南西防衛、九州も体制強化 ステルス機、ミサイル部隊配備 - 自衛隊 沖縄や台湾周辺で軍事的な威圧を強める中国を念頭に、防衛省が九州への自衛隊配備を強化している。 2024 年度にステルス戦闘機 F35B 飛行隊や地対艦ミサイル部隊を新設する方針。 南西諸島の「防衛力の空白」解消と並行し、「作戦領域として一体(同省幹部)」と位置付ける九州の抑止力構築も急ぐ。 木原稔防衛相は 4 日(日本時間 5 日)、米国防総省でオースティン国防長官と会談。 台湾有事への対処や南西防衛の重要性を踏まえ、日米両国のプレゼンスを高める方向性を確認した。 防衛省関係者は「もはや奄美・沖縄が最前線、九州が後方ではない」と指摘する。 沖縄周辺で頻繁に確認される中国の H6 爆撃機は射程 1,500 キロメートル超の対地巡航ミサイルが搭載可能とされる。 こうした兵器の長射程化を前提とした日本の防衛力強化が急務という。 F35B は短距離離陸・垂直着陸能力を持ち、24 年度に 6 機が初めて納入。 航空自衛隊新田原基地(宮崎県)に臨時飛行隊を新設する。 広大な南西地域の航空優勢維持に向け、海上自衛隊の護衛艦「いずも」、「かが」艦上で運用する方針だ。 大分県の陸上自衛隊湯布院駐屯地には地対艦ミサイル連隊を創設する。 有事には九州域内に展開して敵の接近を阻む構想だ。 同県の大分分屯地には弾薬庫を整備し、ミサイル連隊と一体運用する見込み。 離島の防衛・奪還を任務とし「日本版海兵隊」と呼ばれる陸自の水陸機動団(長崎県・相浦駐屯地)も増強。 現在の 2 連隊体制を 23 年度末に 3 連隊とし、新たな連隊を同県・竹松駐屯地に置く。 水機団の足となる輸送機オスプレイ部隊も、25 年 7 月に木更津駐屯地(千葉県)から佐賀市の駐屯地に移す予定。 ミサイル攻撃に耐えるよう、重要施設の防護も急ぐ。 24 年度は陸自の西部方面総監部がある健軍駐屯地(熊本県)や空自の西部航空方面隊司令部を置く春日基地(福岡県)などで、施設の地下化に着手。 基地内の駐機エリアを複数に分けて航空機の生存性を高める「分散パッド」整備も進める。 (jiji = 10-8-23) 極超音速兵器迎撃の新型ミサイル 日米が共同開発の合意へ最終調整 音速の 5 倍(マッハ 5)以上の速度で軌道を変えながら飛ぶ極超音速(ハイパーソニック)兵器を迎撃するための新型ミサイルを、日米両政府が共同開発する方針を固めた。 18 日にワシントン郊外で行われる日米首脳会談で合意する方向で最終調整している。 日本政府関係者が明らかにした。 日米両首脳は、18 日にワシントン郊外の大統領専用の山荘「キャンプデービッド」で開かれる日米韓首脳会談にあわせ、個別に会談する。 新型ミサイルの共同開発は、この日米首脳会談での合意内容として発表される方向。 新型ミサイルの具体的な仕様などの細部は両政府間で今後詰める見通しという。 日米が新型ミサイルを共同開発する方針を固めたのは、中国や北朝鮮、ロシアによる極超音速兵器の開発に対抗するためだ。 極超音速兵器はマッハ 5 で飛び操縦可能なため、弾道ミサイルよりも迎撃が難しく、戦争の形態を変える「ゲームチェンジャー」と言われる。 日本を含めた西側諸国も開発・研究を進めるが、とくに中国の技術は米国より先行し、世界最先端とみられている。 中国が 2021 年夏に行った発射実験をめぐっては、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が、1957 年に旧ソ連が人工衛星を人類史上初めて打ち上げた「スプートニク・ショック」の衝撃を例に出し「極めてそれに近いと思う」と語った。 日米両政府は今年 1 月の日米安全保障協議委員会(2 プラス 2)で、極超音速技術に対抗するための共同研究を開始することで一致。 「将来のインターセプター(迎撃ミサイル)の共同開発の可能性について議論を開始すること」でも一致していた。 (田嶋慶彦、asahi = 8-13-23) 北朝鮮ミサイル情報、リアルタイムで共有 日米韓が年内開始で合意 浜田靖一防衛相は 3 日、訪問先のシンガポールで、米国のオースティン国防長官と韓国の李鐘燮(イジョンソプ)国防相と会談した。 各国のレーダーなどが捉えた北朝鮮のミサイル関連情報をリアルタイムで共有する仕組みについて、年内に運用を開始することで合意した。 まずは部分的な運用を数カ月以内に始めることを確認し、準備作業を加速させる。 ミサイル関連情報のリアルタイムでの共有は、昨年 11 月の日米韓首脳会談で表明していた。 現状は、日米韓それぞれのレーダーで探知した情報を日米、米韓がそれぞれリアルタイムで共有しているが、3 カ国の仕組みはない。 今後は 3 カ国で情報を共有するためのシステムに関する技術的な課題や、情報の共有範囲などの詳細について検討を進める。 浜田氏は会談後、記者団に「北朝鮮のミサイルを探知、評価する各国の能力を向上させるためのものだ」と強調。 「早期に実現できるようしっかり取り組みたい」と述べた。 (シンガポール = 田嶋慶彦、稲田清英、asahi = 6-3-23) 北朝鮮のミサイル発射今回は失敗も、軍事衛星保有なら新たな脅威に 北朝鮮が日本側に「人工衛星」打ち上げを通告した、31 日の弾道ミサイルの発射は失敗した。 ただ北朝鮮は、宇宙空間から日米韓などの軍事行動を監視・追跡する軍事偵察衛星の保有を引き続き追求する構えだ。 本格運用に成功すれば、ミサイル攻撃の精度を高めるなど、新たな脅威となる。 北朝鮮が「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイルを発射するのは、2016 年 2 月以来。 前回の発射では、防衛省が、この飛翔体が地球周回軌道に投入されたものの、「人工衛星としての機能を果たしているとは考えられない」と分析していた。 北朝鮮はその後、衛星の打ち上げ目標を「軍事偵察衛星」と明確化。 昨年 12 月に「偵察衛星開発のための最終段階の重要試験を行った」とし、「23 年 4 月までに軍事偵察衛星 1 号機の準備を終える」と宣言するなど、偵察衛星保有の動きを本格化させていた。 今回は失敗したものの、北朝鮮は引き続き偵察衛星打ち上げを試みる方針を示している。 こうした衛星が目的の地球周回軌道に乗れば、日米韓などの軍事活動の偵察・監視のほか、弾道ミサイルの攻撃目標を特定する精度を向上させることになる。 一方で、北朝鮮はミサイルの多様化と能力強化を加速。 今年 3 月には、米ワシントンを射程に収める「火星 17」を、4 月には固体燃料を使った新型の大陸間弾道弾 (ICBM) 級のミサイルを発射した。 変則的な軌道を描き、迎撃が困難な巡航ミサイルや潜水艦発射型ミサイルの発射実験も繰り返している。 ただ、ミサイルの保有だけでは、攻撃目標を正確に捉えることは難しい。 北朝鮮が偵察衛星保有を目指す背景には、ミサイル能力の強化とあわせ、精密攻撃能力を誇示したいとの狙いがあるとみられる。 地上情報の解像度など、偵察衛星の性能次第では、新たな脅威となるのは間違いない。 問題は、こうした北朝鮮の動きを止める、具体的な方策が見当たらないことだ。 今回の「衛星」打ち上げと称する弾道ミサイル発射も、従来同様、国連安保理決議違反となる。 だが、国連安保理では、これまでも中国やロシアが北朝鮮への非難声明に反対するなど、足並みがそろわない。 加えて、ウクライナに軍事侵攻したロシアに対し、北朝鮮が砲弾などを供与しているとも指摘され、北朝鮮がロシアと接近。 北朝鮮が、ミサイル技術などでロシア側から技術支援を受ける可能性も懸念される。 また、北朝鮮は戦略核開発のため、新たな核実験の準備を進めているとされ、核実験再開に踏み切れば、事態は一層深刻になる。 (編集委員・佐藤武嗣、asahi = 5-31-23) ◇ ◇ ◇ 北朝鮮が「衛星」発射通告 偵察用かミサイル向上か、政府は迎撃準備 北朝鮮が 29 日、「人工衛星」を 31 日から 6 月 11 日の間に発射すると日本政府に通告した。 政府は事実上の弾道ミサイルで、早ければ週内の発射もあるとみている。 情報収集を進め、即応体制を整える構えだ。 29 日未明、北朝鮮から海上保安庁に「衛星」の発射計画が送付された。 北朝鮮の朝鮮中央通信は昨年 12 月、完成した軍事偵察衛星の打ち上げ準備を「(今年) 4 月までに終える」と報じた。 4 月には、金正恩(キムジョンウン)総書記が「計画した期日内の打ち上げ」を指示したとも伝えていた。 浜田靖一防衛相は先月 22 日、自衛隊に破壊措置準備命令を発出。 直近 3 回の衛星と称したミサイル発射がいずれも北朝鮮から南方向への発射だったため、迎撃部隊を沖縄県に展開した。 政府はミサイル燃料の搬入状況などを分析し、今月初旬には「いつ発射があってもおかしくない」と警戒を強めていた。 ただ、動きがなく「(北朝鮮側に)技術的な問題が生じているのでは」とみる声もあった。 発射通告を受けて、浜田氏は 29 日、準備命令を破壊措置命令に引き上げた。 日本の領域への落下が確認されれば、迎撃ミサイルを搭載したイージス艦や、与那国駐屯地や宮古島分屯基地、沖縄本島の那覇駐屯地や石垣島の駐屯地外の陸地にも配備した迎撃用の地対空誘導弾「PAC3」部隊が対応する。 沖縄県も 29 日、危機管理対策本部を設置した。 玉城デニー知事は「県内に落下する場合に備え、警察、消防、自衛隊および海上保安庁と連携し、万全な体制で対処する」と強調。 テレビやラジオの情報に注意し、落下が予測される場合は屋内に避難するよう県民に呼びかけた。 防衛省は、北朝鮮が実際に偵察衛星を打ち上げ、地球周回軌道に乗せる可能性もあると見ている。 一方、政府内には北朝鮮の弾道ミサイル技術は完成に至っていないとの認識もあり、今回の発射にはミサイルの安定飛行につなげる意図があるとの分析もある。 防衛省関係者は「あらゆる可能性に備えている」と話す。 北朝鮮は、前回 16 年 2 月の「衛星」打ち上げと称するミサイル発射では、通告した予定期間の初日に発射した。 防衛省関係者は「不測の事態も考え、通告期間の早いうちに撃つのではないか」と分析する。 ただ、落下予告地域のフィリピン東方周辺には現在、台風 2 号が接近している。 天候などを考慮し、実際の期日を決めるとみられる。 (鬼原民幸、小野太郎) 軍事偵察衛星の開発・運用、北朝鮮が進展アピール 朝鮮中央通信は 2022 年 3 月、金総書記が北朝鮮の国家宇宙開発局を視察したと伝えた。 その際、軍事偵察衛星を開発する目的についてこう説明している。 「南朝鮮(韓国)地域と日本地域、太平洋上での米帝国主義侵略軍とその追従勢力による軍事行動の情報を、リアルタイムで提供することにある。」 米軍や韓国軍などの動きを素早くつかむ能力を持つことで、開発を進める核・ミサイル技術の効果的な活用や、自国への攻撃を思いとどまらせる抑止力の拡大につながるとの考えがあるとみられる。 韓国政府関係者は北朝鮮の衛星について「『目』を持とうとしているということだろう」と話す。 北朝鮮は軍事偵察衛星の開発・運用を、21 年に示した国防力強化の 5 カ年計画で打ち出している。 計画に基づいて開発を進め、国営メディアを通じて進展をアピールしてきた。 北朝鮮は 16 年など過去にも「衛星」と称して弾道ミサイルを発射しているが、昨年 1 年間だけで約 70 発の弾道ミサイルを撃つなど核・ミサイル開発を加速している。 韓国政府関係者や専門家の間では、今回はミサイルの技術的な向上をめざすよりも、実際に軍事偵察衛星を打ち上げることが主目的だとの見方が強い。 当初は 4 月中にも打ち上げるとの見方があったが、北朝鮮が通知した期日は 5 月 31 日以降となった。 韓国・梨花女子大の朴元坤(パクウォンゴン)教授は「公開のもとで行われ、絶対に失敗できない。 技術的な準備を慎重に進めたのではないか。」と指摘する。 朝鮮中央通信は 29 日、朝鮮労働党の中央委員会総会が 6 月上旬に開催されると伝えた。 打ち上げが成功すれば国防力強化の大きな成果として報告し、内部の結束強化などにつなげる可能性もある。 一方、韓国外交省は 29 日に声明を発表し、北朝鮮に対して計画の撤回を求めるとともに、「もし発射を強行すれば、応分の対価と苦痛を甘受しなければならない」と強く警告した。(ソウル = 稲田清英、asahi = 5-29-23) 「北海道落下」と J アラート発令の飛翔体、ミサイルから「分離」した部品か … 防衛省分析 防衛省は 21 日、北海道に落下する恐れがあるとして、13 日に全国瞬時警報システム(J アラート)が発令された飛翔体について、北朝鮮のミサイル本体ではなく、ミサイルから「分離」した使用済みエンジンなどの部品だった可能性があるとの分析結果を発表した。 飛翔体は探知直後、レーダーから消失した。 分離後のエンジンが空中分解したためとみられている。 (yomiuri = 4-21-23) ◇ ◇ ◇ 北朝鮮の新型 ICBM、上空で変えた軌道 J アラート修正に影響か 新型の大陸間弾道ミサイル (ICBM) の試射を行った北朝鮮。 14 日にその様子を伝えた朝鮮中央通信は「驚異的な成果」として誇った。 現段階ではまだ開発途上とみられるが、北朝鮮のミサイル開発は着実に進展しているとみられる。 初めてとなった 3 段式の「火星 18」の試射について同通信は、「大出力固体燃料多段階エンジン」の性能や、ミサイルを遠くへ飛ばすための分離の技術、様々な機能を制御するシステムの信頼性を確認することが目的だったと伝えている。 この新型ミサイルが開発の途上であることは、発射の仕方からも示唆される。 今回、まず標準的な弾道ミサイルの軌道で飛ばした後、1 段目を切り離した段階から高角度の「ロフテッド軌道」に切り替えたとされ、これまでの ICBM をロフテッド軌道で発射し、着弾までの時間などから米本土を狙い得ることを誇示していたのに比べると、変則的だ。 同通信は、分離された 1 段目が同国東部の咸鏡南道沖 10 キロの海上に、2 段目が北部の咸鏡北道の東 335 キロの海上に落ちたとした上で、「周辺国の安全にいかなる否定的な影響も与えなかった」とし、試験が計画通りに進んだと強調する。 通常軌道のままなら日本列島を越えた? 韓国・北韓大学院大の金東葉(キムドンヨプ)教授は、今回の試射の目的が 1 段目を飛ばす固体燃料エンジンの性能の確認にあったとみる。 途中で軌道を変えたことについて、「ロフテッド軌道の発射はエンジンに負荷がかかるので、1 段目だけは通常の軌道で飛ばした。」とみる。 防衛省の発射直後の角度や方向の計算からは、日本の領土や領海への落下を予測する結果が出て、全国瞬時警報システム(J アラート)で避難が呼びかけられた。 ミサイルが高度を上げるにつれて予測が修正され、日本の領域や排他的経済水域 (EEZ) への落下は確認されなかったが、金教授は、通常の軌道のままなら「日本列島を越えることができた」とし、軌道の急な変化が予測の修正に影響した可能性を指摘する。 韓国国防省も 14 日、今回は「中間段階の試射」で、「完成に至るには、さらに時間と努力が必要な水準だと評価している」との声明を発表した。 ただ、北朝鮮は自ら描くミサイル開発の道程を着実に進めているとみられる。 これまでの「液体燃料型」よりも素早い発射が可能な「固体燃料型」の ICBM の開発についてはすでに、昨年 12 月に「高出力の固体燃料エンジンの地上噴出試験」を実施したとしていた。 同年末に示した国防戦略でさらなる開発を示唆し、今年 2 月の軍事パレードには「火星 18」とみられる ICBM を登場させていた。 核兵器を搭載できる短距離弾道ミサイルについてはすでに、実戦配備の段階に至っているとみられるが、米本土を射程にできる ICBM の性能の向上によって、米国に「事実上の核保有国」と認めさせた上で将来的な交渉に持ち込みたい思惑があるとみられている。 日本の防衛省幹部は「固体燃料はより難易度の高い技術で、国際社会にとって脅威のレベルは一段上がった」と話す。 「火星 18」が3段式であることについても、別の防衛省幹部は「複数段数のミサイルだと軌道計算はさらに難しくなる」とし、迎撃態勢にも影響するとの見方を示した。 林芳正外相は 14 日の閣議後の記者会見で、16 - 18 日に長野県軽井沢町で開催される主要 7 カ国 (G7) 外相会合で、北朝鮮の核・ミサイル開発を議題の一つにする考えを示し、「私自身、議長として議論を主導し、G7 の連携を確認したい」と強調した。 (稲田清英、太田成美 = ソウル、田嶋慶彦、asahi = 4-15-23) ◇ ◇ ◇ 北朝鮮が弾道ミサイル、すでに落下か 北海道周辺の可能性はなくなる 防衛省は 13 日、北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射されたと同日午前 7 時 25 分ごろ発表した。 海上保安庁は同 8 時 20 分ごろ、防衛省からの情報として、弾道ミサイルの可能性があるものはすでに落下したものとみられると発表した。 政府は午前 7 時 55 分ごろ、全国瞬時警報システム(J アラート)を出し、ミサイルが同 8 時ごろ、北海道周辺に落下するとみられるとして避難を呼びかけた。 海保は同 8 時ごろ、北海道周辺に落下するとの情報を流したが、同 20 分ごろ、その可能性はなくなったと訂正した。 防衛省は同 50 分ごろに「我が国領域に落下する可能性があるものとして探知し、北海道に落下する可能性のあったミサイルについては、我が国領域への落下の可能性は無くなったことが確認された。 詳細は現在分析中。」とする続報を発表した。(成沢解語) ☆ 韓国軍は 13 日、北朝鮮から日本海に向けて弾道ミサイルが発射されたと発表した。 飛距離などの詳細は現時点で明らかになっていない。(ソウル = 稲田清英) 首相「わが国領域内に落下していないと確認」 岸田文雄首相は 13 日午前 9 時ごろ、首相官邸で記者団に「弾道ミサイルはわが国領域内に落下していないことは確認している。 この後詳しい報告を受けた上で、国家安全保障会議 (NSC) 4 大臣会合を開催したいと思っている」と語った。 記者団から情報発信の正確性について問われると「J アラートの件も含めていま確認中だ。 これから報告を受けようと思っている」と述べた。 (asahi = 4-13-23) 気球への武器使用、要件を緩和へ 防衛省「正当防衛でなくても可能」 防衛省は 16 日、日本の領空に侵入した外国の気球などへの武器使用の要件を緩和する方針を示した。 これまでは自衛隊法 84 条に基づき「正当防衛」か「緊急避難」の場合に限られたが、「地上の国民の生命・財産」や「航空路を飛行する航空機の安全」などを守るために、正当防衛や緊急避難にあたらなくても使用を認める。 自衛隊法 84 条は、外国の航空機が領空に侵入した場合、「必要な措置を講じることができる」と定めている。 その際の武器の使用については、正当防衛と緊急避難の場合に限って認められるとされてきた。 想定されていたのは、領空侵犯した有人の軍用機だったが、2 月に入って、米国は中国の気球を相次いで撃墜。 14 日には防衛省が 2019 - 21 年に日本の領空内で確認された気球型の飛行物体などは「中国の無人偵察用気球であると強く推定される」と発表した。 防衛省は改めて気球など無人機に対する武器使用について検討。 領空侵犯する無人の気球や飛行船は、危険な物を搭載している可能性があり、警告などに従うことなく領空を漂い続ける特徴がある。 そのまま放置すれば他の航空機の安全な飛行を阻害するといった危険性があると判断。 正当防衛や緊急避難に該当しない場合であっても、地上の国民の生命・財産の保護や、航空路を飛行する航空機の安全の確保といった目的のため、武器を使用することができるとした。 井筒俊司・航空幕僚長は 16 日の記者会見で「航空自衛隊の戦闘機から空対空ミサイルを発射するなどの手段で、気球の破壊は可能と考えている」と述べた。 防衛省は 16 日、自民党と公明党それぞれの会合で説明。 自民党の小野寺五典・安全保障調査会長は「気球が落下した場合の国民への影響や、航空機への影響を判断し、撃墜するかどうか決定するという対処方針が示された」と評価した。 (田嶋慶彦、asahi = 2-16-23) 日本に飛来した「中国気球」、人工衛星では困難な「任務」のため? 4 年前から断続的に日本の上空に現れていた気球型の飛行物体。 今週になり、防衛省が突如「中国の無人偵察用気球であると強く推定される」と発表した。 判断の根拠は何だったのか。 中国の目的をどう分析しているのか。 飛行物体が日本の領空内で確認された事例として、政府が明らかにしたのは、▽ 2019 年 11 月に鹿児島県上空、▽ 20 年 6 月に宮城県上空、▽ 21 年 9 月に青森県上空、の 3 件がある。 当時は「安全保障に影響はない(河野太郎防衛相)」として自衛隊機の緊急発進はせず、警戒監視にとどめた。 これとは別に、22 年 1 月には九州西方の公海上空で海上自衛隊の哨戒機が確認した事例もあったと 10 日に明らかにされた。 過去に領空内で確認されたものについて、防衛省は 14 日深夜に「お知らせ」と題する 1 枚の文書を発表。 「更なる分析を重ねた結果」として、「中国の無人偵察用気球だと推定されるとの判断に至った」という内容だった。 「更なる」という表現は、これまでも分析を続けていたというニュアンスを込めたとみられる。 ただ、防衛省関係者は「4 日に米軍が気球を撃墜して以降、世間の大きな関心事になったので慌てて発表したのが実態だ」と明かす。 「アンテナ」に着目 自衛隊関係者によると、今回の判断の根拠は、日本に飛来した気球型の飛行物体と、米軍が撃墜した気球とが「似ていることに尽きる」という。 防衛省は、米軍が撃墜した気球の写真の提供を受けていた。 これと見比べたという自衛隊関係者は「アンテナがよく似ていた」と指摘する。 日本で確認された飛行物体には十字形の部品がつり下げられ、複数のアンテナがついていることがうかがえるが、米軍の撃墜した気球にも同様のアンテナが確認されていた。 「無人偵察用気球」だという指摘に対し、中国は「気象用だ」と主張する。 ただ、気象用気球を扱った経験を持つ自衛隊関係者は「大きさが全く異なるため、間違うことは考えにくい」と話す。 気象用は気球に気象観測器(ラジオゾンデ)をつり下げるが、バルーンを含めた全長はせいぜい 22メートル程度だという。 これに対し、米軍が撃墜した気球は全長約 60 メートルだったとされる。 「これだけの大きさのものを民間だけで打ち上げることは考えにくい。」 中国は最近の兵器展示会でこの程度の大きさの軍用気球を今後活用するとして大々的に展示しており、このときの写真と見比べるとアンテナの形状を含めて今回のものとそっくりだったという。 空自基地や原発を監視? ただ、宇宙空間に人工衛星が無数に漂い、地上の情報収集が容易にできるようになった時代に、なぜ中国は気球という手法をとるのか。 防衛省関係者は「人工衛星では困難な、地上近くを飛び交う電波情報を収集したのでは」とみる。 別の自衛隊関係者によると、青森県上空では米軍や航空自衛隊の三沢基地、宮城県上空では空自松島基地の電波情報を収集していた可能性がある。 気球はガスがなくならなければ、半永久的に滞空が可能とされる。 約 20 キロ上空まで上昇でき、地上からは「豆粒程度にしか見えない」ため発見もされにくい。 「気づかれず平時にじっと電波を収集し続ける。 電波に変化があるのはどういうときなのか分析を繰り返し、米軍や自衛隊の動きをずっと監視していたのだろう。」 この関係者はそう指摘する。 気球は人工衛星を通じて操作が可能で、カメラ付きで周囲状況の確認も可能だったとみられる。 一方、鹿児島県上空では、川内原発周辺の電波状況を探っていたとの見方が出ている。 ウクライナに侵攻しているロシアは原発を狙った攻撃にも踏み切った。 中国も日本の原発に関心を寄せている可能性があるという。 気球の軍事利用は、気球から爆弾を落とす「風船爆弾」を採用した旧日本軍が得意としてきた「前近代的な手法(空自関係者)」とされる。 だが、ある関係者は「一見、原始的なことをやっているようだが、誰もが気にせず、法体制も確立していない中で、中国は我々を監視していたことになる。 目の付けどころがいかにも鋭く、中国のしたたかさがうかがえる。」と警戒する。 (成沢解語、asahi = 2-16-23) バイデン大統領、日本の敵基地攻撃能力を「全面支持」 … 日本、軍事大国化へさらに一歩
ジョー・バイデン米大統領は日本の岸田文雄首相と会談し、「敵基地攻撃能力(反撃能力)」を保有し防衛費を 2 倍以上に引き上げるという日本の計画に対して、「歴史的」だと述べ全面的な支持を表明した。 日本の反撃能力への支援の方針も明らかにした。 第 2 次世界大戦終戦以来維持されてきた日本の安保原則と政策が大転換を迎えた中、米国がこれを追認したことで、日本はより大きな後押しを得たことになる。 バイデン大統領は 13 日(現地時間)、ホワイトハウスで開かれた岸田首相との会談で、「日本の歴史的な防衛費増額と新しい国家安保戦略を歓迎する」とし、「米国は同盟に対する防衛に専念しており、日本に対する防衛はさらに重要だ」と述べた。 岸田首相は「日米両国はかつてないほど厳しく複雑な安全保障環境に直面している」とし「日本は反撃能力保有を含め、抜本的な防衛力増強を決めた」と述べた。 米日首脳は会談後の共同声明で「インド太平洋は、ルールに基づく国際秩序と整合しない中国の行動と北朝鮮の挑発行為という点で、増大する脅威に直面している」、「欧州ではロシアのウクライナ侵攻にともなう不当で残酷な戦争が続いている」とし、安保危機が増大したと述べた。 さらに「米日の個別的、集団的対応力の強化が求められる」とし「このためバイデン大統領は、自衛力を増強し外交的取り組みを強化する国家安保戦略などが示す日本の果敢なリーダーシップを評価する」と述べた。 また「このような投資は、インド太平洋を越えて安全保障を強化し、21 世紀の米日関係を現代化するだろう」とし「両指導者は(両国の)閣僚に、日本の反撃能力およびその他の対応力の開発と効率的な運用のために協力を強化するよう指示した」と明らかにした。 反撃能力の保有など日本の攻勢的な安保原則と政策を、米国が実質的に支援するという意味だ。 両首脳は、中国と関連しては「台湾海峡の平和と安定の維持の重要性」に言及し、バイデン大統領は日本と中国の領有権紛争の対象である尖閣諸島(中国名 : 釣魚島)も米日安全保障条約による防衛の対象だという点を再確認した。 ウクライナ戦争については、ロシアの侵攻を非難し、核兵器の不使用を強調した。 共同声明はまた、「我々は国連安全保障理事会決議による北朝鮮の完全な非核化に専念することを再確認する」という立場も明らかにした。 さらに「バイデン大統領は日本人拉致問題の即時解決を支持する」とも述べた。 岸田首相は、反撃能力を保有し 2027 年までに防衛費支出を国内総生産 (GDP) の 2% にあたる 2 倍に増やすという計画の発表から 1 カ月で米大統領に会い、全面的な支持を取り付けた。 日本が攻撃を受けた時だけ自衛のために必要な限度内で武力を行使するという「専守防衛原則」を事実上廃棄したという指摘が出ている中、米日同盟において米国は「矛」、日本は「盾」という役割分担が、今回の首脳会談を通じてさらに薄くなったということになる。 米国は、日本を地域の安保問題の主軸にするだけでなく、その他の領域でも安保協力を強化するという意志も示した。 首脳会談の 2 日前にワシントンで開かれた米日外相・国防相会談「2 プラス 2」でも、米国側は日本の新しい安保政策に「強力な支持」を表明した。 両国の長官は、中国の台湾や尖閣諸島に対する行動の可能性に備え、沖縄に配備した米海兵隊の機動性を強化し、日本の西南部地域での合同演習を強化することに合意した。 また、宇宙からの攻撃や宇宙領域での攻撃も米日安保条約による対応対象だと宣言した。 アントニー・ブリンケン米国務長官は、当日の記者会見で「中国が我々と我々の同盟およびパートナーの直面している最も大きな共同の戦略的挑戦であるということで意見が一致した」と述べた。 米日首脳会談の共同声明には「安全保障とその他の分野で、日本、韓国、米国の必須 3 カ国の協力を強化することで合意した」という表現も盛り込まれた。 北朝鮮の脅威を大義名分として、韓米日軍事協力を強化するという要求がさらに高まることを示唆する内容だ。 米日首脳はこの他にも、半導体、宇宙、クリーンエネルギー、エネルギー安保、原子力などの分野で「主要な技術、新興技術の保護と協力を促進する」と述べた。 また「価値を共有する国家」同士のサプライチェーン協力を強化し、「インド太平洋経済枠組み (IPEF)」がこのような目標を達成するための中心になると述べた。 中国に対する経済的けん制を強化するという意味だ。 バイデン大統領は、2021 年 10 月の就任以来初めて訪米した岸田首相をホワイトハウスの建物の外で出迎え、肩に手を置く姿も演出した。 今回の会談を含め、岸田首相は、5 月に広島で開催される主要 7 カ国首脳会議(G7 サミット)を控えドイツを除く参加国をすべて訪問する積極的な外交を展開した。 米日会談に先立ち、岸田首相はイタリア、フランス、英国、カナダを訪問し、各国首脳と軍事・経済協力強化について話し合った。 (ワシントン/イ・ボニョン特派員、韓国・hankyoreh = 1-15-23) 安全保障関連 3 文書 夕方にも閣議決定へ 「反撃能力」の保有明記 敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」の保有を明記した「国家安全保障戦略」など、安全保障関連の 3 つの文書の内容が政府与党政策懇談会で報告されました。 3 つの文書は、16 日夕方にも閣議決定される運びです。 16 日午前、開かれた政府与党政策懇談会では、これまでの与党の議論などを受けて固まった、
の 3 つの文書の内容が報告されました。 このうち「国家安全保障戦略」と「国家防衛戦略」には、敵のミサイル発射基地などをたたく「反撃能力」を保有することが明記され、安全保障政策の大きな転換となります。 会合で、岸田総理大臣は新たな 3 文書について「この国を守り抜くために必要な防衛力の内容を示すものとなった。 また財源も政府・与党で検討を積み重ねてもらった。 きょう決定すべく、最終的な与党プロセスにおける審議をお願いしたい」と述べました。 安全保障関連の 3 文書は、16 日夕方にも開かれる臨時閣議で正式に決定される運びです。 外交・防衛の基本方針である「国家安全保障戦略」など 3 つの文書をめぐって、市民グループが 16 日、総理大臣官邸前で集会を開き、参加者たちが「武力で平和は作れない」などと訴えました。 集会は、憲法改正に反対する市民グループが 16 日朝、総理大臣官邸前で開き、主催者側の発表でおよそ 300 人が参加しました。 横断幕やプラカードを掲げた参加者たちは、「武力で平和は作れない」とか「3 文書を閣議決定で勝手に決めるな」などと訴えました。 参加した 60 代の女性は「私は戦後世代ですが、戦争体験者から当時の話を聞いて同じ過ちを繰り返してはいけないという思いをずっと持っていました。 それが今、戦争を引き起こすかもしれない判断が勝手に決められようとしていることに、怒りを覚えます。」と話していました。 60 代の男性は「十分な議論がなされないまま閣議決定されるのはおかしいことであり、特に今回の決定は国民の命を奪いかねない、受け入れられない判断だ」と話していました。 (NHK = 12-16-22) 防衛増税は法人・所得・たばこ税が軸、2024 年から段階的に実施 … 自民税調が方針 自民党税制調査会は、防衛力の抜本的強化に伴う増税について、2024 年から段階的に実施する方針を固めた。 税目は、法人税、所得税、たばこ税を軸とする方向だ。 11 日に開かれた非公式会合で方針を確認した。 複数の関係者が明らかにした。 法人税については本来の税率は変えず、一定比率を特例措置として上乗せする「付加税」の方式を採用する。 対象は大企業を中心とし、中小企業を除外するため、企業が納める年間の法人税額から一定額を引いた額に対して上乗せする。 所得税は、東日本大震災の復興予算に使われている「復興特別所得税」の一部を防衛費の財源に回す。 37 年までの課税期間を延長することで、震災からの 25 年間で捻出する予定だった約 7.5 兆円を確保し、復興目的の財源を維持する。 (yomiuri = 12-12-22) 防衛財源、27 年度以降は増税で年 1 兆円強 岸田首相表明 岸田文雄首相は 8 日、首相官邸での政府・与党政策懇談会で防衛費増額の財源を説明した。 2027 年度以降に毎年度必要なおよそ 4 兆円分は歳出削減や剰余金・税外収入などで年 3 兆円ほど確保し、不足する 1 兆円強を増税でまかなうと表明した。 1 兆円強の増税に関し「家計を取り巻く状況に配慮し、個人の所得税の負担が増加するような措置はしない」と述べた。 23 - 27 年度は歳出改革のほか特別会計や新型コロナウイルス対策予算の不要分の活用、国有財産の売却などを「先行して始める」と語った。 増税については 23 年度は実施しないと明言した。 27 年度に向けて「複数年かけて段階的な実施を検討する」と指摘した。 増税する時期や税目は自民、公明両党の税制調査会で検討するよう指示した。 政府は 23 - 27 年度の防衛費の総額を 43 兆円とする方針だ。 19 - 23 年度の総額 27 兆 4,700 億円から 5 割以上増える。 (nikkei = 12-8-22) 中国は「最大の戦略的な挑戦」と明記へ … 政府、国家安保戦略の骨子案を与党に提示 政府は 7 日、今月中旬に改定予定の国家安全保障戦略の骨子案を自民、公明両党のワーキングチーム (WT) に示した。 中国の覇権主義的な動きを「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置づけた。 2013 年に策定された現行の国家安保戦略は、中国を「国際社会の懸念」としている。 「挑戦」との記述は、中国に最大限の警戒感を示しつつ、「建設的で安定的な関係」を目指す日本の立場を反映したものだ。 米国や北大西洋条約機構 (NATO) も戦略文書で中国の動向を「挑戦」としている。 骨子案は、中国に関し、「対外的な姿勢や軍事動向は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項」とも指摘。 法の支配に基づく国際秩序の維持強化に向け、同盟国の米国と連携して対応する方針を掲げた。 北朝鮮は「重大かつ差し迫った脅威」とした。 ロシアはウクライナ侵略で「国際秩序の根幹」を揺るがしたとして、欧州の「直接の脅威」とし、日本周辺では中国との連携を深めていることを踏まえ、安保上の「強い懸念」と表現した。 サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を実施する方針も明記した。 サイバー防御を指揮する司令塔機能を担う組織の新設に向け、内閣サイバーセキュリティセンター (NISC) を発展的に解消することも盛り込んだ。 (yomiuri = 12-8-22) 防衛力強化に "増税" が必要? 識者が提言 岸田総理「抑止力強化は最優先の使命」 増額する防衛費を、誰が、どのように負担するか。 政府の有識者会議が報告書をまとめ、きょう岸田総理に提出しました。
総理が「最優先の使命」と訴えた防衛力の強化。 有識者会議の報告書は増税を含めた国民負担が必要と指摘し、岸田総理は予算規模や財源などについて「年末までに結論を出す」と述べました。
5 年以内の防衛力強化に向け、政府の有識者会議がまとめた報告書。 防衛費増額の財源について、「国民全体で負担することを視野に入れなければならない」とした一方、「国債発行が前提となることがあってはならない」と記し、増税を含めた国民負担の必要性を指摘しました。 一方、原案にあった「財源の一つとしての法人税」は明記しませんでした。 提言をとりまとめた佐々江座長は …、
こうした中、公明党は、政府が早急に防衛費の予算規模などを示すよう求めました。
報告書では、敵のミサイル発射拠点などを攻撃する "反撃能力" についても「保有と増強が不可欠」とし、「今後 5 年を念頭にできる限り早期に十分な数のミサイルを装備すべきである」としています。 政府は、年末に向けて安保3文書の改定作業や財源論議を急ぐ方針です。 (TBS = 11-22-22) イージス艦、全 8 隻でのミサイル迎撃体制整う 2 隻が性能試験クリア 防衛省は、海上自衛隊が保有するイージス艦 8 隻のうち、迎撃ミサイルの発射試験を済ませていなかった 2 隻が試験を終え、弾道ミサイルを迎撃する性能が確認されたと 21 日発表した。 北朝鮮が弾道ミサイルを相次いで発射する中、8 隻すべてで迎撃できる体制が整ったことになる。 同省によると、発射試験を実施したイージス艦は、2020 年就役の「まや」と 21年就役の「はぐろ」。 はぐろ就役でイージス艦は 8 隻となったが、実際の任務につくには発射試験に成功する必要があり、これまで試験済みの 6 隻が任務をカバーしていた。 発射試験は米ミサイル防衛庁や米海軍が支援。 まやは今月 16 日、最新型のミサイル「SM3 ブロック 2A」、はぐろは同 19 日、従来型の「SM3 ブロック 1B」をそれぞれ発射し、米ハワイ州カウアイ島の太平洋ミサイル射場から発射された模擬の弾道ミサイルに大気圏外で命中させることに成功したという。 また同 21 日には、まやが探知したミサイルをはぐろが迎撃する手順の追尾試験も実施し、別の艦艇の情報に基づき迎撃するという新たな機能も確認した。 (asahi = 11-21-22) |