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防衛省の 2026 年度予算概算要求 過去最大 8.8 兆円超に
 攻撃型無人機取得や極超音速ミサイルの量産も

防衛省は 29 日、2026 年度予算の概算要求を発表した。 過去最大となる 8 兆 8,454 億円を計上している。 ロシアによるウクライナ侵略などでは無人機が広く活用され、中国は無人機による活動を活発化させている。 こうした現状を踏まえた現代戦対応のため、無人機などによる多層的沿岸防衛体制「SHIELD」の構築に 1,287 円を計上した。 「SHIELD」では、2027 年度までに陸上自衛隊の小型攻撃用 UAV (無人機)や、航空自衛隊の艦艇攻撃用 UAV など、陸海空自衛隊で 10 種類の無人機を数 1,000 機取得する予定だ。

また、敵の射程圏外から攻撃するスタンド・オフ防衛能力の抜本的強化のため、迎撃が困難とされる極超音速ミサイルの量産などに向け 305 億円を計上した。 このほか、自衛官の処遇や生活環境を改善する費用や、宇宙作戦集団を新編して航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改編する費用などを盛り込んでいる。 政府は、防衛力の抜本的強化に向けた防衛費について、2023 年度から 5 年間の総額を約 43 兆円と定めていて、今回はこれまでで最も多い 8 兆 8,454 億円を計上した。 (FNN = 8-29-25)


インドネシアで多国間演習、自衛隊も参加 背景に全方位外交誇示か

多国間演習「スーパー・ガルーダ・シールド」の開始式が 25 日、ジャカルタで開かれた。 インドネシア軍によると、米軍や自衛隊、オーストラリア軍などオブザーバー参加を含めて計 18 カ国が参加する見込み。 作戦の互換性や兵力の相互運用性などを高める訓練が 9 月 4 日まで行われる。 同演習は 2007 年に米軍とインドネシア軍の合同演習として始まり、22 年から他国も参加している。 インドネシア軍によると、今年は各国から計約 6,500 人が参加。 「多国間協力と相互運用性の強固さを象徴するものだ」としている。 陸上自衛隊の武者利勝・水陸機動団長は「同志国との連携を高め合っていきたい」と話した。

全方位外交、特定勢力に依存しない意思表示か

「1 千の友は少なすぎ、一つの敵は多すぎる。」 インドネシアのプラボウォ大統領がよく引用するこのフレーズは、同国が掲げる非同盟主義の「全方位外交」を示すものだ。特定の勢力に偏らず、様々な国とバランスを取りながら関係を維持することで、主に経済面での自国の利益最大化を目指してきた。 ただ、昨年 10 月に就任し、最初の外遊先に中国を選んだプラボウォ氏は今年 6 月にカナダで開かれた主要 7 カ国首脳会議 (G7) への参加を見送ってロシアを訪れた。 プーチン大統領との首脳会談で「戦略的パートナーシップ宣言」に合意するなど、ロシア・中国寄りの姿勢が目立つとの指摘もある。

一方、中国との軍事的緊張関係が続く豪州とは 24 年に防衛協力協定を締結し、以降も安保協力を拡大。 日韓やフランスからの防衛装備品の調達も進める。 25 日の開始式で、米インド太平洋軍のパパロ司令官は「過去最大の訓練になる」とした上で「暴力によって現実を変えようとする者に対し、主権の原則を守る抑止力を示す」と述べた。 米国にとっても、同盟国や友好国が多く参加するスーパー・ガルーダ・シールドは、中国を念頭に地域でのプレゼンスを示す機会でもある。

インドネシア軍関係者によると、ロシアや中国もインドネシア側にスーパー・ガルーダ・シールドと同規模の軍事演習開催を提案してきた経緯があるが実現には至っていない。 インドネシア側にとっては演習を続けることで、安全保障で特定勢力に依存する意思がないことを示す狙いも透ける。 (ジャカルタ・河野光汰、asahi = 8-25-25)


「爆音段違い」垂直着陸、通常の 5 倍の時間 初配備の戦闘機 F35B

ゴォーと空を切り裂くような轟音と共に、黒みがかった 3 機の戦闘機が舞い降りた。 7 日午後、地元首長や反対派の住民らが注視する中、航空自衛隊新田原基地(宮崎県新富町)に最新鋭ステルス戦闘機 F35B が着陸した。 騒音被害への懸念について具体策が示されないままの配備に、防衛省への非難の声も聞かれた。

「来ました。」 午後 1 時 24 分、基地の滑走路近くに設けられた取材エリアに集まった報道陣に、広報係の空自隊員が声をあげた。 グアムの米軍基地から飛来した F35B の最初の 1 機は、基地周辺を旋回すると、ゆっくりと滑走路上空に近付き、ヘリコプターのように空中で浮遊。 そのまま垂直に地面へと降りていった。

これが F35B の最大の特徴、垂直着陸だ。 防衛省は、パイロットには高い技量が求められ一定頻度の訓練が不可欠と説明する。 一方で、着陸地点約 2 キロ手前からの所要時間が通常着陸(約 24 秒間)に比べて 5 倍の約 2 分間かかるといい、これまでより長く騒音が響くのではと、被害の増加が懸念されている。 防衛省はこれまで「緊急時等を除き」新田原基地では垂直着陸訓練はしない考えを地元に示してきたが、今年に入り説明を一転。 最大月約 100 回(うち夜間約 40 回)を実施する計画を示し、地元から反発を買った。

住民らが強く求めている騒音被害の軽減策を配備前に示すことが「筋ではないか」と、河野俊嗣知事も九州防衛局長に遺憾の意を伝えていた。 この日、基地内で垂直着陸の様子を見守った日隈俊郎副知事は取材に「騒音が響く時間が長くなると実感した」と話した。 県も求めてきた負担軽減策がいまだ防衛省から示されていないことに「住民はまだ納得されていないと思う」と指摘。 実質を伴った対策を早期に示すよう求めた。 F35B の配備そのものに反対する団体「県平和委員会」などはこの日午前、基地近くの広場で抗議集会を開いた。

基地の、周辺住民に対する騒音被害を認める判決が確定した裁判で、原告の 1 人だった海老原司さん (71) は「(住民の声に対する答えがないままの F35B 配備は)怒りと不信感を増幅させるもの」と憤った。 「判決を踏まえ、国は爆音被害の軽減にこそ努力すべきだ。 これ以上、騒音被害を大きくすることは許されない」と訴えた。

県平和委員会の副会長、佐川嘉正さん (84) は集会の後、基地近くの展望台で垂直着陸などの様子を目にし、「爆音のすごさは通常着陸と比べて段違い」と述べた。 F35B は 2031 年度ごろまでに、約 40 機が新田原基地に配備される計画だ。 佐川さんは「これが 40 機になったら大変なことになるのでは」と話した。 (吉田啓、後藤たづ子、asahi = 8-7-25)

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