任天堂・中間決算 最終利益が過去最高に 円安が利益押し上げ 任天堂のことし 4 月から 9 月までのグループ全体の中間決算は、円安で利益が押し上げられたことなどから、最終的な利益がこの時期として過去最高になりました。 発表によりますと、売り上げは 6,569 億円と、前の年の同じ時期と比べて 5.2% 増えました。 最終的な利益は 2,304 億円と、前の年の同じ時期より 34.1% 増え、この時期として過去最高になりました。 これは、円安が進んで利益が押し上げられたほか、主力のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の新作ソフトの販売が伸びたことによるものです。 一方、「ニンテンドースイッチ」の今年度の予想販売台数について、生産や出荷の状況を踏まえ、ことし 5 月時点の予想より 200 万台少ない、1,900 万台に下方修正しました。 ただ、今年度 1 年間の業績予想については、為替レートを円安方向に見直したことで最終的な利益を 4,000 億円と、ことし 5 月時点の予想より 600 億円上方修正しました。 任天堂は「年末商戦に向けて、生産の前倒しや適切な輸送手段を確保し、世界中の皆さんに 1 台でも多く届けられるよう取り組みたい」としています。 また、決算発表に合わせて、7 年前に資本提携を結んだ IT 企業「ディー・エヌ・エー (DeNA)」と合弁会社を設立し、ビジネスのデジタル化を進めていくことを明らかにしました。 (NHK = 11-9-22) トヨタ、売上高が過去最高を更新 原材料高騰で純利益は 23.2% 減 トヨタ自動車が 1 日発表した 2022 年 9 月中間決算(国際会計基準)は、急速に進んだ円安の効果などで売上高が前年同期比 14.4% 増の 17 兆 7,093 億円に達し、過去最高を更新した。 一方、最終的なもうけを示す純利益は 23.2% 減の 1 兆 1,710 億円となった。 本業のもうけを示す営業利益は 34.7% 減の 1 兆 1,414 億円。 原材料価格の高騰などが重荷となった。 23 年 3 月期の業績見通しは、売上高が前年比 14.7% 増で過去最高の 36 兆円になりそうだとし、従来予想から 1 兆 5 千億円分、上方修正した。 しかし、同時にコストの膨張も避けられないとみて、純利益は前年比 17.2% 減の 2 兆 3,600 億円を予想し、8 月に上方修正した水準に据え置いた。 トヨタは 1 年間に国内生産する約 300 万台のうち 6 割を輸出しており、円安になると競争力が高まり売り上げ・利益が伸びやすい。 また、海外事業のもうけも、円換算で膨らむ。 ただ、鉄・アルミなどの資材費や、電気代などのエネルギー費の高騰が重くのしかかっており、円安による利益の上ぶれを打ち消した。 原材料高に苦しむ仕入れ先部品メーカーへの支援費用なども響いた。 コロナ禍の混乱からの生産回復も、思い通りにいっていない。 半導体不足が続いていることから、23 年 3 月期の世界生産計画をこれまでの 970 万台から 920 万台に引き下げた。 通期の生産計画の下方修正は、2 年連続となる。 (江口英佑、奈良部健、asahi =11-1-22) 10 月の為替介入額は 6 兆 3,499 億円、円買いで過去最大を更新
財務省は 31 日、10 月分(9 月 29 日 - 10 月 27 日)の為替介入額が 6 兆 3,499 億円だったと発表した。 月次ベースの円買い介入としては、24 年ぶりに実施した 9 月の 2 兆 8,382 億円を超えて過去最大。 円安の流れに歯止めがかからない中、通貨当局は過度な変動を容認せず再度の介入も辞さない構えを示していた。 日銀が発表した当座預金増減要因などに基づく市場推計では、21 日の介入規模は約 5.5 兆円と過去最大規模に達したとみられている。 24 日も約 1 兆円の介入があったとの臆測が出ている。 政府は 10 月に入ってから介入の有無を公表していなかった。 21 日の外国為替市場で円は対ドルで 1 ドル = 152 円に迫り約 32 年ぶり安値を更新した後、146 円台前半まで急反発する場面があった。週明け 24 日も 4 円を超える値幅で円が乱高下した。 神田真人財務官は 20 日、「われわれは必要な行動を取れる態勢が常にできている」とし、為替介入の原資は「無限にあると思っている」と強調していた。 ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「思ったより少ないというのが正直な感想」とし、21 日と 24 日以外は介入をほとんどしてないとの見方を示した。 その上で、「頻繁な介入スタンスではなく、回数を絞ってピンポイントで効果が大きそうなタイミングを見計らってまとまった額を投入している」としている。 上野氏は発表前、10 月分の介入実績で「意外感なく受け止められる数字は 7.5 兆円程度」と予想。 内訳は介入額は 21 日に 5.5 兆円、24 日に 1 兆円弱、13 日や 18 日などで計 1 兆円程度としていた。 伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは 21 日と 24 日のほか、さらに小規模の介入を加えた約 6 兆円という市場予想とほぼ一致するとしている。 日次(にちじ)ベースの介入額は 7 - 9 月分が 11 月 8 日、10 - 12 月分は来年 2 月に発表される見通し。 9 月は介入実施を公表した 22 日に 2 兆 8,382 億円の円買いを行ったとみられ、1 日当たりの円買い介入額としては 1998 年 4 月 10 日の 2 兆 6,201 億円を上回り、過去最大となった。 為替介入の原資となる日本の外貨準備高は 9 月末時点で 1 兆 2,381 億ドル(約 179.6 兆円)と、前月末から 540 億ドル減少していた。 円買い介入や金利上昇に伴う証券の時価評価額減少で、減少幅は過去最大だった。 伊藤忠総研の武田氏は、預金は 10 数兆円残っているはずだとし、9 月と 10 月にかけて行われた「3 兆円から 5 兆円くらいの介入であれば、3 回から 5 回はできる」との見方を示した。 (占部絵美、Bloomberg = 11-1-22) ついに「日本の失われた 30 年」が終わりそうだ 10 月 31 日は「年末年始相場」のスタートになる 先週末 10 月 28 日のアメリカ株式市場では、NY (ニューヨーク)ダウ工業株 30 種平均が前日比 828.52 ドル (2.6%) と急伸。 結局 6 連騰となり、終値も 3 万 2,861.80 ドルと 2 カ月ぶりの高値となった。 一方、ナスダック総合指数も同 309.77 ポイント (2.9%) 高の 1 万 1,102.45 ポイント、S & P 500 種指数も 93.76 ポイント (2.5%) 高の 3,901.06 ポイントと上昇して取引を終えた。 NY ダウは一段の上昇へ向け「大きな関門」を突破 NY ダウを押し上げたのはアップルだ。 同社の 2022 年 7 - 9 月決算で売上高と 1 株当たり純利益が市場予想を上回ったことで、株価は前日比 8% 高となった。 また、ほかのハイテク株にも買いが波及し、マイクロソフト(同 4% 高)、インテル(同 11% 高)、さらにはキャタピラーやマクドナルドもあらためて買われた。 NY ダウは 9 月末の引け値ベースの安値 2 万 8,725.51 ドルから 14.4% の上昇となった。 これでターニングポイントである「12% 上昇水準」を一気に突破。 11 月 1 - 2 日に開催される FOMC (連邦公開市場委員会)や同月 8 日の中間選挙を前に、「奇跡の反転」を見せた。 12% は「NY ダウの法則」の、上昇の入り口として極めて重要な水準である(12% 上がると 20% 上がる可能性が高く、20% 上がると強気相場入りとなる)。 ちなみに、ほかの指数は安値からどの程度戻ったかといえば、ナスダック総合指数が 7.57% 高、S & P 500 種指数が 9.06% 高、独 DAX 指数が 10.59% 高と、12% には未達である。 こうしてみると、世界のトップ指数である NY ダウ平均がその先導役になるのではないかと感じる。 その理由は、市場コンセンサスの変化だ。 FRB (連邦準備制度理事会)が金融引き締めを開始して以降の市場は、そのペースが最大の変動要因となった。 したがって、よい景気指標が出れば「利上げ加速観測」で売られ、悪ければ「利上げ緩和観測」で買われる、というように、景気指標は完全な逆指数となっていた。 10 月に入ると、それはさらに顕著になった。 例えば 7 日の NY ダウの前日比 630 ドル (2.11%) 安は、9 月の雇用統計で失業率が 3.5% と、予想外に 8 月の 3.7% から低下したためだ。 また、14 日の同 403 ドル安は、10 月ミシガン大学消費者態度指数速報値が 59.8 と、9 月の 58.6 を上回ったためだった。 逆に、4 日の同 825 ドル (2.80%) 高は、8 月雇用動態調査 (JOLTS) で非農業部門の求人件数の前月比「減少幅」が 2020 年 4 月以来の大きさとなったのが理由だ。 さらに 24 日の同 417 ドル高は、低調な 10 月の PMI (購買担当者景気指数)速報値が出たためだった。 このように、株価上昇を願う買い方にとっては、確実に例外なく低下する住宅関係の指標が最も頼りになるという、笑えない現実があった。 しかし、今回(10 月 28 日)の同 828 ドル高の局面では、9 月の個人消費支出 (PCE) が前月比 0.6% 増と市場予想の同 0.4% 増を上回り、10 月ミシガン大学消費者態度指数確報値も59.9 と速報値の 59.8 をさらに上回った。 にもかかわらず、市場は好調な企業業績を優先した。 景気指数がよければ「利上げ加速」で売られ、悪ければ「利上げ緩和」で買われるという、市場のコンセンサスが変化した証拠だ。 NY ダウは上昇したがっていた NY ダウが上がりたがっていた兆候は、実は 13 日の動きに現れていたといえる。 同日の NY ダウは前日比 827.87 ドル (2.83%) 高の 3 万 0,038.72 ドルと、3 万ドル台を回復した。 だが、この日は 9 月の CPI (消費者物価指数)が前月比 +0.4%、前年同月比 +8.2%、コア指数が前年同月比 +6.6% と 8 月の同 +6.3% 上回る強い数字で、当然のように NY ダウは前日比 550 ドルの下げで始まった。 だが、その後、「最近の買い材料」である悪い景気指標などかけらも出ない中で、信じられないほどの買いが入り、当日の安値からなんと 1,400 ドルもの戻しとなった。 さて、日経平均株価はどうか。 政府は 10 月 28 日の臨時閣議で、事業規模 71 兆 6,000 億円の総合経済対策を決めた。 早々に裏付けとなる 29 兆 1,000 億円の補正予算案を国会へ提出する。 その中身は報道されているとおりだが、(1) 物価高騰・賃上げに 12.2 兆円、(2) 円安を生かした「稼ぐ力」の 4.8 兆円が目につく。 岸田文雄首相は記者会見で、「日米による次世代半導体の共同開発に 1.3 兆円をつぎ込む」と表明した。 まさに稼ぐ力を高めることが日本再生の中心命題であり、それには円安がチャンスであると表明し、円安を政権が初めて明確に認めた。 円安はインフレを呼び、インフレは株高を呼ぶことは、歴史が証明している。 ついに「日本の失われた 30 年」が終わり、好循環が始まったと筆者は確信する。 日経平均先物の前週末時点での引け値は、大証で 2 万 7,530 円、CME (シカゴ・マーカンタイル取引所)で 2 万 7,535 円となっている。 10 月 31 日の日経平均現物市場が同程度だとすると、「総合乖離(25 日・75 日・200 日移動平均の乖離率を合計して算出)」の陰転は、前営業日の 28 日だけだ。 まさに、本日 31 日から「総合乖離プラス圏の買い方有利」の展開が再び始まりそうだ。 10 月 31 日は「年末年始相場の入り口」になる 今週(10 月 31 日 - 11 月 4 日)は、10 月末と 11 月初めの材料が混在する重要な週だ。 10 月 31 日は日本においては中間決算を締める企業も多い重要日であり、ファンドや企業の事情なども複雑に絡み合う。 また 11 月の月初でもあり、多くの経済スケジュールが出る。 中でも 2 日の FOMC の結果発表、FRB のジェローム・パウエル議長会見と、4 日の同国 10 月雇用統計という 2 つのイベントは要注目だ。 一方、日本企業の決算も挙げればキリがないが、11 月 1 日のトヨタ自動車を筆頭に、主要企業の決算ラッシュを迎える。 決算内容は、円安効果もあって、下馬評ほど悪くないことが確定的だ。 年末年始相場の入り口ともいうべき、今週の相場。 日米ともに極めて面白くなってきたと感じる。 (平野 憲一 : ケイ・アセット代表、東洋経済 = 10-31-22) 中部電と中国電、過去最大の赤字見通し 来春から企業向け料金値上げ 中部電力は 28 日、2023 年 3 月期の通期純損益が 1,300 億円の赤字になりそうだと発表した。 過去最大の赤字額で、火力発電の燃料費や卸電力市場からの調達価格が高騰しているためだという。 前年も 430 億円の赤字で、2 年連続の赤字決算になる見通し。 23 年 4 月から企業向けの電気料金を値上げすることも表明した。 ウクライナ情勢などの影響から、石炭や液化天然ガス (LNG) といった燃料の値上がりが続くと想定。 卸電力の価格水準も当面は下がらないと判断したという。 あわせて発表した 22 年 9 月中間決算の純損益は 426 億円の赤字。 中間決算の赤字は 9 年ぶりだ。 電気料金には、燃料費の変動分をあとで反映する仕組みがある。 このため燃料費が上がっても、いずれは収入が増え、業績が回復するとみられてきた。 しかし、いまのペースで燃料費の高騰が続けば、料金を見直して収入を増やさないと黒字化が見込めないという。 料金値上げの対象になる契約は約 8 万あり、年間の電力販売量の 7 割を占める。 1 キロワット時の単価を 3 円超上げる。 さらに卸電力市場の価格の変動分も、料金にあとで反映するようにする。 いまの燃料費や卸価格の水準が続いた場合、7.9 - 9.8% の値上げになる。 卸価格が急落すれば、いずれ値下げになる可能性もあるという。 電気料金の値上げの表明は、大手電力で相次ぐ。 国の認可が必要な家庭向けの規制料金を上げる方針のところもあるが、中部電の林欣吾社長は記者会見で「考えていない」と語った。 中国電力も同日、23 年 3 月期の純損益が過去最大となる 1,390 億円の赤字となりそうだと発表。 来年 4 月から企業向け料金を値上げすると発表したほか、家庭向け電力料金の値上げも検討する。 (内藤尚志、松田史朗、asahi = 10-28-22) キーエンス、9 月中間期は過去最高 2 割超の増収増益 円安追い風に 制御機器大手のキーエンスが 28 日発表した 2022 年 9 月中間決算は、売上高が前年同期比 25.0% 増の 4,440 億円、本業のもうけを示す営業利益が 22.3% 増の 2,414 億円、純利益が 27.4% 増の 1,806 億円だった。 いずれも中間決算としては過去最高を更新した。 企業の設備投資が進んだり、円安の追い風があったりしたことが好決算につながった。 今後の見通しについて、中田有社長は「製造業を中心に人材確保が難しくなっており、工場の自動化などへの投資が国内外で継続するだろう」と話した。 キーエンスは工場で使うセンサーや計測機などを開発・販売している。自前の工場を持たないファブレス企業で、機器の製造は外部委託している。 世界各地に販売子会社を持ち、自社の営業社員が製品を直販している。 他社にはない製品の独自性が、製品の販売価格を高く維持しているという。 今年は、1 人で大型の製品や部材の大きさを測れる「3 次元測定器」などの引き合いが強い。 急激な円安について、中田有社長は「短期的な観点ではプラスに働いている」と話す。 同社ではドルに対して 1 円円安が進むと、営業利益が 8 億円押し上げられる。 中間決算ではドル以外の通貨も含む為替変動により、営業利益が 232 億円押し上げられたという。 一方、「世の中全体でみると景気を冷やすことになるのでは」と懸念も示した。 2023 年 3 月期の業績予想は公表していないが、中田氏は「引き続き付加価値の高い商品をお届けしていき、(売上高、営業利益、純利益)いずれも過去最高を目指す」と述べた。 同社は給与の高さでも知られる。 業績連動型の給与体系を取っており、有価証券報告書によると、今年 3 月時点の社員の平均年間給与は 2,182 万円。 これまでで最も高い水準だという。 同社は「得た利益を社員に還元することで、一人ひとりに経営者意識を持ってもらうことが目的のひとつ」としている。 (中村建太、asahi = 10-28-22) モンハンなど旧作ゲームが爆売れ カプコンの業績見通し「過去最高」 カプコンは 26 日、2023 年 3 月期の業績見通しを上方修正すると発表した。 旧作のゲームソフトのダウンロード販売が好調なためという。 7 月時点の予想から、売上高は 50 億円、営業利益と純利益はともに 20 億円、それぞれ引き上げた。 実現すれば、いずれも過去最高となる見通しだ。 今年 4 - 9 月のソフト販売本数は、前年同期より 150 万本多い 2,130 万本。 このうち新作は、前年に人気シリーズの続編「バイオハザード ヴィレッジ」などが発売された反動から約 22% 減の 525 万本だった。 一方、旧作は約 22% 増の 1,600 万本と好調だった。 過去 5 年間に発売された「モンスターハンター」などのシリーズ作品がよく売れているという。 来年 3 月には「バイオハザード 4」のリメイク版の発売を控えており、23 年 3 月期は過去最高となる 4 千万本のソフト販売を見込んでいる。 (asahi = 10-26-22) 円安効果続々、日本電産は過去最高益 為替の円安効果があちこちで出始めている。 モーター大手の日本電産が発表した 2022 年 9 月中間連結決算は、売上高が前年同期比 24.2% 増の 1 兆 1,307 億円、最終利益が 30.1% 増の 866 億円と過去最高だった。 営業利益も 963 億円と過去最高で、為替差益で約 170 億円の押し上げ効果があった。 永守重信会長兼最高経営責任者 (CEO) は「世界各国でドル建て預金をするなど工夫しており、なんとなく為替差益が出たわけではない」と説明した。 政府・日銀の為替介入も思わぬ "もうけ" を生んだようだ。 21 日に実施した円買いドル売り介入は最大 5 兆 5,000 億円規模、9 月 22 日の介入額は約 2 兆 8,000 億円だったとみられる。 過去の円高対策の介入の際には 1 ドル = 75 - 118 円程度でドルを取得している。 これを 145 - 150 円で売ったことで 2 兆円超の差益が出たとの指摘もある。 その半面、円安で内需企業や家計が苦しくなっている。 一刻も早く大型経済対策が必要だ。 (ZakZak = 10-25-22)
再び為替介入、2 段階で円高に 「完璧なタイミング」、「また円安に」 政府と日本銀行が再び為替介入に踏み切った。 市場ではドル高が少しおさまった瞬間を狙った「ほぼ完璧なタイミング」と、為替レートを円高に動かすうえで効果的な介入だったとの声があった。 一方で、円安が進む構造は変わらず、「それでも円安は続く」との見方も強い。 介入の瞬間、何が起きていたのか。 「フロアで誰かが『介入!』と声をあげて、その瞬間からみんなモニターを見ることに集中した」、「大きな円買いの注文が、前回よりも長い時間をかけて続いた。 介入金額の規模は前回より大きいと思う。」 ニューヨークのヘッジファンドで働く男性は、介入の瞬間をこう振り返る。 この日、円高は 2 段階で進んだ。 一つ目はニューヨーク時間の 21 日午前 9 時前(日本時間同日午後 10 時前)だ。 米紙ウォールストリート・ジャーナル (WSJ) が電子版で、12 月の利上げ幅が縮まる可能性を報じた。 米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会 (FRB) は直近の3会合で、0.75% 幅という通常の 3 倍の利上げをしている。 市場は上げ幅が 0.50% 幅などに縮むタイミングを注視しており、12 月は意見が割れている。 WSJ は 11 月の会合では 4 回連続となる 0.75% 幅の引き上げを決めるが、その際に 12 月の上げ幅を縮める議論をする可能性があると報じた。 これを受けて、米国の金利が低下。 円だけでなく、他の通貨もドルとの金利差が縮み、ドル安が進んだ。 一時、1ドル = 151 円 90 銭台と約 32 年ぶりの円安水準を更新した円相場は、10 分ほどで 151 円台前半と、ピークより 1 円近く円高に振れた。 そして二つ目が、ニューヨーク時間の 21 日午前 10 時半すぎ(日本時間同日午後 11 1時半すぎ)だ。 政府と日銀が為替介入したとみられる時間だ。 151 円台半ばで取引されていた対ドル円相場は、約 1 時間半後には 146 円台前半まで急騰した。 一部の電子取引システムのデータでは一時、144 円台半ばまで円高に振れた。 資産運用会社アムンディ・パイオニアのパレシュ・ウパダヤ氏は「前回の介入後、ドルに対して円安が進むペースが他の通貨より遅くなっていたが、ここ 1 - 2 週間で加速していた」と、値動きの激しさを指摘。 「そして、WSJ の記事が報道され、ややドル安が進んだタイミング。 円高を進めるうえで非の打ちどころのない、ほぼ完璧なタイミングだった。」と話す。 週末を前に取引参加者が減り、大きく為替を動かしやすい時間を狙ったのではないか、という指摘もある。 加えて、円安が進む要因となっている米国の金利上昇は、ピークを迎えつつあるとの見方も円高の進行を後押しした。 FRB 幹部がこの日、金融引き締めをやりすぎる弊害を指摘したためだ。 ウパダヤ氏は「来年に向け、150 円は(円安進行の)壁になり得る」と話す。 だが、ヘッジファンドで働く男性は、「介入していた時間に何度か円安に戻している。 投資家の円売り圧力は強い。」と指摘する。 利上げペースが鈍化しても、利上げすることには変わりなく、金利差は今後も開く可能性があるとして、「やはり日銀が姿勢を変えない限り、今後も円安は進むだろう」とみる。 (ニューヨーク = 真海喬生、asahi = 10-22-22) 1 ドル = 150 円台に突入 約 32 年ぶりの円安水準 円相場が一時、1 ドル = 150 円の大台に突入した。 20 日の東京外国為替市場の円相場は、午前中から 150 円に迫る勢いで円安が進んでいたが、さきほど 150 円台をつけ 32 年ぶりの円安ドル高水準を更新した。 政府・日銀は、9 月 22 日に円買いドル売りの為替介入に踏み切ったが、日本とアメリカの金利差拡大を意識した円売りに歯止めがかからない状況が続いていた。 (FNN = 10-20-22) 円相場 1 ドル = 149 円台まで値下がり 約 32 年ぶりの円安水準 18 日の東京外国為替市場は、アメリカで大幅な利上げが続くという見方から、円相場は、1 ドル = 149 円台まで値下がりし、およそ 32 年ぶりの円安水準で取り引きされています。 外国為替市場では、日米の金利差がさらに拡大するという見方に加え、17 日、イギリスで大型減税策のほぼすべてが撤回されると発表され、財政悪化への懸念が和らいだことから、ポンドが買い戻され、その影響で円を売ってドルを買う動きが強まっています。 このため円相場は、17 日のニューヨーク市場に続いて、18 日の東京市場でもおよそ 32 年ぶりの円安水準となる 1 ドル = 149 円台まで値下がりしました。 市場関係者は「鈴木財務大臣と日銀の黒田総裁が衆議院予算委員会で発言し、一部の投資家からは円安へのけん制と受け止められ、いくぶん円の買い戻しも入った。 市場介入への警戒感も根強く、政府・日銀の対応が注目されている。」と話しています。 鈴木財務相「投機による過度な変動 容認できず 断固対応」 鈴木財務大臣は、一段と円安が進んでいる現在の円相場について、衆議院予算委員会で「最近の為替の動きに対しては高い緊張感をもって一刻一刻注視している状況だ。 投機による過度な変動は容認することができない。 市場の動向を高い緊張感をもって注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応を断固としてとっていきたい。」と述べ、市場での投機的な動きを強くけん制しました。 また、「断固たる措置とは何か」と問われたのに対して、鈴木大臣は「先般、断固たる措置として為替介入を実施した」と述べました。 日銀 黒田総裁「為替市場動向や経済・物価への影響十分注視」 日銀の黒田総裁は、18 日の衆議院予算委員会で「最近の急速な円安の進行と資源高が相まって輸入物価の上昇をもたらし、消費者物価の押し上げ要因になっている。 ただ、年明け以降は、こうした要因が落ち着くことで物価上昇は、徐々に縮小していき、来年度以降の消費者物価は前年比で 2% を下回る水準まで低下していく。」と述べ、このところの物価上昇は一時的だという認識を改めて示しました。 また、急速に進む円安については「為替相場の変動や国際商品市況の動向は先行きの不確実性が極めて高い。 金融為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視していきたい。」と述べました。 そのうえで「今はドルが世界のあらゆる通貨に対して非常に強くなっているが、G20 = 主要 20 か国の財務相・中央銀行総裁会議に出席した際に会った方たちの間では、その状態が続くと考えている方はほとんどいなかった」と述べました。 (NHK = 10-18-22) NY 外国為替市場 1 ドル = 148 円台後半 約 32 年ぶりの円安水準更新 14 日のニューヨーク外国為替市場では、日米の金利差がさらに拡大するという見方から円安が加速し、円相場は 1 ドル = 148 円台後半まで値下がりして、1990 年以来、およそ 32 年ぶりの円安水準を更新しました。 14 日、アメリカで発表されたインフレ予想に関する指標で、消費者がこの先も高い水準のインフレが続くと見ていることが示されました。 中央銀行にあたる FRB = 連邦準備制度理事会は、インフレを抑えこむためには消費者や企業のインフレ予想を低下させることが重要だとしていて、FRB がさらなる金融引き締めに踏み込まざるをえないという見方が広がりました。 一方、日銀の黒田総裁はワシントンで開かれた G20 = 主要 20 か国の財務相・中央銀行総裁会議の終了後の会見で、大規模な金融緩和を継続する姿勢を示したうえで、今、金利を引き上げる考えはないことを改めて強調しました。 このため今後、日米の金利差がさらに拡大するという見方から円売りドル買いが加速し、円相場は 1 ドル = 148 円台後半まで値下がりして、1990 年以来、およそ 32 年ぶりの円安水準を更新しました。 政府・日銀は先月 22 日にドル売り円買いの市場介入を行いましたが、円安に歯止めはかかっておらず、市場では介入への警戒感も広がっています。 財務省・神田財務官 : 「断固たる行動の用意 いつでもできている」 為替政策を担当する財務省の神田財務官は記者団の取材に応じ、「為替の過度な変動、無秩序な動きは経済に悪影響を及ぼすものである。 特に投機を背景としたものについては適切な措置をとっていく。 それが繰り返されるときには断固たる行動をとる用意がいつもできている。」と述べ、市場の円売りの動きには市場介入も含め対応していくと強くけん制しました。 (NHK = 10-15-22) 止まらない円安・物価高 背景にドル独歩高 G7 も米の動きを牽制か 円安が止まらず、円相場は 13 日、1 ドル = 147 円台まで下落した。 円安の背景には米国のドルの独歩高があり、日本以外の国も影響を受けている。 12 日の主要 7 カ国 (G7) )の財務相・中央銀行総裁会議で、ドル高の一因である米国の利上げを牽制したとみられる異例の文言が共同声明に盛り込まれた。 ただ、米国が政策を変える可能性は低く、市場は政府・日本銀行の再度の為替介入の行方を注視している。 円安、迫る 32 年ぶりの安値水準 13日の東京外国為替市場では円安がじわじわと進み、一時、1 ドル = 146 円 90 銭台まで下がった。 1998 年 8 月以来、約 24 年ぶりの円安水準が続いているが、市場では次の節目となる 90 年以来、約 32 年ぶりの安値水準となる 1 ドル = 147 円台後半まで円安が進む可能性が意識され始めている。 政府による為替介入への警戒感も高まっている。 円安の背景にあるのは、日米の金融政策の違いだ。 歴史的な物価高を抑えるため、米連邦準備制度理事会 (FRB) は 3 月以降、景気の過熱を冷ます大幅な利上げを進めている。 物価高の勢いが収まらない中、景気後退の懸念から利上げペースを落とすとの見方も一時はあったが、最近の米雇用統計などが堅調だったため、市場は大幅な利上げが続くとみている。 一方、日本銀行は景気を支えるため、金利を低く抑える金融緩和を続けており、円を売って金利の高いドルを買う動きが続いている。 12 日には日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が米・ワシントンでの講演で緩和を続ける姿勢を示したことで、市場では日米の政策の違いが改めて意識され、円安が進む一因になったとみられる。 円はドルに対し、3 月以降、30 円も下落。政府・日銀は 1 ドル = 145 円 90 銭まで下がった 9 月 22 日、急速な円安に歯止めをかけるため、24 年ぶりとなるドル売り・円買いの為替介入を実施した。 足元では、この時よりさらに円安が進んでいて、市場では再介入への警戒が広がっている。(久保田侑暉) 輸入品高騰、企業物価は過去 2 番目の伸び 急速な円安は、物価の高騰に拍車をかけている。 日本銀行が 13 日に発表した 9 月の国内企業物価指数(2020 年平均 = 100、速報値)は、前年同月より 9.7% 上昇し、比較可能な 1981 年以降で過去 2 番目に大きな伸びとなった。 指数は企業間で取引されるモノの価格水準を示し、上昇は 19 カ月連続。 主因は円安だ。 円換算の輸入物価指数は前年同月より 48% 上昇したが、米ドルなど契約通貨で換算した上昇幅は 21% にとどまる。 円安で輸入品の値上がり幅が倍以上に膨らんだ格好だ。 輸入物価の上昇に与える円安の影響度合いは、今年初めは 2 割台だったが、円安が進んだことで 5 割超に高まっている。 手持ちの円を使って原材料などを輸入する日本の企業にとっては、資源高などによる原材料自体の価格上昇以上に、円安で負担が増している状況だ。 企業は仕入れコストの増加を、消費者に身近な商品へ価格転嫁する動きを強めている。 8 月の消費者物価指数は前年同月より 2.8% 上がり、消費増税の影響があった期間をのぞけば、30 年 11 カ月ぶりの高い伸びになった。 賃金の上昇が物価上昇に追いつかない状況が続けば、家計の負担はさらに増す可能性がある。(徳島慎也) G7 財務相会合「多くの通貨が大幅に変化」 ドル高への懸念反映 為替相場が 1 ドル = 147 円台をうかがう中、米ワシントンで 12 日に開かれた G7 財務相・中央銀行総裁会議では、為替がテーマの一つになった。 共同声明では「今年多くの通貨がボラティリティー(変動幅)の増加を伴って大幅に変化したことを認識している」という一文が入った。 米国が大幅な利上げを繰り返す中、円だけでなくユーロや新興国通貨もドルに対して下落が進んでおり、ドル独歩高の様相となっている。 日本だけでなく各国で物価高が広がる一因にもなっている。 新型コロナ禍でドル建て債務が膨らんだ途上国では、金利の上昇で利払いが増えたり、資金が流出したりする恐れが高まる。 今回入った一文は、ドル高に対する各国の懸念を反映したものだ。 日本はこの一文を入れる動きを主導。 米国の利上げの影響で通貨の過度な変動が起きれば為替介入も許される - -。 そんな道筋をつけたようにも映る今回の声明について、鈴木俊一財務相は記者会見で「ひとつの成果だ」と評価した。 会見では「金融引き締めの国際的な波及効果」を強調しつつ、その影響について「多くの国が対応する必要性を指摘した」と述べた。 声明では、金融引き締めのペースについても、「各国間の波及効果の抑制に配慮」しつつ、「適切に調整する」とされた。 自国のインフレを抑えることしか眼中にない米連邦準備制度理事会 (FRB) を牽制したともとれる文面だ。 とはいえ、ただでさえ米国内でインフレ対応の出遅れを批判されている FRB が、国際会議で出た「苦情」をうけ、利上げ幅に手心を加える可能性はほとんどない。 共同声明には、「G7 の中央銀行は、それぞれのマンデート(負託)に沿って、物価の安定を達成することに強くコミットしている」という、FRB の「防衛ライン」になりそうな文言も入った。 G7 の後で開かれた G20 財務相・中央銀行総裁会議で、鈴木氏は 9 月 22 日に実施したドル売り円買いの為替介入について説明した。 鈴木氏によると、参加国からコメントはなかったという。 G7 の共同声明に続き、G20 でも介入への大きな反発は受けず、介入について、各国から理解を得られやすい環境をつくろうとしたねらいが透ける。 今後の介入の可能性について、鈴木氏は「ボラティリティーに注目をして、特に投機筋が動いて急激な変動が、ということがあれば断固たる対応をする。 その考えにかわりはありません。」と述べた。 G20 では、ウクライナのマルチェンコ財務相も出席。 鈴木氏は、ロシアのウクライナ侵攻で世界経済が抱える困難が深刻化し、特に食料不安について、国際協調の推進の必要性を強調したという。 対応策として、アフリカ開発銀行と協調し 3 億ドルの支援を行うことなども説明した。 また鈴木氏はこの日、インドのシタラマン財務相と会談した。 来年は議長国を G7 は日本、G20 はインドが担うため、連携を緊密にしていくことを確認した。 (榊原謙 = ワシントン、女屋泰之、asahi = 10-13-22) 政府、日銀が 11 年ぶり為替介入 円安に財務官「断固たる措置」 政府・日本銀行は 22 日、円安ドル高に歯止めをかける狙いで、市場でドルを売って円を買う為替介入を実施した。 介入を受け、東京市場の円相場は一時、介入直前の水準から対ドルで 3 円近く上がり、1 ドル = 142 円台になった。 一層の円安進行は、日本経済に悪影響があるとみて、食い止めようとする政府側の強い姿勢を示したものとみられる。 為替政策の責任者である財務省の神田真人財務官は同日夕、報道陣の取材に「断固たる措置に踏み切りました」と述べた。 為替介入のことかと問われると「そうです」と答えた。 為替介入の実施は 2011 年 11 月 4 日以来、約 10 年 10 カ月ぶり。 ドル売り円買いの介入は 1998 年 6 月 17 日以来、約 24 年 3 カ月ぶりだ。 この時は 2,312 億円相当の介入を行ったほか、同年 4 - 6 月で合計 3 兆円を超える円を買った。 (asahi = 9-22-22) 鈴木財務相「急な円安、大変に憂慮」 一時 144 円台後半まで下落 鈴木俊一財務相は 14 日午後、省内で報道陣の取材に応じ、急速に進む円安ドル高について、「昨日から 3 円近く円安になった。 明らかに急激な変動だ。 おそらく投機筋の動きもあるんだと思っており、大変に憂慮している。」と述べた。 そのうえで、「こういう動きが今後とも継続すれば、あらゆることを排除せずに対応していかなければいけない」とした。 これまでと同じ文言を使い、市場の急変動を牽制した格好だ。 円相場は 14 日午前に、1 ドル = 144 円台後半まで一時下落。 次の節目の 1998 年の最安値、147 円台後半に近づいている。 対ドル円相場は 6 日に 141 円を突破。 7 日には 145 円に迫り、その後、1 ドル = 141 円台まで戻していた。 (筒井竜平、asahi = 9-14-22) 止まらない円安、一時 1 ドル = 142 円台に 24 年ぶりの水準 6 日のロンドン外国為替市場で円がドルに対して値下がりし、一時 1 ドル = 142 円台に下落した。 24 年ぶりの円安水準となる。 急激なインフレに対処して米国が積極的な利上げに動いている一方、日本は金利を低く抑える金融緩和路線を維持している。 円は 1 日に 140 円台をつけたばかりだが、金利の低い円を売ってドルを買う動きは加速している。 6 日午後にオーストラリア準備銀行(中央銀行)が 0.5% 幅の大幅利上げを実施。 8 日には欧州中央銀行 (ECB) の政策理事会があり、市場では大幅利上げが予想されている。 (ロンドン = 和気真也、asahi = 9-6-22) 円、24 年ぶり安値を更新 139 円台後半に下落 1 日の外国為替市場で円が対ドルで下落し、一時 1 ドル = 139 円台後半と 1998 年 9 月以来およそ 24 年ぶりの円安・ドル高水準を付けた。 米連邦準備理事会 (FRB) が急激な利上げを続けるとの見方が広がる一方で、日銀は大規模な金融緩和を続ける姿勢を崩していない。 日米金利差の拡大を見込んだ円売り・ドル買いの流れが続いており、24 年ぶりの 140 円も視野に入り始めた。 7 月 14 日に付けた 1 ドル = 139 円 38 銭の直近安値を超えて下落した。 8 月 25 - 27 日に米国で開いた経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でパウエル FRB 議長が高インフレを抑えるために利上げを続ける姿勢を鮮明にしたことで、米金利の上昇に伴いドル高が進んだ。 対ユーロでもドル高が進み 1 ユーロ = 1 ドルの「等価(パリティ)」を割り込む場面が増えている。 円は 2022 年初には 115 円前後で推移していたが、FRB の約 3 年ぶりとなる利上げの開始を受けて 3 月中旬から円安・ドル高が加速した。4 月中旬には 2015 年に付けた異次元緩和後の最安値(当時)である 125 円 86 銭を突破した。 ロシアのウクライナ侵攻による資源価格の高騰も円安材料として意識されている。 資源を輸入に頼る日本の貿易赤字が拡大することで、輸入企業の円売り・ドル買いが円安を後押しするとみられている。 こうした実需の円売りに投機筋の円売りが重なり、4 月末に 130 円を突破した後も円売り・ドル買いの流れが続いていた。 7 月に 139 円 38 銭の直近安値を付けた後は FRB が 23 年にも利下げに転じるとの観測が強まり米長期金利が 2.5% 台まで低下、ドル高も一服していた。 ただジャクソンホール会議を経て急速な利上げを続けるとの見方が再び優勢となり、米長期金利が 3.1% 台に上昇しドルも全面高の展開となった。 通貨オプション市場などは一段と円が下落すると示唆しており、市場関係者の間では 140 円突破も意識されつつある。 140 円台を付けると 1998 年 8 月以来の円安水準となる。 (nikkei = 9-1-22) |