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東芝、国内で最大 4 千人の人員削減実施へ 本社機能は川崎に移転

東芝は 16 日、国内のグループ全体の社員を対象に最大 4 千人の早期希望退職を募ると発表した。 人員削減によってコスト構造を見直し、再成長につなげたい考えだ。 あわせて、本社機能の移転も含めた組織再編も進めると表明した。 この日公表した 2024 年度から 3 年間の中期経営計画に、収益改善の柱として盛り込んだ。 対象は東芝グループ全体の 50 歳以上の社員で、総務や経理などの間接部門が中心になる。 分社化したインフラ、デジタル技術、発電、半導体・ハードディスクを扱う四つの事業子会社と本社の間で重複していた間接部門の人員をスリム化する。

また、2025 年度上期中に東京・浜松町にある本社機能を、事業子会社や研究開発部門の拠点がある川崎市に移転、集約する。 分社化していたそれぞれの事業子会社を東芝本社に統合することも進めていくとした。 この日発表した 24 年 3 月期決算(米国会計基準)は、売上高が前年比 2% 減の 3 兆 2,858 億円、純損益が 748 億円の赤字(前年は 1,266 億円の黒字)だった。 持ち分法適用会社のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)が市況悪化から過去最大の純損失を計上したことや、HDD や発電システム事業で製品保証のための引当金を計上したことなどが響いた。 (湯地正裕、asahi = 5-16-24)


東芝、国内人員を数千人規模で削減検討 再上場向け収益構造を見直し

東芝が国内で大規模な人員削減を検討していることが 17 日、わかった。 削減は数千人規模に上る可能性がある。 人件費などのコスト構造を見直して、再成長に向けた体制を整えたい考えだ。

現在の東芝の国内従業員は約 6 万 7 千人。 インフラやエネルギー、デバイスなど、事業子会社ごとに分かれている間接部門を本社に集約するなどして人員を減らす。 5 月中旬に公表予定の中長期の経営計画に盛り込む方向だ。 削減の具体的な規模などは、これから調整するとみられる。 東芝は IT 不況が直撃した 2001 年には、1 万 7 千人規模のリストラ策を打ち出した。 今回はそれ以来の規模の人員削減の実施になる可能性がある。

東芝の売上高は、ピーク時の 7 兆円台から、事業の売却などを経て 3 兆円台に半減している。 23 年 4 - 12 月期決算では、ハードディスク事業の不振などが響き、1,070 億円の純損失を計上した。 東芝は、5 年後の再上場をめざしているとされる。 人員削減や組織再編などを進めて収益構造を改善しつつ、エネルギーやインフラなどの既存事業に加えて、デジタル技術を生かした新事業を軌道にのせるなどして、稼ぐ力を高めることが課題となっている。

東芝は 15 年に不正会計問題が発覚。 17 年には米原発子会社の経営破綻によって債務超過に陥り、海外ファンド 60 社からの増資を受けて乗り切った。 しかし、その後も経営陣と株主との対立が続いて経営が混乱。 23 3年には国内投資ファンドの日本産業パートナーズなどの連合が総額 2 兆円規模で東芝を買収。 同 12月には東京証券取引所への上場を廃止した。 (asahi = 4-17-24)


東芝中間決算、521 億円の赤字 キオクシア不振が響く

東芝は 14 日、9 月中間決算(米国会計基準)を発表し、純損益が 521 億円の赤字だった。 約 4 割の株を持つキオクシアホールディングスの業績不振などが響き、前年の 1,006 億円の黒字から赤字に転落した。 売上高は 1 兆 4,976 億円で、前年比 6.1% 減となった。 ハードディスクドライブ (HDD) 事業がノートパソコンやゲーム機向けなどで市場が縮小し、業績が悪化したことや、空調事業の売却などが影響した。 東芝は 12 月に上場廃止となる予定。 それ以降の決算発表の在り方については、現在、検討中としている。 (杉山歩、asahi = 11-14-23)


東芝 TOB が成立、株主から 78.65% の応募 年内にも上場廃止へ

東芝は 21 日、日本産業パートナーズ (JIP) による東芝株の公開買い付け (TOB) について、株主から 78.65% の応募があったと発表した。 目標の 3 分の 2 を上回り、TOB が成立した。 11 月下旬に予定される臨時株主総会を経て、東芝は年内にも上場廃止となる予定だ。

JIP は 8 月 8 日から 9 月 20 日までの期間で TOB を実施していた。 1 株 4,620 円、総額 2 兆円規模の買収で、三井住友銀行やみずほ銀行などの金融機関や、半導体大手のローム、オリックスなどの企業が融資や出資で参加している。 東芝は、経営に様々な要求をする「物言う株主」との対立で経営の混乱が続いていた。 今回の買収で株主構成を変えれば、中長期的な経営がしやすくなるとし、経営陣も JIP の提案に賛同していた。 今後は JIP のもとで経営を安定させ、事業の成長を目指すことになる。 (杉山歩、asahi = 9-21-23)


東芝、国内ファンド JIP の買収提案受け入れへ 2 兆円規模の見込み

東芝は 23 日、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ (JIP) からの買収提案を受け入れる方針を決めた。 国内企業の十数社が出資し、買収額は 2 兆円規模となる見込み。 JIP 側が株式公開買い付け (TOB) を実施する。 TOB が成立すれば、1949 年の上場以来、初めての上場廃止となる。 東芝は昨年 4 月から非上場化を含む提案を投資家に募り、昨秋までに JIP に優先的な交渉権を与えていた。 JIP が今年 2 月に最終的な買収案を出し、東芝の社外取締役でつくる特別委員会が内容を審査。 この日開かれた取締役会で受け入れを決めた。

買収案では、オリックス、半導体大手のローム、中部電力、ゆうちょ銀行などが計 1 兆円規模を出資し、三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行など 5 行が 1 兆 2 千億円を融資して参加するとみられる。 銀行団は、当面の運転資金として 2 千億円規模の融資枠ももうける。 東芝ではこれまで、経営陣とモノ言う株主(アクティビスト)とされる海外投資ファンドの対立が続いてきた。 モノ言う株主は、東芝が経営危機に陥った 2017 年、第三者割当増資を引き受けて株主となった。 その後は取締役会の構成などをめぐって経営陣と対立が続いていた。

昨年 3 月には、上場を維持したまま会社を 2 分割する案が臨時株主総会で否決。 昨年 6 月には海外ファンドの幹部 2 人が取締役に入り、より深く経営に関わるようになった。 東芝は戦後、東京証券取引所が取引を開始した 1949 年 5 月 16 日に上場した。 15 年に発覚した不正会計問題などで、17 年に東証 2 部(現スタンダード)に降格。 事業売却などの再建への取り組みが東証に認められ、21 年、3 年半ぶりに東証 1 部(現プライム)に復帰していた。 (asahi = 3-23-23)


東芝買収、JIP が最終提案 銀行団が融資確約

東芝の経営再建案を巡り、国内ファンドの日本産業パートナーズ (JIP) 陣営が、東芝に買収の最終提案を提出したことが 9 日分かった。 買収案には金融機関からの融資が前提となっていたが、三井住友銀行など 5 行が 1 兆 2 千億円規模の融資を確約する文書「コミットメントレター」を出した。 これとは別に、必要な時に融資を約束する 2 千億円の「コミットメントライン(融資枠)」も設ける。

5 行は三井住友銀のほか、みずほ銀行、三井住友信託銀行、三菱 UFJ 銀行、あおぞら銀行。銀行団は昨年中に文書を出す方向だったが、融資額の配分などで調整が続いていた。 JIP は東芝の買収総額を 2 兆 2 千億 - 2 兆円台半ばと想定。 オリックスや中部電力など企業約 20 社から計約 1 兆円の出資意向を取り付けており、残りの金額を銀行団が融資するかどうかが注目されていた。

銀行団から JIP への文書の提出が遅れたのは、融資額の配分に加え、銀行団の中から東芝への役員派遣を求めるなど融資の条件面での調整も行われていたとみられる。 JIP 案は東芝の株主から株式を取得して買収し、長期的な視点で企業価値を高めることが柱。 採用された場合、TOB (株式公開買い付け)を実施し、成立すれば非上場化する。 企業価値を高めた後、再上場を目指す方針。

東芝は昨年 4 月に再編案の公募を開始。 同 10 月には JIP が優先交渉権を得た。 東芝は社外取締役で作る特別委員会で JIP 案を吟味しており、同委は JIP 案を受け入れるかの検討を急ぎ、最終的には取締役会で判断する。 東芝は同 12 月、株主向けに公表した声明で、経営再建案の検討状況について「必要な交渉を経た上で、可能な限り早い時期に結論に至るよう最大限の努力をする」と説明していた。 (sankei = 2-9-23)



東芝、会社 3 分割計画を 2 分割に修正 原発などインフラ事業は本体に

東芝が会社を 3 分割する計画を修正し、半導体部門だけを切り出して 2 分割にする方向で調整していることが 4 日、わかった。 昨年 11 月に出した 3 分割計画には、複数の大株主が反対姿勢を表明していた。 計画を大幅に見直すことで、株主の理解を得る狙いがある。 7、8 日の経営方針説明会で綱川智社長らが説明する。 計画では原発などのインフラ事業と、記憶装置などのデバイス事業を分離し、2023 年度後半をめどに、それぞれ上場させるとしていた。 いまの東芝本体は、半導体事業を分社化したキオクシアホールディングスと、電子機器の東芝テックの株式を持つ資産管理会社として存続させる方針だった。

修正案ではデバイス事業だけを切り離して上場させ、インフラ事業は本体に残す方向だ。 あわせて、東芝テックや空調子会社の東芝キヤリアなど、複数の子会社の売却も検討している。 売却益を経営体制の見直しや株主還元にまわすとみられる。 計画をめぐっては、複数の海外投資ファンドから「企業価値を高める可能性は低い」などとして、反対する意見が出ていた。 (村上晃一、asahi = 2-4-22)


東芝、300mm ウエハー対応新製造棟建設を決定

パワー半導体増産へ 24 年度稼働予定

東芝デバイス & ストレージは 2022 年 2 月 4 日、生産拠点の加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市/以下、加賀東芝)に 300mm ウエハー対応の新しいパワー半導体製造棟を建設すると発表した。 建設は 2 期に分かれ、まず 2023 年春に第 1 期分の建設に着手し、2024 年春の建屋完成、2025 年 3 月期中の稼働開始を予定する。 同社は「第 1 期分フル稼働時にはパワー半導体の生産能力を 2022 年 3 月期比で約 2.5 倍に増強する計画」としている。

既存製造棟での 300mm ライン稼働も前倒しへ

新製造棟の建設を決めた加賀東芝はこれまで、低耐圧 MOSFET、IGBT を中心とするパワー半導体の増産を目的に 200mm ウエハー対応製造ラインの増強を進めるとともに、2021 年 3 月に 300mm ウエハー対応製造ラインを既存製造棟に導入することを決定していた。 既存製造棟での 300mm ウエハー対応製造ライン稼働時期については当初、2024 年 3 月期上期を予定していたが、今回、2023 年 3 月期下期に前倒しすることを決定。 その上で、新たな製造棟の建設を決定した。

新製造棟の具体的な設備導入時期や生産開始時期、生産能力、生産計画などについては「市場の動向を見ながら順次決定、実行していく(同社)」とする。 新製造棟は、地震の揺れを吸収する免震構造の採用や電源などの二重化を進め事業継続性を高める方針。 さらに、「最新の省エネ製造設備の導入などにより製造における環境負荷低減を行う。 また新製造棟で使用する電力を 100% 再生可能エネルギー由来でまかなう『RE100』化する計画。 人工知能 (AI) やウエハー自動搬送システムの導入などを通じて、製品品質および生産効率をより向上させる。(同社」)としている。 (竹本達哉、EE Times = 2-4-22)



東芝が事業別に 3 社に分割 総合電機に幕、それぞれ上場

東芝が会社全体を主要事業ごとに 3 つに分割する検討に入った。 本体とグループで手がける事業をインフラ、デバイス、半導体メモリーに振り分けて 3 つの会社に再編成し、それぞれが上場する方針。 2 年後をめどに実現を目指す。 収益構造や成長戦略が異なる事業を独立させることで各事業の価値をわかりやすくする。 日本の大企業が会社を完全に分割し、上場する初の事例となる。

総合電機は国のインフラである発電所から消費者向けの家電まで幅広く手がけ、日本の高度成長を支えてきた。 その代表ともいえる東芝が市場を意識し、複合事業体ゆえの企業価値の目減りを防ぐために分割する。 日本の産業界において歴史的な転換点となる。 12 日に発表する新しい中期経営計画に盛り込む方向で調整している。 東芝は 8 日、「企業価値向上に向けた中期経営計画の策定過程で、事業分割について選択肢のひとつとして検討しているのは事実」と発表した。

東芝はグループで原子力や火力などの発電設備、道路や鉄道などの交通システム、エレベーターやエアコン、POS (販売時点情報管理)システム、ハードディスク駆動装置 (HDD)、半導体など多くの事業を手がけている。 2021 年 3 月期の売上高(3 兆 543 億円)のうち、6 つのセグメントが 2,000 億 - 8,000 億円をそれぞれ稼いでいる。 半導体メモリーを除く各事業を発電設備などの「インフラ」、HDD などの「デバイス」に集約する。 半導体メモリーは約 4 割を出資するキオクシアホールディングスの株式保有会社になることを想定している。 最終的には半導体をデバイスに含め、2 分社となる可能性もある。

今後、法律や税制の課題を解消しながら、株主総会での決議を目指す。 現在の東芝の株主は新たにできる 3 社の株式をそれぞれ割り当てられる見通しだ。 東芝が分社に踏み切るのは多くの事業を抱える複合企業の価値が、各事業の価値の合計より割安になるコングロマリットディスカウントが起きているとみているためだ。 各事業は必要な投資額や回収までの期間、資本効率が異なる。 複合企業はそれぞれの事業が補い合うことで全体の業績の安定や一定の相乗効果が見込める一方で、経営資源が分散し資本効率が下がると指摘されてきた。

東芝の場合、再生可能エネルギー分野では数十年先を見据えて研究開発を進めなければならないのに対し、半導体分野では短期間で動く市況に左右されながら大きな投資が必要とされ、事業戦略や収益構造が大きく異なっていた。 分社することでそれぞれの事業について株主や投資家が価値判断をしやすくなる。 個々の企業価値が高まり、現在の「東芝」全体の価値よりも高くなれば、アクティビスト(物言う株主)など株主が想定する東芝の目標株式価値にも届きやすくなり、市場で売却するなどの出口を促す効果もある。

分社化は経営判断を速める効果も期待できる。 事業ごとに外部からの資金調達や M & A (合併・買収)、事業売却を機動的に決めることができる。 東芝では 1999 年に社内カンパニー制を導入し、カンパニーごとに裁量を持たせて運営させていた経緯もある。 ただ 3 月末時点で連結子会社が 296 社あり、11 万 7,300 人の連結従業員数を抱える東芝を 3 つに分けるには煩雑な作業が必要になる。

東芝は 6 月の株主総会後に、社外取締役 5 人が委員の「戦略委員会」を設置した。 戦略委は投資家との対話を通じ、株主総利回りの拡大を重視した事業計画としてコア(中核)事業とノンコア(非中核)事業の区分けを進めてきた。 また東芝は 4 月に英投資ファンドの CVC キャピタル・パートナーズから初期段階の買収提案を受け取っていた。 買収交渉は中断されている。 非公開化の検討も続けているが、分社化が企業価値の最大化につながると判断した。

事業ごとに分割し上場し直す戦略は米国企業では 1 つの戦略として定着している。 ヒューレット・パッカードやダウ・デュポンはパソコンや化学品など強みを持つ主力事業ごとに分割し上場企業として独立して経営する道を選んだ。 日本では持ち株会社の下で各事業を独立会社とすることは多いが、経営者の意向が強く各事業が完全に独立して上場する例はなかった。 企業価値を高めグローバル競争を勝ち抜くためにしがらみをたつ東芝の大胆な経営判断は日本の産業界に影響を与えそうだ。

経済産業省は日本企業がこうした企業価値を高めるため、機動的に事業再編ができるように 17 年に子会社を分離する「スピンオフ」時に課税を繰り延べる税制を導入した。 20 年にはカラオケを手がけるコシダカホールディングスがフィットネス事業(現カーブスホールディングス)を分離上場させた際に適用されたが、利用は進んでいない。 東芝が同制度を活用すれば、初の大型案件となりそうだ。 (nikkei = 11-9-21)

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