シャープ、JDI、鴻海まで! 液晶総崩れの悲惨 液晶パネルメーカーが総崩れの状況に陥っている。 国内大手のシャープやジャパンディスプレイだけでなく、シャープの親会社になった台湾・鴻海精密工業(ホンハイ)の傘下企業など海外勢も価格下落による赤字に苦しみ始めた。 8 月 12 日。 台湾の電子機器受託製造サービス大手、鴻海精密工業(ホンハイ)からの出資が完了したこの日の午前、シャープではある "事件" が起きていた。 自らの退任と取締役の辞任を機関決定した後、大阪市の旧本社ビルの 2 階個室から出てきた高橋興三前社長は、社員たちへ最後のあいさつもないままに、社用車に乗り込み、午前中にそのまま帰ってしまったのだ。 「後のことは知らん」と言わんばかりに、会社を去っていくその姿を見聞きした社員たちは、怒りを通り越して、もはや「ネタとして笑うしかなかった」という。 「もう何もしなくていいですから。」 出資契約をした 4 月以降、高橋氏はホンハイからそうクギを刺され、7 月末にあった四半期決算の会見にすら姿を見せなかった。 だが、惨憺たる業績の言い訳をしなくて済んだだけ、本人にとっては好都合だったかもしれない。 シャープの 2016 年 4 - 6 月期の連結最終損益は、274 億円の赤字。 肝心の液晶事業の売上高は前年同期比で実に 37% も減少。 営業赤字は 107 億円にも上った。 特に米アップルの iPhone をはじめとした、スマートフォン向けの液晶パネルの出荷が減少していることが打撃になった。 それに加えて、足元でシャープを苦しめ始めたのが、第 10 世代と呼ばれる世界最大の液晶工場を持つ、堺ディスプレイプロダクト (SDP) の大幅赤字だ。 SDP は、シャープから 37.61% の出資を受けており、持ち分法適用会社になっている。 その SDP がテレビ向けパネルの受注減少と、円高の影響によって 300 億円超(推計)の最終赤字に転落したことで、116 億円の持ち分法投資損失を被ったのだ。 SDP の赤字は、単なる災難では済まされない。 12 年から SDP に出資し、運営の主導権を握ってきたホンハイにとって、「これまで黒字を維持(ホンハイの郭台銘会長)」してきたことが、シャープの液晶事業も再建できるという主張のよりどころになっていたからだ。 そのロジックがここにきて、完全に崩れてしまったわけだ。 さらに言えば SDP だけでなく、ホンハイ傘下の液晶大手、群創光電(イノラックス)も業績不振に陥っている。 中国勢などとの価格競争が激化し、16 年 4 - 6 月期に 34 億台湾ドル(約 111 億円)の最終赤字を計上したのだ。 (中村正毅、Diamond online = 8-22-16) 鴻海、シャープの買収手続き完了 戴正呉氏が社長に シャープは 12 日午後、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が 3,888 億円でシャープの株式を取得したと発表した。 鴻海はシャープの議決権の約 66% を握る親会社となり、買収手続きが完了した。 日本の電機大手が外資の傘下に入るのは初めてだ。 シャープの高橋興三社長は 12 日付で退任する。 鴻海の戴正呉・副総裁が社長に就く新しい経営体制が 13 日にできる。 シャープは 2016 年 3 月末時点で、資産をすべて売っても借金などの負債が返せない「債務超過」に陥った。 鴻海からお金が入り、債務超過は解消したことになる。 シャープは資金を新製品の開発などにまわし、経営の効率化も進めて再建をめざす。 (新宅あゆみ、asahi = 8-12-16) シャープ、純損益 274 億円の赤字 債務超過額は拡大 経営再建中のシャープの業績は、今年度に入っても厳しい状況が続いている。 29 日発表した 2016 年 4 - 6 月期決算は、最終的なもうけを示す純損益が 274 億円の赤字(前年同期は 339 億円の赤字)だった。 赤字は 7 四半期連続だ。 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されることが決まっているが、手続きは遅れている。 売上高は前年同期比 31.5% 減の 4,233 億円、本業のもうけとなる営業損益は 25 億円の赤字(前年同期は 287 億円の赤字)だった。 米アップル向け液晶パネルなどの販売が落ち込んだ。 太陽電池の原材料をめぐる追加の損失もあった。 シャープは 3 月末で、資産をすべて売っても借金などの負債が返せない「債務超過」に陥っている。 4 - 6 月期の純損益の赤字を受けて 6 月末の債務超過額は 750 億円と、3 月末の 312 億円から拡大した。 シャープは鴻海から約 3,888 億円の出資を受けることで、債務超過の解消をめざす。 だが当初 6 月中を見込んでいた出資完了の時期はずれ込んでいる。 独占禁止法を巡る中国当局の承認審査が長引いているためだという。 (新宅あゆみ、asahi = 7-29-16) シャープ、モンゴルでメガソーラー参入 12 月運転開始 シャープは 19 日、モンゴルで大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業に参入すると発表した。 7 月下旬に着工し、12 月に商業運転を始める予定。 同社が海外でメガソーラーの運営に携わるのは初めて。 金沢市の重光商事と現地企業の 3 社でこの日、現地で契約に調印した。 発電所はモンゴル北部・ダルハン市につくり、年間の予測発電量は 2 万世帯相当の約 1 万 4 千メガワット時。 総事業費は約 20 億円とみられる。 発電した電気を変換する機器を屋内に設置するなど、寒さや積雪といった現地の気候条件にも対応する。 日本の技術で途上国の二酸化炭素排出量を削減する「二国間クレジット制度」を使い、環境省から初期投資の最大 2 分の 1 の補助を受ける。 シャープはこれまでインドやタイなどでメガソーラーの建設や関連機器の納入をしてきたが、太陽電池事業は 2016 年 3 月期決算で 184 億円の営業赤字だった。 ここ数年は欧米での販売を縮小してきたが、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の出資を得た後は、再び海外事業に力を入れることにしており、他のアジア諸国で展開するためのノウハウを蓄積するねらいもある。 (新宅あゆみ、asahi = 7-20-16) シャープ、世界で 7 千人削減の可能性 鴻海副総裁認める 鴻海(ホンハイ)精密工業の副総裁でシャープの次期社長になる戴正呉氏は 22 日、シャープの人員を世界で 7 千人程度減らす可能性があることを認めた。 台湾・新北市であった鴻海の株主総会後に、「全世界で 7 千人の人員削減をする可能性があるか」との質問に対し、「可能性はある。 シャープはこれまで信賞必罰の制度がなく改善したい。」と述べた。 シャープは 5 月に最大 7 千人程度の人員削減をするとした資料を一時開示したが、「事務的なミスだった」として後から否定していた。 (台湾・新北 = 新宅あゆみ、asahi = 6-22-16) シャープ、最大 7 千人の削減検討 「雇用守る」鴻海一転 シャープで大規模な人員削減が検討されている。買収する台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は、雇用を守るとしてきた方針を事実上転換した。 削減数は国内の従業員で2千人前後、海外を含むグループ全体では7千人前後になる可能性がある。 「やはり人員の削減はすべきであると考えています。」 鴻海の郭台銘会長と、シャープの次期社長に内定した戴正呉副総裁は連名で12日、社員にこんなメッセージを送った。 シャープは同日、2016年3月期決算で2559億円の純損益の赤字となり、債務超過に陥ったことを発表していた。 文面では「自ら出資する者として真剣にシャープの経営状況を見た」として、業務の重複や非効率な運営が経営を圧迫していると指摘し、「痛みを伴う構造改革」の必要性を訴えた。 郭会長や戴副総裁は会見などはしておらず、詳しい意図はわからない。 「成果を出した人にはしっかり報いる制度を導入したい」ともしていて、社員に危機感を持たせつつ、やる気も促す狙いがあったとみられる。 (新宅あゆみ、伊沢友之、asahi = 5-17-16) シャープ社長、戴氏で調整 鴻海ナンバー 2 で郭会長側近 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業による買収が決まっているシャープが、鴻海の戴正呉副総裁を次期社長に迎える方向で調整していることが 12 日、わかった。 6 月下旬以降に鴻海が予定する出資を終えた後に就く見通し。 高橋興三社長は退任し、業績悪化の責任を示す。 シャープは 12 日午後、2016 年 3 月期決算を発表する。 純損益は 3 千億円前後の赤字となる見込みで、2 期連続で 2 千億円を超える巨額の赤字を計上する。 新経営陣は決算と合わせて発表する予定だ。 戴氏は鴻海のナンバー 2 で、郭台銘会長の信頼が厚い側近の一人。 日本語も堪能だ。 シャープは、中国の家電大手ハイアールグループの「アクア」前社長、伊藤嘉明氏 (46) ら外部人材の社長起用も検討していた。 (asahi = 5-12-16) シャープが大幅安 「債務超過」報道で 2 部指定替えを意識か シャープが大幅安。 10 時時点では前日比 12 円 (8.5%) 安の 129 円まで売られ、25 日移動平均線(135 円)を大きく割り込んでいる。 3 日付日本経済新聞が「業績悪化に伴い前 2016 年 3 月末時点で債務超過に陥った公算が大きい」などと報道し、これが売り材料になっているもよう。 東証の上場規定では債務超過企業は 1 部から 2 部に指定変更となる。 1 部から外れれば、TOPIX、日経平均の採用銘柄からも外れることになり、両指数に連動する ETF や投資信託の買い需要が見込めなくなる。 これがネガティブに取られているようだ。 日経報道によると、16 年 3 月期の連結最終損益は 3,000 億円規模の赤字(前期は 2,223 億円の赤字)になったという。 主力の液晶パネル事業の低迷に加え、製品の在庫評価損など特別損失が膨らんだ。 これに伴い、3 月末時点では債務超過になった可能性が高いという。 (asahi = 5-6-16) シャープ、最大 2 千人削減検討 本社、堺工場に移転も シャープが、太陽電池事業や本社の管理部門を中心に人員を減らすなど、合理化を検討していることがわかった。 グループ全体での削減規模は、国内に約 2 万人いる社員の 1 割程度の 2 千人に上る可能性がある。 大阪市阿倍野区の本社は、堺市の工場に移る方向だ。 シャープは台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されることが決まっているが、中国の景気減速もあって足もとの業績は悪化している。 2016 年 3 月期は、最終的なもうけを示す純損益が 2 千億円を大きく超える赤字になりそうだ。 12 年と 15 年の希望退職で計約 6 千人が辞めるなど、これまでも人員を減らしてきたが、一層の削減に取り組む。社内には事業活動に影響が出るとして、慎重論もある。 複数のシャープ関係者によると太陽電池の販売が落ち込んで、堺市の工場の生産が低迷。 鴻海は太陽電池事業の抜本的な見直しを求めており、大幅に縮小するとみられる。 (新宅あゆみ、山村哲史、asahi = 5-1-16) 鴻海、3,888 億円でシャープ買収 来月 2 日に正式契約 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は 30 日、現地で会見し、総額 3,888 億円でシャープを買収すると発表した。 シャープも同日の取締役会で買収の受け入れを決議した。 日本の大手電機メーカーとして初めて外資系企業の傘下に入る。 両社は 4 月 2 日に正式に契約し、大阪で記者会見する。 シャープは 30 日、2016 年 3 月期の業績予想を引き下げ、営業損益が 100 億円の黒字から 1,700 億円の赤字になると発表した。 純損益の予想は公表していない。 (asahi = 3-30-16) シャープと鴻海、月内にも契約 主力銀行が追加支援決定 シャープの主力取引銀行の三菱東京 UFJ 銀行は 28 日、追加の金融支援を決めた。 みずほ銀行とそれぞれ 1,500 億円、計 3 千億円の新たな融資枠を設ける。 シャープが台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入るには追加支援が前提となっていた。 シャープと鴻海の交渉はほぼまとまり 30 日に双方の取締役会で決議し、31 日にも正式契約する方向だ。 シャープは 2 月 25 日に傘下入りを取締役会で決議したが、鴻海は契約を保留。 鴻海は企業価値が想定より下がっているとして、買収条件の見直しを要求していた。 4,890 億円だった出資額を 1 千億円ほど引き下げたい意向だ。 主力行には、新たな融資枠や金利の引き下げといった追加の金融支援を求めている。 関係者によると、シャープは 30 日に臨時取締役会を開いて、鴻海の見直し案の受け入れを決議する方針だ。 出資額を減らすため、鴻海の 1 株あたりの買い取り額を引き下げる方向で調整している。 鴻海がシャープの議決権の 66% を握り、契約時には 1 千億円の保証金を支払うという買収の枠組みは維持する。 シャープと鴻海の交渉が進んだことを受けて、主力行も追加の金融支援に踏み切る。 三菱東京 UFJ 銀行は 28 日の経営会議で決めた。 みずほ銀行も 30 日に決める。 主力銀行などは当面の資金繰りにも協力する方針で、3 月末で借換期限を迎える融資枠も延長する。 (asahi = 3-29-16) シャープへ出資、最大 2,000 億円減 … 鴻海打診、機構の 3,000 億円下回る 週内にも可否判断 鴻海 経営再建中のシャープを買収する交渉を進めている台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業が、当初予定で 4,890 億円だった出資額を最大で 2 千億円減額する意向をシャープに打診していることが 22 日、関係者の話で分かった。 鴻海の出資額は官民ファンドの産業革新機構が提示していた 3 千億円を下回ることになる。 シャープは週内にも臨時取締役会を開き、減額についての受け入れ可否を判断する。 シャープは交渉の大幅な見直しを迫られることになった。 鴻海が求める減額幅は 500 億 - 1 千億円程度とみられていたが、さらに拡大した。 減額する場合は普通株で 1 株 118 円とした買い取り価格の引き下げを検討。 鴻海が議決権の過半を握り、買収する枠組みは維持するとみられる。 鴻海は主力取引銀行のみずほ銀行、三菱東京 UFJ 銀行に対しても 3 千億円の融資を要求。 今月末にシャープが返済期限を迎える 5,100 億円の融資については、借り換え後に金利を引き下げるよう求めている。 優先株の購入は予定通り行う見通しだ。 主力行は融資枠の金利引き下げには難色を示しており、関係者の意思決定を経ての調印は 4 月にずれ込む可能性が高まっている。 このため、5,100 億円の返済期限を 1 - 3 カ月猶予することも検討する。 シャープは 2 月 25 日の臨時取締役会で、鴻海の傘下に入ることを決定した。 しかし、前日の 24 日に鴻海へ提出した、訴訟の結果などによって将来発生する恐れのある財務リスクの「偶発債務」が問題視され、鴻海は調印を保留していた。 偶発債務は最大で 3 千億円とされ、シャープの財務リスクを警戒した鴻海はシャープと主力行にさらに負担を迫る展開。 買収が破談になった場合に備えた 1 千億円の保証金についても、鴻海は支払いを拒否する姿勢を示している。 (sankei = 3-22-16) シャープ買収、鴻海「契約しばらく保留」 内容を精査へ シャープは 25 日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入って、再建をめざすと正式に発表した。 同日の臨時取締役会で決議した。 鴻海グループはシャープが新たに発行する株式を 4,890 億円で取得し、議決権ベースで 66.07% を握る予定だ。 ほかにも銀行が持つ株式などを買い取るため、支援額は 6 千億円を超える見通し。 実現すれば、日本の大手電機メーカーが外資に買収される初の事例となる。 鴻海は 25 日、新たに重要な文書をシャープから 24 日に受け取ったとの声明を出した。 内容を精査する必要があり、合意に達するまでしばらく契約を見合わせるとの考えを伝えたという。 「できるだけ早く精査を終え、今回の取引が円満な結果につながることを期待している」とし、シャープとの契約がいつ結ばれるのかは未定だ。 シャープの発表によると、鴻海とグループ企業に第三者割当増資を行う。 6 月の株主総会で承認されることが前提で、9 月 5 日までに資金を受け取る。 (asahi = 2-25-16) 鴻海、シャープから 3,500 億円の債務リスト 米紙報道 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は 25 日、関係者の話として、鴻海精密工業がシャープから 24 日に約 3,500 億円の潜在的な債務のリストを受け取った、と報じた。 リストには約 100 項目の債務が載っているという。 鴻海側はリストを精査し、契約を締結するか決めるという。 シャープ広報部は 25 日夜、朝日新聞の取材に「コメントを控える」とした。 (asahi = 2-25-16) シャープ再建、鴻海に決定 株式の過半数取得へ シャープは 25 日午前、取締役会を開き、経営再建のため台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業から支援を受けることを、全会一致で正式に決めた。 政府系ファンドの産業革新機構とも交渉していたが、支援規模などで上回る鴻海の方が再建可能性が高いと判断した。 鴻海グループは約 5 千億円でシャープの株式の過半数を取得し、事実上買収する。 国内の大手電機メーカーが、外資の傘下に入るのは初めて。 鴻海は電子機器の受託製造で世界最大手。 大型液晶パネルをつくっているシャープの堺工場に出資して、立て直した実績がある。 7 千億円規模の支援額を用意し、シャープを買収することで、液晶の技術力を取り込みたい考えだ。 シャープは、資金力と世界的なネットワークがある鴻海に支援してもらうことで、経営の安定をめざす。 共同で商品開発などにも取り組む考えだ。 革新機構の案では、液晶や家電事業をライバルと再編することが前提だった。 このため鴻海の方が、会社を一体的に再建できると判断したとみられる。 支援してくれるところを探していたシャープは、交渉相手を鴻海と革新機構に絞り、鴻海を優先して検討していた。 5 日には郭台銘会長がシャープ本社を訪れ、高橋興三社長らと契約内容について直接交渉。 シャープ幹部も台湾に行って、条件などの確認を急いでいた。 鴻海は家電などの事業をできるだけ残すことを示している。 支援受け入れが正式に決まった段階で、1 千億円を先に投入する方向だ。 液晶の特許技術が他社に渡らないように契約条件でも配慮するなど、シャープ側の要望を大筋で受け入れた模様だ。 (asahi = 2-25-16) シャープ、鴻海と優先交渉 6 千億円超、傘下で再建へ 経営再建のため支援先を探しているシャープは 4 日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と優先的に交渉することを決めた。 鴻海傘下で再建をめざす方向だ。 政府系ファンドの産業革新機構との交渉も続けるが、高橋興三社長は会見で「鴻海からの提案に最も人を割いて分析している」と述べた。 今後 1 カ月をめどに条件などを詰めて結論を出す。 同日午前にあった取締役会で議論し、最終決定には至らなかったものの、鴻海の提案を中心に検討することにした。 鴻海はシャープを 6 千億円を超える金額で事実上買収する案を出している。 実現すれば外資系による日本の大手メーカー買収としては、前例のない規模になる。 当初は鴻海よりも革新機構の案が有力だとされてきた。 革新機構が 3 千億円を出資し、主力取引 2 銀行が 3,500 億円程度の金融支援をする内容だった。 液晶事業はシャープから切り離し、「ジャパンディスプレイ (JDI)」と統合させようとしていた。 ほかにも東芝と家電事業を統合するなど、様々な事業を分割していく構想もあった。 液晶技術の海外流出を懸念する経済産業省は、革新機構の案を支援していた。 しかし、鴻海の郭台銘会長が 1 月 30 日に大阪市内のシャープ本社を訪れ、再建策を直接説明したころから潮目が変わり始めた。 郭会長は、買収額を引き上げたうえで家電などの事業を当面売却せず、雇用も維持することを伝えた。 主力銀行が持つ計 2 千億円の優先株も買い取る方針だとされる。 関係者によると、内容を聞いた社外取締役らを中心に、資金面で勝る鴻海案に傾いていったという。 革新機構の案では、液晶事業を JDI と統合すると、市場シェアが高くなりすぎ、国内外の当局の審査に時間がかかる恐れもあった。 シャープ内部からも、液晶や家電など事業ごとに解体される可能性への反発もあった。 シャープは業績の悪化に歯止めがかかっていない。 4 日に発表した 2015 年 4 - 12 月期決算でも、本業のもうけを示す営業損益は 290 億円の赤字で、純損益も 1,083 億円の赤字だった。 今年 3 月末には多額の融資の返済期限がくることもあり、新しい再建策を早くつくる必要に迫られていた。 このため鴻海との交渉を急ぎ、銀行側の理解も得たい考えだ。 鴻海との協議が決裂するリスクも残るため、革新機構との調整も続けていく。 (asahi = 2-4-16)
シャープの太陽電池事業、昭和シェル系と統合 革新機構検討 官民ファンドの産業革新機構がシャープの再建策として、同社の太陽電池事業と昭和シェル石油の太陽電池子会社を統合する検討に入った。 シャープの太陽電池事業は液晶事業とともに収益が低迷し、業績不振の大きな要因となっていた。 革新機構はシャープ本体に出資したうえで業界再編を進めて経営立て直しを狙う。 東芝の白物家電などとの事業統合を含めて幅広い分野で再建していく。 革新機構は 30 日、シャープ本体に対する 3 千億円の出資などを柱とする支援策を同社に提示した。 これを受け、同社経営陣は革新機構案について協議しており、2 月 4 日にも受け入れを表明する可能性がある。 革新機構は国内産業の競争力向上につなげることを前提に再建案作りを進めている。 太陽電池の国内大手の昭シェル子会社、ソーラーフロンティア(東京・港)との事業統合を重要な成長策の一つとして調整していく。 シャープは太陽電池の国内首位で、2015 年 3 月期の同事業の売上高は 2,708 億円、営業損益は 626 億円の赤字だった。 太陽電池の販売価格の下落に加え、電池原料の評価損を計上するなど収益悪化の大きな原因になっていた。 ソーラーフロンティアも大規模太陽光発電所(メガソーラー)向けの需要の落ち込みで収益環境は厳しい。 ただ、両社には発電効率の高さなど強みとする技術がある。 また、シャープは住宅向け、ソーラーフロンティアはメガソーラー向けが主力で、相互補完も見込める。 昭シェル側はシャープ側のリストラの徹底などを条件に協議に臨むようだ。 革新機構はシャープ本体への出資で株式の過半を取得するとともに、液晶事業などで業界再編を進めたい考えだ。 特に東芝とは白物家電に加え、POS (販売時点情報管理)システム事業の統合も視野に入れている。 シャープは革新機構の提案について主取引先金融機関と協議し、2 月中の正式決定を目指している。 (nikkei = 1-31-16) シャープ再建、機構案で 経営陣、退任見通し 銀行最終調整 経営再建中のシャープの支援で、政府系ファンド産業革新機構の提案が受け入れられる方向になった。 主力取引銀行 2 行が最終調整している。 革新機構を上回る資金額を示した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の案よりも、受け入れ後の成長戦略の実現性が高いと判断した。 支援と引き換えに、シャープのおもな経営陣は退任を迫られる見通しだ。 支援をめぐっては、革新機構が 3 千億円規模、鴻海が 6 千億円超の支援案をそれぞれ示していた。 シャープへの融資が多いみずほ銀行、三菱東京 UFJ 銀行の 2 行が主導権を握り、スポンサー選びを続けている。 革新機構の提案は、シャープ本体に 3 千億円規模を出資。不振の液晶事業を本体から切り離し、革新機構が出資する別の液晶大手、ジャパンディスプレイと統合させるものだ。 シャープが手がける洗濯機や冷蔵庫などの白物家電事業を、東芝の白物家電事業と統合させる構想も練っている。 鴻海はシャープ全体を支える提案の一方、シャープの強みである省電力に優れた液晶技術を海外に持ち出せることなども条件にしたとみられる。 2 行は、全体より事業ごとの再建をめざす革新機構案の実現性が高いと判断。 さらに、政府の意向を受けた革新機構のもとで、先端技術の流出を防ぐことに傾いたようだ。 2 行は、昨年 6 月、シャープへの融資 2 千億円を返済義務のない株式に振り替えた。 革新機構は今回、2 行に対し、この株式 2 千億円分を放棄したうえで、融資 1,500 億円を株式に振り替える追加支援を求めた。 2 行はシャープ経営陣の退任を条件に株式の放棄に応じる意向だが、追加支援額はまだ交渉している。 (asahi = 1-27-16) シャープ、追加支援要請へ 取引行に 1,500 億円規模 経営再建中のシャープは、主力取引銀行に 1,500 億円規模の追加金融支援を求める方針を固めた。 不振を招いた液晶事業は社外に切り離し、本体に残る白物家電事業は東芝との統合も検討する。 政府系ファンドの産業革新機構の主導で再建を進めるねらいで、機構から 2 千億円規模の出資を仰ぐ案が出ている。 シャープは、主力行のみずほ銀行や三菱東京 UFJ 銀行などに計約 7 千億円の借入金がある。 このうち 1,500 億円を、返済の必要がない株式に振り替えるように両行との間で協議している。 両行は昨年 6 月にも同様な方法で、計 2 千億円を株式に振り替えた。 経営再建のため、追加の支援が必要だと判断した。 金融支援を受けつつ、液晶事業は社外に切り離して新会社をつくる方針。 新会社と、革新機構が出資する液晶大手ジャパンディスプレイとを統合する方向だ。 (asahi = 1-11-16) シャープ終値、昨年末の半値以下 再建に厳しい市場の目 経営不振のシャープは、政府系投資ファンドの産業革新機構から支援を受けるために交渉をしている。 機構のもとで立て直したい方針だが、足もとの業績は悪化していて再建の道筋は定まらない。 株価は低迷し、今年は一時、50 年ぶりの水準にまで値下がりした。 株式市場は再建の実現性を厳しく見つめている。 シャープ株は 30 日の東京株式市場で、前日より 5 円高い 125 円で取引を終えた。 2014 年末の 268 円より半値以下で、「会社の値段」の目安になる時価総額は 2,126 億円となっている。 16 年 3 月期の純損益は 1 千億円超の赤字が見込まれ、業績は改善していない。 今年は一時、1965 年 11 月以来となる 100 円台まで下落した。 再建の方向性は固まりつつある。 主力の液晶事業は巨額赤字の原因になっているためシャープ本体から切り離し、革新機構が大株主の液晶大手ジャパンディスプレイと統合させる方向だ。 機構も検討を始めたことを認めていて、金額などの条件を詰めている。 (山村哲史、asahi = 12-31-15) 苦戦するテレビ事業、その原因と回復の道 家電メーカーの苦境を伝えるニュースが相次いでいます。 特に現在、シャープと東芝は厳しい状況に置かれています。 抱えている事業でみると、厳しいのはテレビです。 シャープ・東芝の経営再建では、テレビ事業をどうするか、が一つの焦点となっています。 東芝は 12 月 21 日に発表した経営再建策の中で、海外のテレビ販売・製造から完全撤退し、日本国内だけに向けた開発に絞ると発表しました。 この数年、テレビは業績の悪いジャンルになってきました。 もはや、すっかり「テレビは家電事業のお荷物」になったように見えます。 「テレビをやっているから経営状態が改善しない」とする意見を、新聞などで見聞きした人も少なくないでしょう。 けれど、テレビはずっと家電の花形でした。 それが、なぜここまで悪者にされるほどになってしまったのでしょうか? 一方で、市場には 4K テレビが登場し、人気となっています。 新しい製品が支持される一方で、まるでお荷物のように扱われる。 このちぐはぐさは何でしょう。 テレビが置かれた不可思議な状況を理解するには、2011 年になにが起きたかを理解する必要があります。 ■ 「需要の先食い」で崩壊したテレビビジネス テレビがなぜここまで厳しいビジネスになったのか? 結論から言えば「需要の先食い」です。 一般社団法人「電気情報技術産業協会 (JEITA)」が毎月発表している、「民生用電子機器国内出荷統計」で、薄型テレビの生産数を取り出してみると、2011 年に向けて大きく盛り上がり、2011 年 7 月を境に一気に落ち込み、その後、低い水準で横ばいになっています。 2011 年以降テレビがまったく売れなくなり、台数的に低い水準に落ち着いてしまったことが、テレビを作る家電メーカーにとって痛手になりました。 2011 年 7 月になにがあったのか? みなさんも覚えていらっしゃるはずです。 地上デジタル放送への切り替えです。 地デジに切り替えになると、これまでのテレビでは、そのままでは受信できなくなります。 そのため、家庭のテレビをこの時期までに置き換える必要が出てきました。 まだテレビを買い替える時期でない家庭でも、2011 年 7 月に合わせてテレビを買い替えたわけで、その結果、大量の駆け込み需要が生まれました。 逆に、この時期に皆が買い替えたということは、数年間分の「買い替え需要」を先食いした、ということになります。 テレビや冷蔵庫など、生活に必須で大型の家電製品には、一定の「季節需要」があります。 故障のほか、引っ越しや結婚など、大きな生活の変化に伴い、必ず一定数が売れるわけです。 しかし、特に故障などが関わる分については、2011 年 7 月までに先に消費されているので、落ち込みはより急速なものになったわけです。 数が減っただけではありません。 その後に、数が回復しないことが問題です。 同じデータから「29 型以下」の比較的小さなものと、「37 型以上」の大型のものを抽出し比較すると、大型のものはゆっくりと数が戻ってきているのに対し、29 型以下はいまだ数が増えません。 それどころか、大型テレビに数を抜かれています。 冷静に考えると、これはなかなか厳しいことです。 どんな製品でも、安価なものは高価なものよりたくさん売れます。 テレビについても、安価な小型テレビはより多くの数が販売され、テレビ事業全体を支えてきました。 しかし、その数が増えてこないため、各社のテレビ事業は厳しいまま、ともいえるのです。 小さなテレビが売れない、というのはどういうことを示しているのでしょうか? それは「個室のテレビ」がなくなっている、ということです。 テレビはまず「一家に一台」として普及してきました。 そして、その後、「一部屋に一台」の勢いに変わりました。 これが、2000 年代まで続いたテレビ事業拡大の背景です。 一方、2011 年以降、テレビを買い替えるとなったときに、「一部屋に一台」とはいかなくなっています。 小さなテレビのほとんどは、リビング用ではなく個室用です。 小型テレビが売れないということは、個室用テレビのニーズが失われている、ということでもあります。 我々の手には、パソコンもスマートフォンもあります。 個室で余暇を過ごすための選択肢は増えました。 テレビだけに頼る必要はなくなったのです。 ■ 「数を求める」ビジネスが回らない不幸 数が減ると一般に生産効率は落ちますが、特にテレビというビジネスには著しい影響があります。 問題は「液晶パネル」です。 液晶テレビにおいて、コストの大半を占めるのは液晶パネルです。 そしてテレビとしての品質に関しても、パネルが大きな価値を持ちます。 テレビがどんどん売れる時期には、そこに向けて液晶パネル工場をフルに稼働させる必要がありました。 実際、2011 年には、各社のテレビ製造と販売のキャパシティーは満杯で、作れば売れるような状況であった、ともいえます。 ところが、問題はその後にあります。 市場でのニーズが下がった後も、工場は存在します。 工場は存続するだけで多額のコストが必要になるため、常に「生産し、消費し続ける」ことが重要です。 しかし、テレビ用液晶パネルについては、世界的に需要が伸び悩んでおり、工場のキャパシティーを埋めるのが難しい時期になってきています。 韓国や中国のパネルメーカーと戦い、テレビメーカーからの受注を勝ち取らねば工場のキャパシティーを埋めることはできないのですが、価格競争が厳しく、簡単なことではありません。 液晶全体の需要でいえば、スマートフォン用やタブレット用もありますが、テレビ用の設備の切り替えもすぐにはできませんし、コストもかかります。 テレビの液晶、という点については、シャープに起きた苦境はこのように説明できます。 同時に、スマートフォン向けの液晶でも競争が激化して価格が下がった上に、競争力が落ちて生産量を確保できなかったことが、会社全体に大きなダメージを与えました。 日本は、家電の消費地としては世界有数の市場です。 テレビにおいて、日本で「数」を求める動きが減っていくと、世界全体でのテレビのニーズも落ちます。 良いテレビを作るには、高品質な液晶パネルを大量調達し、1 枚あたりのコストを下げる必要があるのですが、現状でそれを実現するためには、日本以外でのニーズを拡大する必要があるわけです。 しかし、そのためには、海外での販路を持ち、生産設備を持つことが必要。 それができるメーカーは限られています。 中国やアジアなどの価格重視の国で戦うのは厳しく、アメリカやヨーロッパでも戦うのは簡単ではありません。 過去、日本には多数のテレビメーカーがありましたが、2015 年現在、世界で戦っている日本メーカーはソニーとパナソニックの 2 社になってしまいました。 ■ 地デジ特需後に失われた「個室テレビ」需要 テレビの苦境の原因は需要の先食いである、とお話ししました。 ただし、それはあくまでも「売る側の事情」でしかありません。 消費者目線でいえば、2011 年 7 月以降にきちんとした需要を作ることができなかったのがテレビビジネスの問題、ともいえます。 すでに述べたように、テレビの販売量が戻らなかったのは、主に個室向けのテレビの需要が戻っていないためです。 スマートフォンやパソコンが存在する現在、テレビの価値が下がっているため、テレビビジネスが拡大していない … ともいえるでしょう。 2000 年代後半から 2013 年ごろまで、デジタルテレビは地デジニーズを中心に開発が進んできました。 当初の製品と現在のものとでは、画質や価格は大きく変化しています。 しかし、その軸はあくまでも画質であり、テレビの「使い方」を変えるような要素はほとんどありませんでした。 機能や使い勝手で大きな変化をもたらすようなものを作るよりも、価格を下げることのほうが重視されたのです。 特に 2011 年ごろは、数に対するニーズが多かったため、店頭でも特別な説明がいらないもの、すなわち「画質が良くて値段が安い」ことだけが求められました。 その結果、テレビはあまり大きな革新が起きない製品になっていきました。 スマートフォンが生活を大きく変え、特に若い世代にとっては必須のものになっていく一方で、テレビには、番組の面でも機器の面でも、大きな変化は生まれていません。 2011 年に向けて需要の先食いがおき、その後に大きく落ち込むことは、事前に容易に予想できたことでした。 しかし、そこでテレビメーカーは有効な手を打つことができませんでした。 テレビメーカーの苦境は、その視点でいうならば、ある意味で「自滅」です。 個人向けの機器としては、テレビではスマートフォンに対抗しきれず、「個室にテレビが必須」と考えてもらえなかったことに問題があります。 ■ 「高画質」に戻るニーズ、失うにはあまりに貴重な存在 一方で、「テレビはもう、まったく見るべきところのないビジネス」と考えるのも間違っている、と筆者は考えます。 既にお話しした通り、37 型以上の大型テレビが数を増やしており、すでに 29 型以下を抜いています。 これ、冷静に考えるとすごいことなのです。 29 型と 37 型以上では、平均価格差は 10 万円近くあります。 高い製品は通常売れにくいのに、いま、高いテレビはきちんと売れているのです。 かといって、景気が改善しているわけでもない、ということはご存じの通り。 売れているのは、いわゆる「4K テレビ」です。 4K テレビは大画面かつ高画質であるのが特徴であり、そこが評価されて売れています。 先ほど、「高画質なだけでは個室向けテレビは売れなくなった」と書きました。 一見、4K テレビの好調と矛盾するようですが、そうではないのです。 個室での暇つぶしとしては、テレビよりもスマートフォンが優位になりました。 しかし一方で、「一家に一台」のテレビのニーズがなくなったわけではありません。 リビングでテレビ番組や映画を見る、というニーズに変化はないのです。 一家に一台のリビングのテレビについては、2000 年代後半にテレビを買った人の買い替えタイミングがやってきています。 そうした人々向けの製品としては、「いま持っているテレビよりも大きく、画質が良いもの」が求められますから、高品質な 4K テレビが売れるわけです。 一方、テレビは大量生産しなければビジネスにならない、という常識は少しずつ変化してきています。 今も低価格なテレビを大量に作る、というビジネスはあるものの、「高品質なテレビを、求められる層に届ける」形も成立しやすくなっています。 そして、高画質なテレビは、パネルがあればできるわけではありません。 液晶テレビでは、「バックライトの制御技術」、「液晶に流す映像を調整する技術」、「映像のノイズを除去する技術」、「解像度の低い映像を 4K にまで『超解像』する技術」などが必要になります。 例えば、液晶に映像を単純に流すだけでは、暗い部分の映像が見えにくくなります。 かといって、暗いところもよく見えるようにバックライトを単純に明るくすると、全体が明るくなりすぎますし、消費電力も高くなりすぎます。 高画質なテレビを作るためのノウハウは、一度失われると再び手にするのは難しいものです。 日本のメーカーはそうしたノウハウを持っていますし、4K の時代に向けて技術開発を積み重ねてもきました。 東芝のフラッグシップモデル、「REGZA Z20X シリーズ」はその代表格です。 液晶パネルなど、多くのパーツは他社から供給されたものですが、東芝が独自のノウハウを積み上げ、他社にはなかなか作れない製品に仕上げています。 一方で、他の事業での赤字があまりに大きく業績が厳しい企業にとっては、「うまくやって、やっとトントン程度」という利益の薄いテレビ事業は負担でしかない、ということなのでしょう。 海外ビジネスはもちろんのこと、日本国内だけでやっていく場合も、相当にうまいかじ取りが求められます。 「大画面テレビにふさわしい画質を実現するノウハウ」と、「世界に販売する能力」の両方を持った企業は、世界を見渡しても、少数の企業しかもっていません。 そのノウハウはうまく生かしてほしい、と筆者は願っています。 経営上のミスを糊塗するために、貴重なノウハウや人材が失われるのは、本末転倒なのでは、と思うのです。 (ライター・西田宗千佳、asahi = 12-24-15) |