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ソーシャルメディア規制「必要」 85%、偽情報を心配 朝日世論調査

X (旧ツイッター)やフェイスブック、ユーチューブなどのソーシャルメディアで交わされる情報について、朝日新聞社が実施した全国世論調査(郵送)で規制が必要かどうか尋ねると、「必要だ」という回答が 85% に達した。 偽情報による選挙への悪影響を心配したり、他人への誹謗中傷を気にしたりする割合がいずれも 8 割を超えた。 ソーシャルメディアについて、朝日新聞社の世論調査でまとまった質問をしたのは初めて。 「表現の自由」とも絡むため、憲法に関する調査の一環として聞いた。

偽情報で選挙の際に有権者が影響を受けることは「心配」という割合が「大いに」 32%、「ある程度」 50% を合わせて 82% に上る。 他人への誹謗中傷が「気になる」という回答も 86% (「大いに」 46%、「ある程度」 40%) と多い。 規制の必要性については、憲法が「表現の自由」を保障していると前置きして質問した。 それでも規制が「必要だ」が 85% に上り、「必要ではない」は 11% と少ない。

偽情報の悪影響を心配したり、誹謗中傷を気にしたりする度合いが強いほど、規制が「必要だ」という割合が多い。 規制が必要と答えた人に対して二つの選択肢のどちらで対応するのがよいかと聞くと、67% は「法律で対応する」のがよいとし、「事業者などの自主的な対応」を選んだ人は 30% だった。 ソーシャルメディアには、利用者の関心に沿った情報が自動的に示され、関心に沿わない情報には接しにくい仕組みだという特性がある。

こうした特性を説明して「政治や社会について自分と違う見方が示されるほうがよいと思うか」と聞いた。 「示されるほうがよい」が 69% と多く、「示されないほうがよい」は 22% だった。 調査は全国の有権者から 3 千人を無作為に選び、2 月末 - 4 月上旬に郵送法で実施した。 有効回答は 1,962。 回収率は 65% だった。 (磯田和昭、asahi = 5-2-24)


SNS 募集の買い子 転売目的で免税品買い集め 売った側に追徴課税

ブランド品の買い取り販売店を全国展開する「大黒屋(東京都港区)」が、訪日客向けの免税販売をめぐって東京国税局の税務調査を受け、消費税を追徴課税されていたことが関係者への取材でわかった。 一部の店舗の従業員と外部業者が結託し、国内での転売目的で、ブランド品を SNS で募った「買い子」に免税価格で購入させていたという。 悪質性が高いとして、販売した店側に重加算税が課された模様だ。

関係者によると、追徴額は 2023 年 3 月期までの 2 年間の消費税計約 2 億 3 千万円。 消費税は国内で売買された商品にかかる。 訪日客が商品を国外に持ち帰る場合は輸出の扱いとなり免税され、販売店が、客にパスポートなどの本人確認書類を提示させ、必ず国外に持ち出すよう告知することなどがルールだ。 関係者によると、同社ではこの手続きが不十分で、別人名義の本人確認書類が使われた事例があり、国税局が過少申告加算税(本税額の 10 - 15%)を追徴した。

さらに、一部の店舗の従業員と結託した外部業者が、SNS で募集した中国人らを「買い子」にし、国内での転売目的でブランド品などを免税価格で買い集めさせていたことも判明。 従業員と外部業者は、連絡を取り合い、買い子の来店タイミングなどを調整していた。 組織的な転売が疑われるこうした免税販売分については、国税局は、悪質性が高いとして重加算税(同 35%)を課した模様だ。 従業員個人の不正が原因であっても、税務上は企業がペナルティーを受けることがある。 大手業者に対する高額な重加算税の追徴は異例とみられる。

同社は取材に、この従業員は国税局から指摘を受ける前に退職したとし、「指摘について見解の相違もあるが真摯に検討し、修正申告した。 本人確認の徹底などの再発防止策を実施している。」とコメントした。 同社は東証スタンダード上場の「大黒屋ホールディングス」系列で、ブランド品や貴金属類の買い取り販売を手がけ、東京、名古屋、大阪、福岡などで 25 店舗を展開している。 2023 年 3 月期の売上高は約 124 億円。 「チケット大黒屋」を展開する「大黒屋(千代田区)」は同名の別会社。

爆買い支えた免税販売、利便性の裏で

コロナ禍前に注目を集めた訪日客の「爆買い」は、店で、免税価格で商品を購入できる「免税販売」が支えた側面がある。 買う側には、国外に持ち出すことを店先でチェックされる手間がかかるが、出国時の手続きは簡素で利便性は高い。 一方、店側にとっては、税込みでの販売も免税販売も、利益につながる売上額は同じで、厳しくチェックしてまで免税販売を断る意欲は生じにくい。 近年も、本人確認が不十分だったなどとして米アップルの日本法人「アップルジャパン」や大手百貨店などが追徴課税を受けたことが明らかになっている。

ただ、今回のように、転売狙いとみられる業者や SNS で募集された「買い子」といった組織的背景が具体的に浮かび上がるのは異例で、消費税の税務調査に詳しい国税 OB は「免税制度が食い物にされているが、いまのルールでは防ぎきれない」とみる。

政府の資料によると、免税品の購入者は 22 年度で約 371 万人、うち 100 万円以上を使った人は約 5 万 4 千人。 税関が航空会社と連携するなどして、22 年度に免税品を 1 億円以上購入した 374 人のうち 57 人を捕捉して検査したところ、購入品の海外への持ち出しを確認できたのは 1 人だけだった。 他の 56 人は転売などをしたとみられ、税関側が消費税の支払いを求めたが、納付したのは 1 人。 残り 55 人は計 18.5 億円を滞納しているという。

諸外国では不正な国内転売を防ぐため、EU を中心に、税込み価格で販売して出国時に確認してから税額を払い戻す仕組み(リファンド方式)が採用されており、日本でも導入が検討されている。 (花野雄太、asahi = 4-29-24)


SNS 上の詐欺広告、なぜはんらん? 長年続く「のれんに腕押し」

著名人や企業になりすまして投資や商品購入に誘う詐欺広告が、SNS 上にはんらんしている。 米メタなどのプラットフォーム事業者の対応は鈍く、政府も対策を検討し始めた。 なぜこれほど詐欺広告が相次ぐのか。 どうすればよいのか。 フェイスブック (FB) などに掲載されている広告を確認できるメタの「広告ライブラリ」。経済アナリストの森永卓郎さんや実業家の前沢友作さん、堀江貴文さんなど著名人の名前で検索すると、なりすましとみられる詐欺広告が多数出てくる。 10 日、自民党本部で開かれた勉強会には、堀江さんと前沢さんが出席。 無断で自身の写真を使われ、詐欺広告に悪用されたことを訴え、対策を求めた。

高まる老後不安に …

なぜネット上に詐欺広告がはんらんするのか。 ネット広告のコンサルティング会社 Yuwai の田中広樹社長は、「メールアドレスと電話番号とクレジットカードの番号さえあれば、誰でも簡単に広告が出せることが大きい」と話す。 一部の業種を除いて身分証明書を提出させていない事業者も少なくないという。 田中さんによると、「フェイスブックはなりすましでないかを厳密に確認しておらず、抜け穴にている。」

メタなどの事業者は、広告をチェックし、悪質な広告を排除するための人員を置いているとしている。 ただ、田中さんは「大半は自動審査システムに頼っているのだろう」とみる。 「広告主や広告を新規登録してから早ければ数分で承認されて出ていくのは、人力ではありえないスピード」だからだ。 「事業者にとっては、本人確認や広告審査を厳格化しても広告費が増えるわけではない。 不十分な審査でも機械に頼ってやったほうがもうかる。 信頼性を高めるよりも、市場や株主を見ているのでしょう。」

詐欺広告の内容を見ると、投資詐欺が疑われるものが多い。 「日本では、老後資金をどうするかや新 NISA に注目が集まっており、高まる不安に働きかけているのでは」と田中さんは言う。 SNS の中でも FB はユーザーの年齢層が高いことも背景にあるとみる。 水野由多加・関西大名誉教授(広告論)は、「生成 AI を使えば手元で誰でも精度の高いフェイク広告を作れるようになったなか、広告審査のルール整備が追いついていない」と指摘する。

「タレント広告が多い日本では有名人の顔を使った広告に特に気をつける必要がある」と水野さん。 メタなどの事業者に求めるべき対策として、なりすましかどうかの判断に人手を割くなど審査の強化や、流れた広告に詐欺広告がどれほど含まれていたかの第三者調査を挙げる。

グーグルでも偽広告の指摘

メタは 16 日、「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う」などと釈明する声明を発表。 自民党の作業チームは、19 日にあった会合に米メタの担当者を呼び、対策を求めた。 事業者の多くは米国に本社がある。 水野さんは、「長年、日本から何を言っても『のれんに腕押し』で問題が放置されてきた。 他国の状況と比較しながらの働きかけが必要だ。」と話す。 グーグルでも一昨年から、検索ワードに関連する偽サイトが広告枠に表示されていると指摘されてきた。 グーグルによると、昨年は 1,270 万以上の広告主のアカウントを停止。 前年から倍増したという。 それでもなお、詐欺広告は後を絶たない。 (田渕紫織、asahi = 4-25-24)


マッチングアプリの「女性」から投資話 男性が 1.1 億円詐欺被害

熊本県警玉名署は 1 日、県内北部に住む 60 代の男性が SNS で知り合った人物からもうけ話を持ちかけられ、1 カ月足らずで約 1 億 1 千万円をだまし取られたと発表した。

調べによると、男性はマッチングアプリで女性を名乗る人物と知り合った。 SNS でやりとりするうちに「FX 投資でお金を増やす方法がある」と提案され、3 月初旬 - 下旬、指定された複数の口座に 500 万 - 1 千万円を約20回にわたって振り込んだ。 この人物とは会ってもおらず、電話で会話もしていなかった。 男性は無職で、お金は預貯金から振り込んだ。 親族に相談し、「それは詐欺じゃなかと」と言われたのをきっかけに 3 月 27 日、玉名署に相談したという。 (森北喜久馬、asahi = 4-1-24)


クレカ不正利用、23 年は過去最悪 541 億円 ふるさと納税で被害増

2023 年のクレジットカード不正利用額は前年より 23.9% 多い 540.9 億円で、過去最悪になった。 日本クレジット協会が 29 日公表した。 カード情報などを盗み取るフィッシングが広がり、不正利用は増加の一途。 生成 AI (人工知能)など最新技術が悪用され、手口も巧妙になっている。 不正の内訳は、カードの番号盗用 504.7 億円、偽造 3.1 億円、その他 33.1 億円。 件数や 1 件あたりの被害額などは公表していない。 不正増加の理由について、協会は「分析していない」という。

被害額は統計をとり始めた 1997 年以来で最も多い。 00 年代初めは偽造による被害が全体の過半を占めた。 ネット取引が普及した今は、被害も対面から非対面に大きく移っている。 ネット取引の不正検知サービス企業「かっこ」によると、カードの不正利用に使われる商材は、化粧品・医薬品・健康食品・チケットなどが多い。 ただ、昨年半ば以降、ふるさと納税での不正検知が増えたという。 同社によると、不正者は盗んだカード番号などをもとに寄付サイトで注文。 不正に得た返礼品を転売して現金にする。 不正利用だと、自治体はカード会社経由で得るはずの寄付金が入らないうえ、返礼品もとられてしまう損失を受ける。

ふるさと納税サイトが増えるにつれて偽サイトも広がり、利用者情報をだましとる被害が多発。 各地の自治体が注意を呼びかけている。 偽サイトは寄付額の値引きなどをうたって利用者を引きつける特徴があり、カード番号や住所を入力するとだましとられてしまう。 「世界中の不正者が日本人に自然な日本語でフィッシングメールを出せるようになった。」 金融機関向け不正検知サービスを手がける「カウリス」の島津敦好(あつよし)社長は、生成 AI「ChatGPT (チャット GPT)」が登場し、不正が増えやすくなったと指摘する。

かつてのような片言の怪しい日本語メールは減り、カード会社や銀行を装った本物そっくりのメールやショートメッセージ (SMS) を簡単に送れるようになった。 スマホが普及し、だれもがいつでもどこでも被害を受けやすい。 クレカとは別に、銀行の口座情報を盗みとる被害も多発。 警察庁によると、インターネットバンキングによる不正送金は 23 年に 5,578 件、被害額は 87.3 億円。 額は前年の約 6 倍に増えた。 被害者は 40 - 60 代が 6 割を占める。 金融庁や全国銀行協会は「金融機関が ID やパスワードを SMS などで問い合わせることはない」と訴える。

不正手口が巧妙になるなか、カード業界が力を入れるのが、本人確認の強化。 カード番号だけでなく、利用者の端末の情報やスマホに送られる 1 回限りの「ワンタイムパスワード」なども組み合わせた認証のしくみ「EMV3D セキュア」を広げる考えだ。 国際ブランド「Visa」を展開するビザ・ワールドワイド・ジャパンは、不正被害の多い加盟店から優先して導入を呼びかけている。 リスクマネジメント部長のジョン・クロスリー氏は「海外と比べ、近年の日本の不正利用は増加率が大きい。

かつては海外のカードや加盟店が不正に使われたが、最近は国内カードの国内加盟店での被害が目立ち、不正と正規利用の区別がつきにくい。 解決には発行会社と加盟店の連携した対応が必要」と話す。 (編集委員・中川透、asahi = 3-30-24)


「トケマッチ」元代表 先月在留許可を取得 計画的に出国準備か

高級腕時計のシェアリングサービスをうたう大阪の会社に預けられていた腕時計が持ち主に無断で売却されるなどしていた事件で、会社の元代表が UAE = アラブ首長国連邦に出国してまもない先月、在留許可を取得していたことが関係者や現地での取材でわかりました。 元代表が計画的に出国の準備を進めていた可能性があり、警視庁は今後、元代表を国際手配して行方を捜査する方針です。

この事件は、高級腕時計の持ち主と、借りて使いたい人の「シェアリング」を仲介する「トケマッチ」というサービスを運営していた大阪の会社がことし 1 月末に突然、解散を発表し、預けられていた多数の腕時計が返却されないままになっているものです。 警視庁は会社の代表を務めていた福原敬済容疑者 (42) が高級腕時計の「ロレックス」を持ち主に無断で古物商に売却したとして、業務上横領容疑で逮捕状を取り、指名手配しています。

福原元代表は会社が解散を発表した当日の 1 月 31 日、知人らとともに UAE のドバイに向けて出国したことが明らかになっていますが、入国してまもない先月上旬に、ドバイの当局から 2 年間の在留許可を取得していたことが関係者や現地での取材で新たにわかりました。 在留許可の取得には事前に書類を提出することが必要なことから、福原元代表が時間をかけて、計画的に出国の準備を進めていた可能性があります。 警視庁は今後、元代表を国際手配して行方を捜査するとともに、会社の解散が発表される直前の時期に、預けられていた腕時計が相次いで売却されていたことなどから、事業の詳しい実態を調べることにしています。 (NHK = 3-8-24)


SNS で投資勧める詐欺被害急増 1 年で 455 億円、特殊詐欺上回る

警察庁は 7 日、SNS を通じて投資を勧める「SNS 型投資詐欺」と、恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害状況を初めてまとめた。 昨年の被害件数は合わせて 3,846 件、被害額は 455 億 2 千万円。 オレオレ詐欺など特殊詐欺の被害額(約 441 億 2 千万円)を上回った。

警察庁によると、ロマンス詐欺も多くが投資名目で、合わせてまとめた。 投資ブームで、ネットで手軽に投資できるようになったことが被害増加の背景にあると分析。 捜査の体制作りや被害防止対策を急ぐ。 昨年の犯罪情勢で詐欺の被害が目立って増え、警察庁はこうした新しい手口の詐欺に絞り、都道府県警での昨年の被害届受理状況を集計した。

昨年の SNS 型投資詐欺の認知件数は 2,271 件、被害額が 277 億 9 千万円。ロマンス詐欺の認知件数は 1,575 件、被害額が 177 億 3 千万円だった。 1 件あたりの平均被害額は、いずれも 1 千万円を超えた。 SNS型は 1 - 6 月が月 100 件前後だったが、7 月に 204 件に急増して伸び続け、12 月には 369 件となった。 12 月の被害額は 53 億円で、1 月の 6 倍だった。 手口は、SNS で「確率の高い資産運用がある」などとメッセージを送り、現金を振り込ませるというもの。 LINE グループに突然入れられるケースも多い。 犯人側が称する職業は投資家が 6 割近くを占め、会社員や会社役員と続く。

ロマンス詐欺では外国人などを装い、「一緒に生活していくためのお金を増やそう」などと持ちかける。 犯人側が称した国籍は韓国や中国などの東アジア、日本、タイやインドネシアなどの東南アジア、米国などの北米、欧州の順に多い。 称する職業は会社役員が最多で、投資家、医療関係者などが続く。 被害件数の 7 割超が投資名目で、金銭を要求されていた。

投資詐欺、ロマンス詐欺のいずれも、被害者は男性が 50 代と 60 代、女性が 40 代と 50 代が多い。 特殊詐欺の場合は多くが電話で接触し、少ない回数のやりとりで被害に至るのに対し、これらの詐欺では SNS が使われる。 SNS 型投資詐欺で最初に接触するツールの種類をみると、被害男性はフェイスブック、女性はインスタグラムが最も多く、LINE などが続く。 特殊詐欺と違って投資名目のため、繰り返し被害に遭う特徴があるという。

警察庁は 5 日、全国の警察に専門の捜査班を作って実態解明を進めるように指示。 金融機関や証券会社などと連携し、詐欺のサイトへ誘導する SNS の投稿の削除や、利用された口座の凍結などを進めるよう求めた。 警察庁の露木康浩長官は 7 日の定例会見で、「極めて憂慮すべき状況にある。 各種対策を強力に進めていきたい。」と話した。 (板倉大地、asahi = 3-7-24)

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どこまで?SNSのデマ規制 「表現の自由」配慮、現状は業者の任意

SNS 上の偽・誤情報をめぐる日本・EU・米国の対応

SNS 上の偽・誤情報対策を話し合う総務省の有識者会議が 5 日開かれ、業界団体から現状を聞き取った。 今後はプラットフォーム (PF) 事業者からも現状の取り組みを聞き、今夏をめどに対応をまとめる。 投稿の削除などは「表現の自由」への配慮から対応が難しい面もあり、実効性のある対策をとれるかが焦点となる。 この日の有識者会議の作業部会では、SNS 上の違法・有害情報の対応にあたる「セーファーインターネット協会」などから現状の取り組みや課題をヒアリングした。 出席した団体は「表現の自由の観点から、あくまでも事業者の自主的な判断に基づいて対応してきた」などと説明した。

偽・誤情報対策について、PF 事業者を直接規制する制度はなかった。 まずは誹謗中傷などの権利侵害情報について、PF 事業者に対応を求めるため、プロバイダー責任制限法を改正する方針だ。 さらに直ちに違法とはいえないような偽・誤情報についても、新制度の創設も視野に議論を進める。 今回のヒアリングはその一環だ。 1 月の能登半島地震では、X (旧ツイッター)に偽の救助要請が投稿され、救助活動の妨げになるなど問題になった。 総務省は同 2 日付で、X、メタ(旧フェイスブック)、グーグル、LINE ヤフーの PF 事業者 4 社に不適切な投稿の削除などを念頭に適切な対応をとるよう要請した。 だが、こうした要請への対応はあくまで任意だ。

総務省の別の有識者会議ではこれまで、事業者に偽情報の削除などを義務付けることは「極めて慎重な検討を要する」とする報告書をまとめていた。 ただ、震災で改めて問題が浮き彫りになったほか、今年は各国で大きな選挙も予定されており、偽・誤情報対策は世界的に急務となっている。 (松本真弥)

EU、有害情報の排除は義務

表現の自由とのバランスに苦慮しながら、有害情報への対応に取り組むのは各国とも同じだ。 法規制の導入では、欧州連合 (EU) が先行する。 22 年に施行されたデジタルサービス法 (DSA) は、情報を流通させることで利益を得る PF 事業者に特別な責任を持たせるルールを定めた。 違法な情報の削除のほか、月間利用者が 4,500 万人を超える大手 PF 事業者には、社会的なリスクにつながる偽情報などの排除に取り組むよう義務づける。 違反した場合、最大で世界売上高の 6% の制裁金を科す。

具体的な対応は事業者に求める。 EU の行政機関の欧州委員会は昨年 12 月、偽情報の拡散などを防ぐ措置が不十分だとして、DSA 違反の疑いで X への調査を始めた。 ガザ情勢に関する偽情報や過激な画像の投稿が急増したためだ。 X は利用者同士が情報を補足し合う機能「コミュニティーノート」を導入したが、欧州委はその有効性を疑問視している。 一方、米国は PF 事業者に対する法規制には踏みこんでいない。 プロバイダーや PF 事業者は、原則として第三者が発信する内容に責任を負わず、問題が起きれば訴訟を通じて是正が図られる。

バイデン政権は新型コロナに関する虚偽情報などについて、SNS を運営する企業に削除を求めてきたが、昨年 7 月、政府の要求が検閲にあたるとして、ルイジアナ州の連邦地裁が政府に SNS 企業への接触禁止を命じた。 党派的な対立を背景に、PF 事業者による投稿内容の確認や削除、研究機関や政府機関による偽情報対策の取り組みに抗議する運動も広がり、対応は難しさを増している。

国立情報学研究所の佐藤一郎教授は「米国は表現の自由の保護が優先されているのが現状で、有効な偽情報対策を打ち出せていない。 日本は巨大化した PF 企業に取り組みを求めるため、欧州型ルールの導入に追随せざるを得ないのではないか」と話す。 (渡辺淳基、asahi = 2-5-24)

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SNS の偽・誤情報、有識者会議で対策議論 被災地では偽の救助要請

SNS 上の偽情報や誤情報の対策を検討するため、総務省の有識者会議は 25 日、専門的な見地で具体策を探る作業部会の初会合を開いた。 能登半島地震で根拠不明の情報が拡散され、救助活動の妨げになるなど問題になった。 制度化も視野に議論を進め、今夏をめどに報告書をとりまとめる予定だ。 偽・誤情報の規制には、表現の自由への配慮が必要なため、作業部会のメンバーには憲法学者や弁護士らが名を連ねた。 能登半島地震では、X (旧ツイッター)に「崩れた家の下敷きになっていて動けない」といった救助要請が投稿されたが、偽の投稿も多くあった。

総務省は 2 日付で、X、メタ(旧フェイスブック)、グーグル、LINE ヤフーのプラットフォーム (PF) 事業者 4 社に対し、不適切な投稿の削除などを念頭に適切な対応をとるよう文書で要請した。 一方、政府が事業者に直接削除を求めることは表現の自由を侵害する恐れがあり、政府の対応は限られる。

こうした現状を踏まえ、作業部会では災害時の対策や、過激な投稿にもつながる閲覧数で広告収入が決まるビジネスモデルに関わる問題への対処などを検討するほか、グーグルなど PF 事業者へのヒアリングも予定している。 この日の会合では、主査を務める山本龍彦・慶大大学院教授は「表現の自由に配慮しながら有効な偽情報などの対策を具体的に検討できればと思っている」と説明。 出席者からは、表現の自由に配慮しつつ、「責任ある発信」を投稿者の役割・責務などとして検討すべきだという意見もあった。

生成 AI (人工知能)の普及で偽情報の拡散リスクは高まっている。 米大統領選など、今年は各国で大きな選挙も予定されており、偽・誤情報対策は世界的な課題となっている。 (松本真弥、asahi = 1-25-24)


ネットモール上の危険な商品、10 月に 29 件削除 消費者庁が初公表

消費者庁は 29 日、安全性が疑われる製品やリコール製品のネット通販などでの出品削除の状況を初めて発表した。 6 月に始まった「製品安全誓約」に基づくもの。 10 月に各監督省庁が 29 件の削除を大手ネットモールなどの運営事業者に求め、全てが 2 営業日以内に削除された。 消費者庁の担当課は「順調なスタートだ」としている。 製品安全誓約は、消費者庁などの関係省庁と、ネット上で製品の「売買の場」を提供する事業者が策定、アマゾンジャパン、楽天グループなど 7 社が 6 月に署名した。

不適切な製品が出品されているとの経済産業省など規制当局からの指摘を受けた場合に出品を削除する、といった項目が盛り込まれている。 10 月の 1 カ月間に削除要請が出された主な品目は、乳児用ベッド、バイク用ヘルメット、リチウムイオン蓄電池など。 消費者庁によるといずれも安全基準を満たしているとの確認ができなかった商品という。 (大村美香、asahi = 11-30-23)


新幹線切符 1 億円超を不正購入 容疑で 5 人摘発 クレカ情報悪用か

他人になりすまし、計約 1 億 4 千万円分の新幹線のチケットを不正購入したとして、大阪府警は 6 日、23 - 34 歳の中国人の男 4 人と日本人の男 (55) の計 5 人を窃盗などの疑いで逮捕・送検したと発表した。 男らは偽サイトに誘導して個人情報を盗む「フィッシング詐欺」で、335 人のクレジットカード情報を不正入手していたという。

発表によると、5 人はそれぞれ共謀し、2 月 28 日 - 4 月 9 日、JR 西日本や JR 九州の予約サイトで、他人名義のクレジットカード情報を使い、発券したチケット計約 1 万 4 千枚を盗んだ疑いがある。 国際捜査課によると、中国籍の容疑者らが駅で発券し、日本人の男が金券ショップで換金していたという。 他にも JR 両社から約 1 億 6 千万円の被害申告があり、452 人のカード情報が悪用された。 カードを不正利用された人の中には「大手通販会社から個人情報を入力させるメールがきた」と話す人がいたという。 (甲斐江里子、asahi = 11-6-23)


米メタ "中国を拠点に世論操作 アカウント 7,700 件以上を削除"

アメリカの IT 大手、旧フェイスブックのメタは、自社が運営する SNS を通じて世論操作を行う中国を拠点とするグループのアカウント 7,700 件以上を削除したと発表しました。 これは、旧フェイスブックのメタが 29 日、自社のホームページに掲載した最新の報告書の中で明らかにしました。 それによりますと、会社は、自社が運営する SNS、フェイスブックのアカウント 7,704 件のほか、動画や写真の投稿アプリ、インスタグラムのアカウント 15 件などを削除したとしています。

中国を拠点とするグループが英語や中国語などで世論操作を行っていて、具体的には、新型コロナウイルスの発生源はアメリカだと主張する内容を拡散しようとしたケースなどがあったということです。 また、世論操作の対象は、アメリカのほか、台湾や日本も含まれていて、日本語で投稿されたものも一部あったということです。 メタは、今回の事案について「複数のプラットフォームにまたがる世論操作としては過去最大規模だと推定している」などとしています。 フェイスブックは、2016 年のアメリカ大統領選挙でロシアが SNS を通じて選挙に介入したとされる問題で批判を受け、再発防止が課題となっていて、投稿内容の監視や偽のアカウントの削除を進めています。 (NHK = 8-30-23)


「ルフィ」名乗り強盗指示か 今村磨人容疑者を逮捕

実行役が SNS の「闇バイト」などで集められた広域強盗事件を巡り、警視庁は 29 日、フィリピンから 2 月に強制送還された特殊詐欺グループのメンバーで無職、今村磨人被告 (39) = 窃盗罪で起訴 = を京都市内の時計店への強盗容疑で逮捕した。 同庁は今村容疑者が「ルフィ」と名乗り、国外から遠隔で指示を出していたとみて調べる。 警察庁によると、手口が共通するといった関連が疑われる強盗や窃盗などの事件は 2021 年夏以降、14 都府県で 50 件超発生した。 警察当局はこれまでに実行役ら 60 人以上を摘発。 フィリピンから指示を出していたとみられる人物が逮捕されるのは初めて。

逮捕容疑は 22 年 5 月 2 日、実行役らと共謀して京都市中京区の時計店でショーケースをハンマーでたたき割り、腕時計 41 点(計約 6,900 万円相当)を奪った疑い。 警視庁は認否を明らかにしていない。 警視庁によると、京都の事件ではこれまでに 13 人の実行役や換金役らが逮捕された。 13 人の大半が、SNS で高額報酬をうたい犯罪に加担する人員を募る「闇バイト」で集められたという。

起訴されたメンバーのうち、奪った時計の運搬役とされる男 (22) = 組織犯罪処罰法違反罪などで起訴 = が「ルフィ」と名乗る人物から指示を受け、貴金属買い取り店で時計を換金。 売却金を含むとみられる約 100 万円を今村容疑者の口座に送金していたことが捜査の過程で判明した。 送金された金は今村容疑者らが収容されていたフィリピンの入管施設近くの ATM などから引き出されていたという。 警視庁は今村容疑者が「ルフィ」と名乗り、遠隔で日本国内の実行役らに指示を出していたとみて調べている。

今村容疑者は今年 2 月、特殊詐欺グループのほかの幹部ら 3 人とともにフィリピンから強制送還された。 4 人はいずれも国内で発生した特殊詐欺事件でキャッシュカードや現金を盗んだとする窃盗容疑で複数回逮捕され、起訴されている。 警視庁は特殊詐欺事件と並行し、一連の強盗事件への関与についても捜査を進めていた。 広域強盗では「ルフィ」に加え「キム」などと名乗る指示役も浮上。 同庁は複数の人物が指示を出していた可能性を視野に、残る 3 人との関連も調べる。 (nikkei = 6-29-23)


過激さと「アカバン」のジレンマ ガーシー事件で動画配信は転換期に

動画投稿サイト「ユーチューブ」を使い脅迫を繰り返したなどとして前参院議員のガーシー(本名・東谷義和)容疑者 (51) が逮捕、起訴され、過激な動画で億単位のお金が動いていた実態が明らかになった。 現役ユーチューバーは事件を複雑な思いで見つめる。 アラブ首長国連邦に渡った東谷容疑者がチャンネルを開設し、「暴露系ユーチューバー」として動画の発信を始めたのは昨年 2 月ごろ。 それ以前から活動していたユーチューバーの男性は、「すぐに消えるだろうな」と思ったという。

男性は若者向けの企画を定期的に投稿し、チャンネル登録者は 10 万人以上。 今回、匿名での取材に応じた。 東谷容疑者が芸能界の「裏話」を「暴露」するという設定は、新鮮に感じたという。 「競合がいない独自路線だと感じた。 最大瞬間風速はすごいが、絶対に『アカバン』されると思った」と振り返る。 アカバンは、動画の内容がユーチューブ運営側のガイドラインや規約に違反した時などにアカウントが凍結されたり、削除されたりすることだ。

「ストライク制」でチャンネル永久削除

運営側が「交通ルール」とするガイドラインによると、動画の内容が「ハラスメント」、「暴力」に関する場合などに「事前警告」を受けることがある。 一定期間に 3 回の「違反警告」を受けるとチャンネルが永久に削除される。 野球になぞらえ、通称「ストライク制」と言われている仕組みだ。 東谷容疑者が発信していた動画は開設 5 カ月後の昨年 7 月、ガイドライン違反などで削除され、登録者約 120 万人のチャンネルも消された。 ただ捜査関係者によると、東谷容疑者側はこの間、少なくとも 1 億数千万円の収益を得ていた。

男性は、自身のチャンネルで過激な動画を発信したことはないと思っていたが、過去には違反警告を受けたことがある。 「こんなささいなことでもダメなのかと驚いた。 だから、ガーシーの動画なんか絶対にアウトだろうと思っていた。」 男性の場合、仮に新規の投稿をやめたとしても、過去の投稿が再生されるだけで一定額の収入がある。 だが、一度アカバンされると、チャンネルを作り直しても元通りの登録者数を回復するのは難しい。 企業の広告もつきにくくなるという。 「アカバンは収益構造が全部覆されるから本当に大変で致命的」と話す。

オンラインサロンにオリジナル商品 収益源を分散化

こうした構造から、多くのユーチューバーが、過激な動画発信とアカバンとのジレンマに陥るという。 ただ、最近はユーチューブ全体で広告単価が下がっているといい、多くのユーチューバーが収益源を分散化している。 主要なファン向けに有料のオンラインサロンを立ち上げたり、オリジナル商品を販売したりといった手法だ。 東谷容疑者もユーチューブから事実上排除された後は、GASYLE (ガシル)というオンラインサロンを立ち上げ、収益を狙っていたとみられる。

事件は起きたが、男性はユーチューバーとして活動を続けるという。 「思いや大切にしていることを発信して生きていける場所があるのは誇らしい」と話す。 今後の動画ビジネスはどうなるのか。 男性は、芸能人の参入などで競争が激しくなり、過激な内容で注目を集めようとする人が現れるかもしれないとしつつ、すぐにアカバンされて長続きはしないとみる。 「事件になったことが業界の浄化につながるなら良いこと。 暴露系ユーチューバーは転換期を迎えると思う。」 (増山祐史、asahi = 6-25-23)


カンボジア拠点特殊詐欺集団 19 人確保 警視庁が逮捕状

カンボジアを拠点とした特殊詐欺グループとみられる日本人の 20 - 50 代の男 19 人が現地当局に確保され、警視庁が詐欺容疑で逮捕状を取得したことが 7 日、捜査関係者への取材で分かった。 警視庁は近く捜査員を派遣し、身柄の引き渡しを受け、日本へ移送し逮捕する方針。

捜査関係者によると、1 月中旬に現地の日本大使館が「詐欺グループがホテルを拠点にしている」と情報提供を受け、現地当局がカンボジア南部のホテルを捜索、19 人を確保した。 客室からは携帯電話やパソコン、詐欺の手口が書かれたマニュアルなどが発見されたという。 被害者の名前が書かれたメモも見つかり、日本の詐欺事件に関与している疑いがあることが分かったという。

詐欺グループは、NTT ドコモを装ってショートメールを送信。 メールに記載した番号に連絡してきた被害者に「有料サイトの未払い料金がある」とかたり、電子マネーをだまし取っていたとみられるという。 逮捕状の容疑は、1 月下旬、東京都の 60 代女性から約 25 万円相当の電子マネー「ビットキャッシュ」をだまし取ったとしている。 19 人は現地当局の監視下にあるとみられ、日本の警察当局は現地当局と移送に向けた調整を進めている。 移送が実現すれば 19 人を逮捕し、組織の実態解明に向けて捜査を本格化させる。 (sankei = 4-7-23)


フィリピンで収容の 2 容疑者、7 日に強制退去へ 残る 2 人は結論待ち

フィリピンを拠点とした特殊詐欺事件に関与したとして警視庁が逮捕状を取っている日本人 4 人のうち、2 人が 7 日に強制退去とされることが決まったと、フィリピンのレムリア司法相が 6 日明らかにした。 残る 2 人は現地で訴追されている刑事裁判の公判が 6 日に開かれたが、公訴棄却の結論が出なかった。 強制退去となるのは、藤田聖也(としや)容疑者 (38) と今村磨人(きよと)容疑者 (38)。 残る渡辺優樹容疑者 (38) と小島智信容疑者 (45) については裁判所が棄却し次第、強制退去となる方針。

4 人が収容されているマニラ首都圏の入国管理局の施設では 6 日朝、入管の係官が到着し、移送に向けた準備を始めた。 4 人は、警察官などを名乗って東京都内の男女からキャッシュカードをだまし取った事件に関わった疑いがある。 警視庁が 2019 - 21 年にかけて逮捕状を取り、フィリピン当局に対して送還を求めていた。 さらに警視庁は、全国で相次いだ強盗事件を指示した「ルフィ」を名乗る男が 4 人に含まれているとみている。 だが、4 人はフィリピンで女性への暴力などの罪で訴えられて裁判を抱えていたため、現地の法律上、直ちに強制退去させることはできなかった。

強制退去を逃れるため裁判を仕組んだ可能性が高いと判断

フィリピン当局は、4 人が強制退去を逃れるために裁判を仕組んだ可能性が高いと判断。 検察を通じて公訴の棄却を求めていた。 レムリア氏は 6 日の公判後に報道陣の取材に応じ、弁護人が公判で棄却に反対したと明らかにした。 「司法相がこの手の手続きに踏み込み、弁護人が依頼人を無罪(棄却)にしたくないと不満を主張するのは初めてのことだ。 しかし、三権分立のため、我々は裁判所の手続きに従わなければならない」と話した。 (マニラ = 大部俊哉 西村宏治、asahi = 2-6-23)

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「ルフィ」収容施設の日本人、1 人は早ければ明日にも強制退去か

日本で相次いでいる強盗事件に絡み、フィリピンのレムリア司法相が 31 日、首都マニラで会見した。 入国管理局の施設に収容され、日本側が強制退去させるよう要請している日本人 4 人のうち 1 人について、早ければ、2 月 1 日にも退去させるとの見通しを明らかにした。 レムリア氏は「31 日中に書類が整えば、2 月 1 日に退去させることが可能になる」と話した。

残る 3 人は「女性と子どもに対する暴力」などの罪で裁判が進んでおり、強制退去させるには、訴えが棄却されるか、刑期を終える必要がある。 このうち 1 人は近く訴えが棄却される見込みとし、レムリア氏は、今週中にも送還される可能性があると述べた。 その上で、2 月 7 日から予定されているマルコス大統領の訪日までに全員の送還を終えたいとの意向を示した。 一方、警視庁幹部は「手続きには 1 週間程度かかる」と話している。 (マニラ = 大部俊哉、asahi = 1-31-23)

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「ルフィ」マニラで拘束中 強盗指示役、入管施設

日本各地で相次ぐ強盗事件で、交流サイト (SNS) を通じて実行役に指示していた「ルフィ」と名乗る人物が、フィリピンの首都マニラにある入国管理局の収容施設で拘束されている日本人であることが 27 日、分かった。 レムリヤ法相が共同通信に明らかにした。 犯行グループに加わっているとされるもう 1 人の日本人も同施設で拘束中で、この人物については書類などが整い次第、日本に強制送還すると説明した。 (kyodo = 1-27-23)

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強盗のメンバー募集も削除要請の対象に ネット書き込みの監視強化

警察庁は、インターネット上の違法、有害な情報を把握し、書き込みの削除を求める取り組みを強化する。 3 月 1 日から、殺人や強盗など生命・身体に危害を加える犯罪に誘うといった内容の投稿を新たに監視対象にする。 監視体制も増強する方針だ。 関東や西日本で連続発生した強盗事件では SNS などを通じて実行役が集められたとみられる。 新たな制度では、こうした「闇バイト募集」にも網がかかる。

SNS の投稿などを含むネット上の情報の監視は、警察庁が委託する「インターネット・ホットラインセンター」の事業を請け負う民間業者が担っている。 現在は、覚醒剤などの規制薬物の広告などを「違法情報」、自殺に誘う書き込みを「有害情報」に指定。 一般から寄せられる情報を精査し警察に通報したりサイト管理者やプロバイダーに削除依頼したりしている。

今回新たに、生命・身体に危害を加える犯罪に密接に関連する違法行為を仲介したり誘ったりする情報を「有害情報」に加える。 ▽ 拳銃等の譲渡等、▽ 爆発物・銃砲等の製造、▽ 殺人、強盗、強制性交等、放火など、▽ 臓器売買、▽ 人身売買、▽ 硫化水素ガスの製造、▽ ストーカー行為等 - - の 7 類型が定められた。

「タタキ」、「バイト募集」 … 削除依頼の対象になる書き込みは?

例えば、「強盗」や強盗を意味する隠語の「タタキ」といった表現と、「一緒にしませんか」、「バイト募集」といった誘引などにあたる表現が記載されていれば、通報や削除依頼の対象になる。 ネット情報の監視の強化は、昨年 7 月の安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに検討された。 事件で起訴された山上徹也被告 (42) はネットで得た動画を参考に銃を手作りしたとされるが、こうした情報は監視対象になっていなかった。

警察庁はホットラインセンターと、サイバーパトロールを委託している事業にあたる人員を増やす方針。 また、膨大な情報の中から違法、有害な情報を的確に見つけ出すため、人工知能 (AI) を活用したサイバーパトロールのシステムの導入も計画している。 (編集委員・吉田伸八、asahi = 1-26-23)


中国版「闇バイト」か 資生堂の偽化粧品販売疑い 中国籍 2 人逮捕

「資生堂(東京)」の人気化粧品の偽物をフリーマーケットサイトで販売したとして、大阪府警は 1 日、中国籍の男性 2 人を医薬品医療機器法違反(模造品の販売)の疑いで逮捕したと発表した。 模造品の販売役や発送役を募る中国版の SNS (ネット交流サービス)が存在しており、府警は 2 人がこうした「闇バイト」に応募して事件に関与したとみている。 逮捕されたのは、いずれも埼玉県蕨市に住む会社員のファン・ジャシ (30) と、留学生のチェン・フェイ (30) の両容疑者。 2 人とも「偽物とは知らなかった」と容疑を否認しているという。

逮捕容疑は 2022 年 12 月 21 日、資生堂が展開する人気化粧品ブランド「NARS」のフェースパウダーの模造品 1 点をフリマサイトを通じて北陸地方の男性 (36) に販売したとしている。 正規品は 5,830 円で販売されているが、2 人はこの模造品を 3,400 円で売っていた。 パッケージが酷似している。 府警生活環境課によると、美容液の模造品販売を巡る別事件の捜査を進めていたところ、フリマサイトで偽物の出品を繰り返す複数の中国人グループの存在が判明。 「副業」、「月 20 万 - 30 万円稼げる」などとうたって参加者を勧誘する中国版の SNS も確認され、このフェースパウダーも扱われていた。 (横見知佳、mainichi = 2-1-23)

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