中国が米コンサル会社を調査 "全国規模の反スパイキャンペーン始まる" 中国の国家安全当局が、アメリカのコンサルタント会社に対する調査を開始したと国営メディアが報じました。 中国国営の中央テレビは 8 日の番組で、アメリカのコンサルタント会社や調査会社が中国の防衛産業の機密担当者に頻繁に接触し、機密データを入手しているなどとする内容を報じました。 番組ではさらに、ニューヨークと上海に本社を置くコンサルタント会社「キャップビジョン」を名指しして、外国の情報機関と密接な関係を持つ海外企業から機密性が高い産業に関連した案件を大量に受注していたと指摘。 中国の国家安全当局が調査を開始したとしていて、外務省もこれを認めています。
中国当局は先月も別のアメリカのコンサルタント会社を調査していますが、全国規模の反スパイキャンペーンが始まったと報じる中国メディアもあり、今後、当局による締めつけがさらに強まる可能性があります。 (TBS = 5-9-23) 中国がカナダに対抗措置 上海総領事館の外交官に退去通告 【北京 = 三塚聖平】 中国外務省は 9 日、カナダの上海総領事館の領事を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として、今月 13 日までに中国を離れるよう求めたと発表した。 カナダ政府が、中国の在トロント総領事館の外交官に同様の措置を取ったことへの対抗措置だと説明している。 中国外務省は「カナダ側の理不尽な措置に対し、中国は対等の対抗措置をとることを決めた」と表明した。 その上で「さらなる反応を取る権利を留保する」とも強調し、カナダ側の出方次第で追加措置を取る可能性を示唆している。 カナダ政府は8日、中国の在トロント総領事館の外交官にペルソナ・ノン・グラータを通告し、5 日以内の退去を求めた。 中国の人権弾圧を批判する野党保守党の国会議員とその親族の情報を収集し、脅迫の標的としたとされる。 (sankei = 5-9-23) 中国、北西部の基地に大型飛行船 衛星画像で確認、米報道 【ワシントン】 米 CNN テレビは 1 日、中国軍が開発した大型飛行船が、中国北西部の砂漠にある基地で初めて確認されたと報じた。 昨年 11 月撮影の商用衛星画像で明らかになったと伝えた。 これまで知られていたよりも多用途に使えて機動性が高い飛行船の開発計画が中国で著しく進んでいる可能性があるとしている。 航空宇宙専門家が画像を分析し、長さ 1 キロ近い滑走路に全長約 30 メートルの飛行船が写っていたことが判明。 奥行き約 270 メートルの巨大な格納庫も確認した。 南部バージニア州の衛星画像会社「ブラックスカイ」が撮影した。 (kyodo = 5-2-23) 欧州議会も職員に TikTok 利用禁止、中国への情報流出懸念拡大 [ブリュッセル] 欧州連合 (EU) 欧州議会は、職員による中国系動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」の利用禁止を決めた。 EU 機関では既に先週、欧州委員会と EU 理事会が職員の携帯端末で TikTok の利用を禁じており、中国政府がこのアプリを通じて個人情報を入手する恐れへの懸念が広がっていることが改めて示された。 中国政府は一貫してそのような意図は持っていないと主張している。 欧州議会の広報担当者によると、今回の禁止対象は議会のモバイル管理アプリに登録されたスマートフォンやタブレットが対象。 ただ議会側は、職員や議員に対しても個人端末から TikTok を削除するよう強く推奨した。 TikTok は、こうした禁止措置は根本的な誤解に基づいており、見当違いの対応だと批判している。 (Reuters = 3-1-23)
◇ ◇ ◇ カナダ政府が TikTok 禁止 米も 30 日以内に削除、安全懸念高まる カナダ政府は 27 日、中国系動画投稿アプリ「TikTok (ティックトック)」について、政府が支給する携帯端末での使用を禁止すると発表した。 プライバシーや情報セキュリティーの観点で「許容できないレベルのリスクがある」と判断した。 ロイター通信によると、バイデン米政権も 27 日、連邦政府の機器から TikTok を 30 日以内に削除するよう指示した。 日本政府も一部の公用端末で利用を禁じており、中国への情報流出の懸念が各国で高まっている。 カナダ政府支給の携帯端末では 28 日にアプリが削除され、新たにダウンロードすることもできなくなる。 カナダ政府は TikTok のリスクを強調する一方で「現時点で政府の情報が漏洩したという証拠はない」としている。 (kyodo = 2-28-23) 米国務長官、中国が「ロシアへの殺傷兵器提供を検討」 「深刻な結果」もたらすと警告 アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は 19 日、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して中国が、「殺傷力のある」兵器と弾薬の提供を検討しているとの見方を示した。 ブリンケン長官は 18 日、ドイツ・ミュンヘンでの安全保障会議で中国の外交トップの王毅氏と会談後、米 CBS ニュースのインタビューに応じた。 ロシアへの支援をめぐっては、すでに中国企業がロシアに「殺傷力のない支援」を提供しているものの、ブリンケン氏は中国政府が「殺傷力のある支援」を提供する可能性があると示す新情報を得たと述べた。 そして、このようなエスカレーションは中国にとって「深刻な結果」を意味すると警告した。 中国は、軍装備品の提供をロシア政府から要求されているとの報道を否定している。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を支持する中国の習近平国家主席は、ロシアによるウクライナ侵攻をいまだ非難していない。 ただ、習氏はこの戦闘をめぐり中立の立場を維持しようとしており、平和を呼びかけている。 中国外務省は、ロシアとの関係についてアメリカから「非難」されたり「強制」されることは受け入れないとしている。 ■ 外交トップに「深い懸念」表明 ブリンケン氏は王氏との会談の中で、「中国がロシアに殺傷力のある支援を提供する可能性」について「深い懸念」を表明したという。 「現在に至るまで、我々は複数の中国企業が(中略)ウクライナで使用するための殺傷力のない支援をロシアに提供しているのを確認してきた。 それが今では、中国が殺傷力のある支援提供を検討していると情報を得ており、我々はこれを懸念している」と、ブリンケン氏は述べた。 中国の計画についてアメリカがどのような情報を入手したのかは、長官は明らかにしなかった。 中国がロシアに具体的に何を提供しそうだと、アメリカとして考えているのか重ねて問われると、ブリンケン氏は主に兵器と弾薬だろうと述べた。 米政府は 1 月 26 日、ロシアの雇い兵組織「ワグネル・グループ」にウクライナの人工衛星画像を提供していたとして、中国企業に制裁を科したと発表した。 ブリンケン氏はCBS に対し、「言うまでもなく、中国では民間企業と国家の間に、実質的な区別がない」と述べた。 そして、中国がロシアに兵器を提供すれば、「アメリカにとって、そして米中関係にとって、深刻な問題」を引き起こすことになると付け加えた。 ブリンケン氏はまた、ロシアが西側諸国による経済制裁の影響を回避できるよう、中国が支援することを懸念していると述べた。 中国はロシアとの貿易を拡大しており、石油やガス、石炭といったロシアのエネルギー市場の最大の取引先の 1 つとなっている。 ■ ウクライナへの支援は アメリカを含む北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国はウクライナに対し、車を含む様々な兵器や弾薬、装備品を送っているが、戦闘機の供与には至っていない。 ブリンケン氏は、アメリカが他国の戦闘機供与を支援するかについては回答を避けた。 「特定の兵器システムに固執したり、焦点を当てたりすべきではない。 この点について、我々は立場を明確にしてきた。」 しかし一方で、「今後数カ月」の内にあり得るウクライナの反攻に向けて、西側諸国はウクライナが必要なものを確実に入手できるようにすべきだと強調した。 ロシアは現在、ウクライナで激戦地のひとつになっている東部で、前進しようとしている。 ■ 中国の立場は 王毅氏は 18 日にミュンヘンで、ウクライナでの戦争を「傍観していたことも、火に油を注いだことも一度もない」と述べたと、ロイター通信は報じた。 王氏によると、中国は紛争解決に関する同国の立場を記した文書を公表する方針だという。 その文書には、すべての国の領土保全が尊重されなければならないとの文言が含まれるとした。 「この戦争を止めるために何ができるか、欧州の友人たちをはじめ全員が、冷静に考え始めるよう提案する。」 王氏はさらに、「交渉の成功や、戦争の早期終結を望まないかのように見える勢力」が存在するとしたが、誰を指しているのかは明言しなかった。 イタリアのアントニオ・タヤーニ外相によると、習主席はウクライナ侵攻開始から丸 1 年となる 24 日に「平和演説」を行う予定。 ロイター通信によると、タヤーニ氏はイタリアのラジオに対し、習氏の演説はロシアを非難せずに平和を呼びかける内容になるだろうと話した。 ■ 中国の「偵察用気球」めぐり関係悪化 アメリカと中国の関係は、今月上旬に中国の偵察用気球とみられるものが米上空を飛行しているのが確認され、その後米軍によって撃墜されたことをきっかけに、すでに悪化していた。 ブリンケン氏と王氏は会談の中で、気球をめぐり対立が深まっていることについても強い言葉を交わした。 ブリンケン氏は「我が国の主権に対するいかなる侵害行為も容認しない」、「この無責任な行為は 2 度と起こしてはならない」と述べた。 世界 5 大陸にまたがる中国の「偵察気球計画」に他の国々が懸念を抱いていると、ブリンケン氏は CBS に語った。 これについて王氏は、「アメリカが作り出した政治的茶番劇」だとし、「あらゆる手段を使って中国をブロックし、抑圧している」と非難した。 中国は、気球は偵察用ではなく、気象観測用のものが風で飛ばされたと主張している。 中国政府は 19 日朝、アメリカが気球をめぐる論争をエスカレートさせれば、アメリカは「すべての結果を負う」ことになると警告した。 ロイター通信によると、中国外務省は声明で、中国は「アメリカがこの問題を利用することにこだわる」のであれば、「最後まで徹底的に対応する」と述べた。 (BBC = 2-20-23) 中国の気球は風に流された? 米政府、「偶然」飛来の可能性排除せず 米本土上空を飛行し、撃墜された中国の気球について、中国当局が意図しないなかで米本土に入った可能性があると米政府がみていることが明らかになった。 中国側は気球が米本土に入ったことを「不可抗力だった」として遺憾の意を表明していた。 事実であれば、中国側の主張の一部が正しかったことになる。 米紙ワシントン・ポストは 14 日夜、複数の米政府関係者の話として、米国が、中国南部の海南島で発射されたときから米領空に入るまで約1週間、気球を追跡していたと報じた。 気球は当初、米領グアムに向かったようだったが、北に針路を変えた。 風の影響で米本土に到達した可能性もあるという。 ただ、その後、気球が核弾頭を搭載する大陸間弾道ミサイル (ICBM) の発射施設がある米モンタナ州の上空を飛行したことについて、米政府関係者は「偶然ではない」とみているとした。 米政府はこの報道についてコメントしていない。 国務省のプライス報道官は 15 日の会見で、中国が意図せず米本土上空に気球を飛ばした可能性について問われると、「(中国が意図したかどうかは)問題ではない」と強調。 「監視用気球は領空侵犯で、国際法に違反した。 潜在的な脅威を防ぐため、大統領は(撃墜などの)行動を指示した」と説明した。 中国はこれまで、気球を中国のものだと認めた上で、「西風の影響で予定したコースから大きく外れた」と説明してきた。 気球そのものの目的をめぐっては、米中の言い分は食い違ったままだ。 気象観測など民用のものだとする中国側に対し、米国側は当初から情報収集が目的だったと断定し、非難している。 (ワシントン = 清宮涼、asahi = 2-16-23) 北米、飛行物体の撃墜相次ぐ 偵察気球と特徴異なる 【ワシントン = 坂口幸裕】 米軍は 4 日に中国の偵察気球を撃墜したのに続き、10 - 12 日に 3 日連続で飛行物体を撃ち落とした。 2 月だけで計 4 件にのぼり、国防総省高官はレーダー監視の強化が探知力の向上につながったと説明した。 10 日以降の飛行物体は国籍や飛行目的などが不明で、米軍は分析を急ぐ方針だ。 米軍の戦闘機 F16 が 12 日午後、空対空ミサイル「サイドワインダー」で中西部ミシガン州とカナダの国境にあるヒューロン湖の上空高度 2 万フィート(約 6,000 メートル)を飛行する物体を撃墜した。 バイデン米大統領が指示した。 米軍は 10 日に米アラスカ州、11 日にはカナダの領空をそれぞれ侵犯した物体を撃ち落とした。 メリッサ・ダルトン米国防次官補は 12 日、記者団に「レーダーの強化などで高度の空域をより入念に監視している。 この 1 週間で発見した飛行物体が増えた一因かもしれない。」と話した。 米政府は 4 日に撃墜した中国の偵察気球と 10 日以降の飛行物体が同じ目的で米国とカナダに送られたと断定するのを避けている。 気球問題をきっかけに米中関係の緊張が高まっており、慎重に分析を進める。 中国の偵察気球の大きさは高さ最大 200 フィート(約 60 メートル)でバス 3 台分に相当する。 米上空の高度約 6 万フィート(約 1 万 8,000 メートル)を飛行。 軍事施設を標的に通信を傍受できるアンテナが搭載され「(中国の)情報収集活動が可能だった」と結論づけた。 これまでに米上空にトランプ前政権で少なくとも 3 回、バイデン政権初期に 1 回飛来していた。 米軍は今回の偵察気球の飛来が過去に比べて長時間だったのが特徴だったと指摘した。 一方、米軍が「飛行物体」と曖昧な表現で呼ぶものは偵察気球に比べて小さく、飛行高度も 2 万 - 4 万フィートと低い。 民間航空機の運航に危険を及ぼす可能性があると判断して撃墜した。 10 日にアラスカで撃ち落とした物体の大きさは小型車 1 台分ほどだった。 11 日のカナダ上空の物体は円筒形、12 日のヒューロン湖上空は八角形でひもが下がっていたとみられ、形状がそれぞれ異なる。 国防総省高官らは 3 つとも国籍や飛来目的などの詳細に言及しなかった。 米本土防衛を担当する北方軍のグレン・バンハーク司令官は 12 日、10 - 12 日に撃墜した 3 つの飛行物体はスピードや大きさが似ているとの認識を示した。 米軍は 10 日以降の物体を現時点で「気球」と分類せず、「物体と呼んでいる理由がある」と述べたものの背景は明かさなかった。 バンハーク氏は「特定の国のものだと決めつけるべきでない。 我々はわからない。」とも語り、撃墜した残骸を回収・分析する重要性を強調した。 北大西洋条約機構 (NATO) のストルテンベルグ事務総長は 13 日、記者会見で中国の偵察気球が米本土に飛来したことに触れ「情報共有や領空監視を向上することの重要性を示している」と指摘した。 欧州でも領空監視を強める必要があると訴えた。 (nikkei = 2-14-23) 飛行物体、3 日連続撃墜 中国反発「米国の気球は領空を 10 回飛行」 米軍は 12 日、米・カナダの国境にまたがるヒューロン湖上空で飛行物体を撃墜した。 11 日にもカナダ北西部上空で飛行物体を撃墜しており、3 日連続の撃墜となった。 残骸を回収し、物体の詳細や目的を詳しく調べる。 米軍が 4 日に中国の気球を撃ち落として以降、9 日間で 4 件の撃墜が続く異例の事態だが、それぞれの関連はわかっていない。 一方、米軍による気球の撃墜が「過剰反応」だと反発してきた中国側では、外務省の汪文斌副報道局長が 13 日の会見で「米国の高高度気球が 2022 年以降、計 10 回余り、中国の領空を違法に飛行した」と語った。 中国側が初めて示す主張で、気球を監視用だとみなして撃墜した米側の対応を改めて批判するものだ。 汪氏は「米国がまず我が身を振り返って反省し、やり方を改めることだ」と指摘。 米国が技術力を駆使して全世界で機密を盗んでいるとして、「米国こそが世界最大のスパイ常習犯で監視帝国だ」と批判した。 汪氏は、米国やカナダで 10 - 12 日に撃墜された飛行物体については「全く知らない」と答えた。 ただ、米軍がこれらの飛行物体を撃墜していることについては「過剰反応だ」と批判した。 国防総省の機密施設近くを飛行した可能 米国防総省によると、12 日午後、ヒューロン湖上空で F16 戦闘機が短距離空対空ミサイルを発射し、飛行物体を撃墜した。 物体は国防総省の機密施設近くを飛んでいた可能性があり、高度も 2 万フィート(約 6 千メートル)ほどで民間航空機に危険を及ぼす可能性もあったため撃墜したという。 残骸はヒューロン湖のカナダ側の湖面に落下したとみられ、今後、回収して詳しく調べる。 ヒューロン湖が隣接する米ミシガン州選出のスロットキン下院議員は 12 日、国防総省から湖の上空を飛ぶ飛行物体について連絡があったと明らかにし、ツイッターで「いったいこの物体は何なのか、何を目的としているのか、皆が関心を持っている」と投稿した。 前日の 11 日には、米国とカナダが共同運用する北米航空宇宙防衛司令部が、カナダ北西部上空約 4 万フィートで確認された飛行物体を撃墜した。 物体の詳細は判明しておらず、カナダ軍が残骸を回収して分析する。 両国の発表によると、10 日夜遅くに米アラスカ州の上空で見つかり、カナダ上空に至るまで戦闘機で追跡していた。 10 日にはカナダ国境に近いアラスカ州上空で、米軍機が別の飛行物体を撃墜している。 中国の気球に比べて小さく、円柱状で浮遊していたとの情報も報じられた。 12 日夜に記者会見した北米航空宇宙防衛司令部のバンハーク司令官は「現時点で追跡している物体は他にない」と語った。 こうした米側の一連の措置に関連したものかは不明だが、中国山東省青島市の海洋当局は 12 日夜、周辺海域で正体不明の飛行物体が見つかり撃墜の準備をしているとして、漁船に注意を促す通知を出した。 中国メディアが報じ、中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)も 12 日夜、ツイッターに同じ通知を投稿した。 漁船周辺に落下物があった場合、写真を撮影するよう協力も求めている。 飛行物体が見つかったのは、青島市から南東に約 60 キロの黄海上だとしている。 青島市には中国軍北海艦隊の司令部がある。 この通知について、外務省の汪副報道局長は「関係部門に問い合わせてほしい」と語るにとどめた。 (ワシントン = 合田禄、高野遼、北京 = 高田正幸、asahi = 2-13-23)
五大湖上空で飛行物体を撃墜 米軍による撃墜、今月だけで 4 件目 米国防総省は 12 日、米国とカナダの国境付近にある五大湖の一つ、ヒューロン湖の上空で飛行物体を撃墜したと発表した。 北米の上空で飛行物体が撃墜されるのは 3 日連続。 今月 4 日に米本土を横断した末に撃墜された中国の気球を含め、今月だけで 4 件目の撃墜となった。 国防総省のライダー報道官の声明によると、12 日午後 2 時 42 分、F16 戦闘機が短距離空対空ミサイルを発射して撃墜した。 物体は上空 2 万フィート(約 6 千メートル)を飛んでいたという。 12 日朝に飛行物体を見つけ、追跡していた。 飛行経路とデータに基づくと、この物体が国防総省の機密施設近くを飛行していた可能性があるという。 物理的な軍事的脅威はないが、周辺の安全な飛行に危険があったり、潜在的な監視能力による脅威があったりすると評価しているとした。 今後、この物体を回収して詳しく調べる。 10 日にはカナダ国境に近い米アラスカ州上空で、米軍機が飛行物体を撃墜。 中国の気球に比べて小さく、円柱状で浮遊していたとの情報も報じられている。 11 日にも米国とカナダの首脳が協議した後に、米軍機がカナダ北西部上空の高高度で確認された飛行物体を撃墜していた。 11 日までの 33件では、撃墜に米国の F22 戦闘機が使用された。 (ワシントン = 合田禄、asahI = 2-13-23) カナダ北部で「飛行物体」を撃墜 今後、残骸を回収し分析へ カナダ北部で「高高度の飛行物体」が新たに確認され、アメリカ軍とカナダ軍が共同で撃墜しました。 アメリカ軍とカナダ軍が共同で運営する NORAD = 北米航空宇宙防衛司令部は 10 日夜、アラスカ上空を高高度で飛行する「物体」を確認し、カナダの領空に入った後も監視を続けてきました。 アメリカのバイデン大統領とカナダのトルドー首相が 11 日に電話会談して撃墜を承認し、NORAD に所属する F22 戦闘機がカナダ北部で「物体」を撃墜しました。 今後、「物体」の残骸はカナダの当局が回収し、分析作業にはアメリカの FBI = 連邦捜査局も協力するとしています。 今回撃墜された「物体」の詳細や、中国の気球との関連などは、まだ明らかにされていません。 (テレ朝 = 2-12-23) 米軍、アラスカ州上空で飛行物体を撃墜 米国家安全保障会議 (NSC) のカービー戦略広報調整官は 10 日の記者会見で、米軍の戦闘機がアラスカ州上空を飛行していた物体を撃墜したことを明らかにした。 民間航空機の安全を脅かすおそれがあると判断し、バイデン大統領が命じた。 物体がどこから飛んできたのかは不明で、米軍は領海に落下した残骸を回収して分析する方針だ。 NSC や国防総省によると、飛行物体を把握したのは 9 日夜。 小型自動車ほどの大きさで、高度 4 万フィート(約 1 万 2,000 メートル)を飛んでいた。 国防総省の勧告を受け、バイデン氏が 10 日午前に撃墜を命令した。 これを受け、F22 戦闘機が同日午後 1 時 45 分、空対空ミサイル「サイドワインダー」で撃ち落とした。 アラスカ州北東部のカナダとの国境付近上空だったという。 撃墜前に戦闘機から確認したところ、物体に人は乗っておらず、「単独で操縦できる能力はないようにみえた(カービー氏)」という。 米領空では今月 4 日、米軍戦闘機が中国の偵察気球を撃墜したばかり。 カービー氏は今回の物体について、気球かどうかや偵察機器を備えたものなのかについて明らかにしなかった。 中国の偵察気球はバス 3 台分ほどの大きさで、高度約 6 万フィート(約 1 万 8,600 メートル)を飛行していた。 米本土上を横断した後、南部サウスカロライナ州沖の領海上で撃ち落とされた。 米政府は、電波信号の傍受による情報収集活動の能力を持った機器を搭載されていたと断定しており、残骸の回収と分析を続けている。 一方、野党・共和党はバイデン政権の偵察気球への対応は遅すぎたと批判している。 米連邦下院は 9 日に全会一致で採択した対中非難決議に「外国の偵察飛行体による主権侵害を防ぐため、即座に断固たる対応を取るということを米国の政策にすべきだ」と明記していた。 (ワシントン西田進一郎、mainichi = 2-11-23)
中国気球の搭載物は小型ジェット機並みサイズ 地上の通信情報収集か バイデン米政権は 9 日、中国が監視目的で飛ばしたとみて撃墜した気球について、ソーラーパネルや複数のセンサーを搭載し「通信の情報を収集できた」との見方を明らかにした。 気球は「気象など科学研究用」だったとする中国の主張に改めて反論するものだ。 米政権は気球への対応について共和党などから批判も受け、説明に追われており、米側の分析に基づく気球の概要が明らかになってきた。 米国防総省や国務省によると、高さ約 60 メートルの気球の下に、重さ約 1 トンの搭載物があり、小型ジェット機ほどの大きさだった。 米軍の U2 偵察機が撮影した高精度の画像によると、気球は複数のアンテナで地上の通信の情報を集め、発信地の位置情報も得ていたとみられる。ソーラーパネルを搭載し、その電力で、情報収集のための複数のセンサーを稼働させることができた。 米国家安全保障会議 (NSC) は、気球が複数のプロペラを備えており、ジェット気流の中でも向きを変えることができたものの、「最も重要な針路の決め手は気流だった(カービー戦略広報担当調整官)」との見方も示している。 人民解放軍関連の企業が製造か 気球は「民用だった」と主張する中国に対し、米側は、中国の人民解放軍に関係する企業が製造した、と指摘する。 中国の監視用気球は「人民解放軍の指示で運用される場合が多い(国務省)」とみており、製造元の中国企業への対抗措置も検討するとしている。 ただ、米側の見方では、低軌道衛星で従来、中国が得てきた情報以上のものを集めることはできていない。 気球は 1 日、核弾頭を搭載する大陸間弾道ミサイル (ICBM) の発射施設などがある米モンタナ州で確認されたが、国防総省は「情報収集を防ぐために最大限の措置を取った」と説明している。 情報収集が目的だとすれば、なぜ気球を用いる必要があったのか。 詳細は明らかになっていないが、米政府内には、▽ 衛星よりも滞留時間が長い、▽ 衛星よりも地上に近い場所で飛行できる - - といった特徴を指摘する見方もある。 米側によると、気球は大気圏の高度 6 万フィート(約 1 万 8 千メートル)を飛行していた。 中国側にとって、宇宙空間の衛星に比べ探知されにくいという利点があった可能性がある。 また、長く上空に滞在できることから、長時間、監視活動を進めることができる。 気球は低コストだとも指摘されている。 過去に日本、インド、台湾などの上空も飛行か 米国は、1 月 28 日に米アラスカ州アリューシャン列島付近で初めてこの気球を探知した。 2 月 4 日に米南東部サウスカロライナ州の沖合に出たところを撃墜するまで、追跡を続けた。 現在は、海中などに残された気球の残骸を回収、解析する作業を続けており、気球の素材の一部は、すでに米バージニア州の連邦捜査局 (FBI) の研究所に運ばれた。 FBI は 9 日、気球の搭載物の一部であるわずかな電子部品が見つかったと明らかにした。 今後、専門家による詳しい解析を進める、としている。 米国は今回の気球について、中国が過去数年にわたって進めてきた、世界各地での監視活動の一環だという見方も強めている。 国務省は 9 日、中国の監視用気球が、これまで 5 大陸の 40 カ国以上の上空を飛行していた、と指摘した。 具体的な国名は明かしていないが、米メディアによると、日本のほか、インド、ベトナム、台湾、フィリピンなども含まれるとみられる。 国務省は「米国や同盟国、友好国に安全保障上の脅威をもたらす中国の大規模な監視活動を明らかにし、対処していく」としている。 一方、中国政府は当初、米本土上空を飛行する気球を中国のものと認め、偏西風によって流された不可抗力によるものだったとして「遺憾」の意を表明した。 しかし、米国が気球の撃墜に踏み切ると「明らかな過剰反応」と非難し、対抗措置も示唆しながら、激しい反発を示してきた。 中国側は謝鋒外務次官や徐学淵駐米代理大使が相次いで米側に申し入れを行ったほか、国防省報道官も抗議の意思を示した。 米側が持ちかけた国防相の電話協議も拒み、「米側の無責任で誤った手法を見ると、両軍に対話交流する雰囲気はない」として非難した。 中国「米対応は情報、世論戦の一部」 中国が激しい怒りを示す理由の一つに、米国の一連の対応を「中国に対する情報、世論戦の一部(中国外務省の毛寧副報道局長)」だとする見方がある。 中国の習近平(シーチンピン)国家主席とバイデン米大統領は 2022 年 11 月の首脳会談で、互いの高官らによる意思疎通を密に図ることで一致した。 ブリンケン国務長官が 23 年の早い時期に訪中することになり、中国側もこれを重視し、米メディアによると、習氏との会談も調整されていた。 ただ、飛来した気球が米国内で大きな政治・外交問題として注目を集めると、バイデン政権はブリンケン氏の訪中を急きょ取りやめ、気球の撃墜にも踏み切った。 この動きに中国軍事筋は「米国は理由を探して中国を非難している」と不信感を示す。 一方で、軍事筋は「問題の複雑化を中国は望んでいない」とも話す。 国営メディアはこの数日、気球の話題をほとんど報じていない。 ブリンケン氏の早期の訪中も見込み、世論の過激化を警戒しているとみられる。 (ワシントン = 清宮涼、北京 = 高田正幸、asahi = 2-10-23) 気球問題「中国が国防相の電話を拒否」 米国防総省が明らかに 米国防総省は 7 日、米本土上空に飛来した中国の気球を撃墜した後、中国側に国防相同士の電話協議を提案したが、中国側が拒否したと明らかにした。 気球をめぐっては、監視用とみる米側に対し、中国は「民用のもの」と主張し、溝が深まっている。 米中高官の対話が途切れている現状が鮮明になった。 米軍は今月4日、米南東部サウスカロライナ州の沖合で気球を撃墜した。国防総省のライダー報道官の声明によると、米側はその直後に、オースティン国防長官と中国の魏鳳和国防相による電話協議を提案した。中国側はこの提案を拒否したという。 ライダー氏は声明で、「私たちは、責任をもって関係を管理するために、米中間の意思疎通の機会を維持することが重要だと信じている。このようなときにこそ、軍同士の意思疎通は重要だ」と指摘した。 (asahi = 2-8-23) 中南米上空で確認された気球、中国のものと認める 中国政府は 6 日、3 日に中南米の上空で確認された気球が中国のものだと認めた。 ただし、民間のものだと主張している。 中国外交部の毛寧報道官は、気球は風に飛ばされて軌道から外れてしまったのだと説明した。 アメリカ政府は 4 日、同様の別の気球を領空内の洋上で撃墜している。 偵察用の気球だとの批判が相次いでいた。 中国はスパイ行為を否定しており、気象観測の気球だと強調。 一連の騒動は、米中間の外交問題に発展している。 米軍高官は 4 日、2 つ目の中国のものとみられる気球が中南米上空で確認されたと発表した。 週末には南米コロンビア空軍が、「くだんの気球に似た特徴」の物体を 3 日、領空の高度 1 万 6,000 メートル付近で発見したことを明らかにした。 コロンビアは、この物体が領空を出るまで追跡したが、国家安全保障への脅威にはならなかったと付け加えている。 その後、中国政府は 6 日に、気球が「誤って中南米およびカリブ海の領空に入ってしまった。」と発表した。 毛報道官は記者団に対し、気球は本来の軌道から「大きく外れてしまった」と説明。 「操作性の欠如」と気象条件が原因だとした。 (BBC = 2-7-23)
米軍、中国偵察気球を撃墜 戦闘機が東岸沖でミサイル [ワシントン] オースティン米国防長官は 4 日、米本土上空を飛行していた中国の偵察気球を東部サウスカロライナ州沖で撃墜したと発表した。 今後、残骸から監視機器を回収するとみられる。 米軍高官によると、F22 戦闘機が東岸沖約 11 キロの上空でミサイルを使用して撃墜した。 州内 3 空港では発着便の飛行停止命令が一時出されたが、運航は午後に再開した。 バイデン大統領は「気球の撃墜に成功した」と述べた。 大統領は 1 日に撃墜を命令していたが、破片落下により地上で被害が及ぶのを避けるため、国防総省が海上に出るまで待つべきと勧告していた。 同省関係者によると、気球は 1 月 28 日に米国の防空識別圏に入り、カナダ領空を通過して同 31 日に再び米領空に入ったという。 米政府は 2 日、中国のものとみられる偵察気球を追跡していると発表。 明らかな主権侵害として 3 日に予定されていたブリンケン国務長官の訪中を延期していた。 オースティン長官は気球について「米本土の戦略的拠点を監視する目的で」使用されていたとの見方を示した。 ただ高官によると、衛星など他の情報収集能力以上のものではなさそうだとの見方を示した。 中国外務省は 3 日、米本土上空を飛行している「飛行船」は気象などの科学研究を目的とした民間のものと発表。 4 日には、不可抗力の事故で、米政治家やメディアがこれを利用して中国の信用を失墜させたと非難した。 (Reuters = 2-5-23) 中国の偵察用気球か アメリカ本土上空で飛行を確認 米国防総省 アメリカ国防総省は、中国のものとみられる偵察用の気球がアメリカ本土の上空を飛行しているのを確認したと明らかにし、アメリカ軍が警戒監視を続けています。 アメリカ国防総省のライダー報道官は 2 日、偵察用の気球が民間機が利用するよりも高いアメリカ本土の上空を飛行しているのを確認したと発表しました。 気球は数日前に本土上空に入り、1 日、西部モンタナ州の上空を飛行していたということです。 国防総省の高官は記者団に対し、この気球は中国のものだという分析を明らかにしました。 気球は地上の住民に対して軍事的な脅威になるものではないとしてアメリカ軍が警戒監視を続けています。 アメリカ政府内では、この気球についてバイデン大統領にも報告され、モンタナ州の人口の少ない地域の上空で撃墜するかどうか検討されましたが、破片によって地上に被害が及ぶおそれが排除できないと判断し、見送られたということです。 国防総省高官は、撃墜する場合に備えて周辺の空域に航空機が入らないよう、航空当局と一時、調整したとしていて、地元メディアによりますと、モンタナ州の南東部にある空港で、あわせて 3 便に遅れが出たということです。 また、この高官によりますと気球は機密に関わる場所の上空を飛行しようとしているということですが、国防総省は収集できる情報は限られると分析しているとしています。 国防総省は、こうした気球の活動について過去数年間で複数回、確認しているということで、アメリカ政府は中国側に対し「事態を深刻に受け止めている」と伝えたということです。 米政府高官「気球はバス 3 台分の大きさ」 アメリカの ABC テレビは、アメリカ本土の上空を飛行しているのが見つかった中国のものとみられる偵察用の気球の映像を伝えています。 映像では、白い気球の下側に黒い機器のような物体が映り込んでいるのが確認できます。 ABC テレビは政府高官の話として「気球はバス 3 台分の大きさで電子機器が備わっている」と伝えているほか、国防総省の関係者の話として「気球は過去数年間、何回かアメリカに飛来しているが、今回はより長い時間飛んでいるようだ」と伝えています。 気球が飛来したモンタナ州はアメリカ西部のカナダとの国境沿いに位置し、州内にはロッキー山脈があるほか、核弾頭を搭載できる大陸間弾道ミサイルを運用するアメリカ空軍基地などがあります。 中国外務省「アメリカとともに冷静かつ慎重な処理を望む」 アメリカ国防総省が、中国のものとみられる偵察用の気球がアメリカ本土の上空を飛行しているのを確認したと明らかにしたことについて、中国外務省の毛寧報道官は 3 日の記者会見で「関連する報道を注視しており、現在、状況を確認している。 事実がはっきりする前に推測や大げさな宣伝をしても問題の適切な解決には役立たない。」と述べました。 そのうえで「アメリカとともにこの問題を冷静かつ慎重に処理することを望んでいる」と強調しました。 中国安全保障の専門家「中国のものだとすれば目的があるか」 アメリカ本土の上空で確認された偵察用の気球について、中国の安全保障に詳しい笹川平和財団の小原凡司上席研究員は「中国のものだとするならば、他国の領土の上をセンサーを積んで飛ばすということ自体には目的があるのだろうと考えるのが妥当だ」と指摘し、アメリカの上空に偶然流れ着いたものではないという見方を示しました。 その上で気球が運べる機器の大きさや重さには限界があるとして「すでにある低軌道衛星のセンサーで取れないデータを取るとなると、一体何があるのか疑問だ。 現段階で中国はアメリカとの衝突は望んでいないので、アメリカに中国に対する警戒感を抱かせるような行為は控えるのではないか」と述べ、中国側の意図についてはわからないとしています。 またアメリカが今回、気球を確認したと公表したことについては「戦略的コミュニケーションの一種で、中国がこのようなオペレーションをしていることをアメリカは理解し、関心を持っている。 もしこの情報収集が軍事的目的だったり、アメリカの利益を損なうような目的で使われることがあったりすればアメリカは対処するという意志を示したのだと思う」と話しています。 (NHK = 2-3-23) |