽霊粒子とも呼ばれ、観測が難しいが、日本がこれまで二つのノーベル物理学賞を得た「お家芸」の分野だ。 現在も、高エネルギー加速器研究機構 (KEK) などを中心とした「T2K」実験のチームが、茨城県東海村の大強度陽子加速器施設「J-PARC」から、西に 300 キロ離れた岐阜県飛?市の「スーパーカミオカンデ」にニュートリノを飛ばして、なぜ宇宙に物質(粒子)があるのか、起源の謎に挑んでいる。 いち早く解明できればノーベル賞級の成果と考えられているが、ライバルが米国内で同様の研究を進める「NOvA」実験チームだ。 ニュートリノを飛ばす距離は米チームが約 800 キロ。 手の内を明かすことになるが、距離の違う 2 実験のデータを統合すれば、研究が一気に進むメリットが双方にあったという。 T2K チームによると、2017 年ごろから、どちらが持ちかけるでもなく共同研究の議論が始まり、20 年までの両データを解析した。 その結果、3 種類あるニュートリノのわずかな重さ(質量)の違いについて、2 チームが単独で出していた結果とは、異なる結論となった。 一足飛びに世紀の大発見にはならなかったが、重要な成果として ネイチャー 誌の掲載が決まった。 T2K チームは「ハイパーカミオカンデ」、NOvA チームも「DUNE」と呼ばれるそれぞれ次世代の観測施設の建設を進めている。 T2K チームの坂下健・KEK 教授は「協力関係で理解が大きく進んだが、これを生かしてハイパーカミオカンデ単独でも成果を出せるよう進めたい」と話した。 (竹野内崇宏、asahi = 10-23-25) 台湾のヤゲオ、芝浦電子への TOB 成立 外為法審査で異例の長期化 台湾の電子部品大手ヤゲオは 20 日夜、温度センサーを手がける芝浦電子への株式公開買い付け (TOB) が成立したと発表した。 ヤゲオは芝浦電子を完全子会社化する。 芝浦電子を巡っては、精密部品大手ミネベアミツミも TOB を実施。 ヤゲオと価格競争になったが、9 月に TOB が不成立となっていた。 ヤゲオの TOB 期限の 10 月 20 日までに、買い付け予定数の下限を超える 87.33% の応募があった。 買収総額は約 1.090 億円。 ヤゲオ傘下に入る芝浦電子は 2026 年 1 - 3 月期までに上場廃止となる見通し。 両社が 21 日に東京都内で開いた会見で、ヤゲオのピエール・チェン会長は、同社は世界に 27 万の顧客がいるとした上で「芝浦電子は海外、特に欧米の市場に販路を広げるべきだと考えた」と話した。 芝浦電子の葛西晃社長は「最初は知らないもの同士だったが、面談を重ねて相互理解が得られた。 ヤゲオの日本でのシェアは低く、我々の販売ルートを生かせる。 相互補完性は高い。」と話した。 2 月に「同意なき買収」提案 ヤゲオは今年 2 月、芝浦電子への「同意なき買収」提案を表明。 これに対しミネベアミツミが 4 月に友好的な買収者(ホワイトナイト)として名乗り出ていた。 価格競争の末、5 月にミネベアミツミが 1 株 5,500 円で TOB を開始。 その後ヤゲオは 1 株 6,200 円で TOB を始めた。 ヤゲオによる買収に対しては、技術や情報の国外流出を未然に防ぐための外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく国の審査が行われた。 TOB は当初 6 月中に決着する予定だったが、外為法の審査結果を待って長期化。 9 月に承認を得たが、TOB 期間は 5 カ月を超え、異例の長さとなった。 その間も価格競争は続き、ヤゲオは最終的に 1 株 7,130 円まで引き上げ。 ミネベアミツミの 1 株 6,200 円とは 1 千円近く値が開いた。 芝浦電子は電子部品メーカーで、電化製品や自動車などに使われる温度センサーを製造・販売し、世界有数のシェアを持つ。 25 年 3 月期の売上高は 340 億円。 従業員は約 4,600 人。 (篠健一郎、asahi = 10-21-25) ノーベル賞の北川さん、待ち時間に出会った大発見 科学の常識を覆す ノーベル化学賞の受賞が決まった京都大特別教授の北川進さんが開発した、内部に無数の小さな穴が並んだ材料。 多彩な種類のガスを吸着でき、工業分野だけでなく環境分野でも幅広い応用が期待されている。 発見のきっかけは、コンピューターの計算にかかる長い待ち時間だった。 近畿大にいた北川さんは 1990 年ごろ、金属と有機物でできた化学物質(錯体)の性質にかかわる、立体的な構造を突き止めようとしていた。 京大で大型計算機を借りたが、多くの研究者と共用するうえ、膨大なデータを使うので、終わるのに時間がかかった。 ある日、しびれをきらした北川さんは、計算の途中で、化学物質の構造を学生に紙に描かせてみた。 すると「先生、穴があいてますよ」と。 蜂の巣状の穴が並んでいることがわかった。 「非常に面白いと思ったんですよ。 直感で、本体じゃなく穴の方が使えそうだと。 どう使えばいいのか、すぐにはわからなかったんですけど。」 北川進さん「役に立たないものも役に立つ」 ノーベル賞に導いた本は その後、北川さんらは実際に微小な穴が開いた化学物質を合成した。 当初はすぐ崩れてしまう不安定なものだったが、金属と有機物の組み合わせを変えるなど実験を繰り返した。 この穴でメタンガスの吸蔵ができるようになった。 もし、北川さんが長い待ち時間を気にせず、最後まで計算を続けていたら、違った構造が見え、蜂の巣状の穴はわからなかったかもしれないという。 だが、発見は当時の科学界の常識を覆すようなもので、すんなり認められたわけではなかった。 北川さんは 99 年、米国で開かれた研究者の集う「ゴードン会議」に出席した。 今回のノーベル賞受賞のもとになった、金属有機構造体 (MOF) でメタンガス貯蔵の可能性を示した論文がきっかけとなり、招待を受けていた。 金属有機構造体の特徴 ところが、発表を聞いた各国の研究者からの反応は予想外だった。 「それは間違っている」と集中砲火を浴びた。 北川さんが見つけた物質は、金属(無機物)に有機物がくっついた有機化合物。 有機物の特徴のひとつは「軟らかい」ことだ。 有機 EL、有機(色素増感型)太陽電池のように、薄く、曲げられる電子機器などに応用されている。 「無機物は硬い、壊れないイメージ。 ところが有機物が入っていると、軟らかくて、くしゃっと壊れるという先入観があった。」 当時、有機化合物は不安定で、すぐ使えなくなるというのが常識だったという。 北川さんは批判に屈せず、研究を続けた。 複数種が混ざった気体から特定の気体を取り出す「分離」、穴のなかで別の気体に変える「変換」にも応用を広げた。 ノーベル化学賞の発表の場であった電話インタビューで、北川さんはこう語った。 「これは非常に新しい材料。 『本物だ』と認められるには、長い長い時間がかかるでしょう。 実現には大変な努力が必要ですが、私は楽しんでいます。」 (asahi = 10-8-25) 歯のかぶせ物作り日本一 デジタル技術使い、1 ミクロン単位で競う 入れ歯や歯のかぶせ物(クラウン)を作る歯科技工士のデジタル技術を競う全国大会が 27、28 日に横浜市で開かれた。 高齢化が進み、なり手不足が深刻な業界だが、最近は従来の手作業に代わり、デジタル化が急速に進む。 会場ではゲームの腕を競う「e スポーツ」さながらの雰囲気で、主催者側は「若者を振り向かせたい」との思いも込めた。 大会は「D (デンタル)スポーツ」と名付け、歯科に関わる製品や技術を集めた 4 年に 1 度の展示会「日本デンタルショー」の一環で実施。 全国から集まった技工士や学生ら 110 人がコンピューターで歯のかぶせ物を作る技術を競った。 参加者はパソコンゲーム用のいすに座り、マウスを握りながら、1 ミクロン(1 ミリの 1 千分の 1)単位の微調整をして、30 分以内に指定の歯に合ったかぶせ物を完成させた。 「技術点」、「芸術点」、「機能点」をそれぞれ 100 点で評価し、合計点を競った。 一般の部の優勝は 8 割以上の得点をとった、技工士 3 年目の二瓶(にへい)亜砂美(あさみ)さん (27) = 和田精密歯研(大阪)。 「もっとうまくできたのにと思っていたので、優勝は意外だった」とし、「歯科技工は閉ざされた仕事の印象があるが、みんなでつくりあげる楽しさがある」と話した。 歯科技工士として働く人は減少傾向が続く。 特に小規模技工所は高齢化も進み、後継ぎに困るところも多い。 国家試験合格者も減り、「なり手不足」が深刻だ。 これまでは技工士が手作業でかぶせものや入れ歯を削る作業をしていたが、デジタル化が一気に進み、歯科医からもらったデータを技工士が調整して、3D プリンターで作ることもある。 主催した日本歯科技工所協会の木村正会長は「高齢化が進む中、技工士のなり手減少は日本の歯科技工士界全体の問題。 デジタル化は技工士の仕事を一気に変えている。 若い人たちにどんどん入ってきてほしい。」と話した。 (染田屋竜太、asahi = 9-28-25) 探査船「ちきゅう」ギネス記録認定 東北沖で世界最深 7,906m 掘削 東日本大震災の震源域を調査した地球深部探査船「ちきゅう」の昨年の掘削記録が、「最も深い海洋科学掘削」としてギネス世界記録に認定された。 認定証授与式が 24 日、都内で開かれ、海洋研究開発機構 (JAMSTEC) の大和裕幸理事長は「我々の技術力が認められた証しでうれしい」と語った。 記録は掘削に使ったドリルパイプの長さである 7,906 メートル。 掘削は国際研究の一環として、宮城県沖約 200 キロの海上で、東日本大震災を引き起こした震源断層をめがけて掘削。 海面下約 7 千メートルの海底から掘り進み、ちきゅう自らが 2012 年に達成していた最深記録 7,753 メートルを更新し、今回、ギネス記録に初めて認定された。 海の上から海底に穴を掘るには、船の位置を精密にコントロールすることが欠かせない。 今回の認定証は、ちきゅうを運航する企業「日本マントル・クエスト」にも贈られた。 石黒裕康社長は「掘削技術と操船技術の高さが世界的に認められ、価値のある記録だ」と喜びを語った。 ちきゅうは船上に高さ約 70 メートルの掘削用のやぐらを持ち、真下にドリルを伸ばして海底下約 7 千メートルのマントルまで掘る能力を有する。 (竹野内崇宏、asahi = 9-25-25) NTT と三菱重工業、レーザー光で無線送電 "世界最高レベル" 達成 NTT と三菱重工業は、レーザー光を使って無線で電力を送る実験で、世界最高の効率を達成したと発表しました。 レーザー光による無線送電は、電力や通信が届かない場所にピンポイントで送電できる技術として期待されています。 一方で、風や熱の影響による効率の低下が課題です。 実験では、1,000 ワット相当のレーザー光を 1 キロ先に照射したところ、平均 152 ワットの電力を受け取ることができ、15% を超える「世界最高レベル」の効率を達成したということです。 NTT はレーザー光を送る技術を、三菱重工は受け取る技術を開発しました。 今後は出力を高め、被災地や離島などへの電力の供給や、飛行するドローンへの送電なども目指すということです。 (ANN = 9-23-25) アノードフリーで車載電池の性能 25% 向上 パナソニックエナジー パナソニックエナジーの渡辺庄一郎副社長は 18 日、EV (電気自動車)向けの電池のエネルギー密度を 25% 向上させる技術開発を進めていることを明らかにした。 2027 年度末の完成を目指しており、実現すれば EV の航続距離が伸びることにつながる。 同社はパナソニックホールディングス傘下の電池メーカーで、車載向けでは米テスラなどに円筒形のリチウムイオン電池を供給している。 渡辺氏は千葉市内で同日講演し、負極の材料が不要になる「アノードフリー」技術の開発を進めていると語った。 技術の難易度が高い一方、黒鉛などの負極材料が占めていたスペースを省けるため、同じ体積でのエネルギー密度が高い。 エナジー社製の円筒型電池のエネルギー密度は現状でも世界トップクラスだが、これをさらに伸ばすことができるという。 一方、次世代電池の「全固体電池」については、当面は工業用ロボットなど車載よりもさらに耐熱性が求められる用途で開発する。 従来のリチウムイオン電池に比べて熱に強く、発火の恐れが少ない全固体電池の特長をよりいかせる分野から始めるとしている。 (清井聡、asahi = 9-18-25) 不良品が「お宝」に? 萬古焼の耐熱陶器からリチウム、電池に活用へ 土鍋やグラタン皿などの耐熱陶器で国産シェア 8 割を占める三重県が、産業廃棄物として処分される不良品の循環システム構築をめざしている。 目を付けたのは、耐熱陶器の生産量が多い萬古焼に含まれる、ある成分。 「都市鉱山」のような可能性を秘めているという。 県内には萬古焼と伊賀焼の「2 大ブランド」があるが、萬古焼の産地として知られる四日市市にある県工業研究所窯業研究室によると、萬古焼の耐熱陶器の原材料は、ジンバブエから輸入する鉱石ペタライトだ。 ペタライトには、全重量の 3.5 - 4.5% にあたるリチウムが含まれている。 EV の世界的な普及などに伴い、リチウムイオン電池の原材料となるリチウムの需要は急激に拡大している。 一方、萬古焼メーカーが生産する年間約 200 万個の耐熱陶器のうち、ひび割れがあったり形がゆがんでいたりする不良品は 5% 程度。 重量は 120 トンにも達し、これらの処理費用は各メーカーの経営に悪影響を与えていたという。 同研究室は 2019 年度、メーカーの依頼を受け、不良品の再利用方法の研究に着手する。 当初は不良品を粉砕し、新品を焼成する際に混ぜる方法を模索していたが、リチウムイオン電池の需要増もあり、4年後に方針を転換。不良品からリチウムを抽出する実験へと切り替えた。 電池など試作成功、今後の課題は抽出コスト リチウムはオーストラリアやカナダなどで産出される鉱石スポジュメンから抽出するのが一般的だ。 ただ、ペタライトにも相当量が含まれていることから目を付けた。 研究を主導する林茂雄主査研究員は「硫酸を使って溶かし、炭酸などで中和するスポジュメンと同じ方法なら、ペタライトからリチウムがとれるはずだった」と語る。 22 年度から実験を繰り返した結果、不良品の重量の 2% にあたるリチウムの抽出に成功した。 ペタライトから抽出したリチウムは純度が高く、コバルトと混ぜて焼き上げることで、リチウムイオン電池の電極と電池本体の試作にも成功。 さらに、石英やアルミニウムなどの残渣(ざんさ)を使い、建築資材として使えるレベルのタイルも生成することができた。 今後の課題はリチウムを抽出するコストだ。 ただ、国内有数のコンビナートとして知られる四日市市には大量の硫酸を使う企業や、リチウムイオン電池の電極を製造するプラントなどが林立する。 萬古焼メーカーも大小含めて 20 社以上はある。 それらの企業とタイアップするとともに、一般消費者からも不要になった萬古焼の耐熱陶器を回収する仕組みを見いだせれば、三重県の特性を生かした新たな循環システムの構築も可能になってくるという。 庄山昌志室長は「耐熱陶器の不良品は、いわば『都市鉱山』のようなもの。 将来的にリチウムが今以上に国内に入りにくくなる可能性もあり、リチウムをキーワードにした三重ならではのシステムをめざしていきたい。」と話す。 (安田琢典、asahi = 9-12-25) 地震予測につながるか 宮崎県の M7 級前、スロースリップの間隔変化 2024 年 8 月 8 日に発生した宮崎県日向灘を震源とする地震(最大震度 6 弱)の前に、これまでよりも短い間隔でスロースリップ(ゆっくりすべり)が発生していたという研究成果を国土地理院が発表した。 将来的な地震の予測につながるかもしれない知見だという。 この地震の規模を示すマグニチュードは 7.1 で、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が初めて発令される要因にもなった。 日向灘のような陸側のプレートと海側のプレートとの境界はおおまかに言うと、@ 強く固着している場所、A 弱く固着している場所、B 常に滑っている場所の三つに分けられる。 通常の地震は、@ の場所で断層が 1 秒間に約 1 メートルと急速にすべるため、地震波を出す。 一方でスロースリップは、A の場所で地震の 10 万分の 1 から 100 万分の 1 くらいの速さでゆっくりと動くため、それ自体は地震波を出さない。 日向灘の場合は、これまでスロースリップがおおむね 2 年間隔で発生し、数カ月にわたって続いてきた。 国土地理院の研究チームは、測位衛星システム「GNSS」の 18 年 8 月 - 24 年 8 月のデータを解析。 この間スロースリップは 4 回発生していて、間隔は 1 回目と 2 回目の間が約 1 年 10 カ月、2 回目と 3 回目の間は約 2 年 6 カ月だった。 だが昨年 8 月の地震の前まで続いていた 4 回目は、3 目からまだ 11 カ月しか経っていなかったことが分かったという。 チームによると、大きな地震の前にスロースリップの発生間隔が短くなる現象はシミュレーション上では再現されていた。 @ の地震が起きる領域でひずみがある程度までたまると、スロースリップが起きる、A 領域にもよりひずみがたまりやすくなるためと考えられる。 ただ、次の日向灘での大地震の前にもスロースリップが発生するかや、日向灘以外の場所でも起きるかどうかは分かっていない。 また、24 年 8 月の地震の滑りやその後の滑りは、25 年 1 月に最大震度 5 弱の地震が起きた領域の摩擦を減らす力を及ぼし、地震を起こしやすくしていたことも分かったという。 研究チームの宗包浩志・地殻変動研究室長(測地学)は「スロースリップを調べることが、将来的な予測研究の手がかりになり得るという結果だ。 さらに観測事例を積み重ねたい。」と話す。 6 月 27 日付の 米科学誌サイエンス に論文が掲載された。 (佐々木凌、asahi = 9-12-25) 火星の岩に古代生命の痕跡か NASA「明確な兆候」
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