日本酒も米菓もピンチ!? 業界団体が深刻な「加工用コメ不足」推計 加工用のコメを使う日本酒や米菓などの業界団体が 1 日、小泉進次郎農林水産相と面会して、深刻な「コメ不足」の懸念を訴えた。 米価の高騰を受け、今年度は主食用米を優先してつくる農家が多く、加工用米は 5.9 万トンの供給不足が見込まれるとの推計も示した。 酒造組合は小泉氏に、加工用米の栽培に支払われる助成金を引き上げたり、酒米を対象に加えたりすることを求めた。 米菓などの業界団体は、政府備蓄米の加工食品向けの放出を早期に実現するよう要望した。 供給量が大きく減少する場合には備蓄米を加工用に販売でき、農水省が今後判断する。 小泉氏は面会後、報道陣に「何が目の前としてできるか、よく考えていきたい」と話した。 主食用米高騰 酒米「山田錦」と同水準 日本酒造りに使われるコメのうち、約 4 割を占める酒米は栽培が難しく収量も少ないため、もともと主食用米より単価が高かった。 ところが主食用米が高騰したことで、昨年の 60 キロあたりの相対取引価格が酒米の一部銘柄を上回り、比較的高価な山田錦と同水準にまでなっている。 農水省は 4 月末現在の作付け意向調査で、今年の加工用米の作付面積は前年比 0.6 万ヘクタール (12%) 減の 4.4 万ヘクタールになる見通しを示している。 日本酒造組合中央会の大倉治彦会長(月桂冠社長)は報道陣に、「世に出回る高級な吟醸酒や純米酒が少なくなる可能性もある。 中小メーカーでは農家から断られて、親しい農家を回って頭を下げまくっているという話も聞く」と述べ、危機感をあらわにした。 ただ、備蓄米の活用については「一番のハードルは品質面。 テストしてみないと分からない。」との認識も示した。 主食用米への作付け転換は、もち米にも及んでいる。 食品加工の業界団体によると、いったん主食用を含むうるち米に転換すると、もち米栽培に戻すのに 3 年はかかるという。 (高橋豪、asahi = 7-1-25) 「安けりゃいいでは誰もいなくなる」 秋田 JA 会長が小泉農水相批判 コメ問題をめぐり、JA 秋田中央会(秋田市)の小松忠彦会長が 30 日、アガサ・クリスティーの小説「そして誰もいなくなった」を引用し、「安けりゃいいでは、(専業農家が)いなくなる」と小泉進次郎農林水産相を批判した。 ブランド米「あきたこまち」をはじめ、秋田県は国内有数のコメ生産地。 JA秋田中央会によると、県内の専業農家は 2023 年に 2 万 6,200 人で、20 年比 7,520 人減。 年平均約 2,500 人の減少で、小松氏は「10 年後、誰もいなくなるということになりかねない。」 安い備蓄米の放出を続けることの是非について「やってはいけないことだと思う」と主張した。 小泉農水相には「『価格を安く』と追求すると、(作り手が)いなくなるということを直視してほしい。 後継者もいない、高齢化している現状を打破するため、現場を元気づける現実的なメッセージを発信してほしい。」と注文した。 随意契約による備蓄米の放出など一連の政策や小泉農水相の発言について、小松氏は「現場で大きな不安が漂っている。 話さないといけない。」と考え、記者会見を開いたという。 (室矢英樹、asahi = 6-30-25) コメ価格の新指標を二つ公表、従来の指標も維持 地域別や用途を調査 農林水産省は 19 日、コメの小売価格について新たな指標二つの公表を始めた。 随意契約で放出した備蓄米のスーパーでの価格や、地域別の推計販売価格で、いずれも民間調査会社が算出・分析したデータを購入した。 今後も毎週金曜に更新して公表するという。 新たな指標によると、9 - 15 日に全国のスーパー約 1,200 店舗で売られたコメ 5 キロの平均価格は、税込み 4,092 円だった。 内訳をみると、銘柄米が 4,525 円、複数の銘柄米をまぜたブレンド米が3,642 円、随意契約の備蓄米が 2,129 円だった。 また、別の会社が出した指標では、9〜15日に全国のスーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどで売られたコメ 5 キロの平均価格の推計値は 4,046 円だった。 地域別では、北海道が 3,712 円、東北が 3,705 円、信越が 3,662 円だったが、それ以外の地域は 4 千円台だった。 農水省はこれまで、調査会社のデータをもとに算出した全国のスーパー約 1 千店での平均価格を公表してきた。 この公表も続けて、参考にする指標を増やすという。 小泉進次郎農水相は 19 日、記者団の取材に応じ、これまで指標にしてきたスーパー約 1 千店での平均価格について、「本当にいまの世の中の姿を表しているものなのだろうか」と指摘。 「より店舗数も多いデータをあわせて見ていただいたほうが、より正確な姿を表す結果になるのではないか」と述べた。 一方、農水省は 19 日、コメ農家に来年以降の生産の意向をたずねるアンケートを同日から始めたことも発表した。 7 月末までインターネット上で受け付けるという。 すべてのコメの生産者が対象で、現状の作付面積や来年、5 年後、10 年後の生産意向などをたずねる。 将来のコメの収量や農地面積の増減を予測し、今後の政策の方向性を決める際の参考にする。 (富永鈴香、山田暢史、asahi = 6-19-25) コメの流通「複雑怪奇」、解明にはハードルも 背後にちらつく農林族 コメの流通が「複雑怪奇」だとして、小泉進次郎農林水産相が実態の解明に意欲を示している。 卸売業者のもうけも急増しているとして問題視する構えで、背後には自民党の農林族議員の影もちらつく。 一方、コメ卸の業界団体は「適正な必要経費をのせて販売している」と主張している。 小泉氏のねらいはどこにあるのか。 「まずコメの流通はどういった状況なのか、可視化をさせたい。」 小泉氏がそう宣言したのは、5 日の衆院農水委員会だった。 小売業者から「コメの流通は極めて複雑怪奇、ブラックボックスがある」との情報が多く寄せられているとし、卸売業者の営業利益について「ある会社は、何と対前年比 500% ぐらい。 ほかの大手も 250% を超えている。」と指摘。 さらに翌日の記者会見で、この増益の要因などを「一つ一つ解明をしていく」と言い切った。 コメは、農協など集荷業者が農家から買い取り、それが卸売業者を介して各地のスーパーなど小売店に行き渡る流通ルートが一般的だ。 小売店での値段の高止まりは、卸がもうけを増やしているのも一因ではないか - -。 そんな見方は、小泉氏が 5 月下旬に農水相に就く前から、自民党と農水省内でくすぶっていた。 江藤拓農水相(当時)は 4 月の会見で、備蓄米の流通量調査に触れ、「集荷業者は運送経費のみ上乗せをして利益をのせていない」と強調。 集荷業者が暴利をむさぼっているわけではないとした。 また、米どころである宮城県選出の小野寺五典・自民党政調会長は 5 月中旬、記者団に対し、入札で放出した備蓄米の小売店での値段が高いと指摘。 「途中のコストもかなり高くなっている」とみて、政府に確認を要請したことを明らかにした。 コメの主な流通ルート 農水省はこれを受け、備蓄米の流通コストを公表。 4 月中旬までの調査では、卸売業者が上乗せした経費・利益などコストの平均は 60 キロ7,593 円で、2022 年産のコメのコストと比べると約 1.6 - 3.4 倍になっていた。 集荷業者のコストは、22 年から逆に減っているケースもあった。 卸売業者に利益がたまっていることを示唆するデータを公表することで、小売店への出荷価格を抑えるよう促し、米価の引き下げにつなげる思惑もあるとみられる。 小泉氏による卸売業者のもうけを強調する発言も、この延長線上にある。 これに対し、コメ卸の業界団体・全国米穀販売事業共済協同組合は「適正な必要経費をのせて販売している」と主張。 22 年ごろから物価高が加速し、精米や包装などのコストが上がった影響もあるとする。 今月 11 日には、コメ卸大手の木徳神糧(東証スタンダード上場)も「市場価格を釣り上げたり、買い占めや出し惜しみによって流通を阻害したりといった事実は一切ない」との声明を公表した。 25 年 1 - 3 月期の決算によると、米穀事業の営業利益は 19 億円で、前年同期比は 487.4% だった。 たしかに小泉氏の言う「ある会社は、何と対前年比 500% ぐらい」の利益の伸びだが、声明では、この増益について、仕入れ値の上昇分の価格転嫁が進み、出荷先のスーパーでの値引きセールへの対応が減ったことなどが要因だとした。 なお、備蓄米は流通が本格化する前で、業績にほぼ反映されていない。 大幅な増益とはいえ、「稼ぐ力」を示す売上高営業利益率は 6.2% だ。 同じ期の財務省による法人企業統計調査では、資本金 10 億円以上の大企業(金融・保険をのぞく全産業)でも 6.5% で、突出して高い水準ではない。 こうした現状も踏まえ、声明では、いまの好業績は「限定的な事象」とも主張した。 小泉氏は記者団にこの声明について問われると、「状況をお話しいただくよい機会。 卸の業界の状況など、世の中に伝わらなかった部分もあると思う。」と応じた。 コメの流通業者が自ら積極的に情報発信するようになれば、流通の可視化につながるというわけだ。 小泉氏が標的にしているのは、卸の増益だけではない。 業者間でコメの転売を重ねる取引や、業者間の短期的な売買の「スポット取引」についても関心を示している。 コメの流通の全体像を明らかにすることで、高騰の原因を突きとめ、政策の転換にもつなげる。 そんな志向がかいま見える。 今月 5 日に開かれたコメの関係閣僚会議の初会合では、石破茂首相が小泉氏に対し、コメの高騰の要因やこれまでの対応を検証するよう指示した。 この直後に小泉氏は記者団に、「流通のすべてを一回総ざらいをして、あり方を見ていく方向性が不可欠なのではないか」と述べた。 コメの流通はもともと政府が規制し、価格も決めていた。 04 年の改正食糧法でほぼ規制がなくなり、農協などの一般的なルートを通さないものも増えてきた。 だが、多くの買い手と売り手が参加する開かれた市場は育たず、価格の決まり方が不透明だという指摘が絶えない。 農水省の制度づくりの不備や農林族議員の抵抗が一因との見方もある。 宮城大学の大泉一貫名誉教授(農業経営学)は「コメの流通が不透明なのは確かで、卸だけでなく、農家や農協、小売りも調べる必要がある」と指摘する。 農家による売り惜しみや小売りによる買いたたきがないかも、確認すべきだという。 「農水省にデータがなく、実態を把握できていないのが問題。 コメの流通改革は、最終的には農水省改革へと行き着く」とみる。 「身内」の農水省や農林族にも切り込めるか。 小泉氏にとっては、避けては通れないハードルになる。 (内藤尚志、asahi = 6-16-25) JA コメ前払い金、秋田は 4 割増 各地で増額「米価、高止まりも」 今年収穫されるコメを巡り、各地の農協 (JA) が農家に前払いする「概算金」が引き上げられている。 60 キロ当たり 2 万円を超え、前年よりも約 4 割高い地域もある。 米価の高騰を抑えようと、政府は随意契約で備蓄米の放出を進める中、すでに新米の争奪戦は過熱し、専門家は米価の高止まりが続く可能性を指摘する。 概算金は、主要な集荷業者である各 JA が需要や生産コストを踏まえ、コメ農家に支払う前払い金で、コメの流通価格を決める重要な指標となる。 例年、各 JA が概算金を決めるのは収穫前後の 7 月末 - 9 月ごろだが、今年は他の業者との競争が激しく、春先から前倒しで金額の見通しを示す JA も出てきている。 全国屈指の米どころの JA 全農にいがた(新潟市)は、2025 年産のコシヒカリ(1 等米、60 キログラム)で、前年(当初)より 3 割以上高い 2 万 3 千円を提示。 最終的には 2 万 6 千円以上を目指す。 同様の動きは東北など全国各地に広がり、JA 全農あきたはあきたこまちに前年より 4 割以上高い 2 万 4 千円を示し、今後、概算金の目安になるとみられる。 一方で、「先に金額を示すと、別の業者が高値を示すリスクがある(栃木、茨城、千葉の各県の JA の担当者)」などと、様子を見る動きもある。 茨城大の西川邦夫教授(農業経済学)は「(新米の)概算金の高騰は米価の高止まりにつながる可能性はある」と指摘。 一方で、「(天候などに左右される)今年のコメの生産量や、政府による備蓄米の放出の影響など不確定要素が多く、秋まで具体的な価格は見通せない」と指摘する。 (山田暢史、asahi = 6-7-25) 卸売業者間でコメ価格下落、随意契約の影響か 小売に波及する可能性 コメの卸売業者間の取引で、価格が下落したことが 5 日わかった。 政府が随意契約で備蓄米を放出したことが影響した模様だ。 今後、スーパーなどの小売店の販売価格に波及する可能性もある。 複数の関係者によると、「スポット取引」と呼ばれるコメの卸売業者間の短期的な売買で、相場が下落している。 直近の取引価格は、前の週に比べると 1 割前後下がったという。 業界関係者は「随意契約による影響が大きい。 需要が弱まるとみて、在庫を処分しようと思った業者がいた、ということだろう。」とみる。 政府は備蓄米の追加放出に向けて、5 月 26 日から任意の大手小売業者との「随意契約」を始めた。 この備蓄米が 31 日から一部の店舗で、5 キロ 2 千円程度で売られ始めている。 全国のスーパーでのコメの平均価格の半値ほどの水準だ。 スポット価格の低下は、小売店以外にも影響が及ぶ可能性もある。 弁当・総菜店の関係者は「コメの卸売業者から提案された価格は、1 割ほど下がっている」と明かす。 とはいえ、前年と比べると価格水準はかなり高く、「正常化はしていない」という。 複数社が随意契約とりやめ 国との認識に食い違い 一方、随意契約で放出した備蓄米が全国に幅広く行き渡るかは、まだ見通せない。 農林水産省に申請が認められて契約手続きに入った大手小売り 61 社のうち、複数社が契約をとりやめたことが、関係者への取材で新たにわかった。 政府側が店頭に早く並べることを重視して手続きを急いだため、契約の内容について双方に認識の食い違いが生じるなどして、取り消しにつながったとみられる。 農水省は、契約が完了した企業名について改めて公表する予定だ。 61 社が申請した備蓄米は計約 22 万トンで、すでに受け付けは終了。 中小スーパーや米穀店向けの契約枠の計 8 万トンについては、今月 5 日までに約 1,900 件の申し込みがあり、このうち審査を終えて受理した 101 社を公表している。 (橋田正城、福岡龍一郎、内藤尚志、山田暢史、asahi = 6-5-25) 入札で放出の備蓄米、買い戻し検討 和歌山と北海道で 1,500 円差も 政府が入札で放出した備蓄米について、小泉進次郎農林水産相は 3 日の閣議後会見で、流通業者が返還を希望する場合、政府による買い戻しを検討する考えを明らかにした。 備蓄米の随意契約を始めた影響で、入札での放出分は店頭価格に割高感が生じ、売れゆきが鈍る可能性が出ている。 小泉氏はこの日の会見で、入札の備蓄米を保有する業者を念頭に、「扱いに困っているところがあれば、遠慮なくお申し出をいただき、次なる展開へと使っていきたい」と呼びかけた。 買い戻した備蓄米を、随意契約によって再び放出することも「選択肢」という。 政府が 3 - 4 月の入札で放出した計約 31 万トンの備蓄米は、おもに銘柄米とまぜた「ブレンド米」として、3 月下旬から一部のスーパーなどで 5 キロ 3,500 円前後で販売されている。 中央値が最も高いのは 2 県の 4,280 円 一方、小泉農水相の就任後の随意契約による放出では、30 万トンを出す予定。 小泉氏は想定価格について「2 千円程度」と明示しており、実際にその水準で店頭に並び始めている。 5 月 30 日から受け付けている中小スーパー向けの契約枠の放出分は、さらに安い「1,800 円程度」になる見込みだとしている。 入札による放出分の 9 割超を落札したJA全農は「出荷先の卸売業者から返還の相談は来ていない」としている。 入札で出した備蓄米は、地域ごとの価格差も課題になっている。 農水省は 2 日、備蓄米とみられるコメの店頭での販売価格(原則 5 月 29 日時点)について、各都道府県で調べた結果を公表した。 大半がブレンド米で、最高値は和歌山県の店舗で売られていた 5 キロ税抜き 4,480 円。 最安値は北海道の 2,980 円。 北海道や東北、北陸で、比較的安く売られる傾向がみられた。 農水省は、なぜ価格差が生じたかは、まだ分析できていないという。 小泉氏は 3 日の会見で「さまざまな議論の材料になれば」と述べ、今後も定期的に同様の調査をして、結果を公表する方針を明らかにした。 調査の対象はスーパーやドラッグストアなどの量販店で、全国の計 334 カ所。 県庁所在地など主要な都市を中心に、農水省の職員が店頭での値段を確認。 各都道府県で商品の値段を安い順に並べて、最低値、中央値、最高値を公表した。 値段を確認できた商品数は明らかにしていない。 各都道府県の中央値を比較すると、最も高いのは静岡(対象 7 店舗)と三重(5 店舗)の 4,280 円だった。 ほかに岐阜(5 店舗)が 4,170 円、福岡(10 店舗)が 4,039 円で、計 4 県が 4 千円を上回った。 最も安いのは北海道(13 店舗)の 3,215 円。 続いて秋田(6 店舗)、福島(6 店舗)、石川(10 店舗)、福井(9 店舗)、長野(5 店舗)の 5 県が 3,280 円で並んだ。 農水省によると、全国のスーパー約 1 千店で 5 月 19 - 25 日に売られたコメ 5 キロの平均価格は 4,260 円で、前の週より 25 円 (0.6%) 安く、3 週ぶりに値下がりした。 売れたコメのうち、備蓄米をふくむブレンド米などの割合が前の週 (34%) より拡大して 36% に達した。 備蓄米を使った安価な商品の販売量が増え、米価全体が押し下げられた。 備蓄米が届くのが遅れている地域は、その効果が弱くなっている可能性がある。 (内藤尚志、asahi = 6-3-25) コンビニ大手 3 社、備蓄米販売方針 ファミマは 6 日にも店頭へ コンビニ大手 3 社は 3 日、随意契約による備蓄米を販売する方針を明らかにした。3 社はいずれも「コメの取扱量が年 1 万トン以上」を条件とした契約では申請が受理されなかったが、その後、中小事業者向けの契約に申し込み、確約を得たという。 いずれも 1 - 2 キロの小分けにして売り出す。 ファミリーマートは政府備蓄米を、早ければ 6 日から一部店舗で発売すると明らかにした。 2021 年産の約 1 千トン分を申請し、審査に通過したという。 最も早くて 6 日には、東京都と大阪府の各 10 店舗ずつで、1 キロ税抜き 360 円で売り出す予定。 その後、全国に販売を広げていくという。 ローソンも、500 トン分の申請が受理されたとして、入荷でき次第、速やかに販売する方針だ。 1 キロ(同 360 円)と 2 キロ(同 700 円)を用意する。 入荷して最短 3 日後には関東の店舗から販売し、1 週間程度で全国展開できる準備を整えているという。 また、セブンーイレブン・ジャパンも 500 トン分を申請している。 申請が通れば、無洗米にして 2 キロ同 800 円前後で販売するという。 政府の受け渡しから 3 日後には店頭に並び始め、順次全国で販売していくという。 (井東礁、asahi = 6-3-25) 自民、農地大規模化などに 2.5 兆円要求 コメの生産コスト減に向け 自民党は 2 日、農業の生産性向上のために今後 5 年間で事業規模 2 兆 5 千億円の対策を求める緊急決議を政府に提出した。 コメの生産コストを下げるための農地の集約などが柱となる。 通常の予算とは別枠で、1 兆 3 千億円の国費投入を求めている。 森山裕幹事長ら担当者が、石破茂首相、小泉進次郎農林水産相にそれぞれ要望した。 高騰が続くコメについて、農地の大規模化などで生産コストを下げることが長期的な対策だと主張した。 政府は 2025 - 29 年度を農業構造転換の集中期間としている。 自民は、この間に実施すべき項目として、▽ 農地の大区画化などの整備に約 8 千億円、▽ 老朽化が進む共同利用施設の再編・集約化に約 9 千億円、▽ スマート農業技術や新品種の開発に約 7 千億円、▽ 輸出拡大のための取り組み支援などに約 2 千億円の事業が必要だとした。 森山氏は面会後、「コメは輸出できるコストで作れるようにすることが大事だ。 (今は)残念ながらコストがかかっている。」と記者団に述べ、大規模化の重要性を訴えた。 (鈴木春香、asahi = 6-2-25) 「今の農政に疑問」 米どころ山形の自民議員、小泉農水相の政策批判 「今の農政に、疑問を覚えざるを得ない」、「持続可能なコメ作りは 2 千円前後の値段で多分無理」 - -。 日本有数の米どころの山形県選出の自民党の衆院議員が 1 日、政府備蓄米を随意契約で放出した小泉進次郎農林水産相が進める政策について、相次いで批判した。 この日、山形市内であった自民党県連大会であいさつした鈴木憲和・前農水副大臣(山形 2 区)は「本来国がやるべきことは備蓄米を放出するのではなくて、国民に平等に行き渡る物価高騰対策をやることだ。 お米券の配布や現金給付などの対策をせずに備蓄米放出に踏み切っている今の農政に、私は疑問を覚えざるを得ない」と述べた。 「5 キロで 2 千円台(小泉氏)」とした備蓄米価格についても「政治家が高いとか安いとか言うべきではない。 政治家が言わなければいけないメッセージは、適正な報酬が得られる農林水産業とそれを支える消費者がいて、初めてこの国の食料安全保障と第 1 次産業は守られるということだ」と述べた。 鈴木氏は農水官僚出身で、2012 年衆院選で初当選し、現在 4 期目。 23 年 9 月に農水副大臣に就任し、24 年 11 月まで務めた。 続いてあいさつに立った加藤鮎子・前こども政策担当相(山形 3 区)も、米農家が高齢化している現状を踏まえ「コメの価格は、若い世代の生産者が安心して生産できる価格をめざしていくべきで、店頭に並ぶ価格で議論している場合ではない」と述べた。 その上で「食の安全保障を鑑みれば、生産者が売る適正な価格になるための議論を、国として進めていくことが重要。 選挙が近いからと言って、消費者目線ばかりでなく、バランスの取れた視点で議論を進めていただきたい」と注文を付けた。 山形県はコメの収穫量が約 36 万トン、産出額約 740 億円(2023 年)で、ともに全国 4 位の有数の米どころだ。 大会で県連会長に再選された遠藤利明・元五輪相(山形 1 区)は、閉会後の会見で「コメの価格は確かに高いが、一気に 2 千円まで下げて、それが全体に行き渡るならいいが、2 千円で食べられなかった人から反発がないのか」と懸念を示した。 「持続可能なコメ作りは 2 千円前後の値段で多分無理だと思う。 備蓄米放出は緊急的な対応なのでやむをえないが、やはり国として『この値段にしろ』ということでなくて、コメ農家が継続できる適正な価格帯になるよう、国として支援していかなければならないと思う。」と述べた。 (斎藤徹、asahi = 6-1-24)
「2,160 円、備蓄米」すぐに完売、行列、徹夜組も 倉庫業者は悲鳴 生活用品大手アイリスオーヤマ(仙台市)グループのホームセンター「ダイシン幸町店(仙台市宮城野区)」。 この日朝から並んでいた約 250 人のうち整理券を受け取った 95 人が備蓄米を購入できた。 先頭を確保するために深夜 0 時から並んでいたという男性は、「話題の備蓄米をいち早く食べてみたいと思った。」 別の女性 (71) は購入した5キロのコメを抱えて「最近の 4 千円台のコメには手が出なかった。 この重さがお米という感じがしてうれしい。」と目を細めた。 店内で試食もしたといい、「地元の新米のおいしさを知っているけど、これも十分食べられると思った」と話した。 店を訪れたものの購入できなかった男性 (77) は「自分の年齢だとやっぱりコメが主食。 米どころの宮城で育ってきたので、簡単にパンや麺には変えられなくて」と残念そうに語った。 早く安いコメを - -。 政府による随意契約で相場の半額ほどで売られることになった備蓄米が 31 日から店頭に並び始め、多くの客が買い求めに訪れました。 「徹夜組」が現れるほどの人気の陰で、記事の後半では、備蓄米の急な大量放出によって苦境に立たされている倉庫業者の声を紹介します。 同じアイリスグループの「ユニディ松戸ときわ平店(千葉県松戸市)」は、5 キロ税込み 2,160 円の備蓄米を 65 袋限定で販売。 午前 8 時から整理券を配る予定だったが、午前 6 時 10 分に定員に達し、打ち切った。 2 日も 100 袋を販売する予定という。 午前 5 時過ぎから並び始めた市内在住の佐藤泰三さん (83) は、普段から近所のスーパー数軒を自転車で回り、安い品物をメモして回って食費を切り詰める日々。 備蓄米を受け取ると、「なにより金額が魅力。 おいしいとかまずいとか言ってられないので、さっそく食べてみたい。」と笑顔を見せた。 同店では、ここ数カ月精米がなかなか入荷できず、パックご飯中心の販売になっているという。 運営会社の大塚忠彦社長は「地域の皆さんから期待の声があったので、少しでも早くお届けできてよかった。 味はほとんど変わらないと聞いているので、数量を確保できるよう頑張りたい。」と話した。 備蓄米の大量放出で「すっからかん」 随意契約で放出された安価な備蓄米が消費者に届き始めた一方で、保管していた倉庫業者からは悲鳴が聞こえている。 備蓄米は全国の民間倉庫など約 300 カ所で保管される。 食糧などの保管を担う倉庫業者らでつくる全国定温倉庫協同組合によると、倉庫から備蓄米が一気に放出されたことで、見込んでいた収入が得られない事態が起きている。 宮城県で倉庫会社を経営する組合関係者は「これほどの大量出荷は過去に例がない。 備蓄米を保管してきた全国の倉庫の半分以上が、急にすっからかんになってしまった」と明かす。 多くはコメ専用の定温倉庫のため、代わりの作物を保管するのも難しい。 買い戻しのコメがいつ入るのかも不透明な状態で、見通しが立てられないという。 倉庫会社は国と直接契約せず、商社や二次下請けの業者と民間同士で契約するのが一般的。 放出時の保管料の補償は契約に盛り込まれないケースが多いという。 5 月 28 日の衆議院の農林水産委員会でも取り上げられ、小泉進次郎農水相は、倉庫が民間流通米の保管先として利用可能と周知した上で、「どのような対応が可能か、農水省内で検討したい」と述べた。 (大山稜、若井琢水、asahi = 5-31-25) アイリスオーヤマ、備蓄米を 31 日から初の店頭販売 ヨーカドーも アイリスオーヤマ(仙台市)は 30 日、政府備蓄米を 31 日に宮城県と千葉県にあるグループ会社のホームセンター 2 店舗で発売すると発表した。 随意契約による備蓄米が店頭に並ぶのは初めてになりそうだ。 販売するのは、ユニディ松戸ときわ平店(千葉県松戸市)と、ダイシン幸町店(仙台市宮城野区)。 同日午前 8 時に整理券を配布し、午前 9 時から販売を始める。 販売価格は 5 キロで税抜き 2 千円(税込み 2,160 円)。 当初は 6 月 2 日から販売予定としていたが、この 2 店舗については、2 日前倒すことになる。 ユニディラゾーナ川崎店(川崎市幸区)では、6 月 2 日午前 10 時から販売する。 イトーヨーカ堂も今月 31 日から、イトーヨーカドー大森店(東京都大田区)で備蓄米の販売を始めると発表した。 午前 9 時半から整理券を配布し、午前 10 時に 500 袋の販売を始める。 販売価格は 5 キロで税抜き 2 千円(税込み 2,160 円)。 整理券の配布は、状況に応じて前倒しにする可能性もあるという。 同社は随意契約により、5 千トンを調達しており、6 月 1 日からは中京、関西地方を除く、「イトーヨーカドー」と「ヨーク」の全店で順次販売を始める。 販売は一家族につき、1 点までとする。 イオンは 6 月 1 日から、東京都内の 1 店舗で先行販売する。 販売するのはイオンスタイル品川シーサイド(品川区)で、価格は 5 キロで税抜き 1,980 円(税込み 2,138 円)で、午前 8 時から約 6 千袋を販売する。 一家族につき 1 点の購入制限を設ける。 同2日からは、イオンスタイル幕張新都心(千葉市)、イオン熱田店(名古屋市)、イオン大阪ドームシティ店(大阪市)に拡大する。 イオンは備蓄米を約 2 万トン仕入れる契約を交わしており、順次全国での販売をめざすという。 (井東礁、asahi =5-30-25) 楽天 G、備蓄米 5 キロ 1,980 円 29 日から売り出し 楽天グループは 29 日、政府から随意契約で購入した備蓄米を「楽天生活応援米」として、1 袋(5 キログラム)税抜き 1,980 円で売り出し始めた。 同日午後に特設ページを開設した。 インターネットのショッピングモール楽天市場で、楽天が直営店として運営する「楽天 24」、「Rakuten グルメ館」、楽天マートが運営するネットスーパー「楽天マート」で順次販売する。 詳細は 特設ページ に記載されている。 在庫に限りがあるため、販売数量や予約の上限に達した場合は一時的に受け付けを終了することがあるが、在庫が追加され次第、販売を再開するという。 楽天グループは農林水産省が始めた備蓄米の随意契約で 1 万トンを申請している。 (橋田正城、asahi = 5-29-25) ファミマ、備蓄米の随意契約に「落選」 1 キロ 400 円で売る予定が 農林水産省は 29 日、備蓄米の随意契約について、申し込みが確定した 61 社を発表した。 約 70 社が申し込んでいたが、資格や申請書類に不備があったところを除外した。 ファミリーマートは 29 日、申し込みが受理されなかったと明らかにした。 27 日に 2022 年産の備蓄米 3 千トン分を申請。 1 キロ 400 円(税別)のパックで、6 月上旬に全国の店舗で販売することをめざしていた。 備蓄米の売り渡し先は、見込みも含めて年間1万トン以上のコメを扱う小売業者とされている。同社は弁当などの中食で使う分も含めて申請した。 29日に開かれた中小スーパーや米穀店向けの説明会に改めて参加したという。 30日以降に、21年産米の随意契約を申請する方針だ。 セブン、ローソンも受理されず 再申請する方針 コンビニ大手では、セブン-イレブン・ジャパンやローソンも申請したが、いずれも受理されなかったという。 ローソン広報は「申請した際には、すでに締め切られていた」とした。 ローソンは 30 日にも再申請する方針で、セブンも同様の意向という。 政府備蓄米の随意契約による放出について、農林水産省は 29 日、中小スーパーや米穀店向けの新制度を公表した。 これまでは大手小売りに対象を限っていたが、流通先が偏る懸念が生じており、より小さな業者向けに衣替えした。 30 日から受けつける。 契約の対象は、これまでは見込みも含めてコメの取扱量が「年 1 万トン以上」の業者としていた。 これを改めて「年 1 千トン以上 1 万トン未満」の中小業者か、「精米能力を有する米穀小売店」とした。 放出するのは 2021 年産の玄米約 8 万トンで、6 万トンを中小業者、2 万トンを米穀店に割り当てる。 これまでと同じく、品種や産地の指定はできない。 備蓄米を各地に幅広く行き渡らせることを重視し、1 社あたりの申請量に 1 千トンの上限も設けた。 申し込みは平日午前 10 時 - 午後 5 時に原則電子メールで受けつけ、届いた順に審査する。 午後 5 時以降に送られたものは、翌日着とする。 売り渡し価格は玄米 60 キロあたり税抜き 1 万 0,080 円(5 キロに換算すると 840 円)。 店頭での販売価格は 5 キロ 1,800 円程度になる見込みだという。 全国のスーパー約 1 千店での平均価格の半額以下の水準だ。 備蓄米はもともと入札によって売り渡し先を決めて、農協系などの集荷業者や卸売業者を介してスーパーなどの小売店に届けていた。今月 21 日に就任した小泉進次郎農水相は、任意の業者との随意契約によって放出するしくみに変更。 早く店頭に並べることを重視し、契約先を大手に限った。 22 年産米 20 万トンと 21 年産米 10 万トンの放出に向け、26 日から受け付けを始めたところ、申請が殺到。 申請量が 22 年産米の上限に達する見込みとなり、27 日夜から 21 年産も含めて受け付けを休止していた。 農水省は中小向けの随意契約でも、申請があった企業名を公表する方針。 大手向けとともに、売り渡し後の店頭での販売価格も追跡調査し、この結果も公表する方向だ。 (井東礁、内藤尚志、山田暢史、asahi = 5-29-25) 備蓄米、ファミマは 1 キロ 400 円 なお課題残る随意契約の実効性 農林水産省は 27 日、備蓄米の「随意契約」について申し込みがあった社名を公表した。 小泉進次郎農水相は 6 月上旬に店頭に並び始めるとの見通しを示しているが、業者によっては時期が遅れる可能性もある。 販売店舗が大手に偏りがちな点も課題だ。 農水省は 27 日、同日午前 9 時までに 19 社が申請したと公表した。 さらに朝日新聞の取材では、少なくとも 4 社がこの 19 社以外に申請している。 これら計 23 社のうち、申請量の分かった 22 社分を合計すると、約 12 万 5 千トン。 当面の放出枠としている 30 万トンの約 4 割が、すでに埋まったことになる。 また、小泉農水相は 27 日夜、SNS に「申し込みは 30 社超、(申請量は)約 15 万トン」と投稿した。 流通大手のみならず、ドラッグストアやネット通販など多様な企業が申請した。 各社に理由を尋ねると、「消費者にコメを安価に提供したい」などと、消費者の利便性を理由に挙げる回答が多かった。 グループ会社が 1 万トンを契約したアイリスオーヤマは 6 月 2 日にも備蓄米の販売を始める。 備蓄米というシールをはり、5 キロあたり 2 千円(税別)で販売。 大半をネット通販で売り、グループのホームセンターでも扱う予定という。 大山晃弘社長は 27 日に小泉農水相を訪問。 記者団の取材に「非常に関心が高い備蓄米を取り扱えれば、ブランドの露出にもつながる。」と期待を寄せた。 販売スケジュールについては小泉氏の宣言通り 6 月上旬に店頭に並べる意思を示した企業が多い一方、実現可能性に不安の声もあった。 主に首都圏でスーパーを展開するベルクは 1,200 トン分を申請。 6 月上旬にも関東の約 150 店で店頭に並べる方針だ。 ただ、備蓄米は原則として玄米の状態で引き渡される。 店頭に並べるには精米してパック詰めする作業が必要だ。 ベルクの担当者は「取引先と連携をとって精米の準備をしている」としたが、「どれくらいできるのか確定しているところは何一つない」とも話した。 申請したあるスーパーの担当者は「国が(コメを入れる)包材を仕立ててくれれば、もっと早く店頭に並べることができたはず。 新たにパッケージを仕立てるには時間がかかる」と頭を悩ませる。 一方、自社で精米設備などを持つ企業は自信を見せた。 スーパー「肉のハナマサ」などを運営する JM ホールディングスはグループ企業に米卸を抱えている。 「お米が届いたら、大至急精米をすすめる(担当者)」という。 コンビニ大手 3 社も申請や、申請の検討をしている。 ファミリーマートは申請し、通常よりも小さい 1 キロ詰め(税別 400 円)で販売予定としている。 セブン-イレブンやローソンも申請する方向で検討しているという。 スムーズな流通、実現するか 備蓄米の随意契約に申しこみが相次いだことを受け、小泉農水相は 27 日の閣議後会見で、「かなり順調」と手ごたえを口にした。 だが、契約手続きがスムーズに進んでも、安い備蓄米が広く行き渡るとは限らない。 随意契約は 26 日午前 11 時から 24 時間体制で受けつけている。 対象は大手の小売業者で、企業名の公表に応じることが条件。 希望する購入量や 8 月までの毎月の販売予定量などを記した申込書を、電子メールで送る仕組みだ。 農水省は先着順で審査し、問題がなければ契約を結ぶ。 小泉氏は 27 日の会見で、近く一部の業者との契約手続きが完了し、29 日にも備蓄米を渡せる見通しだと説明。 「6 月の 1 週目に店頭に並ぶめどが見えてきた」と話した。 これまでの備蓄米は、農協などの集荷業者や卸売業者を通して小売店に届けていた。 これが流通の遅れの一因との見方があり、小泉氏の主導で、小売店に直接渡す手法に切り替えた。 なぜ大手に限定? 高いハードル懸念、でも … 対象を大手小売りとしたのは、早く大量に流通させることを重視したためだ。 「大手」の定義は「年 1 万トン以上のコメの取り扱い。」 農水省は「ハードルが高い(農産局)」ともみており、同量を扱える見込みのある業者も対象に含めている。 業者の自己申告にもとづくため、実際に扱えるかは未知数だ。 対象を大手に限ったことで流通先に偏りが出る懸念は、小泉氏も認めている。 対象外になった小規模店などから、すでに農水省に不満も寄せられているという。 小泉氏は 27 日の別の会見で、「大手(との契約)は軌道に乗り始めた」と述べ、対象の拡大に前向きな姿勢を示した。 農水省では、店頭での売り方や値段までは決められない。 契約後の備蓄米の引き取り期限は「8 月 20 日」としているが、業者がすぐに引き取りにくるかも不透明だ。 ただ、申しこみがあった企業名を公表する仕組みにしたことで、「牽制効果で不正を防げる(農産局)」とする。 今回放出する備蓄米は 2022 年産 20 万トンと 21 年産 10 万トン。 通常はほぼ店頭に並ばない古いコメだ。 27 日午前 9 時までに購入の申しこみがあった約 9 万トンのうち、9 割超を 22 年産が占めた。 業者側がコメの古さを懸念しているようすもうかがえる。 このまま順調に申しこみ件数が伸びるかもわからない。 (玉那覇長輝、小川聡仁、内藤尚志、山田暢史、asahi = 5-27-25) ドンキも LINE ヤフーも続々表明 備蓄米の「随意契約」で受付開始 米価の高騰を抑えるため、政府は 26 日、備蓄米を任意の業者との「随意契約」で放出する手続きに入った。 同日に業者を対象に説明会を開き、受け付けを始めた。 大手スーパーのイトーヨーカ堂は同日、朝日新聞の取材に、随意契約に参加することを決めたと明らかにした。 農林水産省の説明会を踏まえて判断した。 販売の時期や価格などについては、今後詰めるという。 大手ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を全国展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスも同日、契約に応じる考えを明らかにした。 同社は農水省の説明会に参加し、契約を結ぶ意向を同省に伝えた。 ただ、現段階では契約する量や価格、スケジュールなどの詳細は明らかになっておらず、今後、同省と調整を続ける。 実際にコメが入荷すれば、「ドン・キホーテ」の店舗で速やかに販売する方針だ。 ネット通販大手の楽天グループは「前向きに契約を検討している(広報)」としている。 三木谷浩史会長兼社長は 23 日に「実現に向けて頑張りたい」と話していた。 同じくネット通販を手がける LINE ヤフーも「検討している」(同)という。 このほか、大手流通ではスーパー「ライフ」を運営するライフコーポレーションや、イオンなどもそれぞれ契約について朝日新聞の取材に「前向きだ」と回答した。 (井東礁、東谷晃、山口博敬、橋田正城、岩澤志気、asahi = 5-26-25) 備蓄米放出「まず 30 万トン」、「2 千円程度に」 小泉農水相が意向 高騰するコメの価格を抑えるため、小泉進次郎農林水産相は 23 日、今後放出する備蓄米の店頭での値段について、「5 キロ 2 千円程度」をめざす意向を表明した。 現状の全国のスーパーでの平均価格は 4 千円超。 任意の業者との「随意契約」によって放出する予定で、流通先の不公平感が生じる懸念もある。 小泉氏はこの日の閣議後会見で「2 千円台で店頭に並ぶような形で随意契約で出していく。 こういったことが基本的な方向性。」と述べた。 夜に出演したテレビ番組では、まずは 30 万トンを放出し、売り渡し先は大手小売りとする考えも示した。 店頭の値段が「2千円程度」になる水準で売り渡すという。 26 日に発表するとした。 農水省がこれまで放出した備蓄米は、すべて入札方式によって売り渡す業者を決めていた。 高い価格を示した業者から落札する仕組みで、スーパーなどの店頭での値段の高止まりにつながっているとの指摘があった。 小泉氏は農水相就任の会見で、今月下旬に予定していた 4 回目の入札を中止するとし、随意契約への切り替えの検討を進めるとしていた。 小泉氏はこの日の会見で、店頭で 2 千円台で販売できるように備蓄米の売り渡し価格を抑えることなどについて、随意契約の法制度を担当する財務省の理解が得られたと説明。 そうした備蓄米が店頭に並ぶ時期は「早ければ 6 月の頭」との見通しも示した。 また、小泉氏はこの日、ネット通販大手の楽天グループの三木谷浩史会長兼社長と面会。 終了後に記者団の取材に応じた三木谷氏は、備蓄米の随意契約に前向きで、2 千円台の販売について「実現に向けて頑張りたい」と話した。 随意契約は農水省の裁量が大きい。 契約先や価格を決める基準の明確化が不可欠で、売り渡し先の業者に偏りが出れば、批判が高まる可能性もある。 (山田暢史、内藤尚志、asahi =5-23-25) |