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アプリ → 外部課金サイトへの誘導「容認を」 米地裁、アップルに命令

米連邦地裁(カリフォルニア北地区)は 10 日、世界的な人気ゲーム「フォートナイト」を運営する米エピックゲームズが、米アップルを独占禁止法違反で訴えていた訴訟で、アップルに「アップストア」のアプリ内から外部の課金サイトへのリンクを張ることを容認するよう求める命令を出した。 アプリ内課金で稼ぐアップルの戦略の変更を迫る内容で、影響は大きい。 一方で、地裁は、エピックが訴えていた「アップルが市場を独占している」との主張は認めず、アップルとエピックの双方が痛み分けの判断となった。

アップルは、「アップストア」のアプリ内での有料課金について、30% の手数料(中小企業は 15%)をとっている。 エピックは、手数料が高すぎると訴えると同時に、「アップルは、アプリ内から外部の課金サイトにリンクを張ることを厳しく禁じ、競争を妨げている」とも主張していた。 同地裁は 10 日の判決で、アップルによるこの外部誘導の禁止について、「反競争的行為だ」と認定。 アプリ会社が、iOS 上のアプリ内から外部の課金サイトへのリンクを張るなどの誘導措置をとることを容認するよう改善命令を出した。

アップルは、「アップストア」上で、アプリ内課金の手数料を通じて多額の利益をあげており、特にゲームのアプリ上の課金が収入の大半を占めている。 エピックゲームズなどのゲーム会社が、外部の課金サイトに利用者を誘導しやすくなり、アップストア上の高率の手数料を回避できるようになるだけに、アップルの戦略への影響は大きい。 アップルは今月、アプリ内からの外部への誘導について、日本の公正取引委員会との合意に基づき、音楽や書籍などの「リーダーアプリ」に限っては、外部リンクを容認することを打ち出していた。

一方で地裁判決は、エピックが、アップルに無断で外部の課金サイトにすでに誘導していることは契約違反だとして、3 割の手数料の支払いをエピックに命じた。 地裁の命令は、90 日後に実施される。 両者は、控訴や命令停止の仮処分を申請することが可能だ。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 9-11-21)

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米アップル、アプリ外課金の通知を容認へ 批判受け譲歩

米アップルの「アップストア」で配信されているアプリの有料課金を巡り、同社は 26 日、従来は事実上制限されていたアプリ外課金のルールを緩める方針を明らかにした。 アプリ外で支払いができることを、アプリ企業側がメールなどで利用者に通知することを容認する。 利用料金が安くなる可能性があり、利用者にとっても大きな変化になる。

アップルは 26 日、中小のアプリ企業などとの係争で和解する方針を示し、改善策を発表した。 そのなかで同社は、アップルの iPhone (アイフォーン)向け基本ソフト「iOS」上のアプリについて、「アプリ企業は、アプリの外側での課金方法についての情報を、E メールなどを通じて(利用者に)伝えることができる」と説明した。 アップルは従来、アプリ外での課金について、アプリ企業が利用者に通知することを厳しく禁じてきた。 このため、アプリ外での課金方法がある場合でも、利用者は自分自身でネット上などで調べてたどりつく必要があり、ネットに詳しくない利用者には困難だった。

多くの利用者は、アップルの「アップストア」上での課金を利用しており、有料アプリやアプリ内での購入について、アプリ企業は 3 割の手数料を払っている。 米国内では、アプリ企業側から「3 割は高すぎる」との批判が強く、米当局や議会が独占禁止法違反の有無を調査する事態になっていた。 アップルは今年初めから、アプリの売り上げ収入が年間 100 万ドル(約 1 億 1 千万円)に満たないアプリ企業については手数料を 15% に引き下げていた。

今回の対応は、一部のアプリにとってアプリ外課金をより容易に周知できることにつながり、アップル側は譲歩した形だ。 ただ、同社担当者によると、E メールなどの第三者のツールを使って通知することを今後は認めるものの、アプリ上での通知や表示など、アプリの内部での情報提供は今後も禁止されるという。 アップルはこのほか、中小企業に対する 15% の手数料を少なくとも今後 3 年は継続することや、有料課金の際の値付けをアプリ企業側がより柔軟にできるようにする改善策も約束した。

こうした一連の改善策は、米国だけでなく、日本を含めた世界のすべてのアプリ企業に適用される。 改善策は、中小のアプリ企業らが 2019 年にアップルを独禁法違反で訴えた訴訟での和解案の一部で、今後、裁判所の承認を経て実行される。 アップルは、世界的な人気ゲーム「フォートナイト」を運営する米エピックゲームズと「3 割」の手数料を巡って係争になっており、近く米連邦地裁の判決が出る見通し。 訴訟では、エピックゲームズ側が、アプリ内で外部の課金サイトに誘導したことも争点になっており、アップルは引き続き争う構えだ。(サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 8-27-21)

前 報 (8-29-20)


韓国、アプリ上の決済義務づけ禁止 世界初、法案を可決

韓国国会が 8 月末、スマートフォン用のアプリ決済をめぐり、グーグルやアップルなどの IT 大手が自社決済システムの利用をアプリ開発業者に義務づけ、開発業者から手数料を徴収することを事実上禁じる法案を可決させた。 法律を所管する韓国放送通信委員会によると、決済手段の指定を法律で禁じるのは世界初だといい、国内外で注目されている。 アップルやグーグルといった「プラットフォーマー」が自社の決済システムの利用を義務づけて最大 30% の手数料を徴収していることに、欧米を中心に世界で批判が集まっている。

31 日の韓国国会で可決されたのは、「反グーグル法」とも呼ばれる電気通信事業法改正案。 15 日以内に閣議を行って公布、施行される予定だ。 違反した場合、放送通信委員会は、是正命令を行い、応じない場合は課徴金などの支払い命令を行うことができる。

規制の対象となるのは、アプリ内課金などで自社決済システムを強要する場合だ。 アップルは先月、批判を受け、事実上制限していたアプリ外課金のルールを緩める方針を発表した。 韓国メディアによると、グーグルは 10 月から、ゲーム以外のアプリにも「グーグルプレイ」上での課金を強制する方針を示していた。 スマホのシェアではサムスン電子が 7 割余りと高い韓国では、グーグルの基本ソフト「アンドロイド」利用者が多いだけに、このグーグルの動きが世論や業界から反発を呼んだ。 グーグル側は「システムやアプリ購買の方法を高い品質で維持しながら、この法律についての対応を今後、検討していきたい」とコメントした。

韓国インターネット企業協会などは 8 月中旬、改正案の通過を求める共同書簡で「グーグルのアプリ内課金が全面的に適用された場合、韓国のコンテンツ産業の売上高は年間約 2 兆ウォン(約 1,900 億円)以上減少する」と規制強化を求めていた。 改正案の可決を受けて、放送通信委員会の韓相赫(ハンサンヒョク)委員長は「公正で開放的なネット環境づくりに寄与する点で意味は大きい。 世界的なプラットフォーマー規制の立法化の試金石になる」と胸を張った。 韓国インターネット企業協会も声明を出し「利用者が低価格で多様なコンテンツを楽しめる公正な環境ができるよう期待する」とした。 (ソウル = 神谷毅、asahi = 9-1-21)


米独禁当局、フェイスブックを再提訴 「独占力」を主張

米連邦取引委員会 (FTC) が米フェイスブック (FB) を反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで訴えた訴訟で、FTC は 19 日、ワシントンの連邦地裁に修正訴状を提出し、「FB が少なくとも 2011 年以来、継続的に個人向け SNS 市場での独占力を保持している」と改めて強調した。 FTC の訴えが 6 月末にいったん却下されたことを受け、訴訟継続に向け従来の主張を補強した。

連邦政府による歴史的な独禁法訴訟として注目されるこの訴訟では、顧客が「無料」と認識して使う FB のような事例で「独占力」を立証できるかが焦点だ。 連邦地裁は訴状を却下した際「(独占力を及ぼす)市場の境界すら定かではない」と述べていた。 修正訴状で FTC は、「個人向け SNS」を、ツイッターのような情報発信サービスや、リンクトインのようなビジネス SNS とは異なる「市場」と規定した。

その上で「12 年以来、米国の個人向け SNS 市場で、利用者が費やした時間のシェアは FB が 80% を超えた」といったデータを盛り込んだ。 SNS では利用者が増えるほど便益が増す「ネットワーク効果」が働き、新規参入が難しくなる点も強調。 FB による他のアプリの買収により、参入障壁がより高まったと主張した。 08 - 09 年に FTC 委員長を務めたウィリアム・コバチッチ氏は「FTC は、訴訟が次の段階へと続くのには十分な主張をした。 訴訟はまだ序盤に過ぎない。」との見方を示した。

FTC は昨年 12 月、FB による写真投稿アプリ「インスタグラム」やメッセージアプリ「ワッツアップ」などの買収が、将来性のあるライバル企業を取り込んで競争を阻む行為だとして提訴。 ワシントンの連邦地裁は今年 6 月末、FTC の主張が「法的に不十分」として訴えを却下していた。 (ワシントン = 青山直篤、asahi = 8-20-21)


米巨大 IT、ぶつかり合い激化 引き離される日本企業

アップルやフェイスブック (FB) などの米巨大 IT 企業が、直接ぶつかり合う場面が増えている。 10 億人規模の利用者を抱える巨人たちが、覇権をかけて争う構図だ。 せめぎ合いが激しくなっているのは、なぜなのか。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦)

7 月 29 日の昼下がり、カリフォルニア州マウンテンビュー市のグーグル本社。 コロナ禍でのオフィス閉鎖を経て、ようやく一部の社員が出社しはじめた本社を訪れると、屋外に白いテントを張った南国のような会議スペースがいくつもしつらえられていた。 その 2 日前に発表された、親会社「アルファベット」の 4 - 6 月期決算は、年央ながら売上高も純利益も四半期として過去最高益を記録。 純利益は、4 - 6 月の 3 カ月間だけで前年同期の 2.7 倍の 185 億ドル(約 2 兆円)に達した。 トヨタ自動車の年間の利益に匹敵し、ソニーの年間利益の 2 倍近い。 コロナ禍でさらに強さを増したグーグルの本社には、余裕が漂う。

西海岸特有のカラリとした風が流れる屋外で、グーグルのスマートフォン「ピクセル」の開発を主導するハードウェア部門責任者、リック・オスターロ上席副社長が取材に応じてくれた。 秋に投入する新型の「ピクセル 6」と「ピクセル 6 プロ」を手に、「我々は、このスマホをプレミアムになるように設計した」と語気を強めた。

「プレミアム」とは、価格の高い最上位機種を意味する。 グーグルは自社製のチップ「テンサー」を初めて組み込んだ最上位機種を投入。 これまではアップルの iPhone (アイフォーン)の独壇場だった領域に踏み込み、直接競う考えを鮮明にした。 オスターロ氏は「消費者の 2 割は、非常に明確に、最新で最も優れた製品しか求めていない」と私に説明し、「(スマホの)プレミアムの分野は複占(2 社による独占)だから」と、スマホ市場を分け合うアップルへのライバル心をむき出しにした。

日本では GAFA (ガーファ)と呼ばれ、米国ではマイクロソフト (MS) も加えて「ビッグテック」と称される。 グーグル、アップル、FB、アマゾン、MS の世界での影響力は、きわめて大きい。 グーグルのスマホやタブレット端末向け基本ソフト (OS) 「アンドロイド」の機器は、世界で 30 億台を超える。 アップルの機器は、16 億 5 千万台超。 日本で巨大 IT の背中を追おうと、ヤフーと経営統合したばかりの対話アプリ「LINE」の世界の利用者は、アジアを中心に 1 億 8,700 万人。 LINE と競合する FB のグループ全体の利用者は、世界で 35 億 1 千万人に達し、LINE の 19 倍だ。 米巨大 IT はまさにケタ違いの力を持っている。

珍しくいらだったピチャイ氏

最近目立ち始めたのが、その巨大 IT 同士のぶつかり合いだ。 「(一部の会社による利用者のプライバシー侵害を許せば)我々は人としての自由そのものを失う。」 アップルのティム・クック最高経営責任者 (CEO) は 1 月、欧州でのプライバシー関連の会議でこう訴えた。 消費者のネットの利用状況を追跡し、個々にあったターゲティング広告でもうける FB やグーグルに矛先を向けたのだ。

アップルは今春から、iPhone 向けの OS「iOS14.5」で、アプリによる利用者のネット利用の追跡に許諾を求める仕組みを導入。 ターゲティング広告をやりにくくするだけに、FB のマーク・ザッカーバーグ CEO は「アップルは、我々や他のアプリの邪魔をするあらゆるインセンティブ(動機)を持っている」と怒り心頭だ。

冷静で穏やかな物腰で知られるグーグルのスンダー・ピチャイ CEO も黙ってはいない。 5 月下旬の世界 6 メディアの共同インタビューで、アップルによるターゲティング広告への批判について尋ねた。 ピチャイ氏は「広告は、個々人をターゲットにする必要性は全くない」と、珍しくややいらだった様子で私に語り、具体的な個人を特定してターゲティング広告を打っているわけではないことを強調した。

オーストラリアで今年、ニュースを使う際の対価支払いを求める法律の審議があった際、グーグルは一時、同国からの撤退もちらつかせた。 こうした動きに対し、「グーグルはコンテンツを作るクリエーターから酸素を奪っている」と厳しく批判するのは、マイクロソフトのブラッド・スミス社長だ。 トップ同士が直接火花を散らす最近の動きは、これまではなかったことだ。

巨大 IT 企業が正面からぶつかり合い始めたのは、なぜか。 理由の一つは、巨大 IT 各社が高い成長率を維持するために、他社の領域に侵食せざるを得なくなっていることだ。 巨大 IT 各社は、ここ数年、対前年比で売上高が 10% - 30% 前後の増加という極めて高い成長を続けている。 従来は、アップルは iPhone、グーグルは検索ビジネス、FB は SNS という形で、市場をすみ分けてきた。

だが、アップルは有料課金を通じたサービス収入の拡大、グーグルは企業向けのクラウド事業、FB は e コマース、といった形で他社の領域に本格進出。 クラウド事業で世界首位のアマゾンのように、各領域で支配的な立場を築いている巨大 IT のライバルがおり、ぶつかり合う構図が生まれている。

スタンフォード大経営大学院の講師、ロバート・シーゲル氏は「各社のビジネスモデルが複数の場所で交差し始めている」と指摘する。 スマホユーザーを iPhone などの機器と有料アプリへの課金で囲い込もうとするアップルと、無料アプリを提供して利用者をひきつけつつターゲティング広告を得るグーグルや FB のビジネスモデルが交差し、対峙する場面が増えているのだ。

さらにシーゲル氏は「各社は自らが政府の標的になることを避けようとしている」ともみる。 バイデン政権や米議会が巨大 IT 企業への規制強化に向けて動き出すなかで、「プライバシー保護対策が不十分」といった形で他社を批判することで、自らに火の粉が降りかかるのを回避しているという。 昨年、グーグルが米司法省に、FB は米連邦取引委員会 (FTC) にそれぞれ反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴された。 消費者に対して自らのイメージをどう保ち、政府や議会からの批判をどう避けるのかも、米巨大 IT 各社には重要なテーマになっている。

記者から 「対岸の火事」でない日本企業

米巨大 IT 企業のぶつかり合いは、日本企業にとって、「対岸の火事」では全くない。 高い成長率を維持するため、巨大 IT 企業は新たな分野への進出を強めている。 グーグルとアップルは、有料のゲームサービスに参入しており、この分野で先行するソニーや任天堂にとっては脅威だ。 そのゲーム分野でいち早く進んでいるのは「仮想空間」だ。 FB のザッカーバーグ CEO は 7 月末、「メタバース」と呼ばれる仮想空間に注力する考えを強調し、競争環境は激しさを増している。

日本のお家芸といえる自動車分野にも米巨大 IT 企業の影が迫る。 アップルが、電気自動車 (EV) に参入する観測が昨年来高まっているのだ。 日本の自動車メーカーの多くは EV 化が遅れている。 アップルは時価総額が世界一の 2.41 兆ドル(約 263 兆円)に上る。 アップルが EV に参入すれば、日本メーカーへの多大な影響は避けられない。 (asahi = 8-8-21)

尾形聡彦(おがた・としひこ) 1969 年生まれ。 サンフランシスコ支局長として米巨大 IT 企業を取材。 シリコンバレーへの赴任は 3 度目。


米 IT 大手、記録的な業績 グーグルは過去最高益

米巨大 IT 企業の 4 - 6 月期決算発表が 27 日に本格化し、記録的な業績が相次いでいる。 グーグルの親会社「アルファベット」は売上高と純利益が、四半期としての最高を更新。 アップルの純利益は前年同期の 2 倍近くに上った。 コロナ下で社会のデジタル化が大きく進み、もともと強い競争力を持つ巨大 IT の業績を、さらに押し上げている。

「私たちは、ネット上での消費や企業活動の高まりを目の当たりにしている。」

グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者 (CEO) は 27 日の会見で、構造的な変化を指摘した。 人々の消費や企業活動のネット上へのシフトで、グーグルの広告収入は前年同期比 69% 増に。 アルファベットの 4 - 6 月期の売上高は同 62% 増の 618 億 8 千万ドル(約 6 兆 8 千億円)で、純利益は前年同期の 2.7 倍の 185 億 2,500 万ドルに上った。 歳末商戦の 10 - 12 月期以外の四半期で過去最高を達成するのは、異例だ。

米アップルも、iPhone (アイフォーン)の買い替え需要が好調で、4 - 6 月期の売上高は同 36% 増の 814 億 3,400 万ドル(約 8 兆 9,400 億円)で、4 - 6 月期の過去最高を更新。 純利益は前年同期の 1.9 倍の 217 億 4,400 万ドルに上った。 米マイクロソフトは、企業向けのクラウド事業が大きく伸び、4 - 6 月期の売上高は同 21% 増の 461 億 5,200 万ドル(約 5 兆 700 億円)で、純利益は同 47% 増の 164 億 5,800 万ドルに上昇。 いずれも四半期の過去最高を更新した。 (サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 7-28-21)


米 37 州など、グーグルを提訴 独禁法違反で 4 件目

米ユタ州など計 37 の州・特別区が 7 日、米グーグルのアプリ配信サービス「グーグルプレイ」を通じたアプリ提供が反トラスト法(独占禁止法)違反に当たるとして、米連邦地裁に提訴した。 グーグルに対する当局による独禁法での提訴は 4 件目。 グーグルが巨額の手数料を得ているアプリ事業を正面から争点とし、規制強化を求めた。 「GAFA (ガーファ)」と呼ばれる米巨大 IT 企業の肥大化に懸念を強める世論を背景に、昨年以降、グーグルに対しては検索や広告事業に焦点を当てた提訴が続いてきた。 今回の訴訟は、ユタ州などが主導し、カリフォルニア北部連邦地裁に提起した。

訴状は、「グーグルプレイ」を介したアプリ配信が、同社の OS アンドロイドのアプリの「90% 超」のシェアを占めていると指摘。 アプリ販売やアプリを介したサービスへの課金から最大30% の手数料を徴収していることについても「消費者に損害を与えている」と主張した。 支払いにグーグルの課金サービスを使わせる運用についても違法だと訴えている。 これに対し、グーグルはブログの声明で「アップルのような他のプラットフォーム企業との間で直面している競争を無視するものだ」などとして、「価値のない訴訟だ」と反論した。

グーグル側は、アンドロイドでは「グーグルプレイ」を介さずにアプリを買うことができる点を強調。 一方で、アップルは自社の「アップストア」で排他的にアプリを配信しており、今回の提訴は、直接訴えの対象となっていないアップルへの逆風も強めるものだ。 アプリでの手数料徴収を巡っては、人気戦闘ゲーム「フォートナイト」を手がける米エピックゲームズが昨夏、アップルやグーグルを提訴している。 今回の州当局による提訴は、エピックなど開発事業者側の主張に寄り添うものといえる。

グーグルは、動画配信大手の米ネットフリックスや音楽配信大手の米スポティファイに対しても、今年 9 月から定額制(サブスクリプション)の課金にグーグルの課金システムを使うよう求めていた。 今回の提訴ではこの動きについても問題視している。 また、今回の訴訟では、グーグルが「課税逃れ」のためにタックスヘイブン(租税回避地)のアイルランドに設けた子会社も被告に含めた。 コロナ禍で富を増やした GAFA の巨大化や課税逃れに対する国際的批判も強まっており、9 日からイタリアで開かれる主要 20 カ国・地域 (G20) 財務相・中央銀行総裁会議でも、国際課税の大詰めの議論が進む。 (ワシントン = 青山直篤、asahi = 7-8-21)


米下院、GAFA 規制法案提出 巨大 IT の事業分割視野

米下院の超党派議員らは 11 日、GAFA (ガーファ)と呼ばれる巨大 IT 企業への規制を強化する 5 つの法案を提出した。 ライバル企業の買収規制を強め、自らのプラットフォームで自社製品を優遇すること禁じる。 利益相反がある事業の保有を違法とする条項も含まれ、実質的に企業分割も迫る内容だ。上院での審議が関門となるが、立法に至れば巨大 IT 規制の重大な転機となる。 「独占 IT 企業は競争の勝者と敗者を自ら選び、中小企業を壊し、価格をつり上げ、職を失わせている。」 法案を主導した米下院の反トラスト小委員会のシシリン委員長(民主)は声明でそう批判した。

今回提出されたのは、@ プラットフォームによる独占禁止、A プラットフォーム上での自社製品やサービスの優遇禁止、B 競争を阻害するような買収の禁止、C 利用者が、プラットフォームから他社サービスに乗り換えやすくなるよう、データ移行などを容易に行えるようにする、D 規制強化の財源に充てるため買収の申請料を上げる - - との内容の 5 つの法案だ。 売上高の一定割合の罰金など、違反した際の罰則も定めた。 「プラットフォーム」については、米国内の「一般の月間アクティブユーザーが5千万人」、「時価総額6千億ドル(66兆円)」を超える企業と定義し、GAFAを明確に標的にした。

プラットフォームの独占禁止法案は、幅広い企業向けのプラットフォームを提供しながら、自社製品やサービスを推奨するような利益相反のある事業の保有を禁じており、事業分割を求める内容だ。 アマゾンが他社の製品をサイト上で売る一方、自社ブランド製品も推奨していることを念頭に置いたものといえそうだ。 また、グーグルが検索結果を表示する際に、自社の動画サイト「ユーチューブ」の結果を優先することも問題になりそうだ。

自社製品の優遇を禁じる法案は、アップルがアプリ配信サービス「アップストア」で自社アプリを有利に扱っていると批判されていることを標的にしている可能性がある。 競争を阻害する買収を禁じる法案は、フェイスブックによる「インスタグラム」や「ワッツアップ」の買収を念頭に置いたものとみられる。 米巨大 IT 各社を狙い撃ちにした形の今回の 5 法案は、昨年 10 月に下院司法委員会でまとめた報告書を反映したものだ。 報告書は、各社による競争を阻害するような買収を厳しく批判し、事業分割を視野に入れた「構造的な分離」を促していた。

5 法案を巡っては、C と D については米議会内で幅広い支持を得られやすいとの意見が多い一方で、@、A、B については米巨大 IT 企業のビジネス慣行や買収戦略の抜本的な変革を迫るだけに、法案通過は簡単ではないとの見方が多い。 ただ、規制強化に向けた実質審議のスタート地点となる5法案が、GAFA には極めて厳しい内容になった。 企業の規制に消極的で、昨秋の報告書も支持していない共和党側の動向もカギを握る。 今回の法案には共和党議員も提案者として名を連ねた。 GAFA への厳しい世論なども影響した可能性がある。

焦点は上院の情勢だ。 与野党の勢力が伯仲し、法案通過には共和党からも相当数の賛同を集める必要がある。 上院で反トラスト政策を主導し、バイデン大統領にも近い有力議員エイミー・クロブシャー氏は 9 日のイベントで「競争を促し、資本主義をあるべき姿に戻す」と強調した。 (ワシントン = 青山直篤、サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 6-12-21)


グーグル「もっと安全に」 プライバシー批判に CEO

米グーグルは、同社の基本ソフト (OS) 「アンドロイド」を搭載する端末が世界で 30 億台以上に達するなど、国際的に巨大な影響力を有する。 それだけに、世界の消費者や各国政府が同社に向ける視線は厳しい。 スンダー・ピチャイ最高経営責任者 (CEO) は 26 日のインタビューで、プライバシー保護対策に全力をあげる考えを示す一方、人工知能 (AI) の倫理規制のあり方についても詳しく語った。

「広告は、個々人をターゲットにする必要は全くない。」

ピチャイ氏は 26 日、こう強調した。 米アップルが、プライバシー侵害を理由にターゲティング広告への批判を強めていることを巡り、グーグルとして広告とプライバシーのバランスをどうとるのかを記者が聞いたときのことだ。 「例えば、だれかが車を売ろうとしているときに、車を購入する人がだれなのか、その人の名前は何なのかを知る必要はない」と説明。 「我々は(広告を)もっとプライバシーに配慮し、安全な方法でできる」と訴えた。

実際、グーグルは、利用者の位置情報が自動的に消去される仕組みを導入したり、閲覧ソフト「クローム」上で広告会社などがサイトをまたがる追跡に使っている「サードパーティー・クッキー」と呼ばれる機能の段階的な廃止を打ち出したりするなど、プライバシー保護を強めてはいる。

ただ、アップルは iOS の最新版で、アプリによる追跡に利用者の許諾を求める仕組みを導入するなど先を行っており、グーグルの対策には後追い的で「守り」の姿勢が目立つ。 それは、アップルがプライバシー保護対策を売りに iPhone などの機器売り上げに頼るビジネスなのに対し、グーグルの主要な収入源がターゲティング広告にある、という根本的なビジネスモデルの違いが背景だ。 ただ、ピチャイ氏は「プライバシーへの消費者の期待は継続的に進化している。 我々はその先を行くように努めている。」と強調した。

ピチャイ氏が 26 日に語ったなかで興味深いのは、AI の倫理規制について詳しく語り、いわば「攻め」の姿勢をみせたことだ。 グーグルは、AI のなかで利用が大きく広がっている「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる中核技術に強みがある。 今月 18 日の開発者向け会議「I/O (アイオー)」でも、AI を活用した新たな技術を次々と打ち出した。 その AI で注目されるのは、顔認証技術などが公権力に使われて誤認逮捕につながったり、差別を助長したりする問題だ。

欧州連合 (EU) は 4 月、主要国で初めてとなる人工知能 (AI) の利用に関する規制案を公表。 顔認証を使った警察捜査を原則禁止とすることなどが柱だ。公的機関による顔認証技術の利用禁止は、すでにサンフランシスコ市が導入するなど自治体レベルの取り組みが進む。 ただ、主要国で規制案を示すのは EU が初めてで、その流れを主導しようとする意図がみえる。

ピチャイ氏は 26 日、グーグルがすでに AI 利用の原則について公表していることに言及したうえで、「欧州の AI 規制を目にして、人々は我々と同じ次元で考えていると感じ、勇気づけられた」と語った。 そして、AI 版の「パリ協定」の必要性に訴え、触れて各国が共同でルールづくりを行うべきだと言及。 「我々は、責任あるパートナーとなる計画だ」と話した。 AI の先端的な分野はグーグルが得意とする領域だ。 ピチャイ氏の言葉からは、グーグルがそのルールづくりに関わり、主導しようとする決意がはっきりとうかがえた。 )サンフランシスコ = 尾形聡彦、asahi = 5-27-21)


「監視されてる?」ターゲティング広告の不安、解消は

政府はネット広告の規制に踏み出す方針を固めた。 価格や取引の不透明さを解消することに加え、規制強化のもう一つの柱は、巨大 IT 企業が広告に活用している個人情報の扱いについて、透明性を高めることだ。 グーグルなどの IT 大手が提供する検索サービスの検索履歴やサイトの閲覧履歴、SNS の投稿などをもとに、利用者の好みに合った広告を示す「ターゲティング広告」に対しては、利用者の懸念の声が強まっていた。

「自分の履歴を監視され、『これどうですか』とセールスされている感じ。」
「メールの内容や購入金額、住所も漏れているのではないか?」

日本インタラクティブ広告協会 (JIAA) の調査で、ターゲティング広告について寄せられた利用者からの不安の声だ。 JIAA が 2019 年に行った調査では、調査に応じた 5 千人のうち、4 割がターゲティング広告に「嫌悪感を感じる」と回答。 8 割以上が、自身の情報がネット広告配信に活用されていることを「不安に思う」などと答えた。 一方、ターゲティング広告を停止する「オプトアウト」と呼ばれる機能については、内容を理解している利用者は 7% にとどまった。

ターゲティング広告は、テレビや新聞の広告と違い、広告主が求める年代や好みをもつ利用者に表示できるため、購入行動につながる可能性が高く、ネット広告の強みとされてきた。 ネット広告のほとんどがターゲティング広告だ。 一方で、グーグルやフェイスブックなどは圧倒的なシェアを持つ自社の検索や SNS のサービスを通じて膨大な利用者の情報を集めて活用できるようになり、その使い方への警戒感が世界的に強まってきた。

このため、政府は総務省のガイドラインを見直し、IT 大手に対し、オプトアウトの仕組みをより分かりやすく利用者に示すとともに、個人情報のデータが広告に活用されているかも説明するよう求める。 いまはサイトの規約やプライバシーポリシー(個人情報に関する指針)のページを自ら選んで設定をしないとオプトアウトできない例も多く、広告と一緒に自動的に設定画面が表示されるといった対応が今後増える可能性がある。

今回の規制の効果について、野村総合研究所の小林慎太郎・上級コンサルタントは「オプトアウト先のデータの利用は止めることができるので、パーソナライズされたターゲティング広告は表示されなくなり、オプトアウトのわかりやすい提供を促す取り組みは重要だ」と評価する。 一方で、「IP アドレスによる所在地判定や、どこのサイトから移ってきたかという情報に応じて広告を出し分けることはできるので、広告の表示ががらっと変わることはないかもしれない」と指摘する。 (新宅あゆみ、益田暢子、asahi = 4-27-21)


ネット広告に政府が新規制 ブラックボックス解消なるか

「プラットフォーマー (PF)」と呼ばれる巨大 IT 企業のネット広告について、政府は 27 日、規制強化策をまとめた。 急拡大するネット広告市場で存在感を高める PF に対し、広告単価の仕組みなどが不透明だといった不満が高まったためだ。 新たな規制の導入で状況は改善するのか。 「広告単価がなぜ違うのか、クライアントに聞かれても説明できない。」 都内にあるネット広告会社「ユニアド」の中釜啓太社長はそう嘆く。 6 年前に創業した同社は、検索履歴に関連した内容の広告を配信する「検索連動型広告」の企画や運用を手がける。

ユニアドでは、広告主からの依頼を受け、主にグーグルの検索ページ上に広告を出している。 広告がクリックされる数の目標や予算などを広告主に確認した上で、自社の手数料を引いた金額をグーグルに支払い、グーグルはその金額のなかで、なるべく多く広告を表示させる仕組みだ。 広告の単価は、検索した時間帯や検索頻度などによって異なる。 検索頻度が高いキーワードに関連する広告ほど単価は下がるとみられるが、グーグルなどの巨大 IT 企業は、価格の設定基準を明らかにしていない場合が多い。 中釜さんは「薬剤師の求人広告を出したときは、単価の幅が数千円から 1 万円まであった。 グーグルに聞いても教えてくれなかった。」と振り返る。

ネット広告の主流は、クリックごとに広告枠が入札取引される「運用型」が主流。 ネット利用者がウェブサイトやアプリを開くと広告が瞬時に示されるが、その裏では複数の仲介事業者による入札が瞬時に行われ、どの広告をいくらで掲載するかが決まっている。 この複雑な仕組みに加え、検索連動型広告では米グーグルが国内市場の 70 - 80% を占めるなど、「プラットフォーマー (PF)」と呼ばれる一部の巨大 IT 企業が高いシェアを握り、広告の効果や単価が不透明だと不満が高まっている。 巨大 IT 企業が広告掲載にあたって自社のサイトなどを優遇しているのではないかという疑いも持たれている。

急成長のネット広告市場、透明性確保が課題

そこで、政府は今回、グーグルなど巨大 IT 企業に対し、第三者が広告の効果を測定しやすいようにすることを要求。 ネット広告関係者は「どの事業者に手数料が払われ、どのサイトに表示されたかを広告主が分かる仕組みになることが重要。 規制が透明化の追い風になれば。」と期待する。 近年は、クリック数を不正に水増しする「アドフラウド(広告詐欺)」も横行しており、アドフラウドの発生率や、実際に広告が表示された回数などの情報開示も求めた。

規制に乗り出した背景には、ネット広告市場が急拡大しているという現状もある。 ネット広告費は 2019 年、初めてテレビを抜いた。 20 年は新型コロナの影響で国内の総広告費は 9 年ぶりの前年割れとなったが、ネット広告は前年比 6% 増の約 2.2 兆円。 全体の 36% を占める。 ただ、今回の規制強化策は自主的な情報開示などを促す内容が大半なうえ、各社がすでに取り組んでいる対策に重なるものも多く、どこまで業界の透明化につながるかは分からない。

ヤフーは、アドフラウド対策などをまとめたリポートの開示や広告効果を測定するツール利用の推奨など、政府が挙げた課題については対応済みだとして、「今後、社内の有識者会議で自主的な取り組みのあり方を検討し、できるものは法施行に先駆けて開始する」とコメントした。 大阪大学の武田邦宣教授は「効果測定の受け入れを促したことは評価できる」とする一方、「情報を開示するだけでは、PF と取引者間の力の格差は残ったままで、不公正な取引は解決されない。 自社優遇などの問題に対しては、独占禁止法の積極的な適用を探っていくべきだ。」と指摘する。 (asahi = 4-27-21)


FB、豪でのニュース閲覧制限を解除へ 対価法案に修正

米フェイスブック (FB) は 23 日、豪メディアなどのニュースを閲覧したりシェアしたりできなくする措置を、数日内に解除すると発表した。 豪政府が巨大 IT 企業を念頭に、ネット上でのニュース表示への対価支払いを義務づける法案に不満を示していたが、政府と交渉し、修正で合意したためとした。 豪政府は昨年 12 月、義務化法案を議会に提案。 IT 企業にメディア各社への支払いを義務づけ、違反した場合、1 千万豪ドル(約 8 億 3 千万円)以上の罰金を科す内容で、FB が反発していた。 豪政府は 23 日、FB の発表の直後に、交渉に当たったフライデンバーグ財務相が、法案の修正案の内容を発表した。

それによると、巨大 IT 企業が豪メディアと個別に支払いの契約を結ぶことで豪州のメディア産業の存続に「かなりの貢献」をした場合、政府は義務化の対象から外すことも検討する。 一方で、地方紙などの中小メディア企業は、巨大 IT との個別の交渉が難しい場合もあり、支払いを義務とする原則は変えない。 修正法案は、週内にも議会を通過する可能性が高まっている。

フライデンバーグ氏は記者会見で、FB のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者 (CEO) が、豪メディアとの個別の契約を目指す意向を示していると明らかにした。 その直後に、民放「チャンネル 7」などを傘下に収めるセブン・ウェスト・メディアが、FB とニュース使用に関する提携で基本合意した、と発表した。 FB は 18 日、法案への不満を理由に、豪州で地元主要メディアのほか、CNN など海外メディアの FB の公式ページを見られなくし、これらのメディアのニュースを FB 上でシェアすることもできなくした。 豪州国外でも、豪メディアの FB ページを見たり、ニュースをシェアしたりできなくなっている。

一方、グーグルは今月に入り、セブン・ウェスト・メディアや、主要紙のシドニー・モーニング・ヘラルドや民放「チャンネル 9」などを所有するナインエンターテインメントなど、豪大手メディアと相次いで個別の契約で合意していた。 (シドニー = 小暮哲夫、asahi = 2-23-21)

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FB、豪で主要メディアの利用制限 使用料義務化に反発

米フェイスブック (FB) は 17 日、オーストラリア国内で、豪メディアや海外主要メディアのニュースの FB 上での利用を制限すると発表した。 豪州国外での豪メディアのニュースの利用も制限する。 豪議会で審議が進む、大手 IT 企業にニュース使用料の支払いを義務化する法案に反発した措置だ。 FB の措置で、豪州では 18 日朝から、地元の新聞やテレビなどの主要メディアのほか、CNN や BBC など大手海外メディアの FB のページが見られない。 また、これらのメディアのホームページで報じられたニュースを、FB 上でシェアすることもできない。 また、豪州の国外では、豪メディアのニュースを FB 上で見たり、シェアしたりできなくなっている。

豪政府は昨年 4 月、グーグルや FB などの大手 IT 企業に対し、豪メディアのニュースを表示した際に使用料の支払いを義務づける方針を発表。 豪議会で現在、政府提案の法案の審議が大詰めを迎えている。 法案では、IT 企業に豪メディア各社との個別の使用料支払い契約を義務づけ、違反した場合、1 千万豪ドル(約 8億円)以上の罰金を科す内容になっている。 FB 豪州・ニュージーランドのウィリアム・イーストン社長は発表で「メディア側は、FB に進んでニュースを投稿している。 そのことで彼らの利用者や広告収入が増えている」と、FB に使用料支払いを義務づける法案を受け入れられない立場を説明している。 昨年、豪メディアのニュースは FB 上で 51 億回、参照されたともしている。

法案を担当する豪州のフライデンバーグ財務相は 18 日、FB のマーク・ザッカーバーグ最高経営者とこの件で話し、「解決の道を探る対話を続けることで合意した」とツイッターに投稿した。 今後、FB が納得できる形で法案が修正される可能性もある。 一方、グーグルは法案成立を前に豪メディア各社と契約交渉を進めており、これまでに大手新聞社ニューズコープなどとの契約がまとまったと報じられた。 (メルボルン = 小暮哲夫、asahi = 2-18-21)

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