百貨店の免税売上高が過去最高 1 月、春節と客数増で

外国人訪日客による全国百貨店での 1 月の免税売上高は、前年同月より 24.8% 増の 217 億円で、単月ベースで過去最高になった。 日本百貨店協会が 21 日発表した。 中国などの大型連休「春節」が 1 月末から始まり、訪日客数が同 3 割強増えた。 過去最高を更新するのは、2015 年 4 月以来、1 年 9 カ月ぶり。

免税売上高は、中国の関税政策が変更されたり、売れ筋が高額品から日用品に代わったりしたことで、16 年春ごろから伸び悩んでいた。 一方で来店する訪日客数自体は前年水準を上回って推移しており、日本百貨店協会の幹部は「為替が大きく変動しない限り、売り上げは安定するだろう」と見込む。 1 月の全国の百貨店売上高は同 1.2% 減の 5,209 億円。 初売りなどのセールは前年並みだったが、主力の衣料品は 15 カ月連続で前年を割り込んだ。 (asahi = 2-21-17)


三越伊勢丹、旅行会社買収で狙う熟年市場 50 兆円

三越伊勢丹ホールディングスは 10 日、旅行会社のニッコウトラベルを買収すると発表した。 TOB (株式公開買い付け)で発行済み株式(自己株を除く)のすべてを買い付け、完全子会社とする。 取得総額は約 37 億円。 百貨店の主力顧客層でもある熟年世代向けのサービスを充実する。 狙うのは、約 50 兆円とも言われる「シルバー市場」だ。

平均旅行代金は 80 万 - 100 万円

ニッコウトラベルは東証 2 部上場の旅行会社。 自社で保有する船でライン川クルーズを楽しむオランダ旅行など欧州や南米への自主企画商品が主力で、徒歩移動が少なく、長めの旅行日程でゆっくりと観光するツアーといった 60 歳以上の「熟年世代」のニーズを捉えた企画に強みを持つ。 顧客の 95% は 60 歳以上。 このうちほぼ半分は 70 代が占めるといい、平均的な旅行価格は 80 万 - 100 万円ほどと高めの価格帯だ。 三越伊勢丹がニッコウトラベル買収で狙ったのは、こうした熟年世代の「コト消費」だ。

5 歳以上の人の最終消費支出から算出した「シルバーマーケット」の市場規模は約 50 兆円。 2025 年には高齢者人口(65 歳以上の人)が総人口の 3 割超に達するとの試算もあり、市場規模は一段と大きくなりそう。 なかでも、注目を集めているのが、旅行などのコト消費。 三越伊勢丹・企画開発推進部の伊倉秀彦事業推進担当長は「コト消費の代表は旅行。 団塊世代が 70 歳代に入ることもあり、シニアの旅行市場は拡大していく。」とにらむ。

「将来は 1.5 - 2 倍に」

三越伊勢丹はこれまでも顧客に向けたコト消費の提案に力を入れてきた。 旅行では、「お得意様」と呼ぶ優良顧客向けに豪華な内装のラグジュアリー・バスを使った国内旅行などの独自企画の商品を提案してきた。 2006 年には旅行事業で JTB とも提携している。 ただ、熟年世代のコト消費の開拓にライバルの百貨店をはじめとする各社がこぞって力を入れ、競争は激しい。 「他社との違いを打ち出すためには自主企画の商品が重要(伊倉担当長)」になっている。

三越伊勢丹は熟年世代の旅行でノウハウを持つニッコウトラベルの買収で企画力を磨くことで、百貨店が抱える購買力のある顧客の旅行需要を取り込む。 旅行事業での収益の目標額などは明らかにしていないが、同社の旅行事業の売上高(約 70 億円)とニッコウトラベルの売上高(約 40 億円)を合わせた金額は 110 億円。 伊倉氏は「将来は 1.5 - 2 倍にしていきたい」としている。

三越伊勢丹によるニッコウトラベルの TOB 期間は 2 月 13 日から 3 月 23 日まで。 ニッコウトラベルの発行済み株式総数(自己株を除く)の 943 万株すべてを買い付けて完全子会社とする。 ニッコウトラベルは上場廃止になる予定。 買い付け価格は 1 株あたり 390 円。10 日終値(301 円)よりも 29.6% 高い水準だ。 (富田美緒、岸本まりみ、nikkei = 2-10-17)


三越伊勢丹の全店舗見直し "街の顔" 消滅に不安の声 「撤退となれば大ダメージ」

地方や首都圏郊外にある店舗の売り場面積の縮小や業態転換などを検討している三越伊勢丹ホールディングスは、3 月末をめどに具体的な店舗を公表する方針だ。 大西洋社長の決断が近づくのを前に、リストラが取り沙汰される店舗の周辺では地域経済への影響を心配する声が上がっている。 「地元の不安を解消するため市長に要望書を出した。」 千葉県の松戸商工会議所の中山政明会頭が明かした。 伊勢丹松戸店は昨秋、大西氏が構造改革の候補に挙げた店舗の一つ。 中山氏は「縮小も困るが、万一撤退となればダメージは大きい」と話す。

松戸店は、東京駅まで約 30 分という近さがあだとなり、都心の百貨店に客を奪われてきた典型的な郊外店だ。 要望書では、店に客を呼び込むには周辺の歩道整備などが必要と訴え、間接的に店の存続を求めた。 大西氏は「小売業全体の売り上げは 130 兆円前後で推移しているのに、売り場面積はこの 10 年で 2 倍になった」と強調する。 人口減少やネット通販の拡大が追い打ちをかけ、特に地方店や郊外店の採算悪化は深刻だ。

すでに三越の千葉店(千葉市)と多摩センター店(東京)の 3 月閉鎖を決定。 大西氏は松戸店とともに伊勢丹府中店(東京)、三越の広島店(広島市)と松山店(松山市)も縮小などの検討対象として名前を挙げたが、その後、東京都心の旗艦店を除く全店舗を「見直し対象にする」と軌道修正した。 地方にある店舗の多くは古い歴史を持つ。 その一つ、松山店は終戦翌年の 1946 年開業。 「街の顔」といわれる存在だ。 店の山下道孝総務部長は、主力の婦人服や、紳士服の売り上げが落ちている理由を「主な客層である年配の富裕層にモノを買いたいというニーズが減退していること」と分析する。

変化に対応するため「旅行や学習などを売るような業態転換」を検討中だ。 ひいきにしてくれる客の子や孫の世代に客層を広げようとしている。 大型百貨店が集中する市中心部にある広島店も、顧客の高齢化が進む。 東京商工リサーチ広島支社の吉田誠二情報部長は「百貨店がやっていけないというイメージが広がれば、進出を検討する企業はいい受け取り方をしないだろう」と指摘する。 週 2、3 回は食料品を買いに来るという女性 (75) は「私は三越のファン。 このまま頑張ってほしい。」と話した。 (sankei = 2-2-17)


三越伊勢丹、4 - 12 月は 19% 減益 衣料品苦戦

三越伊勢丹ホールディングスが 27 日に発表した 2016 年 4 - 12 月期の連結決算は、純利益が前年同期比 19% 減の 195 億円だった。 主力の百貨店事業で婦人服、紳士服ともに衣料品販売が苦戦した。 訪日外国人による免税店販売も前年実績を下回った。 売上高は 4% 減の 9,306 億円、営業利益は 36% 減の 196 億円だった。 17 年 3 月期通期の業績予想は据え置いた。 純利益は前期比 51% 減の 130 億円、売上高は 3% 減の 1 兆 2,500 億円を見込む。 (nikkei = 1-27-17)


大阪の百貨店、4 年ぶり売上高減少 衣料や高額品が不振

日本百貨店協会が 20 日発表した平成 28 年の大阪地区の百貨店売上高は、前年比 3.7% 減の 7,594 億円となり、4 年ぶりに前年実績を下回った。 衣料品の販売が振るわず、減少率は主要 10 都市では仙台地区と並んで最大だった。 外国人観光客向けの売れ筋が高額品から化粧品など単価の安い商品に移ったことも響いた。 商品別では、美術・宝飾・貴金属の落ち込みが目立った。 京都地区は 2.2% 減の 2,435 億円、神戸地区は 3.2% 減の 1,561 億円だった。 同時に発表した 28 年 12 月の大阪地区の売上高は前年同月比 1.3% 減の 927 億円となった。 前年割れは 12 カ月連続。 (sankei = 1-20-17)


百貨店売上高、6 兆円割れ = 36 年ぶり、衣料低迷響く - 16 年

2016 年の全国百貨店売上高が、36 年ぶりに 6 兆円を割り込んだことが 17 日、明らかになった。 長引く消費低迷を背景に、主力の衣料品販売の不振が響いた。 中国人の「爆買い」も一服し、1980 年(5 兆 7,225 億円)以来の 5 兆円台に落ち込んだ。 百貨店各社は不採算店閉鎖などのコスト削減を進める一方、テナント誘致や、体験型の「コト消費」への対応を急ぐが、増収に結び付かず、厳しい状況が続いている。

日本百貨店協会によると、16 年は 2 月を除き、11 月まで毎月前年割れだった。 関係者によると、ボーナス・クリスマス商戦の 12 月も前年割れに終わったもようだ。 米大統領選後の株高・円安効果で訪日客の消費に復調の兆しは見られたが、休日が減ったことなどが響いた。 百貨店は 91 年のピークに 9 兆 7,130 億円を売り上げた。 しかし、「ユニクロ」をはじめとする専門店などに顧客を奪われ、売上高は右肩下がりで落ち込んでいる。 特に近年は、米アマゾンなどのインターネット販売が台頭し、競争は激しさを増している。 (jiji = 1-17-17)


近鉄百、営業利益が 8 割減の 6,600 万円 衣料品が不振

近鉄百貨店が 10 日発表した平成 28 年 3 - 11 月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比 82.6% 減の 6,600 万円だった。 消費者の節約志向などの影響で衣料品が振るわず、百貨店事業が苦戦した。 連結売上高は 1.7% 減の 1,919 億円。 純損益は 2 億円の黒字(前年同期は 6 億円の赤字)となった。 衣料品は紳士服や婦人服などが不振だった。 「あべのハルカス」に入る本店単独の売上高は 1.0% 減の 694 億円にとどまった。 17 年 2 月期の通期業績予想は据え置いた。 近鉄百貨店の担当者は「昨年 12 月の本店の売り上げは良かったので、巻き返しを図りたい」と説明した。 (sankei = 1-10-17)


12 月大手百貨店売上高、円安でインバウンドに底打ちの兆し

[東京] 百貨店の免税売上高に底打ちの兆しが出てきた。 為替円安が進んだことから、海外高級ブランドのバッグなどが好調に推移している。 ただ、百貨店の売上高にフォローとなっている円安・株高の流れがどこまで続くかについては、各社ともに「トランプ氏の米大統領就任後の動向を見極めたい(高島屋広報)」という姿勢だ。

J. フロント リテイリングの 2016 年 12 月の免税売上高は 16 年 2 月以来 10 カ月ぶりにプラスに転じた。 客数は前年同月比 26% 増と大きく増加。 これまで下押し要因だった客単価は同 16.9% 減の 5 万 7,000 円だったが、前月比では 9,000 円増加したという。 広報担当者は「11 月中旬から為替が円安方向となり、客単価に影響している」と述べている。 三越伊勢丹ホールディングスでも免税売上高は前年同月比 1.4% 減とマイナス幅が大きく縮小。 14 年比では 38% 増となっている。 こうしたインバウンドの持ち直しなどが寄与し、伊勢丹新宿本店の売上高は 0.1% 増ながら 5 カ月ぶりに前年を上回った。

大手百貨店の昨年 12 月の売上高速報は、三越伊勢丹 HD が前年同月比 1.8% 減、心斎橋店本館の建て替え工事の売り場面積減の影響がある J フロントが 2,3% 減、高島屋が 0.5% 増、そごう・西武が 2.3% 減だった。 大手 4 社で唯一プラスとなった高島屋は「円安や株高の影響もあり、免税売上げや高額品が好調に推移した(広報)」としている。 伸びている化粧品に加え、宝飾品などの一般品も前年を上回り、高島屋の免税売上高は 29.8% 増と大きく伸びている。

百貨店を取り巻く環境に明るい材料は出てきたものの「景気が一気によくなっている感じではない(三越伊勢丹)」との慎重な見方も聞かれた。 (Reuters = 1-4-17)


爆買い失速、デパート不振続く 売上高 8 カ月連続減少

日本百貨店協会が 22 日発表した 10 月の全国百貨店売上高は、前年同月比 3.9% 減の 4,755 億円だった。 減少は 8 カ月連続。 衣料品の売上高が 6.5% 減、訪日外国人客の売上高も同 13.2% 減となったことが響いた。 中国の建国記念日「国慶節」の連休中(1 - 7 日)の売り上げも昨年に比べて伸び悩んだ。 衣料品の売上高は 12 カ月連続で前年を下回っているが、10 月の下げ幅は 8 月や 9 月より縮小した。 同協会は「気温が低くなって販売は改善する傾向だが、節約志向は続いている(担当者)」としている。 (asahi = 11-22-16)


三越伊勢丹、営業益 500 億円達成は 2020 年度に先送り 国内百貨店不振

[東京] 三越伊勢丹ホールディングスは 8 日、連結営業利益 500 億円の達成時期を 2019 年 3 月期から 2021 年 3 月期に先送りした。 主力の国内百貨店が計画より下振れている。 収益が見込める基幹店へ集中投資をするほか、不振の地方店については、19 年 3 月期までに業態転換や売り場面積の縮小など構造改革の方針を決める。

大西洋社長は会見で「店舗閉鎖ありきではないが、不採算事業・店舗には早期の意思決定していく」と述べた。 3 つの事業評価基準にあてはめ、構造改革の方針決定が必要な店舗として、伊勢丹松戸店(千葉県松戸市)、伊勢丹府中店(東京都府中市)、松山三越(松山市)、広島三越(広島市)の 4 店舗を挙げた。 また、増えすぎた管理ポストの見直し等で経費削減も進める方針も示した。

2016 年 4 - 9 月期の連結売上高は前年同期比 5.2% 減の 5,821 億円、営業利益が同 57.9% 減の 61 億円になった。 訪日外国人による購買が減少しているほか、婦人服などの衣料品を中心に中間層の消費が低迷している。 同社は「他社に比べて百貨店依存度が高く、落ち込みが大きい(同)」という。 国内百貨店では、訪日客の需要の強い化粧品を除き、全てのカテゴリーで前年同期比マイナスとなった。 免税売上高は、国内百貨店計で 234 億円(前年同期比 22.1% 減)となった。

2017 年 3 月期の連結売上高予想は前年比 2.9% 減の 1 兆 2,500 億円、営業利益は同 27.5% 減の 240 億円。 同社は、10 月 28 日に業績見通しの下方修正を発表しており、営業利益予想を 370 億円から 240 億円に引き下げている。 (Reuters = 11-8-16)


大手百貨店 10 月売上高 秋冬の衣料低調、全社減収

大手百貨店 4 社が 1 日発表した 10 月の既存店売上高(速報)は、中国人旅行者による「爆買い」の終息や気温上昇で秋冬物の衣料品販売が伸びず、全社が前年同月比で減収だった。 三越伊勢丹ホールディングスは例年に比べて気温が高く、婦人・紳士コートの販売が苦戦し、前年同月比 2.5% 減だった。 訪日外国人(インバウンド)については「前年比で客数は同じだったが、客単価は 8 割程度(広報)」だった。

プロ野球セ・リーグで優勝した広島カープの本拠地がある広島や松山、高松、新潟の店舗は前年よりもプラスだったが、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店の基幹 3 店はいずれもマイナスだった。 高島屋も婦人服や宝飾品の販売が低迷し、3.7% 減。 「10 月は 25 度を超える夏日が多く、秋冬物の衣料品が苦戦した。(広報)」

大丸と松坂屋を運営する J. フロントリテイリングも衣料品販売の苦戦や大丸心斎橋本店の改装が響き、5.0% 減だった。 ただ、プロ野球で日本一となった日本ハムファイターズの本拠地がある大丸札幌店は前年よりプラスだった。 そごう・西武も化粧品やハロウィーンのパーティー需要が好調だったが、他社同様に秋冬物の衣料品が低調で 3.1% 減だった。 (sankei = 11-2-16)


三越伊勢丹、今期 27% 営業減益予想へ下方修正 訪日客の消費減少

[東京] 三越伊勢丹ホールディングスは 28 日、2017 年 3 月期の連結営業利益予想を 370 億円(前年比 11.8% 増)から 240 億円(同 27.5% 減)に下方修正すると発表した。 増益予想から一転して減益予想となる。 訪日観光客による消費の減少や衣料品、高額品の売上げ低迷が続いている。 トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト 11 人の営業利益予測の平均値は 310 億円となっている。

連結売上高は 1 兆 3,600 億円から 1 兆 2,500 億円(同 2.9% 減)へと引き下げた。 期初には、訪日客による免税売上高を前年並みの 600 億円程度と見込んでいたが、これを引き下げている。 滝口一雄コーポレートコミュニケーション担当長は「前年のインバウンドの伸びが大きく、その反動が厳しく出ている」と述べた。 4 - 9 月期の免税売上高を含む国内百貨店売上高は、計画を 8% 下回っているという。

同社は、4 - 6 月期決算時には原則として通期見通しを見直さないことから据え置いていたが、通期見通しの下方修正は必至の状況だった。 (清水律子、Reuters = 10-28-16)


全国百貨店売上高、9 月は 5% 減 気温高く秋冬衣料が低調

日本百貨店協会が 20 日発表した 2016 年 9 月の全国百貨店売上高は 4,233 億円(全店ベース)だった。 既存店ベースでは前年同月比で 5.0% 減となり、7 カ月連続で前年実績を下回った。 消費者の節約志向に加え、気温の高さから秋冬向けの衣料品が振るわなかった。 訪日外国人(インバウンド)向けでも消費額の減少傾向が続いている。

商品別では、衣料品が 8.9% 減と引き続き苦戦した。 全国的に前年と比べて気温が高めに推移し、価格の高いコートなど重衣料をはじめ秋冬物の立ち上がりが鈍かった。 婦人服が 8.9% 減となったほか紳士服が 10.7% 減、子供服も 8.9% 減と大きく売り上げを落とした。 主要 5 品目全てが 2 カ月連続でマイナスとなった。 訪日客向けの免税売上高は前年同月と比べ 10.1% 減の約 124 億円となり、6 カ月連続で前年割れした。 購買客数が 15.9% 増えた半面、客単価が 22.4% 低下した。 免税手続きカウンターの来店国・地域別順位は 1 位が中国、2 位が韓国、3 位が台湾、4 位が香港だった。

9 月の東京地区の百貨店売上高は全店ベースで 1,133 億円となった。 既存店ベースでは 3.4% 減となり、2 カ月連続で減少した。 全国 10 都市でもプロ野球の優勝セールを実施した札幌と広島を除き軒並み低調だった。 10 月の全国売上高は、16 日時点で 3% 強のマイナスで推移している。 経済産業省や経団連などの経済団体が来年 2 月末から始める消費喚起運動「プレミアムフライデー」については同協会として「基本的には前向きに取り組んでいきたい」とし、個人消費の盛り上がりに期待を示している。 (nikkei = 10-20-16)


高級ブランドが路頭に迷う!? 百貨店大量閉鎖時代

百貨店の大量閉鎖時代の到来で、有名ブランドの淘汰は始まるのか - -。 化粧品や服飾雑貨、衣料品の有力ブランドといわれるブランドの多くは、流通のヒエラルキーの頂点に君臨した百貨店でコーポレートブランドの価値を高め、ショッピングセンター (SC) や商業ビルなどマス市場で「果実」をとるという戦略を展開してきた。 しかし、郊外型の百貨店の相次ぐ閉鎖計画や都市型百貨店自体のブランド力低下、ネット通販の台頭で、そうした従来の販売戦略が機能しなくなる可能性が浮上している。

百貨店の大量閉鎖に頭を痛める 大手のアパレルや化粧品メーカー

「百貨店業界ではそごう・西武は池袋店のみ、三越伊勢丹は伊勢丹の新宿本店、日本橋三越、銀座三越があればいいといわれてきましたが、それが現実になるのではないかと危惧しています。」 こう冗談めかして話すのはある百貨店に出入りする業者だ。 三越伊勢丹は三越千葉店、多摩センター三越の閉鎖を発表、そごう・西武はそごう柏店や西武筑波店(茨城県つくば市)や西武百貨店八尾店(八尾市)の閉鎖を決定した。

業界では「まだまだ、百貨店には閉鎖予備軍があるのではないか」と観測されており今後、東京都心からほど遠くない近郊の百貨店のさらなる閉鎖が予測されている。 しかし、こうした百貨店の大量閉鎖時代に頭を痛めているのは、当事者の百貨店のみならず、百貨店に納入していたり、出店していたりする衣料品や化粧品ブランドだろう。 というのも、アパレルメーカーや化粧品メーカーは大手ほど百貨店と「運命共同体」だからだ。

百貨店の衣料品売り場。 一見、いろんなブランドが並んでいるようにみえる。 が、実は一つのアパレルメーカーのブランドが散りばめられている。 しかも売り場に立っている店員もアパレルメーカーが派遣している人たちがほとんどだ。

インバウンド(訪日外国人)の旺盛な需要の陰に隠れて目立たなかったが、百貨店のアパレル製品はあまり需要が伸びておらず、アパレルメーカーは百貨店側の部門利益確保の目的から納入価格など条件面でのプレッシャーをかけ続けられている。 いわゆる納入価格の引き下げの要請だ。 そうでなくてもアパレルメーカーは店員を派遣し、売れ残った在庫は引き取るという取引を前提にしてきたため、アパレル自身がすでに体力を消耗しており、もはや過度な納入価格の引き下げ要請や人材の派遣には応じきれなくなっているのだ。

百貨店とアパレル側の関係は  ウィンウィンの関係を保てなくなっている

三越千葉店閉鎖発表の際、三越伊勢丹 HD の役員はアパレル側からの人材の派遣が減り、自らが売り場運営をしなければならず、コスト増加になっていたほか、アパレル側からの商品供給の停滞などもあることを理由に挙げた。 いわば百貨店とアパレル側の関係も、従来のようなウィンウィンの関係を保てなくなっている。

実際、アパレル大手の業績は不振が続く。 オンワードホールディングスの営業利益は 2014 年 2 月期に 102 億円だったが、16 年 2 月期には 37 億円まで目減りした。 三陽商会は 15 年 12 月期に営業利益が前期比 35.6% 減の大幅減益となった上、今期も第 2 四半期は 55 億円の営業赤字を計上した。 三陽の場合は英国バーバリー社とのライセンス契約が切れ、「ドル箱」を失った影響もあるが、それだけではなさそうだ。 大手アパレルメーカーは百貨店への依存度が高く、百貨店の店舗数が減ればそれだけ売上も減っていく。 経営悪化の背景には、百貨店の閉店があるのは明らかだ。

百貨店に出店している企業も百貨店以外のチャネル、駅ビルやショッピングセンター (SC) などで収益を稼ぐ戦略もある。 ワールドは百貨店依存から脱却するため、SC への出店をいち早く始めた。 しかし早急な出店とブランド拡大戦略によりブランドマーケティングで自己矛盾を抱え、16 年 3 月期に全体の 15% 程度にあたる 400 - 500 店の店舗閉鎖に追い込まれている。

SC では百貨店自体が持つブランド力によるブランドイメージの向上にはつながらないし、しかも駅ビルや SC には "先客" のアパレルメーカーがひしめいている。 百貨店依存度の高いアパレルメーカーほど、百貨店大閉鎖時代のサバイバル戦で苦境に陥ることが予想されている。

百貨店経由のブランド戦略に陰り? 大量閉鎖の影響大きい化粧品業界

化粧品業界も百貨店の大量閉鎖の影響を受けやすい業種といっていい。 資生堂やコーセー、カネボウ化粧品といった大手化粧品メーカーはこれまで、百貨店に高級ブランドを導入しブランドイメージ、ブランドの価値を高め、契約している化粧品専門店や、ドラッグストアで値ごろ感のある商品を販売し利益をとる構造だった。

しかし、これも百貨店が減れば続けられない。 すでに化粧品メーカーの有力チャネルは従来のメーカー系列の化粧品専門店などから、ドラッグストアやネット通販に移っている。 一部調査機関によると、例えばドラッグストアはメーカー出荷額全体に占める割合は 3 割程度となっており、化粧品メーカーにとってメインのチャネルになっている。

百貨店を頂点としたマーケティングが通用しにくくなっている現状があるが、百貨店自体が減っていく今後は、こうした百貨店でイメージを確立し、他チャネルで果実を採る戦略がますます難しくなるのはまちがいない。 化粧品の場合も、これまではインバウンドの需要で百貨店売上高も増加していたとみられる。 しかし、今後はインバウンド需要の縮小と販売先としての百貨店店舗の縮小で、国内の販売戦略の見直しを迫られる可能性が高まっている。

百貨店から撤退を始める!? 海外の高級ブランドの戦略見直し

このまま、百貨店の閉鎖が進むと、海外のラグジュアリーブランド(高級ブランド)も日本国内の戦略を見直さざるを得なくなる。 百貨店というある程度高級感のある "器" で商品を販売すれば、ブランドの管理もしやすい。 しかし、「ブランド側にとっても単独路面店はコストがかかりすぎるし、SC ではブランドイメージが作れない。 保てない。(ある百貨店の幹部)」という事情があるからだ。

百貨店側でもブランドイメージの高い欧米のブランドについては、商品代金の 5% の手数料、つまりブランド側は 95% の掛け率で百貨店に納入するところもあるというから、一部の高級ブランドにとっては、まさに「百貨店さまさま」だった。 だが、厚遇されているブランド側でも百貨店自体の集客力が弱まれば出店し続けることも困難になってくる。 外資はドライに百貨店から撤退するという決断を下すだろう。

なぜ大量閉鎖時代を迎えているのか 自助努力の欠如で凋落した百貨店

そもそも百貨店がなぜ大量閉鎖時代を迎えているのか。 百貨店売上高(15 年 = 6 兆 1,700 億円)の約 3 割を占める衣料品の不振にほかならない。 ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」に代表されるような有力専門店やネット通販が市場を拡大するなどの外部要因もある。

しかし、それはあくまで一因であって、主因ではない。 凋落は百貨店自体の自助努力の欠如が原因だろう。 これまでもいわれてきたことだが、主力の衣料品はアパレルメーカー任せの商品政策、売り場運営であり、一部で自社開発商品や自主運営売り場作りに取り組んできたが、どれも成功しているとは言い難い状況だ。 どこに行っても同じアパレルメーカーの商品が並び、同じような売り方の百貨店に消費者は魅力を感じなくなった。 それが大量閉鎖時代の百貨店の深淵だ。 ブランド側はその影響をモロに受け、共に凋落しつつあるのが実情である。 (森山真二、Diamondonline = 10-4-16)


三越伊勢丹、エッフェル塔近くに進出 欧州再出店狙う

三越伊勢丹ホールディングスは 30 日、欧州で本格的に再出店する構想を明らかにした。 かつて日本人観光客らにブランド品などを売る店を出していたが閉店が続いた。 今後はよりすぐりの日本製品を現地の人に売るスタイルに転換する。 まずはパリで市場の分析に乗り出す。 大西洋社長がパリで朝日新聞の取材に「パリ、ロンドン、ニューヨークに店を出したい。 構想中だ。」と語った。 足がかりとして 1 日、エッフェル塔近くの「パリ日本文化会館」内に「ザ・ジャパン・ストア」を開いた。

同店では、京都の老舗・一保堂のお茶や、江戸切子、和紙を使った文具など、日本の技、細やかさが織りなす商品をそろえる。 3 年ほどかけて欧州の消費者の嗜好をつかみたい考えだ。 将来、パリに本格出店する際の店づくりを意識して、「食品、リビング、ファッション(のどのような組み合わせ)が、どうフィットするかを探る(大西社長)」という。 今後の出店をにらんで不動産の状況も調査中だ。

三越は 1970 年代からパリ、ロンドン、独ミュンヘン、マドリードなどに店を開いたが、2000 年代に閉店が続き、ローマ店が残るだけになった。 伊勢丹もロンドンやウィーンの店を閉じたほか、高島屋やそごうなども軒並み撤退。 従来型の「日本人観光客や在留邦人が安心して買い物できる日本の百貨店」には限界も指摘されていた。 (パリ = 青田秀樹、asahi = 10-2-16)


千葉・多摩センターの三越閉鎖へ 収益改善見込めず

三越伊勢丹ホールディングス (HD) は 7 日、傘下の三越伊勢丹が運営する三越千葉店(千葉市)と三越多摩センター店(東京都多摩市)を来年 3 月 20 日で閉鎖すると発表した。 両店とも衣料品などの販売が振るわず、収益の改善が見込めないと判断したという。

千葉店は JR 千葉駅近くに立地し、1984 年に地元百貨店を引き継ぐ形で営業を開始。 多摩センター店は多摩そごう跡に 2000 年にオープンした。 近年は、ほかの専門店や大型商業施設などとの競争が激しくなっていた。 三越伊勢丹 HD はこれらの不採算店を閉める一方、東京都心などの店舗を強化する方針だ。 (asahi = 9-7-16)


百貨店、衣料品再生の新戦略 9 か月連続減少の中で

9 か月連続のマイナスと衣料品の販売不振が続く百貨店。 秋の衣替えシーズンを前に、新たな戦略を打ち出しました。 「きょうオープンしたこちらのお店の売りは、3 世代で着られる、おそろい服です。(記者)」 24 日、都内の百貨店にオープンした店舗の売りは、祖父、父、息子の 3 世代で着るおそろいの服。 意識したのは ・・・? 「おそろいです!」 若者に人気の双子コーデ。 値段は少し高めですが、比較的お金に余裕があるとされる祖父層をターゲットに、新たな "孫消費" の形を作り出したい考えです。

「衣料品はここ数年、非常に厳しい状態。 特に婦人服と紳士服の売り上げが厳しい。(高島屋、紳士服担当バイヤー 久曽神健さん)」 実は、今も拡大を続ける衣料品市場。 一方で、百貨店での売り上げは 9 か月連続で減少しています。 客が向かっていたのはネット通販。 以前は「届くまで時間がかかる」など課題もありましたが、今は「即日配送」や「返品無料」といったサービスを拡充。 「いろんな商品と見比べられるので、他の店に行かなくていい。(街の人)」

販売を伸ばすネット通販に対し、百貨店は ・・・? 「(そごう)西武さんには、いろんな面でお世話になっていた。 そのような接点があって、今回のプロジェクトをやらせてもらう。(ファッションデザイナー 高田賢三さん)」 そごう西武は、長年培った人脈を生かし、世界的なデザイナーを起用。 割安感を売りにします。 一方 ・・・、「こちらの婦人靴売り場では、3D スキャンで足型を測ることで、自分の足に近いサイズの靴を探すことができます。(記者)」

三越・伊勢丹は、直接接客できる強みを生かします。 しかし、政府が 24 日、公表した月例経済報告。 個人消費について「消費マインドに足踏みがみられる」という表現が 6 か月連続で盛り込まれました。 消費にも逆風が吹くなか、百貨店の模索は続きます。 (TBS = 8-24-16)


百貨店は、もはや「過去の遺物」 激化するアパレル生き残り戦争の現状

銀座のシンボルでもあった松坂屋銀座店の閉店が象徴的な出来事となり、百貨店の危機が広く知れ渡りましたが、そのあおりをまともに受けた百貨店アパレルも衰退。 店舗縮小などで次なる方法を模索しています。 今後アパレルはどのような業態へと変わっていくのでしょうか? メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、鋭く分析しています。

百貨店アパレルは衰退

百貨店アパレルの将来を考えるには、百貨店の将来も考えなければならない。 既に、百貨店という業態は、小売業ともいえず、賃貸業とも言えない複雑で非効率な業態になってしまった。 立地の良い都心の百貨店は、存続可能だろう。 インバウンドと富裕層を対象にして、ファッション、飲食、雑貨等を展開していけば採算に乗るはずだ。 地方百貨店は厳しい。 イオンや IY、SC モール、ユニクロやしまむら、青山やアオキとも競合する。 多くの地方百貨店は淘汰されるに違いない。

百貨店に依存しているアパレル企業は、百貨店への売上が低下し、経営全般を見直すことになるだろう。 既に、大手百貨店アパレル企業は店舗縮小、ブランドの整理を進めている。 このまま、縮小均衡を求めるならば、最終的にブランドの売却、合併等を検討することになる。 百貨店アパレルは、百貨店に遠慮してネット販売等を積極的に進めてこなかった。 百貨店も百貨店アパレルも、ネット上の存在感が極めて希薄だ。 経済全体がインターネットにより変革していく中で、ネット対応の遅れは致命的である。

百貨店は、いかに「脱アパレル戦略」を推進するかが問われるだろう。 そして、百貨店アパレルは、いかに「脱百貨店戦略」を推進するかが問われるはずだ。 勿論、百貨店アパレルが「脱アパレル戦略」に取り組んでもいい。 例えば、百貨店イベントを提案したり、新しいタイプの飲食業態を提案するということだ。 多くの百貨店アパレルは中国市場に進出し、成果を上げることができず、撤退している。 しかし、今後の活路は海外市場にしかない。 これまでの失敗を糧に再チャレンジするという戦略も必要ではないか。

但し、手法は全面的に変えなければならない。 日本型商法を押しつけることはできないし、日本百貨店 MD をそのまま持ち込んでも成功しない。 徹底して、現地の市場を調査し、中国企業では対応できない消費者ニーズを見つけ、それに対応することである。

グローバル SPA は成長を続ける

ユニクロ、無印良品、H & M、ZARA 等のグローバル SPA は、成長を続けるだろう。 百貨店アパレル、量販店アパレルは、問屋業態であり、自社でショップをコントロールする能力が欠如している。 問屋業態を維持しながら、成長することは困難である。 グローバル SPA は小売業であり、世界で最も安く生産できるメーカーから商品を調達している。 今後は、店舗販売の売上比率を下げ、ネット販売を増やすに違いない。 店舗の売上を増やそうとすると、経費倒れになりかねないからだ。

ユニクロは、低価格戦略への回帰を打ち出したが、一方では,クリストフ・ルメール氏との取り組みを強化した。 ユニクロパリ R & D センターのアーティスティックディレクターにクリストフ・ルメール氏を起用し、2016 年秋冬から新ライン「Uniqlo U」の販売を発表している。 これは、苦戦している欧米市場での巻き返しだけでなく、日本市場のアッパーゾーンに向けた戦略とも言えるだろう。 ユニクロはテキスタイルや縫製だけの差別化では、価格を上げることはできないと実感したに違いない。 そして、ジル・サンダー氏との「+J」の経験を生かし、再度、本格的にブランドビジネスに取り組んでいく決意を固めたのだろう。

残念ながら、大手百貨店アパレル企業は、こうした一流デザイナーとの本格的な協業を経験していない。 勿論、一流デザイナーとの取り組みは経験しているが、あくまでブランドライセンスであり、自社ブランドのアーティスティック・ディレクターとして契約するという形態ではないのだ。 この契約ができるということは、今後、様々なデザイナーと協業できるということである。 ユニクロにその意志があるか否かは分からないが、グローバルなブランドビジネスの入口に立っているのは確かだ。

無印良品も国内デザイナーと契約しているが、あくまで業務委託契約であり、デザイナー名を公表していない。 この姿勢は、ブランドビジネス的なアプローチを否定しているということでもある。 無印良品というブランドが重要であり、デザイナービジネスには参入しないという意志の現れだろう。 いずれにせよ、今後、ファッションシーンで影響力を増すのは、国内外に直営店を持ち、グローバルソーシングを行っているグローバル SPA 企業であり、百貨店アパレルではないのだ。

セレクトショップはどうなる

百貨店が淘汰され、百貨店が得意としてきた高級品市場の穴を埋めるのは、セレクトショップだと思う。 逆にいえば百貨店は、伊勢丹新宿本店を除いて、「ファッション大店」にはなれなかったのだ。 セレクトショップは、商品の選択眼、品揃えの面白さ、丁寧で専門的な接客によって、高級品市場の一翼を担っており、その役割は今後も変わらないだろう。 ファッション以外にも、百貨店の特選売場やギャラリーで扱っていたような、工芸品や作家ものを扱うようになるだろう。 次第にファッションの領域を広げ、「小さな高級百貨店」を実現するのではないか。

海外には、尖ったファッション商品だけを集めるセレクトショップが多いが、日本のセレクトショップは日本百貨店の伝統を受け継いでおり、保守的な富裕層も吸収していくと思う。 セレクトショップは、店舗数と売上をコントロールし、必要以上に拡大してはならない。 むしろ、百年続く高級品業態を目指してほしいと思う。

SC モール専門店はどうなる

SC モール運営者は、家賃収入で儲かっているが、出店しているテナントは儲かっていない。 当然だが、人気のない SC モールでは空きが出ている。 今後は、SC 間競争が目立ってくるだろう。 同時に、SC アイデンティティが求められ、SC 毎の独自のテナントミックスが求められるだろう。 それができなければ、SC モールの単位で淘汰が進むと思われる。 あるいは、ヤング偏重の SC モールの中で、どこが本格的なシニア向けモールを展開するかも注目である。 既に、アウトドア専門店集積のモールが出現しているが、ここがシニア層を獲得していけば、一気に全国に広がるかもしれない。

SC モールの専門店は基本的にヤングを対象としており、トレンドを意識し、リーズナブルな価格ゾーンで構成するなど、同質化している。 これは、多くのアパレルが企画会社から提示されるサンプルに依存しているためである。 同じようなサンプルが、複数のアパレルに提示され、アパレルはその中から商品を選び、量産しているのである。 実は、これはネットモールに出店しているアパレルも同様である。 このゾーンは、益々、同質化と価格競争が進むだろう。 同質化が一定以上進むと、個性的なショップが出現する。 これまでも繰り返されてきたサイクルである。

特に、ネットでは、手作り商品やアクセサリーなど、個人でもビジネスに参加できる環境が整っている。 こうしたネット上の起業家が育ち、やがてはオフラインのビジネスで成長してくるかもしれない。 アパレルは、インターネットにより、競合が厳しくなるが、逆に、インターネットから新しい勢力も生まれてくるのではないか。 (MAG2 = 7-18-16)