「名岐アパレル」で連鎖倒産、産地の厳しい現実
新型コロナが直撃、生き残りへ道はあるのか

収束の気配が見えない新型コロナウイルスの感染拡大。 長引く外出自粛の要請で深刻な影響を受けているのが、アパレル業界だ。 ある衣料チェーンの幹部は「コロナ禍で消費者が外出しなくなり、衣料品の需要そのものが消滅してしまった」と嘆く。 「今年はさすがにコロナ影響が後退するだろうとにらみ、春夏製品を多く仕込んでいたが、完全に空振りに終わった。(同)」 現在はその在庫処分に追われる毎日だ。 こうした状況は衣料店だけでなく、そこに商品を仕入れるアパレルメーカーや卸にも波及する。 今年 5 月から 7 月にかけて、愛知県と岐阜県のアパレル関連企業で連鎖倒産が起きた。

「駆け込み寺」の破綻が発端

5 月 14 日、名古屋市中区に本社を構えるコイケが民事再生法を申請した。 負債総額は 73 億円。 同社は婦人服やニット製品など幅広いアパレル製品を取り扱ってきたが、コロナ禍で取引先であるカジュアル衣料店の需要が急減、資金繰りに行き詰まった。 「まさかあのコイケがつぶれるとは。」 その倒産は業界で驚きを持って受け止められた。 コイケはアパレル製品の企画・販売よりも、アパレル製品の輸入代行が主力の業務で、信用力のない中小アパレルの輸入代金の支払いを一時的に肩代わりすることも少なくなかった。 いわば、このエリアの中小アパレルにとって、駆け込み寺のような存在だった。

同社は直近まで売上高 100 億円台を維持しており、「他社の借金を肩代わりするぐらいだから、資金繰りには問題ないと捉えていた。(業界関係者)」 まさに "突然死" だった。 「駆け込み寺」の倒産の影響は大きかった。 7 月までに名古屋と岐阜に本社のあるアパレル関連企業が 4 社倒産。 いずれもコイケとの取引があり、連鎖倒産とみられている。 倒産に名を連ねたのは小さいアパレル企業だけでなく、業界では有数の小売りチェーンと取引実績がある企業も含まれていた。 岐阜県羽島郡に本社を置くガゼールだ。

同社は 1948 年創業のアパレルメーカー。 岐阜地域のメーカーでは珍しく、レディースは扱わずメンズカジュアルに特化して商品企画を行ってきた。 信用調査会社によると 1992 年度には売上高 90 億円を超えていたが、その後減少傾向が続き、直近の売上高は 20 億円強にとどまっていたという。 ガゼールはしまむらやライトオン、ジーンズメイトなど低価格カジュアルチェーンが主販路で、量販店向けに広くプライベートブランドも手掛けていた。 商品提案力には定評があり、「流行に流されない、存在感のある製品を作るのに長けていた。(業界関係者)」 しかし、コロナ禍での衣料離れによる売り上げ減少が直撃、6 月 29 日に民事再生法の適用を申請した。

コイケは、アパレル製品を中心に扱う岐阜県の物流会社がスポンサーに名乗りを上げ、7 月に再生計画が裁判所に認可された。 他方、ガゼールはいまだスポンサーが決まらないままだ。 「2 社程度のスポンサー候補がいるが、いずれも異業種と聞いている。(業界関係者)」 スポンサーが決まらないまま、破産手続きへの移行を余儀なくされる可能性も少なくない。

栄枯盛衰の「名岐アパレル」

あまりイメージはないかもしれないが、愛知県と岐阜県は歴史的なアパレル関連企業の集積地だ。 愛知県は毛織物由来のメーカーのほか、繊維商社も多い。 岐阜県には商業の街・岐阜市を中心に戦後アパレル卸が集積、ダイエーやイトーヨーカ堂など総合スーパー (GMS) 向けに急成長した。 業界では名古屋と岐阜の頭文字をとって「名岐アパレル」と呼ばれる。 かつて展示会が開かれるシーズンには、多数の小売り関係者が泊まり込みで集まり、2 - 3 日かけて「名岐アパレル詣で」が行われたという。

名岐アパレル、特に岐阜のアパレルの特徴は、GMS など量販店向けに大量の製品を手掛けるものの、自社の名前はほとんど表に出ない「黒子役」だったことだ。 多くの消費者は、一度は名岐アパレルの製品を手に取ったことがあるはずだ。 だが、その製品を製造した会社の存在は、ほとんど意識されなかったといえるだろう。 そんな名岐アパレルは、かつても危機的状況に陥ったことがある。 1990 年代に起きた、GMS 各社の経営危機だ。 そのあおりを受け、名岐アパレルの多くが淘汰された。

荒波を乗り越えた企業は、GMS に代わって台頭した低価格衣料チェーンや紳士服チェーンとの取引を増やした。 その後は、市場が縮小する中でも、各社は自社の取引先との取り組みを強化、棲み分けるようにして生き残ってきた。 しかし、そうして何とか生き残ってきた名岐アパレルを、新型コロナが一気に追い詰めた。 名岐アパレルには、ガゼールのようにピーク比で大幅に売り上げを落としていた企業は少なくなく、新型コロナが構造的な問題をあぶり出したともいえる。 業界関係者は「名古屋のアパレルは商社機能が中心で、資金力もある企業が多い。 だが、岐阜のアパレルはどこも厳しいのではないか。」と指摘する。

そんなギリギリの状況下でも、岐阜のアパレルで存在感を見せる企業がある。 1949 年に岐阜県で創業した、カジュアルファッションメーカーの「水甚」だ。 アメリカのスポーツブランド「ファーストダウン」や、2020 年 10 月には倒産したレナウンが手放した「アーノルドパーマー」の販売権を取得するなど、日本国内で海外ブランドの商品を製造・販売するブランドビジネスを積極展開する。

ダウンジャケットが主力の「ファーストダウン」は 1997 年から取り扱いを始め、主に GMS 向けに展開してきた。 だが、今から 3 年前、あるセレクトショップが同ブランドを紹介。 それが大きな転機となり、セレクトショップでの取り扱いが増えた。 GMS 向けは 5,000 円台が主流だが、いまやセレクトショップ向けは 3 万円台を中心に展開する。

「買ってもらえる自信があった」

こんな "大変身" が可能となったのも、商品力があるからだ。 そもそも縫製工場から始まった水甚は、工場でのものづくりに重点を置いてきた。 現在も中国とミャンマーに合弁工場をもつ。 商社を通さずに、資材調達から企画、製造まですべて自前で行えるのも強みだ。 ダウン原料の取扱量は「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングに続いて国内で 2 番目。 ダウンジャケットとしてはそれほど高価ではないのに、軽くて包み込まれるような着心地が人気になった。 同社の中村好成社長は「袖を通せば、買ってもらえる自信があった。 ものづくりの背景があればこその転換だった。」と振り返る。 コロナ禍の昨年も、ファーストダウンは前年の売り上げを確保した。

ダウンブームが落ち着いた面はあるが、今後も拡大の余地があるとみる。 2019 年にはブランドの発祥地であるアメリカで展示会も行っており、今後は海外市場を視野に入れ、アメリカや中国、韓国での展開を目指す。 「百貨店に比べて量販店は品質や価格に厳しい。 その中でうちは生き残ってきたし、そこに自信をもっている。(中村社長)」 昨年の「アーノルドパーマー」の販売権取得も、自ら店舗を持ち、消費者との接点を直接持つため。新しいブランドとの契約には、当たり外れや自社で在庫を抱えるなどのリスクもつきまとうが、そこに迷いはまったくなかったという。 「いまは大きなチャンスでしょ。」 中村社長はそう言って笑う。

新型コロナ感染の長期化で、アパレル企業を取り巻く環境は一段と厳しさを増している。 そんな逆風下、自ら動かなければ、生き残りの可能性は閉ざされてしまう。 今こそ、チャレンジが必要な時だ。 (山ア 理子、東洋経済 = 8-23-21)

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衣料品卸のコイケ、コロナによる資金繰り悪化で民事再生法申請 負債約 67 億円

衣料品や雑貨の輸入卸を行うコイケが 5 月 14 日の今日、民事再生法の適用を東京地裁に申請し、保全処分命令及び監督命令を受けたと帝国データバンクが報じた。 負債は 2020 年 7 月期末時点で約 67 億円(割引手形残高を含む)。 なお、アパレル商品の企画や生産を行うジーエフホールディングスとスポンサーとして事業の再生を図る旨の基本合意書を締結した。

同社は、アパレル製品卸業者として 1975 年に設立。 「フルーツオブザルーム (Fruit of the Loom)」、「ジェリー (Gerry)」といったブランドを取り扱っており、OEM・ODM 生産を行うほか、中国市場への進出を目指す企業に対して中国国内販売やドロップシップの代行納品業務などを担当していた。

報道によると、2019 年 7 月期には年売上高約 125 億 2,000 万円を計上していたが、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛などに伴う需要の変化から業績が悪化。 2020 年 7 月期の年売上高は約 116 億 3,800 万円に低迷し、規模の縮小や人件費カットなどの固定費削減等を進めていたが、コロナ禍による資金繰りの悪化から 2021 年 5 月以降の債務弁済の目処が立たなくなったという。 (FashionSnap = 5-14-21)


三陽商会、希望退職 150 人募集に 180 人応募

三陽商会は、1 月 21 日に公表した希望退職者募集の 150 人程度の枠に対して 180 人が応募したと 17 日に発表した。 同社の希望退職者募集は 2013 年以降で 4 回目。 特別退職金と再就職支援に関する経費として、2021 年 2 月期決算に特別損失約 13 億円を計上する。 同社は 15 年 6 月末に売上高の半分を占めていた「バーバリー」ブランドのライセンス契約が終了。 大きな穴を埋めるべく「マッキントッシュ ロンドン」をはじめとする後継ブランドの育成に取り組んできたが、苦戦を強いられてきた。

慢性的な赤字体質からの脱却のため、20 年 4 月に公表した「再生プラン」の下、大規模な店舗閉鎖(21 年 2 月期に 160 店舗)などの事業構造改革を進めてきた。 だがコロナによる 2 度目の緊急事態宣言の発出によりさらなる経営環境の悪化が見込まれる中、4 回目の希望退職募集を余儀なくされていた。 (林 芳樹、WWD = 3-17-21)

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三陽商会が希望退職者を 150 人募集、2 度目の緊急事態宣言発令を受けて

三陽商会が 1 月 21 日の今日開催した臨時取締役会で、希望退職者を募集することを決議した。 人数は従業員約 150 人程度を予定し、募集期間は 2 月 15 日から 3 月 5 日まで。 退職日は 3 月 31 日を予定している。 なお、昨年 12 月 21 日に公表したセカンドキャリア支援制度は今回の希望退職制度に移行するという。

三陽商会が早期退職者募集、40 歳以上の正社員が対象に

同社では昨年 4 月 14 日に発表した再生プランの達成に向けて、収益確保のための事業構造改革の推進と効率化に取り組んできた。 しかし 2 度目の緊急事態宣言の発令を受けて、今後想定される一層厳しい経営環境に対応するため、事業規模に見合った人員体制の構築が急務と判断。 さらなる構造改革施策推進の一環として希望退職者の募集を決めた。 退職者は会社都合として扱い、所定の退職金に加え特別退職金を支給。 希望者には再就職支援会社を通し゛た再就職支援を行う。 募集に伴い発生する費用は、2021 年度 2 月期連結決算において特別損失として計上する予定だという。 (FashionSnap = 1-21-21)


ワールドは 1 年でリストラ 2 度 デジタル化の出遅れ響く老舗アパレル業界

アパレル大手のワールドが今月、450 店舗の閉鎖と 7 ブランドの終了を発表した。 昨年 8 月にも店舗の閉鎖と 5 ブランド終了を公表しており、1 年のうちに 2 度目の大リストラとなった。 アパレル業界では老舗のレナウンが経営破綻したほか、オンワードホールディングスなど大手は軒並み赤字に陥っている。 衰退市場で少しずつ体力を奪われるなか、新型コロナウイルスの感染拡大で過去に類をみないサバイバル時代に突入。 旧態依然としたビジネスモデルも自らの首を絞める形となっている。(田村慶子)

百貨店ブランド不振

「昨年 8 月時点ではこれほどまでの状況になるとは予測できなかった。」 ワールド IR 室の担当者は、1 年で 2 度のリストラを余儀なくされたことにこう頭を抱える。 コロナによる外出自粛や在宅勤務で百貨店などの集客力をそがれ、今後も厳しい状況が続くとみて追加のリストラに踏み切ったという。 ワールドは昨年 8 月公表の構造改革で、250 店舗の閉鎖と 5 ブランドの終了に加え 294 人の早期退職募集を実行。 そして今月、来年度中に 450 店舗を閉鎖、売り上げ規模の小さい「ジェット」など百貨店への展開を中心としてきた 7 ブランドを終了し、100 人規模となる追加の早期退職募集も決めた。

令和 2 年 4 - 12 月期連結決算(国際会計基準)では 78 億円の最終赤字(前年同期は 118 億円の黒字)に転じており、厳しい経営状況になっている。 ワールドの経営危機は今回が初めてではない。 平成 17 年には当時の寺井秀蔵社長のもと、長期的な構造改革に取り組むことを目的に MBO (経営陣による自社買収)で上場を廃止。 27 年にはスーパーの長崎屋や英会話教室 GABA などの社長を歴任した上山健二氏が創業家以外で初の社長に就任し、不採算の約 500 店舗閉鎖、計 13 ブランドを廃止するなど構造改革を実行した。

構造改革の効果で利益は改善する半面、「ユニクロ」などのファストファッションや「ZOZO」などインターネット通販の台頭で売り上げの伸び悩みは続いた。 30 年には資金を調達するため 13 年ぶりに東証 1 部へ再上場したものの、販売が上向くことはなく、コロナ禍もあり追加の構造改革に追い込まれた。

デジタル対応で遅れ

アパレル業界をめぐっては、昨年 5 月に老舗メーカーのレナウンが民事再生法の適用を申請し、その後もスポンサーが見つからず破産開始が決定。 負債総額は事業譲渡により当初の 138 億 7,900 万円から減ったものの、最終的に 93 億 6,366 億円に上った。 オンワードや三陽商会も直近の決算で最終赤字を計上しており、いずれも百貨店や都市部店舗で客足が戻らない状態が続いていることが響いている。

だが、業界の衰退はコロナの感染拡大以前から続いており、むしろコロナ禍で長年置き去りにされてきた「病巣」が一気に顕在化しただけだとの見方は強い。 変化する消費者ニーズへの対応の遅れもコロナ禍で露呈した課題のひとつだ。 最も遅れているのがデジタル化で、通販サイトやアプリを通じて購入する若者が増えているにも関わらず、百貨店やショッピングセンターなど実店舗依存の販売手法が主流になっている。

ワールドの売り上げに対する EC (電子商取引)販売の比率は 20% 程度。 経営破綻したレナウンに至ってはわずか 3% ほどだった。 ワールドは「EC では年末年始に許容量を超えた発注が舞い込み、配送に 2 週間かかるなど大幅な出荷遅れが出た。 商品もオフィスワーカー向けが多くてコロナ時代にマッチしておらず、急激な変化への対応が遅れている」と明かす。

在庫過剰の悪循環

一方、ワールドは「コロナの感染拡大前から続くオーバーストア(店舗過剰)、オーバーサプライ(供給過多)も苦境の原因」とする。 アパレル向けのクラウドサービスなどを手がけるフルカイテン(大阪市)の瀬川直寛社長は、アパレル業界が長年抱える在庫問題を指摘し、「製造コストを下げるため中国などに発注する一方で、国内市場は頭打ちで売れ残りが増えるようになった。 トレンド商材のため翌年に商品を持ち越すこともできず、二束三文で海外へ輸出したり焼却処分したりする。 家賃や人件費など固定費負担の大きい実店舗の売り上げを維持するため、在庫を簡単に減らせない悪循環に陥っている。」と説明する。

この在庫状況を示すデータがある。 日本繊維輸入組合が生産動態統計や貿易統計を基に推計した衣類の国内供給量は、令和元年で約 39 億 8,400 万点だった。 20 年ほど前の平成 12 年は約 37 億点で、その後は年 40 億点前後で推移。 1990 年代は 15 兆円ほどあった国内のアパレル市場が 9 兆円強まで縮小するなか、供給量は変わらず横ばいが続いているのだ。

民間調査会社の矢野経済研究所は「一般にアパレル業界では国内供給量の 6 割程度が購買されれば大成功といわれており、残りは不良在庫になる」と指摘。 フルカイテンの瀬川社長も「大量発注、大量生産し、販売はセールに頼りきりという "持病" があり、サステナビリティ(持続可能性)の観点からも問題」と懸念する。 こうした悪弊を断ち切らない限り、業界への逆風は止まないだろう。 (sankei = 2-23-21)


コロナ禍で露呈した大手アパレル 4 社の深刻度

ワールド、オンワードホールディングス、TSI ホールディングス、三陽商会の老舗アパレルはコロナによってさらなる構造改革を余儀なくされた。 ファッション業界の御意見番であるコンサルタントの小島健輔氏が、直近の財務諸表から 4 社の現状を分析する。

三陽商会は 2021 年 2 月期で 4 期連続の営業赤字の見通し

昨年 12 月 28 日発表の三陽商会に続き、1 月 8 日にはオンワードホールディングス(以下、オンワード)、13 日には TSI ホールディングス(以下、TSI)、2 月 3 日にはワールドとコロナ禍の 2021 年 2 月期・3 月期第 3 四半期(以下、3Q)決算が出そろったが、コロナ禍のダメージと財務状況の逼迫度は必ずしも一致せず、コロナ禍以前からの失策のツケが露呈していた感がある。 各社の実態をどう捉えるべきだろうか。 3 月期決算のワールドを除く 3 社は 2 月期決算。 三陽商会は前期が 14 カ月変則決算のため前期比数値が算出できない。

4 社の売り上げダメージと衣料消費の激減

3Q 累計売り上げの前年同期からの落ち込みは三陽商会が最も大きく(月次単純平均で 37.9% 減、三陽商会は以下同)、オンワードの 28.3% 減、ワールドの 27.2% 減が続き、TSI の 22.7% 減が最も軽かった。 いずれも緊急事態宣言に直撃された 1Q の落ち込みが大きく、百貨店比率の高かった三陽商会の 65.0% 減に対し、TSI は 49.4% 減、ワールドは 45.0% 減とやや落ち込みが浅く、EC の急伸に救われたオンワードは 34.9% 減に収まった。 2Q、3Q の回復は TSI が最も早く、ワールド、オンワードが続き、三陽商会が最も鈍かったのも百貨店依存度に相応している。

店舗の休業などで上半期の EC・通販売上比率が前期の 12.7% から 24.4% に急伸したとはいえ、三陽商会の百貨店売上比率は前期の 62.3% から 56.9% と高止まりしており、3Q 累計国内売り上げで EC が 32.4% と百貨店の 29.6% を凌駕したオンワードと比べれば百貨店依存の高さが際立つ。 ワールドは 3Q 累計で EC は 22.2% に過ぎないが、駅ビルや SC (ショッピングセンター)など非百貨店が 42% ほどを占めて百貨店は 20% 程度まで落ちたと推計される。 TSI は 3Q 累計で非百貨店が 42.7%、EC が 29.8% を占め、43% も減少した百貨店は 9.7% と 1 ケタに落ち込んだ。

コロナ禍の 20 年は消費が冷え込み、経済産業省の商業動態統計では「衣服・身の回り品小売売り上げ」が 16.8% 減少、総務省家計調査でも「被覆及び履物支出」が 19.8% 減少したが、日本百貨店協会による商品別売り上げで衣料品は 31.1%、身の回り品は 27.1%、化粧品は 39.1% も落ち込んだ。 衣料消費全体では 20% 前後落ち込んだと見られるが、百貨店を中心とした高額品の落ち込みが大きく、低価格の生活衣料は落ち込みが浅かった。

ロックダウンが続いた米国(米国商務省小売統計)では食品スーパーなどエッセンシャル消費が伸びて「小売売り上げ」総体(自動車・機械・ガソリン・飲食を除く)が 6.9% 増加し、EC が大半を占める無店舗小売が 22.1% も伸びた中、衣料・服飾小売りは 26.4% も減少した。 米国に比べればわが国の衣料・服飾売り上げの落ち込みは浅かったが、日本の「衣服・身の回り品小売売り上げ」は「小売売り上げ」(自動車・機械・ガソリンを除く)の 7.96% も占め、米国「小売売り上げ」に占める「衣料品・服飾小売売り上げ」の 4.95% の 1.6 倍にも及ぶから、コロナ禍による市場縮小が一過性で済むと見てはなるまい。

4 社の財務的ダメージ ワールドは昨年 8 月に続く大規模なリストラ

売上対比の営業損失は三陽商会が 25.2% と突出して大きく、他 3 社は 7.3 - 8.5% に収まる。 三陽商会は純損失を 12 億 6,900 万円に抑えたが、固定資産売却益 67 億円や有価証券売却益、助成金収入で補填した結果で、経常損失は 68 億 1,200 万円に上る。 オンワードは経常損失 102 億 4,500 万円に特別損失 85 億 9,200 万円が加わり、固定資産売却益 25 億 9,200 万円、助成金収入 16 億 9,700 万円等で補填しても 142 億円の純損失を計上している。

TSI は経常損失 70 億 1,200 万円に特別損失 49 億 600 万円が加わり、固定資産売却益 18 億 2,800 万円や有価証券売却益、助成金収入等 25 億 8,500 万円を補填しても 111 億 9,600 万円の純損失を計上している。 ワールドは営業損益段階で構造改革費用 52 億 800 万円を計上して 78 億 8,200 万円の純損失を計上しているが、3Q段階では固定資産売却益などによる補填は見られなかった。 結果、三陽商会の純資産は 365 億 2,000 万円と前期末から 23 億 200 万円減少、オンワードは 678 億 8,700 万円と 261 億 4,900 万円減少、TSI は 804 億 400 万円と 150 億 4,700 万円減少、ワールドは 747 億 300 万円と 85 億 9,400 万円減少したが、コロナ禍の今期だけで評価するべきではない。

各社ともその前から業績が行き詰まり、純資産が大きく減少していた。 15 年 2 月期と比較すれば、オンワードは 1,174 億 2,800 万円 / 63.4%、TSI は 414 億 5,900 万円 / 34.0%、三陽商会は 286 億 2,700 万円 / 43.9% も減少している。 ワールドは 17 年 3 月期の 129 億 1,000 万円から 20 年 3 月期は 832 億 6,300 万円と年々積み上げたが、今 3Q は 747 億 3,400 万円と 85 億 9,400 万円減少している。

財務の逼迫度と構造改革 TSI はグループ企業の再編と社長交代

今 3Q の有利子負債はオンワードで 887 億円と前期から 223 億 1,300 万円、TSI も 423 億 3,600 万円と同 87 億 8,800 万円、ワールドも 799 億 2,100 万円と同 15 億 6,400 万円増えたが、固定資産売却益などで補填した三陽商会は 60 億 2,000 万円と同 30 億 1,200 万円減少している。 ワールドは 05 年の MBO (経営陣が参加する買収)の借金 2,300 億円の残債など 1,059 億 3,800 万円(18 年 3 月期)を 18 年 9 月の再上場で引き継ぎ、20 年 3 月期までに 781 億 1,800 万円に圧縮していたが、コロナ禍で圧縮が止まった。

純資産対比負債比率はオンワードが 130.7% と突出し、虎の子の欧州子会社オンワードラグジュアリーグループを 20 年 12 月 11 日付で売却することになった(22 年 2 月期に計上予定)。 次いで高いのがワールドの 106.9% で、含み資産も限られることから 2 月 3 日、新たに 7 ブランドの事業廃止と 450 店の閉店、子会社 2 社での 100 人の希望退職募集に踏み切っている。 それに比べれば TSI の 52.7% はまだ健全だが、今期末までに 243 店を閉め、300 人の希望退職を募集する。

意外に健全なのが三陽商会の 16.5% で財務的には逼迫していないが、営業損失があまりに大きく(3Q で売り上げの 25.2%)、今期中に 160 店を閉めて販売員を 500 人削減し、4 度目の希望退職(150 人)も募集する。 三陽商会の希望退職は 13 - 18 年で 770 人にも達しており、今回を合わせると 920 人を超えることになる。 なまじっか財務に余裕があったことが抜本的な改革を遅らせ、度重なる希望退職もあって人材の流失も激しく、脱百貨店も EC シフトも遅れ、後手に回って出口が見えなくなっているが、それでも破綻には遠いアイロニーが悲しい。

傷が軽かったように見える TSI とワールドだが、両者はコロナ以前に構造改革を断行してある程度、贅肉を落としていた。 TSI は 13 年 2 月期、14 年 2 月期に 941 店を閉め、16 年 2 月期には 528 人が希望退職していたし、ワールドは 16 年 3 月期に 500 店を閉めて 453 人が希望退職し、20 年 3 月期にも 294 人が希望退職している。 オンワードも 20 年 2 月期に 423 人が希望退職しているが、大量閉店は 21 年 2月期からだ。

財務的な余裕がそれほどなく(ワールドは借金を抱え)先んじて構造改革に踏み切った非百貨店系大手アパレルとて、コロナ禍では少なからぬダメージを受けて追加の構造改革を強いられたが、長年の蓄積で財務的に余裕があった百貨店系大手アパレルは構造改革に遅れを取り、コロナ禍で急激に追い詰められたと総括されよう。

商品財務と運転資金負担

在庫回転は SC 向け低単価商品も多いワールドが前年同期から 0.36 回減速の 3.07 回、在庫を 17.2% 絞った TSI は逆に 0.17 回加速の 2.81 回、オンワードが 0.37 回減速の 2.36 回と大差なかったが、百貨店比率が突出して高かった三陽商会は前期から 0.6 回減速の 1.66 回(棚資産回転 220.2 日)と過剰在庫が積み上がった。 2Q 末では 1.45 回(棚資産回転 250.9 日)だったから 3Q で多少は在庫圧縮が進んだが、危機的水準であることは変わらない。

運転資金回転日数も三陽商会が 206.2 日と最も長く 201 億 6,300 万円、純資産対比 55.2% の運転資金を要しているが、オンワードも 118.4 日と短いものの 564 億 2,900 万円、純資産対比では 83.1% の運転資金を要している。 TSI は 92.3 日、326 億 4,100 万円、純資産対比では 40.6% と抑制できており、ワールドは以前からのマイナス日数を維持して 163 億 1,900 万円の回転差資金を稼いでいる。 商品財務は各企業のサプライチェーンを反映しており、コロナ禍以前から政策的に運転資金回転を制御できていたかが問われた。

4 社の将来性 オンワードは 20 年 2 月期と 21 年 2 月期で国内外 700 店舗前後を閉めた

通期の売上見通しはオンワードが前期比 24.5% 減、ワールドが 24.7% 減、TSI が 22.3% 減と落ち込み幅は大差なく、三陽商会は 380 億円(前々期比 35.7% 減)と落ち込みが大きい。 来期以降の売り上げも百貨店比率と EC 比率で趨勢が決まるが、百貨店比率が際立って高く人材の散逸も激しい三陽商会はもちろん、大量閉店と事業撤退、急激な EC シフトの反動でオンワードも売り上げの回復は鈍く、コロナが長引けばさらに落ち込むリスクも指摘される。 大量閉店とブランド廃止、人員整理でワールドも TSI も厳しいが百貨店比率が低く、回復に転ずるのは三陽商会やオンワードよりは早いと思われる。

売り上げの回復には DX (デジタルトランスフォーメーション)やロジスティクスなど新たな投資も必要で、財務基盤から見れば TSI が優位にあり、三陽商会も経営主体次第でチャンスはあるが、オンワードとワールドは財務の立て直しを先行せざるを得ず、反転攻勢に出るのは一歩遅れるかも知れない。

コンテンツ(ブランドや商品)の市場性という点では、価格が高く旧態な通勤服が大半を占める三陽商会やオンワードは再構築が必要で、市場と大きく乖離した価格の抜本的訂正も必須だから、マーケットに受け入れられるには長い時間がかかる。 D2C・C2M ブランドは売り上げのスケールが小さく、全体を押し上げるパワーは期待できない。 ワールドや TSI が抱える多様なブランドもアフターコロナのマーケットに受け入れられるのは一部であり、新たなライフスタイルに応えるエッセンシャルなブランドや商品の開発には時間がかかるが、百貨店系 2 社に比べればまだ組織も思考も柔軟だから可能性は小さくない。 (小島健輔、WWD = 2-10-21)


アパレル大手「ワールド」 450 店舗閉店へ 早期退職募集も

アパレル大手のワールドは、新型コロナウイルスの感染拡大や、緊急事態宣言が再び出されたことなどで、売り上げの見込みが一段と厳しい状況になっているとして、7 つのブランドを廃止したうえで、収益性が低い 450 店舗を閉店すると発表しました。 合わせてグループ会社の社員およそ 100 人を対象に早期退職を募集するとしています。 発表によりますとワールドは、デパートを中心に展開する 7 つのブランドを廃止し、収益性が低い全国の 450 店舗について新年度中に閉店します。 また、店舗での販売業務などを行う、2 つのグループ会社の 40 歳以上の社員を対象に、およそ 100 人の早期退職を募集します。

ワールドは新型コロナウイルスの影響による売り上げ不振などで業績が悪化し、去年 8 月にも 350 店舗余りの閉店と、早期退職の募集を行うと明らかにしていましたが、感染拡大の収束の見通しが立たない中、このままでは収益の改善が難しいとして、追加の閉店などを決めたとしています。 また、会社では来月までの 1 年間の業績予想についても、緊急事態宣言の影響で先行きの不透明さが増していることなどから、これまで 60 億円の最終赤字としていた見通しを下方修正し、175 億円の最終赤字になるとの見通しを明らかにしました。 (NHK = 2-3-21)


アパレル 3 社が赤字 緊急宣言で落ち込み懸念 - 昨年 3 - 11 月期

TSI ホールディングス (HD) など大手アパレル 3 社の 2020 年 3 - 11 月期連結決算はいずれも純損益が赤字となった。 新型コロナウイルス感染拡大に伴う昨年 4 月の前回緊急事態宣言を受けた店舗休業が響いた。 11 都府県に拡大された今回の宣言による百貨店などの営業時間短縮で、販売がさらに落ち込む懸念もある。 (jiji = 1-14-21)


福袋から撤退する "勝算" とは 窮地に立つアパレルの今

アパレル業界が窮地に立たされている。 ファストファッションの台頭で業界の構造が変化してきたことに加えて、新型コロナウイルスが追い打ちをかけているからだ。 長年、デパートでの販売に主眼を置き、大量生産で売り上げを確保してきたアパレルメーカーは、今、こうした販売手法からの脱却を迫られている。 コロナ禍をアパレル業界は乗り切れるのか、各社の取り組みを追った。

なぜ大量在庫が生まれるのか

日本のファッション業界をリードしてきたアパレルメーカーの問題点として指摘されているのが、アパレルとデパートとの関係に基づく「大量生産・大量在庫」のビジネスモデルだ。 デパートに出店するアパレルは、常に棚を商品で満たすことを求められる。 機会ロス(消費者の欲しい商品が売り切れになって販売機会を逃すこと)を減らし、売り上げ目標を達成するためだ。 それは、売り場がガラガラに見えないようにするという「見栄え」の問題でもあった。 そのために大量に生産し、残った在庫はセールやアウトレットで売り切ることを目指し、それでも残った商品は焼却処分に回すことが常態化していた。

バブル経済の崩壊以降の景気後退と低成長に加えて、ユニクロなど低価格なファストファッションの台頭で、若い世代を中心にブランド離れが加速。 それでも、大量生産・大量在庫の慣習は続いてきたが、大きく追い打ちをかけたのが、新型コロナの感染拡大だ。 緊急事態宣言以後、デパートの休業や時短営業が響いて、アパレル各社は売り上げが大きく減少。 11 月にかけて相次いで発表されたアパレル各社の決算は軒並み赤字だった。 数百店規模にのぼる店舗閉鎖を発表するなど、リストラに追われた企業も少なくない。

焼却処分ゼロを達成したアパレル

しかし、こうした中でも業績を維持している企業もある。 20 代から 30 代をターゲットにした「グローバルワーク」や「ローリーズファーム」などのブランドを展開するアダストリアだ。 コロナ禍にあった、ことし 6 月から 8 月までの第 2 四半期の決算でも営業黒字を確保。 赤字ばかりのアパレル業界では、優等生と言えるだろう。 その要因の 1 つが幅広い販路だ。 1953 年創業のアダストリアは、販路をデパートに絞らず、ブランドのターゲットである若い年齢層が買い求めやすいよう、ショッピングセンターへの出店や EC = ネット通販を広げてきた。

そしてこの会社が強みにしているのが、徹底した在庫管理だ。 自社の EC サイトでの予約状況から人気の高い商品を分析して発注量を決定。 店舗に商品を納入したあとも日々の売り上げをチェックし、売れている商品は発注を増やし、売れていないものは躊躇なく発注を止める。 この柔軟な対応で余剰在庫を極力削ることで、新型コロナによる売り上げ減少の傷も最小限に抑えられたという。

アダストリア 福田泰己取締役「在庫管理はアダストリアのもともとの強みではあったが、それでもコロナでは非常に厳しい状況になり、第 1 四半期は在庫を多く抱えた。 しかし第 2 四半期では、予約状況を見ながら仕入れをコントロールすることで、大量の余剰在庫を抱えることなく、利益を確保できた。」

さらに、去年からは正月の "福袋" もやめてしまった。 以前は、集客のために、ショッピングセンター側から求められるままに福袋商戦に参加してきた。 しかし、売れるかどうか分からなくても大量に商品を準備する必要があり、そうしたむだを切り捨てた形だ。 こうした努力もあって、去年は焼却処分にまわす在庫をほぼゼロにすることができた。 福袋商戦からの撤退は業界で異端視されたが、その決断は間違っていなかったと福田取締役は話す。

福田取締役「セールや福袋で価格を下げて売ると、消費者にとって定価とは一体なんなのか分からなくなる。 可能な限りもともとの価格で売って、不平等がないようにする。 定価で売る方が会社にとっての利益も大きく、会社の業績にとっても最善だ。」

そして今、新たな利益の源泉となっているのが EC だ。 新型コロナによる店舗の休業で売り場に立てなくなったスタッフが、SNS を使って自宅などから商品を説明する動画を投稿。 これが人気となり、ことし 3 月から 8 月までの上期の EC の売り上げは、前年同期比で 25% 程度増えたという。 会社ではこの経験を踏まえて今後も EC を強化していくほか、1,000 万人にのぼる EC の会員基盤を活用した需要分析を通じて、さらに適正な在庫の維持に努める方針だ。

大手アパレルも EC 活用で在庫削減へ

一方、大手のアパレルの間でも「大量生産・大量在庫」のビジネスモデルから脱しようという動きがある。 三陽商会もその 1 つだ。 売り上げの 6 割近くをデパートでの販売が占めている三陽商会は、コロナで打撃を受けた業績改善のために不採算店舗など 160 店舗の閉店やブランド集約を決めたが、それとともに進めているのが新たな販売方法の確立だ。 三陽商会が 10 月から大丸東京店に実験的に開設したのが、試着専用の売り場だ。 ここには、客に販売するために通常は大量に保管しておくはずの在庫は置いていない。

客は陳列されている服を試着し、気に入って購入すると、後日、倉庫から直接商品が自宅などへ配送される。 場合によっては、EC サイトで気になった服をここで試着し、帰宅してから EC サイトで改めて注文することもできる。 この仕組みなら、在庫を置かずに済むだけでなく、毎週 1 - 2 回ある納品や在庫管理の手間もなくなる。 店舗スタッフは接客に注力できるし、人件費も抑えられるという。 三陽商会は、この店舗の売り上げを検証し、今後、さらに拡大できるかどうか検討している。

実店舗は EC へつなぐ役割に

さらに、オンワードホールディングスも、今年度中に同様の店舗を導入する方針だ。 「23 区」や「組曲」といった人気ブランドを展開するオンワードだが、これまでは、ブランドごとに店を構えてきた。 しかし、新たに設置する店は、複数のブランドを同時に扱うのが特徴だ。 ここは、EC サイトで掲載している服を「実際に試着してもらうための場」という位置づけでもあり、さまざまなブランドの服を試してもらうことで、EC での購買につなげる戦略だ。 店舗名は「オンワード・クローゼット」と、EC サイトと同じ名前にする方針で、EC と実店舗の垣根をなくした新しい試みの店舗としている。 10 月に行われた記者会見で、保元道宣社長は、新しい店舗について意気込みを語った。

保元道宣社長「EC サイトにリアルの店舗を通じてアクセスできる新しい形の出店を強化していく。 今期中には数店舗を出店し、その後、全国に数十店舗を出店していきたい。 ブランドを横断的にアクセスできるストアを確立し、これを今後の国内事業の反転攻勢の起爆剤にしていきたい。」

"当たり前の改革を"

コロナで消費が落ち込むなか、アパレル業界は店舗だけに頼らず、多様な販売ルートの開拓が求められている。 業界を長年苦しめてきた大量生産からどう脱却していくのか。 コロナ後の成長を見すえれば、店舗閉店や人員削減といったリストラ策だけでなく、適正な量を供給し、適正価格で消費者に届けるという、いわば当たり前の改革が求められているのではないだろうか。 (茂木里美、NHK = 11-18-20)