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柏崎刈羽原発内施設の電源室から発火 社員が消火、けが人なし

東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で 1 日午前 10 時 45 分ごろ、構内の変電施設にある電源室で炎と煙が上がっているのを社員が発見し、119 番通報した。 初期消火で間もなく収まり、けが人や外部への放射能の影響はなかったという。 東電によると、発火があったのは、原子炉建屋から数百メートル離れた、外部から送られる電気の電圧を下げる施設「南 66kV 建屋」の電源室。 3 号機の防災装置の定例試験で機器が作動しない、との連絡を受けた社員が電源室に行ったところ、電源盤から炎と煙が出ていることを確認した。

社員らは消火器で消火するとともに消防に通報。 駆けつけた消防によって午前 11 時 19 分に鎮火が確認された。 発火の原因は調査中という。 同原発では、3 月 10 日にも 6 号機非常用ディーゼル発電機の制御盤室でも煙が上がる事案が起き、制御盤内の配線ミスが原因と判明した。 (戸松康雄、asahi = 4-1-25)


使用済み核燃料、仏への搬出倍増 400 トンへ 関電が工程表見直し

福井県内の原発にたまる使用済み核燃料の県外搬出をめぐり、ロードマップ(工程表)の見直しを進めていた関西電力が、フランスへの搬出量を当初の 200 トンから倍増させる方針を固めたことが関係者への取材でわかった。 13 日にも県に提示する。 関電は 2023 年 10 月に初めて工程表を県に示した。 だが主な搬出先となる日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の完成目標が 2 年半遅れたことに伴い、昨夏に見直しを表明。 今年 1 月に杉本達治知事と面会した森望社長は「あらゆる可能性を組み合わせて、必要な搬出容量を確保する」と述べていた。

これまでの工程表では、実証研究名目で 27 - 29 年度に高浜原発から 200 トンをフランスに運ぶとしていたが、今回の工程表では県内から計 400 トンほどの搬出を確保するとみられる。 工程表をめぐっては森社長が、今年度末までに見直せない場合は 40 年超運転の原発 3 基を止めると言及していた。 関電によると、高浜、大飯、美浜の 3 原発の使用済み核燃料は年 130 トン増えており、搬出されなければ、貯蔵プールは約 3 - 5 年で満杯になる見通し。

新たな工程表の提示を前に、市民団体から県には「広く県民の意見を聞いて、受け入れの可否を判断してほしいしい」といった要請も出ている。 (佐藤常敬、永井啓子、asahi = 2-11-25)


島根原発 2 号機、13 年ぶりに営業運転再開
… 福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉での再開は 2 例目

中国電力は 10 日、昨年 12 月 7 日に再稼働した島根原子力発電所 2 号機(松江市、82 万キロ・ワット)の営業運転を再開した。 定期検査で停止した 2012 年 1 月以来、約 13 年ぶりとなる。

10 日、原子力規制委員会から全検査が適切に実施されたことを示す「使用前確認証」の交付を受け、営業運転に移行した。 中国電力によると、今回の再開で火力発電の燃料費削減など年間約 400 億円の収支改善効果がある。ただし、電気料金は既に再稼働を織り込んだ設定で、引き下げの計画はない。 2 号機は、東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型軽水炉 (BWR)。 BWR で営業運転を再開したのは東北電力女川原発(宮城県) 2 号機に続き 22例目。 (yomiuri = 1-10-25)

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島根原発 2 号機、約 13 年ぶりの発送電開始 来年 1 月に営業運転再開

中国電力は 23 日、7 日に約 13 年ぶりに再稼働した島根原発 2 号機(松江市、出力 82 万キロワット)が発電と送電を始めたと発表した。 今後少しずつ出力を上げ、来年 1 月 10 日に営業運転を再開する予定。 島根 2 号機は運転停止期間が長期に及んだため、中国電は今月 15 日から原子炉を一時的に停止する「中間停止」に入り、設備や機器の点検や検査、清掃などを実施した。 22 日に再び原子炉を起動。 23 日午後 1 時、発電、送電系統に電気を送り始めた。 27 日に出力 100% に達する見込み。 中国電による最終検査で問題がなければ、営業運転を再開する。 (堀田浩一、asahi = 12-23-24)

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約 13 年ぶり再稼働の島根 2 号機 1 月 10 日に営業運転を再開へ

中国電力は 10 日、再稼働した島根原発 2 号機(松江市、82 万キロワット)の営業運転を来年 1 月 10 日に開始すると発表した。 発電は今月 25 日に始める予定だという。 原子力規制委員会に必要な申請書を 10 日に提出した。 島根2号機は、全国で唯一、都道府県庁所在地の自治体にある原発で、7 日に約 13 年ぶりに再稼働した。 東日本大震災後に事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉 (BWR) で、BWR の再稼働は、10 月下旬に再稼働した東北電力女川原発 2 号機(宮城県)に次いで、2 例目だった。 (森下友貴、asahi = 12-10-24)

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島根原発 2 号機が再稼働 福島第 1 原発と同じ沸騰水型軽水炉 中国電力、原子炉を起動

中国電力は 7 日午後 3 時 島根原発 2 号機(松江市、出力 82 万キロワット)の原子炉を起動し、再稼働した。 東京電力福島第 1 原発事故の翌年の 2012 年 1 月下旬に定期検査のために停止して以来、稼働は 12 年 10 カ月ぶり。 福島第 1 原発と同じ沸騰水型軽水炉 (BWR) で、福島の事故後に再稼働した BWR は、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市) 2 号機に続き全国 2 基目となった。 核分裂反応を抑える制御棒を、炉心から引き抜く作業を始めた。 約 2 時間後、核分裂が安定的に続く臨界の状態に達する見通しだ。

今後は設備を点検するため 1 週間ほど原子炉を停止した後、今月下旬に発電と送電の調整運転を始める予定。 中電による検査と原子力規制委員会の確認を経て、来年 1 月上旬の営業運転開始を目指す。 再稼働を巡り、中電は 13 年 12 月に国の新規制基準に基づく審査を規制委に申請した。 地震や津波による重大事故を防ぐ安全対策工事を進め、審査の過程で追加工事が生じて稼働停止は長期化した。 工事計画や保安規定を含め、全ての審査は今年 5 月に終了。 工事は 10 月下旬に完了した。

中電は 1874 年 3 月に島根 1 号機(出力 46 万キロワット)、89 年 2 月に 2 号機を稼働した。 2015 年に 1 号機の廃炉を決定。 建設中の 3 号機(同 137 万 3 千キロワット)を 30 年度までに稼働する考えだ。 島根原発は全国で唯一、県庁所在地にあり、30 キロ圏内に約 45 万人が暮らす。 重大事故を想定した避難計画の実効性などに課題がある。

中電の中川賢剛社長は「今後も安全確保を第一に、より一層の緊張感を持って営業運転再開に向けた工程に万全を期す。発電所の状況や取り組みについて適切な情報公開に努め、地域に安心していただける発電所を目指す」とのコメントを出した。 (中国新聞 = 12-7-24)

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島根原発 2 号機、12 月 7 日再稼働

中国電力は、島根原発 2 号機(松江市、82 万キロワット)の原子炉を 12 月 7 日に起動して再稼働する予定を 11 日、発表した。 10 月下旬から原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷」の作業を始め、約 1 週間で 560 体の燃料を入れていた。 営業運転の再開は 2025 年 1 月上旬を予定する。 島根原発は、全国で唯一、県庁所在地の自治体にある原発。 また、11 年 3 月に事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉 (BWR)。 同社にとっては約 13 年ぶりの原発運転となる。 (asahi = 11-12-24)

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島根原発 2 号機、12 月上旬に 13 年ぶり再稼働 28 日から燃料装荷

中国電力は 15 日、12 月上旬に島根原発 2 号機(松江市)の原子炉を起動し、再稼働させる予定だと発表した。 原子炉に核燃料を入れる燃料装荷を 10 月 28 日から始め、約 1 週間かけて行う方針も明らかにした。 営業運転再開は来年 1 月上旬を予定する。 島根原発は、2011 年 3 月の東日本大震災後に事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉。 また、全国で唯一、県庁所在地にある原発だ。

震災時に定期検査中だった 1 号機はその後、廃炉を決めた。 2 号機は 12 年 1 月に定期検査に入って停止し、中国電にとっては約 13 年ぶりの原発運転となる。 同社は「引き続き、安全確保を第一に再稼働に向けたひとつひとつの準備を着実に進めてまいります」としている。 (森下友貴、asahi = 10-15-24)


女川原発トラブル、ナット緩みで

東北電力は 11 日、再稼働した女川原発(宮城県女川町、石巻市) 2 号機で起きた機器のトラブルについて、ナットの緩みで炉心につながる管の接続部が外れたことが原因だったと発表した。 同社は 2 号機内に 227 カ所ある同様の接続部を再確認した後、停止した原子炉を改めて起動させ、12 月に予定する営業運転の再開時期は変更しないという。

同社によると、トラブルが起きたのは 3 日。 発電再開に向けた試験で、中性子を計測する機器を原子炉に入れる作業の途中で、機器が動かなくなった。 同社が調べたところ、炉心につながる管が外れ、機器が途中で引っかかっていたという。 会見した青木宏昭・原子力部長は「管の締め付けを確認する手順がなく、管理上の不備」と述べた。 (asahi = 11-12-24)

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再稼働の女川原発 2 号機 発電再開延期 機器トラブルで原子炉停止

東北電力は 3 日、10 月 29 日に再稼働させた女川原発(宮城県女川町、石巻市) 2 号機でこの日予定していた発電の再開を延期した、と発表した。 同社によると、原子炉の中にある中性子を計測する検出器が正常かどうかを調べるため、別の機器を原子炉に入れていたところ、途中で動かなくなった。 機器は手動で引き抜き、回収された。 同社は原子炉を停止し、トラブルの原因が分かるまで発電は延期する。 周辺環境への放射能の影響はないという。

2 号機は、10 月 29 日に原子炉を起動し、13 年 7 カ月ぶりに再稼働した。 30 日に核分裂反応が継続する「臨界」に達し、今月 1 日にタービンを起動した。 東北電は 7 日にも発電を始めるとしていたが、検査などが順調に進んだため 3 日に前倒しする予定だった。 (柳沼広幸、asahi = 11-3-24)

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女川原発 2 号機、29 日に再稼働 被災原発では初 東北電力

東北電力は 7 日、運転停止中の女川原発(宮城県女川町、石巻市) 2 号機を 29 日に起動し、再稼働する予定を原子力規制庁に伝えた。 11 月上旬に発電、12 月ごろに営業運転を再開する予定。 女川 2 号機の稼働は 13 年ぶりとなる。  女川 2 号機は 2011 年の東日本大震災で被災し、運転を停止していた。 震災では約 13 メートルの津波が押し寄せ、かろうじて津波はかぶらなかったものの、地下から浸水して冷却ポンプが故障するなどした。 再稼働すれば、震災で被災した原発では初めて。 東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉 (BWR) としても初となる。

東北電は 29 日に核分裂を抑える制御棒を引き抜き、原子炉を起動する予定だ。 その後、核分裂反応が安定して継続する「臨界」を確認し、蒸気でタービンを起動するなどして発電を再開する。 東北電は13 年、女川 2 号機の再稼働に向けた審査を原子力規制委員会に申請。 規制委は 19 年に新規制基準に「適合」と判断し、20 年には村井嘉浩知事が再稼働への「同意」を表明した。 東北電は海抜 29 メートルの防潮堤(総延長 800 メートル)の整備や、原子炉建屋の耐震工事の実施など 5,700 億円を投じた安全対策工事を今年 5 月末に完了。 9 月には、原子炉に核燃料を入れる「燃料装荷」の作業を終えていた。 (中島嘉克、asahi = 10-7-24)


米アマゾン、小型原発計画に出資 AI データセンターで電力需要急増

米アマゾンは 16 日、小型原発の開発企業に出資すると発表した。 最新の人工知能 (AI) の活用でデータセンターの電力需要が急増しており、米 IT 大手で温室効果ガスを出さない原発の電力を活用する動きが進んでいる。 アマゾンは今回、原発の小型モジュール炉 (SMR) を開発する米 X エナジーへの出資で合意。 同社の総額 5 億ドル(約 750 億円)の資金調達に参加する。

また、米北西部ワシントン州では、州政府の公益企業エナジーノースウェストの SMR の開発に資金を提供し、電力を調達する契約で合意した。 同社の小型原発の当初の発電容量は 4 基で約 320 メガワットで、2030 年代初めの稼働開始をめざす。 小型原発をめぐっては、米グーグルが 14 日、SMR を開発する米カイロス・パワーから電力を調達する契約を結んだと発表。 同社が 30 年までに稼働させる小型原発から、500 メガワットの電力の供給を受ける。

また、米電力大手コンステレーション・エナジーは先月、東部ペンシルベニア州のスリーマイル島原発 1 号機を再稼働させると発表。 米マイクロソフト (MS) と 20 年間の電力供給契約を結んだ。  原発では 1979 年、2 号機で炉心が一部溶融する事故が起きたが、1 号機は 2019 年まで営業運転を続けていた。(サンフランシスコ・五十嵐大介、asahi = 10-17-24)

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スリーマイル島原発再稼働へ マイクロソフト電力購入、AI で需要増

米電力大手コンステレーション・エナジーは 20 日、米マイクロソフトと 20 年間の電力購入契約を結んだと発表した。 東部ペンシルベニア州のスリーマイル島原発 1 号機を再稼働させ、周辺地域のマイクロソフトのデータセンターに電力を供給する計画だという。 2028 年の運転再開をめざしている。 背景にあるのは最新の AI に関連した電力需要増だ。

スリーマイル島原発では 1979 年、2 号機で炉心が一部溶融する事故が起きた。 事故後も 1 号機は運転を続けたが、再生可能エネルギーの普及や天然ガス価格の低下で採算が悪化し、2019 年に営業運転を終了していた。  コンステレーション・エナジーのジョン・ドミンガス最高経営責任者 (CEO) は「世界的な経済的、技術的な競争力において、データセンターなど重要な産業に電力を供給するには、二酸化炭素を排出せず、常時、信頼できる豊富なエネルギーが必要だ。 この発電所を復活させることを楽しみにしている。」との声明を出した。

同社によると、再稼働に向け、タービンや発電機、変圧器、冷却・制御システムなどに多額の投資が必要になるという。 その上、環境評価や原子力規制委員会の承認、州の許可も必要になる。 少なくとも 54 年までの運転許可をとる計画だ。

地元の住民は

同社は、州の住民の 3 分の 2 以上が再稼働に賛成し、70% が二酸化炭素を排出しないエネルギー源として原子力の継続的利用を支持している、という世論調査結果を引用し、「再稼働への支持は強い」と主張している。 米国はいまだに「原子力大国」だ。 世界原子力協会によると、米国は世界の原子力による発電量の約 3 割を生み出している。

ただ、新設予定で稼働開始の目標が示されている原発はわずかしかない。 稼働している原子炉の大半は 1960 - 80 年代に完成したものだ。 スリーマイル島原発の事故後、経済性の問題から新規申請が控えられてきたことに加え、東京電力福島第一原発の事故で、米国でも安全規制が強化され、設計や作業の変更が求められるようになったことが影響している。

一方で、電力需要の高まりや、温室効果ガスの排出を減らす対策の一環として、運転を停止した原発を再稼働させる動きはほかにもある。 中西部ミシガン州では連邦政府や地元の州政府の支援を受け、25 年に再稼働させる計画が進んでいる。(ワシントン・合田禄)

データセンターの電力需要増

スリーマイル島原発の再開の背景にあるのが、米 IT 大手などのデータセンターの増加だ。 対話型 AI 「ChatGPT (チャット GPT)」などの最新の AI の開発や運営には巨大なデータセンターが必要で、IT 大手各社が投資を急拡大させている。 マイクロソフト (MS) の設備投資額は今年 4 - 6 月期の 3 カ月で前年同期比 8 割増の 190 億ドル(約 2.7 兆円)にのぼる。 MS のように原発の電力を活用する動きはほかにも出ており、クラウド最大手の米アマゾンは今年、ペンシルベニア州北部の原発に隣接するデータセンターの買収で合意した。

国際エネルギー機関 (IEA) は世界のデータセンター関連の電力消費量が 2026 年までの 4 年間で倍増すると試算。 日本の 1 年分の電力消費量分に匹敵する規模となる。 データセンターの急増は、IT 大手の温室効果ガスの削減計画にも影響を与えている。 MS は 30 年までに二酸化炭素の排出量を実質マイナスにする計画を掲げているが、データセンターの急増などを背景に、排出量は 20 年から 23 年までに約 3 割増えた。 米グーグルも昨年の排出量が 19 年と比べ 48% 増えており、「我々は相当な課題に直面している」としている。 (サンフランシスコ・五十嵐大介、asahi = 9-21-24)


関電高浜原発 1 号機、50 年超運転へ 原子力規制委が認可 国内で初

関西電力は 16 日、高浜原発 1 号機(福井県)の 50 年超の運転に必要な保安規定の変更が、原子力規制委員会に認められたと発表した。 原発の 50 年超の運転が認可されるのは国内で初めて。

高浜 1 号機は 1974 年 11月 14 日に運転を始め、運転中の原発としては国内で最も古い。 現行の制度に基づき、2016 年に最長 60 年まで運転できる認可は既に得ているが、30 年を超えて運転する場合は、10 年ごとに構造物の劣化予測などを踏まえた「長期施設管理方針」をつくり、規制委の認可を得る必要があった。 関電は昨年 11 月、今後 10 年間の同方針を盛り込んだ保安規定の変更認可を申請していた。 規制委の認可を受け、関電は「今後も国内外の最新の知見を取り込み、原発の安全性や信頼性の向上に努める」とした。 (森下友貴、asahi = 10-16-24)


柏崎刈羽原発、年度内の再稼働困難か 新潟県の「材料」そろわず

東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働をめぐる県の判断が、来年度にずれ込む公算が大きくなっている。 国や東電は水面下で電力需要が高まる冬場の稼働を模索しているが、それまでに県が重視する「議論の材料」がそろわないため。 また、来年度に再稼働したとしても、すぐに停止に追い込まれる可能性も浮上している。 同原発は東日本大震災後の 2012 年 3 月以降、全 7 基が止まっている。 東電は 6、7 号機の再稼働をめざし、4 月 26 日には 7 号機の原子炉に核燃料を入れ終えた。 国や東電は内々に、6 月の県議会で同意を得て、夏に再稼働するスケジュールを描いていたが、断念した。

県との調整は国が前面に立って進めてきた。 9 月の原子力関係閣僚会議では、県が求める避難道路や屋内退避施設の整備について、予算を確保して具体策を講じる方針を決めた。 経済産業省幹部は「(地元の信頼を得るのが特に難しいため)事故を起こした東電の再稼働は特別」といい、支援を惜しまない考えを示す。 広報活動も強化し、12 月の県議会で同意を得ることも念頭におく。

だが、そううまくはいかなそうだ。  そもそも再稼働の前提となる「緊急時対応」の策定が進んでいない。 立地自治体からの要望を受けて、原子力規制委員会が屋内退避の運用を見直す議論を進めている。 それが今年度いっぱいかかる見通しで、花角英世知事は議論がまとまるのを待つとする。

避難道路などの整備についても、花角知事は 9 月の議会で「必要に応じ、改めて(国に)要望を行うことも検討していく」と表明した。 花角知事は判断の前に、説明会や公聴会などで県民の意思を聞くとし、判断した後にも県民の意思を確認するという。 いずれの方法も明確に示しておらず、今年度中の再稼働は極めて困難な情勢だ。(三浦惇平、井上充昌)

地元同意のほかにも「難題」

柏崎刈羽原発 7 号機をめぐっては、地元同意のほかにも難しい課題を抱えている。 テロ対策施設の完成が、期限までに間に合わなそうなのだ。 この施設は航空機を衝突させるといったテロなどによる大規模な損壊に備えるもの。 遠隔で原子炉内の圧力を下げたり、注水したりする。 再稼働後に完成してもよい決まりだが、7 号機の場合、来年 10 月 13 日までにつくる必要がある。 間に合わなければ、施設ができるまで運転できなくなる。 東電は来年 3 月の完成を予定するが、具体的な進捗を明らかにしていない。 工事計画を 4 分割して原子力規制委員会に申請する方針だが、初回の認可もまだ出ていない。 規制委の審査を終えても、通常は施設の完成まで 1 年以上かかる。 これまでに再稼働した原発 12 基のうち 11 基で、期限内に工事が終えられなかった。 関西電力高浜原発 1、2 号機は、完成が 2 年超も遅れた。

経済産業省や東電の幹部は、施設の完成が間に合わないことも念頭におく。 それでも、経産省幹部は「短期間の稼働になったとしても、再稼働させない理由はない」と話す。一方、新潟県幹部は「(地元同意の)判断の要素にも入ってくるのではないか」とみる。 こうしたなか、まだ規制委の審査中の 6 号機が先に再稼働できるようになるとの見方も出ている。新規制基準では、6 号機は施設ができていなくても、29 年 9 月までは動かすことができるためだ。 東電幹部は「来夏にも再稼働に向けた準備が整うことになる」との見方を示す。 (福地慶太郎、asahi = 10-13-24)


関電美浜 3 号機、海水配管に穴 原子炉停止し補修へ

関西電力は 10 日、美浜原発 3 号機(福井県美浜町)で、冷却水を冷やす海水の配管が薄くなり、安全基準を満たせないため、原子炉を停止すると発表した。 放射性物質の漏れはないという。 停止後、原因を調べて補修方法を検討する。 停止の時期や期間は未定としている。 同社によると、10 月 5 日に原子炉建屋内の機器などを冷やす冷却水の熱を取るための海水系統の配管の表面に 2 カ所の塩の付着が見つかった。 10 日午前に超音波検査をしたところ、直ミリミリと 3 ミリの穴が見つかり、周辺の管の厚みが、安全上の技術基準の 3.8 ミリを下回っていたという。 穴から海水がしみ出ていたとみられる。

配管は直径 61 センチ、厚さ 12 ミリで作られていたが、調査の結果、最も薄い箇所は厚み 2.7 ミリだった。 配管内部のゴムがはがれて、海水で金属が腐食した可能性が高いという。 停止後は、配管の交換を含めて補修方法を検討する。 ゴムは前回の定期検査(昨年 10 月 - 今年 2 月)で補修していたという。 (永井啓子、asahi = 10-10-24)


原発コストは太陽光発電の何倍? アメリカの最新試算でわかった驚きの数字
 次期基本計画でどうする日本政府

原子力発電のコストが上昇している。 米国の最新の試算では、既に陸上風力や太陽光より高く、海外では採算を理由にした廃炉も出ている。 日本政府の試算でもコストは上昇傾向だ。 年度内にも予定されるエネルギー基本計画(エネ基)の改定で、原発を活用する方針が盛り込まれれば、国民負担が増えると指摘する専門家もいる。

岸田政権は「原発を最大限活用」

政府は福島第 1 原発事故後、エネ基で原発の依存度を「可能な限り低減」する方針を掲げてきた。 しかし岸田文雄政権発足以降、2023 年の GX 基本方針などで「原発を最大限活用」と転換。 エネルギー安全保障や二酸化炭素の排出抑制を回帰の理由に掲げるが、事故の危険性に加え、コスト高騰のリスクもはらむ。 米国では 23 年、民間投資会社ラザードが発電所新設時の電源別コスト「均等化発電原価 (LCOE)」を発表。 原発のコストの平均値は、陸上風力や太陽光発電の平均の 3 倍以上だった。 経年比較でも原発のコストは上がり続け、14 年以降、太陽光や陸上風力より高くなった。

均等化発電原価 : 発電所を新設した場合のコストを電源種類別に比較する指標。 建設、設備の維持管理、燃料購入にかかる費用を発電量で割って算出する。 日本では、1 キロワット時の電力量を作るのに必要な金額で比較することが多い。 経済協力開発機構 (OECD) や国際エネルギー機関 (IEA) の国際的指標として使われる。 単純なコストだけでなく、補助金など政策に関連する費用を含めて算出する場合もある。

国内では、経済産業省の作業部会が LCOE を計算。 21 年の調査では 30 年新設の想定で、原発のコストは 1 キロワット時あたり最低で 11.7 円。 前回 15 年、前々回 11 年を上回った。 一方、陸上風力や太陽光のコストは 21 年でみると、原発とほぼ変わらなかった。

専門家「再稼働でも再エネ新設と同程度」

東北大の明日香寿川(あすか・じゅせん)教授(環境政策論)は、「原発の建設費用は 1 基あたり 1 兆 - 2 兆円」と説明。 コスト上昇の要因として、事故対策費用がかかる上、量産が難しいことを挙げる。 「最近の原発は事故対策を強化した新型炉が中心で、技術が継承されておらず、高くつく。 太陽光と風力は大量生産で安くなったが、この効果が原発では働きにくい。」と指摘する。 経産省はエネ基の改定に合わせ、年内にも最新の LCOE を発表する見通し。

明日香氏は「今年は 21 年と比べ、原発新設のコストが上がるのが自然。 再稼働でも再エネ新設と同程度という調査もある。 政府は原発の活用を進める上で、はっきり『安いから』とは言わないだろう」とみる。

原発活用でも「電気代下がるとは考えにくい」

海外でも日本と同様に、原発推進にかじを切る国は増えている。 しかし、原子力資料情報室の松久保肇事務局長は「近年はコスト高で原発の廃炉や計画断念、建設遅延が相次いでいる」と指摘。 実際に国内の原子力研究者らでつくる研究会のまとめでは、米国で 11 年以降、13 基が経済的な理由で閉鎖された。 松久保氏は「国内も、原発の活用で電気代が下がり、国民の負担軽減になるとは考えにくい」と話している。 (鈴木太郎、東京新聞 = 8-21-24)


"メルトダウンしない" 原子力発電所、実験で成功 商用規模で自然冷却は世界初
 中国の研究者らが発表

清華大学に所属する研究者らが発表した論文「Loss-of-cooling tests to verify inherent safety feature in the world's first HTR-PM nuclear power plant」は、外部電源が完全に失われた場合でも、冷却システムを使用せずに受動的に冷却するメルトダウンを起こさない商業用原子力発電所を実証した研究報告である。

現代の原子力発電所は、過剰な熱を炉心から除去するために動力を必要とする冷却機構や、緊急時には人間の介入による停止に依存している。 水や液体二酸化炭素が冷却材として使用されるが、これらは通常、外部電源に依存している。 これらのシステムが故障すると、炉が過熱し、爆発や過熱によってプラントが溶ける可能性がある。 2011 年の福島第一原子力発電所事故では、標準および緊急電源システムが失われメルトダウンの一因となった。

「ペブルベッド炉 (Pebble-Bed Reactor、PBR)」と呼ばれる炉設計は、パッシブセーフティの利点がある。 冷却システムの電源が失われても、炉は安全に自動停止できる。 PBR は高エネルギー密度の燃料棒ではなく、グラファイトに囲まれた少量のウランを含む低エネルギー密度のペブルを多数使用する。 これにより核反応を遅くし、高温に耐えることができる。 このエネルギー密度の低さにより、過剰な熱が全てのペブルに分散され、伝導や対流などの自然冷却プロセスで除去する。

中国山東省の石島湾サイトに建設されたペブルベッド型モジュール式高温ガス炉 (HTR-PM) プラントが、23 年 12 月 6 日に商業運転を開始した。 このプラントは、清華大学が技術リーダー、中国華能集団が所有者、中国核工業集団公司 (CNNC) が EPC 請負業者として共同で開発したものである。 HTR-PM プラントは、2 基の原子炉モジュールと 1 基の蒸気タービンで構成。安全性を実証するため、23 年 8 月 13 日と 9 月 1 日に、それぞれ 1 号機と 2 号機で自然冷却試験を実施した。 試験では、フル出力で運転中の両モジュールの電源を完全に遮断し、崩壊熱が自然に除去できるかを確認した。

試験の結果、原子炉の出力と各構造物の温度応答から、冷却システムなどの能動的な介入なしに原子炉が自然に冷却できることを示した。 これは、商用規模での固有の安全性の存在を初めて実証したものである。 (ITmedia = 7-29-24)


敦賀原発「不許可」の公算大 近く規制委判断、原電は廃炉回避さぐる

日本原子力発電の敦賀原発 2 号機(福井県)が存続の瀬戸際にある。 再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で「不許可」となる公算が大きくなっているからだ。 廃炉になれば経営の屋台骨を揺るがすため、審査を続けるための手続きをとる検討に入った。 原電は追加調査を規制委の判断材料に加えてもらうことで、再稼働への望みをつなぎたい考えだ。

敦賀 2 号機は、東京電力福島第一原発事故後の 2011 年 5 月に停止。 原電は 15 年、再稼働に向けた審査を申請した。 焦点は原子炉建屋の直下に活断層があるか。 規制委は 26 日に結論を出す方針だが、活断層の存在を否定する原電の主張には「科学的、技術的な根拠が乏しい」などと指摘している。 原電が否定を証明できなければ、秋にも不許可の判断が下される見通し。 再稼働の審査で不許可になれば初めて。

原電は廃炉を回避するため、新たな調査を盛り込んだ「補正書」の提出や、審査を改めて求める「再申請」などを検討している。 それに向けて、電気を送る契約を結ぶ大手電力 3 社(関西、中部、北陸)の了承を得たい考えだ。 (asahi = 7-25-24)

「志賀原発にさよならを」全国から 1,100 人、能登半島地震から半年

能登半島地震から半年を前に 6 月 30 日、金沢市広坂 2 丁目のいしかわ四高記念公園で「さよなら! 志賀原発」と題した集会があった。 全国から約1,100 人(主催者発表)が参加。 石川県志賀町などで最大震度7を観測した元日の地震を「警告」ととらえ、原発の即時廃止を訴えた。 集会は、労働組合などでつくる実行委員会が主催した。 志賀原発では、元日の揺れで使用済み燃料プールの水がこぼれたり、外部電源を受けるための変圧器が損傷したりした。

運転差し止めを求めている訴訟の原告団の岩淵正明弁護団長はスピーチで、東京電力福島第一原発事故のような大惨事を懸念。 集落が孤立したことなどに触れ、「避難計画は絵に描いた餅」と訴えた。 震源に近い珠洲市高屋町は 2003 年に「計画凍結」が発表された原発の計画地だった。 反対運動の中心だった同町の圓龍寺住職、塚本真如(まこと)さん (79) も登壇。 寺は全壊した。 「地震で物は失われますが、『原発はやらない、いらない』という信念だけは、絶対に奪われるものではありません」と語った。 (荻原千明、asahi = 6-30-24)

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