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Switch2、世界販売が 350 万台を突破 歴代で最速ペース

任天堂は 11 日、5 日に発売した新型家庭用ゲーム機「Nintendo Switch2」について、世界での販売台数が 350 万台を突破した、と発表した。 発売後 4 日間の累計台数で、初代スイッチや「ニンテンドー DS」など同社の歴代ゲーム機のなかでも過去最高となった。 任天堂は、スイッチ2 を 2026 年 3 月末までに世界で 1,500 万台売り上げる計画で、発売後 4 日間ですでに 20% を達成したことになる。 初代スイッチの世界での初月販売台数は 274 万台だった。

4 月に先行して実施した自社の公式通販サイトでの抽選販売には、国内だけで約 220 万人が応募。 フリマサイトなどでは高値での転売も確認されており、需要が供給を大きく上回る状況はしばらく続くとみられる。 (近藤咲子、asahi = 6-11-25)


任天堂 Switch2、初年度に 1,500 万台 増益予想も米関税が影

任天堂は 8 日、6 月に発売予定の新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」について、2026 年 3 月期に 1,500 万台販売する計画を発表した。 新型機が牽引役となり、同期の業績見通しを、売上高で前年比 63.1% 増の 1 兆 9 千億円、純利益を同 7.6% 増の 3 千億円とした。 17 年 3 月に発売した現行モデル「Nintendo Switch」の同年末までの販売実績は約 1,500 万台だった。 「同等の立ち上げを目指す(古川俊太郎社長)」としている。 ただ、稼ぎ頭である米国市場は、トランプ政権の関税政策の影響で、不安定な状況が続く。 今回の業績予想は、4 月 10 日(米国東部時間)に新たに課された税率からは上乗せがない前提に基づいている。 26 年 3 月期の利益予想には、すでに関税による数百億円程度のマイナスの影響を織り込んでいるという。

古川社長は「非常に不確定な状況で、需要への影響を正確に推し量るのは難しい。さらなる追加関税が課された場合、価格調整をすれば需要が減少する可能性もある」とした。米国内の食品や生活必需品が値上がりし、「(消費者が)ゲームに使う予算が減るといった影響が出る可能性もある」との懸念を示した。 25 年 3 月期の業績は、現行モデルの販売が減速したことなどから、売上高が前年比 30.3% 減の 1 兆 1,649 億円、純利益は同 43.2% 減の 2,788 億円と大幅な減収減益だった。 (近藤咲子、asahi = 5-8-25)


任天堂「Switch 2」実機公開 チャット、おすそわけ機能追加

任天堂が 6 月 5 日に発売する新型ゲーム機「Nintendo Switch 2 (ニンテンドースイッチツー)」の実機が 4 月 3 日、東京都内で披露された。 離れた場所にいる仲間と話しながら同じゲームを楽しめる機能などを盛り込み、遊びを進化させた。 スイッチツーには、同社が「ゲームチャット」と呼ぶ機能がついた。 本体内蔵のマイクなどを使い、オンラインでつないだ相手とゲーム画面を共有し、最大 12 人で話しながら遊べる。 専用の「C」ボタンを押せば簡単に始められる。

別売りの専用カメラ(希望小売価格、税込み 5,980 円)をつなげれば自分の顔をゲーム画面にも映せる。 それぞれ離れた場所にいても、同じ部屋に集まっているかのように遊べるとする。 また、ゲームソフトをおすそわけする機能もつけた。 対応ソフトを1人が持っていれば、インターネットなどを通じてソフトを持っていない人も同じゲームを遊べる。 チャットとおすそわけの機能は当面無料だが、2026 年 4 月以降もこの機能を使うには同社の有料オンラインサービスへの登録が必要だ。

「ジョイコン 2」と呼ぶ本体両脇につく着脱式コントローラーは、手に持って振ったりして操作できる。 パソコン機器の「マウス」のように机の上で滑らせてゲームに使える。 本体の画面は 7.9 インチとスイッチより一回り大きくなった。 現行のスイッチのゲームソフトも一部を除いて遊べる。 スイッチツー用にソフトを改良して発売するものもある。 例えば昨年秋発売の「スーパー マリオパーティ ジャンボリー」は、声や動きの大きさが勝敗を左右するゲームや、コントローラーをマウスのように動かして遊ぶエアホッケーのようなゲームなどが追加されるという。

スイッチツーの希望小売価格は日本語・国内専用機で税込み 4 万 9,980 円。 同社の「マイニンテンドーストア」で抽選販売するほか、全国のゲーム取扱店などでは 24 日以降、準備が整い次第、順次予約、抽選の受け付けを始める。 (近藤咲子、asahi = 4-3-25)



任天堂が中間決算で最高益 マリオ映画のヒット、ゲームソフトに波及

任天堂(京都市)の業績が好調を維持している。 7 日に発表した 2023 年 9 月中間決算では、純利益は中間期で過去最高となる 2,712 億円だった。 4 月に公開された映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の世界的な大ヒットが、ゲームソフトの売れ行きも押し上げる好循環が生まれている。 映画の全世界での興行収入は、7 月末時点で 13 億ドルを突破し、観客動員数は累計で 1 億 6 千万人を超えた。 日本や欧州にとどまらず、アジアや南米地域など多様な地域で、幅広い年齢層が劇場に足を運んだ。

中間決算の売上高は前年同期比 21.2% 増の 7,962 億円。 このうち、マリオの映画関連の売り上げを含む「モバイル・IP 関連収入等」は、同 133.3% 増の 550 億円にのぼった。 また、本業のもうけを示す営業利益は同 27.0% 増の 2,799 億円だった。 映画の大ヒットはゲームソフトの売れ行きにも影響している。 マリオの関連タイトルの販売は好調に推移し、17 年に発売された「マリオカート 8 デラックス」が 322 万本(23 年 4 - 9 月)を記録。 その他の過去のマリオ関連の複数のソフトも計 120 万本(同)以上を売り上げた。

さらに、マリオ以外のゲームソフトでは、5 月に発売された「ゼルダの伝説」シリーズの最新作が 1950 万本(同)と、売り上げに大きく貢献した。 ハードでは 17 年に発売した「Nintendo Switch (ニンテンドースイッチ)」が、前年同期と比べて販売台数を伸ばした。 21 年に色鮮やかな有機 EL ディスプレーを搭載したモデルを追加したことが奏功している。 古川俊太郎社長は「スイッチの買い替え需要や新規需要を、実際の購入につなげていくことが重要だ」と話す。 同社は 24 年 3 月期の通期業績予想を上方修正し、売上高は当初予想から 9.0% 増の 1 兆 5,800 億円、純利益は同 23.5% 増の 4,200 億円とした。 (森下友貴、asahi = 11-7-23)


ファミコンが 40 周年 任天堂は特設サイト、月 1 で全国一斉クイズも

任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」が 15 日で発売 40 周年を迎えた。 「ファミコン世代」という言葉が生まれるほど社会現象を巻き起こし、世界的な大ヒットになった。40年たった今もなお国内外のファンに愛され、同社独自の販売戦略の礎となっている。

ファミコンの開発は 1981 年、発売の 2 年前に始まった。 任天堂の故・山内溥(ひろし)社長(当時)が、ヒット中だった携帯型ゲーム機「ゲーム & ウオッチ」の「次が見たい」として、「他社がまねできないゲームを開発してくれ。 3 年間は競争相手が出ないように頼む」と指示。 後に「ファミコンの父」と呼ばれた開発責任者の故・上村雅之氏らを中心とした開発チームが動き出した。 目標に「ゲームセンターのゲームが家でできる」を掲げた。 当時としては高性能な 8 ビットの CPU (中央演算処理装置)を搭載し、一台の機械(ハード)に様々なソフトを差し込んで遊ぶスタイルを採用。 さらに性能の割に安価(希望小売価格 1 万 4,800 円)なことも受け、空前の売れ行きとなった。

ソフトでは、発売と同時に今も人気の「ドンキーコング」が登場し、85 年に発売された「スーパーマリオブラザーズ」は世界で 4,024 万本の大ヒットに。 その後、任天堂からは「星のカービィ」シリーズなどが生まれた。 自社でつくるだけでなくソフト会社にも開発を委ね、エニックス(現・スクウェア・エニックス)が発売した「ドラゴンクエスト」など現在に続く作品が生まれた。 人気ソフトを売って得たお金で次のソフトをつくる好循環がまた、ハードの売り上げを押し上げていった。 2003 年に生産を終え、ファミコンは世界で 6,191 万台が売れた。

「本当にシンプルな操作で楽しく遊べるところが魅力なんです。」 大阪市内に住む 40 代男性は、小学 1 年生のときに親にねだって買ってもらった。 下校後は友達と夢中になってテレビ画面にかじりついた。 「当時はゲームがうまい人がクラスでも人気者になっていました。 今でもファミコンで遊ぶときもありますが、昔の記憶がよみがえります。」とほほえむ。 かつて熱中した世代の思い入れは強い。 16 年に手のひらサイズの、復刻版ともいえる「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」が発売されると、当時を懐かしむ人らが家電量販店などに殺到。 品切れ状態が続いた。

21 年には海外版用ソフト「スーパーマリオブラザーズ」が、米国の競売会社ヘリテージ・オークションズが主催したオークションで、66 万ドル(当時約 7,300 万円)の値段をつけて落札された。 ソフトが投資の対象にもなっている。 任天堂は 40 周年を記念し、15 日にファミコンの歴史を振り返る特設サイトを公開した。 サイトでは、ファミコンの性能を詳しく解説。 年表を使って歴代のゲームソフトやファミコンにまつわる文化を紹介している。 また、「ファミコン全国一斉クイズ」を 7 月から 1 年間、月 1 回のペースで開催する予定だ。 累計得点に応じてランクが上がる仕様だという。

ライバルが市場に参入 ハードの売り上げが業績を左右

「ファミコンに始まる任天堂のゲーム機は、ゲームの楽しさを大人のマニアだけでなく、ゲームセンターに入りにくい子どもや大衆にも広げた。」 ゲームの世界に詳しい立命館大学の細井浩一教授(文化資源経営学)はそう評価する。 90 年には後継となる「スーパーファミコン」が発売され、こちらも大ヒットを記録した。 ただ、「一人勝ち」は長くは続かなかった。 他社が次々と参入。 94 年にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE、現ソニー・インタラクティブエンタテインメント = SIE)の「プレイステーション (PS)」が、02 年には米マイクロソフト (MS) の「Xbox (エックスボックス)」が国内で発売された。 任天堂の業績はゲーム機の売れ行き次第で乱高下を繰り返すようになった。

携帯型の「ニンテンドー DS (ディーエス)」と据え置き型の「Wii (ウィー)」が同時にヒットしていた 09 年 3 月期には、1 兆 8 千億円と過去最高の売上高を記録した。 だが、12 年に発売された「Wii U (ウィーユー)」は人気ソフトの少なさなどから苦戦し、17 年 3 月期まで 8 年連続で売上高が減った。 一方でその間、SCE は「PS4」、MS も主力の「Xbox」シリーズの最新作(当時)を 14 年に国内で発売し、攻勢をかけた。

任天堂が 17 年に「Nintendo Switch (ニンテンドースイッチ)」を販売すると、18 年 3 月期は売上高が前年の倍に。 7 年ぶりに 1 兆円を超え、営業利益も 6 倍と、業績は V 字回復した。 世界的な半導体不足の影響で品薄になるなどの逆風もあったが、今年 3 月末時点で販売台数は 1 億 2,562 万台にのぼる。 ただ現在、スイッチは発売から 7 年目を迎え、広く普及していることから、勢いには陰りも見える。 SIE の「PS5」、MS の「Xbox シリーズ X、S」という高性能なゲーム機も 20 年に発売され、依然として競争は激しい。

さらにスマホゲームが台頭し、KADOKAWA グループの「ファミ通ゲーム白書 2022」によると、21 年の国内ゲーム市場の規模は 2 兆 27 億円で、10 年で倍以上に。 その中心はゲームアプリで 1 兆 3 千億円だ。 近年はネット上の仮想空間「メタバース」などの技術を使ったゲームやパソコン (PC) ゲームの携帯型の機器も登場し、業界には新しい風が吹く。

テーマパークや映画とコラボ 任天堂 IP の拡大を図る

近年の任天堂が取り組むのは、知的財産 (IP) を使った独自の販売戦略だ。 21 年、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン (USJ) に、マリオの世界観を再現したアトラクションを楽しめる「スーパー・ニンテンドー・ワールド」を開業。 今年 2 月には米国のユニバーサル・スタジオ・ハリウッドにマリオなどをテーマにしたエリアを開いた。 24 年にはUSJでドンキーコングの新エリアも始める。 映画にも進出。 「ミニオンズ」などを手がけた米イルミネーションと共同制作したアニメ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は 4 月の公開後、6 月末時点で全世界での興行収入が 1,900 億円を突破する大ヒットとなった。 グッズを売る直営店も展開し、東京、大阪に続き、10 月には京都にも出店する。

古川俊太郎社長は「IP に触れる人口の拡大を通じ、キャラクターやゲームの世界に触れていただくことで、中核ビジネスであるゲーム専用機ビジネスを持続的に活性化していくことを目指したい」と語る。 ファミ通ゲーム白書の上床光信編集長は「ファミコンを原点とする任天堂の IP は、ゲーム機が変わろうと残り続け、その強みは簡単には揺るがないだろう。」と話す。 (森下友貴、asahi = 7-15-23)

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