1 分おきに中傷メール 3,190 通 兵庫の元百条委員が被害届を検討 兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題を調べていた県議会調査特別委員会(百条委員会)の複数の元委員に、大量の中傷メールが届いていることが、朝日新聞の取材で分かった。 委員の一人だった丸尾牧県議によると、3 月 31 日朝から私用パソコンに「お前も県民局長みたいに自殺しろよ」などのタイトルで 1 分おきにメールが届き始めた。 2 日午後 1 時ごろまでに計 3,190 通届いたという。 丸尾氏は朝日新聞の取材に対し、「メールは衝撃的な内容で、驚きや怖さ、戸惑いを感じた。 一つの言論弾圧で、社会全体や兵庫県政にとってマイナスなので速やかにメールをやめてほしい。」と話した。 すでに県警に相談し、威力業務妨害容疑などでの被害届の提出を検討しているという。 百条委の委員長を務めた奥谷謙一県議には、2 日午後 1 時過ぎから約 1 分おきに「おまえも鉈(なた)で襲われとけ」といった内容のメールが計数百通届いているという。 県警への被害届の提出を検討しているという。 (中塚久美子、添田樹紀、asahi = 4-2-25) ◇ ◇ ◇ 兵庫知事選巡る投稿、高見市議に辞職勧告 本人は「厳重に抗議する」 SNS 投稿をめぐり兵庫県警から投稿の削除・訂正を求められた高見千咲・姫路市議について、市議会は 26 日、議員辞職勧告を決議した。 議会としての意思表示だが、法的拘束力はない。 高見議員は 1 月、昨秋の知事選に関して「兵庫県警の内部では知事選において、特定候補(斎藤知事ではない)の応援をするように通達されていたと聞いた」などと発信し、県警から削除や訂正を求められた。 このほかにも市職員や同僚議員らに対する不適切な投稿が続いていたとして、議会は今年 2 月に政治倫理審査会を設置。 「政治的、道義的に重大な責任がある」として「辞職勧告相当」との意見をまとめていた。 決議案は、議会運営委員会を構成する主要 8 会派のメンバーの連名で提案され、西本真造・議運委員長が「市民の信頼を著しく失墜させたことなどは、まことに残念でならない。 自ら辞職されることが適当。」と提案理由を説明した。 採決では「審査は本人不在で進められた」とする議員 1 人が退席したが、出席議員の総意で可決された。 高見議員は体調不良を理由に昨年 11 月から議会を欠席していて、政倫審も出席しなかった。 この日までに条例の規定に基づいて議長宛てに意見書を提出し、「(政倫審の)審査は委員たちの個人的な主観で進められ、事実関係とは全く関係なく、厳重に抗議する」と主張した。 議会後の代表取材に「間違ったことは一切していないという認識は変わらない。 今後も市民に負託を受けた議員としての職を全うしていく」とコメントした。 (東孝司、asahi = 3-26-25) ◇ ◇ ◇ 兵庫前県議への批判投稿、13 アカウントから 立花氏が 2 番目の多さ 兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題で、県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員に対するネット上の批判的な投稿の約半数が、わずか 13 個のアカウントの発信から拡散していたことがわかった。 批判的な投稿が、擁護に比べて「大量」、「長期」にわたって拡散したことも判明した。 SNS 分析に詳しい東京大学の鳥海不二夫教授(計算社会科学)が、竹内英明・前県議に関する「X (旧ツイッター)」の投稿について、2024 年 1 月 1 日から同氏が亡くなった 25 年 1 月 18 日までを分析。 竹内氏に言及したとみられる投稿は全期間で 1 万 1,272 件、それらの投稿を引用する「リポスト」が 18 万 883 件に上った。 そのうち何らかの形で批判する内容は 11 万 4,699 件で、擁護する内容 5 万 3,783 件の 2 倍以上だった。 さらに、竹内氏が「一身上の都合」を理由に県議を辞職した昨年 11 月 18 日以降は、「批判」、「擁護」ともに投稿が急速に増加。 ただ、批判する投稿がその後も長期にわたり拡散し続けた一方で、擁護する内容は続かなかった。 24 年 12 月 1 日以降だけで見ると、批判は擁護の 8 倍以上に上った。 批判的な投稿をさかのぼると、リポストされた約 18 万件のうち、半数は 13 アカウントからの投稿が元になっていた。 このアカウントの中には、政治団体「NHK から国民を守る党」の立花孝志党首や同党の浜田聡参院議員が含まれる。 ほかに、斎藤知事を応援するものや、ニュース解説を投稿する匿名アカウントもあった。 批判拡散の中心になった 13 アカウント 鳥海教授は「批判する投稿が長期間拡散が続いたことで、X 上で目に触れやすくなっていた」と話す。 13 個のアカウントのうち、投稿が 2 番目に多く引用、拡散されたのが、立花氏のものだった。 「竹内県議会議員は、デマを撒き散らして、有権者を騙そうとしていた!」 兵庫県知事選が投開票される 2 0日前の昨年 11 月 15 日、立花氏は自身の X にこう投稿した。 ここでの「デマ」とは、斎藤知事のパワハラ疑惑などに絡むものを指しており、元々の投稿は別人のアカウントによるものだった。 これを立花氏が引用したことで、さらに拡散。 現在までに 2,600 回引用されている。 12 月 1 日には、竹内氏が斎藤知事らが告発された問題の「黒幕」であるとする文書の画像とともに、「竹内が県議会議員を辞めた理由! 現在竹内は警察からいろいろ聞かれている模様!」と投稿。 引用は 4,300 を超えている。 13 のアカウントのうち最も多く拡散されたのは、時事ニュースを取り上げる匿名の人物のものだった。 竹内氏が辞職した 11 月 18 日から 12 月にかけて、立花氏の投稿を引用するなどして、竹内氏を含む百条委のメンバーらを批判する投稿を続けた。 竹内氏について、「警察の取り調べを受けている模様 なぜいきなり辞職したのかな? 警察にも怪しまれとるやんけ〜」などと書いた投稿は、2 千を超える引用があった。 拡散した投稿内容の多くは、竹内氏について「デマを流した」、「文書問題の黒幕」、「説明責任を果たすべきだ」などとするものだった。 今回の分析期間は、竹内氏が亡くなった 1 月 18 日までだが、立花氏は 19 日以降も X やユーチューブ動画で「兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」、「どうも明日逮捕される予定だったそうです」などと発信した。 兵庫県警の村井紀之本部長は 1 月 20 日の県議会で、立花氏の発信を「事実無根」と否定。 「明白な虚偽が SNS で拡散されていることについて、極めて遺憾だ」とも述べた。 ただ、立花氏はその後、兵庫や大阪で展開した 3 月の千葉県知事選の「選挙運動」の中でも、竹内氏に対する批判を続けていた。 (堀之内健史、asahi = 3-23-25) ◇ ◇ ◇ 兵庫県警、自民市議名の X 投稿を削除要請 知事選巡る内容に「誤り」 昨年 11 月の兵庫県知事選にからみ、自民党県連所属の市議名で X (旧ツイッター)に投稿された県警に関する内容は誤りだとして、県警が削除や訂正を求めて県連に申し入れた。 申し入れは今月 23 日付。 県警が取材に明らかにした。 自民党県連幹部は投稿を把握しており、「何らかの対応はしないといけない。 (県警の申し入れを)無視はできない。」と話した。 投稿は、姫路市議のアカウント名で 20 日付。 斎藤元彦氏が再選された今回の知事選を巡り、「兵庫県警の内部では知事選において、特定候補(斎藤知事ではない)の応援をするように通達されていたと聞いた」などと発信されていた。 県警総務課は、「県警として特定の候補を応援するために通達を出した事実はない」とし、村井紀之・県警本部長も朝日新聞の取材に「間違いを指摘しなければ認めたことになる。 市議がこのような投稿をして、信じる人が出てくるのは良くないと考えた。」と話した。 村井本部長は自身のフェイスブックで 22 日夜、市議名の投稿を引き合いに「自民党兵庫県連に厳重抗議しようと考えています」と記していた。 村井本部長は今月 20 日にあった県議会警察常任委員会でも、今回の知事選をめぐって「明白な虚偽が SNS で拡散されていることについて、極めて遺憾だ」などと発言している。 この 2 日前の 18 日には、知事選の投開票日翌日に県議を辞職した竹内英明氏 (50) が死亡。 自殺とみられる。 政治団体「NHK から国民を守る党」党首の立花孝志氏が「(竹内氏が)逮捕される予定だった」などと SNS に投稿して拡散された。 村井本部長は、この投稿についても 20 日の委員会で「全くの事実無根」と否定していた。 (asahi = 1-25-25) ◇ ◇ ◇ 兵庫県警が X で注意喚起 臆測で SNS 投稿は「刑事・民事の責任も」 兵庫県警が 22 日に X (旧ツイッター)に投稿した、SNS 上の誹謗中傷への注意を呼びかけるメッセージが広く拡散されている。 「いいね」は投稿から 1 日で 2 万を超えた。 県の告発文書問題以降、誤情報や中傷が飛び交っている事態を背景に、一歩踏み込んだ対応を取った形だ。 県警は 22 日午後 5 時、X の公式アカウントで【SNS を利用の皆様へ】と題して投稿。 「確たる証拠がないのに、推測・憶測で人を傷つけるような書き込みをするのはやめましょう(原文ママ)」と呼びかけた。 続いて「それが正義感に基づくものであったとしても、刑事上・民事上の責任が生じる場合があります」と注意を促している。 この投稿を他の人が再投稿する「リポスト」は 23 日午後までに 1 万件を超え、広がりを見せている。 県警によると、臆測で人を傷つけたり陥れたりする書き込みをした場合、刑事事件として名誉毀損や信用毀損、侮辱罪などに問われる可能性がある。 実際に県警では昨年の 1 - 11 月、SNS やプロフィルサイトといった「コミュニティーサイト」を通じた脅迫、強要、名誉毀損、侮辱の容疑で計 20 件の被害届を受けたという。 民事の場合でも、損害賠償請求などで提訴されることが想定される。 投稿した県民広報課は「発信を通じて SNS 環境を良くしていきたい」と狙いを説明する。 県警の問題意識は、今月 20 日にあった県議会の警察常任委員会で村井紀之・県警本部長が発した言葉からも見て取れる。 「全くの事実無根。 明白な虚偽が SNS で拡散されていることについて、極めて遺憾だ。」 県内では 18 日、昨秋の知事選後に県議を辞職した竹内英明氏 (50) が死亡した。 県警は自殺とみている。 竹内氏は、斎藤元彦知事らを内部告発した元西播磨県民局長(故人)の文書について調べる県議会調査特別委員会(百条委員会)の委員を務めていた。 竹内氏の死去後、知事選で自ら立候補しながら斎藤知事を支援した政治団体「NHK から国民を守る党」の立花孝志党首が X やユーチューブ動画で「兵庫県警からの継続的な任意の取り調べを受けていました」、「どうも明日逮捕される予定だったそうです」などと発信していた。 村井本部長はこうした経緯を念頭に「(竹内氏を)被疑者として任意の調べをしたこともなく、ましてや逮捕するといった話はない」と明確に否定した。 個別の事案に関する捜査の有無を県警のトップが言及するのは極めて異例だ。 SNS の利用をめぐっては斎藤知事も 22 日の定例記者会見で「心ない誹謗中傷などはしないで」と発言。 中傷対策として SNS 条例の制定についても「議論を進める」との考えを示した。 (小田健司、asahi = 1-23-25) ◇ ◇ ◇ 名指しで「騒動の主犯格」 SNS 誹謗中傷の実態、兵庫県議の証言 兵庫県の斎藤元彦知事らが内部告発された問題を調査してきた丸尾牧県議 (60) は、18 日に死亡した竹内英明・前県議 (50) と同じく昨年 11 月の知事選中から、虚偽の内容を含む SNS での誹謗中傷にさらされてきた。 告発文書問題の「騒動の主犯格」などと名指しされた動画などもあるという。 実態はどのようなものなのか聞いた。 ☆ 県議会の調査特別委員会(百条委員会)の委員として真相解明をやり切ろうと努力してきたつもりです。 不正行為をしたとか犯罪をしたとかではないのに、それが攻撃の対象になった。 残念としか言いようがありません。 私も竹内さんも、(約 6,700 人の県職員から回答のあった)アンケートで出た疑惑を確認するために内容に言及しただけなのに、「捏造だ」と流布された。 「告発文書の作成に関わった」とする動画も拡散された。 明らかに虚偽です。 そうした虚偽の内容を含む動画が出て、「どこまでおもちゃにされるんや」と思いました。 ユーチューブの運営会社に虚偽を含む動画の削除請求と発信者情報の開示請求をしましたが、対策を取ろうと思えば、見ざるを得ないんですよね。 しんどい作業ですが、やるべきことはやっておかないといけないと思いますから。 それでも次々と切り取り動画が出てくる。 削除請求と開示請求は 25 件しましたが、削除されたのは 5 件ぐらい。約 20 件は開示に応じなくて裁判に移っています。 虚偽を含む動画投稿は、やったもん勝ちの世界ですよ。 裁判になって時間がかかるうちに再生回数は回り切って、動画作成者は収益を得ているわけです。 そしてまた新たな動画を作成する。 知事選の期間中は電話もメールも批判の声ばかりで、ひとりぼっちでした。 1 日 30 件ぐらい着信があって、5 件ほどは「死んでまえ。 ボケ、アホ。」などと留守電に言葉が残っていた。 今は 1 日 2 - 3 件ぐらいです。 昨年の 12 月初旬くらいからは応援の電話やメールが増えてきて、救われました。 竹内さんは友人に、「SNS は見ないようにしていても、支援者から『これは事実か』と確認されるのがつらかった」と話していたそうですが、次々に問いかけされるのもしんどいですよ。 私の場合も、応援してくれていた人がいつの間にか、私を「デマ」と断じる切り抜き動画を SNS 投稿していたことがありました。 竹内さんは知事選直後に県議を辞職された。 その後、開示請求を一緒にやらないか、と声をかけたけど、「もういいですわ。 しんどいから何もしませんわ。」と言われました。 しんどい状況が続き、闘う意欲が湧かなくなったのだと感じました。 自分に向けられた個別具体的な誹謗中傷は、自分が説明してもなかなか納得してもらえない。 説明してもネット上で「あれはどうなの?」、「これはどうなの?」と問い詰められ、動画もどんどん拡散していく。 これが繰り返されるなら口をつぐむしかない状態に追い込まれてしまう。 攻撃することが目的の人もいるので、いくら説明しても理解はしてもらえない。 個人が要請したらファクトチェックをしてもらえる第三者機関があればいいのですが。 最初に発信した人だけでなく、リポスト(再投稿)により拡散させた人も責任を負うべきです。 誰かの批判をする内容だったら、一次情報を確認するなど慎重に対応してほしいです。 SNS での誹謗中傷は名誉毀損罪や侮辱罪になりうる ネット上の誹謗中傷に詳しい清水陽平弁護士の話 : SNS 上で誹謗中傷をした場合、刑法上は一般論として名誉毀損罪か侮辱罪の対象となり得る。 同一人物が同一の対象に繰り返した場合は業務妨害罪なども考えられる。 亡くなった人に対しても、虚偽の内容で誹謗中傷した場合は名誉毀損罪が認められる場合がある。 これらの行為は、民法上も不法行為として認められれば、損害賠償を支払わなければならない。 リポストや切り取り動画の拡散も同じ。 単に拡散目的でリポストなどをしている場合は、自分の投稿と同様の責任を負うと考えるのが一般的だ。 誹謗中傷と論評や批評の線引きは難しいが、人格を否定する言葉は権利侵害になりやすいし、虚偽の内容は名誉毀損になりやすいと言える。 最近はインフルエンサーが真偽不明の情報を拡散する時代になっている。 もっともらしく拡散されるため、それが真実だろうと思ってしまう人がいる。 発信者が有名人かどうかと、その情報が正しいかどうかはまったく別の話だ。 情報が本当に正しいのか、もしうそだった場合、拡散した自分は責任追及されてしまわないだろうか、と立ち止まって考えてほしい。 被害を受けた場合は、まずはいったん SNS から離れること。 被害を受けると、ネット上の声が世界中の声だと思ってしまいがち。 でもそうではない。 自分の周りの人に話を聞いてもらえば、味方になってくれる人はいるはずだ。 法的なアクションを起こしたいと思えば、弁護士や警察に相談するほか、法務省のインターネット人権相談などに問い合わせる方法もある。 (滝坪潤一、鬼原民幸、asahi = 1-21-25) ◇ ◇ ◇ 兵庫百条委の県議、ユーチューブに動画削除請求 「虚偽や名誉毀損」 兵庫県の斎藤元彦知事らを内部告発した文書について調べている県議会調査特別委員会(百条委員会)委員の丸尾牧県議が 9 日、動画投稿サイト「ユーチューブ」の運営会社に対し、動画 15 件の内容が虚偽や名誉毀損にあたるとして削除請求をしたと発表した。 投稿した発信者の情報開示も請求し、X (旧ツイッター)の書き込みも同様の対応をする考えという。 丸尾氏は「言葉を大切にし、信頼しあえる社会を構築するために、取り組みを前に進めていきたい」としている。 丸尾氏によると、削除請求した動画では、県議会の不信任決議で斎藤氏が失職したことに伴う知事選をめぐり、「(斎藤氏を退陣させる)騒動の首謀者」などと名指しされていた。 県職員アンケートを丸尾氏が捏造したと主張する動画もあったという。 丸尾氏は「デマ動画が投稿され、それに沿うように批判的な電話やメールが相次ぐ。 ネットリンチともいえる状態だ。 きちんとした対応を取らないと、いつまでも続くと考えた。」と話す。 何度も投稿するなど悪質なものに対しては、名誉毀損容疑での刑事告訴や民事の賠償請求を検討するという。 斎藤知事の証人尋問、25 日実施へ 片山前副知事も また、百条委の理事会が 9 日開かれ、25 日の百条委で証人尋問を行う方針を確認した。 複数の県関係者によると、斎藤氏と片山安孝前副知事を尋問する予定で、公益通報に関する参考人として弁護士 1 人も呼ぶという。 奥谷謙一委員長は、百条委の証人尋問は 25 日が最後になる見通しで、報告書を来年 2 月の県議会定例会までにまとめる意向を示した。 斎藤氏には過去 2 度、証人尋問をしている。 3 度目の証人尋問は再選後すぐの 11 月 25 日に行われる予定だったが、斎藤氏は公務で全国知事会議に出席したため、百条委は年内の尋問を模索していた。 (asahi = 12-9-24) ◇ ◇ ◇ 「虚偽通報で X アカウント凍結された」稲村氏側が告訴状 兵庫知事選 兵庫県知事選に立候補して落選した稲村和美氏の後援会は 22 日、公式の X (旧ツイッター)アカウントが選挙期間中、選挙活動の妨害を目的とした虚偽の通報で 2 度にわたり凍結された疑いがあるとして、県警に被疑者不詳で偽計業務妨害容疑で告訴状を提出した。 後援会「ともにつくる兵庫みらいの会」共同世話人の津久井進弁護士が同日、県庁で会見し、発表した。 後援会の X アカウントは選挙期間中の5 日に運用を始めたが、6 日に凍結。 急きょ別のアカウントを 12 日に開設したが、約 1 時間後に凍結された。 X に解除を申し立てたところ、最初のアカウントは投開票日前日の 16 日に利用可能になったが、その間の投稿はできなかったという。 津久井氏は「『強烈な身体的脅迫についての報告』といった不正な通報が組織的に行われ、凍結された疑いがある」と話し、「選挙が正しく行われるためには、正しい情報が流通することが大前提。 今回の選挙をきちんと検証する必要がある」としている。 また、後援会は 22 日、被疑者不詳で公職選挙法違反(虚偽事項公表など)の疑いで県警に告発状も提出した。 選挙期間中に X 上で「外国人参政権を進めている」など事実と異なる投稿が、稲村氏が 9 日に公式ウェブサイトで否定した後も、稲村氏を当選させない目的で行われた疑いがある、などとしている。 (島脇健史、asahi = 11-22-24) ◇ ◇ ◇ 「斎藤さんを助けたい」広がった共感とメディア不信 分断の懸念も 17 日に投開票された兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦氏 (47) は、政党組織の支援を受けずに約 111 万もの票を集めた(得票率 45%)。 原動力となったのはインターネットにあふれる情報と、有権者の既存メディアや県議会への不信感。 だが、選挙戦を通じて、県民の間に分断の火種ももたらした。 2 期目の斎藤県政では、混乱の収束に加え、県民の融和も迫られることになりそうだ。 15 日夜、兵庫県姫路市の JR 姫路駅前には、広場を埋め尽くすほど大勢の人が集まった。 「メディアの報道が本当に正しいのか。 多くの県民が SNS やユーチューブなどで調べている。 一部の県議は政局を見て動いているのではないか。 一人ひとりがぜひ見定めていただきたい。」 斎藤氏が内部告発文書問題を引き合いに訴えると、聴衆からは大きな拍手とともに「その通りだ」、「頑張れ」などの声が上がった。 告発への対応に端を発して、斎藤氏が知事の座を追われた 9 月までとは打って変わった光景だった。 当初、2021 年の前回選挙のような政党の支援もなく、苦戦も予想された斎藤氏。 だが、選挙戦が終盤にさしかかるにつれ、街頭演説に集まる聴衆は増える一方で、斎藤氏が選挙カーに立つたび、沿道には黒山の人だかりができた。 加古川市の会社員の男性 (35) は「政治がどうこうより、斎藤さんを助けたい。」 その一心で、初めて投票に。 期日前投票で一票を投じたと明かした。 知事選の原因となった内部告発文書問題は 3 月、県の元県民局長(当時 60、7 月に死亡)が、斎藤氏のパワハラや物品の受け取り疑惑などを匿名の文書で報道機関や一部の県議に配布したことが発端だった。 斎藤氏は告発を把握すると告発者捜しを部下に指示し、3 月下旬の記者会見では「(文書は)うそ八百」、「公務員失格」などと非難。 月末で退職予定だった元県民局長の人事も取り消し、内部調査だけで懲戒処分と判断した。 朝日新聞などの既存メディアは、内部告発者の保護について定めた公益通報者保護法に違反する疑いがあるという視点で報道。 最終的に、斎藤氏は県議会による全会一致の不信任決議可決を受けて失職した。 だが、集会に訪れた人たちが相次いで口にしたのは、既存メディアへの不信感とインターネットへの信頼感だった。 「新聞やテレビは、斎藤さんの批判ばかりで偏っている。 でもユーチューブは出演者が顔を出しているし、勇気を持って真実を主張しているのがわかる。」 そう語る西宮市の主婦 (76) は「巣ごもり」が続いたコロナ禍以降、日常的な情報源がユーチューブになったという。 告示後には、「NHK から国民を守る党」の立花孝志氏らが斎藤氏の「潔白」を主張する動画を SNS で拡散。 この女性も、斎藤氏の失職が県庁内の「クーデター」だとする動画を見るうちに、斎藤氏への投票を決めた。 「夫は新聞やテレビの言い分をうのみにしてばかり。 早く目を覚ましてほしい。」 公益通報者の保護についても、伊丹市の NPO 代表の男性 (49) は「悪口を流しているんだから、誰がやったか調べるのは自然だ。」 西宮市の自営業の女性 (37) も「県庁内部の問題。 あんまり県民に関係ないと思う。」と話すなど、多くの人が意に介していなかった。 既成勢力に対峙する構図も共感か 県議会やメディアなどの「既成勢力」に対し、斎藤氏が 1 人で対峙するかのような構図も共感を広げたようだ。 斎藤氏は失職した 9 月以降、朝の駅前で 1 人であいさつに立つことから事実上の選挙活動を始めた。 「このままだと斎藤さんがひとりぼっちになっちゃうなって。 マジで善意なんで。」 西宮市の大学生の男性 (20) は、SNS での募集を見て、同市の集会に陣営ボランティアとして加わった。 もともと政治に関心があり、「デマを払拭できれば」と斎藤氏支持に傾いたという。 調査特別委員会(百条委員会)を設置した上、「(知事の)資質を欠いている」として、全会一致で不信任決議を突きつけた県議会に対して、西脇市の主婦の女性 (70) は「全員が同じ意見なんてありえない。 県議会とマスコミによるクーデター。 これは斎藤さんと悪との戦いや。」と断じた。 西宮市の医師の男性 (35) も「百条委は結果ありきに見える。 知事に悪い点があるなら直させるのが議会の役割。 議会も責任を取るべきだ。」 斎藤氏は文書問題について演説で、「ものすごくしんどい日々が続いた」と言及。 その上で 1 期目の実績として、県庁舎の建て替え計画凍結や県立高校の施設整備、自身も経験した不妊治療の助成などに取り組んだと訴え、現役世代を重視するアピールを繰り返した。 斎藤氏の姿に、神戸市の建築士の男性 (53) は「信念を感じるし、巨悪に立ち向かう勧善懲悪的なストーリーが感じ取れる。」 自身も 2 児の母で、三木市のパートの女性 (41) は「子どもや子育て世代を重視する政策に共感する。 あんな風にたたかれても諦めなかった斎藤さんはすごい。」と話す。 演説の後、斎藤氏が沿道に駆け寄ると握手を求める手は引きも切らず、涙ぐむ人もいた。 街頭で小競り合い、分断の懸念も 一方で、有権者の間には分断の懸念がくすぶり続けた。 演説会場では「斎藤さん頑張れ」と記したプラカードを掲げた支持者や斎藤氏のイメージカラーである青い服を着た陣営ボランティアと、「究極のパワハラ、斎藤元彦」、「パワハラ知事を復活させるな」というのぼりを持ち込む人が入り乱れた。 小競り合いも生じ、警察が出動することもたびたびあった。 終盤には、斎藤氏が陰謀によっておとしめられたとする動画に対し、内部告発の正当性や斎藤氏の主張に虚偽があるとする動画も拡散。 斎藤氏をめぐる対立は、現実だけでなくネットや SNS にも波及した。 斎藤氏の陣営関係者も「後押しを感じた」と、一連のネットによる追い風を認める。 特に動画などで、斎藤氏の潔白と支援を呼びかけ続けた立花氏について、「吉と出るか凶と出るかと思っていたが、結果的には大吉。 影響は大だった。」 一方で、有権者の間の対立については、「強い思いがあれば誰だって感情的になってぶつかることもある。 陣営がそこまでコントロールするのは難しい。」と話す。 再選を果たした斎藤氏は今後、どのように混乱を収めていくのか。 18 日の会見で問われると、「私に投票されなかった方も県民ですから、しっかり県政をお届けするのは当然だ。」 その上でこうも語った。 「分断と表現するのが適切なのか。 候補によって意見や立場が異なることはもちろんある。 それが選挙だ。」 (堀之内健史、菅原普、asahi = 11-18-24) クレカ情報 1.7 万枚分確認、集中取り締まり 20 人摘発 警察庁など 警察庁は、クレジットカードの不正利用の集中取り締まりを実施し、10 - 50 代の男女 20 人を詐欺や犯罪収益移転防止法違反などの疑いで逮捕・書類送検したと 25 日発表した。一連の捜査で、計約 1 万 7 千枚分のカード情報が流出していたことを確認したという。 不正利用防止で使われるパスワードなども漏れていたといい、警察庁は安全対策のセキュリティーが突破される場合もあるとして、クレカの利用明細のこまめな確認や、クレカ利用通知をメールで受けるサービスの利用などを呼びかけている。 集中取り締まりは、クレカの不正利用被害の深刻化を受け警察庁サイバー特別捜査部が主導し、警視庁や大阪府警、福岡県警など 15 都道府県警と共同で昨年 9 月 - 今月 10 日に実施。 他人のクレカ情報を購入したり、その情報で EC サイト(オンラインショップ)で商品を買ったりしたとして 10 人を詐欺などの容疑で摘発。 情報の売買に使われる暗号資産口座を第三者に売ったなどとして 10 人を犯収法違反などの容疑で摘発した。 クレカ情報の販売者が X (旧ツイッター)で購入者を募り、秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」に誘導していた。 1 枚 5 千円相当で暗号資産で売買されていた。 情報販売者の暗号資産口座には、2022 年 1 月 - 24 年 6 月に 750 万円相当が流れており、約 1,500 枚のクレカ情報を販売していたとみられる。 この販売者の摘発には至っておらず、警察は引き続き捜査を進める。 また、捜査で流出が判明した計約 1 万 7 千枚分の情報は、クレカの番号、名義人、有効期限、EC サイトの ID・パスワードなどで、カードの不正利用を防ぐための安全対策で使うパスワードも含まれているという。 安全対策は「3D セキュア」と言われ、名義人が事前にカード会社にパスワードなどを登録し、ECサイト利用時に認証コードを入力するといった仕組みだ。 クレカの情報は、カード会社などの偽のサイトに誘導する「フィッシング」の手口で盗まれるケースが多く、今回の情報販売者もフィッシングで入手した可能性が高いという。 日本クレジットカード協会によると、クレカの不正利用被害額は年々増え、昨年は前年比 2.6% 増の 555 億円にのぼり、過去最悪を更新した。 被害額の 92.5% をカード番号の盗用が占め、カード偽造は 1.1% という。 (編集委員・吉田伸八、asahi = 3-25-25) 慶大生開発のゲームで闇バイトを体験、都立高で初授業 都などが実施 SNS 上の「闇バイト」募集を通じて犯罪に巻き込まれる危険性を広く発信するため、東京都が 17 日、都立足立新田高校(足立区)で、闇バイトの実態をゲームで体験する特別授業を行った。 慶応大学の学生が開発したアプリを使い、警察官も協力した。 都立高では初の試みで、都は今後も、ほかの都立高でもこうした啓発活動を進めるという。 慶応大生が作ったアプリは「レイの失踪」。 スマートフォンの契約代行をすれば高額報酬 - -。 そんな SNS のバイト募集に応じて行方不明になった少女「レイ」を、友人役のプレーヤーが捜す設定だ。 参加したのは高校 1、2 年生の約 500 人。 生徒らはレイの SNS の履歴をたどり、レイが学生証などを送るよう指示され、やり取りを絶とうとして「電話に出ろ」、「個人情報全部送っちゃっているよ」と脅されていたことを確認した。 その後、慶応大生や別の大学の学生らから「レイは犯罪に巻き込まれた可能性が高い。 こんな時は迷わず警察に連絡してください。」とアドバイスされ、画面に表示された架空の警察署に通報した。 現場では、警視庁少年育成課員も「SNS の甘い話は必ず疑うようにして」と生徒に呼びかけた。 授業を受けた1年の鶴田永輝也(ときや)さん (16) は、「闇バイトのリアルを体感できた。 SNS の甘い言葉には反応しないように、別の学校の友人にも伝えます」と話していた。 (吉村駿、asahi = 3-17-25) 「あなたは被疑者」信じ込んだ詐欺被害男性、来署で被害発覚 宮城 宮城県警仙台北署は 12 日、仙台市青葉区の 60 代の無職男性が現金約 1,600 万円をだまし取られる特殊詐欺の被害に遭ったと発表した。 警察官や検察官を装った男に事件の容疑者と告げられ、信じ込んだ男性が来署し、被害が発覚した。 署によると、2 月 13 日、男性宅の固定電話に警察官を装った男らから「マネーロンダリングで男を捕まえた」、「押収品の中にあなたのキャッシュカードがあった」と電話があり、男性は身に覚えがないと伝えたが、数日後、検察官を名乗る男からも「あなたはマネーロンダリング事件の被疑者になっている」、「潔白を証明するために、全ての資産を調査する必要がある」と告げられた。 そこで指定口座に複数回にわたり現金約 1,600 万円を振り込んだ。 男性は 26 日、来署したという。 (岸めぐみ、asahi = 3-12-25) 31 歳と 22 歳の日本人男性を拘束 ミャンマー詐欺拠点から越境か タイの警察当局は 11 日、同国西部のミャンマー国境付近で日本人 2 人を不法滞在の疑いで拘束したと明らかにした。 ミャンマー側の国際詐欺の拠点から越境してきた可能性があるとみて調べている。 警察によると、2 人はいずれも男性で、埼玉県出身の 31 歳と岩手県出身の 22 歳。 関係者によると、2 月に保護された愛知県の男子高校生 (16) と同じ詐欺拠点にいたといい、日本側がタイ当局に救出を要請していた。 川を渡る外国人続出 ミャンマー東部のミャワディ周辺には中国系の犯罪集団が運営する詐欺拠点が集中し、タイ警察は 1 万人に上る外国人が関わっていたとみている。 現地で働かされていた日本の 16 歳と 17 歳の男子高校生も保護されたほか、ほかにも日本人が多数いたとの情報がある。 現地で詐欺拠点を保護してきた少数民族系武装勢力が 2 月以降、タイ政府の圧力で摘発に転じ、これまでに 7 千人以上の外国人を「救出」し、タイ側へ送還するまで監視下に置いている。 正規ルートの送還とは別に、国境の川を渡ってタイ側へ密入国する例も相次ぎ、タイ軍によると、11 日には、エチオピア人 4 人とベトナム人 2 人もメソト市内で拘束された。 (バンコク・武石英史郎、asahi = 3-12-25) ◇ ◇ ◇ ミャンマー東部、犯罪拠点の街で日本人発見か 武装勢力が明らかに 犯罪拠点で多数の外国人が特殊詐欺に加担させられてきた問題で、地域を実効支配する武装勢力「カレン国境警備隊 (BGF)」の幹部が 27 日、朝日新聞の取材に、日本人男性 1 人が 26 日夜、ミャンマー東部で発見されたと明かした。 BGF はこれまで 28 カ国・地域の外国人 7 千人以上を保護。 その中に日本人は含まれていなかったが、今回新たに日本人男性が発見されたという。 幹部によると日本人男性は、BGF の支配下にあり、中国系犯罪組織の拠点も置かれてきたミャンマー東部のシュエコッコ周辺で見つかった。 BGF に保護され、身元確認などの聴取を受けているという。 男性が特殊詐欺に関わっていたかなどは明らかにされていない。 BGF は、男性を保護したと 27 日朝に在ミャンマー日本大使館に連絡したといい、幹部は「聴取が終わり次第、まずはミャンマー当局に身柄を引き渡す」と説明した。 同大使館は連絡を受けたことを認めた上で「詳細は確認中」としている。 ミャンマー東部では、2010 年代から地元の武装勢力が中国系企業と都市開発を進めたが、犯罪組織が流入し、特殊詐欺の拠点が多数置かれてきた。 BGF はシュエコッコなどの詐欺拠点を保護し、利益を得てきたとされるが、1 月以降タイ政府などの圧力を受けて「摘発」に乗りだした。 ミャンマー東部からは今月までに日本人少年ら 2 人も見つかり、愛知県の少年 (16) は「8 人くらいの日本人がいた」と証言していた。 BGF は保護した外国人の送還をタイ政府などの協力を得て母国などに送還しており、現在は最も多い中国人らの送還が進められている。 こうした外国人は、多くが人身売買によってミャンマーに連れてこられたとみられる。 (バンコク・笠原真、asahi = 2-27-25) 大船渡市の山火事、「エネルギー兵器」などと SNS 拡散 …県 警幹部「発信側も注意して」 岩手県大船渡市の山林火災で、真偽不明の投稿が X (旧ツイッター)などの SNS で拡散されている。 2 月 27 日には、X で匿名の消防関係者を名乗り、「#エネルギー兵器」などのハッシュタグとともに「自然火災ではあり得ない」との情報も投稿された。 130 万回以上閲覧されている。 「山林火災は太陽光発電パネルの漏電が原因」などの投稿を見た同市の避難所の男性 (58) は「市は真実を隠している」と話す。 災害時は、不確かな情報が拡散されやすい。 1 月の米カリフォルニア州の山火事や昨年の能登半島地震でも誤情報が拡散された。 偽情報を検証する「日本ファクトチェックセンター」の古田大輔編集長 (47) は「ネット上には誤った情報があふれているのが前提。 安易に信じないで。」と警鐘を鳴らす。 投稿内容によっては消火や救助活動の妨げになることから、県警幹部は「発信側も注意してほしい」としている。 (yomiuri = 3-2-25) タイ特殊詐欺の拠点から 20 万人分の名簿や想定問答集 神奈川県警 タイのリゾート地パタヤを拠点に還付金詐欺などをしたとして日本人の男 5 人が逮捕された事件で、神奈川県警は 26 日、二つあった拠点から押収したタブレットなど約 80 品目の捜査で、約 20 万人分の氏名や住所、電話番号が書かれた名簿、想定問答集のようなセリフが書かれたマニュアルのデータなどが見つかったと明らかにした。 県警は同日、5 人を電子計算機使用詐欺などの疑いで再逮捕し、発表した。 5 人は「かけ子」とみられる。 認否は明らかにしていない。 5 人のうち、木村健二朗 (37)、井上貴博 (34)、山口勝仁 (29) の 3 容疑者は電子計算機使用詐欺の疑いで再逮捕された。 再逮捕容疑は昨年 12 月、区役所職員らになりすまし、大阪市旭区の 70 代女性に「医療費の還付金を受け取れる」などと電話でうそを言い、約 135 万円を詐取したというもの。 暴力団対策課によると、3 人がいた拠点での詐欺は約 300 件、被害額は 2 億円超とみられるという。 畠中一 (40)、鵜飼孝之 (42) の 2 容疑者は詐欺未遂容疑で再逮捕された。 昨年 12 月、警察官らを装い、大阪府泉大津市の 80 代女性から現金を詐取しようとした疑いがある。 同課によると、5 人は名簿を共有しており、同一グループの可能性もあるとみて捜査している。 (手代木慶、加藤美帆、asahi = 2-26-25) ミャンマー犯罪拠点から外国人「5 千人拘束」 送還へ、武装勢力幹部 ミャンマー東部の犯罪拠点で多数の外国人が特殊詐欺に加担させられてきた問題で、この地域を実効支配する武装勢力幹部が 23 日、「1 週間で計 5 千人以上の外国人を拘束した」と朝日新聞の電話取材に明らかにした。 日本人は確認されていないという。 一部はすでにタイ政府協力のもと解放、送還されており、今後も送還していくとした。 取材に応じたのは、タイ国境に近いミャンマー東部の少数民族の武装勢力「カレン国境警備隊 (BGF)」の幹部。 BGF は現地に進出した中国系企業と都市開発を進め、犯罪拠点を保護してきたとされるが、タイ政府からの圧力などを受け「摘発」に乗り出した経緯がある。 幹部は、「外国人の中には SNS 上の求人に応募し、自発的に働きにきた人が多かった一方で、人身売買で連行された人もいた」と明かした。 さらに、1 千人近くがすでに母国などに送還されたと説明。 残りについても送還の準備ができているが、国境を通じて引き渡す先のタイ政府や、外国人のうち大半を占める中国人を受け入れる中国政府の準備ができていない、と述べた。 「数千人の外国人全員に食事を与え続ける余裕はない」とし、送還を急ぎたい考えも示した。 犯罪への加担疑惑に「関与していない」 一連の問題をめぐっては、今月中旬にミャンマー東部の犯罪拠点から解放され、日本に帰国した愛知県の高校生が「8 人くらい日本人がいた」と話したと伝えられている。 地元メディアによると、BGF トップは 17 日の会見で「(自分たちの支配地域に)日本人もいるとの情報がある」と話していた。 この点について問うと、幹部は、「日本人は今のところ確認されていない」と話した。 そのうえで、今後も拠点の「摘発」を進め、さらに多くの外国人を拘束し、送還する予定だとした。 BGF は、中国系犯罪組織が行う特殊詐欺などの違法行為から得た収益を資金源の一部にしていると指摘されてきた。 だが幹部は「我々は犯罪に関与していない」と否定。 主な収益源は貿易や採掘、道路などの建設だと説明した一方、自分たちの支配下にある「シュエコッコ」や「KK 園区」などの犯罪拠点が置かれる都市では、「土地の賃貸料を受け取っている」と述べた。 (タイ北西部メソト・笠原真、asahi = 2-24-25) ◇ ◇ ◇ ミャンマー舞台の詐欺 成人男性 2 人の救出要請、日本側がタイ当局に ミャンマーを舞台にした国際的な詐欺をめぐり、日本側がタイ当局に対して、詐欺拠点にいるとみられる日本人の成人男性 2 人の救出を要請していることが関係者への取材でわかった。 ミャンマーの犯罪拠点をめぐっては、日本で闇バイトに応募した愛知県の男子高校生と宮城県の男子高校生がそれぞれタイを経由して渡航。 その後、タイ当局に保護され帰国している。 愛知県の高校生の説明では、警察官などをかたる特殊詐欺に加担させられたという。 日本側から救出要請された成人男性 2 人は高校生がいたミャンマー東部ミャワディの拠点にいるとみられる。 愛知県の高校生は「8 人くらいの日本人が同じ仕事をしていた」と話しているという。 日本政府の説明によると、ミャンマーの詐欺拠点をめぐっては、これまでに高校生 2 人を保護したほか、タイ当局が成人 5 人の日本人を拘束していた。 拘束された成人 5 人のうち 4 人は帰国済みという。 国会では警察庁幹部が「他にも滞在している日本人がいる可能性がある」と答弁していた。 ミャワディは、ミャンマー国軍と関係が深い少数民族系武装勢力が支配する国境の町で、カジノなどに紛れて犯罪組織が拠点を置く。 タイ政府によると、現地の外国人はアフリカや中国など 7 千人規模にのぼるとみられ、各国が救助要請を強めている。 (asahi = 2-22-25) ◇ ◇ ◇ ミャンマーで保護された 16 歳は愛知の高校生 「ネットで応募し渡航」 ミャンマーで保護の16歳「日本人 8 人いた」 警官かたる詐欺加担か ミャンマー東部ミャワディを舞台にした国際的な詐欺をめぐり、タイ警察が今月保護した愛知県の少年 (16) が、県警の聴取に「現地で電話で警察官などをかたる詐欺に加担させられた」などと話していることが 18 日、捜査関係者への取材でわかった。 少年の他にも「8 人くらいの日本人が同じ仕事をしていた」といい、県警が確認を進めている。 捜査関係者によると、少年は昨年 11 月ごろ、インターネットでやり取りしていた相手から海外での仕事を紹介され、翌 12 月にミャンマーに渡航したとみられる。 県警は渡航に必要なパスポートを相手側から指示されて作った可能性があるとみて調べている。 少年は現地の状況を「囲いの中で仕事場や住む場所が整えられていた」とし、詐欺グループから「ノルマを課され、報酬を受け取っていた」と述べたという。またグループは、ノルマが達成できなければ、スタンガンを使ったという。 少年は渡航して行方不明になったため、家族から在タイ日本大使館を通じてタイ側に捜索要請があったという。 今月になって、少年から家族に「ミャンマーで中国マフィアに詐欺をさせられている。 助けてほしい。」といった趣旨の連絡があり居場所が判明。 タイ側が保護し、16 日に日本に帰国した。 (高橋俊成、奈良美里、asahi = 2-18-25) ◇ ◇ ◇ 16 歳「海外の仕事のネット情報に応募し渡航」 保護の日本人高校生 ミャンマー東部ミャワディを舞台にした国際的な詐欺をめぐり、タイ警察が今月保護した日本人の少年 (16) が、「海外でやれる仕事があるというインターネット情報に応募して渡航した」と説明していることが 17 日、日本の捜査関係者への取材で分かった。 少年は愛知県在住の男子高校生で、県警などは少年が「闇バイト」に応募して、「かけ子」として特殊詐欺に関与させられた可能性があるとみて、少年から詳しい事情を聴いている。 ウソで人集め、詐欺強要、睡眠制限 日本の少年もいたミャンマー国境 捜査関係者によると、少年は闇バイトに応募し、昨年 12 月にタイ経由でミャンマーに渡航。 行方不明になったため、家族から在タイ日本大使館を通じてタイ側に捜索要請があったという。 今月になって、少年から家族に「ミャンマーで中国マフィアに詐欺をさせられている。 助けてほしい」といった趣旨の連絡があり居場所が判明。 タイ側が保護し、少年は 16 日に日本に帰国したという。 少年は他にも複数の日本人がいたと説明しているといい、県警などが確認を急いでいる。 一方、タイ警察幹部は 17 日、首都バンコクで記者団の取材に応じ、少年が「高齢者が多い日本の二つの(都道府)県を標的に、日本語で高齢者をだますよう指示されていた」と説明していると明らかにした。 この警察幹部によると、少年が働かされていたのは昨年 12 2月からで、ミャワディ南方にある中国系犯罪組織が集まる「KK 園区 2」と呼ばれる地区とみられる。 拠点について「中国のコールセンター・ギャング(オンライン詐欺組織)と日本のギャングとが一緒に活動していた」と証言しているという。 タイ警察は 1 月にも、ミャワディに一時滞在していた別の日本人男子高校生 (17) を保護。 この高校生とオンラインゲームを通じて知り合い、タイに来るよう勧誘した疑いで日本人の男 (29) を逮捕している。 捜査関係者によると、この男については大阪府内で昨年 8 月に起きた 20 代男性に対する監禁事件に他の人物らと関与したとして、府警が捜査していた。 ミャワディはミャンマー国軍と関係が深い少数民族系武装勢力が支配する国境の街でカジノなどが立地。 中国系の犯罪組織が拠点を置く。 外国人がタイ側からだまされて連れてこられ、詐欺行為などに加担させられる事例が相次いだ。 タイ警察は 17 日、首都バンコクの本部に 18 カ国の警察担当の外交官を集めて説明会を開き、協力を要請した。 幹部は、ミャンマー側の国境地帯にいる外国人は 1 万人以上で、中国人が最も多く、次いでインド人との見方を示した。 この中には犯罪組織の構成員も含まれるとみられ、どのようにタイ側に出国させ、その後、各国にどう送還するかが課題となっている。 (高橋俊成、武石英史郎、asahi = 2-17-25) アカウント「乗っ取り」新幹線チケット不正発券容疑、中国籍の男逮捕 他人のアカウントで JR のインターネット予約サービスを不正利用し、新幹線チケットを発券して盗んだとして、愛知県警などの合同捜査本部は、いずれも中国籍の会社役員徐長浩(シューチャンハオ、29) = 大阪市生野区巽東2丁目 = と専門学校生の潘 (パンヨンシン、29) = 同市平野区平野西6丁目 = の両容疑者を窃盗の疑いで逮捕し、5 日発表した。 認否は明らかにしていない。 県警サイバー犯罪対策課によると、両容疑者は昨年 7 月、他の者と共謀し、不正入手した他人名義の予約情報が記録された QR コードを自動券売機に読み取らせるなどし、チケット計 24 枚(計約 32 万円分)を発券して盗んだ疑いがある。 悪用されたのは、新幹線チケットの予約や購入がインターネット経由でできる JR のサービス。 徐容疑者らは JR をかたり個人情報を入力させるフィッシングメールなどでシステムにログインできる他人の ID やパスワードなどをだまし取り、アカウントを乗っ取って不正にチケットを購入し、発券していたとみられるという。 チケットの一部は来日した中国人観光客が入手していたといい、県警は両容疑者のグループが中国人観光客へのチケット転売目的で不正購入を繰り返していた可能性もあるとみて捜査を進める。 県警は、不審なメールを受信したら必ず公式サイトを確認するなどして注意するよう呼びかけている。 (asahi = 2-5-25) |