東芝、WD 連合と月内にも契約へ 半導体売却で大筋合意 東芝が半導体子会社「東芝メモリ」の売却で、協業先の米半導体大手ウエスタンデジタル (WD) などでつくる「新日米連合」と契約をむすぶ方向で大筋合意したことが 26 日、わかった。 WD が将来的にもつ議決権を 3 分の 1 未満に抑えることで合意したという。 今後、細部を詰めたうえで月内にも契約をむすぶ。 関係者によると、買収額は約 2 兆円。 WD は普通株に換えられる社債で 1,500 億円を出す。 株式に換えた後は議決権ベースで約 16% をもつ計算となる。 将来にわたって議決権は 3 分の 1 未満とし、経営の重要な事項に拒否権をもたないことを契約に盛り込む。 WD から東芝メモリに役員も出さない。 WD はこれまで、新日米連合に入る政府系ファンドの産業革新機構などほかの出資者が東芝メモリ株を手放す場合、WD に譲るよう求めていたが、自由に売れるようにもした。 東芝メモリが将来、新規上場することでも合意した。 条件面が折り合い、近く WD のスティーブ・ミリガン最高経営責任者が来日する。 東芝の綱川智社長らと最終的な協議をおこなう見通しだ。 WD は、国際仲裁裁判所に求めていた東芝メモリの売却差し止めの申し立てを取り下げる方針だ。 新日米連合は、WD や革新機構のほか、日本政策投資銀行、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ (KKR) が加わる。 東芝も 1 千億 - 2 千億円を出し、日本勢で議決権の過半をもつことになる。 (asahi = 8-27-17) 東芝、WD と交渉本格化 半導体売却の月内決着目指す 東芝が半導体子会社「東芝メモリ」の売却で、協業先の米半導体大手ウエスタンデジタル (WD) と月内の契約締結を目指して交渉を本格化させていることがわかった。 WD は政府系ファンドの産業革新機構などと新たな連合をつくる見通し。 WD は一方的な売却に反対して差し止め訴訟を起こしており、合意できれば訴訟を取り下げる意向だ。 WD は革新機構や日本政策投資銀行、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ (KKR) と組み、1 兆 9 千億円規模で買収する案を示しており、そのうち WD が数千億円を社債で拠出する方向で調整を進めているという。 東芝は革新機構や韓国半導体大手の SK ハイニックスなどでつくる日米韓連合を優先交渉先に選び、6 月中の契約を目指していたが、合意に至っていない。 WD が国際仲裁裁判所に売却差し止めを申し立てたことを警戒し、係争が解消することを買収の条件としているが、見通しが立たないため交渉が膠着している。 東芝は来年 3 月までに債務超過を解消するために売却する必要があり、WD とも並行して交渉を進めてきた。 各国の独占禁止法の審査を踏まえ、8 月中に契約を結ぶことを目指す。 (asahi = 8-23-17) 東芝、1 日に東証 2 部降格 上場廃止のおそれも 経営が悪化している東芝の株式が 8 月 1 日、東京証券取引所第 1 部から 2 部に降格される。 東芝は 2017 年 3 月期決算で自己資本がマイナスの債務超過になる見通しで、東証の基準に抵触した。 東芝は来年 3 月末までに半導体事業を売却して財務を改善したい考えだが、まだ 17 年 3 月期決算を発表できておらず、上場廃止のおそれもある。 2 部降格と同時に、東芝株は日経平均株価や TOPIX (東証株価指数)の対象から除外される。 年金資産などを運用する金融機関などの投資対象ではなくなり、株価に下落圧力がかかりかねない。 綱川智社長は 6 月の記者会見で「信用力が低下しないよう気をつけたい」と話していた。 東芝は洗濯機やテレビなどの家電からパソコン、原子力発電関連まで手広く扱い、長く日本経済を支えてきた。 バブル期の 1989 年には株価が 1,500 円台の高値をつけた。 しかし最近は、不正会計や決算発表をめぐる監査法人との対立が続き、株価が低迷。 不透明感から売りが先行していた。 一時的なもうけをねらった投機的な売買で乱高下することもあった。 31 日の終値は前営業日より 6 円 80 銭高い 246 円だった。 東芝株は不正会計問題を受け、15 年 9 月に東証から内部管理体制に改善が求められる「特設注意市場銘柄」に指定された。 東証は内部管理の改善状況など上場にふさわしいかの審査を続けており、これまでの不正会計や決算発表延期の経緯から、上場が維持されるかは不透明だ。 (asahi = 7-31-17) 東芝、子会社売却完了前に WD に通知へ 米裁判所が両社の合意承認 東芝は、半導体子会社の売却が完了する 2 週間前に米ウエスタンデジタル (WD) に事前通知することで WD と合意した。 WD は米カリフォルニア州の上級裁判所に同子会社売却の暫定差し止めを請求していたが、同裁判所のカーン担当判事は 28 日開いた審問で両社の合意を承認した。 東芝から WD への事前通知により、WD には再度裁判所に異議を申し立てるなど、対抗措置を講じる余地が与えられる。 合意によって、裁判所の管轄権を巡る最終判断も棚上げされた。 WD は 6 月中旬、東芝は半導体合弁事業の売却について WD の同意を得る必要があるとして、加州の裁判所に売却の暫定差し止めを申し立てていた。 28 日の合意には、東芝が合弁事業売却につながる最終契約を締結する場合、契約締結後 24 時間以内に公表することや売却完了の 2 週間前に WD に通知することが含まれる。 合意は、WD が売却差し止めを申し立てている国際仲裁裁判所の仲裁廷開始後 60 日間有効。 東芝の成毛康雄代表執行役副社長は声明で「実際問題として、今回裁判所が言及した期間に事業売却が完了することは予定していない」と指摘した上で、「今後 1 - 2 カ月で構成される見通しの仲裁廷で当社の主張が認められるよう準備を進めている」と述べた。 一方、WD も「われわれは東芝や利害関係者と建設的な協議を進めている。 すべての当事者にとって最善の利益となるような解決を引き続き求めていく。」との声明を発表した。 (Reuters = 7-29-17) 東芝に WD への情報遮断禁じる暫定命令 米の州上級裁 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却を巡る争いで、協業先の米半導体大手ウエスタンデジタル (WD) による機密情報へのアクセスを東芝が遮断したことに対し、米カリフォルニア州の上級裁判所は 11 日、東芝に遮断を禁じる暫定的な命令を出した。 東芝は命令を不服として控訴する構え。 東芝は 6 月、WD が東芝メモリの入札を妨害しているとして、WD と共同生産する四日市工場(三重県四日市市)の情報システムなどへの WD のアクセスを遮断する対抗措置をとった。 WD は 7 月 6 日、アクセス遮断の差し止めを求めてこの上級裁に提訴した。 この提訴は両社とも公表していなかった。 11 日の決定で上級裁は、アクセス遮断によって WD 側が「取り返しのつかない損害が生じると示された」と指摘。 東芝に対し、28 日に予定する審問に向けて遮断の理由をはっきり示すよう求めるとともに、それまでの間はアクセス遮断をやめるよう命じた。 WD は「我々の主張の正当性を示すものと考えており、決定を歓迎する」とのコメントを出した。 東芝は「不服であり、控訴する」としている。 WD は東芝メモリの売却手続き自体を差し止める仮処分も求めてこの上級裁に提訴しており、同じ裁判官が担当している。 (西尾邦明、ニューヨーク = 江渕崇、asahi = 7-12-17) 「日米韓連合」との契約、7 月以降に 東芝メモリ売却 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却で、経済産業省が主導する「日米韓連合」との契約締結が 7 月以降に先送りされた。 事務作業に時間がかかっているためだが、協業先の米ウエスタンデジタル (WD) との係争の解消を買収の条件とするかどうかでも調整が難航。 さらに買収の枠組みも流動的で、決着は見通せない。 連合の核となる政府系ファンド、産業革新機構の志賀俊之会長は 30 日、東京都内で報道陣に「契約調印は終わっていない」と語った。 優先交渉先に選ばれた 21 日以降、東芝から開示された資料が多く、東芝メモリの資産査定に向けたチェック作業や、そうした情報の連合内でのすり合わせに時間がかかっているという。 「何か問題があって作業がとまっているわけではない」と説明した。 しかし、実際には、WD が起こした売却差し止めの訴訟の扱いを巡り、東芝と連合との間で意見の食い違いがある。 関係者によると、連合側が、東芝と WD との係争が解消するまで買収しない方針なのに対し、東芝は条件を外して欲しいと求めているという。 また、志賀氏はこの日、「もっといいフォーメーション(枠組み)はあり得る」と述べ、連合の参加企業の枠組み変更の可能性も示唆した。 対立の解消のために WD を連合内に合流させることや、東芝自身による一部出資も検討されているもようで、流動的な要素が残っている。 東芝は、米原発事業で発生した巨額損失を穴埋めするため、今年度中の売却完了をめざしている。 各国の独禁法の審査で必要な期間を踏まえ、6 月中を売却先決定のめどとする方針を、取引金融機関にも説明してきた。 決着の遅れは、上場の維持や融資の継続に悪影響を及ぼす可能性もある。 (asahi = 7-1-17) 東芝海外原発、失敗は必然 … 編集長の断言 東芝の海外原子力事業の失敗は必然だった - -。 プラントビジネスの専門誌編集長を長年務めてきた宗敦司(そう・あつじ)さんは指摘する。 「原子力ルネサンス」といわれる中で、米原子炉メーカーを買収した名門・東芝は、なぜ坂道を転がり落ちるように業績を悪化させてしまったのか。 宗さんは、東芝の経営層の甘い認識によって、買収当初からつまずく可能性があったとみる。 そして今のままでは、日本の原発輸出に成算はない、とも言い切る。 ■ 買収当初から「不安」 - - まず 2006 年、東芝によるウェスチングハウス (WH) 社の買収をどうみますか。 「英核燃料公社が WH を売り出したとき、買収する企業は三菱重工業が妥当だというのが、私をふくむ業界関係者の一致した見方でした。 というのも、WH は加圧水型炉 (PWR) のメーカーであり、そのライセンスで三菱は WH とほぼ対等の関係を築いていたからです。 一方、東芝は沸騰水型炉 (BWR) のメーカーで、PWR と構成機器も異なり、つくりかたのノウハウも違います。 だからシナジー(相乗)効果がないばかりか、知らない技術の WH を東芝がうまくマネジメントできるのか、という不安がありました。」 「落札価格の 54 億ドル(当時の為替レートで約 6,400 億円)というのも高すぎました。 業界では、頑張って 30 億ドルと言われました。 なぜ、それほどの高値を示したのか理由が分かりません。 1979 年のスリーマイル島事故以降、米国では約 30 年にわたって原発の新設がなく、WH もゼネラル・エレクトリック (GE) も大型機器の製造能力をなくしていました。 もちろん日本の原子炉メーカーも、原発機器を輸出したことはあっても、海外でいちから原発を建設した経験はありません。 うまくいくはずがなかったのです。」 - - 東芝は WH 買収後、2015 年までに世界で両社合わせて 30 基以上、受注するとの見通しを示していました。 「それも、あまりに楽観的でした。 確かにあのころ、米国では 30 基ほどの建設計画がダダダッと持ち上がったのですが、私はそう簡単にはいかないとみていました。 米国では実際には、それほど多くの原発新設は必要なかったし、01 年の 9・11 同時多発テロで厳しい航空機テロ対策が求められていたからです。 さらに、安いシェールガス・オイルの開発も進められ、11 年の福島第一原発事故で安全規制が一段と強化され、多くの原発計画がおかしくなっていきます。」 - - にもかかわらず、WH としては 15 年 11 月時点で、まだ、30 年度までに全世界で 64 基受注という強気の方針を表明します。 「まともでないですよね。 (機器を実際には供与しない)ライセンス案件を含めてなんでしょうが、いくらなんでも無理でした。」 ■ 「日本流」に甘さ - - ただ、WH は 08 年、最新炉「AP1000」 2 カ所の売り込みに成功していました。 それがサザン電力(ジョージア州)のボーグル原発 3、4 号機と、スキャナ電力(サウスカロライナ州)のサマー原発 2、3 号機でした。 「はい。 ところが、先ほどいった安全規制の強化やシェールガス開発に伴う人件費の高騰などによって、工事の遅れや建設費の高騰に直面します。 そのコスト負担をめぐり、発注元の電力会社と WH、建設を担う『CB & I』との間で裁判になるのですが、WH は 15 年、訴訟取り下げを条件に、『CB & I』から原発建設子会社を買収します。」 - - そこにも、甘さがあった? 「その原発建設子会社の買収の際、WH は発注元の電力会社との間で、費用が増えた分を WH が引き受ける『固定価格』の契約を結んでいました。 原発のような巨額の建設工事に絡み、その工事全体で『固定価格』の契約を結ぶことはまずありません。 それだけリスクが大きいからです。 案の定、4 基の原発建設工事で数千億円の追加の費用がかかることが後に分かり、WH、ひいては東芝が多大な負担を強いられることになったのです。」 - - かねて、日本の電力会社と原子力炉メーカーの「なれ合い」を批判されていましたが。 「ある原子炉メーカー幹部に聞いたのですが、電力会社との正式な契約は完成直前に A4 用紙 4 枚ほどの契約書にサインした、と。 そういうのが、『信頼の証』だというのです。 ぞっとしました。 海外では工事に入る前に、厳密にリスク分担を決めて契約します。 そんな『日本流』の甘さを、体現してしまったのが東芝でした。」 - - この負担に耐えきれなくなって、WH が今年 3 月、米裁判所に米連邦破産法 11 条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請して破綻します。 これで東芝は債務超過に陥りますが、ともかく WH は東芝の連結対象から外れることになります。 「ただ、分からないところがあります。 例えば、東芝は 2019 年から年間 220 万トンの LNG を 20 年間にわたって調達する契約を米テキサス州の LNG 事業会社と結んでいます。 ガスタービンを売るのに燃料供給もセットでというのが、これまでの東芝の説明でした。 でも、いま、ガスは市場でも買えますよね。 で、そのガスが想定通り売れなくて、それが新たな損失になるかもしれません。」 - - それにしても東芝の経営陣はなぜ、こんなミスを重ねたのでしょうか。 「言いたいのは、原発などのプラント・プロジェクトと、半導体などをつくる工場とは、性質がまったく違うということです。 工場だと、製造装置を並べて品質管理を徹底しつつ、変動の少ない定常業務をこなすという姿です。 これに対して莫大な巨費を投じるプロジェクトはどれにも個別の大きな変動要因があります。 例えば A 国と B 国での、法律や技術レベルはもちろん、気象状況まで違ってくるわけです。 そこまで考えて事業を進めるのがプロジェクトマネジメントです。 東芝の経営陣はそれを知らなかったのではないでしょうか。」 「だからこそ原発輸出には、なにより冷静さが必要です。 韓国企業が 09 年、アラブ首長国連邦の原子炉を受注したことが話題になりましたが、韓国側は 60 年もの運転の保証をしたとされています。 常識からかけ離れていて、プラントの商談としては極めて質が悪いと言わざるをえません。 それで喜んだ韓国、それをみて、いらつく日本。 どちらも滑稽ですよ。」 ■ 行き詰まる原発ビジネス - - 欧州でも原発建設は進んでいませんね。 「ええ。 05 年に着工したフィンランドのオルキルオト原発 3 号機は 09 年に完成する予定だったのに、安全規制の強化や相次ぐトラブルで、いまだに完成していません。 建設費は当初予定の 3 倍になるとされています。 米 GE の最高経営責任者のジェフ・イメルト氏は福島の原発事故の後、原発を『正当化するのは大変難しい』と英紙に語っています。 世界の多くの国の電源が、ガスと風力や太陽光の組み合わせに向かっている、というのです。」 - - 原発輸出は、今後ビジネスとして成り立つのでしょうか? 「現状のままでは日本は確実に負け続けます。 中国とロシアは、原発のプラント建設から事業運営、金融まで一体化して面倒をみるし、そのための体制も築いている。 それも低コストで。 日本にはそんな体制はありません。 もう、日本は損をするような案件しか取れないと思ったほうがいい。」 「米国では、シェールガスを使った発電が圧倒的な競争力を持ち、原発は早期閉鎖が次々決まっています。 世界的には再生可能エネルギーも価格低下が進んで、国の補助金を使わなくていい時代に入ってきています。 日本には、日立、東芝、三菱と 3 社の原子炉メーカーがありますが、3 社もいるのか、が問われてきますよね。」 (宗敦司、聞き手・小森敦司、asahi = 6-27-17)
東芝、8 月から東証 2 部に降格 算定銘柄からも 東京証券取引所は 23 日、東証 1 部上場の東芝株が、8 月 1 日付で 2 部に降格すると発表した。 日経平均株価や TOPIX (東証株価指数)などの算定銘柄からも外れる。 東芝は 23 日に 2017 年 3 月期の有価証券報告書(有報)の提出延期を発表した。 負債が資産が上回る「債務超過」になれば、東証の 1 部上場規程に抵触する。 本来は有報で債務超過が確定してから降格となるが、東芝はすでに巨額の債務超過見通しを公表しており、降格が決まった。 (asahi = 6-23-17) 東芝 : メモリー事業売却、日米韓連合と優先交渉で最終調整へ - 関係者 債務超過解消に向けたメモリー事業の売却で東芝は 20 日、産業革新機構や米投資ファンドで構成する日米韓連合と優先的に交渉を進める方向で最終調整に入った。 21 日午前に開く取締役会などでの協議を経て、最終的な売却先を決めたい意向だ。 同社幹部が明らかにした。 東芝幹部によると、革新機構や日本政策投資銀行、米ファンドのベインキャピタル、韓国半導体大手の SK ハイニックスからなる陣営を最有力候補として優先交渉を進めたい考え。 ただ、他の有力候補も完全には排除しない方針だ。 関係者によれば、東芝が 4 月に分社した東芝メモリの売却では、革新機構などの日米韓連合のほか、米半導体ブロードコムを中心とする陣営が有力候補に挙がっている。 買収額として日米韓連合は約 2 兆 1,000 億円、ブロードコム陣営は 2 兆 2,000 億円を示しているが、その他、独禁法審査の関係なども検討対象となっている。 東芝メモリの売却をめぐっては、合弁相手の米ウエスタンデジタル (WD) が国際仲裁裁判所に売却の差し止めを請求している。 東芝幹部は、こうした状況の中でも、まず優先交渉などを経て早期に売却先を決めたい意向を示した。 ただ、WD の問題が今後、障害となることを警戒している。 東芝は 28 日に株主総会を開く予定で、それまでには売却先を決めたい考えだ。 (Pavel Alpeyev、Bloomberg = 6-20-17) 東芝半導体、日本勢で主導権 = 日米連合、政府系が 6,000 億円拠出 東芝の再建に向けた記憶用半導体フラッシュメモリー事業の売却をめぐり、受け皿の有力候補である「日米連合」を構成する政府系の産業革新機構と日本政策投資銀行が各 3,000 億円規模を出資することが 15 日、分かった。 日米連合の買収案では、約 2 兆 1,000 億円のうち政府系が 6,000 億円規模、三菱東京 UFJ 銀行が 4,000 億円を拠出するほか、国内企業も出資して日本勢で過半を占め、主導権を握る考えだ。 買収額で上回る米半導体大手のブロードコムに対抗するため、日米連合がまとめたのは、革新機構と政投銀の出資に加え、三菱東京 UFJ 銀が特別目的会社 (SPC) に貸し付ける形で資金を融通する案。 これに 4 - 5 社程度の日本企業や東芝が出資する。 日本勢で主導権を確保し、メモリーの生産拠点や雇用、技術を国内に残すのが狙いだ。 (jiji = 6-16-17) 東芝半導体 WD に焦り 再び拒否権、米で提訴へ 東芝の半導体メモリー事業の売却交渉が再び揺さぶられた。 協業する米ウエスタンデジタル (WD) は 15 日、米裁判所に売却差し止めの申し立て手続きを始めたと発表した。 東芝が応札陣営の正式提案を受け取り選別に入る局面での提訴で、交渉の主導権を握りたい WD の焦りがにじむ。 東芝側は 6 月中の売却先選定の日程を変えない方針だ。 (nikkei = 6-16-17) WD、「日米連合」への合流協議 東芝メモリ売却めぐり 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却を巡り、協業先の米ウエスタンデジタル (WD) が、政府系ファンドの産業革新機構を軸とする「日米連合」と合流に向けて協議していることがわかった。 WD は、合流が実現して落札が見通せれば、国際仲裁裁判所への売却中止の申し立てを取り下げるという。 関係者によると、WD の提案を受け、東芝や革新機構、経済産業省が検討に入った。 WD はこれまで、東芝メモリの他社への売却に反対し、自社による株式の過半取得を求めていたが、譲歩したという。 東芝と対立を長引かせ、今後の半導体生産に悪影響が出ることを避ける意向がありそうだ。 日米連合には革新機構のほか、日本政策投資銀行と米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ (KKR) が参加。 WD はこの枠組みに合流し、各社が出資した特別目的会社を通じて、東芝メモリを 2 兆円弱で買収する案を出した。 (asahi = 5-28-17) 東芝、半導体事業売却に国際仲裁の隘路 再建さらに不透明に [東京] 東芝の経営再建がさらなる隘路に陥りつつある。 同社の債務超過解消の切り札となるメモリー事業の売却に対し、合弁パートナーである米ウエスタン・デジタル (WD) が国際仲裁裁判所に差し止めを申し立てた。 東芝の綱川智社長は 15 日の会見で、売却できない場合の代替案は検討していない、と強気の姿勢を示したが、買収側にとってのリスクが高まる懸念もあり、同事業の売却がさらに難航する可能性は否定できない。 <プラン B は考えず> 東芝は 15 日、監査法人の了承を得ないまま 17 年 3 月期についても決算数値の開示に踏み切った。 綱川社長は再三にわたる異例の決算発表を謝罪したものの、同事業に対する法的措置に踏み込んだ WD に対しては、「(東芝が)合弁契約に抵触する事実はなく、ウエスタン・デジタルが売却プロセスを止める根拠はない」などと対決姿勢をあらわにした。 東芝が 4 月に分社化した東芝メモリは、売却額が「少なくとも 2 兆円(綱川氏)」とされる。 その売却益は、東芝が 17 年 3 月期で 5,400 億円と見込む債務超過から抜け出し、財務を正常化させる「頼みの綱」となっている。 もし半導体事業の売却を 17 年度内に完了させることができなければ、東芝は 2 年連続の債務超過に陥る。 綱川氏は非上場化については「考えていない」との立場を崩していないが、WD の仲裁申し立てが売却の遅れにつながれば、東芝株が上場廃止となる可能性は一段と高くなる。 売却交渉が年度内に間に合わなかったり、売却を断念する場合に備える「プラン B (代替案)」の必要性はないのか。 記者会見でそう問われた綱川氏は、「基本的に(東芝メモリ売却による)プラン A で進めていきたい」と強調した。 <仲裁、決着に数年の事例も> 日本企業が国際商事仲裁の対象となった最近の主な事例にとしては、独フォルクスワーゲン (VW) との資本提携解消を求めていたスズキの要求を認めたケースや、原発機器破損事故をめぐり米電力会社が三菱重工業に約 7,600 億円の賠償を要求、三菱重側の主張が認められた例がある。 国際仲裁に詳しい国際法律事務所ジョーンズ・デイの山田享弁護士は、仲裁裁判所による判断について「国内での裁判の確定判決と同様の効力がある」と説明。 申し立てから判断が出るまでの期間については「事案にもよるが 1 年以上かかるものが多数ある(山田弁護士)」という。 決着するまでに、スズキと VW の件は約 4 年、三菱重工と米電力の件で 3 年半をそれぞれ要した。 <入札企業にリスクも> 綱川社長は、今月 19 日に設定している東芝メモリの第 2 次入札の締め切りについて「5 月 19 日で進めている」と明言。 2 次入札では、米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ (KKR) に官民ファンド産業革新機構 (INCJ) による日米連合が有利との見方がある。 ファンドの場合、半導体メーカーが買収する場合に比べ、独占禁止法審査が長期化するリスクがない点が今回の入札で有利に働くとみられている。 ところが、今回の WD による提訴を仲裁裁判所が支持すれば、メモリ事業売却の応札者が優先交渉権を得たとしても、最終的に買収を実現できない事態もありうる。 この点について綱川氏は会見で「入札候補者に正当性を主張し、懸念払しょくに努力する」と述べるにとどめた。 一方、東芝幹部からは、「19 日の入札期限はとても間に合わないだろう」との声も聞かれる。 東芝メモリの入札に参加する前出の関係者は、「常識的に考えれば、兆円の取引が(仲裁によって)全部ひっくりかえるわけではない」と楽観視する。 一方、東芝の主力銀行幹部は WD の提訴について「不透明性が増している。 東芝がどう対応するかだ。」と懸念を示す。 <名門企業に屈辱の質問> 不確実性に歯止めを掛けられない東芝の経営状況をめぐり、記者会見では、「法的整理の検討をしないのか」との質問もでた。 「検討していない」と綱川氏はにべもなく答えたが、多くの財界トップを排出した名門企業に対する視線は数年前には考えられなかったほど厳しさを増している。 法的整理ではなく、「債務の株式化」が有効ではとの観測も複数の業界筋が指摘する。 負担を強いられる金融機関の反発は必至だが、ある有力財界人は、「東芝の救済だが、あってもいいのではないか」と同調する。 電機業界に詳しい早稲田大学ビジネススクールの長内厚教授は、ロイターの取材で、「これだけ迷走していて、事業レベルではなく、ガバナンスの問題を強く感じる。 プラン B の不在もずさんだ。」と、東芝の現状について厳しい見方を示した。 (浜田健太郎、Reuters = 5-15-17) 東芝半導体、2 兆円の買収構想 日米連合で入札目指す 東芝が進めている半導体子会社「東芝メモリ」の売却で、政府系ファンドの産業革新機構や日本政策投資銀行に、計 2 兆円規模の買収構想があることがわかった。 経済産業省の主導で米投資ファンドなどと日米連合を組み、5 月中旬の 2 次入札への参加をめざす。 関係者によると、買収資金は投資ファンドを中心に、まずは計 1 兆 2 千億円を用意する。 内訳は、革新機構が 3 千億円、政投銀が 1 千億円、ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ (KKR) と半導体会社のウエスタンデジタル (WD) の米国勢 2 社が 4 千億円ずつ。 ほかに銀行などから 8 千億円ほどを借り入れる。 「少なくとも 2 兆円(東芝の綱川智社長)」という売却額にもかなう。 構想は、東芝の最新の半導体技術が中国や台湾などに流出するのを懸念する経産省主導で検討。 1 次入札には日本企業が参加しなかったため、2 次入札では革新機構などと米国勢と組ませる形にした。 そのうえで富士通など日本企業にも、1 社 100 億円規模の出資で参加を呼びかけている。 (asahi = 4-27-17) 東芝、主要 4 事業を分社化へ 原子力含むエネルギーなど 東芝は 24 日、「社会インフラ」と原子力を含む「エネルギー」、「情報システム」、「電子デバイス」の四つの主要事業を分社化すると発表した。 分社化で事業の責任を明確化するほか、財務が悪化した東芝本体から切り離すことで、大規模な機器の設置に必要な建設業の許可を更新できるようにし、事業規模を維持したい考えだ。 社会インフラ、情報システム、電子デバイスの 3 社は 7 月に分社する。 資産規模の大きいエネルギー事業は、6 月下旬に予定する定時株主総会での承認が必要で、10 月に分社する。 (asahi = 4-24-17) 東芝の半導体買収、シャープが参加も 鴻海の陣営に 東芝の半導体メモリー事業の売却を巡り、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が傘下のシャープを自陣営に参加させることを検討していることが 18 日分かった。 鴻海は既に関係が深いソフトバンクグループに協力を要請。 米アップルにも連携を打診したもようだ。 中国や台湾企業への技術流出を懸念する声があるなか、日米の企業を巻き込んで状況を打開する狙い。 鴻海は約 3 兆円の買収額を提示し、1 次入札を通過したもよう。 東芝は 5 月中旬に締め切る 2 次入札を経て優先交渉先を決める。 鴻海側は国内の電機大手であるシャープを自陣営に参加させることで、東芝側との交渉をスムーズに進めたいとの狙いがあるようだ。 具体的なスキームは今後詰める。 シャープは主力の液晶パネルに加え、スマートフォン(スマホ)用のカメラ部品にも注力する方針だ。 iPhone 向けなどで強い東芝のメモリー事業が鴻海グループに加われば、取引拡大など相乗効果も期待できる。 (nikkei = 4-18-17) 東芝、テレビ事業の売却検討 中国メーカーなど関心 東芝が、国内テレビ事業を売却する検討をはじめたことが分かった。 中国の家電メーカーなどが関心を示している模様だ。 海外のテレビ事業はすでに撤退済み。 残った国内分は赤字が続いており、売却して原発事業で生じた巨額損失を補う助けにしたい考えだ。 売却を検討しているのは、東芝のテレビ事業子会社「東芝映像ソリューション(青森県三沢市)」。 関係者によると、国内の拠点や雇用、「レグザ」ブランドの維持などを条件に、近く売却額の提案を受けつける。 早ければ、2017 年度のうちに売却手続きを終えたい考えだ。 国内のテレビ事業は、16 年度の販売見込みで約 60 万台の規模。 16 年 4 - 9 月期決算では、売上高が前年比 43% 減の 279 億円、営業損益は 105 億円の赤字だった。 採算がとれない状態が続いていた。 (asahi = 4-9-17) 東芝半導体に官民「日本連合」 富士通など参加検討 東芝が売却手続き中の半導体メモリー事業に対し、日本企業が連合を組み出資する計画が 7 日明らかになった。 東芝や経済界が呼びかける形で 1 社あたり 100 億円前後を負担する方向で調整を始めた。 政府系ファンドなどと組み 5 千億円規模の出資提案をめざす案もでており、一定比率の株を取得し技術や人材の流出に歯止めをかける。 経済産業省も支援する形で、東芝や経済界が大手企業を中心に共同出資の打診を始めた。 7 日時点で富士通と富士フイルムホールディングスが出資を検討している。 東芝からメモリーを調達する顧客企業などが出資候補だ。 経産省は「国内産業の技術革新につながるなら、政府系ファンドが出資する余地もある(幹部)」という立場だ。 日本企業連合に産業革新機構など政府系ファンドを加えて 5 千億円規模の資金を捻出して、東芝メモリに出資を提案する。 3 月末に締め切った 1 次入札に応じた米国企業などと組み共同買収をめざす可能性が高い。 1 次入札に参加した日本企業はなかった。 ただ一部では「株主に説明できない」として出資を断った企業もある。 思惑通りに出資企業が集まるかは不透明な面もある。 官民で資金を出し合った例としては半導体大手のルネサスエレクトロニクスのケースがある。 幅広い半導体を国内企業に供給する同社が経営危機に陥ったため、2013 年に革新機構が約 1,400 億円を負担し、トヨタ自動車やパナソニック、キヤノンなど大手メーカーが数十億円ずつ出資して共同買収した経緯がある。 (nikkei = 4-8-17) 東芝の株主総会、半導体事業の分社化を承認 米原子力事業の巨額損失で経営難に陥った東芝の臨時株主総会が 30 日、千葉市の幕張メッセであり、経営側が求めた半導体事業の分社化を承認した。 これで新会社「東芝メモリ」が 4 月 1 日に発足することが決まった。 東芝は東芝メモリの株式の過半を 2017 年度中に売却し、その利益で巨額損失を穴埋めすることを目指す。 株主総会では、綱川智社長らが米原発子会社ウェスチングハウス (WH) が米国での原発建設で巨額損失を出し、29 日には WH が米連邦破産法 11 条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したことを説明。 東芝の今年度の損失が国内製造業で過去最悪の 1 兆 100 億円に拡大し、半導体事業の分社化、売却がなければ東芝の存続が難しいと株主に理解を求めた。 分社化の議案は、議決権ベースで 3 分の 2 以上の株主が賛成して承認されたが、株主からは巨額の損失計上を防げなかった経営陣への批判が相次いだ。 (asahi = 3-30-17) 東芝 : 米 WH が破産法を申請、赤字 1 兆円に拡大 - リスク遮断へ 東芝は傘下で巨額損失を抱える米原発子会社ウェスチングハウス (WH) が 29 日に米連邦破産法 11 条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。 破たん処理に伴い WH は連結対象から外れる。 損失拡大リスクを早期に遮断し経営再建に道筋を付ける狙いだ。 発表によると、WH とともに米国外の原発事業の持ち株会社も破産法の適用を申請した。 破産法申請に伴う負担の増加により 2017 年 3 月期の連結損失(赤字)は従来予想の 3,900 億円から 1 兆 100 億円に拡大する。 綱川智社長が午後 5 時 45 分から都内の本社で記者会見を開き、手続きの詳細や再建の方向などについて説明する。 株主資本も毀損し、今期末で従来見込みの 1,500 億円の債務超過は 6,200 億円に拡大する。 一時的負担は増えるが、原発事業での損失拡大リスクの除去にめどをつけやすくなる。 東芝は今後、主力のメモリ事業の売却で債務超過からの脱却を図るとともに、社会インフラ事業を柱に構造転換を進める。 WH は現在、米国で 4 基の原子炉を建設中。 破産法が適用されれば、WH は裁判所の管理下に置かれ、17 年 3 月期から連結対象外となり、損失が際限なく広がるリスクを断ち切ることができる。 また、破産法適用により債務を圧縮し、再建を進めることになるため、WH の売却先を探しやすくなるなどのメリットも期待できる。 (谷口崇子、Pavel Alpeyev、Bloomberg = 3-29-17) 東芝、決算発表を再延期へ 監査法人の承認得られず 東芝は、14 日を期限として延期していた昨年 4 - 12 月期決算発表を再延期する方向で調整に入った。 米原発子会社ウェスチングハウス (WH) で浮上した内部統制上の問題の調査を巡り、監査法人の承認が得られないためという。 すでに取引金融機関など関係先に、期限までの決算発表は困難、と伝え始めた模様。 決算発表に代え、延期する理由などを説明する記者会見を開く方向だ。 東芝は当初、先月 14 日に決算発表を予定していたが、WH の経営幹部が部下に「不適切な圧力」をかけたとの内部通報があったことから、外部の弁護士事務所などを通じて決算への影響や他に同じような事例がなかったかを調べてきた。 この結果をもとに、監査法人の了解を得て決算を発表する予定だったが、米国の WH 側の監査法人が慎重な姿勢を示し、調整が難航していた。 (asahi = 3-13-17) |