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1 ドル 148 円 - 150 円台、為替荒い値動き 「非常戒厳」など受け

4 日の東京外国為替市場で、円相場は円安ドル高に振れ、一時 1 ドル = 150 円台をつけた。 3 日夜には韓国での「非常戒厳」宣布などを受け、海外市場で約 1 カ月半ぶりの円高水準となる 148 円台をつけたが、4 日未明に解除されると円を売る動きが強まった。 日米の金融政策に対する観測も加わり、荒い値動きとなっている。

韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は 3 日夜に「非常戒厳を宣布する」と表明。 韓国の通貨ウォンが大きく下落し、対ドルで約 2 年ぶりの水準まで値下がりした。 3 日の米ニューヨーク外国為替市場では、円高ドル安が進行。 投資家がリスクを避けようと、比較的安全な資産とされる円を買ったとの見方が出た。 また、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会 (FRB) が 12 月の会合で利下げするとの見方も拡大。 一方で日本銀行が 12 月会合で利上げする可能性が指摘されており、日米の金利差が縮むとの思惑が広がった。 これも円買いドル売りの支えとなり、一時 148 円台まで円が上昇した。

ただ、4 日未明に韓国で非常戒厳を解除する方針が示されると、投資家の警戒心が和らぎ、東京市場では一転して円を売る動きが強まった。 大和証券の石月幸雄氏は「昨晩は朝鮮半島有事が連想されてリスク回避の円買いが加速したが、あくまで韓国国内の政治的な混迷という認識が広がった。 金融市場全体への影響は限定的とみられ、反動から再び円を売り戻す動きになった。」と指摘する。 (久保田侑暉、asahi = 12-4-24)


円安、一時 156 円台に 4 カ月ぶり水準、米「トリプルレッド」で

14 日の東京外国為替市場で円相場は円安ドル高に振れ、一時 1 ドル = 156 円台まで下落した。 7 月下旬以来、およそ 4 カ月ぶりの円安水準となった。 米国の共和党が大統領選でのトランプ氏勝利に加え、上下両院でも過半数を占める「トリプルレッド」の実現が確実となり、米金利が上昇。 日米の金利差が広がるとの見方から、低金利の円を売ってドルを買う動きが加速した。

トランプ氏が掲げる中国製品などへの高関税政策や、財政支出の拡大は、インフレ(物価高)圧力や財政悪化への懸念につながりやすい。 このため米金利が上昇し、低金利政策が続く日本との金利差が改めて意識され、円安ドル高が進んだ。 (久保田侑暉、asahi = 11-14-24)


円安進み一時 151 円台 東証は 542 円安、与党過半数割れ観測で

22 日の東京外国為替市場で対ドル円相場は円安に振れ、一時 1 ドル = 151 円台をつけた。 7 月 31 日以来、約 3 カ月ぶりの円安水準となる。 米国の利下げが緩やかになるとの観測に加え、米大統領選に対する懸念から米長期金利が上昇。 日米の金利差拡大が意識され、ドルを買って円を売る動きが加速した。 11 月の米大統領選で共和党のトランプ前大統領が優勢との見方が広がり、市場で「トランプ・リスク」への懸念が高まった。 当選すれば財政が悪化し、物価上昇が進むとの見方から、米長期金利の指標となる 10 年物国債の利回りが上昇。 ドル買い円売りが進んだ。

22 日の東京株式市場で日経平均株価は続落し、前日より 542 円 64 銭 (1.39%) 安い 3 万 8,411 円 96 銭で終えた。 本来、円安は輸出企業の支えとなり、株高につながりやすい。 だが、衆院選の動向が不透明なことも重しとなって日経平均の下げ幅は一時 700 円超に広がった。 大手証券アナリストは「与党過半数割れとの観測も伝えられ、積極的な買いができない状況が今週は続く」と見込む。 (柴田秀並、asahi = 10-22-24)


円上昇、一時 150 円台で財務官がけん制発言 - 債券は下落

18 日の日本市場では円相場が上昇。 前日の海外市場で一時 1 ドル = 150 円台前半と約 2 カ月半ぶりの安値を付けたため、日本の通貨当局による介入警戒感が広がったほか、国内企業の円買いも入った。 三村淳財務官がこの日、足元の為替動向はやや一方的との認識を示し、高い緊張感を持って注視すると発言した。 米国で 17 日に発表された 9 月の小売売上高は市場予想を上回る伸びとなり、米連邦公開市場委員会 (FOMC) による年内の利下げ観測が後退。 円は一時 150 円 32 銭と 8 月 1 日以来の安値を付けていた。

三菱 UFJ 銀行グローバルマーケットリサーチの井野鉄兵チーフアナリストは三村財務官の発言について、米国の良好なファンダメンタルズを背景に「ドルが一段高となる可能性が意識される状況のため、150 円を超えた円の下落が加速するリスクにくぎを刺したということだろう」と指摘。 心理的節目を超え、輸入物価の上昇が世論を刺激する可能性も背景にあるとの見方を示した。 債券相場は下落。 米金利上昇の流れが波及し、10 年債利回りは約 2 カ月半ぶりの高水準となった。 株式は円安一服を受け東証株価指数 (TOPIX) が下げに転じた。

円は対ドルで前日比 0.2% 高の 149 円 94 銭一時 149 円 86 銭まで上昇
長期国債先物 12 月物は一時 24 銭安の 143 円 64 銭に下落
新発 10 年債利回りは一時 2 ベーシスポイント(bp、1bp = 0.01%)高い 0.98% と、8 月 2 日以来の高水準
TOPIX は 0.1% 安の 2685.27
日経平均株価はほぼ変わらずの 3 万 8,897 円 22 銭

為替

東京外国為替市場の円相場は強含み、1 ドル = 149 円台後半で推移している。 三村財務官の発言を受けて買いが優勢となった。 前日の海外市場で 8 月 1 日以来の円安水準を付けたため、国内輸出企業の為替リスクヘッジや投資家の利益確定を目的とした買いも入りやすかった。

 

りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジストは、短期的には「多くの企業にとって 150 円台は円買いニーズがあるのではないか」と話し、国内輸出企業の円買いも下支え要因とみている。 一方、米経済のファンダメンタルズの強さからドルを売りづらい環境だとも井口氏は指摘。 200 日移動平均線が位置する 151 円台前半や 152 円前後のチャートポイントを意識した動きが続きやすいと語った。

債券

債券相場は下落。 長期金利は約 2 カ月半ぶりの高水準を付けた。 米国で堅調な経済指標を受けて長期金利が上昇した上、一時 150 円台まで進んだ円安が日本銀行の追加加利上げを後押しするとの見方が相場の重しとなっている。 岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、米経済の軟着陸シナリオで利下げペースが遅くなると見方から円安が進んでいるとして、「米景気の強さが日銀の利上げをしやすくする」と指摘。 市場で日銀の追加利上げ観測が根強く、「長期金利が 1% 近いところまで上昇している」と述べた。

一方、東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「超長期債の地合いが良く、利回りが上がれば投資家の押し目買いを喚起しやすい」と述べ、日銀の買い入れオペも実施される中で相場の底堅さを指摘した。 日銀は午前の金融調節で定例の国債買い入れオペを通知した。 対象は残存期間1年超 3 年以下、3 年超 5 年以下、5 年超 10 年以下、25 年超。 買い入れ額はそれぞれ 3,250 億円、3,250 億円、3,750 億円、750 億円。 オペの結果は、25 年超を除く年限で応札倍率が前回から低下した。

株式

株式相場は TOPIX が下げに転じた。 為替の円安が一服し、午後に入り徐々に売りが広がった。 一方、決算を受けたテクノロジー株の上昇が相場全般を下支えし、日経平均株価は前日終値付近で推移している。 ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジストは「ドル・円相場が 1 ドル = 150 台を付けたことでやや達成感が出ていることに加え、この先さらにドル高・円安が継続するのかを見極めている状況」と指摘した。

半導体切断・研磨装置のディスコが急伸し、上昇率は日経平均構成銘柄のトップ。 17 日に発表した第 2 四半期の営業利益がアナリスト予想を上回った。 台湾積体電路製造 (TSMC) が同日の決算発表で強気の見通しを示したことで、半導体や精密機器株の一部が上昇。 国内金利の上昇を手掛かりに銀行株も買われている。 (酒井大輔、船曳三郎、我妻綾、Bloomberg = 10-18-24)


円相場、対ドル一時 149 円台に下落 … 1 か月半ぶりの円安・ドル高水準

【ニューヨーク = 小林泰裕】 4 日のニューヨーク外国為替市場で、対ドルの円相場は一時、1 ドル = 149 円 00 銭台に下落した。 米雇用統計の発表を受け、8 月中旬以来、約 1 か月半ぶりの円安・ドル高水準となった。 4 日に発表された 9 月の米雇用統計で、景気動向を反映する非農業部門の就業者数が市場予想を大きく上回って増加した。 米景気は依然として堅調で、米連邦準備制度理事会 (FRB) の利下げペースが想定よりも緩やかになるとの見方から、運用面で魅力のあるドルを買って円を売る動きが広がった。

4 日午後 5 時の東京市場では 1 ドル = 146 円 30 - 32 銭で取引されていたが、米雇用統計の発表を受けて 3 円近く、円安が進んだ。 円相場は 9 月 16 日には一時、1 ドル = 139 円台まで上昇していた。 FRB が積極的に利下げを進めるとの観測が背景にあったが、その後、石破首相が日本銀行の追加利上げに否定的な姿勢を示したこともあり、3 週間弱で約 10 円、円安が進行している。 (yomiuri = 10-5-24)


円安進み 1 ドル = 147 円台に 約 1 カ月ぶり 石破首相の発言受け

3 日午前の東京外国為替市場で円相場は一時、前日夕より 3 円ほど円安ドル高の 1 ドル = 147 円台をつけた。 約 1 カ月ぶりの円安水準となる。 きっかけは2 日夜、石破茂首相が日本銀行の植田和男総裁との会談後に「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と述べたことだ。 日銀による追加利上げが遠のくとの観測が広がり、低金利が続きそうな円を売ってドルを買う動きが進んだ。 首相の発言について、市場関係者は「市場は(金融緩和に理解を示す)ハト派への急転換だと受け止めている」と指摘する。

米国で前日 2 日に発表された雇用関係の統計が底堅く、米国の利下げ期待がやや後退したことも、円売りの要因となった。 2 日の米ニューヨーク外国為替市場からの円安の流れを受け、3 日午前の東京株式市場で日経平均株価は一時、前日終値より 1,000 円超値上がりし、3 万 8,800 円台をつけた。 取引開始からほぼ全面高の展開となり、東証プライム市場では輸出関連銘柄を中心に 9 割超が値上がりしている。 前日の米ニューヨーク株式市場で半導体株が上昇したことを受け、半導体製造装置大手の東京エレクトロンなども大きく値上がりしている。 (東谷晃平、asahi = 10-3-24)


NY 外為市場 = PCE 受けドル下落、自民新総裁に石破氏当選で円上昇

[ニューヨーク] ニューヨーク外為市場ではドルが下落。 8 月の米個人消費支出 (PCE) 価格指数の伸びが鈍化したことに反応した。 一方、円は上昇した。 岸田文雄首相の後任となる自民党総裁に、金融政策でタカ派とされる石破茂元幹事長が選出されたことが材料視された。 8 月の PCE 価格指数は前年比 2.2% 上昇した。 伸びは前月の 2.5% から鈍化し、2021 年 2 月以来、約 3 年半ぶりの低水準となった。

アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「パウエル米連邦準備理事会 (FRB) 議長はいくぶん安堵のため息をつけるだろう」と指摘。 PCE 統計は、今月の連邦公開市場委員会 (FOMC) での 0.5% ポイントの利下げの決定を「正当化している」と述べた。 終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数は 0.17% 安の 100.43。 一時、2023 年 7 月 20 日以来の安値となる 100.15 まで下落した。 週足ではドルは約 0.2% 安と、4 週連続での下落となる見通し。

ユーロ/ドルは 0.14% 安の 1.116 ドル。

CME のフェドウオッチによると、市場では現在、11 月の FOMC で少なくとも 0.25% ポイント利下げが実施される確率を完全に織り込んでいる。 0.50% ポイント利下げの確率は PCE 発表後、56.7% に上昇した。 円は対ドルで 1.88% 高の 1 ドル = 142.12 円。 一時、142.09 円を付ける場面もあった。 1 日としては 8 月 2 日以来の大幅な伸びを記録する見通し。 週足では、ドルは対円で 1.25% 下落した。

ユーロ/円も 1.95% 安の 158.67 円。

自民党総裁選は決戦投票の結果、石破氏が高市早苗経済安保相を破り、第 28 代総裁に選出された。 石破氏は 10 月 1 日に召集される予定の臨時国会での首相指名選挙を経て、第 102 代の首相に就任する見通し。 また、フランスやスペイン発の低調なインフレ指標を受け、市場が見込む欧州中央銀行 (ECB) が 10 月に利下げを実施する確率は 90% 超に高まった。 ドルはオフショア人民元に対しては 0.11% 高の 6.979 元。 中国人民銀行(中央銀行)は 27 日、金利を引き下げ、銀行システムに流動性を注入した。 経済成長率を今年の目標である 5% 前後に引き戻すため、最終四半期入りを目前に景気刺激策を導入した。 (Reuters = 9-28-24)


米 FRB、0.5% の大幅利下げ インフレ退治から雇用重視に

米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会 (FRB) は 18 日(日本時間 19 日未明)、政策金利を 0.50% 幅引き下げ、年 4.75 - 5.00% にすると決めた。 通常の 2 倍にあたる大幅な利下げに踏み切り、インフレ抑制から雇用の下支えへと政策の重心を移す。 利下げはコロナ禍初期の 2020 年 3 月以来、4 年半ぶりで、今回のインフレ(物価高)局面で初めて。

17 - 18 日の米連邦公開市場委員会 (FOMC) で決めた。 市場では、通常の 0.25% の利下げ幅にとどまるとの観測もあった。 だが、FRB は雇用情勢の悪化を食い止めることを重視し、踏み込んだ利下げが必要と判断したとみられる。 高金利は、個人や企業がお金を借りづらくなって物価上昇を鈍らせる一方、消費や雇用を減速させるなどの副作用がある。 FRB は「物価の安定」と「雇用の最大化」の両方に責任を負う。 パウエル議長は 18 日の記者会見で、現在は「インフレの上振れリスクは減少し、雇用の下振れリスクは高まっている」と指摘。 大幅な利下げで「経済と労働市場の強さを維持できる」と述べた。

3 カ月に 1 度発表する FOMC 参加者による経済見通しでは、今年末時点の政策金利を 4.4% (中央値)と見込んだ。 年内に残り 2 回ある FOMC で計 0.50% 幅の利下げを行う計算だ。 米国の利下げは円高ドル安圧力になりやすく、利下げ発表の直後には 1 円ほど円高ドル安が進み、1 ドル = 140 円台半ばをつけた。 ただ、パウエル議長は会見で追加利下げについて「会合ごとに判断する」、「今後入ってくるデータを評価する」といった慎重な言いぶりに終始。 利下げのペースがゆっくりになるとの受け止めもあり、その後はドルが買い戻された。 19 日午前の東京外国為替市場では一時 143 円台まで円安に戻った。

円安を好感し、19 日の東京株式市場は、日経平均株価が大幅続伸でスタート。 上げ幅は一時 800 円超まで広がり、3 万 7 千円台を回復した。 コロナ下の人手不足や巨額の財政出動、ウクライナ危機によるエネルギー価格の高騰などで、米国の物価は 21 年の春先から急上昇。 22 年 6 月には消費者物価指数 (CPI) の上昇率は約 40 年ぶりの高水準となる前年同月比 9.1% に達した。 FRB はインフレを抑えようと 22 年 3 月に利上げを開始。 23 年 7 月には 01 年以来の高水準である 5.25 - 5.50% まで政策金利を引き上げ、この水準を1年以上にわたって維持してきた。

エネルギー価格の値下がりもあり、インフレは少しずつ落ち着き、今年 8 月に CPI 上昇率は 2.5% まで鈍化。 一方で、失業率は今年 1 月の 3.7% から 8 月には 4.2% に悪化し、就業者数の伸びも鈍化。 高金利の副作用が目立ち始めている。 パウエル議長は 8 月の講演で「政策を調整すべき時が来た」と利下げをほぼ予告し、インフレ抑制から雇用へと政策の重心を移す意向を示していた。 (ニューヨーク・真海喬生、asahi = 9-19-24)


円相場、一時 1 ドル = 139 円台に上昇 … 昨年 7 月以来の円高水準

16 日の外国為替市場で、対ドルの円相場は一時、1 ドル = 139 円台に上昇した。 年初来高値を更新し、昨年 7 月以来、約 1 年 2 か月ぶりの円高・ドル安水準となった。 米連邦準備制度理事会 (FRB) が 17、18 日に開く連邦公開市場委員会 (FOMC) で、0.5% の大幅利下げに踏み切るとの観測が強まり、日米の金利差縮小が意識された。 運用の魅力が薄れるドルを売って円を買う動きが優勢となった。 (ニューヨーク・小林泰裕、yomiuri = 9-16-24)


日銀、政策金利「0.25% 程度」維持の公算 … 19 日から決定会合・7 月利上げの影響見極め

日本銀行は19、20 日に開く金融政策決定会合で、政策金利である短期金利の誘導目標を「0.25% 程度」で維持する公算が大きい。 7 月末の追加利上げの決定後、金融市場では円高が進み、株価が一時、乱高下した。 日銀内では、市場動向の見極めや経済、物価の先行きの分析に時間をかける必要があるとの見方が出ている。 日銀は前回 7 月 30、31 日の会合で、マイナス金利政策の解除などを決めた 3 月の会合以来となる利上げを決めた。 その後、米国景気の減速懸念が強まったこともあり、8 月上旬には円高と株安が進んだ。

複数の日銀幹部からは「引き続き、市場は不安定な状況にあり、今回の会合では先行きを見極める必要がある」との指摘が出ている。 また、円高が進んで物価の見通しが上振れするリスクは緩和しているとして、「今回の会合で利上げを判断する必要性は低い」との声もある。 経済・物価情勢について、日銀は、2% の物価安定目標の実現に向けて想定通りに推移しているとみている。 植田和男総裁は 8 月下旬の国会の閉会中審査で「緩和度合いを調整する基本的な姿勢に変わりはない」と強調するなど、日銀は今後も利上げを続ける方針だ。 会合後には植田氏が記者会見する予定で、今後の利上げの見通しなどをどのように説明するかも注目される。 (yomiuri = 9-14-24)


円高進み一時 140 円台、約 8 カ月ぶり 日銀審議委員の発言受け

11 日の東京外国為替市場の円相場で円高ドル安が進み、一時 1 ドル = 140 円台をつけた。 今年 11月以来、約 8 カ月ぶりの水準となる。 日米の金利差が縮小するとの見方が広がり、金利の上がりそうな円を買ってドルを売る動きが強まった。 日本銀行の中川順子審議委員はこの日、秋田市で講演し、「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、金融緩和の緩和度合いを調整していく」などと述べた。 今後の追加利上げに前向きな姿勢と受け止められた。

一方で、米国では米連邦準備制度理事会 (FRB) が今月 17 - 18 日にある会合で利下げに踏み切るとの見方が強く、焦点は利下げの幅に移っている。 中川氏の発言を受け、日米の金融政策の違いが浮き彫りになり、日米の金利差が縮小するとの思惑から円買いドル売りが進んだ。 (久保田侑暉、asahi = 9-11-24)


円相場 1 ドル = 141 円台後半に上昇 … 約 1 か月ぶりの円高水準

【ニューヨーク = 小林泰裕】 6 日のニューヨーク外国為替市場で、対ドルの円相場は一時、1 ドル = 141 円台後半に上昇した。 8 月上旬以来、約 1 か月ぶりの円高水準となった。 6 日に発表された米国の雇用統計で、景気動向を反映する非農業部門の就業者数の伸びが市場予想を下回った。 労働市場の過熱感が収まり、インフレ(物価上昇)が沈静化しつつあるとの見方から、米連邦準備制度理事会 (FRB) が今月利下げを開始するとの観測が強まった。 日米の金利差縮小が意識され、運用の魅力が薄れるドルを売って円を買う動きが優勢となった。 (yomiuri = 9-7-24)


円高進み 1 ドル = 143 円台に 9 月発表の米雇用統計に市場注目

週明け 26 日の東京外国為替市場で対ドル円相場は一時、前週末よりも約 2 円上昇し、約 3 週間ぶりに 1 ドル = 143 円台前半をつけた。 前週末にあった日米の中央銀行トップによる発言を受け、円を買う動きが進んだ。 午後 5 時時点の円相場は前週末同時刻より 1 円 92 銭円高ドル安の 1 ドル = 143 円 89 - 92 銭だった。

前週末 23 日、米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長は講演で 9 月に利下げに踏み切ることを事実上、明言した。 一方、日本銀行の植田和男総裁は 23 日の衆参両院であった閉会中審査で金融市場について「引き続き不安定な状況にある」としつつ、経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば更に金利を上げる考えを示した。 日米の金融政策の方向性の違いから、金利の上がりそうな円を買い、下がりそうなドルを売る動きが進んでいる。

円高は輸出企業の収益を押し下げるため、26 日の東京株式市場で日経平均株価は反落し、下げ幅は一時 500 円を超えた。 前週末より 254 円 05 銭 (0.66%) 安い 3 万 8,110 円 22 銭で終え、輸出関連銘柄であるトヨタ自動車は 3.15% 安だった。 市場の焦点は、米国がどれくらいの幅やペースで利下げを進めるかだ。 それを左右しそうなのが来月 6 日に公表される米国の 8 月の雇用統計だ。大和証券の石月幸雄氏は「何 % の利下げをするかの直接的な材料となり、市場の注目度は近年にないくらい高い。」 市場予想を上回れば短期的には円安方向への揺り戻しもあるとみる。 (東谷晃平、asahi = 8-26-24)


日銀の年内利上げは困難、160 円超の円安なければ - 米アライアンス

米資産運用大手アライアンス・バーンスタインの橋本雄介ポートフォリオ・マネジャーは、円安が加速して日本銀行に対応を求める声が再び強まらない限り、年内追加利上げは難しいとの見方を示した。 橋本氏は 16 日のインタビューで、円の対ドル相場が 1 ドル = 160 円を超えて円安が進んで、「円安を止めるために日銀が対応すべきだという声が上がらない限り、利上げはする必要がない。 基本的には今年中には難しいのではないか」と述べた。

日銀は 7 月末に追加利上げに踏み切ったが、その後、急激な円高が進行し株価が急落した。 植田和男日銀総裁は金融政策決定会合後の会見でさらなる利上げに意欲を示したが、金融市場では利上げ観測は沈静化している。 週末に開かれる衆参両院での閉会中審査で、内田真一副総裁に続き植田総裁も追加利上げに慎重な見方を示すか注目が高まっている。

橋本氏は日銀の利上げ後の金融市場の混乱について「円ショート、株式、特に銀行株のロング、日本国債ショートというコンセンサストレードはだいぶ解消した」と指摘。 貿易収支構造の変化により円安トレンドは今後も続くものの、米国で 9 月から利下げ局面に入るため「円キャリーポジションが以前のような規模に膨らむことは想定していない」と述べた。

7 月の利上げ前には河野太郎デジタル相や茂木敏充自民党幹事長など退陣表明した岸田首相の後継候補と目される政治家から、日銀に利上げを促す発言が相次いだ。 橋本氏は、日本株大幅下落という予想外の事態が起きたことで「政治サイドからの圧力は今後しばらくないだろう」と語った。 (日高正裕、グラス美亜、Bloomberg = 8-19-24)


円相場、一時 2 円下落し 1 ドル = 149 円台 好調な米消費統計で

15 日のニューヨーク外国為替市場で、円がドルに対して約 2 円下落し、一時、8 月 2 日以来の円安ドル高水準となる 1 ドル = 149 台をつけた。 この日発表された米国の消費統計が予想を上回る強さだった。 米連邦準備制度理事会 (FRB) による利下げペースが鈍り、日米の金利差が縮まらないとの連想から、円を売ってドルを買う動きが加速した。 対ドル円相場は 15 日午前 8 時時点で 147 円 18 - 28 銭だったが、その後大きく下落し、一時 149 円 30 銭台をつけた。

米商務省がこの日発表した 7 月の小売業の売上高(季節調整済み)は前月比 1.0% 増で、事前の市場予想を大きく上回った。 米国の個人消費の底堅さが改めて確認されたことで、米長期金利が上昇した。 米国では景気減速不安から FRB が 9 月に大幅利下げに踏み切るとの見方があったが、好調な消費統計をうけ、そうした観測が後退。 日米の金利差が改めて意識され、大幅な円安ドル高につながった。 (ワシントン・榊原謙、asahi = 8-15-24)


急騰後の円、再び安全通貨のように取引される - バークレイズ

バークレイズによると、ここ数日の円の急騰は再び利回り差と連動して取引されていることを示しており、世界的な成長懸念が株安につながるようなことがあれば、安全通貨としての地位はさらに高まるだろう。 バークレイズのストラテジスト、門田真一郎氏は 8 日のリポートで、「急激な円高は、利回りや株価との相関関係の復活を伴っている」と指摘。 近の円の動きは世界的な成長減速の中で、安全資産通貨の復活を示しているとの見解を示した。

4 月末から 7 月初旬にかけて、円は日米金利差との連動が薄れたと、バークレイズは指摘。 「しかし、急速に縮小する利回り差と株安を背景に、円キャリーの解消の中で、ついにドルは対円で利回り差と連動して急速に下落し始めた」と説明した。 バークレイズは 1 ドル = 160 円という年末の予想にはリスクがあるとみている。  「世界経済の不確実性が高まっていることを考えると、円キャリー・トレードが以前予想していたほど広まる可能性は低い」と指摘した。 (Carter Johnson、Bloomberg = 8-9-24)


円高進行、一時 147 円台に 米雇用統計が予想下回り景気減速懸念

米労働省が 2 日発表した 7 月の雇用統計は、景気動向を反映しやすい非農業部門の就業者数(季節調整済み)が前月より 11 万 4 千人増えた。 市場予想の 17 万 5 千人増を下回った。 失業率は 4.3% と前月から 0.2 ポイント悪化した。 米景気の先行きを懸念させる内容だ。 20 万 6 千人増だった 6 月の就業者数の伸びは、17 万 9 千人に下方修正された。 伸びの鈍化が続いている平均時給は、前年同月比 3.6% 増だった。 コロナ禍からの経済の回復で、米企業は大量採用を続け、それが激しい物価高(インフレ)の一因になった。 だが、雇用情勢の過熱は収まってきている。

米連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長は、インフレや雇用情勢の落ち着きが確認できれば、次回 9 月会合で利下げを検討する考えを示している。 今回の雇用統計を含め、次回会合までに発表される経済統計を慎重に分析する方針だ。 雇用統計を受け、外国為替市場では円高ドル安が進み、一時、約 4 カ月半ぶりに 1 ドル = 147 円台をつけた。 雇用情勢悪化への懸念で米長期金利が低下。 日米の金利差縮小を見込んで円を買いドルを売る動きが広がった。 (ワシントン・榊原謙、asahi = 8-2-24)

 

円高進行、一時 149 円台に 利上げ発表を受け約 4 カ月ぶり水準に

31 日の外国為替市場で対ドル円相場は急速に円高が進み、一時 1 ドル = 149 円台まで上昇した。 日本銀行の植田和男総裁が記者会見でさらなる利上げを否定しなかったことから、日米の金利差が縮まるとの思惑が広がった。 約 4 カ月ぶりの円高ドル安水準となった。 日銀はこの日午前に開いた金融政策決定会合で、政策金利を 0.25% 程度に引き上げることなどを決めた。 その前後からドル円相場は乱高下して荒い値動きとなり、植田総裁の午後の会見が終わると円相場は一時 150 円台前半まで急騰。 金利が上がりそうな円を買ってドルを売る動きが進み、前日午後 5 時点からは 4 円以上円高となった。

みずほ証券の山本雅文氏は「発表にサプライズはなかったものの(植田総裁の)記者会見の発言が市場にタカ派ととられた可能性がある」と指摘する。 今後、米国が 9 月に利下げをする流れが強まれば、いっそう円高が進むとみる。 東京債券市場では、長期金利の指標となる新発 10 年物国債利回りが上昇(債券価格は下落)し、一時前日より 0.065% 幅高い年 1.060% をつけた。 日経平均株価は、前日比 575 円 87 銭 (1.49%) 高い 3 万 9,101 円 82 銭で取引を終えた。

米国が半導体メーカーへの輸出規制に日本や韓国などは除外すると伝わったことで、東京エレクトロンなどが取引終了前に急騰した。 大和証券の坪井裕豪氏は「今回の日銀の決定は緩和を縮小しただけで、引き締めとまでは言えず、今後の株価への大きな下押し要因にはなりにくいのではないか」と話した。 (東谷晃平、asahi = 7-31-24)

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日銀が追加利上げ決定、0.25% 程度に 国債買い入れ 3 兆円に減額

日本銀行は 31 日の金融政策決定会合で、追加利上げを決めた。 銀行間で短期資金をやり取りする金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を 0.15% 幅引き上げ、0.25% 程度に誘導する。 植田和男総裁は記者会見で、経済と物価の「好循環」が進んだことや円安の影響を理由に挙げた。 見通しに沿って進めば「引き続き、政策金利を引き上げる」とも述べた。 追加利上げは政策委員 9 人のうち、野口旭審議委員(元専修大教授)と中村豊明審議委員(元日立製作所副社長)が反対した。

前回 6 月の決定会合で減額方針を決めた国債の買い入れ額は、現在の月 6 兆円程度から 2026 年 1 - 3 月に月 3 兆円程度に半減させるとした。今回の決定により、金融正常化に向けてさらに前進したことになる。 追加利上げに加えて、合わせて決めた国債買い入れの減額は長期金利(新発 10 年物国債利回り)などの上昇要因となり、これらを基準に決まる住宅ローン金利や企業向けの貸出金利の上昇につながる。 影響について植田氏は「利上げと言っても非常に低い水準で、景気にマイナスの影響を与えることではない」との認識を示した。

日銀は 3 月、大規模な金融緩和を転換し、17 年ぶりの利上げに動いた。 利上げは 4 カ月ぶりとなる。 今年の春闘で、企業の賃上げが中小企業を含めて波及し、販売価格への転嫁も進んだ。 日銀が目標とする、賃上げを伴う形での物価上昇率 2% を達成できる可能性がさらに高まったと判断した。 急速に進んだ円安で輸入物価が上昇し、物価が想定よりも上ぶれるリスクも考慮した。 利上げは円買いドル売りの材料となり、過度な円安に歯止めがかかる可能性がある。

ただ、個人消費には弱さもあり、物価の影響を除いた「実質賃金」は、5 月まで 26 カ月連続でマイナスだ。 その中での利上げには、政府や日銀内から「時期尚早では」との声も出ていた。 この点について、植田氏は「先行きは、賃金所得の増加が個人消費を支えていく」との見通しを示した。

月間の国債の買い入れ額は、四半期ごとに 4 千億円のペースで減らす。 日銀の保有国債は 11 年にわたる大規模緩和で約 580 兆円に上り、発行残高の 5 割超を占める。 26 年 3 月末には保有残高を約 7 - 8% 減らすという。 金利が急騰した場合は、機動的に買い入れ額の増額などをする。 来年 6 月の決定会合では計画の中間評価をした上で、26 年 4 月以降の買い入れ額を決める。 今後は保有国債が減ることになり、「量的引き締め」の局面に入る。

日銀の政策変更と植田氏の会見を受け、外国為替市場の対ドル円相場で円を買う動きが強まった。 31 日夕には一時、約 4 カ月ぶりとなる 1 ドル = 150 円台前半まで円高ドル安が進んだ。 (神山純一、asahi = 7-31-24)


「異常な」円高、早ければ来週にも崩壊か - 日米両当局からリスク

投資家はこの数週間、金利がついに円に有利に傾きそうだという見通しの下、競って円を買ってきたが、早ければ 31 日にも審判が下る。 日本の通貨当局は今月に入って円買い介入を実施したと推測され、円は 11 日から急伸。 その直前の水準との比較で約 5% の上げを維持している。 一部の投資家は、25 日の予想を上回る米国内総生産 (GDP) 発表後に円が急速に上げ幅を消したことが示すように、円の上昇相場は脆弱だと警鐘を鳴らしている。

スワップ市場は 30、31 日の日本銀行の金融政策決定会合で 15 ベーシスポイント (bp、1bp = 0.001%) の利上げが決まる確率を 41% 織り込んでおり、市場がかなり慎重なことを示唆している。 ブルームバーグがエコノミストを対象に実施した調査で、リスクシナリオとして最も早い日銀利上げのタイミングを聞いたところ、約 9 割が 7 月会合と回答したものの、来週の会合で国債買い入れの減額計画と共に追加利上げを決めるとの予想は 3 割程度にとどまった。

来週日銀会合の利上げ予想 3 割、最多 10 月不変も前倒し進む - サーベイ

このため、日銀による国債買い入れ減額の規模が市場予想を裏切るような数字となったり、米連邦準備制度理事会 (FRB) が向こう数カ月間の利下げ観測を後退させるようなことをした場合、円の強気派は痛手を負いかねない。 四半世紀にわたって日本の通貨を売買している ATFX グローバル・マーケッツのニック・トウィデール氏は「クレイジーな円高だ」と述べ、「日銀が政策引き締めの役割を果たさずパーティーを台無しにする可能性がある」と指摘。 そうなれば、円安要因となるキャリートレードが「大々的に復活するかもしれない」と語った。 米資産運用会社ブラックロックや元日銀当局者が、日銀がより長く金利を据え置くと予想している。

ブラックロック、日銀は当面金利を据え置くと予想 - 日本株の追い風に
日銀が今月利上げの可能性低い、国債減額は「しっかり」 - 早川元理事

強弱まちまちな経済指標がそうした見方を裏付けている。 日本のサービスセクター活動の強弱を示す重要な指標は 7 月に回復したが、製造業の指標は活動縮小を示した。 個人消費の弱さが、来週の日銀の決定をさらに複雑にしていると、事情に詳しい関係者が明らかにしている。 アシンメトリック・アドバイザーズのストラテジストで 30 年以上日本市場をウオッチしてきたアミール・アンバーザデ氏は、「日銀が何もしなければ、ドル・円レートは再び急上昇する可能性がある」と述べた。 (Ruth Carson、Winnie Hsu、Masaki Kondo、Bloomberg = 7-26-24)


円一時 153 円台に上昇、2 カ月ぶり円高水準 米の利下げ観測強まる

24 日の外国為替市場で、対ドル円相場は円高が進み、一時 1 ドル = 153 円台をつけ、5 月中旬以来、約 2 カ月ぶりの水準となった。 日米で金融政策が変更され、金利差が縮小するとの見方から円を買ってドルを売る動きが強まっている。 米国では、23 日に公表された経済統計などから景気が減速しているとの観測が拡大。 米連邦準備制度理事会 (FRB) が利下げを進めるとの予想が強まった。

一方、日本銀行は 30 - 31 日に開く金融政策決定会合で追加利上げに動くとの見方も市場ではくすぶっている。 このため、金利の上がりそうな円を買い、下がりそうなドルを売る動きが進んだ。 東京市場の 24 日午後 5 時時点では前日同時刻より 1 円 45 銭円高ドル安の 1 ドル = 154 円 58 - 60 銭だった。 24 日の東京株式市場では円高が嫌気され、日経平均株価は 6 日続落し、前日終値より 439 円 54 銭 (1.11%) 安い 3 万 9,154 円 85 銭で終えた。 (久保田侑暉、asahi = 7-24-24)


ドルが対円で下落、市場で為替介入の観測

[ロンドン]  欧州市場でドルが対円で下落している。 市場では日本の当局による新たな介入との観測がでている。 ドル/円は 1.22% 下落の 156.34 円で約 1 カ月ぶり安値。 ユーロも対円で 0.9% 下落。 (Reuters = 7-17-24)


円急騰、一時157円台 米CPIの伸び鈍化、為替介入の見方も浮上

米労働省が11日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で3.0%上昇した。事前の市場予想(3.1%上昇)を下回り、3カ月連続で鈍化した。前月比(季節調整済み)では0.1%下落。マイナスに転じたのは2020年5月以来で、足元のインフレ圧力の緩和を示す結果となった。 CPIの発表直後、米ニューヨーク外国為替市場では円相場が約4円急騰し、一時、1ドル=157円台をつけた。約3週間ぶりの円高ドル安水準。早期の米利下げの観測が高まり、円が買われたとみられるが、政府・日銀が為替介入に踏み切ったとの見方もでている。 (asahi = 7-11-24)


円安止まらず約 38 年ぶり水準  米による為替「監視対象」も影響か

円安が再び加速している。 26 日の米ニューヨーク外国為替市場で一時 1 ドル = 160 円 80 銭台をつけ、1986 年 12 月以来の円安ドル高水準となった。 背景には、日米の金利差がある。 財務省幹部の「口先介入」も効果は弱く、政府が円買いドル売りの為替介入に動くかが焦点となる。

対ドル円相場は日本時間 26 日夕、約 2 カ月ぶりに 160 円台を突破した。 財務省の神田真人財務官は同日夜、「最近の急速な円安の進行には深刻な懸念を有しており、高い警戒感をもって注視している」と述べ、市場を牽制した。 だが反応は鈍く、米国市場で 160 円 88 銭まで下落。 約 38 年ぶりの円安水準となった。 それを受けた東京市場では、27 日午後 5 時時点で 160 円 54 - 56 銭だった。

要因の一つは、日米の金融政策の違いだ。 米国の中央銀行にあたる米連邦準備制度理事会 (FRB) は粘り強いインフレ(物価上昇)を背景に、利下げに動けないでいる。 今年初め、市場は年内に 6 回利下げするとみていた。 だが強い経済指標の公表が続き、FRB 高官からも利下げに慎重な発言が相次いでいる。 市場も弱気になり、現在は 2 回程度まで減った。

一方、日本銀行は今月の金融政策決定会合で、国債買い入れの減額方針を決めた。 「量的引き締め」は円高要因となり得るが、詳細は次回 7 月会合に先送りした。 日銀がタイミングを探る追加利上げについても、市場には次回会合は難しいとの見方がある。 日米の金利差が縮まらないとの観測から、円売りドル買いが進みやすい。 他にも理由がありそうだ。 米バノックバーン・グローバル・フォレックスのマーク・チャンドラー氏は「為替レートを動かす大きな要因は米国の金利。 だが、いまの米長期金利は、ここ数カ月では比較的低い水準にある」と指摘する。 米国の金利は下がったのに、円安が進むのはなぜか。

チャンドラー氏は米財務省が先週、1 年ぶりに日本を為替の「監視対象」に指定したことを挙げた。 「市場は『日本政府の介入へのハードルが増えた』と受け取った。 これが円安の進行を後押しした。」 政府は前回 160 円台をつけた 4 月 29 日に円買いドル売りの為替介入に踏み切ったとみられる。 今回は動くのか。 マネーパートナーズの武市佳史氏は「市場では、160 円が為替介入を実施する防衛ラインと意識されていた。 その水準を超えても介入がなく、円安が進んだ。」 一方、大和証券の石月幸雄氏は「160 円は金利差だけでは説明がつかない。 投機筋の動きが強く、いつ介入が入ってもおかしくない。」とみる。

日本時間 28 日夜には米国で物価指標の公表があり、来週は米雇用統計の発表が控える。 米経済の強さが示されれば、さらに円安圧力が強まりかねない。(東谷晃平、ニューヨーク・真海喬生、asahi = 6-27-24)


円は 1 ドル = 120 円まで上昇する可能性 - マッコーリーが弱気に逆行

円高派は最近ほとんど姿を隠しているが、マッコーリー・グループは例外だ。 外為・金利ストラテジストのガレス・ベリー氏(シンガポール在勤)は、円相場が今後 1 年半かそれ以上の間に現在の水準から約 33% 円高の 1 ドル = 120 円前後まで上昇する可能性があるみている。 そうなるかどうかは、米国が大きな経済不安に見舞われ米連邦準備制度理事会 (FRB) が需要喚起のために積極的な利下げをするかどうかにかかっている。 「ショックが世界的なものであれば、FRB は恐らく積極的に利下げを行うだろう。 積極的な利下げが開始されればすぐに、ドル・円は急落するだろう」とベリー氏はインタビューで語った。

日米の大きな金利差を背景に、次の節目は 1 ドル = 170  円との声もある。 こうした円弱気の大合唱の中で、マッコーリーの超強気は際立つ。 ベリー氏の予想は、ブルームバーグ調査での予想中央値と比べてもかなり円に強気だ。 アナリストは 2025 年末までに 1 ドル = 140 円前後となり 26 年終盤までに 138 円となると見込んでいる。  アジア時間 26 日の取引で円は 1 ドル = 159.78 円前後。 日本が 1 回目の為替介入を行ったとされる 4 月 29 日の 160 円 17 銭まであとわずかとなっている。

投資家が円安に大きく賭けているため、円はわずかなきっかけで急上昇し得るとベリー氏は言う。 「われわれは今、蒸気ローラーの前で小銭を拾いながら、根比べをしているようなものだ。 もし私が今ドル・円をロングしていたならば、寝ている時も用心を怠らないだろう」とベリー氏は話した。 (Ruth Carson、Bloomberg = 6-26-24)

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