リチウムイオン電池に成長託す 東芝が新型で攻勢 東芝はリチウムイオン 2 次電池の市場を本格開拓する。 このほど安全性の高い新型製品を開発。 すでに自動車や鉄道、船舶などで相次ぎ採用され始めており、こうした実績をもとに受注拡大を目指す。 国内外で新工場の稼働も予定するなど増産体制も整えた。 成長分野の育成が課題になるなか、電池事業もその一つとして、2030 年には売上高が 4,000 億円規模の事業に育てる方針だ。 東芝が開発したリチウムイオン 2 次電池「SCiB」は発火などの可能性が極めて低く、高い安全性が特徴という。 通常のリチウムイオン 2 次電池の寿命が充放電 3,000 回程度なのに対し、SCiB は 2 万回以上耐えられるという。 短い時間で充電でき、セ氏マイナス 30 度の低温下でも使うことが可能だ。 高い安全性から車両での採用が相次いでいる。 自動車用電池の場合、急速な充放電への耐久性が求められることから、SCiB の急速充電の性能が発揮できるという。 このほど、三菱自動車の新型軽自動車「ek クロス スペース」や「ek スペース」などで使われ始めた。 大型輸送機関向けの納入も加速させる。 東芝は 3 月末、SCiB を使用した蓄電池システムについて、船舶への適用を承認する日本海事協会の鑑定書を取得したと発表。 これにより、システムに組み込む部品ごとの検査が免除され、システム構築までの期間を短縮できる。 船舶による大気汚染は世界で問題化しており、船内で使用する電力のほか、運行に必要な電力の一部を電池で補えば二酸化炭素 (CO>sub>2) などの排出量削減にもつながるという。 鉄道向けでは欧州の鉄道車両に納入するために必要な安全性に関する規格を取得。 新たにバングラデシュのダッカ都市高速鉄道向けの蓄電装置にも搭載する予定で、20 年後半から順次納入する。 ブレーキ時などに発生する回生電力で充電し、列車が加速する際の電力や、停電した際の非常用電力として再利用する。 事業拡大を視野に生産体制も強化する。 東芝の横浜事業所内に、延べ床面積約 2 万 7,000 平方メートルの 3 階建て建屋を建設しており、21 年度内には稼働させる予定。 インドでは昨年 10 月から、スズキやデンソーと共同出資会社を設立して新工場を建設している。 世界的な環境規制の高まりを受け、2 次電池の需要は自動車など幅広い分野で高まっている。 東芝は 16 年 12 月、米原発子会社での巨額損失が発覚したことなどに伴い、半導体メモリー事業などを売却した。 成長事業の育成は待ったなしの状況で、電池分野にかかる期待は大きい。 (矢尾隆行、nikkei = 5-25-20) 東芝子会社で架空取引 200 億円規模 循環取引繰り返す 東芝は 18 日、連結子会社の東芝 IT サービス(川崎市)で 2019 年 9 月中間期に架空取引が見つかったと発表した。 対象の取引は売上高ベースで 200 億円規模と見込まれるという。 複数年にわたって架空取引を続けていた疑いもあり、さらに調べる。 不正の規模が膨らむ可能性もある。 東芝は 2 月 14 日の 19 年 4 - 12 月期決算の発表にあわせて社内調査の結果を発表し、決算を修正する予定だ。 東芝 IT サービスは、別の東芝子会社が 100% 出資している。 企業向けにシステムの開発や保守を請け負い、昨年度の売上高は 440 億円。 東芝によると、取引の実態がないのに帳簿上はあったように装う「循環取引」を繰り返したとみられる。 東芝は「主体的な関与を認定する証拠はこれまでのところない」としているが、詳細な説明を避けている。 昨年 11 月に第三者からの指摘を受け、社外の弁護士や公認会計士などと調査していた。 (小出大貴、asahi = 1-18-20) 東芝、上場子会社 2 社を完全子会社に TOB 成立を発表 東芝は 26 日、上場子会社の東芝プラントシステム(東証 1 部)、西芝電機(東証 2 部)の完全子会社化をめざした株式公開買い付け (TOB) で、いずれも成立条件の「3 分の 2 超」となる 9 割超の株式を取得し、TOB が成立したと発表した。 今後は残りの株式を株主から買いとり、完全子会社化する。 東芝は 11 月、上場子会社 4 社のうち 3 社の TOB を発表した。 完全子会社化には TOB の費用を含め、東芝プラントシステムに約 1,346 億円、西芝電機に約 42 億円をかける。 親会社と子会社がともに上場する「親子上場」は、少数株主の利益を損なうとの指摘があり、解消させた。 2 社のほかに TOB を発表していた半導体製造装置メーカー、ニューフレアテクノロジー(ジャスダック)に対しては、光学機器メーカーの HOYA も TOB を発表。 東芝は株主が判断する時間を設けるため、TOB の期限を来月 16 日に延長している。 (小出大貴、asahi = 12-26-19) 「東芝 Next プラン」発表 5 年間で 7,000 人の人員削減、2020 年度までに赤字事業を撲滅 東芝は 11 月 8 日、全社変革計画「東芝 Next プラン」を発表。 2021 年度には、売上高 3 兆 7,000 億円、営業利益 2,400 億円、ROS で 6% 以上、ROE で約 10% を目指すことを明らかにした。 また、2023 年度のターゲットとして、売上高 4 兆円、営業利益 8% 以上、ROS で 10%、ROE で 15% レベルまで高める。 東芝代表執行役会長 CEO の車谷暢昭氏は、「東芝は人の物真似ではなく、革新的な独自のテクノロジによって、143 年間、成長してきた企業である。 東芝の DNA である、2 人の創業者によるベンチャースピリットを呼び覚まし、世界有数の CPS (サイバー・フィジカル・システム)テクノロジ企業を目標にする。 東芝 Next プランでは、最初の 3 年で業界トップレベルの収益体質に移行するとともに、有望な成長事業を展開し、すべての商品、サービス、プロセスにおいて、サイバー技術を実装する。 これによって、目標を達成したい。」と述べたほか、「2020 年度までに赤字事業を撲滅し、すべての事業で ROS 5% 以上を目指す」とした。 また、東芝 Next プランの目的を「企業価値の最大化を通じて株主価値向上を実現する。 その評価指標として、Total Shareholder Return (TSR) の拡大を重視する。」とした。 TCR は、キャピタルゲインと配当をあわせたものであり、株主にとっての総合投資利回りのことを指すという。 東芝 Next プランでは、「構造改革」、「調達改革」、「営業改革」、「プロセス改革」の 4 つの改革を推進することを示した。 「構造改革」では、液化天然ガス (LNG) 事業や、海外原子力新規建設事業などの非注力事業からの撤退、今後 5 年間で 7,000 人の人員減少による人員の適正化、15% の生産拠点を対象にした閉鎖および再編、約 400 社の国内外の子会社をそれぞれ 25% 削減することを計画している。 「将来に向けて、事業および人員の適正化が前提となる。 だが、足の長いビジネスも人員を一気に適正化することができない。 年間 3,000 人の自然減や、一部部門での早期退職優遇制度を実施する。」とした。 「調達改革」では、原価率の低減に向けた各種施策を実行。 「東芝は、競合他社に比べて原価率が高いという傾向がある。 直接材および間接材を対象にした調達改革によって、約 650 億円の改革効果を見込む。」という。 「営業改革」では、営業活動の効率化、営業体制の強化、プロジェクト受注時における審査の拡充を実施する。 価格を含む契約条件の再確認と適正化、低収益製品の棚卸しなどの営業リターン改善により、約 300 億円の改善機会を追求。 キーアカウントへの営業体制や、CRM の活用による営業体制の強化などによる顧客およびマーケットの関係強化、プロジェクト受注審査による将来リスクの未然防止につなげる。 「プロセス改革」としては、IT 基盤を整備するための投資を行い、グループ全体で業務を効率化し、生産性の改善を図る。 次世代 IT 投資計画として、2023 年度までに 1,100 億円の投資を計画。 「老朽化したシステムの 80% 以上を刷新し、90% 以上のサーバーをクラウド化。 CPS テクノロジ企業への変革を支えるにふさわしい IT 基盤の構築を図る」とした。 デジタルトランスフォーメーションで「4 万 2,000 人の技術者全員をデジタル技術者に」 デジタルトランスフォーメーションによる取り組みについても説明。 「デジタルトランスフォーメーションによる、すべての事業領域を高付加価値化。 デジタル文化を組織の隅々まで実装する必要がある。 思考の仕方を変え、4 万 2,000 人の技術者全員をデジタル技術者にしてきたい。 東芝の IoT リファレンスアーキテクチャーである SPINEX の上に、さまざまな事業領域において実践した知識を結集。 これをオープンにし、CPS テクノロジ企業として成長を目指す。」という。 さらに、既存事業に関しては、市場の成長性と競争力の観点で整理し、今後成長が見込まれる事業については適正な投資のものと、自律的な成長を目指すという。 また、火力、システム LSI、産業モータ、モバイル HDD といったモニタリング対象事業は、事業構造転換により、収益を改善させるとした。 新規成長分野においては、リチウムイオン二次電池で、SCiB の特徴を生かせる成長市場を開拓。 パワーエレクトロニクスでは、デバイス技術の競争力を源泉に、モビリティ・産業システム市場で差異化を図る。 また、精密医療については、ライフサイエンス分野で保有する技術を生かして、がんの超早期発見と個別医療治療の実現を目指すという。 「これまではメモリ分野への投資が多く、投資をすれば成長が見込める分野への投資ができていなかった反省がある。 今後、成長分野への投資を中心に、2023 年度までに 8,100 億円を投資。 また、主要研究開発テーマに対して、2023 年度までに 9,300 億円を投資。 10 年後、20 年後の東芝に向けた投資も行っていく。」」と述べた。 SCiB では、2030 年に 4,000 億円規模の事業を目指すほか、パワーデバイスでは、モビリティと産業領域に注力し、システム全体として差異化を図る。 また、がん治療領域においては、重粒子線治療をはじめとして、予防から治療までの各フェーズにおける要素技術を保有している強みを生かすという。 さらに、東芝 Next プランの実行のための仕組みを構築。 新規事業を創出する新たなインキュベーションの仕組みを導入し、コーポレートベンチャーキャピタルとして 100 億円規模のファンドを設定するほか、デジタルトランスフォーメーションを推進するための人材育成、外部人材の登用を進める。 また、事業運営体制の強化および意思決定の迅速化のために、事業部の大括り化、階層のシンプル化などの組織の見直しを図り、内部統制機能の強化に向けて、コーポート部門による統制機能の拡大と強化を図る。 執行役の業績連動の過半を譲渡制限付株式報酬で支給するという。 「東芝の従業員一人ひとりが Next プランにコミットして、やるという気持ちをそろえることが大切である。 東芝グループの経営理念は、『人と、地球の、明日のために。』 この経営理念のもと、東芝 Next プランの実現により、ステイクホルターの期待に応え、社会のさらなる発展に大きく貢献したい。」と語った。 2018 年度上期連結業績は減収減益、当期純利益は大幅改善 一方、東芝が発表した 2018 年度上期(2018 年 4 - 9 月)の連結業績は、売上高が前年同期比 5.1% 減の 1 兆 7,779 億円、営業利益は 80.7% 減の 69 億円、継続事業税引前利益は 4.2% 減の 705 億円、当期純利益は前年同期の 497 億円の赤字からから大幅に改善し、1 兆 0,821 億円となった。 当期純利益の大幅な増益は、メモリ事業売却益計上の影響によるもの。 売上高では、スレトージ & デバイスソリューションや、インフラシステムソリューションは増収になったものの、エネルギーソリューションでランディス・ギアが連結除外影響および火力事業などで減収となったことが影響して、全体では減収となった。 為替は売上高に対して、約 60 億円のマイナス影響があったという。 また、営業利益は、売価ダウンや減収影響、緊急対策効果減少により減益になった。 また、フリーキャッシフローは、1 兆 4,765 億円改善の 1 兆 5,641 億円となったが、「メモリ事業売却影響を除いても、1,000 億円超のプラスになった(東芝 代表執行役専務の平田政善氏)」という。 セグメント別業績は、エネルギーシステムソリューションの売上高が前年同期比 30% 減の 3,031 億円、営業損益は 31 億円悪化の 39 億円の赤字。 「ランディス・ギアの非連結化や、火力の新規案件およびサービス関連の伸び悩みが影響している」という。 インフラシステムソリューションは、売上高が前年同期比 3% 増の 5,680 億円、営業損益は 12 億円減の 15 億円。 「公共インフラでは、緊急対策の影響や、案件構成差などが影響している」などとした。 リテール & プリンティングソリューションは、売上高が前年同期比 3% 減の 2,410 億円、営業損益は 33 億円減の 80 億円。 インダストリアル ICT ソリューションは、売上高が前年同期比 11% 減の 1,176 億円、営業損益は 6 億円改善したものの 13 億円の赤字となった。 ストレージ & デバイスソリューションは、売上高が前年同期比 6% 増の 4,568 億円、営業損益は 223 億円減の 106 億円。 「HDD は、企業向けは販売増だが、PC 向けなどの販売減、価格下落などが影響している。 調達パートナーとの連携強化により収益を改善したい。ディストクリートは産業向けは好調だが、先行投資の増加により利益は横ばい。 部門全体としては減収減益になった。」という。 その他部門では、売上高が前年同期比 2% 増の 2,485 億円、営業損益は前年同期比 25 億円減の 109 億円の赤字。 そのうち、PC の売上高は前年同期比 6% 減の 794 億円、営業損益は 10 億円減の 47 億円の赤字。 なお、PC 事業は、10 月 1 日付けで、東芝クライアントソリューションの株式の 80.1% をシャープに譲渡。 第 3 四半期以降は連結対象外になる。 一方、2018 年度通期見通しは、5 月 15 日の公表値を修正。 売上高は前年比 8.8% 減の 3 兆 6,000 億円と据え置いたものの、営業利益は 100 億円減の前年比 14.3% 減の 600 億円、継続事業税引前利益は 1,300 億円減の 400 億円の赤字。 当期純利益は 1,500 億円減の 14.0% 減の 9,200 億円とした。 「上期は 5 月 15 日の公表値に沿った形で進捗していると判断しているが、2019 年度以降の成長を確実にものにしていくために、東芝 Next プランによる構造改革の実行や、(LNG) 事業および海外原子力新規建設事業からの撤退影響を織り込んだ」という。 営業利益においては、構造改革費用の追加織り込みで 253 億円減、営業外損益では、LNG 撤退影響で 930 億円減、NuGen (英国における原子力新規建設事業)からの撤退影響で 216 億円減を織り込んだ。 (大河原克行、Cnet = 11-8-18) 東芝総会で見えたズレ 株主はグローバル、事業は国内回帰 経営再建中の東芝は 27 日、千葉市の幕張メッセで株主総会を開いた。 昨年 12 月の増資により株主の 7 割が海外投資家となり、株主重視の「グローバル経営」を求める重圧が強まる。 一方でメモリー事業売却により事業の「国内回帰」が進み成長シナリオが描きにくい。 総会で選任された車谷暢昭会長兼最高経営責任者 (CEO) ら新経営陣はこのズレを埋められるか。 「債務超過は解消しましたが、配当の分配可能額はいまだマイナスで期末配当はゼロ。 皆さまには改めて深くおわび申し上げます。」 総会は議長を務めた綱川智社長による陳謝で始まった。 東芝は上場廃止を回避するために昨年末に 6 千億円の大型増資を実施。 海外投資家比率が 4 割弱(16 年度末)から 7 割に急上昇した。 半導体メモリー子会社の約 2 兆円での売却で経営危機は脱したものの、新生東芝がどう生き残っていくかに株主の関心が集中した。 総会ではファンドなど海外投資家とみられる株主からの質問は目立たなかったが、水面下ではファンドからのプレッシャーは徐々に増している。 6 月上旬までに東芝株を 2% 保有する米ファラロン・キャピタル・マネジメント、5% 超持つ米キング・ストリート・キャピタル・マネージメントが、東芝株の保有目的を「純投資」から「純投資及び状況に応じて重要提案行為などを行う」に変更した。 ■ 海外比率「西田体制」前に 東芝は 6 月中旬に株主の意向にも配慮して 7,000 億円の自社株買いを実施する方針を総会直前に発表。 株主の視線ははやくも株主還元から次の成長戦略に移る。 「自社株買いの方針は評価するが、企業価値をさらにどう高めるのかお手並み拝見。」 東芝に投資するあるアジア系ファンドの幹部は話す。 しかし、東芝が成長戦略を描くのは簡単ではない。 15 年に発覚した不正会計により優良事業だった東芝メディカルを売却。 16 年末に米原発事業の巨額損失問題が表面化すると、海外の原発建設からは撤退し、稼ぎ頭のメモリー事業の売却の方針も決めた。 これらの事業撤退で、17 年度には国内と海外の売上高比率は逆転した。 ピークの 14 年度には 6 割弱に達した海外売上高比率は足元で 4 割強に下がった。 グローバル化を推し進めた西田厚聡社長が就任する直前の 04 年度に逆戻りした格好だ。 今後の中核にすえる社会インフラ事業は自治体向けなどの国内が主体で、海外売上高比率は 3 割弱。 水システムや高速道路管制、放送システムインフラなどは「安定収益事業」ではあるものの、内需中心で海外展開なくして中長期的な成長は見込めない。 打開策となる海外 M & A (合併・買収)についてもこれまで失敗続きだったため、社内に加え、投資家筋からも厳しい視線が注がれている。 総会で車谷会長は「M & A に対して特に慎重に検討する」との考えを改めて示した。 再建のモデルとなりうるのが東芝のライバルたちだ。 09 年度に巨額赤字に転落した日立製作所はコスト削減と事業の選択と集中により 18 年 3 月期に過去最高益を計上した。 独シーメンスも半導体子会社など非中核事業の売却を繰り返して高収益体質を確立した。 米ゼネラル・エレクトリック (GE) も主力のヘルスケア事業を分離するなど、財務立て直しに向けなりふり構わないリストラを進める。 ■ 日立などへ人材流出も こうした事業再編には中核に世界で戦える事業を据え、経営資源を集中させる必要がある。 ただメモリーなどを手放した東芝にそうした事業はほとんどない。 加えて成長には欠かせない人材の流出という問題も持ち上がっている。 エンジニアの転職を支援する会社のコンサルタントによると、新規登録をする東芝社員が後を絶たないという。 年代は 20 代 - 50 代と幅広く、日立などの同業他社へ転職するケースが多い。 転職した東芝の元社員は「どうせ働くなら夢のある方で」と話したという。 今回の株主総会で承認された取締役 12 人は新任 3 人を含め、全員が日本人だ。 取締役 12 人中 4 人を外国人にしている日立に比べて、経営のドメスティックぶりも目立つ。 グローバルな株主に対応するには、事業戦略に加え、経営を含めた社内体制のグローバル化も問われそうだ。 (安原和枝、浜岳彦、nikkei = 6-27-18) 東芝、半導体子会社を 6 月 1 日売却 「日米韓連合」へ 東芝は 17 日、半導体子会社「東芝メモリ」を、米投資ファンドのベインキャピタルが率いる「日米韓連合」に 6 月 1 日に売却すると発表した。 遅れていた中国の独占禁止法の審査で売却が承認されたと確認できたとして、今後、株式譲渡に必要な手続きを進める。 東芝は売却先の有力候補を二転三転させた末、昨年 9 月に日米韓連合に 2 兆円で売ると決めたが、米中の通商摩擦が激化してから中国の独禁法の審査が進まなくなった。 審査が必要な 8 カ国・地域のうち中国だけが残り、予定していた 3 月末までに売却手続きを完了できずに中国側が 2 カ月間の追加審査に入っていた。 東芝メモリはグループの営業利益の 9 割を稼ぐ収益源だったが、東芝は財務基盤の強化のために早期売却をめざしてきた。 ただ、昨年 12 月の増資などで債務超過は解消済み。 社内にはもともと売却に否定的な意見もあり、売却撤回のシナリオも探り始めていた。 東芝が得る売却益は約 1 兆円。 財務の健全性を示す株主資本比率は 2019 年 3 月末に過去最高水準の 42.5% まで高まる見通しで、経営再建は前進する。 一方、東芝メモリは独立した企業として 3 年後の株式上場をめざす。 スマートフォンなどに載る半導体「NAND (ナンド)型フラッシュメモリー」では、韓国サムスン電子に次ぐ世界 2 位のシェアを持つ。 経営の議決権は 49.9% をベインが握り、東芝も 3,505 億円を再出資して 40.2% を持つ予定だ。 日米韓連合には、光学機器メーカーの HOYA や韓国の半導体大手 SK ハイニックスも参画するが、SK ハイニックスは当面は議決権を持たない。 日本のメガバンクや米アップルなども買収資金を出す。 政府系ファンドの産業革新機構と日本政策投資銀行は、計 33.4% 分の議決権の行使を「指図する権利」を持つ。 (内藤尚志、asahi = 5-18-18) 東芝、4 年ぶり黒字 18 年 3 月期、最高益更新 東芝が 15 日発表した 2018 年 3 月期決算(米国会計基準)は、純損益が 8,040 億円の黒字(前年は 9,656 億円の赤字)だった。 4 年ぶりに黒字に転換し、7 年ぶりに最高益を更新。 借金が資産総額を上回る債務超過も 1 年 3 カ月ぶりに解消した。 ただ、米国の原発事業の債権売却益など一時的な利益の押し上げ要因が大きい。 売却手続き中の半導体子会社「東芝メモリ」は、連結対象から外して集計した。 18 年 3 月期の売上高は前年比 2.4% 減の 3 兆 9,475 億円、本業のもうけを示す営業利益は 21.9% 減の 640 億円だった。 スマートメーターの製造子会社を手放したエネルギー事業や、水処理施設などのインフラ事業も振るわなかった。 3 月末の株主資本は 7,831 億円のプラスで、マイナス状態の債務超過を解消した。 債務超過が続いていれば、東京証券取引所のルールで上場廃止になり、再建が厳しくなるところだった。 19 年 3 月期の業績予想は、売上高が前年比 8.8% 減の 3 兆 6 千億円、営業利益は 9.3% 増の 700 億円、純利益は東芝メモリの売却益を織り込んで 33.1% 増の 1 兆 7,000 億円を見込む。 東芝は、不正会計の発覚を受けて原発や家電事業の資産価値を見直し、15 年 3 月期に純損益が赤字に転落。 16 年 3 月期と 17 年 3 月期も、米国の原発事業の不振が響いて赤字だった。 (高橋諒子、asahi = 5-15-18) 東芝メモリ、売却中止検討 独禁法審査、中国承認遅れ 東芝は、半導体メモリー子会社「東芝メモリ」を米ファンドなどに売却する計画について、5 月末までに独占禁止法の審査で中国当局の承認が得られなければ、売却を中止する方針を固めた。 既に債務超過を解消しており、売却の必要性は乏しいと判断した。 売却中止の場合、必要な設備投資資金を確保するため東芝メモリの新規株式公開 (IPO) を検討する。 東芝は昨年 9 月、米ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」に東芝メモリを 2 兆円で売却する契約を締結。 今年 3 月末までの売却を目指した。 しかし、売却の前提となる各国の独禁法審査で中国が難色を示し、売却に遅れが生じていた。 このため東芝は車谷暢昭(のぶあき)会長兼最高経営責任者 (CEO) を中心に対応を協議。 売却が遅れれば東芝メモリの競争力が損なわれる恐れがあり、売却中止を選択肢に加えた。 ただ、東芝は「(契約で)義務を果たす」とも説明しており、5 月末までに中国が承認すれば予定通り売却する方針だ。 東芝は 2017 年 3 月期に債務超過に転落。 財務体質の改善に向けて東芝メモリの売却を決めたが、昨年 12 月に実施した 6,000 億円の増資などで債務超過を解消。 経営の自由度が高まり、銀行団から売却中止を容認する声も出ていた。 東芝メモリは東芝全体の営業利益の 9 割近くを稼ぎ出してきた。 仮に売却せず、IPO 実施後もグループ内にとどまれば、経営再建に大きな影響を与えそうだ。 (柳沢亮、古屋敷尚子、mainichi = 4-22-18) 米 WH、破産手続き脱却に向け債権者と合意 = 関係筋 東芝の元原発子会社で、昨年 3 月に米連邦破産法 11 条の適用を申請した米ウエスチングハウス (WH) が破産手続きからの脱却に向けて債権者と合意した。 関係者 3 人が明らかにした。 合意内容は、投資会社ブルックフィールド・ビジネス・パートナーズへの 46 億ドルでの WH 売却で得られる資金を債権者に分配するというもの。 合意により、東芝の会計年度末となる 3 月 31 日までに WH が破産手続きから脱却する可能性が高まる。 関係者の 1 人によると、ブルックフィールド、無担保債権者委員会、WH、東芝が合意を支持している。 WH、東芝、債権者委員会の弁護士はいずれもコメントを拒否。 ブルックフィールドはコメントの求めに応じていない。 (Reuters = 1-18-18) 東芝、ウエスタンデジタルと和解 半導体売却の対立解消 東芝は 13 日、半導体事業で協業する米ウエスタンデジタル (WD) との対立を解消して和解したと正式に発表した。 半年以上にわたる係争に終止符を打ち、東芝が進める半導体子会社「東芝メモリ」の売却を、WD は容認する。 東芝は 1 兆円超の売却益を得られる可能性が高まり、経営危機からの脱却に向けて大きく前進する。 WD は 5 月に国際仲裁裁判所に申し立てた売却の差し止めを、東芝は WD に対する妨害差し止めの提訴をそれぞれ取り下げる。 両社は東芝メモリの四日市工場(三重県)への共同投資を続け、現在の共同生産体制も少なくとも 2027 年末までは維持する。 新設する北上工場(岩手県)への共同投資も始める方向だ。 WD は、東芝メモリの将来の株式上場も容認する。 東芝は WD との係争に敗れれば、東芝メモリの売却が白紙になるおそれがあった。 売却は各国で独占禁止法の審査中で、これを通過すれば、売却益を得られる。 今月に実施した約 6 千億円の増資に続く巨額の入金で、株主資本は 15 年の不正会計発覚前の水準まで回復する見通しだ。 東芝メモリも、共同投資で工場の設備増強を加速できる。 半導体メモリーで世界首位の韓国サムスンを追う体制を整える。 東芝は米国の原発事業の失敗で、借金が資産総額を上回って株主資本がマイナスになる債務超過になった。 来年 3 月末までに解消しないと上場廃止になるため、東芝メモリの売却益をあてると表明。 WD は「協業契約違反」であると主張したが、東芝は 9 月に韓国の半導体大手 SK ハイニックスも加わる「日米韓連合」への売却を決め、対立が激化した。 そこで東芝は四日市工場への共同投資を提案し、和解に応じないと単独投資に切り替える姿勢も示した。 WD は共同投資に参加しなければ、来年から生産が始まる最新鋭のメモリーを調達できなくなり、経営が苦しくなる。 両社は今月になって和解することで大筋合意し、詰めの協議に入っていた。 (asahi = 12-13-17) 東芝、6 千億円規模の増資協議へ 実現なら上場廃止回避 経営再建中の東芝は、資本増強策の本格的な検討に入る。 海外投資家に新株を発行する第三者割当増資で 6 千億円規模を調達する案を軸に、20 日にも詰めの協議をはじめる。 実現すれば、半導体子会社「東芝メモリ」を売却できなくても、借金が資産総額を上回る債務超過の状態を脱し、株式の上場廃止を回避できるようになる。 ただ、東芝メモリの売却は計画どおり進める。 増資で債務超過は解消できるとみるが、財務の大幅な改善は期待できず、巨額の投資が必要な東芝メモリを抱えきれない。 売却益を得て財務基盤が強化されるからこそ、増資に応じる投資家が出てくる側面もある。 資本増強を進めるのは、上場廃止リスクをなくすためだ。 来年 3 月末までに債務超過を解消できなければ、東京証券取引所のルールで上場廃止になる。 東芝メモリの売却の前提となる各国の独占禁止法の審査には時間がかかり、それまでに売却益を得られるかは不透明だ。 そこで東芝は、テレビ事業などを売って資金を得るほか、増資も検討。 資金力のある海外投資家を中心に出資者を探してきた。 特定の大株主が生まれて影響力が強まらないよう、複数の投資家に新株を割り当てる方向だ。 ただ増資の実施時期は流動的だ。 株式数がふくらむ増資は株価の低迷につながりやすく、いまの株主から反発が出る可能性もある。 (asahi = 11-18-17) 東芝、ICT 分野で資本提携検討 三井物産から数百億円 経営再建中の東芝が、将来の中核事業と位置づける ICT (情報通信技術)分野で、三井物産と資本提携を検討していることが分かった。 東芝の ICT 子会社に三井物産側が数百億円を出資する方向だ。 稼ぎ頭の半導体子会社「東芝メモリ」を売った後の有望事業を強化するとともに、東芝本体の財務改善にもつなげる。 今年 7 月に分社した「東芝デジタルソリューションズ(川崎市)」の株式の一部を、三井物産の子会社に売却する方向で交渉しており、来月中の合意をめざしている。 東芝は ICT 事業で、あらゆるモノをインターネットにつなげる IoT や人工知能 (AI) を展開。製品をネットにつなげてデータを集め、AI を活用して生産の効率化や省電力につなげる技術を強化する。 自社が持つエレベーターや水処理施設などのインフラ関連の事業と組み合わせて、収益力を高めることも期待できる。 (asahi = 11-16-17) 東芝、TV 事業をハイセンスに売却へ 129 億円で 東芝は 14 日、テレビ事業を中国の家電大手ハイセンスグループに来年 2 月にも約 129 億円で売却すると発表した。 「レグザ」ブランドは維持する。 テレビ子会社「東芝映像ソリューション(青森県三沢市)」の発行済み株式の 95% を売却する。 債務超過に陥っている東芝は、資産や事業の売却を進め、財務基盤の改善を進めている。 東芝は今春から採算が悪化しているテレビ事業の売却先を探していた。 海外でのテレビ事業はすでに撤退済み。 国内では赤字が続き、売却先が見つからなければ撤退も検討する方針を示していた。 (asahi = 11-14-17) 東芝 1,100 億円赤字の見通し 半導体売却の税負担で 東芝は 23 日、2018 年 3 月期(米国会計基準)の業績予想を下方修正し、純損益が 1,100 億円の赤字になる見通しだと発表した。 8 月時点の予想は 2,300 億円の黒字だった。 9 月下旬に半導体子会社「東芝メモリ」の売却契約を結び、半導体メモリー事業の価値が確定したことに伴う法人税の負担を織り込んだとしている。 18 年 3 月末の株主資本はマイナス約 7,500 億円となり、8 月時点のマイナス約 4,100 億円から膨らむ見込み。 だが、東芝メモリの売却手続きが完了すれば約 1 兆 800 億円の改善が見込まれ、債務超過は解消できる見通しという。 売上高や営業利益の予想は据え置いた。 (asahi = 10-23-17) 原発事業の損失、監視委が聴取開始 東芝と監査法人に 東芝が米原発子会社ウェスチングハウス (WH) の巨額損失を計上した今年 3 月期決算について、証券取引等監視委員会が東芝と監査を担った PwC あらた監査法人への聴取を始めたことがわかった。 決算には「限定付き適正」の監査意見が付いており、監視委は聴取を踏まえ、金融商品取引法に基づく行政処分を金融庁に求めるかを決める。 関係者によると、監視委は聴取で、東芝が巨額の損失を認識した時期の特定を目指している。 会計ルールで、損失は認識した年度の決算に計上すると決められており、東芝が故意に先送りしていれば、有価証券報告書の虚偽記載にあたる。 東芝は昨年 12 月、WH が 2015 年 12 月に買収した建設会社の原発工事について数千億円の損失が発生する見通しだと発表。 今年 3 月期の決算で計約 6,500 億円分の損失を計上した。 これに対し、PwC あらたは買収時期を含む昨年 3 月期の決算に損失の大半を計上すべきだったと主張している。 東芝は 10 年と 12、13 年の 3 月期決算でパソコン部門の利益を水増ししたとして、15 年 12 月に金融庁から 73 億円の課徴金納付命令を受け、納付した。 監視委は今回の決算で重要な虚偽記載の疑いがあると判断すれば、立ち入り検査などを含む「開示検査」を経て、再度の行政処分を求める可能性がある。 (根津弥、酒本友紀子、asahi = 10-21-17) WD、東芝メモリ売却で新たな法的措置へ 国際仲裁裁に 東芝の半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐり、協業先の米ウエスタンデジタル (WD) は 26 日、国際仲裁裁判所に対し、売却手続きの暫定的な中止を近く求める方針を発表した。 日本の裁判所の仮処分に似た措置で、来年初めにも判断が示される見通しだ。 WD は 5 月に「協業契約違反」だとして売却の差し止めを申し立てたが、判断が出るまで 2 年ほどかかるとされる。 一方、東芝は今月 20 日に、東芝メモリの売却先を米ファンドのベインキャピタルが率いる「日米韓連合」に決め、来年 3 月末までに売却手続きを終える方針を発表している。 WD は早期の効果を求め、新たな法的措置に踏み切ることにした。 WD の主張が認められれば、東芝は来年 3 月末までに売却益を得られず、債務超過が続いて株式上場廃止になる見通しだ。 (asahi = 9-26-17) 米 WD、東芝のメモリー新棟投資差し止めを国際仲裁裁に申し立て 米ウエスタンデジタル (WD) は 20 日、東芝が三重県四日市市の半導体メモリー工場で進める増産投資を差し止めるよう国際商業会議所 (ICC) の国際仲裁裁判所に申し立てたと発表した。 東芝は 8 月に、フラッシュメモリーを製造する四日市工場の新たな第 6 製造棟の生産設備に単独で投資する計画を明らかにしているが、これに関し WD は、同工場で東芝と協業してきた子会社サンディスクによる投資を認めない限り、差し止めを請求するとしている。 WD は文書で、同社には共同で投資する権利があると主張した。 WD は東芝の半導体子会社「東芝メモリ (TMC)」売却計画についても、5 月に国際仲裁裁に差し止めを求めている。 東芝は 20 日、TMC の全株式を米系投資ファンドのベイン・キャピタルが主導する企業連合により組成される買収目的会社に売却することを決定している。 (Reuters = 9-21-17) 東芝半導体、日米韓連合に売却決定 2.4 兆円の見通し 東芝は 20 日午前、取締役会を開き、半導体子会社「東芝メモリ」の売却先を米投資ファンドのベインキャピタルが率いる「日米韓連合」に正式に決めた。 売却額は設備投資負担分も含めて 2.4 兆円の見通し。 来年 3 月末までに売却益を得て債務超過を解消し、株式上場を維持したい考えだ。 「日米韓連合」はほかに、大口顧客の米アップルや、韓国の半導体大手 SK ハイニックスなどが加わる。 光学機器メーカーの HOYA など日本企業も出資を検討。 東芝も出資し、雇用の維持などで影響力を残す考えだ。 議決権は日本勢が過半を握る方向。 政府系ファンドの産業革新機構と日本政策投資銀行は当初は加わらないが、後に出資して経営に関与する方針だ。 ただ、四日市工場(三重県四日市市)で半導体メモリーを共同生産する米ウエスタンデジタル (WD) は、第三者への売却を「協業契約違反」だとし、国際仲裁裁判所に差し止めを申し立てている。 この結果によっては、買収は白紙になりかねない。 革新機構と政投銀は、この係争が解決するまで出資を見合わせる。 東芝は 1 月、米国の原発事業で生じた巨額損失の穴埋めのため、利益の大半を稼ぐ半導体メモリー事業の売却方針を決定。 6 月に「日米韓連合」をいったん優先交渉先に選んだが、革新機構などが WD との係争の行方に懸念を深め、交渉が暗礁に乗り上げていた。その後は WD が加わる「新日米連合」と売却に向けて集中的に交渉したが、将来の経営に強く関与したい WD との対立が表面化した。 このため今月 13 日、再び「日米韓連合」を最有力候補として交渉する方針を決定。 革新機構が 19 日になって WD を外した「新日米連合」の修正案を示したが、将来の WD による東芝メモリへの関与を巡り不信感がぬぐえなかったもようだ。 売却先は決まったが、WD は今後も売却に強く反対し、係争は続く見通し。 同業の韓国 SK への売却で、各国の独占禁止法の審査が長期化する可能性もある。 (asahi = 9-20-17) 東芝半導体売却、アップル合流の日米韓連合と本格交渉へ 東芝は 13 日、取締役会を開き、半導体子会社「東芝メモリ」の売却先について、米ファンドのベインキャピタルが主導する「日米韓連合」と本格的に交渉することを承認した。 今月下旬までの決着をめざす。 協業先の米半導体大手ウエスタンデジタル (WD) が加わる「新日米連合」を有力候補としてきたが交渉が難航し、方針転換する。 買い手の候補は、ベインの「日米韓連合」、米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ (KKR) も加わる「新日米連合」、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の計 3 陣営。 政府系ファンドの産業革新機構と日本政策投資銀行は、「新日米」か「日米韓」に加わる。 東芝は WD 側と集中的に協議してきたが、WD による東芝メモリの経営関与をめぐって折り合えず、膠着状態となっていた。 一方、「日米韓連合」は最近になって、米アップルも加わる新たな案を提示して巻き返しを図った。 東芝は、「日米韓連合」を最有力候補としつつも、ほかの 2 陣営との協議も続ける方針だ。 協議が行き詰まる WD から、より有利な譲歩案を引き出したいねらいもある。 最終局面でもスムーズに売却が決まるかどうか不透明だ。 (asahi = 9-13-17) 東芝、岩手・北上に半導体製造工場 2018 年に建設 東芝は 6 日、半導体子会社「東芝メモリ」の新しい拠点を、岩手県北上市に決定し、具体的な準備作業に入ると発表した。 2018 年に、北上工業団地エリアに半導体製造工場の新棟を建設する。 今後、用地拡張に関する調査や地元の岩手県、北上市との調整をおこなう。 四日市工場(三重県四日市市)で、協業している米半導体大手ウエスタンデジタル (WD) 傘下のサンディスク社が、北上工場でも共同生産するかどうかは、今後、協議する。 (asahi = 9-6-179 東芝、WD へ強い警戒感 アップル参加案で揺れる 東芝は 31 日、半導体子会社「東芝メモリ」の売却をめぐって取締役会を開いた。 協業先の米ウエスタンデジタル (WD) などでつくる「新日米連合」との交渉継続を確認したが、契約締結は 9 月以降に見送った。 東芝社内に WD への強い警戒感があるためだ。 再建を支える取引銀行が求めた 8 月中の締結を守れず、上場維持も危うくなりつつある。 「交渉先を特定の陣営に絞り込んだことはなく、3 陣営との交渉を継続しています。」 東芝はこの日の取締役会後、こんなコメントを発表した。 新日米連合に加え、米投資ファンドのベインキャピタルなどの「日米韓連合」や、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業側とも協議を続けるとわざわざ記した。 取締役会までに WD 側と契約締結のめどをつけるはずだった。 今週に入り、米国から WD のスティーブ・ミリガン CEO (最高経営責任者)が来日。 東芝の綱川智社長と会談し、最終的な協議を続けてきた。 だが、東芝社内では、裁判所に東芝メモリの売却差し止めを申し立てるなど強硬策を振りかざす WD に警戒感が強い。 銀行や経済産業省に迫られ、WD 連合との大筋合意を余儀なくされたのが実態だった。 東芝幹部は「将来、WD の発言権が強まれば、社員は大量に辞める」と心配する。 東芝メモリは、営業利益の 9 割を稼ぎ出す。 原発事業の巨額損失の穴埋めで切り売りされることに、半導体事業に近い社員ほど不満を募らせている。 (asahi = 9-1-17) |