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東芝、新たな損失の恐れ 米原発建設で最大数千億円規模

東芝が、米国で手がける原発 4 基の建設工事を 2020 年末までに終えられなければ、工事費用の増加とは別に、新たな損失が最大数千億円規模で生じる可能性があることが分かった。 発注元の電力会社が米政府の税制優遇を受けられなくなり、東芝側に補償を求める公算が大きいためだ。 工期を期限ぎりぎりの 20 年 12 月まで延長した原発もあり、さらに遅れれば原子力事業で再び大きな損失が出かねない。

05 年に定められた米政府の税制優遇では、20 年末までに運転を開始した新設の原発は、発電量 1 キロワット時当たり 1.8 セントを税金から差し引く「税額控除」を 8 年間受けられる。 海外電力調査会などによると、この 4 基の税額控除は 1 基当たり最大 11 億ドル(約 1,250 億円)になる見込み。 4 基とも間に合わなければ、電力会社は 5 千億円規模の税制優遇を失う計算で、東芝側が求められる補償も数千億円規模になる可能性がある。

東芝の米原発子会社ウェスチングハウス (WH) は先月、原発 4 基について 3 度目となる工期延長を電力会社 2 社に要請。 最も早いボーグル 3 号機は 19 年 12 月、最も遅いサマー 3 号機は 20 年 12 月の完成を見込み、サマー 3 号機は 1 カ月の遅れも許されない状況だ。 (清井聡、ワシントン = 五十嵐大介、asahi = 3-9-17)


鴻海会長、東芝の半導体事業買収に意欲 「真剣に検討」

シャープの親会社、鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)の郭台銘(かくたいめい)会長は 1 日、経営不振の東芝が売り出す半導体事業について「とても真剣に検討している。 東芝の経営を支援し、資金を投入できる。」などと述べ、買収に意欲を示した。 具体的な条件は言及しなかった。

中国・広州で開いた液晶パネル工場の起工式の後、記者団に答えた。 シャープなどがつくる高精細の液晶パネルと、東芝の半導体メモリーを組み合わせることで、相乗効果が見込めるという。 東芝とは取引がある点も強調。 「我々にはシャープの経験がある。 自信と誠意を持っているが、縁がなければいけない。」とも語った。 東芝の中核技術を日本に残す考えも示した。 鴻海は、東芝が 2 月に実施した半導体事業への出資者を募る入札に応札した。 東芝は売り出す株式の割合を増やすなど、入札の手続きを見直して 3 月中にも再入札をする見込みで、どの企業が応札するかが注目されている。 (広州 = 益満雄一郎、asahi = 3-1-17)


東芝、半導体事業分社は 4 月 社名は「東芝メモリ」

経営再建中の東芝は 24 日、半導体事業を 4 月 1 日に「東芝メモリ」として分社化すると発表した。 東芝本体の資本増強のため、新会社の株式の過半を売る方針で、売却先については「2017 年度のなるべく早い段階での決定をめざす」としている。

東芝メモリは、四日市工場(三重県四日市市)を拠点にスマートフォン向けなどで需要が伸びている NAND (ナンド)型フラッシュメモリーを生産する会社となる。 東芝から約 9 千人、関連会社から約 1 千人が移る。 社長には東芝の半導体部門トップを務める成毛康雄副社長が就く予定だ。 米国の原子力事業で巨額の損失を計上する東芝は、昨年 12 月末の自己資本がマイナス 1,912 億円となって債務超過に陥る見通し。 今後は東芝メモリ株の売却先探しを急ぎ、1 兆円超を調達して資本増強などに充てる計画だ。 (asahi = 2-24-17)


東芝、64 層の新型メモリー量産へ サムスンは昨年実現

東芝は 22 日、半導体の記憶装置である NAND 型フラッシュメモリーで、64 層のシートを重ねて 3 次元の構造にし、容量を 64GB に増やした製品のサンプル出荷を 2 月上旬に始めたと発表した。 今年後半に量産を始める予定。 ライバルで世界シェア首位の韓国・サムスン電子は昨年中に 64 層製品の量産を開始している。 3 次元化とは、データが入る「セル」が詰まったシートを複数枚重ねることで大容量を実現する技術。 64 層の製品では、東芝が現在出荷している 48 層の製品に比べて、単位面積当たりの容量が 1.65 倍になる。 (asahi = 2-22-17)


東芝、原発関連の損失は 7,125 億円 債務超過の見通し

東芝は 14 日、昨年 4 - 12 月期決算(米国会計基準)で米原子力事業を巡って 7,125 億円の損失を計上し、純損益が 4,999 億円の赤字(前年同期は 4,794 億円の赤字)になるとの見通しを発表した。 昨年 12 月末時点の自己資本はマイナス 1,912 億円と債務超過に陥る。 半導体事業を分社化する新会社株式の売却割合を、これまでの 20% 弱から過半に引き上げることも検討し、今年 3 月末の債務超過回避を目指す。

東芝が債務超過に陥るのは、1962 年の連結決算の開示開始以降で初めて。 今年 3 月期の見通しは、純損益が 3,900 億円の赤字で、3 月末の自己資本はこのままならマイナス 1,500 億円と債務超過が続く見通しで、資本対策を急ぐ。 綱川智社長は記者会見で「資産売却などあらゆる手をやっている」と話した。

東芝によると、米原発子会社ウェスチングハウス (WH) が米国で受注した原発 4 基の建設工事費用が、当初の想定から 61 億ドル(約 6,900 億円)も増加。 東芝の原子力事業全体の価値を見直した結果、7 千億円強の損失計上を迫られる見通しになった。 再発防止策として、綱川社長を委員長とする原子力事業監視強化委員会を新設。 WH の株式保有割合 (87%) の引き下げも検討する。

巨額損失計上の責任をとって、原子力事業を担当する志賀重範会長は 15 日付で辞任する。 ただ、執行役にはとどまり、WH への対応にあたる。 綱川社長は基本報酬の削減幅を 60% から 90% に拡大。 他の執行役も削減幅を広げる。

東芝は 14 日、同日予定していた昨年 4 - 12 月期の決算発表を最長 1 カ月延期することも発表した。 WH が 2015 年末に買収した米原発建設工事会社の買収価格の事後調整を巡り、内部統制上の問題があった恐れが出てきたため。 WH の経営者が社内で不適切な圧力をかけた可能性が内部通報で判明したという。 決算の数値に影響する可能性があり、東芝の監査委員会による追加の調査に時間がかかるという。 (川田俊男、asahi = 2-14-17)

東芝の発表の概要

業績見通し

  • 米原子力事業を巡る損失は 7,125 億円
  • 昨年 4 - 12 月期の純損益は 4,999 億円の赤字
  • 昨年 12 月末時点で債務超過(自己資本マイナス 1,912 億円)
  • 昨年 4 - 12 月期決算の発表は最長 1 カ月延期

対応策

  • 米ウェスチングハウスの株式の保有割合引き下げ検討
  • 原子力事業を社長直轄とし、監視強化委員会を新設
  • 今後は海外での原発建設工事から撤退
  • 志賀重範会長は引責辞任し、執行役に
  • 半導体事業の分社化で新会社株式の過半売却も検討

東芝、4 - 12 月最終赤字 4,000 億円 米原子力損失などで

17 年 3 月期債務超過の回避めざす

東芝の 2016 年 4 - 12 月期の連結最終損益(米国会計基準)は、4,000 億円前後の赤字になったようだ。 前年同期の 4,794 億円の赤字に続く大幅な赤字だ。 昨年末に判明した米原子力事業の損失額は 6,000 億円前後に上る見通し。 ただ半導体事業の一部売却などで 17 年 3 月期末は債務超過の回避を目指す。 14 日に 4 - 12 月期の決算や今期業績の見通しを公表する。 同時に損失発生の原因や再発防止策、原子力事業の再建策なども示す見込みだ。

東芝の米原子力子会社、ウエスチングハウス (WH) が 15 年末に買収した原子力サービス会社、CB & I ストーン・アンド・ウェブスター (S & W) で損失が生じる。 S & W は原発の建設工事を手掛けるが、世界的な原発需要の低迷やプロジェクト管理の混乱、買収時の事業価値審査の甘さで人件費、材料費などのコストが想定を上回った。 このため S & W の収益性を想定よりも低く見直した。 買収価格と買収先企業の純資産の差額を示す「のれん」の価値を引き下げ、損失を東芝グループ全体の原子力事業に反映した。

東芝は 3 月末までに自己資本がマイナスとなる債務超過を回避するため半導体事業を分社化する手続きを急ぐ。 臨時株主総会を開いて承認を得た上で新会社の株式の一部を外部に売り出して資本を積み増す。 2 月上旬には最初の出資提案を締め切った。 海外の半導体大手やファンドなど 5 陣営程度が名乗りを上げており、4,000 億円前後を提示した陣営もある。 昨年 9 月末時点の自己資本は 3,600 億円。 円安による外貨建て資産の増加や好調な半導体事業の利益も資本を押し上げる。 上場子会社の株式売却も進める。 (nikkei = 2-12-16)


鴻海など 5 陣営前後が入札に名乗り 東芝の半導体事業

東芝が主力の半導体事業を分社化し、株式の一部を売却するための入札について、米同業大手のウエスタンデジタル (WD) や台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業など 5 陣営前後が名乗りを上げていることが分かった。 東芝は今月 3 日に入札を実施後、個別の交渉に入っており、早ければ月内にも売却先を決めたい考えだ。 東芝が分社化するのは、スマートフォンなど向けに販売が伸びている NAND (ナンド)型フラッシュメモリー事業。 米 WD は、東芝の四日市工場(三重県四日市市)でこのメモリーを共同生産する提携先。 鴻海は昨年、電機大手シャープを買収した電子機器の製造受託大手で、事業領域を広げる狙いがあるとみられる。

このほか、WD 以外の同業大手や欧米の投資ファンドなども入札に参加した模様。 東芝に半導体製造装置を納入するキヤノンや東京エレクトロンは他の取引先との付き合いも考え、見送ったとみられる。 東芝が米国の原子力事業で計上する損失額は、これまでのところ 7 千億円前後に拡大する見通し。 東芝は新会社の 2 割弱の株式を売り、少なくとも 2 千億円程度の売却益をあげて 3 月末の債務超過を回避することを目指している。 (asahi = 2-7-17)


東芝、40 億円弱で JDI 株売却 巨額損失発覚前に計画

東芝は 6 日、保有する液晶パネル大手ジャパンディスプレイ (JDI) の株式を市場ですべて売却していたことを明らかにした。 昨年 12 月に 40 億円弱で売り、十数億円の売却益を得たとみられる。 財務体質の改善策の一環だったという。 東芝は一連の不正会計問題による赤字を受け、財務の健全性を示す自己資本比率は昨年 9 月末時点で 7.5% まで落ち込んでいた。 原発事業での巨額損失が発覚する前から保有資産の売却による財務改善策は計画されており、JDI 株も予定通りに売却したという。

JDI は 2012 年に東芝とソニー、日立製作所の液晶事業を統合して発足。 政府系ファンドの産業革新機構が筆頭株主で、東芝も JDI 発足時には 10% を持っていたが、保有比率は 1.78% まで低下していた。 今回はこの分をすべて手放した。 東芝は巨額損失の発覚後は、保有資産の売却をさらに加速しており、グループ会社のうち店舗向け販売管理 (POS) システムで大手の東芝テックなど上場 7 社の株式売却なども検討している。 (asahi = 2-6-17)


東芝 "虎の子" 半導体分社で解体に現実味 事業切り売りで屋台骨なく 原発どうなる?

米原子力発電事業で巨額損失を計上する東芝が解体的な出直しを迫られている。 "虎の子" の半導体事業の分社に加え、それとは別に上場子会社の売却などの検討にも入っている。 平成 29 年 3 月期の債務超過回避に向けた資金の捻出は待ったなしで、支援を仰ぐ銀行に身を切る姿勢を示す狙いもあるが、元凶の原発事業を存続させるために、将来の成長事業でも売れるものから切り売りするという危うい道を歩み始めている。

東芝は財務力を示す株主資本が平成 27 年 3 月末に 1 兆円以上あったが、不正会計問題で昨年 9 月末には 3,632 億円に目減りした。 さらに米原発事業で最大 7000 億円規模の損失が生じる可能性となり、すべての資産を売っても借金を返せない債務超過の懸念が出てきた。 だが、資本増強の手段は限られる。 東京証券取引所から投資家に注意を促す「特設注意市場銘柄」に指定され、公募増資のような市場で資金を調達することは困難だからだ。

頼りの銀行も表向きは全面支援を表明しているが、内実は融資の不良債権化を強く懸念しており、「当然、自助努力があって、その後に金融支援がある(大手銀幹部)」と事業売却などのリストラ策を強く求めている。 そこでひねり出したのが、半導体事業の切り売りという "最後のカード" だ。 東芝は不正会計問題発覚後に、約 1 万 4,000 人のリストラや将来有望な医療機器子会社などの売却に踏み切り、大規模な資金を捻出できるカードがほかにない。 経営再建の柱に据える半導体にも手をつけざるを得なかった。

金融機関によると、東芝の半導体事業は「市場規模が 2 兆円」との見方で評価は高い。主力製品「フラッシュメモリー」はスマートフォンの記憶媒体などに使われ、世界シェアはサムスン電子に次いで第 2 位。 スマホの大容量化で需要が急増し、今後もデータセンター向けなどでも成長が見込まれる。 東芝は半導体事業を分社化し、新会社の株式の 2 - 3 割にあたる出資を受け入れ、数千億円規模の資金を調達する。 新会社の株式の過半を握り、引き続き東芝の稼ぎ頭としたい考えだ。

新会社への出資は入札で決定する予定で、企業では提携するハードディスク駆動装置 (HDD) 大手の米ウエスタンデジタル (WD) が出資を申し出たほか、キヤノンなどの取引先も応札を検討。 外資では中国のハイテク大手、紫光集団や欧米の投資ファンドなども名乗りを上げる。

また、半導体事業の切り売りとは別に、店舗向け販売管理 (POS) システム大手の東芝テックなど上場子会社などの株式を売却する検討作業に入っている。 テレビ事業の縮小など構造改革の一部先送りなども行い、合計で 3,000 億円規模の資金を捻出する。 東芝の幹部は「資金を積み重ねるため、あらゆる対策を講じる」と語る。 だが、一連のリストラ策で巨額の損失を穴埋めし、足元の財務危機をしのげたとしても、東芝の将来は見通しにくくなる。 売れる事業から切り売りしていくことで、巨艦企業の「解体」が進行し、将来の成長を期待できる事業が見いだしにくくなっているからだ。

利益の大半をたたき出す半導体事業は、分社化後も新会社を連結対象とする方針だが、関与が薄まり、東芝の収益は減りかねない。 フラッシュメモリーはサムスン電子などとしのぎを削る中、競争力の維持には年数千億円規模の投資を進める必要がある。 実は分社化は財務危機になる前から、調達した資金を投資に回すための構想としてあったが、損失の穴埋めに回されれば、競争力もおぼつかなくなる。

一方、半導体と並ぶ事業の柱に据えられた原発事業についても、今回の巨額損失でリスクの高さが浮き彫りになった。 国内では原発の新設が見込めないため、海外で 42 年度までに 40 基近くを新規受注する計画を掲げていたが、巨額損失の要因となった建設コスト高騰などで、事業の見直しは避けられない。 「むしろ原発事業を切り離すべきだ」と早稲田大学大学院の長内厚教授は語る。

不採算事業を整理し、健全な部門を残すのが経営再建の定石だが、東芝では正反対のことが行われており、本末転倒との意見だ。 実際、東芝内には原子力事業も分社化し、経営の自立と事業再編をしやすくする案も浮上するが、現実はパートナー探しが難しく、立て直しの道筋は見えていない。 長内早大院教授は「経営陣には国策である原発事業を持つ東芝を国が潰さないという甘えがある」と厳しく指摘する。

いずれにせよ、巨額損失で半導体と原子力を柱とする再生のシナリオは崩れた。 現在策定を急いでいる再建策では両事業以外に、鉄道やビル設備などの社会インフラ事業などで今後の東芝の新たな柱にするための成長戦略をつくれるか、また原発事業の抜本的な立て直しの道筋を示せるかなどが焦点になる。 甘えを捨てて改革に取り組まない限り、東芝解体のシナリオは現実味を帯びてくる。 (万福博之、sankei = 1-26-17)


東芝の損失、7 千億円規模の可能性 政投銀にも支援要請

米国の原発事業を巡って東芝が計上する損失額が、当初想定を大きく上回って 7 千億円規模に達する可能性が出てきた。 2017 年 3 月期決算の純損益は 3 年連続の赤字になる公算が大きい。 東芝は資本増強策の検討を急ぐが、自力では十分な自己資本を確保できない懸念が出てきたため、主力取引銀行や政府系の日本政策投資銀行に支援を仰ぐ。

東芝は、損失額拡大の見通しを取引銀行に伝えた。 19 日には、主力取引銀行の担当者らと今回の問題の対応について協議した。 損失額が膨らんだのは、米原発子会社ウェスチングハウスが手がける米国での原発建設費用が想定を上回ったうえ、円安進行で円建てでみた建設コストが増えたためとみられる。 東芝は今後も損失額の精査を進め、16 年 4 - 12 月期決算を発表する今年 2 月中旬までに確定させる方針だ。 (川田俊男、asahi = 1-19-17)

◇ ◇ ◇

東芝損失、5 千億円超か 米原発事業、銀行に支援要請へ

米国の原発事業をめぐって発生する東芝の損失が、5 千億円超になる可能性があることがわかった。 財務状況の大幅な悪化は避けられず、東芝は展開している事業の一部売却や支出の抑制などの対策を早急に取りまとめる方針。 取引銀行にも近く説明し、支援を仰ぐ考えだ。

東芝は昨年 12 月 27 日、米原発子会社ウェスチングハウス (WH) が手がける米国での原発 4 基建設費用が予想を大きく超える見通しになったことを公表。 数千億円の損失を計上する可能性があると発表した。 損失額はさらに精査中だが、社内では 5 千億円超に達する想定も議論されているという。

昨年 9 月末時点で東芝の自己資本は約 3,600 億円しかなく、今回の損失で債務超過にならないようにする対策の取りまとめも急いでいる。 業績が好調な半導体事業を分社化し、その一部を投資ファンドなどに売る交渉に入ったほか、退職手当などで今年度中に約 600 億円の支払いを見込んでいた不採算部門のリストラを先送りするなど支出も抑制する方針だ。 (川田俊男、asahi = 1-19-17)


東芝、最大数千億円を損失計上の可能性 正式に発表

経営再建中の東芝は 27 日、米国の原発関連会社の資産価値が当初の想定を大幅に下回り、最大数千億円の損失を計上する見通しになったと発表した。 東芝は今年度、純損益の黒字を見込んでいたが、赤字に転落するおそれがある。 財務内容がさらに悪化すれば、資本増強を含む抜本的な経営の立て直しを求められる。

資産価値が下落したのは、原発施設の建設を手がける米国の会社「CB & I ストーン・アンド・ウェブスター (S & W)」で、東芝の米原発子会社ウェスチングハウス (WH) が昨年末に買収した。 その後、事業の中身を再評価したところ、受注したプラントの建設費用が当初見込みを大きく上回るなど、会社の価値が買収時の想定を大幅に下回ることになった。 最終的な損失額は数千億円規模に上る可能性があるといい、精査したうえで、来年 2 月に公表する予定の今年 10 - 12 月期決算に反映させるという。

東芝は昨年発覚した不正会計問題の影響で、昨年度決算では過去最大となる 4,600 億円の純損失を計上。 財務の健全性を示す自己資本比率は今年 9 月末時点で 7.5% と低く、財務改善が課題だった。 再び赤字に陥れば、いっそうの財務悪化は避けられない。 この日、本社で記者会見した東芝の綱川智社長は、資本増強の可能性について「それを含めて検討する」と言及。 自らの経営責任については「責任は痛感している」としつつ、「いまは(損失の)処理に集中したい」と述べるにとどめた。 (川田俊男、asahi = 12-27-16)


東芝の「野菜工場」閉鎖へ 品質 PR も販売伸びず

東芝は 6 日、神奈川県横須賀市の野菜工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」を、12 月末に閉鎖すると発表した。 露地物野菜との品質の違いなどをアピールしていたが販売が伸びず、「事業の選択と集中」の観点から撤退する。 1990 年代前半にフロッピーディスクの生産を終えた遊休工場を活用していた。 ほぼ無菌状態が保てる「クリーンルーム」が残っており、14 年 11 月からホウレンソウやベビーリーフなどの栽培を始めていた。 東芝は自社での野菜工場は閉鎖するが、照明や温度制御といった知識の蓄積を生かし、今後も野菜工場向けの事業は続ける。 (asahi = 10-7-16)

前 報 (10-6-14)


東芝、700 億円の営業黒字に回復 4 - 9 月予想

東芝は 28 日、2016 年 4 - 9 月期の連結営業損益(米国会計基準)が 700 億円の黒字(前年同期は 904 億円の赤字)に回復する見通しだと発表した。 従来予想は 300 億円の黒字だった。 主力の半導体が好調な上、リストラで固定費負担も減る。同社は 8 月にも 4 - 9 月期業績を上方修正しており、足元の収益回復が鮮明だ。

売上高は前年同期比 14% 減の 2 兆 5,500 億円と従来予想を 800 億円上回る。 中国の現地スマートフォンメーカーを中心に主力のフラッシュメモリー販売が好調だ。 ハードディスク駆動装置 (HDD) もパソコンやゲーム機向けで伸びる。 メモリーなどの単価が想定ほどは下落していないことも収益を押し上げる。 東芝は足元の想定為替レートを 1 ドル = 100 円で設定。 実勢レートは円安で推移しており輸出採算も改善する。

純利益は 2.3 倍の 850 億円を見込む。 会計不祥事を受けて相次いでいる損害賠償請求訴訟に備え、100 億円前後の引当金を計上する。 17 年 3 月期通期業績見通しは変えていない。 必要があれば 11 月の決算発表時に変更する考えだ。 (nikkei = 9-28-16)


東芝、2 年ぶりの営業黒字 4 - 6 月期、リストラ効果

経営再建中の東芝が 12 日発表した 2016 年 4 - 6 月期決算は、本業のもうけを示す営業損益が 200 億円の黒字(前年同期は 109 億円の赤字)だった。 黒字は 2 年ぶり。 不正会計問題を受けたリストラ効果で業績は持ち直しつつあるが、厳しい財務体質の改善など課題は残る。 売上高は前年同期より 10.5% 減の 1 兆 2,074 億円。 不採算だった一部の半導体や白物家電事業から撤退し、競争が激しいパソコンやテレビの販売台数を大幅に絞り込んだためだ。

営業損益が黒字化したのは、人員削減や社員の賞与減額などで人件費を減らしたのが大きい。 最近の円高の逆風や、販売価格が下がった主力の半導体メモリーの減益を補った。 純損益は、白物家電事業の売却などにより 798 億円の黒字(前年同期は 122 億円の赤字)と大幅に改善した。 ただ、財務の健全性を示す株主資本比率は 7.0% と、依然として「厳しいレベル(平田政善代表執行役専務)」。 東芝株は東証などから「特設注意市場銘柄」に指定され、市場からの資金調達は厳しい状況だ。 来月に社内体制の改善策を提出し、指定解除の審査を受ける予定だ。(平林大輔、asahi = 8-12-16)


東芝、営業赤字 7,191 億円、過去最大に 16 年 3 月期

東芝が 12 日発表した 2016 年 3 月期決算は、本業のもうけを示す営業損益が 7,191 億円の赤字だった。 赤字額は過去最大。 原発子会社ウェスチングハウスなどを中心に資産価値を切り下げたことなどが響いた。

純損益は、医療機器子会社の東芝メディカルシステムズの売却益として 3,817 億円を計上したことで 4,832 億円の赤字となった。 ただ、純損益の赤字額も過去最大で、自己資本は前年度末の 1 兆 839 億円から 3,125 億円に減り、自己資本比率は 5.8% にとどまった。 売上高は前年比 7.3% 減の 5 兆 6,701 億円だった。 17 年 3 月期の業績予想は、営業損益が 1,200 億円の黒字、純損益は 1 千億円の黒字に転換すると見込む。 純損益には家電事業の売却益 600 億円の計上も見込んでいる。 売上高は同 9.0% 減の 5 兆 1 千億円と予想した。 (asahi = 5-12-16)


東芝の白物家電事業、中国・美的集団に売却へ 最終調整

東芝が、赤字が続く冷蔵庫や洗濯機などの白物家電事業について、中国家電大手の美的集団(広東省)に売却する方向で最終調整していることが 15 日わかった。 不正会計問題を受けたリストラの一環。 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されるシャープに続いて、日本の家電業界をリードした東芝の白物家電事業もアジアメーカーの傘下に入ることになる。

東芝は今夏までに、家電事業子会社の東芝ライフスタイルについて株式の大半を手放す方針。 売却額は 100 億円を超える規模とみられ、「従業員やブランドは引き継ぐ方向(幹部)」で協議しているという。 東芝の白物家電は、大半を中国やタイなど海外で生産しており、円安の影響で採算が悪化。 テレビやパソコンを加えた家電事業は 2016 年 3 月期も赤字の見通しで、国内外で従業員 6,800 人を減らす方針をすでに発表していた。 (asahi = 3-15-16)


東芝メディカル売却、キヤノンに独占交渉権を付与

東芝は 9 日、医療機器子会社、東芝メディカルシステムズの売却について、キヤノンに独占交渉権を付与することを決めたと発表した。 売却額は非公表だが 7,000 億円規模とみられる。 富士フイルムホールディングスと争ったが、金額面や売却後の事業体制、独占禁止法の審査が容易な点などが決め手になったようだ。 条件の詳細を今後詰め、18 日までに最終合意を目指す。 医療機器メーカーの M & A (合併・買収)としては国内最大級となる。

東芝は多額の売却益を計上でき、経営再建が一歩前進する。 キヤノンが買収する東芝メディカルは 2015 年 3 月期の連結売上高が 4,056 億円。 キヤノンは東芝メディカルが強みとするコンピューター断層撮影装置 (CT) や磁気共鳴画像装置 (MRI) に事業領域を広げ、医療分野を一気に拡大。 事務機やカメラに次ぐ柱に育てる。 東芝メディカルを巡っては、東芝が会計不祥事をきっかけにしたリストラの一環で昨年 12 月に売却方針を公表。 2 度の入札手続きを経て、キヤノンや富士フイルムホールディングスが売却額 7,000 億円規模を提示するなど争奪戦が激化していた。 (nikkei = 3-9-16)


東芝、赤字 7,100 億円に拡大 3 月期見通し

東芝は 4 日、2016 年 3 月期の業績予想を下方修正し、純損益が昨年 12 月時点に予想した 5,500 億円の赤字から、7,100 億円の赤字に拡大する見通しだと発表した。 営業損益の赤字幅も 3,400 億円から 4,300 億円にふくらむ。

送配電・変電システム事業で採算がとれない受注について損失を引き当てたり、家電事業のリストラ費用がかさんだりするのが響く。 売上高の予想は 6 兆 2,000 億円で据え置いた。 同日発表した 15 年 4 - 12 月期決算は、売上高が前年同期比 6.4% 減の 4 兆 4,216 億円、営業損益は 2,295 億円の赤字(前年同期は 2017 億円の黒字)、純損益は 4,794 億円の赤字(同 1,072 億円の黒字)だった。 (asahi = 2-4-16)


東芝、国内外 1 万人削減へ 赤字は最悪の 5,500 億円

不正会計にゆれる東芝は 21 日、2016 年3月期の業績予想が営業損失は 3,400 億円、純損失は 5,500 億円になると発表した。 赤字幅はいずれもリーマン・ショック後の 09 年 3 月期を上回り、過去最悪になる。 国内外でグループ従業員の約 5% にあたる約 1 万人を削減し、赤字の大きい家電事業を縮小して、再建を急ぐ。 工場の売却や事業統合も検討しており、リストラは今後も続きそうだ。

リストラ費用約 2,300 億円の計上に加え、稼ぎ頭の半導体のメモリー事業の収益が悪化していることが営業損失につながった。 純損失は、工場売却に伴う損失約 300 億円のほか、利益があがることを前提に税金の前払い分を資産に計上する「繰り延べ税金資産」を約 2,600 億円取り崩す。 長年の不正会計で隠されていた「ウミ」が一気に表に出た形だ。 室町正志社長は 21 日に開いた記者会見で「過去最大の赤字で大変不本意だが、痛みを伴うリストラをこのタイミングで断行することが必要と判断した」と述べた。

リストラの中心は家電だ。 東芝はリストラの対象部門の従業員を 16 年 3 月までに 1 年前と比べて 1 万 600 人減らす。 このうち 6,800 人が家電を手がけるライフスタイル部門。 同部門の 3 割にあたる。 人員削減は国内が 5,800 人、海外で 4,800 人。 国内のうち半導体部門で約 500 人は再配置で東芝に残り、約 1,100 人はソニーへの転籍が決まっている。 残りの約4,200 人について、多くが早期退職の対象となる見通しだ。 海外の 4,800 人は売却先の工場への転籍などによるもので、室町社長は「再生・復活には従業員にご納得していただくことが必要条件になる」と理解を求めた。

一方、財務基盤を強化するため、ヘルスケア事業の中核子会社で CT や MRI などの画像診断装置を手がける「東芝メディカルシステムズ」の売却を進めることを明らかにした。 POS とよばれる販売時点情報管理システムをてがける東芝テックも売却を検討する。 (平林大輔、鈴木友里子、asahi = 12-22-15)


東芝、中国企業にインドネシア・テレビ工場を売却 30 億円

東芝は 21 日、構造改革の一環として中国スカイワースに傘下の東芝家電製造インドネシアを売却することで合意したと発表した。 売却は 2016 年 3 月までの完了を予定しており、金額は試算で約 30 億円。 東芝家電製造インドネシアは、東芝グループのテレビと 2 槽式洗濯機の製造拠点だった。 (nikkei = 12-21-15)


東芝の赤字、5 千億円規模の見通し 16 年 3 月期純損益

不正会計問題で業績不振が続く東芝の 2016 年 3 月期の純損益が、5 千億円規模の赤字となる見通しであることが 19 日わかった。 赤字の家電部門で工場の売却や人員削減をするため、多額のリストラ費用を計上する。 赤字額はリーマン・ショックがあった 09 年 3 月期の 3,988 億円を上回り、過去最大となる。

家電のリストラでは、テレビやパソコンの開発を手がける青梅事業所(東京都青梅市)の縮小や、インドネシアのテレビ工場の売却などを盛り込む方針。 従業員削減に伴う割増退職金を計上するほか、利益があがることを前提に税金の前払い分を資産に計上する「繰り延べ税金資産」も大幅に取り崩す方針で、純損益の赤字は 5 千億円規模にふくらみそうだ。 本業のもうけを示す営業損益も、利益の大半を稼ぐメモリーの価格が下落しており、2 千億円規模の赤字となる見通し。 不正会計で 08 年 4 月 - 14 年 12 月に税引き前損益ベースで計 2,248 億円の利益を水増しし、業績をよく見せかけていたツケが回った形だ。

東芝の 15 年 9 月中間決算では、純損益が 372 億円の黒字だったが、16 年 3 月期の業績予想は開示を見合わせていた。 家電事業のリストラ策と合わせて 21 日に公表する。 (asahi = 12-20-15)


東芝、赤字数千億円の見通し 追加の人員削減も

不正会計問題に揺れる東芝が 2016 年 3 月期決算で、数千億円規模の最終(当期)赤字を計上する公算が大きいことが分かった。 赤字額は過去最大だったリーマン・ショック直後の 09 年 3 月期(3,988 億円)を上回る可能性がある。 家電など主要部門で業績が悪化していることに加え、5,000 人規模に上る見通しの人員削減などリストラ関連費用がかさむことが要因。 同社の業績不振が一層鮮明になりそうだ。

東芝は 16 年 3 月期の業績予想について「検討中の構造改革の影響などを慎重に見極めている」などとして、これまで開示していなかった。 しかし、家電部門などのリストラ策と併せ、業績予想を 21 日にも発表する方向で調整している。 東芝は 15 年 9 月中間決算で、本業のもうけを示す営業損益が 904 億円の赤字(前年同期は 1,378 億円の黒字)に転落。 中間決算としては 09 年以来、6 年ぶりの営業赤字となった。 テレビやパソコン、冷蔵庫など白物家電などでの赤字が膨らんだためだ。 ただ、保有株式の売却により、最終損益は 372 億円の黒字を確保していた。

しかし、16 年 3 月期では家電部門の業績不振が続く見通しになっているほか、これまで「稼ぎ頭」とされていた半導体事業でも市況の悪化に直面している。 また、リストラ策の一環として、家電部門を中心に工場の売却や閉鎖、人員削減などを検討中だ。 主要事業の業績悪化とリストラ費用の計上が重なり、通期の最終損益で大幅な赤字計上が避けられない情勢になった。 (片平知宏、mainichi = 12-19-15)


東芝、テレビや PC の開発拠点縮小へ 数千人リストラも

東芝は不正会計問題を受けた経営再建の一環として、テレビやパソコンの開発拠点がある青梅事業所(東京都青梅市)を縮小する方針を固めた。 白物家電を含めた国内外の家電事業全体では、早期退職などによって数千人規模の人員削減も検討している。

家電を中心とした「ライフスタイル事業」の従業員は約 2 万 4 千人で、青梅事業所にはうち 2 千数百人がいる。 テレビやパソコンの開発のほか、家電子会社が本社を置いている。 東芝はすでに、海外向けテレビの開発・販売から撤退する方針を示しており、青梅事業所の縮小は避けられないと判断した。 国内の家電関連では、愛知県瀬戸市に白物家電の開発拠点が、新潟県加茂市には炊飯器などの工場があり、それぞれ対応を検討している。 (asahi = 12-15-15)


東芝 : 白色 LED 撤退 画像半導体、ソニー売却合意

不正会計問題で業績不振が明らかになった東芝は 28 日、主力の半導体関連事業のリストラ策を発表した。 デジタルカメラなどに使われる半導体画像センサーを製造する大分工場の一部設備をソニーに売却することで基本合意したほか、白色 LED (発光ダイオード)の生産から撤退すると表明。 関連事業で希望退職を募る方針も示した。 9 月末に発足した新経営体制の下、今回の発表がリストラ策の第 1 弾と言える。 東芝は今後、テレビやパソコン、冷蔵庫など白物家電でもリストラ策の検討を本格化させる見通しだ。

東芝は大分工場の半導体画像センサー「CMOS イメージセンサー」の設備などを来年 3 月までに売却する予定。 売却額は 200 億円程度とみられる。 同センサーの開発担当者や従業員など約 1,100 人がソニー側に移籍する方向で調整する。 東芝の同センサー事業の市場シェア(占有率)は 2014 年で 2% 弱にとどまり、採算が悪化していた。 大分工場の他の事業は岩手県北上市にある東芝子会社と 16 年 4 月をめどに統合して新会社を発足させ、市場拡大が見込まれる自動車向け半導体の生産に注力する。

照明機器などに使われる白色 LED も採算が悪化しており、16 年 3 月期末までに撤退する。 東芝は白色 LED を含めた単機能半導体事業と、家電などに使われる半導体「システム LSI (大規模集積回路)」事業などで、計 1,200 人を対象に別部署への配置転換や希望退職の募集を行う方針。 単機能、LSI の両事業で計約 260 億円のコスト削減を図り、17 年 3 月期までの黒字化を目指す。

東芝の室町正志社長は 10 月 1 日の毎日新聞などのインタビューで、「半導体、テレビ、パソコン、白物家電の事業は、制約を設けない構造改革を断行する」と強調した。 15 年 4 - 6 月期決算では半導体を含む電子デバイス部門が黒字を確保したのに対し、テレビ、パソコンや冷蔵庫など家電部門は 206 億円の赤字を計上。 今後は家電部門の立て直しが大きな焦点になる。

東芝は 9 月、中国で冷蔵庫や洗濯機など白物家電を販売する子会社を清算したが、市場では「対応が不十分」との見方が多く、中国やインドネシア、タイなどに分散している海外の製造拠点の集約化が課題となる。 電機業界のアナリストは「国内の家電市場も人口減などで縮小が見込まれる。 パソコンや白物家電など各商品を取り巻く状況に応じ、撤退や事業縮小をさらに検討することが必要」と指摘している。 (片平知宏、岡大介、mainichi = 10-29-15)

◇ キーワード : 東芝の半導体事業

東芝は 1990 年代、四日市工場(三重県)を新設するなど半導体事業への集中投資を進めた。 現在は全国 6 カ所に関連工場があり、約 1 万 2,500 人が勤務。 2015 年 3 月期に半導体など電子デバイス部門の売上高は 1 兆 7,687 億円で全体の 4 分の 1 を占め、営業利益は 2,166 億円を計上した。

ただ、スマートフォンなどに使われる記憶装置「NAND 型フラッシュメモリー」が好調な一方、画像センサーなど他の半導体事業は赤字に陥るなど業績が低迷。 不正会計問題でも適切な損失計上などをせずに利益を水増しし、同事業の損益(税引き前)で計 371 億円の下方修正を迫られた。 半導体は室町正志社長の出身部門でもある。


東芝、画像センサー設備をソニーに売却へ

東芝が、スマートフォンなどに使われる画像センサーをつくる大分工場(大分市)の生産設備の一部をソニーに売却する方向で最終調整に入ったことが 24 日わかった。 不正会計問題を受けた構造改革の第 1 弾。 不採算事業を見直して稼げる事業に集中投資する体制に向け、まずは主力の半導体事業のリストラに着手する方針だ。

大分工場はシステム LSI (大規模集積回路)を生産する、東芝の半導体の主力工場の一つ。 スマホやデジタルカメラなどに使われる「CMOS センサー」と呼ばれる画像センサーを生産している。 この事業の東芝の世界シェアは低く、採算性も低い。 世界首位のシェアを握り、長崎県や熊本県、山形県の各工場の生産能力を増強しているソニーを売却先の候補として調整している。 CMOS センサー事業の強化を進めるソニーと思惑が一致したとみられる。 (asahi = 10-24-15)


東芝、378 億円の赤字 不正問題で延期の決算を発表

東芝は 7 日、不正決算問題で 2 度発表を延期した 2015 年 3 月期決算を発表した。 純損益は 378 億円の赤字となり、不正決算による利益の水増し額は、09 年 3 月期から 14 年 4 - 12 月期までの間で累計で 2,248 億円あった。 過去 6 年の決算もあわせて修正した。 15 年 3 月期決算は、家電事業などで資産の価値が目減りし、営業利益は前年比 33.7% 減の 1,704 億円となった。 不正決算問題発覚前には過去最高の 3,300 億円を見込んでいた。 純損益は、378 億円の赤字に転落。 売上高は、2.6% 増の 6 兆 6,558 億円だった。 (asahi = 9-7-15


東芝社長「信頼回復に取り組む」 不正会計 2,248 億円

東芝は 7 日、不正会計による利益の水増しが、2009 年 3 月期から 14 年 4 - 12 月期に、税金を引く前の損益ベースで計 2,248 億円あったと発表した。 この決算の修正で、今後、証券取引等監視委員会の本格的な検査を受ける。 課徴金の対象になる公算が大きい。 室町正志社長は 7 日夕の記者会見で、「社会的に責任を痛切に感じている。 新経営体制のもと信頼回復に全力で取り組んでいく」と陳謝した。

東芝は 8 月 18 日にいったん税引き前損益の修正額を公表したが、その後も内部告発などを通じて新たな不正会計がみつかった。 発表期限を 2 度延長して、再修正した確定額としてこの日公表した。 その結果、過去 6 年分の純損益ベースで、累計で計 1,552 億円の利益が減ることになった。

証券取引等監視委員会の検査対象は純損益の大幅な修正で、修正額が大きい 12 年 3 月期と 13 年 3 月期が、課徴金の対象になる可能性が高い。 東芝は課徴金にそなえる引当金として、15 年 3 月期に 84 億円積んだ。 課徴金は 08 年に IHI が命じられ、決算のごまかしで過去最高額だった 16 億円を上回る可能性もある。 (asahi = 9-7-15)

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