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島根原発に核燃料を搬入へ 再稼働時に使用 島根県が発表 搬入は 12 年ぶり 7 - 9 月の間に陸路で

中国電力が再稼働を目指している島根原発 2 号機で使用する新しい核燃料が、7 月から 9 月の間に陸路で搬入されることになった。 中国電力から連絡を受けた島根県が発表。 新燃料の搬入は 2011 年 7 月以来となる。 島根原発に運び込まれるのは、2 号機が再稼働した際に使用する核燃料 90 体。 半年分の燃料に相当する。 1 体当たりの長さは約 5 メートル。

島根県によると、核燃料は 2023 年 7 月から 9 月の間に、振動に対応した専用の 2 重の容器に入れられ、茨城県にある原子燃料工業から陸路で運び込まれまれる。 具体的な日程や経路は非公開。 島根原発への新燃料の搬入は 2011 年 7 月以来 12 年ぶりとなる。 島根県は中国電力に対し、安全の徹底や事前の道路確認などを要請する方針。 (日本海テレビ = 5-31-23)


ドイツで「脱原発」が実現 稼働していた最後の原発 3 基が停止

国内すべての原子力発電所の停止を目指してきたドイツでは、15 日、稼働していた最後の 3 基の原発が送電網から切り離され「脱原発」が実現しました。 今後、再生可能エネルギーを柱に電力の安定供給を続けられるかなどが課題となります。 ドイツは 2011 年の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて当時のメルケル政権が「脱原発」の方針を打ち出し、17 基の原発を段階的に停止してきました。

「脱原発」の期限は去年末まででしたが、ウクライナに侵攻したロシアがドイツへの天然ガスの供給を大幅に削減したことで、エネルギー危機への懸念が強まり政府は稼働が続いていた最後の 3 基の原発について停止させる期限を 4 月 15 日まで延期していました。 3 基のそれぞれの事業者がいずれの原発も 15 日に発電のための稼働を終え、送電網から切り離されたことを明らかにし、「脱原発」が実現しました。

南部のネッカーウェストハイム原発の近くでは「脱原発」を求めてきた市民団体などが集会を開き参加者は「原子力発電がついに終わる」と書かれた横断幕を掲げて喜んでいました。 参加者たちは「原発の危険性がなくなりうれしい」とか、「何年も求めてきた『脱原発』が実現できてよかった」などと話していました。

ただ、ドイツではエネルギーの確保が課題となる中、今月の世論調査で「脱原発」に反対と答えた人が 59% で賛成の 34% を大きく上回り、経済界からも懸念が示されています。 今後は政府がさらなる拡大を目指す再生可能エネルギーを柱に電力の安定供給を続けられるかや高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分などが課題となります。

ドイツの「脱原発」とは

ドイツでは 1961 年に原発による発電が始まりましたが 1970 年代に原子力の利用に反対する市民運動が盛り上がりました。 その運動のなかから環境政策を重視する政党、緑の党が誕生。 緑の党は、1998 年に発足したシュレーダー政権に連立与党として参加し、この政権のもと、国内の原発を 2020 年ごろまでにすべて停止する法律がつくられました。 その後、首相に就任したメルケル氏は当初は原発の利用に前向きで運転期間の延長に踏み切ります。

しかし、2011 年 3 月の東京電力福島第 1 原子力発電所の事故を受けて姿勢を転換しました。 17 基あった原発を順次停止し、2022 年末までにすべて停止する「脱原発」の判断を下します。 ドイツの発電事業者などでつくる連邦エネルギー・水道事業連合会によりますと、発電に占める原子力の割合は 2000 年は 30% で、石炭に次ぐ多さでしたが、去年、2022 年には 6% と大幅に減っています。 これに対し、再生可能エネルギーは 2000 年は 7% でしたが 2022 年には 45% に拡大し、最も多くなっています。

しかし、去年、ウクライナへの侵攻を続けるロシアが、ドイツ向けの天然ガスの供給を大幅に削減すると、エネルギー危機への懸念から原発を使い続けるべきという声が経済界や与党の一部からも上がりました。 こうした中、緑の党も参加するショルツ政権は、去年 9 月、「脱原発」の期限をことし 4 月 15 日まで延期しました。 ドイツは減少したロシア産ガスの代わりとして LNG = 液化天然ガスの輸入を増加させたり、石炭での発電を拡大させたりしてきました。

こうした対策を踏まえ「脱原発」を担当するレムケ環境相は、先月の記者会見で「エネルギーの供給は安定している」として、原発を停止してもエネルギー危機は起きないとして予定どおり原発を停止する方針を示しました。 レムケ環境相は、原発には事故のリスクに加え、ウクライナのザポリージャ原発のように攻撃にさらされる危険性も浮き彫りになったとして「原子力はいまも、これからもリスクのある技術であり続ける。 そのリスクはドイツのような技術力の高い国でさえ制御できない」と述べ、「脱原発」の意義を強調しました。

ドイツ、ロシアが天然ガス供給を大幅削減でガスや電気料金 高騰

ドイツでは、ロシアが、去年、ドイツ向けの天然ガスの供給を大幅に削減したことで、ガスや電気の料金が高騰しました。 懸念されたエネルギー不足は表面化していませんが、企業からは安定供給の面から「脱原発」に懸念も出ています。

このうち南部バーデン・ビュルテンベルク州に本社がある車のエンジンなどに使う部品を製造する企業は、鉄などの加工に欠かせないガスと電気の料金が去年、前の年と比べおよそ 50% 値上がりしたということです。 シュテファン・ウォルフ社長は「残っている 3 基の原発を止めるとエネルギー価格が上昇すると思う。 二酸化炭素の排出がゼロで、いまも利用できる原発を止めるのは大きな間違いだ」と話し、反対の立場を示しています。

そして「ドイツ政府がエネルギー価格を下げることができなければ多くの企業が生産拠点をよりエネルギー価格が安い国へ移してしまう」と強調しました。 また、ドイツ商工会議所連合会は、今月 11 日、「ガス価格は下がったもののエネルギー価格はほとんどの企業にとって高止まりしている。 安定供給という問題はまだ解決されていない」などとする会長のコメントをホームページに掲載しドイツ企業の競争力を維持するためとして原発の利用を続けるよう訴えています。

「脱原発」後の課題は

再生可能エネルギーの研究が専門で、政府のアドバイザーも務めるレーゲンスブルク大学のシュテルナー教授は「原発は発電のわずかな割合しか占めておらず、脱原発が電気料金や供給に影響を与えることはない。 産業を守るためにすべきことは風力や太陽光の拡大で、蓄電の技術も加わればとても安い電力が保証できる」と話しています。

そして「今後は電力がエネルギー供給の核になる」とも話し、EV = 電気自動車の普及などでいっそう電力が必要になるため、再生可能エネルギーを着実に拡大できるかが課題だと指摘します。 ドイツ政府は去年、2030 年に電力消費量に占める再生可能エネルギーの割合を 80% にする方針を新たに掲げています。

これについてケルン大学のエネルギー経済研究所が、今後、毎年、追加に必要となる電力を試算したところ、

  • 陸上風力は 8.4 ギガワット、
  • 太陽光は 17.4 ギガワットで、2021 年までの 10 年間のペースと比べ、
  • 風力はおよそ 3 倍、
  • 太陽光は 4 倍余り拡大させる必要があり、「実現できるか不透明だ」としています。

ドイツでは再生可能エネルギーの電力を運ぶ新たな送電線や風力発電所の建設の許認可に時間がかかっているほか、住民の反対も課題となっていて、シュテルナー教授は、「新型コロナやウクライナでの戦争に対応した時のように風力や太陽光でも同じ早さの法律が必要だ」と話し、政府が対応に本腰を入れなければ安定した電力の供給が今後、難しくなるとの見方を示しています。

また、長期にわたる原発の廃炉作業に加えて発電にともなって発生した高レベル放射性廃棄物、いわゆる「核のごみ」の処分地も決まっておらず、政府は「原子力の安全に関わる課題は何十年も続く」としています。 (NHK = 4-16-23)


誤り続出の日本原電に行政指導 敦賀 2 号機の審査は再び中断の見通し

日本原子力発電敦賀原発 2 号機(福井県)の再稼働に向けた原子力規制委員会の審査で原電が提出する資料に誤りが続発していることを受け、規制委は 5 日、原電に対し、審査の申請書の内容を修正して 8 月末までに出し直すよう行政指導する方針を決めた。 2 号機の審査は昨年 12 月に約 2 年ぶりに再開されたばかりだったが、再提出されるまで中断する見通しになった。

原電に申請書の出し直しを求めるのは、焦点になっている 2 号機直下の断層についての内容。 規制委の山中伸介委員長はこの日の記者会見で、再提出される申請書をもとに最終的な判断をする意向を示し「審査を続けるか、その補正書(申請書)で不許可・許可の判断をするかの 2 択になる」と述べた。 規制委の会合では、原電に対して申請自体をいったん取り下げるよう求める案も検討されたが、再申請に時間がかかることや、審査側の負担の大きさを考慮して見送った。

敦賀原発 2 号機をめぐっては、規制委の有識者会合が 2013 年と 14 年の 2 度にわたって直下の断層を「活断層」と判断する報告書案をまとめた。 活断層である敷地内の浦底断層が動くと、一緒に動くおそれがあるという。 国は活断層の真上に原子炉建屋などを設置することを認めていない。 一方で原電は「活断層ではない」として 15 年 11 月に審査を申請していた。

審査の過程で 19 年、資料に 1 千件以上の誤りが見つかった。 原電は資料を再提出したが、20 年にボーリング調査による敷地内の地層の観察記録を無断で書き換えていたことが発覚。 審査が約 2 年間中断した。 昨年 12 月に審査が再開されたが、以降も資料に計 165 件の誤りが見つかり、実質的な審査ができない状態が続いていた。 申請書の再提出を求める行政指導は、17 年に東京電力に対して出された例がある。 柏崎刈羽原発 6、7 号機(新潟県)の審査で免震重要棟の耐震性不足を把握しながら規制委に報告していなかった問題が持ち上がり、当時の広瀬直己社長に申請書の再提出を求めた。 (山野拓郎、佐々木凌、asahi = 4-5-23)


高浜 4 号機が 25 日に発電再開へ 1 月にトラブルで停止 関電

関西電力は 23 日、1 月にトラブルで自動停止していた高浜原発 4 号機(福井県高浜町、出力 87 万キロワット)について、24 日に原子炉を起動し、25 日から発電を再開すると発表した。 原因とされる電気ケーブルの接触不良への対策が完了したためとしている。

4 号機は 1 月 30 日、原子炉内の状況を監視する検出器が異常を示し、自動停止した。 電気ケーブルの接触不良で、核分裂反応を抑える「制御棒」を保持する装置に電気が流れにくくなり、1 本が炉内に落下したとみられる。 施工に問題があり、電気ケーブルが別のケーブルの重みで引っ張られていたという。 関電はほかのケーブルから電気を流すほか、設置のマニュアルも改定した。 4 号機の自動停止は 2016 年以来 3 回目で、3 号機とともに 25 年に運転期間 40 年を迎える。 関電は「60 年までの運転は問題ない」として、20 年間の運転延長を原子力規制委員会に申請する方針を示している。 (松岡大将、asahi = 3-23-23)


浜に戻った笑顔、「常磐もの」に復興の兆し 処理水放出になお懸念

2011 年の東京電力福島第一原発事故による放射能汚染で、福島県の農林水産業は深刻な打撃を受けた。 12 年が経ち変化の兆しがある一方、生産現場には様々な形で事故の傷痕が残る。 福島で食べ物を生み出す人の声を聞いた。

東京・代々木公園に 2 月下旬、即席の屋台村が現れた。 「さんまのポーポー焼き」、「うに貝焼き」、「アンコウパエリア」…。 魚食文化を発信するイベントと同時開催された、福島の海の幸を PR する企画だ。 香ばしいにおいに吸い寄せられるように、家族連れなどが列を作った。 いわき市などで活魚や加工品を扱う大川魚店の大川勝正社長 (48) は「ほっき飯」などを販売した。 「このイベントはいつも盛況だけれど、福島の魚が普通に売れるということを確認する場になっています。」

県外の百貨店の物産展などを回ってきたが、原発事故の 3、4 年後ぐらいまでは「放射能汚染の心配はないのか」と聞かれることが多かったという。 福島産の魚は厳しい基準で検査をしていると接客時に伝えていたが、ある時、言えば言うほど売れなくなるのではないかと感じるようになった。 「お客さんは楽しく買い物をしたいのに雰囲気を壊しているような感じがしました。」 売り上げが少しずつ戻ってきたのは事故の 5 年後くらいからだ。 「いまはもう(風評を)気にする必要はないと感じます。 どうやって商品の魅力を発信するのかを考えています。」と前を向く。

黒潮と親潮が出合う豊かな福島県沖でとれた魚は、「常磐もの」として評価されてきた。 沿岸漁業の現場はいま、どうなっているのか。 3 月上旬、景勝地として万葉集にもうたわれた松川浦(相馬市)を訪ねた。 相馬双葉漁協の副組合長を務める菊地昌博さん (68) は、底引き網漁船「宝恵丸」の船頭として地元の漁業をリードしてきた。 「昨日あたりでヒラメは 1 キロあたり 2,500 円くらい。 穴子も 1,800 円とか 2 千円。 やっと震災前の水準まで戻ってきた。」 にこやかなに語った。

菊地さんによると、その一因として全国的に漁業資源が少なくなってきていることがある。 福島県水産課によると、事故後、放射性物質の検査をし安全性が確認された魚種だけを限定的にとる「試験操業」に制限されたことから、結果的に福島沖は豊かな漁場が守られているという。 試験操業は 21 年 3 月に終わり、漁業者は漁獲拡大を目指す。 相馬双葉漁協では昨年は大型船の実績で、震災前の 4 割程度の漁獲量だった。 26 年に震災前の漁獲量の 6 割まで回復させることが目標だ。

こうした復興の流れに水を差しかねないのが、今年予定されている「処理水」の海洋放出だ。 菊地さんは「いまは風評はあまり感じないが、(処理水を)流せば変わるっぺ」と警戒感を隠さない。 昨年 12 月末、東電は風評被害を生じさせた場合の賠償基準を作成。 政府も風評被害対策としての水産物の販路拡大などに計 800 億円を投じることを決めた。 2 月下旬、西村康稔経済産業相がいわき市を訪れ、若手漁業者と意見交換会を行った。 「漁業者の理解を得ずになぜ海洋放出をするのか」と迫る漁業者に、西村氏は「懸念を持っているのは理解している」と答えるのみだった。

同席した菊地さんは、国の説明が足りないと感じた。 「地元の声を聞く気があると思えない」と憤る。 2 年前、船頭を長男の栄達さん (30) に譲った。 小学 5 年生の孫は船が大好きで「将来漁師になりたい」と言う。 だが、廃炉になるまで処理水は 20 - 30 年も流れ続ける。 豊かな海を次世代に引き継げるのか。 心配は尽きないが、菊地さんは自分に言い聞かせるように話した。 「仮に風評が起きたとしても、努力して戻せばいい。 いままでもそうやってやってきた。」

水産庁によると、福島県の水揚げ量(沿岸及び底引き網漁業)は 2010 年は約 2 万 6 千トンだったが、全面禁漁の影響で 12 年は 122 トンまで激減した。 試験操業で徐々に回復したものの、21 年は約 5 千トンだった。 10 年の水揚げ量を 100 とすると、2 割弱にとどまる。 震災前の水準に回復するにはまだ時間がかかりそうだ。

福島産「購入ためらう」最少に 近隣諸国は抵抗感

県は毎週 50 魚種程度 100 検体以上の放射性物質を検査している。 食品衛生法の基準 1 キロあたり 100 ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されると出荷制限としている。 現在、出荷制限を受けているのはクロソイだけだ。 また県漁連は、より厳しい出荷基準(1 キロあたり 50 ベクレル)を設けて独自に検査している。 今年 2 月、スズキでこの基準を超える放射性セシウムが検出され、出荷を自粛している。

震災から 12 年。 魚を含む、福島県産の食品を消費者はどう受け止めているのか。 消費者庁が 2013 年から行っている意識調査によると、「購入をためらう」と答えた人は、23 年の調査で 5.8% と過去最少だった。 14 年の 19.6% をピークに、毎年減少が続いている。 海外では、原発事故の後、55 の国と地域が福島県産の食品の輸入規制を実施した。 現在はほとんどの国で解除されたが、中国、香港、マカオ、韓国、台湾はいまも何らかの輸入停止を実施している。

福島第一原発で発生した汚染水は、大半の放射性物質を取り除く多核種除去設備 (ALPS) で処理した後、タンクで保管してきた。 容量が満杯に近づいているとして日本政府は、海洋放出の方針を決めた。 計画では、トリチウムの濃度を基準値の 40 分の 1 未満になるよう海水で希釈して放出する。 東大大学院の関谷直也准教授は昨年、日中韓や欧米など計 10 の国・地域を対象に行った調査で、処理水が放出された場合の食品の安全性に対する認識を尋ねた。 福島県産品を「とても危険だ」、「やや危険だ」と答えた人は、日本で 4 割弱だったのに対し、韓国 9 割強、中国 9 割弱だった。

中国や韓国といった近隣諸国で抵抗感が根強い理由について、関谷准教授は「事故当時の印象をアップデートする情報が届いていないことが原因。 処理水の情報だけでなく、福島第一原発や福島の現状を丁寧に伝えていく必要がある。」と指摘する。 (小泉浩樹、asahi = 3-22-23)


原発事故の指定廃棄物、処分進まず 福島除く 9 都県に 2 万トン点在

2011 年 3 月の東京電力福島第一原発の事故で東日本の広域に放射性物質が拡散したことに伴い発生した「指定廃棄物」。 福島県以外で保管が続く 2 万トン余りの処分が進まない。 各県で集約し、長期保管する国の方針に自治体側が反発。 農家の敷地や自治体の施設に分散保管する状況が続く。 災害時の流出リスクなどを指摘する声もある。

原発事故で大気中に放出された放射性物質は風に乗って広がった。 指定廃棄物は放射性物質に汚染されたごみの焼却灰や稲わらなどのうち、放射能濃度が 1 キロあたり 8 千ベクレルを超えるもの。 原発事故後に環境省が、「通常の埋め立て処分でも作業員の安全性を確保できる値」として 8 千ベクレルの基準値を設定。 国は指定廃棄物の処分は国の責任とし、国の経費負担で長期管理施設(最終処分場)を建設し、処分は発生した都県内で行うことを基本方針とした。

同省によると、指定廃棄物は 22 年 9 月末時点で東北や関東地方を中心とした 10 都県に計約 40 万 7 千トンある。 このうち約 2 万 5 千トンは福島県以外の 9 都県で保管されており、うち 2 万 2 千トン余りを宮城、茨城、栃木、群馬、千葉の 5 県が占める。 5 県については、同省が各県 1 カ所の最終処分場に集約して処分する計画を打ち出した。 15 年までに宮城、栃木、千葉、茨城の 4 県で候補地を選んだ。 だが風評被害を懸念する地元で激しい反発が起こり、同省は茨城の選定を撤回。 他県でも集約は進まない。

一方、放射能濃度は徐々に下がり、16 年度時点の同省の推計では、5 県で基準値を超えるのは計 1 万 333 - 1 万 1,633 トン。 4 割超が基準値以下になったとみられる。 これらは自治体と協議して同省が指定を解除すれば一般廃棄物になり、普通のごみと同様に処分できる。 ただ、処分が自治体責任となるため、自治体は解除に慎重だ。 事故から 12 年を前にして、昨年 9 月末までに 5 県での解除量は計約 2,786 トンにとどまる。 茨城、群馬両県はゼロだった。 同省特定廃棄物対策担当参事官室の林里香室長は、解除を促す取り組みについて「財政、技術支援をする。 誠意を尽くして説明していきたい。」とする。

指定廃棄物の大半を保管する福島県では、10 万ベクレル以下のものは富岡町の最終処分場への搬入が進んでいる。 (根津弥、本山秀樹,、asahi = 2-11-23)

指定廃棄物をめぐる国と各県の主な経緯
2011年3月東京電力福島第一原発事故
12年1月放射性廃棄物の処理基準などを定めた放射性物質汚染対処特措法が全面施行
9月環境省が栃木県矢板市、茨城県高萩市の国有林を最終処分場候補地に選ぶ
13年2月環境省が栃木・茨城の最終処分場候補地について選定過程の見直し表明
14年1月環境省が宮城県の最終処分場候補地に3市町の国有地を示す
7月環境省が栃木県の最終処分場候補地に塩谷町の国有林を示す
15年4月環境省が千葉県の最終処分場候補地に千葉市の東電敷地内を示す
6月千葉市が環境省に最終処分場候補地の選定やり直しを申し入れ
12月栃木県塩谷町が環境省に最終処分場候補地の返上申し入れ
16年2月環境省が茨城県の指定廃棄物の分散保管を容認
3月宮城県知事が最終処分場候補地を白紙に戻す考えを表明

原発政策の大転換、方針を閣議決定 新規建設、60 年超運転も

岸田政権は 10 日、原発の新規建設や 60 年を超える運転を認めることを盛り込んだ「GX (グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を閣議決定した。 東京電力福島第一原発事故以降の原発政策の転換が、正式な政府方針となった。 通常国会に関連法案を提出する。 昨年 12 2月に示された基本方針の原案に対するパブリックコメント(意見募集)には、原発政策への反対意見が多く寄せられたが、大きな修正はなかった。

基本方針は、2050 年の脱炭素 社会の実現に向けて今後 10 年間にとるべき政策を中心に列挙。 再生可能エネルギーとともに、原発の「最大限活用」を明記した。 事故後、新規建設については「現時点では想定していない」としてきたが、取り組む方針に転換した。 具体的には、政府が「次世代革新炉」と呼ぶ改良型の原発について「開発・建設に取り組む」とし、廃炉を決めた原発の敷地内で建て替えを進める。 いまは原発のない地域でも、建設を「検討していく」とした。

一方、原案で「まずは廃止決定した炉の建て替え」としていた記述は「廃炉を決定した原発の敷地内での建て替え」と範囲を限定した。 原案は建て替え場所が明示されておらず、自民党の推進派を中心に他の地域にある原発を含めて広く解釈する考えも示されていた。 これに対し、原発に慎重な議員もいる公明党内から懸念の声があがり、修正することになった。 与党手続きを進めるための側面が強く、経済産業省幹部も「趣旨を明確化しただけだ」と話す。

原発事故後、安全規制の柱として定めた運転期間のルールも変えた。 原則 40 年、最長 20 年の運転延長を認めるという骨格は維持しつつ「一定の停止期間に限り追加的な延長を認める」とした。 再稼働に必要な審査や司法判断などで停止していた期間は運転期間に含めないことになった。 仮に 10 年間停止していれば運転開始から 70 年後まで運転でき、ルールが形骸化するおそれがある。 安全性ではなく、脱炭素や電力需給など政策的な観点から運転期間を判断することになる。 今後、原子炉等規制法や電気事業法などの改正案を今国会に提出する。 原発政策は世論が割れており、パブコメの活用の仕方や政府の議論の進め方に対し疑問の声が出ている。 (岩沢志気、asahi = 2-10-23)


「核のごみ」最終処分場、原発立地自治体と「協議の場」新設へ

原発から出る高レベル放射性廃棄物「核のごみ」の最終処分場の候補地について、政府が原発立地自治体など「原子力と関係の深い」自治体の首長らとの「協議の場」を新設する方向で調整に入った。 いまは全国の自治体を対象に広く働きかけているが、政府は原発などがある自治体に強く働きかける方が、議論が進みやすいと判断した。 原発が立地する自治体はすでに負担を抱えており、さらに処分場を建設することになれば、反発の声が上がる可能性がある。

岸田政権は昨年末、原発の運転期間の延長や新規建設などを打ち出し、これまでの政策を大きく転換した。 一方で、最終処分場の場所は今も決まっておらず、原発推進の「アキレス腱」となっている。 岸田文雄首相は「政府一丸となって政府の責任で最終処分に向けた取り組みを加速する」と強調。 月内にも「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」を 8 年ぶりに改定する方針だ。 (asahi = 2-3-23)


関電の高浜原発 4 号機が自動停止 規制委「原子炉冷却は正常」

関西電力は 30 日、運転中の高浜原発 4 号機(福井県高浜町、出力 87 万キロワット)の原子炉が異常を検知して自動停止したと発表した。 関電などによると、午後 3 時 20 分ごろ、何らかの原因で炉内の中性子が減ったことを示す警報が出て、燃料の核分裂反応を抑える制御棒が作動したという。 原因を調べている。 関電から報告を受けた原子力規制委員会によると、原子炉の冷却は正常で、周辺の放射線を測定するモニタリングポストの値に異常はないという。 (asahi = 1-30-23)



原発政策を正式決定 運転期間 60 年超に延長 新増設へ方針を大転換

政府は原発の運転期間の延長や次世代原発の新増設などを盛り込んだ基本方針を正式に決定しました。 脱炭素化を進めるための GX = グリーントランスフォーメーション会議で了承された基本方針では、原発事故後に定められた最長 60 年とする原発の運転期間について、規制委員会の審査などで停止した期間を運転期間から除外してその分延長します。 また、最新技術を搭載した「次世代原発」について廃炉が決まった原発を対象に置き換える形で開発や建設を進めます。

一方、再生可能エネルギーの普及を強化するため蓄電池の導入を支援する方針なども盛り込まれました。 政府は、この基本方針を年明けに閣議決定したうえで、来年の通常国会に関連法案を提出する方針です。 (テレ朝 = 12-22-22)


高浜原発 3、4 号機、運転延長申請へ 60 年まで運転「問題ない」

関西電力は 25 日、運転開始から 40 年を近く迎える高浜原発 3、4 号機(福井県)について、運転期間の 20 年間の延長を原子力規制委員会に申請すると発表した。 申請に必要な特別点検を今年 9 月 22 日から今月 17 日まで実施し、60 年までの運転は問題ないと判断したという。 1985 年に運転を開始した 3、4 号機は、2025 年に 40 年を迎える。 3、4 号機では今年、蒸気発生器の伝熱管の損傷が見つかった。 関電は長期的な信頼性を確保するためとして、蒸気発生器を取り換える方針だ。

東京電力福島第一原発事故後、原発の運転期間は原則 40 年までと定められた。 規制委が認めた場合に 1 回だけ最長 20 年間までの延長が認められる。 運転開始から 40 年以上が経つ老朽原発のうち、これまで延長が認められたのは、関電の美浜原発 3 号機、高浜原発 1、2 号機(いずれも福井県)と、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)の計 4 基で、美浜 3 号機は昨年 6 月に再稼働した。 九州電力は今年 10 月、川内原発 1、2 号機(鹿児島県)の運転延長を申請した。 (野口陽、asahi = 11-25-22)


島根原発 2 号機、工事完了時期を延期 中国電「23 年度の早期に」

全国で唯一、県庁所在地にある島根原発 2 号機(松江市)について、中国電力は 28 日、再稼働に必要となる安全対策工事の完了時期を来年度に延ばすと発表した。 工事は地震や津波に備えるもので、これまでは 2023 年 2 月に終える予定としていた。

中国電は、国の原子力規制委員会とやり取りを続ける中でさらなる補強や地盤改良の工事が必要と判断したと説明。 滝本夏彦社長は同日の会見で、工事の完了は「23 年度のできるだけ早期」を目指す考えを明らかにした。 3 号機の工事もあわせて工期が伸び、24 年度上期に完了する見通しとなった。 テロ対策工事をのぞく安全対策工事費はこれまでの 6 千億円から 6,800 億円に増える。

2 号機は 12 年 1 月に定期検査のために運転を停止して 10 年以上たつ。 21 年 9 月に規制委の審査に通り、今年 6 月までに島根県など地元自治体が再稼働に同意していた。 事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉 (BWE) で、震災後初めての BWR の再稼働となる可能性がある。 中国電は 23 年 3 月期に過去最大の赤字を計上する見込みで、家庭向け電力料金の値上げも検討する。 岸田政権が原発回帰を掲げるなか、滝本社長はこの日、山口県上関町での原発新設計画を進める意欲も見せた。

上関町では今月、11 年ぶりとなる町長選が行われ、原発推進派の候補が当選。 同社はその 2 日後、原発に反対する住民団体「上関原発を建てさせない祝島島民の会」を相手取り、原発建設に必要な海上ボーリング調査を妨害しないよう求める民事訴訟を山口地裁岩国支部に起こした。 滝本社長は、住民団体との民事調停が成立しなかったことを踏まえ、「海上ボーリングを円滑に進めないといけない。 やむにやまれず決断に至った。」と話した。 (松田史朗、野口陽、asahi = 10-28-22)


川内原発 1・2 号機、40 年超え運転延長申請 首相方針表明後初めて

九州電力は 12 日、2024 - 25 年に運転開始から 40 年を迎える川内原発 1、2 号機(鹿児島県)について、20 年間の運転延長を原子力規制委員会に申請した。 岸田文雄首相が 8 月に原則 40 年最長 60 年の運転期間の延長を検討する方針を示して以降、初の申請となる。 川内原発では 1 号機が 24 年 7 月、2 号機が 25 年 11 月に運転開始から 40 年を迎える。 昨年 10 月以降、運転延長に向けて設備の劣化などを調べる特別点検に入っていた。 12 日に会見した九電東京支社の浜田寛副支社長は、原子炉容器の傷を超音波で見つける検査などをした結果、異常は見つからなかったと説明した。

東京電力福島第一原発事故後の法改正で、原発の運転期間は原則 40 年となり、規制委が認めれば最長 20 年延長できる。 これまでに認められたのは、関西電力の高浜原発 1、2 号機と美浜原発 3 号機(いずれも福井県)、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)の 4 基。 うち美浜 3 号機が昨年 6 月に再稼働した。 また、運転開始から 37 年が経つ高浜原発 3、4 号機(福井県)は、運転延長に向けた特別点検を進めている。 経済産業省は、電力の安定供給などを理由に運転期間を延ばせるようにする法改正を検討している。 (山野拓郎、佐々木凌、asahi = 10-12-22)


トラブル続きの美浜原発 3 号機、あす原子炉起動 20 日遅れで再開

関西電力は 29 日、トラブルが相次ぎ運転再開を延期していた美浜原発 3 号機(福井県)について、30 日から原子炉を起動、9 月 1 日に発送電を再開すると発表した。 3 号機は昨年 10 月から定期検査中。 関電は今月 10 日に起動、12 日に発送電再開を予定していた。 ところが 1 日に放射性物質を含んだ水約 7 トンが漏れていることが見つかったほか、21 日には一次冷却系統のタンク内の圧力が一時、保安規定に定める規制値を下回るなどトラブルが続き、再開を延期していた。予定から 20 日遅れとなる。

3 号機は運転から 40 年以上が経つ老朽原発。 昨年 6 月、10 年ぶりに再稼働した。 東京電力福島第一原発の事故後、老朽原発の再稼働は全国で初めてだった。 岸田文雄首相は 24 日、脱炭素の実現に向け議論する GX (グリーン・トランスフォーメーション)実行会議で、原発を積極的に利活用する方針を表明し、これまでの原発政策を大きく転換。 原則 40 年としてきた原発の運転期間の延長を検討する方針を示している。 (野口陽、asahi = 8-29-22)


岸田首相、来夏以降に原発 7 基の再稼働進める 「国が前面に立つ」

岸田文雄首相は 24 日、これまでに再稼働した 10 基に加え、7 基の原発について来夏以降に再稼働を進める方針を示した。 同日午後にあった GX (グリーン・トランスフォーメーション)実行会議で表明した。 7 基は、関西電力高浜 1、2 号機(福井県)、東北電力女川 2 号機(宮城県)、中国電力島根 2 号機(松江市)、東京電力柏崎刈羽 6、7 号機(新潟県)、日本原子力発電東海第二(茨城県)。

いずれも原子力規制委員会の主要な審査を通っており、すでに各電力会社が再稼働に向けて動き出しているものだ。 ただ、いずれも再稼働に必要な安全対策工事や地元の同意の手続きが済んでおらず、時期のめどがたっていない。 原発の稼働はあくまで、電力会社の責任で判断することが原則だ。 政府は電力の供給を安定させるとして、原発の再稼働に向けて国が前面に立って支援する方針だ。 岸田首相は会議の終わりに「設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面にたってあらゆる対応をとる」と話した。

7 月にあった第 1 回の会合で、岸田首相は電力やガスの安定供給に向けて、「原発の再稼働とその先の展開策などの具体的な方策について、政治の決断が求められる項目を明確に示してもらいたい」と発言していた。 GX 実行会議は、2050 年の脱炭素社会の実現に向けた取り組みを議論する。 今後 10 年間で優先して取り組むべき分野などについて整理していく。 年末に向けて検討を重ね、成果文書が示されるとみられる。 (岩沢志気、asahi = 8-24-22)

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岸田首相、原発の新増設の検討を指示 GX 実行会議で発言

岸田文雄首相は 24 日、原発の新増設について検討を進める考えを示した。 脱炭素の実現について議論する GX (グリーン・トランスフォーメーション)実行会議で表明した。 実際に新増設する政府方針が決まれば、2011 年の東京電力福島第一原発事故以来の大きな政策転換となる。 岸田首相は会議の終わりに「次世代革新炉の開発・建設など政治判断を必要とする項目が示された。 あらゆる方策について年末に具体的な結論を出せるよう検討を加速してください」と発言した。

7 月にあった第 1 回の会合で、岸田首相は電力やガスの安定供給に向けて、「原発の再稼働とその先の展開策などの具体的な方策について、政治の決断が求められる項目を明確に示してもらいたい」と発言。 経済産業省などが具体的な論点を詰めていた。

原発事故以降、歴代政権は原子力への依存度を低減する方針を掲げてきた。 岸田首相も、これまで原発の再稼働を進める一方、新増設や建て替え(リプレース)について「現時点で想定していない」としてきた。 原発の運転期間は法令で原則 40 年、最長 60 年と決まっており、新増設やリプレースをしなければいずれゼロになる。 新しく原発をつくる政府方針が固まれば、将来も長期にわたって原発に頼ることを意味する。 GX 実行会議は、50 年の脱炭素社会の実現に向けた取り組みを議論する。 今後 10 年間で優先して取り組むべき分野などについて整理していく。 年末に向けて検討を重ね、成果文書が示されるとみられる。 (岩沢志気、asahi = 8-24-22)


原発最大 9 基を稼働、岸田首相が経産相に指示 冬の電力逼迫を懸念

岸田文雄首相は 14 日の記者会見で、萩生田光一経済産業相に対して、電力需給の逼迫が懸念される今冬に、最大 9 基の原発の稼働を進めるよう指示したことを明らかにした。 首相は「できる限りの多くの原発、この冬で言えば最大 9 基の稼働を進め、日本全体の電力消費量の約 1 割に相当する分を確保する」などと述べた。 さらに、電力消費のピーク時に余裕をもって安定供給できる水準をめざすため、「火力発電の供給能力を追加的に 10 基をめざして確保する」ことも求めたという。

これらが実現すれば、過去 3 年間で、最大の供給力を確保することにつながると説明した。 首相は「政府の責任であらゆる方策を講じ、この冬のみならず、将来にわたって電力の安定供給が確保されるよう全力で取り組む」と語った。 政府関係者によると、稼働の対象となるのは、関西電力大飯 3、4 号機、同美浜 3 号機、同高浜 3、4 号機(以上、福井県)、四国電力伊方 3 号機(愛媛県)、九州電力川内 1、2 号機(鹿児島県)、同玄海 3 号機(佐賀県)。 9 基はいずれも原子力規制委員会の審査を通過し、一度は再稼働した原発だ。

14 日時点で動いているのは、大飯 3 号機、伊方 3 号機、玄海 4 号機、川内 1、2 号機の 5 基。 ほかはテロ対策施設の完成が遅れるなどしていったん停止しており、電力需給が厳しい冬までに運転を再開させたい考えを示したものとみられる。 (asahi = 7-14-22)



島根原発 2 号機 「新基準適合」決定 来年度以降、再稼働の可能性も

原子力規制委員会は 15 日、中国電力が再稼働をめざす島根原発 2 号機(松江市)について、安全対策の基本方針が新規制基準に適合すると認める審査書を正式決定した。 地元の同意を得たうえで、来年度以降にも再稼働する可能性がある。 島根原発は全国で唯一、県庁所在地にあり、30 キロ圏内に住む避難対象者は 45 万人超に達する。 再稼働には、中国電が立地自治体である島根県と松江市との間で結んだ安全協定の「事前了解権」に基づき、同意が必要となる。 両首長とも目立った反対はしていないが、周辺の別の自治体や鳥取県も、中国電に対し事前同意を求める動きがある。

新基準への適合は 10 原発 17 基目。 事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ沸騰水型炉 (BWR) では 4 原発 5 基目で、地元同意や工事の進み具合で、島根 2 号機が BWR 初の再稼働となる可能性がある。 敷地内に新設している 3 号機の審査も 2018 年に始まった。 地震や津波の想定は 2 号機とほぼ同じで審査期間がその分、早まるとみられる。 中国電は、地震や津波に備える安全対策工事の総額を当初 1 千億円超としていたが、現在は約 6 千億円を見込む。 テロ対策施設も建てる必要があり、費用はさらに膨らみそうだ。 清水希茂社長は 10 日の会見で「稼働すれば、投資に見合うメリットがある。 経営的に十分回収できる。」と話した。

中国電は島根 2 号機について 13 年 12 月に新基準に基づく審査を申請。 今年 6 月、規制委が審査書の案を了承し、意見募集を実施した。 中国電が、規制委と秘密保持契約を結んで貸与されていた資料を誤廃棄し、それを規制委に報告していなかったことなどを受け、「技術的能力を満たしていない」といった指摘などのべ 156 件の意見が寄せられた。 (藤波優、松田史朗、asahi = 9-15-21)

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