グーグルとマイクロソフト増収増益 生成 AI の競争激化、投資を加速 米グーグルの親会社アルファベットと米マイクロソフト (MS) が 25 日発表した今年 4 - 6 月期決算は、いずれも増収増益となった。 対話型 AI (人工知能)「ChatGPT (チャット GPT)」など生成 AI 分野の競争が激しくなるなか、両社とも投資を加速させる構えだ。 アルファベットは主力の広告事業が持ち直し、前期から売り上げの伸びが加速した。 売上高は前年同期比 7% 増の 746 億ドル(約 10.5 兆円)、純利益は 15% 増の 184 億ドル(約 2.6 兆円)となった。 同社は昨年、景気減速の懸念から広告収入が伸び悩み、売り上げが減速した。 だが、今期は小売りなどの広告需要が持ち直し、売り上げの約 8 割を稼ぐ広告事業は 3 四半期ぶりに成長に転じた。 企業向けのクラウド事業の売り上げは 3 割近い伸びを維持した。 昨年 11 月のチャット GPT の公開後、IT 大手が激しい競争を繰り広げているのが生成 AI 分野だ。 製品投入の遅れが指摘されていたグーグルは 3 月、対話型 AI 「Bard (バード)」の限定公開を開始。 5 月には主力の検索エンジンに生成 AI 技術を導入する方針を明らかにした。 スンダー・ピチャイ最高経営責任者 (CEO) は 25 日の決算会見で「我々の AI 分野での主導的立場が、検索の進化を加速させている」と強調した。 MS の売上高は、前年同期比 8% 増の 562 億ドル(約 7.9 兆円)、純利益は 20% 増の 201 億ドル(約 2.8 兆円)だった。 クラウド事業「アジュール」の売り上げは前年同期比 26% 増で、前年より伸びは鈍化したものの、堅調だった。 一方、パソコン需要の低迷で、基本ソフト「ウィンドウズ」は前年割れが続く。 MS は 2 月、出資先の米新興企業オープン AI のチャット GPT の技術を搭載した新たな検索エンジン「Bing (ビング)」を公表。 今月には新型ビングの企業向けサービスを発表するなど、幅広い製品への導入を急いでいる。 生成 AI の製品への導入は始まったばかりで、業績への影響は「緩やかになる(MS 幹部)」とみられている。 それでも、グーグル幹部は「高い水準の投資をしていく」と強調。 MS 幹部も「インフラ投資を加速させていく」としており、両社とも設備投資を増やす考えだ。 一方で、生成 AI の開発には巨額の投資が必要で、一部の IT 大手に集中することへの批判も出ている。 25 日開かれた米上院公聴会で、IT 大手批判の急先鋒として知られる共和党のホーリー上院議員は「AI が数社の企業に握られる世界を想像してほしい。 これはまさに悪夢だ。」と訴えた。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 7-26-23) 気づかず入会、アマゾンプライムは「ダークパターン」 米当局が提訴 日本でも人気の米アマゾンの有料会員サービス「プライム」をめぐって、米連邦取引委員会 (FTC) が 21 日、同社を提訴した。分かりづらい仕様のウェブサイトで数百万人を「だまして」、同意なく入会させたと主張。 これに対し、同社はプライム加入・解約に関わる仕組みは「明快かつシンプル」だと反論し、全面的に争う構え。 FTC の主張の根幹は、アマゾンのサイトが消費者に最善とはいえない選択をさせる「ダークパターン」と呼ばれる設計になっていたというものだ。 プライムに入会することなく商品を購入する手順が分かりづらく、気づかないうちに入会したことになっていた人が多くいたと訴えている。 解約手順も分かりづらく、幾つもの手順を踏まないと解約にたどりつけない仕様になっていたと指摘。 一度入会すると、解約手続きをしない限り「自動更新」で会費を請求され続け、FTC は「多額の損害」が出たと主張している。 アマゾンは FTC の主張は事実誤認だとする声明を発表。 「法廷に私たちの訴えの論拠を提供するのを楽しみにしている」と反発している。 プライムは、迅速な配送や商品の割引、動画などの配信を受けられるサービスで、米メディアによると会員は世界に 2 億人以上いる。米国での会費は月 14.99 ドル(約 2,100 円)、年 139 ドル(約 1.9 万円)。 一方、日本国内にもアマゾンの利用者は多く、FTC の提訴は関心を集めそうだ。 消費者庁によると、欧州連合 (EU) や米国などでは、サブスクの解約について複雑な方法を規制しようとする動きがあるという。 同庁担当者は個別の事例には言及しないとしつつも、「国際的にどのような解約の規制が主流になっていくのか、情報を収集している」と話す。 (榊原謙 = ワシントン、大村美香、asahi = 6-22-23) 有害投稿を放置、ビッグテックの責任は 米最高裁も巻き込む遺族訴訟 大手 SNS などのプラットフォーマーはこれまで、利用者の投稿の内容への責任を負うことなく、成長してきた。 だが、「公共空間」としての役割が増し、偽情報などの問題が広がるなか、インターネットの性質を大きく変えうる議論が起きている。 2015 年 11 月、パリのビストロ。 デザインの勉強のため短期留学していた米国人ノエミ・ゴンザレスさん(当時 23)は、友人らと夕食を取っていた。 店に着いてまもなく、過激派組織「イスラム国 (IS)」のテロリストがビストロを襲撃。 一連のテロで、ノエミさん含め 130 人が犠牲になった。 翌 16 年、ノエミさんの父ら遺族は、グーグルなどを訴えた。 動画投稿サイト「ユーチューブ」などの SNS が、IS が過激なプロパガンダ広告を拡散して資金や人員を集める支援をしたとして、愛国者法(反テロ法)に違反するとの内容だった。 「お父さんは娘への正義を問いたかった。 そこが何よりの原点だ。」 ノエミさんの遺族の弁護を一審から続けてきたキース・アルトマン弁護士は、そう話す。 訴訟は地裁、控訴裁ともに、ネット事業者がプラットフォーム上の投稿の責任を負わなくていいとする「通信品位法 230 条」を理由に原告の訴えを退けた。 「投稿責任の免除」は時代遅れか この訴訟がいま、米国で大きな注目を集めている。 最高裁が今年 2 月、訴訟の審理を始めたからだ。 230 条に関連して大手 IT 企業を訴えた訴訟が最高裁で審理されるのは、初めてとされる。 同法 230 条は、ネット事業者が利用者の投稿に対する責任を免除すると同時に、有害投稿の削除や修正する権利も認めている。 インターネット黎明期の 1996 年、ネット事業者の訴訟リスクを減らし、IT 産業の成長を促す狙いでつくられた。 同法は、メタやグーグルなどの大手 SNS の「盾」となり、急激な成長を支えてきた。 だが、偽情報などの拡散や若者のメンタルヘルスへの悪影響などが社会問題化するなか、見直しを求める声が強まる。 2 月の最高裁の審理では、プラットフォーマーの中核といえる、「おすすめ」の投稿を決める人工知能 (AI) のアルゴリズム(計算手順)が争点となった。 原告側は、「おすすめ」を表示するアルゴリズムは、免責の対象にはならないと主張。 一方、グーグル側は「検索は毎日 30 億回おこなわれている。毎回訴訟されていたら、ネットは発展しない」と反論した。 2 時間以上に及んだ審理では、判事らから原告、被告双方に厳しい質問が飛んだ。それでも、最高裁が扱う訴訟は年100件もないとされ、審理されること自体に意義があるとみられている。 地域や党派で異なる立場 「最高裁はこの訴訟の重要性を明らかに理解している。」 ノエミさんの遺族の弁護を一審から続け、最高裁の審理にも立ち会ったキース・アルトマン弁護士はそう話す。 「SNS のプラットフォームは、我々の社会の極めて大きな部分を占めるようになった。 今とは全く違う時代に書かれた法律は見直されるべきだ。」 共和党支持者は、民主党色が強いシリコンバレー発祥の SNS による投稿管理を「検閲だ」と批判。 共和党の支持が強いフロリダ州やテキサス州では、SNS による投稿管理を制限する法律が成立した。 大手 IT 企業は、この法律が表現の自由を保障する憲法修正第 1 条に違反すると訴えている。 この二つの州法を違法とする訴訟も、最高裁で近く審議される見通しだ。 大手 SNS に対して投稿内容により大きな責任を求める動きは、欧州が先行している。 欧州連合 (EU) が昨年合意した「デジタルサービス法 (DSA)」は、差別や偽情報などの有害投稿の削除を義務づけ、巨大 IT 企業の責任を明確にするよう求めている。 ノエミさんの訴訟の米最高裁の判決は、6 月末までに出る見通しだ。 米シンクタンク超党派政策センターのガブリエル・シェア氏は「投稿管理の問題は議会でも議論されており、超党派の関心がある。 最高裁の判決は内容にかかわらず、幅広い政策に影響を与えうる。」と話す。 日本は誹謗中傷対策が先行 一方、日本では昨年夏、総務省の有識者会議が、プラットフォーマーが偽情報の問題について適切に実態把握・公表していないと指摘した。 事業者の対策を促すため、対策の透明性確保や説明責任が果たされるべきだとし、法的枠組みの導入など行政の関与を具体的に検討することも必要だとの考え方をまとめている。 ただ、議論は具体的な被害につながりやすい誹謗中傷対策が先行している。 表現の自由との兼ね合いが大きい偽情報対策は、慎重に議論を進める構えだ。 事業者ではヤフーが昨年 11 月、「ヤフーニュース」のコメント欄について、携帯電話の番号を登録した利用者だけが投稿できるように設定を変更した。 誹謗中傷や差別的な内容など、不適切なコメントを繰り返すアカウントに「投稿停止」の措置を講じてきたが、同じ利用者が別のアカウントから投稿を続けるケースが後を絶たなかったためだ。 同社によると、この措置後の 1 カ月間に「投稿停止」の対象になったアカウント数は、措置の前に比べて 56% 減少した。 他人への中傷の恐れがあるとして、投稿者に警告を出す回数も 22% 減ったという。 (編集委員・五十嵐大介 = サンフランシスコ、鈴木康朗、渡辺淳基、asahi = 5-14-23) 米 IT 大手、急減速から持ち直し 経費削減しながら AI 分野に注力 米 IT 大手の 2023 年 1 - 3 月期決算は、コロナ特需から急減速した昨年から持ち直し、底堅さをみせた。 景気の減速感が広がるなか、各社とも経費削減を進めつつ、主戦場となる人工知能 (AI) 分野に注力する姿勢を鮮明にしている。 米アップルが 4 日発表した決算は、売上高が前年同期比 3% 減の 948 億ドル(約 12.7 兆円)、純利益は 3% 減の 242 億ドル(約 3.2 兆円)となった。 2 四半期連続の減収は 19 年以来 4 年ぶり。 新興国市場が好調で、売り上げの半分超を占める iPhone (アイフォーン)は増収だったが、パソコン「マック」などが減収となった。 ティム・クック最高経営責任者 (CEO) は電話会見で「為替の逆風に加え、マクロ経済環境の課題に直面している」としながらも、「iPhone の売れ行きは昨年 10 - 12 月期から加速している」と話した。 昨年は急減速した IT 大手だが、5 社中 3 社が前期より売り上げの伸びが加速した。 米グーグルの親会社アルファベットは、売り上げが前年同期比 3% 増えた。 主力の広告事業が 2 四半期連続で減収だったものの、企業向けのクラウド事業が二ケタ成長を維持した。 同じくネット広告を柱とする SNS 世界最大手の米メタは、4 四半期ぶりに増収となった。「メタバース」と呼ばれる仮想空間分野への投資がかさみ、純利益は 6 四半期連続で前年を割り込んだ。 米アマゾンは主力の北米市場が堅調で増収となり、純損益も前年同期の赤字から黒字に転換。 米マイクロソフト (MS) も増収増益で、売上高の伸びが前期から加速した。 だが、両社ともコロナ下で急成長した企業向けのクラウド事業の伸びが鈍化しており、 景気減速の影響も広がっている。 クラウド首位のアマゾンのアンディ・ジャシー CEO は「先行きが不透明な状況で、企業は支出に慎重になっている」と話した。 「AI 競争」が激化 対話型 AI 「ChatGPT (チャット GPT)」が注目を集めるなか、首脳らが多くの時間をかけて訴えたのが、AI 分野の展開についてだ。 米新興企業オープン AI に出資する MS は、今月もチャット GPT の技術を搭載した検索エンジン「ビング」の新機能を公開した。 サティア・ナデラ CEO は電話会見で「AI に関連するインフラへの投資を続けていく」と訴えた。 検索市場で「1 強」のグーグルも対抗姿勢を強めており、今年は設備投資を昨年より増やす方針だ。スンダー・ピチャイCEOは電話会見で「検索などでまったく新しい体験を提供していく」と話した。 アップルのクック氏は 4 日、AI について問われ、「可能性は興味深い」としながらも、「議論すべき問題が多くあり、思慮深くあることが重要だ」と指摘した。 AI をめぐる競争が激化する一方、収益への貢献には時間がかかるとみられている。 景気の減速感が広がるなか、各社とも難しいかじ取りが続きそうだ。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 5-5-23) アマゾン、9 千人の追加人員削減へ クラウド事業も対象 米アマゾンは 20 日、来月末までに約 9 千人の人員を減らすと発表した。 同社は今年 1 月に約 1 万 8 千人の人員削減を公表しており、追加分を合わせると対象は 3 万人近くにのぼる。 米 IT 大手では、景気の減速で成長が鈍化する中、人員削減の動きが広がっている。 同社によると、削減の対象はクラウド事業「AWS」や広告、ライブ配信サービス「ツイッチ」などに携わる人員が中心という。 コロナ下で急成長した AWS は利益の稼ぎ頭だが、主力事業にも人員削減が広がった。 アンディ・ジャシー最高経営責任者 (CEO) は 20 日公開した従業員あての書簡で「不確実な経済状況を考慮して、コストや人員をより効率化する決断をした」と述べた。 コロナ下でのデジタル化の加速で人員を大幅に増やしてきた IT 大手では、一転して人員を減らす動きが相次いでいる。 昨年 1 万 1 千人の人員削減を公表した米メタは今月、約 1 万人を追加で減らすと公表した。 IT 企業の人員削減数をとりまとめる米サイト「Layoffs.fyi」によると、米 IT 企業の人員削減は昨年以降で 30 万人を超えた。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 3-21-23) ◇ ◇ ◇ Amazon も人員削減を計画 約 1 万人、米 IT で解雇の波 米 IT (情報技術)企業で人員削減の波が止まらない。 メタやオンライン決済のストライプに続き、14 日にはアマゾン・ドット・コムが 1 万人規模の従業員の解雇を計画していることが明らかになった。 経済減速に対する懸念が強まるなか、事業の急拡大とともに膨らんだ人件費の抑制を急ぐ動きが広がっている。 アマゾンの人員削減は 14 日に米欧メディアが一斉に報じた。 小売りや人事、端末部門で働く事務職や技術職が対象で、早ければ週内にも解雇の手続きを始める。 音声アシスタント「アレクサ」を手がける部門も含み、チームごとに削減計画を詰めているもようだ。 最終的な人数は変わる可能性があるが、1 万人であれば全従業員の 1% 弱、物流施設で働く人を除いたオフィスワーカーの約 3% にあたるという。 1994 年に創業したアマゾンの歴史で最大規模の人員削減となる見込みだ。 布石はあった。 10 月末の決算会見でブライアン・オルサブスキー最高財務責任者 (CFO) が消費者向けビジネスの減速を指摘し、経費削減に取り組むと強調した。 11 月 3 日には人事担当幹部が「普通ではないマクロ経済環境に直面している」として新規採用の凍結を明言した。 大規模な人員整理を通じ、さらなる人件費の抑制をめざす。 背景には、急成長の反動と景気後退(リセッション)への警戒がある。 新型コロナウイルス下でのネット通販やクラウド利用の増加に伴い、アマゾンは急速に事業規模を拡大した。 配送ロボットやクラウドゲームといった新規事業にも乗り出した。 物流施設で働く人も含めて 2019 年末に 80 万人弱だった従業員数は、22 年 9 月末には 154 万人に達した。 多くの IT 企業がコロナによって進んだ社会のデジタル化の恩恵を受けたため、技術職の採用競争が激しくなり、報酬の水準も上昇した。 ただ、暮らしが元に戻るとネット通販事業などで減速が鮮明になった。 インフレで買い物に対して慎重になる消費者が増え、経済の不透明感が強まるなかで企業も広告や IT 投資を見直し始めた。 一方で、燃料費やエネルギー価格の上昇に伴い、事業運営にかかるコストは膨らんだままだ。 アマゾンの株価は年初から 4 割落ち、利益創出に対する投資家からの圧力も強まっている。 全社員の約 13% にあたる 1 万 1,000 人の削減を公表したメタも含め、過去数年で成長した多くの IT 企業が似たような課題を抱えている。 シリコンバレーにあるサンノゼ州立大学のアーメド・バナファ教授は「年末にかけて、まだ多くの人員整理を目にすることになるだろう」と指摘した。 (佐藤浩実、nikkei = 11-16-22) 米メタ、再び大規模な人員削減か 仮想空間部門も対象に 米報道 米ウォールストリート・ジャーナル紙は 10 日、米メタが再び大規模な人員削減を検討していると報じた。 メタは昨年 11 月、全従業員の約 13% にあたる 1 万 1 千人超の人員削減を公表しており、今回も同程度になる可能性がある、としている。 同紙によると、追加の人員削減は今後数カ月で複数回行われ、第 1 弾は来週公表される見通し。 対象はエンジニア以外の役職が中心で、「メタバース」と呼ばれる仮想空間関連の部門も対象になる見込みという。 米 IT 大手はコロナ下でデジタル化が進んだことにより、急速に人員を増やしてきた。 しかし、成長が鈍って大規模な人員削減を迫られている。 メタの昨年末の従業員数は約 8 万 6 千人で、コロナの感染拡大前の 2019 年末から 2 倍近くに増えていた。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 3-11-23) Google 社員は「Bard」の性急すぎる発表に不満を抱いている 2023 年 2 月 7 日、Google はチャット AI の ChatGPT に対抗するべく、会話型 AI サービスの「Bard」を発表しました。 この発表について、Google 社内では「急ぎすぎて失敗した」などの批判的な声が挙がっていることが報道により明らかになっています。 Google の「Bard」は、同社が 2021 年に発表した対話特化型 AI の「LaMDA」をベースとした、次世代の実験的な会話型 AI サービスです。 実際に Bard を使用するとどんな風なやり取りが可能になるのかは、以下の記事を読めばわかります。 この Bard の発表について、Google 社内では批判的な意見が多く上がっていると CNBC が報じました。 CNBC によると、Google 社員が使用する内部フォーラムの「Memegen」上では、Bard の発表について「急すぎる」、「失敗だ」、「Google らしくない」といった批判的な声が多数寄せられているとのこと。 具体的には、「発表会の内容が薄かったこと」や「登壇者がデモに必要なスマートフォンを忘れていた」などの意見もあります。 さらに、発表イベントにおいて Bard が不正確な回答を行っていたことも明らかになり、Google の親会社である Alphabet の株価は約 8% 下落するという事態に陥っています。 Memegen 上では Google 社員が同社の失敗をユーモラスにからかうことが多くありますが、Bard の発表後には「親愛なるサンダー・ピチャイ CEO、Bard の発表とレイオフは性急過ぎたため失敗しました。 近視眼的過ぎます。」、「長期的な見通しを取り戻してください」といった投稿が寄せられ、多くの従業員の賛同を集めたそうです。 他にも、「サンダーのリーダーシップは『Perf NI』に値する」として、Google の物議をかもしている従業員評価システムにおける最低評価をつけるようなコメントや、「Google の上層部は滑稽なほど近視眼的で、『集中力を研ぎ澄ます』ことを求めるためとても非 Google 的です。」といった Google らしさがなくなっているといったコメントもある模様。 他にも、Google の Bard 発表があまりに性急すぎるものであったとして「パニックに陥って Bard を市場に投入したことで、我々が CahtGPT を恐れていることが世間に認知されてしまいました」といった声もあります。 なお、CNBC は Google にコメントを求めていますが、記事作成時点で返答は得られていません。 (Gigazine = 2-12-23) ◇ ◇ ◇ 米 MS、検索エンジンに対話型 AI 搭載 チャット GPT の企業と連携 米マイクロソフト(MS)は 7 日、米新興企業オープン AI の人工知能 (AI) 技術を搭載した検索エンジン「ビング」とブラウザー「エッジ」を発表した。 オープン AI の自動応答システム「チャット GPT」は世界的な注目を集めており、同社との連携で米グーグル「1 強」の検索分野で巻き返しを図る。 MS は同日からチャット GPT の改良版を搭載した「ビング」を限定公開し、数週間以内に一般の利用者にも公開すると発表した。 新たなビングは日本語など約 100 カ国の言語で利用できるという。 MS が紹介したデモでは、ビング上のチャット機能で「メキシコ市への 5 日間の旅程をつくって」と入力すると、詳細な旅行の計画を文章で提案した。 旅程を友人にメールで共有したい場合、「メールの文面を書いて」と指示すると、旅程の要約を含めた文面を書き出した。 新たなビングは、当初は MS のブラウザー「エッジ」上のみで利用でき、今後他のブラウザー向けにも提供されるという。 MS のサティア・ナデラ最高経営責任者 (CEO) は 7 日、本社で開いた発表会で「これは検索の新たなパラダイムだ。 新たな競争が今日始まる。」と強調。 オープン AI のサム・アルトマン CEO も「AI は我々の日々の生活を大きく改善する。 新しい時代の始まりだ。」と話した。 チャット GPT は、サンフランシスコに拠点を置くオープン AI が昨年 11 月に公開した対話型 AI で、利用者の質問に人間のように自然な受け答えができるとして注目を集めている。 MS は 2019 年、オープン AI に 10 億ドル(約 1,300 億円)を出資。 MS は先月、オープン AI に「数年間で、数十億ドル(数千億円)の投資」をすると発表し、連携を強めている。 米調査会社スタットカウンターによると、世界の検索市場はグーグルが約 93% を占め、同社の「1 強」が長く続いている。 MS のビングは 3% のシェアにとどまるが、オープン AI との連携で競争の構図が変わる可能性がある。 チャット GPT などの AI を巡っては、偽情報やフェイクニュースが拡散する可能性や、AI を訓練するデータによって偏りが出るなどの問題も指摘されている。 MS の担当者は「倫理学者や法律の専門家らとも協力し、リスク軽減のための戦略作りを進めていく」と話した。 人間の要求に応じて文字や画像を生成する「生成 AI」は急速な進化を遂げており、米 IT 大手の競争が激化している。 米グーグルは 6 日、対話型 AI 「Bard (バード)」の試験運用を始め、今後数週間で一般公開すると発表した。 (シアトル = 五十嵐大介、asahi = 2-8-23) FCC が SpaceX の反対を押し切り Amazon の衛星インターネット計画を承認 2023 年 2 月 8 日に、連邦通信委員会 (FCC) が Amazon の衛星インターネット通信プロジェクト「Kuiper」の人工衛星打ち上げ計画を承認しました。 打ち上げ計画には、競合サービス「Starlink」を運営する Space X が計画見直しを訴えていましたが、FCC は Space X の意見を取り下げて Amazon の計画を支持しています。 Space X が運営する衛星インターネットサービス「Starlink」が日本を含む世界中でサービスを展開するなど、人工衛星を用いたインターネットサービスの配備が急速に進んでいます。 この状況の中、Amazon が進めている衛星インターネットサービスプロジェクトが「Kuiper」です。 Kuiper では 3,236 基に及ぶ人工衛星を 3 つの軌道上に配備し、全人類が居住するエリアの 95% にインターネットサービスを提供することを目指しています。 Amazon は、2022 年 10 月には人工衛星の打ち上げ時期を 2023 年第 1 四半期に決定しており、今後の展開に注目が集まっていまいた。 ところが、Amazon が FCC に提出した人工衛星打ち上げ計画について、Space X は「問題を評価するためのデータを収集し、今後の人工衛星展開の道筋を得る」ことを目的として「人工衛星の打ち上げを 578 基に制限する」ことを求めました。 Space X の打ち上げ台数制限を求める意見に対して、FCC は「Kuiper の権限を制限する必要性は見つからない。 Space X は『特定の高度で他の衛星インターネットサービスの人工衛星と共存する Kuiper の計画』に懸念を表明していますが、Kuiper の人工衛星配備によって生じるリスクについて明確に指摘できていない」と反論し、Space X の意見を取り下げてAmazonの計画を承認しました。 なお、Amazon は Kuiper の人工衛星打ち上げに用いるロケットについて、Space X のロケットを使用する可能性について言及しており、2023 年第 1 四半期に予定されている人工衛星打ち上げに注目が集まっています。 (Gigazine = 2-10-23) 米テック 5 強全社減益 10 - 12 月、高成長曲がり角に 【シリコンバレー = 奥平和行】 高成長を続けてきた米テクノロジー大手の経営が曲がり角を迎えている。 アップルなど 5 社の 2022 年 10 - 12 月期決算はそろって最終減益となった。 新型コロナウイルスの流行に伴う特需の反動が強まり、景気減速の影響も色濃くなっている。 各社は人工知能 (AI) などに活路を求めるが、先行きは不透明だ。 マイクロソフト、アルファベット(グーグル持ち株会社)、メタ、アマゾン・ドット・コムを含む 5 社が 2 日までに 10 - 12 月期決算を発表した。 米調査会社のファクトセットによると、全社が最終減益となるのは旧フェイスブック(現メタ)が上場した 12 年 4 - 6 月期以降で初になる。 「インフレや戦争、さらにパンデミック(新型コロナの世界的な流行)の影響が続き、経済環境は厳しい。」 アップルのティム・クック最高経営責任者 (CEO) は 2 日の決算説明会でこう話した。 消費者が支出を抑えたことなどで主力の iPhone の売上高が減り、約 4 年ぶりに減収減益となった。 企業の間でも支出抑制の動きが広がる。 定期的に利用料を払うクラウドコンピューティングは不況に強いとされてきた。 だが、新規契約の遅れなどにより、業界最大手のアマゾンの部門売上高は前年同期比 20% 増にとどまり、過去最低の増加率となった。 企業が支出を抑える傾向はネット広告でも強まり、アルファベットの売上高の増加率は 1% まで落ち込んでいる。 主力の広告事業は 2 年半ぶりに前年同期を割り込んだ。 売上高の 95% 以上を広告が占めるメタは 3 四半期連続の減収となった。 各社の主力事業の成長が鈍化する一方、コストは高止まりしている。 新型コロナの流行に伴う需要拡大を受けて採用を大幅に増やした影響が大きく、5 社の直近の従業員数は約 220 万人に増えていた。 3 年前よりも 8 割近く多く、一部の投資家が人員削減を求めていた経緯がある。 5 社の時価総額の合計は 21 年末には 9 兆 7,000 億ドル(約 1,250 兆円)規模に達したが、世界的な金利上昇や成長鈍化の影響により、1 年で 40% 近く減った。 株式市場からの圧力が強まるなか、各社は大規模な人員削減に着手し、アップルを除く 4 社が計 5 万 1,000 人の削減を表明した。 メタのマーク・ザッカーバーグ CEO が「23 年は効率化の年になる」と話すなど、引き続きコスト削減が焦点となる。 ただ、コストを抑えるだけでは先細りになりかねず、売上高の成長につながる取り組みがカギを握る。 各社は AI の活用に注目し、マイクロソフトは文章や画像を生成する AI を開発している米オープン AI に数十億ドルを追加投資すると発表した。 アルファベットやメタも相次いで開発や実用化を加速すると公表している。 各社は M & A (合併・買収)により事業領域を広げてきたが、テック大手の市場支配力の高まりを警戒する各国の競争当局や議会は警戒を強めている。 英当局は 22 年、メタが 20 年に買収したスタートアップ企業を売却させた。こうした動きが続くと、再成長に向けた戦略を描きづらくなる可能性がある。 (nikkei = 2-3-23) 米 IT 大手に人員抑制の波 成長に転機、メタは 1 万人超の削減 SNS 世界最大手の米メタ(旧フェイスブック)が 9 日、全従業員の約 13% にあたる 1 万 1 千人超を削減すると発表した。 2004 年の創業以来、最大規模の人員削減となる。 米 IT 大手はコロナ下の巣ごもり需要などを背景に急速に人員を増やしてきたが、景気悪化の懸念から人員削減や採用抑制の動きが広がっており、転機を迎えている。 「今日、メタの歴史のなかで最も難しい変更を共有する。」 マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者 (CEO) は声明でそう訴えた。 「これらの決定とここに至った過程について責任を取りたい。 皆さんにとって厳しいものとなるが、特に影響を受ける人たちに申し訳なく思う。」と述べた。 人員削減は全部署が対象になるものの、採用や営業部門でより大きな影響を受けるという。 米国内の従業員には、基本給の 16 週間分の退職金のほか、勤務年数に応じて金額を積み増す。 日本を含む米国外の従業員についても同様の内容を提供する予定で、現地の労働法に沿った対応をするとしている。 ザッカーバーグ氏は、コロナ下でネット通販の需要が増加し、「多くの人がコロナ後もこの傾向が永続的に続くと予想した。 私もそう予想し、投資を急速に増やす決断をした」と説明。 メタの 9 月末の従業員数は約 8 万 7 千人で、1 年前から約 2 万人、19 年 9 月から倍以上に増えた。 だが、経済再開で巣ごもり需要は長く続かなかった。 米アップルの昨春のプライバシー強化策で、利用者のネット上の行動履歴が追跡しづらくなり、広告の精度が低下。 景気悪化や中国発の動画投稿アプリ「ティックトック」などとの競争激化で、収益が予想を著しく下回った。 ザッカーバーグ氏は「私は間違えた。 責任を取る。」と述べた。 メタは今年 4 - 6 月期、上場以来初めて売り上げが前年割れとなるなど、成長が曲がり角を迎えている。 同社は人員削減に加え、裁量的な支出の削減や採用の凍結を来年 3 月まで延長して、組織の効率化を進めていくとしている。 主力の広告事業が苦戦するなか、同社は「メタバース」と呼ばれる仮想空間分野で巨額の投資を継続。 同部門は今年に入って 100 億ドル(約 1.5 兆円)近い営業赤字を出しており、収益を圧迫している。 株価は今年に入って約 7 割下落した。 米 IT 大手では、人員の数を抑える動きが加速している。 米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク CEO が先月買収したツイッターは今月、全従業員の約半分にあたる約 3,700 人の削減を開始。 米アマゾンも今月、「普通ではないマクロ経済環境に直面している」として、今後数カ月にかけて採用の抑制を拡大する方針を示した。 米調査会社クランチベースによると、米国の IT 業界では今年、10 月下旬までに 5 万 2 千人以上が削減されたという。 米メディアによると、米クラウド大手セールスフォースは数百人の人員を削減する方針。 米配車サービス大手リフトも今月 3 日、全従業員の約 13% の人員削減を発表するなど、コスト削減の動きが広がっている。 (サンフランシスコ = 五十嵐大介、asahi = 11-10-22)
グーグルが 3 四半期連続減益、27% 減の 139 億ドル … ネット広告の売上鈍化 【ニューヨーク = 小林泰裕】 米 IT 大手グーグルの親会社アルファベットが 25 日発表した 2022 年 7 - 9 月期決算は、最終利益が前年同期比 27% 減の 139 億ドル(約 2.1 兆円)だった。 インターネット広告の売上高の伸びが鈍化し、景気減速の影響が業績に出始めている。 減益は 3 四半期連続。 インフレ(物価上昇)に伴ってコストが増え、ドル高により、海外の売上高も目減りした。 売上高は 6% 増の 690 億ドル(約 10.2 兆円)だった。 全体の約 8 割を占める広告事業の売上高は 3% 増にとどまった。 企業がネット広告の予算を減らしたためとみられる。 業績をけん引してきた動画投稿サイト「ユーチューブ」の広告収入は、2% 減となった。 サンダー・ピチャイ最高経営責任者 (CEO) は 25 日のオンライン会見で、「効率化のために経営資源の再調整に着手した」と述べた。 10 - 12 月期は人員の増加数を 7 - 9 月期から半分以下に減らす方針も明らかにした。 決算の内容は市場予想を下回り、アルファベットの株価は 25 日の時間外取引で一時、7% 超下落した。 (yomiuri = 10-26-22) Google CEO、日本で 1,000 億円投資 データ拠点など整備 米グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者 (CEO) は 7 日、日本で 2024 年までに 1,000 億円を投資する計画を明らかにした。 日本初となるデータセンターの建設などに充当する。 景気の減速感が強まるなか業務の効率化を加速する一方、日本を含むアジア・太平洋への投資を続けて成長を取り込む。 来日したピチャイ氏が都内で日本経済新聞とテレビ東京の単独取材に応じた。 「昨年から 24 年までの 4 年間で 1,000 億円を投資し、一部をデータセンターに充てる」と説明した。 同社は海底ケーブルや人材育成への投資も含むとしている。 グーグルは千葉県内で国内初のデータセンターの建設を進め、23 年に稼働を始める予定だ。 消費者向けのインターネットサービスの利便性を高めるほか、ピチャイ氏は「当社のクラウドコンピューティング事業を通じて日本企業のデジタル変革を支援したい」と述べた。 新型コロナウイルスの感染が広がったことを背景にグーグルのサービスの需要が拡大し、同社の親会社である米アルファベットの業績拡大が加速した。 一方、足元ではインフレなどが経営の重荷となり、22 年 4 - 6 月期まで 2 四半期連続で減益となっている。 7 月には年末まで採用のペースを落とすことを決めた。 ピチャイ氏は「当社の事業は企業の広告費用との相関が強く、マクロ経済の影響を受けやすい。 マクロ経済の不安定さに対応する必要がある。」と述べた。 23 年については「採用を続ける一方、22 年に比べてさらにペースが穏やかになる」と説明した。 事業ではクラウド技術を活用したゲーム配信サービス「スタディア」からの撤退を決めたほか、先端開発部門「エリア 120」の縮小を決めている。 機器開発・販売では 6 日に新型スマートフォンなどを発表する一方、ピチャイ氏は「(ノートパソコンの)ピクセルブックでは他社からいい製品が出ており、(自社開発の)計画を見直した」と明かした。 一方、人工知能 (AI) などの注力部門への投資は継続する。 また、地域としては「今後 10 年間の成長の大部分はアジア市場からもたらされる」と指摘し、多様な機能をまとめたスーパーアプリやショート動画などを具体例としてあげた。 また、クラウド事業について「あらゆる分野でデジタル変革が加速し、アジアは成長機会が大きい」と指摘した。 (奥平和行、nikkei = 10-7-22) |